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『ウィリアムの夏、成年推奨の夏(※1) 』
ウィリアム・ハルゼー(ib4087)


 青い青い空、白い白い入道雲。
 そんな夏の昼下がりに、ゆらりと白い帽子のつばが揺れる。
「暑いですね」
 顎を引き改めて目深につばが顔を隠す。細く白い顎、淡く紅を乗せた唇が動いてそれだけ言う。
 風が、舞う。
 裾の長いサマードレスが軽やかになびき、長い銀髪も風に洗われる。
 さらに、風が強くなった。
「あ‥‥」
 飛ばされる帽子を、伸ばした手でかろうじて掴む。泳ぐ髪に現れる顔。
 大きく見開かれた目が安堵の笑みに落ち着いた。吐息を吐くように開かれたぷにぷにの唇が、柔らかな微笑に変わる。
 ウィリアム・ハルゼー(ib4087)、十四歳。
 純で清らかなお嬢様。
 少なくとも、彼を知らない者はそう見ている。
 旅の一期一会が基本の観光ビーチなんかだともう、そうとしか見られない。
「‥‥あ」
 帽子を持っていかれそうになった先には、遠浅の砂浜が広がっている。
 もう、海水浴シーズンである。多くの海水浴客で賑わっていた。
「ボクも、泳いできましょうか」
 ウィリアム、にっこり。
 清純なお嬢様の冒険が、始まる――。


「おい、見ろよ?」
「ひゅっ。マブいね」
 ざわ、と砂浜の一角でどよめきが起こる。
 小麦色に焼けた水着姿の若い男たちが振り返る先に、その人物はいた。
 不安そうに右手を口元にやり、きょろきょろ人を探しているかのように頼りなさげに歩く。
 そして、周りに首を巡らせるたび動くのは髪の毛だけではない。
 ぷるん、とおっきな胸が動く。
 まあるくどどんと突き出した形の良い胸が、たったそれだけの上半身の動きに敏感に反応し荒ぶる波のように形を崩そうとする。それを、三角形の布二つが付いた紐できゅっと胸の前で蝶結びした純白の水着がかろうじて止めている。首の後ろで結ぶ細い肩紐がなければ弾け飛んでしまうくらい、隠しきれない魅力に溢れている。
 当然、上半身や肩は胸の動きに翻弄されいやんいやんするように揺れている。
 自然、短い白パレオが隠す腰の動きも艶かしくなる。
「やあ。お困りかい、お嬢さん? おにーさんが力になってあげよう。‥‥お名前は?」
「本当ですか? ボク、ウィリアムといいます」
 きゃるん、と小首をお嬢様角度に傾げ、瞳を輝かせるウィリアム。
 ボクという一人称の響きに、両手を胸の前で組んだことによりむぎゅーっと高密度に寄りまくってしまうおっきな双丘が、背徳な一瞬を形成する。下から掬うように組んだ両手と両肩でできた狭っこいデルタ空間でいびつに折り重なるような収まりを見せる胸。びく、と痙攣したように振った腰に連動し、下がった両肘内側からこぼれそうになったりも。
「う‥‥」
 おにーさん、真っ赤たじたじ。顔に、「あ、まずい」の表情が浮かぶ。
「ボクの黒いもふらさまがいなくなって‥‥」
「分かった。見かけたら君に知らせよう。じゃっ!」
 そんなもふらさまどこにいたとかいう突っ込みはともかく、おにーさんは前屈みになって退散した。
――にまっ。
 おにーさんを見送るウィリアムは一瞬だけ、そんな艶やかな笑みを浮かべるのだったり。


 ウィリアムは、健康的なビーチをさまよう。
 周りには、健全にきゃっきゃうふふするカップルもいるようで。
 そして、ウィリアムがそんな中から一組のカップルの方へ「ああ、ボクの黒いもふらさま、どこだろう」な雰囲気を醸しつつ接近して行ったぞッ! 砂浜に残るウィリアムの足跡の流れが、浜茶屋の焼きそばの硬さに負けた割り箸のようにべきっと折れている。
「次は焼きそばを食べようか?」
「一つを二人で一緒に食べるのがいいわ」
 のん気に話しているカップルはデンジャーの接近に気付かない。ていうか、二人だけの世界であなたしか見えない状態。注意力散漫にもほどがある。
 そしてッ!
「きゃっ!」
「うわっ!」
 どし〜ん。
 カップル男と正面衝突。そしてもちろん、ウィリアムが力負け。
「いたたた‥‥。大丈夫かい、お嬢‥‥あ!」
「んもう、いつまで組み敷いてるのよっ。ちょっとこの娘の方が胸がおっきいからって‥‥」
 ウィリアムにのしかかったまま硬直した彼氏に、彼女プンプン。常識レベルのおっきな胸を手で隠しているのはボリュームのあるウィリアムに負けたと思ったからかもしれない。なにせ、仰向けになっただけで両側からくにゃっと形を変えこぼれてしまいそうなほどなのだから。
 いや、それどころではない。男の様子がおかしいぞ。真っ赤だった顔が蒼白となり、ウィリアムのパレオが隠すビキニ下に触れた自らの太もも膝上辺りを気にしている。
「う、うわあああああっ!」
 一体、どうしたことか。
 男は鳥肌を立てて立ち上がると彼女置き去りのままアヤカシに喰われそうになったのかと見紛うほどの混乱振りで逃げていったのだ。
「な、何よ。どうしたのよ、一体」
「さあ、ボクにもさっぱりで‥‥」
 んしょ、とパレオの裾を気にしつつ丁寧に上体を起こすウィリアム。上品に足を曲げて座りお嬢様角度で小首を傾げ、天使のような笑みを彼女に返すだけだった。


