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『遭難、危機一髪! 』
藤田・あやこ7061)&巫浄・霧絵(NPCA024)

「う〜ん! 寒い冬は氷水が一番ね!」
 連合艦隊旗艦USSウォースパイト号の艦長である藤田・あやこ(7061)は、所属している久遠の都の越冬隊へ補給物資を届ける為に移動中である。
 だが甲板ではあやこをはじめ、女性達が露出の激しい服装ではしゃいでいた。
「お正月に仕事をするのはしょうがないけれど、こうやって息抜きをするぐらいは許されるわよね」
 のんびりした雰囲気のまま、目的地の南極点に到着する。
 しかしそこで航路を担当している部下がやって来て、あやこに問題が起きたことを耳打ちした。この南極点に入った途端、時間が止まったらしい。そのせいで目的地を入力していたレーダーが異常を起こし、越冬隊がいる基地がどこにあるのか分からなくなってしまった。その上、自分達もどこにいるのか不明になってしまい、迷っていると言うのだ。
「ふ〜ん。まあ進んでいれば、いずれは陸にたどり着くんじゃない? あっ、ペンギンだ〜。流石は南極ね」
 緊張感が全く無いあやこを見て、部下は諦めのため息を吐きつつ艦内に戻る。
 やがて艦は凍っていき、氷柱がなり、雪が降り積もっていく。
「うわぁ、キレイな氷柱! もう少し雪が積もったら、雪合戦する? あと雪ダルマとか雪うさぎも作りましょうよ! ゆでたうどんを持ってきて、雪解けの水で食べるのも美味しそうね♪」
 キャッキャッと楽しむあやこ達だが、いつまで経っても基地どころか陸も見当たらず、海の上をさ迷うばかり。
 ずっと甲板の上にいるあやこ達も、流石に寒さが身に染みてくる。
「う〜、ガマンガマン……。ここで艦内に戻ったら、妖精軍女の名が廃るわ〜」
「誰がそんな名で、あなたを呼んでいるのよ?」
 不意にぐにゃり……と空間が歪んだ後、巫淨・霧絵(NPCA024)が現れた。
「あ〜ら、あやこさん。久し振りね……って。こんな寒い場所でそんな格好をして、頭がヤられたの?」
 はじめは笑みを浮かべていた霧絵だが、あやこ達の露出が激しい格好を見て呆気にとられる。
「違うわよ。我がダウナー族は太ももに羽ばたく力の源を持っているから、足から体があったかいの」
 そう言いつつあやこは、ミニスカートをめくって太ももを見せた。
 だがあやこの足を見て、霧絵は微妙な表情を浮かべる。
「その足、まるで大根……」

 ヒュンッ!

 最後まで言う前に、あやこが投げた氷柱が霧絵に向かってきた。しかし顔に当たる寸前で霧絵は避け、氷柱は海に落ちる。
「――今、何か言った?」
「いいえ、何も」
 真顔で答えた霧絵を見て、あやこは深く息を吐いた。
「でももう寒さは限界だわ……。霧絵は確か、寒気と暖気を選んで分けられる悪魔を召喚できるんだよね? お願い、助けてぇ」
「んもう、しょうがないわね。貸し一つよ。とりあえず全員、艦内に入りなさい」
「はぁ〜い」
 あやこを先頭に、女性達は身を小さくしながら艦内に入って行く。
 そして艦内に全員入ると、霧絵は悪魔を召喚する。悪魔は艦内の寒気を外に出して、暖気を入れていった。しかし場所が南極なだけに、悪魔の力だけでは全ての寒気を出すことはできない。
 艦は動きを止め、節電モードになっている。――が、それとは別の理由で、艦内はどんどん薄暗くなっていた。
「せっかくお風呂に入ってきたのに、湯冷めしちゃいそうな寒さね」
 あやこは艦内に戻ると自分の部屋で風呂に入り、体をあたためてきたものの、それでも身震いをする。
 次の瞬間、ガタンッ!と艦が大きく揺れて、あやこ達は驚いて眼を丸くした。
「なっ何事!?」
「あやこさん達はここにいなさい! 私が様子を見てくるから!」
 そう言って、霧絵は外に向かって走り出す。
「……どうやら陸に到着したみたいだけど、あまり良い状態ではないわね」
 霧絵の眼に映ったのは、氷の陸の上に作られたテントだ。しかし外は吹雪いているというのに、テントには雪が積もっておらず、そして風に揺れてもいない。まるでテントが作られた時のまま、その場の空間が切り取られているような光景に、霧絵は顔をしかめる。


 一方、艦内でも異変が起きていた。
 温室の木に樹氷がなり、雪女が廊下に現われる。そして死者の姿まで現われるようになり、パニックになっていた。
 その間にも艦内はどんどん温度が下がっていき、暗くなっていく。
「ん〜……。何かもう……眠い、かも……」
 艦長室に移動したあやこだったが、ウトウトしながら机の上に倒れる。顔色は真っ青になり、吐く息は白くなっていた。
「あやこさん! どうやらここはいちゃいけない場所……って、きゃあっ! 倒れているっ!」
 艦長室に来た霧絵は眠っているあやこを発見し、慌てて駆け寄る。そして肩を掴み、グラグラと揺らした。
「こらっ! しっかりしなさい! 艦長がこんなんじゃあ、部下達が可哀想でしょう? 起きなさいよ!」
「う……ん。何で霧絵がそんなこと、言うのぉ……?」
「私にとって、あなたは大事な悪ふざけ仲間なのよ! 死んだらつまらないでしょう?」
 そう言いながら滅茶苦茶にあやこの体を揺さぶるものだから、流石に眼が覚める。
「ううっ……。とりあえず、ここから脱出する方法を考えましょうか」
「眠くなったら、遠慮なく言ってね。次は顔が腫れ上がるぐらいに、叩いて起こしてあげるから」
「絶対に眠くならないから、大丈夫っ!」
 あやこと霧絵はこうして、ここから抜け出す方法を二人で考え始めた。


To Be Continued?
PCシチュエーションノベル(シングル) -
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東京怪談
2014年01月07日

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