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『サマーデイズ 』
音無 桜狐aa3177)&セレン・シュナイドaa1012)&ATaa1012hero001)&水上 翼aa3177hero002)&猫柳 千佳aa3177hero001


 台風が過ぎ去ったのち快晴。
 一時期台風が直撃するのではないかと不安を抱えていた『音無 桜狐(aa3177@WTZERO)』だったが、バスの窓の向こうに見える青い空は桜狐の期待を裏切りはしなかった。
「うわー、きれーだなあ!」
 そうバスの窓を開けて体を躍らせる『水上 翼(aa3177hero002@WTZEROHERO)』。
 眼前には見上げる空に負けず劣らず蒼い海が広がっていた。
 その美しい光景にテンションが高まりつつある翼の首根っこをつかまえてバスの中に引き戻す『AT(aa1012hero001@WTZEROHERO)』
「はいはい、落ちたらあぶないにゃ〜、到着まで大人しくしてるにゃ〜」
「げんきだな、子供たちは」
 そうATは『猫柳 千佳(aa3177hero001@WTZEROHERO)』からおにぎりを受け取ってもそもそ食べだす。恐らく海に出たらご飯をのんびり食べている時間はないのではないか。
 そう思ったためである。
「えっと。着いたらまず、どうする?」
 そう『セレン・シュナイド(aa1012@WTZERO)』が問いかけると桜狐は高らかに告げる。
「むろん! 海へ繰り出そうぞ! 水着ももちろん持参済みじゃ」
 そうバスの中で水着を取り出しそうになっていたのでATが止めた。
 盛り上がる一行の中、翼だけがしらーっと視線をそらす。
「そういえば」
 千佳が翼に視線を向ける。
「翼は水着持ってきたの? 家で広げてるの見たことないけど?」
 その言葉にため息をついて、ついに翼は白状する。
「水着、買うの忘れたんだ」
 そしてバスが到着する、バス停でキャリーケースを椅子に会議が始まった。
「えっと先日、僕達の水着は既に買ってあるから……あとは翼さんのだけ、現地購入だね」
 セレンがおずおずと告げ全員の顔を見渡す。
「……水着なぞ何でもよかろうて……。……最悪なしでも……」
「そ、それはまずいよ」
 セレンがあわてて桜狐の言葉を遮る。
「や、裸は流石に困るかなー」
 翼が苦笑いを浮かべた。
「だったら、まずは翼ちゃんの水着だね」
 そうATが両手を合わせて皆に告げる。
「うん、最終的には自分が気に入ったものが良いだろう。元気いっぱい泳ぎやすいのが良さげに見えるけどね」
 一同は海水浴場に併設された水着売り場へと直行。
 翼の水着を選ぶ。
 フリフリの可愛いものから、パレオと上品なものまで沢山あった。
 誰がきるのかわからないが紐のようなものまで。
 それは苦笑いでお断りして、最終的に翼はスポーティーな水着を選択した。
「これが一番動きやすそう♪」
 そうし着後そのまま海に出るために値札を切ってもらっていると、やけに堂々と桜狐が姿を現した。
 パーカーを羽織っているが、不敵に笑うと桜狐はそのパーカーを脱ぐ。
「……ま、せっかくセレンが選んでくれたのじゃ……わしはこれを着てゆく……」
 洋子が身に纏っていたのはオフショルダーの可愛らしい水着である。
「似合ってるよ」
 こうして夏の思い出が幕を開ける。