 ウィリアムの不幸はまだ続く。
「ああ、熱いです‥‥」
 二の腕などを撫でて肌の火照りを沈めつつ歩いている。
 そこへ。
「ハッハー、ウブなお嬢さん。カキ氷でもいかがかな?」
 くるくるしゅたっ、と器用な半身回転付きでナンパ男が側に来た。手にはカキ氷イチゴシロップ練乳かけ。
「ボクに?」
「そう。他に素敵なお嬢さんはいるかな?」
 上体をそらし後ずさる‥‥格好だけするウィリアムに、ずずいと距離を詰めてくるナンパ男。どうしてこうナンパ男は超近接が好きなのかは不明だが、ここでハプニングが。
「きゃっ!」
 何と、胸先をツンと上げて上体を逸らしただけだったウィリアム、ナンパ男が無茶に身を寄せてきたため後に倒れてしまったのだ!
「ああっ!」
 驚きの声はナンパ男だけではない。周囲にいた男からも激しく上がっていた。
 特別に、スローモーションで見てみよう。
 ぐぅ〜んと仰け反りおっきな胸を天に差し出すようにしていたウィリアム。
 そこへ、小指を立てたナンパ男の持つカキ氷が無遠慮にも突き出される。
 あ、と目を丸くするウィリアム。仰け反るあまり重心バランスがッ!
 後に倒れるウィリアム。
 無重力状態で一瞬宙に遊ぶおっきな胸。
 もちろん、双丘の前できゅっと結ばれた紐も蝶々のように。
 そして、何の因果か小悪魔の悪戯か、ナンパ男の立てていた小指がその蝶々に引っ掛かる。
――どしん。
「貴様、何てことをこのお嬢さんに!」
「ちょっと浜茶屋裏まで来いやぁ」
 周囲にいた男たちがナンパ男を連行する。
 一方のウィリアムは。
「いたた‥‥」
 ぶるんと動いた胸にビキニのトップはどこへやら、ぽろりしたまま寝そべっている。
 でも、大丈夫!
「あ、冷たいです‥‥」
 何の因果か小悪魔の悪戯か、ウィリアムの胸にはナンパ男がこぼした練乳たっぷりイチゴシロップカキ氷がてんこ盛りとなっていた。‥‥いや、てんこ盛りに見えるだけで実際の量は少ないが、ともかくウィリアムの清純は守られた。
「ふふっ、あまぁいですね☆」
 胸を隠すカキ氷は崩さず首元に垂れた練乳を指先ですくって舐め、なんとも甘そうな微笑を浮かべるのだった。


 まだまだ砂浜をさまようウィリアム。水着の蝶結びをしっかりし直して、今度は岩場に来ていた。
「ここにもボクの黒もふらさま、いませんねぇ」
 きょろきょろしているが、独り言にしては妙に声が大きい。
「どうしました? お嬢さん」
 水泳客から離れて釣りをしていた麦藁帽が振り返る。肌が小麦色に焼けた白い歯のイケメンである。
「迷子のボクのペットのことを思うと不安で不安で胸が苦しいんです」
 両手で胸を抱くようにして身を小さくするウィリアム。
「それはいけない。よし、僕も協力しよう。お嬢さんは動かず日陰で休んでいたほうがいい」
「ホントに、胸が苦しいんです。‥‥ほら」
 うるうるしながらウィリアムはイケメンの手を取り、自分の胸に――。
 ごくっ、とイケメン男は唾を飲み込んだが、ウィリアムに導かれる自らの掌は、おっきな二つのふくらみの真ん中、ううん、その少し下の、鳩尾の上辺りにぴとっ。
 それでも、とくん、と伝わってくる鼓動にイケメンの鼓動も暴れ馬状態。見る見る顔色が変わる。
 この様子に、にまっと艶笑み浮かべたウィリアムは、「もう、ダメ」と自ら倒れ込んだ。
「わ、分かった。すぐに医者を呼んでくる。ほら、この麦藁帽子を被って。‥‥いいか、ここから動くんじゃないぞ」
 イケメンはそう言って駆け出した。
「残念‥‥」
 ウィリアムの方は寝そべったまま薄紅を引いた唇を尖らせていたり。どうやらイケメンは真面目だったらしい。
「‥‥少しボクも泳ぎましょう」
 耳を澄ませば、浜でなにやら騒動が起きている。黒もふらさまがとか医者がとか暴力反対だとか、そんな声。誰が原因でそうなったかはウィリアムには関係のないこと。全てがわずらわしいと髪を肩の後ろに跳ね除け、岩場から海へ飛び込む。
「ん‥‥気持ちいい」
 背泳ぎで、沖へ、沖へ――。
 いつの間にかまた胸が収まり悪くポロリ(※2)しているが、もう誰にも見られることはない。
「偽胸だし‥‥」
 そんなことはこの気持ち良さに比べれば些細なこと、と泳ぎ続ける。
「明日は、誰をからかおうかな?」
 長いすに座って足を高く蹴り上げて、誰か近寄って来るのを待つのもいいかも、などと波間に揺らめき思う彼だった。


注釈
※1、2‥‥ウィリアム「見ましたね?(ごごごごご)」


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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ib4087/ウィリアム・ハルゼー/男/14/陰陽師】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ウィリアム様

 いつもお世話様になっております。
 「ウィリアムさんどっきどき☆ 夏のゆーわく黒もふらさま探し」をお送りします。タイトルはより作品傾向の分かりやすいものに変更しましたが。
 デコルテ、どっしん、ポロリ、お触りの四つしか入らずスイマセン(何かありましたらリテイクを)。前振りの清楚なお嬢様的描写は対比としてお楽しみください。

 急ぎ足ですが、楽しく書かせていただきました。
 この度はありがとうございました。
Midnight!夏色ドリームノベル -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2011年08月16日

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