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『禁断の契り 』
天谷悠里ja0115

「これより幾度かの夜は私と共にお過ごしください」

 どうしたのだろうと内心首を傾げる天谷悠里(ja0115)を別室へ案内した後、白い少女はそう言った。

 二人が過ごしている部屋に少女たちがやってきたのは、花嫁と何度も夜を重ねたある日のことだった。

 とっさに部屋の砂時計を見る。

 砂が落ちきったことを告げに来たのかと思ったが、砂はまだまだ時計上部に会った。

 ***

 生活に必要な設備は部屋に全て揃っており、食事や飲み物は二人が気が付かないうちに置かれているので、悠里が少女たちの姿を見るのは久しぶりだ。

「花嫁は?」

 共にいた白い恋人が黒い少女に手を引かれてどこかへ行ったのは見ている。

 彼女は黒い少女と過ごすのだろうか、もしくは一人で?

 そんな思いから出た問いに少女が答える。

「花嫁様はより姫として相応しくなるようこちらで導かせて頂いております」

「では、私は女王としてより相応しくなるという事かしら?」

「左様でございます」

 いつもの通り感情の読めない声で淡々と述べると、少女は少しの間を置いた。

 質問をするなら、今して欲しい。そんな間の開け方だった。

「……では、まず支度からさせて頂きます」

 沈黙が場を包む中、少女が深く一礼し、悠里の瞼を手でそっと閉じさせた。

 ***

 手が離れるまではほんの一呼吸分だったように思う。

 手が離れるのに合わせ瞳を開けると、そこは、先ほどまでいた質素な部屋ではなかった。

 石畳のその部屋は礼拝堂の様だった。

 視線だけを周囲に回し、白と黒だけのその部屋はまるでモノクロ写真だと悠里は感じた。

「女王様」

 少女の声にそちらに顔を向けると、そこには、ドレスを纏った少女が跪いていた。

 先程まで見慣れたいつもの白いワンピースだったはずの少女の服は、薄い布を何枚も重ねて作られた白いドレスになっている。

 恋人と契った時、彼女が纏っていたドレスによく似ているな。悠里はそう感じた。

「私に姫の、花嫁の証を頂けないでしょうか?」

「ええ」

 少し視線を動かし、ティアラを手に取ると、そっと少女の頭にのせた。
 まるで当たり前のことを当たり前に行うように自然な動きだった。

「立ちなさい」

 優しい声をかけるとすっと少女は立ち上がる。

 聖母の様な微笑みと共にその指に指輪を通していく。

 指先から付け根に向けて指輪が滑っていくのにつられるように、少女の赤くドレスが染まっていくのが、悠里しか色のなかった礼拝堂に少女が生まれていくようでなんとも言えない気分になった。

 しっかりと指輪がはまると、自分の指ごと悠里の指を口元へ持っていく少女。指先に唇が触れ、そして手の甲にも口づけが落とされる。

 そのまま、視線をあげる少女とその様子を見ていた悠里の瞳が合う。

 うっとりとした視線、頬を赤らめながら、嬉しそうに微笑んでいるその少女の姿、その表情からは普段の彼女は想像できない。

 彼女がそんな表情をするのは悠里が知る限り自分だけ。
「……」

 少女は自分との契りに酔いしれている実感が、無意識のうちに悠里に満足そうな笑みを浮かばせた。

「口づけは花嫁同士だけ、なのよね?」

「それは、そうですが……」

 悠里の言葉に少女の頬がさらに赤くなる。

 恥じらいからだろう、躊躇いながら発する言葉が女王の征服欲と支配欲を満たしていく。

 ドレスや表情のせいだろうか、どこか恋人と重なるその姿が、悠里の気持ちを高めていく。

「いいわ。貴女も私のものにしてあげる」

「あっ、ありがとうございます」

 そう言って女王が少女の胸元に所有の口づけを落とした瞬間、声が上がる。

 その声色に喜び以外の色が混ざっていることを悠里は聞き逃さなかった。

「この後はどうす……いいえ。どうしたいのかしら?」

「……」

 そのまま、腰を抱き寄せそっと囁くと、少女から甘い囁きが返ってくる。

「そう……」

 その言葉を聞きながら悠里は、これから少女と共にする幾度かの夜に、期待と悦びを感じていた。
 

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 ja0115 / 天谷 悠里 / 女性 / 18歳 / 真の女王へ 】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 お久しぶりです。度重なるご依頼、本当にありがとうございます。
 
 官能表現に関してですが、今後は今回の様な感じになると思います。今後、ご縁がある際の参考になれば幸いです。

 お気に召されましたら幸いですが、もしお気に召さない部分がありましたら何なりとお申し付けください。

 今回はご縁を頂き本当にありがとうございました。
 またお会いできる事を心からお待ちしております。
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
エリュシオン
2017年09月06日

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