   *   *

 そして水着に着替えていない面々は更衣室を目指す。
 右手が男子、左手が女子、その男子更衣室に吸い込まれているセレンの背中にATが声をかける。
「……おや、セレン。女の子のふりしてこっちに来れば良いじゃないか」
 そうATはにやにやと笑みを浮かべる。
「セレンさんは確かに一緒に着替えてても違和感はなさそうだにゃー?」
 そう千佳が余裕の笑みをたたえた。
 硬直するセレン。顔がほんのり赤くなる。
「……え? いや皆と一緒に着替えられないよ?」
「……セレンなら別に一緒の着替えでも問題なかろ……? ……今更じゃし……」
 男子更衣室へと一人行こうとするセレンに皆が首を傾げ、桜狐はそうセレンを手招きする、それにセレンはついに顔が真っ赤になり、そして。
「皆忘れてるかもしれないけど僕男の子だよ!」
 そう主張するセレンに笑みを向けながら女性陣は更衣室に引っ込んでいった。
「セレンさんが何処で着替えるでもいいけど、早く着替えて海で遊ぼう」
 そう翼が手を振るので、セレンは頷き。
「すぐもどる」
 その言葉通りにすぐ戻ってきた。
 セレンはトランクスタイプの水着、そして小脇にラッシュガードを抱えている。日焼け防止用の上着だろうか。
 そんな翼の視線に恥ずかしそうに俯くセレン。
「そう言えば、桜狐の水着はセレンが選んだの?」
 翼が問いかける。
「うん、あの水着は結局僕が選んだけど、合ってると思う」
 そう先ほど見た桜狐の姿を脳裏に思い描くとまた顔が熱くなる。
(なんだろう、考えたらドキドキしてきちゃった)
「おまたせ」
 そんな妄想にふけっていたセレンの背後から千佳が声をかけた。大人組も水着を纏っている。
「流石にこれは大胆過ぎたかにゃ?でもたまにはいいにゃよね♪」
 そう千佳がセレンの前でポーズをとって見せる。
 身に纏う水着は水着はATに選んで貰った超大胆なスリングショット。
「ひゃあああ」
 小さく悲鳴をあげるセレン。視線を逸らした先にはATがおり、彼女も彼女で大胆なモノキニタイプの水着だ。
 胸が強調されていて、セレンの心拍をあげる。
「千佳ちゃんと一緒に選んだ水着だが……どうかな?」
 そうセレンに問いかけると、脳内処理が追いつかないようでセレンは金魚のように口をパクパクとさせる。
「あはは、お互い良いものが選べたようで良かった。あぁ、子供チームはあまり遠くまで行かないように」
 桜狐が姿を見せ、全員がそろったことを確認したATはそう全員に告げる。
(……千佳さんもATも目のやり場に困るし)
 セレンは早くこの場から駆け出したい思いをこらえて話を聞いている。
「なんなら皆んなで泳ごうか。ふふ」
 そうATが提案したことをいいことに翼の手を取ってセレンは走り出した。
「あ、泳ぐなら僕、先に行ってるね!」
 そう駆けだしていく子ども組。
 その反応が楽しくて三人は笑顔を向け合った。
 はしゃぐ子供たちを見ながら桜狐はビーチパラソルを掲げ、ATと千佳は椅子をたてていく。
「運動なら負けないよ♪ ほら、僕がいっちばーん♪」
 子供たちは早速水泳競争を始めたようだ。波に戻されてなかなか前に進んでいないのが面白い。
 そんな桜狐の眼前にアイスクリームがさしだされる。
「これは?」
「彼らのおごりにゃ」
 そう千佳が指差す先には腹筋をわった、如何にもなお兄さんたち。
「ふふふ、わしをモノにしたくば火ネズミの皮衣でももってまいれ」
 首をひねる男たち。
「いや、通じないのではしかたがないのう。され」
 そう適当にあしらう桜狐に千佳は残念そうな表情を向ける。
「あー、もったいにゃい」
 その珍事をATは椅子に熱転がりながら眺めている。
 そうこうしているうちに別の男が千佳に声をかけた。
「む、これはナンパとかいうヤツかにゃ?そうにゃね、海の家でご飯おごってくれたら考えるにゃ♪」
 そう海の家につれられる千佳。
 その後彼らの財布が大変なことになったのは誰にも知られていない秘密である。
 ただ、桜狐は保護者でもあるので子供たちから目を話すことはできなかった。
 むしろ浮き輪片手に海に繰り出す桜狐。
 そのまま大きめの浮き輪で海を漂いながら日向ぼっこをする。
「……ぬぅ、暑いのに運動は疲れるのじゃ……。……海に適当に浮いてるだけじゃだめかの……」
 その顔に水が叩きつけられる。
 いつの間にか翼とセレンは水鉄砲を持っていた。
「元気なのはよいことじゃ」
 そう笑う桜狐。
 そんなセレンだったが目を放したすきにナンパされている。
「ほう、火ネズミの皮衣は見つかったというのじゃな」
 そう危ないオーラを醸し出す桜狐に男たちは脱兎のごとく逃げ出した。
「もう、僕男の子なんだけどな……」
 ちなみに翼はナンパされなかった。複雑である。

