第1回リプレイ

クラス対抗模擬店大会Phase1(午前の部)

 学園祭と言えば花形は何と言っても模擬店である。異論は認めない。
 そもそも模擬店のない学園祭などあり得ないのだから。
 普段殺伐とした戦いの中で生きている者達は、今日はのんびり楽しもうと思ってやってきたものも多いだろう。
 だが、彼らは後に知る。
 模擬店もまた戦いなのだと。

 まあ、そんなことを知るのは後で良い。
 模擬店の広がる校庭はどこを見ても輝く笑顔と、美味しそうな匂いが溢れている。
 入口から入って直ぐはA組のエリア。
「は〜い。美味しい焼き立てクレープはいかがですかあ? 自家製クリームを味わって下さ〜い」
 笑顔でくるりと焼き立てのクレープを差し出しているのはミリート・ファミリス(ga8694)。
 その隣ではウラキ(gb4922)がコーヒーの店を出している。
「ブラックからラテアートまで。本格派の味を楽しんでくれ」
 コーヒーとクレープのコンボははっきり言って凶悪である。
「温かくて美味しいですよー。ついでに私の笑顔であなたの心も温めましょう」
 手早くエルディン・バウアー(ib0066)焼くたこやきとソースの香ばしい香りが道行く者達の足を止める。
「明石焼きはいかがですか? 焼き立て美味しいですよ。うわああ〜っ」
 クリス・ラインハルト(ea2004)と六条 雪巳(ia0179)が呼びかけながら笑顔で客に試食を差し出すと周囲に人ごみができる。
「危ないですよ。大偉丈夫ですか? はい。並んで下さい。一列に。順番にお願いします」
 雪巳を支えると列の整理を始める佐久間 一(ia0503)。
「うわ〜、ふんわりとしていて美味しいです〜」
「それもくださいです、こっちもです」
 そんな笑顔の溢れる列の向こうではそろそろ昼過ぎの空腹を狙ってか
「石狩鍋、チゲ鍋、カレー鍋、コラーゲン鍋とイロイロ。_美味いぜ?」
「ささ、本格的中華いかがかな? 一番いい注文を頼む。決して後悔はさせないから」
 志羽・翔流(ga8872)やラサ・ジェネシス(gc2273)など腕自慢の繰り出す腹にたまる料理の屋台も動き始めている。
「おかえりなさいませ御主人様。席に案内しますね」
「‥‥(いじっ)」
「あら、どうしたの? 」
 豊満な身体を揺らしながら接客するウィリアム・ハルゼー(ib4087)を少し、寂しげに見つめるシャンテ・ラインハルト(ib0069)がいるのはメイド喫茶。
「なんでもありません! めげないで頑張るんですから!! はい! いっしゃいませ〜〜!」
 元気なシャンテの声がする。
 まあ、そんなこんなで、A組には、とりあえずいかにも平和的な屋台が軒を連ねてた。

