▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『リィムナさん危機一髪 空き洋館のクリスマス 』
リィムナ・ピサレット(ib5201)


 今日は聖夜。クリスマス・イヴです。
 夜空に煌く星たちも、何だかいつもより静かに瞬いています。それでいて、いつもは輝きもしない小さな星まで頑張って輝いているのです。でも、決して賑やかという感じではありません。今夜ならではの不思議な不思議な雰囲気。それがクリスマス・イヴなのです。
「やっほーーーーーっ!」
 そんな静けさを一直線に横切り賑やかに染め行く姿があります。
 赤い衣装に、白いプレゼント袋。どうやらサンタさんです。
 サンタさんなら、仕方がありませんよね。
 おや。
 サンタさんにしては、例年と少し格好が違うようです。
「ん〜っ! これがクリスマス限定だと思うと寂しいけど、それならたっぷり堪能しないとねっ」
 両足を伸ばして空飛ぶ箒に元気良く跨っているのは、リィムナ・ピサレット(ib5201)です。
 上着だけじゃない? と勘違いするくらい丈の短いサンタワンピを黒くぶっとい革ベルトで細いウエストにきゅって密着させ、肩にはひらめく真っ赤な胸丈ポンチョ。白くておっきな手袋に包まれた右手は伸ばされ、跨る精霊武器・疾風の箒の柄を持って。
「さて。友なる翼を使える迅鷹が朋友の女性開拓者限定『サンタ服着て箒に跨って飛んでプレゼント配布』の依頼もあと一件。頑張ろう、サジ太!」
 つぶらな青い目を輝かし、ぎゅうんっと進路を丑寅の方位やや下に変えつつ、おっきな白手袋の左手でサンタ帽子を押さえます。実は彼女が空を飛べているのは精霊武器「疾風の箒」のおかげではなく、朋友の迅鷹「サジタリオ」と同化スキル「友なる翼」のおかげです。それでも箒に跨るのはプレゼントと一緒に夢も届けているから。生き生きしたリィムナの表情から、手渡した人々にとっても喜ばれたのが分かりますよね。
 そして、最後のお届け先。
「あ、れ? あのお屋敷空き家じゃなかったっけ」
 ふと首を傾げるリィムナですが、すぐに気を取り直します。
「まいっか。これが終わったら姉ちゃんがご馳走作って待ってくれてるし。ぱぱっと済まして、親友や姉妹でクリスマスパーティーだ」
 ぐぅ〜ん、と高度を落として最後のお届け場所、民家からぽつりと離れた洋風のお屋敷に向うのでした。
 まさか、あんなことになるとも知らずに。


「よっ、と。……こんばんは〜」
 リィムナは友なる翼を解き光る羽根を消すと大きな洋館の玄関扉をぎいぃ……と開くのでした。
 玄関広間には誰もいません。スキル解除で姿を現し大人しくリィムナの肩に止まった迅鷹・サジ太も小首を傾げています。
「あの、ご注文の通りプレゼントをお届けに……」
 カツ、と靴音を響かせ中に入るリィムナ。これまではどこのお宅でも、待ちわびたように家族が出迎えてくれていました。どうもここは勝手が違うようです。
「あ! 張り紙がある」
 きょろきょろ見回していたリィムナは、向こうの壁に張り紙があるのに気付いたようです。さっそく、大きな肖像画の掛けられた広間を横切り駆け寄ります。
 そう。どことなく重々しい筆致の肖像画の前を通って。
 そして、ああ。リィムナは肖像画の目の部分が、彼女の動きを追うようにぎょろりと動いたのに気付かないのです!
「どれどれ。『箒はここに置いてください』? へえっ。丁寧だね〜」
 あ、と自らの手を見るリィムナ。確かに、お家に上がるのに乗り物と一緒、というのは失礼ですよね。
「そして、『箒を置きましたか。置きましたね? では、こちらへどうぞ』? ……何だかなぁ。行こっ、サジ太」
 クエッ、と翼を広げるサジ太を連れて、素直に進むリィムナです。
 すると、右手の扉にまた張り紙があるではありませんか。
「え? 『朋友の方はここでお寛ぎください』?」
 眉を顰めつつ扉を開けると、いい匂いがします。びくっ、とサジ太も背筋を伸ばしきょろきょろ落ち着きをなくし始めましたよ。
「あ、焼きたての分厚いステーキが一つテーブルに……って、こら。サジ太!」
 おやおやサジ太、まっしぐらにテーブルまで飛翔しました。ですが、さすが鍛えられた朋友さん。そのままがっつくのは我慢して「食べていい?」的な瞳で小首を傾げ、リィムナを見返しています。
「仕方ないか。サジ太も頑張ったし、この家の人もそれを分かってて用意してくれたんだろうし」
 いいよ、と頷くと、サジ太は幸せそうに分厚いステーキをついばみ始めるのでした。
 続けて張り紙に書かれた通り先に進むリィムナ。
「『サンタ帽子はここで脱いでくださいね』か……」
 これは妥当でしょう。
「『外套はここ置いて下さい』……。なるほど、確かに暖炉で温かくなってきてるし」
 胸丈ポンチョを脱ぐと胸元から上がむき出しなんだけど、と思いつつも白い肩を晒します。
「え〜っ。『お好みの口紅を引いてください』?」
 これはいかがなものでしょう?
 でも。
「『イヤイヤ。口紅でオシャレして。サンタさんお願い><。』って……」
 素直なリィムナは恥かしそうにしながらも薄い紅を引きます。
 そして、最後には階段を下りて地下室に辿り着きました。中央にはベッドがあり、誰かが寝込んでいるようです。ごほごほ、と咳も聞こえます。
「あっ。大丈夫? サンタがプレゼントを持ってきたからねっ!」
 慌ててリィムナは大きなギフトボックスを取り出し一直線に駆け寄るのでした。
 その時。
「うわあっ!」
 世界がひっくり返ったのです。


