●降り注ぐ、絶望
「あれは‥‥あれは、一体、なんなんだ‥‥!?」
北の祠からやや南下したその場所に、美しい街があった。
エピドシスの首都、エフィオラ。
街の建築物全てが白い石灰岩で統一して作り出され、まさしく白亜の都の文字通り一際美しく存在している。
この国を守護する女神の名を頂くその町は、今、大きな混乱に巻き込まれていた。
そして、エフィオラの中央。
そこには神の元へと届かせんばかりに天高く聳える神殿があった。
神殿には、大神官アンジェリカ・エピドスを中心に7人の賢者が集っている。
女性ばかりのその一団は、この国を統治する核とも言うべき聖職者達。
霊峰アルタミナ上空の暗雲が霞と消え、突如現れたその巨大な影。
やっと南北の祠を取り返したかと思えば、現れたのは更なる絶望。
そして、突如島の一部を消失させた余りにも強大な力‥‥。
その背から巨大な翼を伸ばした『それ』は、まるで天使にも神にも見え。
「先の一撃で島北部の一部が消失しました。あれは想像を絶する威力を有している模様です」
しかしその報告を聞いても、女性達は動揺することが建設的な結果にならないことを理解しており、表情ひとつ変えずに落ち着きを崩さない。
だが、あらゆる知識を有し、全ての情報を統括する彼女達にも、その正体はわからなかった。
現時点で判明していることは、それがレーザーのような高温度の熱線により焼き尽くすような技を持っていること。
樹齢数千年の大木よりも大きな槍を右手に、巨大な盾を左手に持ち、強大な威力を持ってして自らの敵を排除するであろうこと。
各地で目撃されたスィール達が巨大なモンスターの足元に複数蠢いており、地上から1mほど宙空を浮いていること。
「そのもの‥‥名を、何としよう‥‥」
名前がないのは不便というものだと、7人の賢者を束ねる長、大神官アンジェリカが言った。
「そう‥‥『ヨロウェル』とでも呼ぼうか」
突如。報告の最中、部屋の扉が勢い良く開く。
「アルタミナからエフィオラに向け、途方もない数のモンスターの軍勢が押し寄せています! その数、計測不能! 多すぎます!」
新たなる絶望が、降り注いだ。
●大陸、北。
海流の流れを制御可能となった南北の海岸より、ブリーダー達が次々と上陸していた。
国務補佐担当大臣フェイニーズ・ダグラス自らも、カルディアの代表として上層部との交渉に当たる為、北部からエピドシスへの入国を果たしていた。
「ここは大丈夫、だな」
首都エフィオラから次々とその地を守るべくやってきた衛兵たちにより、祠の警備が強化されていく。
しかし、気になるのはあのアルタミナ山頂に見える巨大な影。
先ほどの強烈な一撃を目の当たりにさせられては、気にするなと言う方が到底無理な話だった。
遥か霊峰を望み目を細めるフェイニーズの元に、天馬が舞い降りる。
「カルディアの国務補佐担当大臣フェイニーズ・ダグラス様とお見受け致します! 我が女神よりこちらをお預かりしております」
「へえ、女神様からラブレターってか」
ふざけた調子で無造作に受け取り、中を開いた瞬間。
フェイニーズはそれを握り潰した。
「随分とナメた真似しやがって‥‥ふざけんな!」
いつもの彼らしからぬ様子で、祠周辺に集い始めていた全ブリーダーに轟く声で叫んだ。
「エフィオラだ。今すぐ、首都の守りを固めろ! 急げ!!」
首都が、危ない。
●大陸、南
「くそ、ここからじゃ何も見えん!」
フェイニーズに同じく、ギルド長オールヴィル・トランヴァースも、友とは逆の海岸から自らエピドシスに入国を果たしていた。
海上で戦いを続けていた後続のブリーダー達も、一同が南の祠に会す。
先ほどのオフェリエとかいう少女の存在と、青ざめるほどに凶悪な魔力の感触が心に深くしこりを残している。
「ギルド長、エピドシスの兵達が到着しました!」
ブリーダーの声に振り返ると、南の祠も既に大勢の兵士達により護りが固められ始めていた。
彼らの手により、南の祠の周辺に拠点が設けられていく。
その時、兵の一人が、オールヴィルの前に進み出て、跪く。
受け取った書状をその瞳で撫ぜるように読み終えると、南の祠のブリーダー達を全て召集した。
ヨロウェルという名の巨大な敵の存在、アルタミナ北部から首都へ向かって夥しい数のモンスターが押し寄せていること、そしてそのモンスターの指揮をとっている人型の存在。
エピドシスは、かつてない程の絶望に襲われていた。
それに、またいつ敵の手によって祠が奪われてしまうかわからない。
「このまま北へ向かい、アルタミナを攻略する。あのでかいのを、一気に叩くぞ! 残った連中はこの南の祠を守り抜け!」