 その真向いはC組が店を出していた。
「はいはい、そこ行くお客さん! 特製焼きそば。食べなきゃ損だよ!」
 符を構えた陽(ia0327)は指を鳴らすと大きな炎を発動させた。
「こら! もう火が強すぎ。焼きそば焦げるじゃない?」
 陽の顔に怯えることなくエイミ・シーン(gb9420)は笑うとその火を抑える様に自らの力を発動させた。
「うわ〜? 雪? 素敵だな〜。ねえ、お兄ちゃん、これ買って」
 和泉譜琶(gc1967)は通りすがりの誰かの袖を引いた。デビルの仮装をしたかわいい少女のおねだりには弱いのか、誰かの手にはもう二皿の焼きそばが‥‥。
「毎度あり!」
「ご一緒にお茶はいかがですか?」
 柄土 仁一郎(ia0058)の手には抹茶緑茶紅茶ウーロン茶。かゆいところに手が届くサービスに丁度喉が渇いたところと周囲からの手が伸びる。
「こちらは牛乳オンリーの模擬店‥‥じゅるり‥‥」
「にゃ−ん!甘い物はいい物だよ〜♪ いっぱい食べてって〜」
 篠原・育美(gb8735)の牛乳カフェや過月 夕菜(gc1671)の猫耳甘味どころもやや怪しげながらも適正価格で、普通に楽しい店に仕上がっているし
「さあさあ、いらっしゃい! 鮪専門店。目玉商品はこの焼き立ての大串。鮪ブロック10個刺し! ぜひ食べてって。刺身にすしもあるよ」
 メアリー・エッセンバル(ga0194)が開店した鮪専門店で
「鮪が売る鮪はいかが? 美味しいですよ?」
 ペケ(ia5365)は鮪の着ぐるみを着て客引きに励み、尾花朔(ib1268)の料理店もその味と美しさから徐々に評判が上がっていっている。
「うわ〜。この野菜細工。凄い。本当の鳥みたい。食べるのもったいなあ」
「喜んでいただけて光栄です。私の料理は至高ですよ。ぜひ、ご賞味下さい」
 時に裏通りの店で
「あの‥‥オススメでも、よろしいです‥‥か?」
「うんうん、貴女にお任せするよ。‥‥‥美味しかった。お勘定は?」
「はい。一万五千円です(ニコッ)」
「うぎゃあああ!!!」
 そんな会話もあったようであるが、おおむね客はなかなかにスムーズに流れているようだった。

 だが、しかし、若干奥に店を配置されたB組とD組はそうはいかない。
「ふふふ‥‥。これは我々への挑戦か!」
 走り出したルュニス(ga4722)だけではない。
「ん〜。お客を集めないといけないから冥華は客寄せやるー」
 道に向かい一人歩きの男性に
「おにーさま?」
 手を引き甘える舞 冥華(gb4521)の後には音無 音夢(gc0637)に天竜寺 詩(mr1762)。天下無敵のメイド集団が集まっていた。
「本日のおすすめは黒部和牛のサーロインステーキのフォアグラのせです。究極の味をお楽しみ下さい。」
 猫耳、猫しっぽメイドの最上 空(gb3976)
「レアチーズケーキはいかがですか? 美味しいですよ〜」
「お客様。お味見していってくださいな」
「さあさ、よってらっしゃいみてらっしゃい! メイドのたたき売りだよ!」
「「違う!!!」」
 ギアス(ia6918)、 龍乃 陽一(gc4336)が春金(ia8595)に声を荒げるが、そんな男女メイドの体当たりの集客作戦が功を制して徐々にBエリアにも人が集まってきていた。
 元より一度人を集めればたい焼きショップに魚料理専門店。綾嶺・桜(ga3143)の巫女喫茶に萌えている大きなお兄さんや素敵な執事喫茶に入り浸っているお嬢様もいる。月見里 神楽(fa2122)のバイオリンの音色も含め人を集める力はあるのである。
 中にはもう出来上がって
「ようよう姉ちゃん。こっちにきて酌でもしてくんな!」
 そんな風に声を荒げた困ったご主人様も現れることは現れたのであるが‥‥そんな客の大抵は
「ご主人様。どうか御戯れはお止め下さい」
 ティナ・アブソリュート(gc4189)の笑顔と拳銃で穏便(?)に沈黙してくれた。
 呼び込みを続ける御影 銀藍(ib3683)の頭上では、放送室を占拠したルュニスの
「え〜〜! B組の模擬店、どうぞ寄って行かないと損。絶対来て下さい〜」
 の叫びにも似た声が響いていた。