   *   *

 みんなで訪れる海は、みんなで過ごす時間は、楽しくあっという間に過ぎ去っていく。
 天高く照っていた太陽はいつの間にか地平線の向こうに沈み、子供たちを藍色の光で染め上げている。
 見上げれば一番星、やがて水の中も見通せない闇が。夜が来るだろう。
 そんな中桜狐がてを叩いてセレンと翼を呼び寄せる。
「さぁ。撤収じゃ。晩御飯じゃぞー」
 借りていたのはコテージ。部屋は大部屋が二つ。リビングにキッチンという質素なものであるがパーティーを開くには十分。
「……いつのまに?」
 そう首をひねるセレンの目の前には山のようなおつまみ。
 そして冷蔵庫いっぱいのお酒。
 子供たちが遊んでいる隙に大人たちは晩酌の準備を進めていたらしい。
「さて、子供たちは塩水でべたべたじゃろうて。温泉にでもゆくかの?」
 その言葉に翼とセレンは頷いた。
「みんなはどうするの?」
 その言葉にATは缶を振るってここにいるとアピールする。
「桜狐ちゃん、翼ちゃん、セレンはお風呂へどうぞ。
 ふふ、それでは私と千佳ちゃんも楽しませてもらうとしよう」
 その仕草に頷いて三人はお風呂の準備を整え向かう。
 どうやら天然温泉で海水浴場のお客全員の憩いの場であるらしい。そう全員の。
「なかなか泉質はよいようじゃぞ」
 その言葉にホクホクの笑顔を向けるセレン。
「……楽しみだね。のんびり疲れを癒そうだね」
 そう海が見える温泉ということで期待に胸高鳴らせるセレン。
 しかし、うかうかしていられるのもつかの間。
 セレンは脱衣所で服を脱ぎ温泉へと突っ込むなり後悔することになる。
「わぁ、良い景色だね! 本当に……」
 目の前を素っ裸の翼が駆け抜けていったのだ。
「……なんで!?」
 タオルは身に着けず温泉に飛び込もうとした瞬間。肩を掴まれとめられる翼。
「おうおう、元気じゃなぁ」
 つまりは混浴。桜狐も一応その身をバスタオルで隠してはいるがボディーラインが見えている、またも赤面するセレン。
「……ふむ、混浴じゃったか……。……まあ特に問題なかろ……」
 その背をおして桜狐は洗い場へ誘導する。
「お風呂に入る前に体を洗うのはマナーじゃぞ」
 そう全員で並んで背中を洗いあう翼←セレン←桜狐の順である。
「背中流すの? いや僕男の子……もう良いや」
 翼はもはや体を隠すことも忘れタオルを膝にかけているだけ。一応前は見えていないのだがドギマギするセレン。
 しかも背後には桜狐が控えている。
「……流石にセレンの背中は大きいのぉ……。……よし、次はわしのを頼むのじゃ……」
 桜狐がセレンの緊張など知らぬ存ぜぬで体を翻す。
 長い髪を結いあげて背中とうなじを露出される。そしてセレンに言った。
「さて、洗ってもらおうかの」
「あ……あの、やっぱり出ようかな」
 そう小声でつぶやくセレン、立ち上がると翼にその手を取られた。
「セレンさんも一人で入らないでよかったからちょうどいいんじゃない? 皆で洗っ子しよう♪」
 そう泡だらけの体をぬぐってタオルを手に取る。そして翼はセレンの背中をごしごしとやり始めた。
 目のやり場に困りセレンは空を見上げる。
 空には一面の星の海で。それがセレンの心を癒してくれる。
 時同じくして千佳も夜空を見上げていた。
「宿の夜といったら……酒盛りにゃー♪地酒も一杯買ってきたから安心にゃ♪乾杯、にゃー♪」
 風流とは程遠い、大酒をがばがばとかっくらいながら。
「って、もう飲んでるみたいだにゃ」
 対面ではATが一升瓶を抱えている。地酒が気に入ったらしい。マスで飲んでる。
 とてもいい飲みっぷりである。
「いやぁ、この夜景でお酒が進むというものだ。ここで飲まずにはいられない」
 ご満悦のAT。
 そんな様子を見つめ千佳は微笑んだ。
「にしても、ここあついにゃ」
 そう告げながら千佳は羽織を脱いで椅子に掛けた。
「あぁ、良いお酒だなぁ……夜景も綺麗だし、千佳ちゃんも可愛いし。
 これで花火でもあれば最高なのだが。ふふふふふ。」
 そう告げながらATは浴衣の前をはだける。
「夏は暑い! 暑いなら何も着なければ涼しいのにゃー♪」
 そんな酒盛りも深まり、夜もそこそこの時間。三人が温泉から帰還すると千佳もATもほぼ全裸で眠っていた。
「身体が温まる……じゃなくて暑い」
 うなされるATが身じろぎすると千佳が色っぽい声で呻いた。お互いが引っ付くことでお互いの危ないところを隠している。
「……出たな妖怪ウワバミお姉さん」
 真っ赤になって顔をそらすセレン。
 翼はなれているのだろうか。大人二人を転ばして奥の部屋に押し込んだ。酒ごと。
「お酒飲み始めた時点で予想できた展開だね、これは」
「……やれやれじゃの……。……この二人は相変わらずじゃて……」
 そう二人の頭を撫でる。
 翌日二人は二日酔いにもならずケロッとしていたのが釈然としなかったが。
 子供たち二人にとってはとても思い出深い夏になったようだ。

━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━……・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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『音無 桜狐(aa3177@WTZERO)』
『セレン・シュナイド(aa1012@WTZERO)』
『AT(aa1012hero001@WTZEROHERO)』
『水上 翼(aa3177hero002@WTZEROHERO)』
『猫柳 千佳(aa3177hero001@WTZEROHERO)』


ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 皆さんこんにちは、鳴海でございます。
 この度はOMCご注文ありがとうございます。
 今回は海ということで思い出に残るようなキラキラしたものをイメージして書きました。
 気に入っていただければ嬉しいです。
 それではまた、お会いしましょう。
イベントノベル(パーティ) -
鳴海 クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2018年07月31日

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