「フフッ……。リィムナ、ボクのクリスマス洋館にようこそ」
 ばさーっ、と毛布を跳ね除けベッドから姿を現したのは、フランヴェル・ギーベリ(ib5897)でした。白い男性用貴族服に身を包む気品漂うショートカットの人物ですが、どこか柔らかい物腰とくびれた腰が物語る通り女性です。シャープに伸びる足を下ろしてスラリとベッドの脇に立つと、両足を縛られ逆さ吊りにされたリィムナを愛しそうに見るのです。
 そうです。これは罠だったのです。
「誰かと思えばフランさん。最も逮捕に近い女……」
「ああ……サンタ服のスカートがめくれ子供ぱんつが露わに……はぁはぁ」
 リィムナは呆れましたが、フランはまったくの無視。逆さ吊りのままへそまでスカートがめくれ、へにゃりと崩れた輪郭ながらそれが可愛い猫柄の純白子供ぱんつに釘付けです。
「フランさんっ。あたしはプレゼントを届けなくちゃいけないんだってば!」
 リィムナが縛られた白い両足を内股でもぢもぢこすりながら声を張ります。フランが目をさらに輝かせてしばらく無視してたのは、このなまめかしい動きに目を奪われたから。逆に、リィムナがこんな動きをするのは両手に大きなギフトボックスを持っているから。大切なプレゼントは絶対に落とすわけにはいきません。
「フフッ。でも、中身は軽いはずだろう?」
「それは軽いけど。……あっ、ダメ」
 近寄ったフランがひょい、とリィムナの抱えるプレゼントを奪うのです。
「配達ありがとう。『リィムナを自由に出来ます券』確かに受け取ったよ」
 まあ、何ということでしょう!
 大きな箱の中には、そんなとんでもないアイテムがひらりん、と小ぢんまり入っていたのです。
「何そのひどい上げ底。っていうか何そのプレゼント。フランさん絶対自分で配達頼んだでしょ!」
「では頂こう!」
 突っ込むリィムナをやっぱり無視して、くわっと眼力を込めて言い放つフラン。おかげでリィムナはびくっと身を縮めています。
「ちょっと。どうしてこの部屋には鎖やロープに色んな用途不明の道具があるの?」
「筆や羽根ぼうきや手械足枷のことだね? 安心して、子猫ちゃん。いきなり縛るのは無粋。さあ、罠を解いてベッドにエスコートしてあげよう。フフッ」
 フランはディナー作法の薀蓄を教えるようにいってちろりと唇を舐めると、艶かしい蛇のような視線でリィムナ見るのです。
(しめた、縄が解けた)
 両足を縛る縄が解けた瞬間、リィムナは脱出を試みましたが、一瞬の射抜くようなフランの視線でぴたっと動きを止めるのです。そのまま自然に抱き上げられ、ベッドに横たえられました。
「フフッ。じゃあ早速……」
 フランが右手の人差指と中指で挟んでいた「リィムナを自由に出来ます券」が、ぼうっと燃えて炭になりました。どうやらクリスマスの魔法が発動したようです。
 ああ。フラン、大暴走。
 普段の依頼ではこんなことはない……はずなのですが、これが聖夜のなせる業でしょうか。今夜のフランはケモノのようです。
 そして、ついにっ!