 そしてD組。
「まさか、最奥に配置されるとは‥‥最初だから堅実に行こうと思ったのが裏目にでましたか‥‥」
 唇を噛みしめる唯霧 望(ib2245)の手元には執事喫茶室のサービス券が残っている。
「こうなったら、少し派手に行きましょう。B組はメイドが多いらしいですから、こっちはもっと上を行きましょう。そう、バニー大作戦です!」
 そう最初に提案したのは誰であったか。
 とにかくD組の模擬店チームの一部が他の組にはない、統一行動に出たのである。
「いらっしゃいませ。素敵なお客様に給仕できることを喜ばしく思います」
 アルセニー・タナカ(ib0106)が通りすがりの女性に優しく微笑みかける。
 完璧な執事の仕草。だが、その頭上にはバニーの耳が。
「バニー喫茶へようこそ! 今日は私達は貴方の兎です。どうか可愛がってください」
 白漣(ia8295)がお客を誘い跪くとリーディア(ia9818)がさっとおしぼりを差し出した。
 料理を作るのもエプロン姿のバニー。椎野 のぞみ(ga8736)のエプロン姿のバニーが厨房から微笑みかける。
「いかがですか? このもふもふ気持ちいでしょう?」
 バニーなのに尻尾と耳は何故か狐のまま。それを武器にする洸 桃蓮(ib5176)がいたかと思えば、
「おや、かわい子ちゃん。今日はオオカミじゃなく兎だけど、君を‥‥逃がししない」
 執事服のまま後ろからぎゅっと女性客を抱きしめる男性バニーもいる。
お客にしだれかかりながらウインクをしてくる金城 エンタ(ga4154)の赤い顔。
どこか慣れない様子が可愛いと評判のアルエット・カミカゼ(gz0287)
 バニー姿というものは、何故か人の注目を集め心臓の音をドキドキと高める力があるようだった。
「すごいぞ! D組にバニーがいっぱいだあ!!」
「‥‥なに? あいつが、あいつがバニーをやっているだとおおお!」
 A組からそんな魂の叫びにも似た悲鳴が聞こえて来たとか聞こえてこないとか。
 とにかくそんな噂が噂を呼び昼を過ぎるころにはD組の模擬店エリア周辺にも人がたくさん集まるようになった。もちろん、D組の料理や出し物も大きく一役買ったのは言うまでもない。
 バニーに惹かれて集まってきた客を白藤(gb7879)と鹿島 綾(gb4549)のチャイナドレスコンビがもれなく店へと引き寄せる。
「こちらへどうぞ?」
「おにーさん、白藤とこ来やせん?」
 一度呼び込んでしまえば客は確実GETである。
 中でも丁度昼。空閑 ハバキ(ga5172)のカレー専門店は大繁盛であったという。

 午前の部の売り上げ勝負は各組ともほぼ互角。

 模擬店対決と書いて合戦と読む。
 本当の勝負はここから始まろうとしていた。


(執筆 : 夢村 円)