南の祠と拠点を守り抜かねば、退路もなくなる上に後続の援軍が入国できなくなる。
進軍も拠点防衛もどちらも重要な役目だ。
エピドシスの命運を北にいるブリーダー達と友に預け、オールヴィルとブリーダー達は立ち上がる。
その様子を霊峰上空から眺める一人の少女の姿があった。
「まだ向かって来るの? かわいくなーい」
オフェリエの遥か足元で巨大な天使が静かに蠢いている。
「‥‥挙句にラアの大事なおもちゃのお守、でしょ。はぁ‥‥早くクリム様に会いたい」
溜息を零してヨロウェルから視線を外した。「さっさとやっちゃいましょ」と、声をかけて。
●エフィオラ制圧作戦指揮官
「いつだってあいつら、オレのモノ奪ってくんだよね‥‥」
イーグルドラゴンの背に胡坐をかいて座っているラアの口から無機質な言葉が紡がれゆく。
忌々しげな言葉ではあるが、そこに感情の存在を感じない。
その視線は遠き白亜の都を見つめていた。
「ま、いいや。可愛いおもちゃは無事生まれたことだし、ね」
大量の血液を凝固させた宝石のように、深い深い紅色をしたラアの瞳が暗く輝いている。
「オレの仕事がしやすいように、派手に頼むよ? オレの可愛いデク人形ちゃん♪」
霊峰の方角を見て不敵に笑むと、自らの足元‥‥遥か下界を見渡した。
「さぁ、みんな〜首都潰しに行くよ〜!」
パンパンと2度手を打つと地を這う無数のモンスターたちから低い唸り声が轟く。
その上空を、ラアの乗ったイーグルドラゴンを中心に複数の大型ドラゴンがカーニバルの如く派手に旋回している。
‥‥心の奥底にあるのは純粋な感情。
そう。至極純粋な、憎悪の気持‥‥。
「ニンゲンなんて、ぜんぶ死ねばいいんだよ」
指令:首都エフィオラを護り切れ
■解説
◇基礎情報(今回の作戦について)
情報1(エピドシスについて)
情報2(発見されている新種モンスターについて)07月24日更新
情報4(白亜の巨人「ヨロウェル」について)
特別プレイヤー情報(スキル・魔法の省略について)
情報は随時更新予定!
現在作戦などの打ち合わせは、CTSPCチャットにて行なう事が可能となっております。
CTS PC交流チャット
●サーバートラブルに関しまして
7月29日 11:45頃〜 弊社サイトにおいて、アクセスが困難になるという不具合が発生致しております。
原因に関しましては現在調査中ですので、復旧の目処が立ち次第改めてお知らせいたします。
皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解の程をよろしくお願い申し上げます。
また、不利益を被られました方につきましては、弊社にて別途対応を行わせていただきたいと存じますので、
サーバー回復後コンテンツお問い合わせフォームより、ご連絡いただけますようお願い致します。
問い合わせフォームがご利用になれない場合は、お手数ですが以下メールアドレスから
ご連絡いただきますよう、よろしくおねがいいたします。
・ソウルパートナー【 afo.sp@terranetz.com 】
出来る限り具体的な情報と併せてお知らせいただけますよう、お願い申し上げます。
また、 今回のサーバートラブルに関しまして、シナリオに対し、以下の対応を行うことといたしました。
・お客様のシナリオの参加・プレイングについて 現在公開中であり、プレイング締切の来ていない
(執筆が開始されていない)シナリオにつきましては、
一律、プレイング締切を2日、延長いたします。
また、これにあわせまして、リプレイの執筆開始・締切の日にちも延長されます。
キャラクターの拘束日時は延長されませんので、ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
・また、リアルタイムイベントエピドシス開放戦線【雲霞】のスケジュールにつきましてですが、
サーバー復旧後スケジュールの変更に関しましてお知らせをさせていただきます。
大変申し訳ございませんが、今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。
■NPCより
暗雲は晴れましたが、あのような物が存在していたとは… 皆様にはこのまま首都の防衛と、 モンスター「ヨロウェル」の討伐へ向っていただきます。 苦戦を強いることなるかと思いますが、よろしくお願いします。 |
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