「……あっ……ひゃあっ……ダメっ……」
 フランの左手で両手首を万歳した格好で抑えられたリィムナは、眉の根を寄せて体をくの字に折り我慢したかと思うと、すぐに頭を左右に振りながら海老反りに背筋を曲げてイヤイヤしたりしてます。ここに来る前にポンチョを巧妙に脱がされた衣装の関係上、はっきりくぼみが見えるほど白い脇の下がむき出しとなっているのです。そこを絶妙のタッチで触れられなぞられるとたまらないでしょう。
「ふふふっ。ボクほどの超絶技巧の指先の持ち主となると、筆や羽根ぼうきを使わずとも……。ほら、こんな脇の下からしかないサンタ服なんか着てると、つつつと肌をなぞるだけで服が脱げてしまう。さて、こうやって生れたままの姿に……」
 フランはごくりと生唾を飲み込みながら、じりじりと衣装をずり下げていきます。
 ああっ。
 もうすぐ胸のふくらみが露に……。
 その時でしたっ!
「って、あれ?」
 何と、床から蔦が生え伸びてきてフランをがんじがらめにしたではないですか。この隙にがばりと元気に起き上がるリィムナ。
 そして、白くおっきな手袋を外します。そこからは精霊甲が……ああっ、すでにリィムナの右手は魔法の光を帯びています。そのままがしっとフランの額を鷲掴みにしました。
「シャイニングアイアンクロー! 続いてエレキハンド!」
 叫ぶリィムナの口から犬歯が獰猛にチラリと見えてますっ。そのままホーリーコートで強化した五指でフランの額を締め付け、零距離アークブラストをぶっ放つのです。
「え? 魔法? そんなずるい……あぎゃああああ!」
 哀れ、フランは脳天をぶち抜かれ、放物線を描きつつゆっくりと滞空しながら吹っ飛びます。こういう時でも妙に姿勢がいいのが、彼の良いところかもしれません。
――どさり、がくっ。
 見事、一連のコンボでKOしたリィムナは半身のままフランを見下ろしやぶにらみしつつ、また手袋をはめていました。「やれやれ」といま、溜息も。
「フランさん、あたしの恋び……親友の叔母にあたる人なんだけど、相変わらずヤバイ人だよね〜。前も言い寄られたし。……悪人じゃないみたいだけどお仕置きはしないとね」
 それだけ言って、リィムナはなにやらごそごそと準備をするのでした。

「さて、依頼は終了。……いくらクリスマス限定魔法と言っても、限度はあるよね〜」
 再びサジ太と同化し箒で空を飛びつつリィムナは言います。こうやってクリスマス魔法で空を飛ぶのも、友なる翼というスキルがあるから長続きするのです。腕力に頼らない捕縛技のないサムライのフランヴェルが適性のないクリスマス魔法を使っても、それは一瞬だったようです。
「とにかく、お家に帰ってみんなとクリスマスパーティーだよっ」
 ひゅうん、とリィムナが飛んでいく空の下。
 そこには、お仕置きで鎖で縛られ川に漬けられたフランヴェルがいましたとさ。




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ib5201/リィムナ・ピサレット/女/10/魔術師
ib5897/フランヴェル・ギーベリ/女/20/サムライ

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
リィムナ・ピサレット 様

 いつもお世話様になっております。
 今回のリィムナさんは、フランさんと。楽しい依頼を受けているのがリィムナさんらしいですよね〜。誰にも見られてないハズなのに、素直に張り紙の指示通りに動いてしまうリィムナさんがとっても可愛らしいのです。そしてちゃっかり武器を隠しているところも(笑)。こちらではフランさんは川に漬かった(※常用外なので「浸かる」にはしてません)ままですが、助かってむしろいい目にあっているのでご安心ください。

 注文の多い罠屋敷というアイデア、とっても楽しかったです。

 お届けが遅くなってしまい申し訳ありません。この度はありがとうございました。
WF!Xmasドリームノベル -
瀬川潮 クリエイターズルームへ
舵天照 -DTS-
2012年01月12日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.