●カオスあんど正統派

「楽しい文化祭だよ。さあみんな楽しもうねっ!」
 チアリーダー、柚月(ia0063)を筆頭にカオスなまでの魅惑集団Aチームが練り歩いてくる。
 上方には超ミニエロシスターの堕姫 ルキ(fa4852)が飛ぶ。男の子達が口開けて見上げてるよ。
「パ、パンツなんかじゃないのよ!見えてるんじゃないわ、見せてるんだからね?」
 南瓜カラーのKV少女は柚紀 美音(gb8029)。
「はいはい、みんな危ないから下がってね〜」
 ゲソレンジャー募集なんて看板付けてウサ耳スク水なんてけったいな装甲を施した本物のKVの前で、褌にはっぴ姿で交通整理をしているのは姫川桜乃(gc1374)。
 いや貴方の胸が見えそうな方が危ないです。はっぴの下に何か着てください。
「あたしは見えないとこでサービスだけど」
 もっと何も着てないのが居たがKVのコクピット内なのでセーフ。風防は塗り潰されました。
 ミヅキ・ミナセ(ga8502)が操縦席でセクシーポーズを取るが、えっと誰からも見えていません。
「これは楽かもしれないです」
 その上にちゃっかり乗って寝そべっている、もふら二匹。チョココ(ia7499)とハイドランジア(ia8642)。 「このチームは何だか女装が多いぞ!さあ、男の娘大好きさんは必見だっ」
 インカムで実況する秋月 祐介(ga6378)の弾丸トークが何事かと関心無かった人まで呼び寄せる。
「呼ばなくて‥‥いいのに」
 恥ずかしそうに顔を赤らめて歩く魔女っ子姿の雪切・透夜(ib0135)。そこがまた可愛い。
 お姫様の格好だったはずの草薙 北斗(ea5414)はいつのまにか侍姿に変わっている。
 バニーさんも居ればメイドにチャイナドレスも。
「パレード中に何度でも着替えるぜ!」
 重い甲冑を脱ぎ捨てたミリー(gb4427)。今度は全身包帯のマミーだ!と思ったら更に脱ぎだす。
「コスプレなら任せろ。脱いでも問題はないんだぜ」
 しっかりと水着は着ていました。押さえていた羽根と尻尾がピョコンと飛び出し。ちょっと小悪魔。
「な、なちゅらるな人達が羨ましい‥‥」
 リン・ファルクス(gc4639)の方を羨ましげに見た沙玖(gc4538)が吹っ切れたのか覚醒。
 瞳を赤くして魔王の扮装に相応しい台詞を連発したが、何を言ったか覚えていない。
 そして一番後ろにはメイド服着てクッキーばら撒いてるバグア(gz0109)も居たが。  見なかった事にしてあげよう。良い子のみんな、約束だ。

 こちらBチームが今、校舎の角を曲がって整然と?行列していますっ!
 おお、なんだか正統派という感じですね。先頭を歩くのはハロウィン風の仮装集団。
 黒い耳に褐色の尻尾、眼帯をしているがこれは美しい吸血鬼、白妙 春幸(ib3180)。
「や、君可愛いね。ほら飴ちゃんだよ〜。受け取ってくれないと悪戯しちゃうぞ」
 制服姿の女子達に笑顔で色とりどりの飴をばら撒き、歓声を受けている。
 すぐ傍には凛々しい銀狼に扮した酒々井 統真(ia0893)。よく焼けた肌に銀がよく映えて。
 キュートな黒猫の衣装を纏ったフェルル=グライフ(ia4572) が寄り添い、沿道に手を振る。
「は、はぐれんなよっ」
 照れて顔を背けながらも、相方の腰をしっかりと抱き寄せて離さない統真。
「そこ、くっつき過ぎだぜ。見せ付ける内容が違わねーか」
 何か知らんけど一緒に歩けと言われたから。朱点童子(ia6471) がぶらぶらと歩きながら突っ込む。
「ところで普段着で来たけど、いいんか?」
 って、いつも通りの格好で充分に。誰がどう見ても烏天狗です。
「わ、私もいつも通りの格好ですから‥‥心配ないと思いますよ」  とっても小さな不審人物。耳付フードにガスマスクで素顔を隠した毒島 風海(gc4644)。
「これが無いと‥‥だって息ができないんです」
「まぁ、いや後ろにもっと怪しいのが居るから大丈夫だな」
 そのもっと怪しいのとはメイプル・プラティナム(gb1539)。
 ダンボール製の雷電がガサリゴソリと動いている。
 動きにくいが妙にロボットっぽくていい雰囲気を醸し出している。
 妙に凝っていて意外と壊れず。光ったり音が鳴ったり、いったいどれだけ細工しているんだ。
「行きますよライディオン。バニシングマグナムッ!」
 ボフッと発射された両腕が飛び、周囲を驚かせるがぶつかる前にワイヤーがピンと張って落下。
「ほえ?のぉうわぁ〜っ!?」  黄色と黒のシーツお化けで歩いていた禊 神寿(ib0975)がそのワイヤーに見事つまづいた。
 当然雷電を引っ張られて倒れるが、観客の目はその後ろから来た魔女っ子集団に向いているので心配ない。
 中央にはヴェールで顔を隠した漆黒のロングウェディングドレス。黒百合を手にした素肌は青黒い。  無言で歩くジェネシス(mr0174)を囲む集団は対照的に元気である。
 ネギを振り振り、でっかい蛙のぬいぐるみを抱えた子。
 ミニスカ魔女がくるくる回り、スカートの中丸見えで側転アクロバット。
「にゃ、はだけちゃうのにゃ〜っ」
 露出が多すぎてポロリもあ‥‥その辺はたれたぬきが大きな身体で視線をガードだっ。
 その横を自走式ステージに乗った魔女が踊りながら先頭まで駆け抜けてゆく。
 最後尾はヴィオリンに笛の楽隊。騒々しい割には全体に纏まりがあったようにも見える。

