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『Before my body is dry』
ミグ・ロマイヤーka0665



 冒険都市リゼリオの一角にある、CAM格納庫。そこでミグ・ロマイヤー(ka0665)は午前8時を告げる鐘の音で目を覚ました。
 ……いわゆる寝落ちである。昨夜も深夜まで作成図を引いていたのだが、途中からぱったりと記憶がなくなっている。
 ミグが見上げる先には、まだ鉄くずの山でしかない戦闘装甲機(Combative Armour Machine)、通称:CAMとなる部品達が転がっている。
 実は、この度新型CAMの開発に関われることになったミグは、どのようなプレゼンをしようかと、様々な角度から検証中なのであった。
 ミグ自身は今まで配備されたCAMや魔導アーマーのその殆どを手に入れ、一通り弄り倒してミグ仕様に改造し扱って来ていた。
 その性能は他の追従を許さず、機導師としてミグの持ち前の能力を遺憾なく発揮し、己さえ部品の一部のように組み込んで扱う様は、CAMの破戒師という異名で噂されるほどなのだ。
 今までにも砲撃特化、飛行特化と様々なピーキー能力を備えたCAMを扱って来たが、そんなミグが今回、アドバイザーとしてどのようなCAMを持ち出してくるか、というのは界隈では話題の一つになっている。
 最も、そんな話題になっているなどつゆほどにも思っていないミグは、ただただ楽しんで試行錯誤を繰り返していた。
 主流はやはり人型にあるが、ゴーレムにあるようなキャタピラーを持たせた戦車型というのも面白い。
 物流を考えるなら船舶型、戦艦型がやはり最有力になろうか。転移門を使えばいいという話もあるが、転移門は覚醒者以外の使用が難しく、覚醒者といえども一日に何往復も出来るような代物ではない。
 それに物流まで覚醒者に任せてしまうのは、一般の人たちの意識を歪めてしまう可能性もある。
 リアルブルーにあるジャンボジェット機型というのは、人も荷物も運べ、何より進んだ航空工学的に最適解の形でもあるため、何よりもCAMとしての速さを求めることが可能になるだろう。
 最近はCAMをもっとコンパクトに自家用車代わりに使いたいという要望も強くなってきている為、そういう方向に特化してみるのも面白いのかも知れない。
 特にリアルブルーではひとり一台車を持っているという地域もあるという。舗道を何処まで広げる事が出来るか、安全性と利便性に特化し、費用と維持費をどこまで下げることが出来るか、というのは一つの課題として面白い。
 もちろん、未だ北への侵攻は続いており、いつまたファナティックブラッドのような脅威が現れないとも限らない。今後覚醒者の数が減っていくことが予想される中、治安維持の為にも戦力整えておくことは必要であることは間違いない。
「……そうじゃな……覚醒者以外でも動かせる物は今後一層必要になるかもしれんのぅ」
 生体マテリアルエンジンに頼らない駆動物としては今も昔も変わらずゾンネンシュトラール帝国の錬魔院が魔導アーマーの開発を一手に引き受けてはいるが、今後より一層その需要は増えていくだろう。
「ふ〜む。どれもこれも興味深いのぅー。絞ることができんのじゃー」
 バリバリと頭を掻いて、ペンをクルクルと回しながらミグは起きて早々から再び思案の海へとどっぷりと浸かっていったのだった。

「……あー……いかん。目が回ってきたのじゃー。今何時じゃ?」
 懐から懐中時計を取り出し見てみれば、もうとっくに正午を回っている。
「24時間以上飲まず食わずというのは流石に身がもたんのぅ。何か口にせんと……」
 立ち上がろうとして、ふらついて、ミグは壁に手を付いた。
「もーこんなこったろうと思ったよ、ひぃばーちゃん」
 聞き覚えのある声に顔を上げれば、確か正月に見た曾孫の顔がそこにあった。
「えーと……?」
「もー、ひ孫そのイチでいいよ。ひーばーちゃんが寝食忘れて没頭するような任務を受けたらしいから様子見に行ってこいってみんなに言われてさー。はい。お茶とサンドイッチ」
 呆れ顔で水筒から注いだ温かな紅茶を手渡され、開いたサンドイッチバッグからは美味しそうなサンドイッチがみっしりと詰まっていた。
「おぉ! これはミグが好きなサラミとゆで卵のサンドイッチなのじゃ〜♪」
「当ったり前じゃん、全部ロマイヤー家代々の伝統レピシだからな」
「有り難いのじゃー、持つべき物は優しい親族じゃのー……んっ、美味い!!」
 曾孫が持って来てくれた紅茶を飲み飲み、サンドイッチを食べ食べ、それでも1人で平らげるには多すぎる量で、半分程度減ったところでミグはお腹を抱えてひっくり返った。
「残りはお腹が空いたときに適当に摘まむと良いよ。サンドイッチなら、片手で食べられるからいいだろ?」
「曾孫そのイチ、そなたはミグの命の恩人じゃよ」
「いや、作ったのは母さんとばあちゃんだから。また仕事が一段落ついたら屋敷の方にも顔出しなよ? じゃ、もうオレ行くからね」
「あ。曾孫そのイチ!」
「……ひーばーちゃん、オレの名前マジでド忘れしてんでしょ? 次逢う時までに思い出してくれなかったらお年玉2倍頂戴ね」
「……あー。すまんのじゃ……じゃなくて。そなた、何があれば生活が便利になると思うか、参考までに教えて欲しいのじゃ」
 曾孫は「んー……」と考えた後、かくりと首を傾げた。
「リアルブルーから色んな物が入るようになったからなぁ……オレは覚醒者じゃないし、確かに鉱物マテリアルエンジンがついた物は便利だけど環境に良くないしなぁ……精霊もこの後減っていくとかいう話しだし、出来れば今ある物がもっと世界に優しい物になれば良いなぁとは思うよ」
「……なるほど、参考になったのじゃ。有り難うなのじゃ」
「んじゃあ、頑張ってね」
 ひらりと手を振って曾孫は来た時と同じくらいの唐突さで帰っていった。

「さて、と……」
 ミグは腕まくりをして図面へと向かう。
 自分より若い子らの為。
 未来を背負う彼らの為。
 この世界の為。

 ミグの設計し、企画した新型CAMはリアルブルーで言う太陽光発電に近い、クリーンエネルギーを用い、また、運動エネルギーを転化することで更に効率良く機体を動かすことが出来るという、全く新しいマテリアルエンジンを搭載した機体だった。
 発表された当初は机上の空論、絵空事、理想主義の無謀作と批判も多く飛び交うこととなったが、ミグは生涯を通じ研究に勤しみ、ついにその完成に漕ぎ着けたと、後の自叙伝に記す事となる。

「がーるずびーあんびしゃす、なのじゃ」
 ミグは今日も格納庫で機体の整備と改造に勤しんでいる。




━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka0665/ミグ・ロマイヤー/女/CAM愛溢れるお年頃】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 この度はご依頼いただき、ありがとうございます。葉槻です。
 大変遅くなってしまって申し訳ありません。

 ミグさんと言えば、CAM。とりあえず新型CAMの開発に関われるとしたら、全力で楽しまれるだろうと書き起こしてみました。

 口調、内容等気になる点がございましたら遠慮無くリテイクをお申し付け下さい。

 またどこかの世界で、もしくはOMCでお逢いできる日を楽しみにしております。
 この度は素敵なご縁を有り難うございました。

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ファナティックブラッド
2020年07月07日

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