●獣軍団あんど掃除隊
 次に登場するはCチーム。
「イワンケ殿、さあ参ろう」
 もふもふの金色熊さんを連れて自分は柴犬の着ぐるみに扮したククノチ(ec0828)。
「何かこのチームは獣成分が多くねーか?」
 自前のうさ耳で半獣化した天霧 浮谷(fa1024)。
「そ、そのままだっていいじゃねーか。祭は楽しんだもん勝ちなんだよっ」
「支度が要らないなんて羨ましいわね」
 体操着ブルマにで長い脚を晒した色 愛(ib3722)もうさ耳だがこちらは作り物。
 お色気たっぷり魅惑的だがその手にした杵が物騒で幸い誰も近寄らない。きっと殴られる。
「一応着てますよ〜ほら」
 狼の毛皮を纏った言ノ葉 薺(ib3225)。耳と尻尾はもちろん自前。
 薙刀をぶんぶん振り回し、演舞と称してるがちょっと危険です。
「お揃いだねっ」
 こちらも天然狼な女の子、フィアリス・クリスト(fa1526)。
 ひょいひょいと避けながら‥‥あっ薙刀の先が引っ掛かって服がビリっと。
「危ないにゃっ。これを着れば問題ないにゃっ!」
 着ぐるみ猫をボフっとフィリアスに被せて自分はいつもの魔法少女に戻った西村・千佳(ga4714)。
「これからまだ魔法で変身しちゃうのにゃ〜っ」
「は〜い、獣耳軍団です☆」
 沿道に手を振り振り、ディーロ(ha2980)と鷹峰 瀞藍(ia0201)が歩く。
「完璧に溶け込んでいますね!作戦成功です」
 白虎姿なのはいつもの事、趙 彩虹(ia8292)。今日は西瓜のオプションも付いている。
 あ、ティラン・フリーデン(gz0039)もいつもの格好ですね。
「パレードには音楽が付き物ですよね〜」
 黄色い羽根が生えた三味線の着ぐるみなんて斬新なものが空をふよふよと飛んでいる。
 シフールのリル・リル(ea1585)。
「けもけものテーマだよっ☆」
 即興で奏でる音楽はマーチっぽく。三味線でマーチ!?
 ベンベン拍子を取ってるのに合わせて薺の舞は更に過熱してゆく。
「和の音なら余計に踊りやすいのです」
 後ろの方は血に塗れたのとかでホラーを醸し出してるが、獣集団の統一性は印象が強いですね。

 さてDチームがそろそろやってきますが、どんな格好かな?
「え‥‥何、仮装ってコスプレとは違うのかな‥‥と言っても」
 レオタードにニーソックス。それだけじゃ何だかなと思ったので黒マントも羽織ってみたアセット・アナスタシア(gb0694)。
「これしかないんですけど」
「いいのいいの、何でもいいんだから」
 とにかく注目を浴びて楽しませればおっけー。プレシア・ベルティーニ(ib3541)が陽気に笑う。
「みんな〜こっちだよ〜。プレシアふら〜っしゅ☆」
 恥ずかしい程に響き渡った声に、観衆の目は充分に集まる。
「じゃ、後は任せました〜」
「よく判らないけど、皆さんこっち見てますね〜」
 とりあえず笑顔で手を振るシスター服のゴールドラッシュ(ga3170)。普段着で紛れ込んでしまったようで。
 寺田智之(gz0131)に適当に騙されて放り込まれた人員も何人か居るようだ。
「片っ端から、まぁ‥‥」
 AUKVを纏っているお陰で何とか変な格好は免れた藍紗・T・ディートリヒ(ga6141)。
 両手に持った扇で華麗な舞を。荒々しくも動きは綺麗だ。
「なんか重い‥‥」
 もふらを着込んだイケメン、霧葉紫蓮(ia0982)。
「そりゃ重いですよ、女性をそんなに引っ張っていたら」
 自分は悠々と他の人に抱っこされた人魚姫の白拍子青楼(ia0730)が尻尾をパタパタ。
「色男は大変だね」
 おどけて茶化すピエロは姫君達の間を回り、愉快な動きで列の中を自在に泳ぎまわり、すぐに姿が見えなくなった。
 忍者に十二単、メイド、セーラー、スク水、なんか色々脱いで歩いてるのも居る。
「こらそこ、散らかすんじゃないっ!」
 チームの風紀を取り締まる夏目 リョウ(gb2267)の叱声が飛ぶ。
 言いながらも律儀に服やゴミを拾って歩いている。
「私もゴミ拾い致しましょうね」
 狼耳の執事はラルフェン・シュスト(ec3546)。妻と妹に勝手にコーディネートされたのだが合っていた。
 籠に抱えた菓子を配って歩き、穏やかな微笑みを。ついでに観客のゴミを私が捨ててきますよと受け取り。
 点数では負けても、彼らが通った後には爽やかな空気が残されていた。
 来た時より何か綺麗じゃない?

(執筆 : 白河 ゆう)


白熱!御神輿レース!

 スタートラインに立ち上るのは、荒ぶるエンジンの吐き出すくすんだ排気ガス、ではなく、
 強烈な熱気。それこそ、今年の短い秋を奪い去る程の強烈な冬の寒さの中、
 人の迫力のみで蜃気楼さえ立ち上りそうな程に、こちら御神輿レースの会場は、
 とても暑苦しく‥‥失礼。血気盛んな様子を見せていた。

そんな開幕に華を添えるように、ルーディアス・ガーランド(ha2203)紙吹雪を巻き上げるべく、『トルネード』の魔法を使っていた。
 ‥‥その為に人が吹っ飛んでも、不可抗力なら、まぁ、仕方がないだろう。とは本人談。
 一見反則の様でもあるが、これは演出である。後は、お祭り補正と言う事でご容赦頂きたい。

「あっ、あっ、あっ_あぁ!?待って!乗ってない!」
 頑張ろうと張りきるがドジッて滑り落ち、空回り。
 慌てて涙目で仲間の神輿を追いかける。追いかけるレビィ・ジョーンスタイン(ha2310)には、ささやかながら黙祷を捧げるとしよう。

「ヒャッハァァ!るみる神輿のお通りだぁ!」
 開始早々、ロジャー・藤原(ga8212)が猛然としたスタートダッシュを見せる。
 彼の担いでいる神輿の上には、白瀬留美(gz0248)がポーカーフェイスでちょこんと揺れている。
「担がれてあげないこともないの」
 まんざらでもないのか、本当に特に何も感じていないのかは読みとれない。
 ただ、そんな冷静な彼女の脚元には、彼女を信奉する男性諸君が、こぞって留実お膝元へどうにか入り込もうと、
 必死に神輿を担ごうと、レース以前の勝負が繰り広げられていたりした。
「精一杯楽しみましょう、ね」
 エシック・ランカスター(gc4778)が甘いマスク、更にバニーに執事というおまけつきで留美に微笑みかければ、周りの男どもの顔にぴきぴきと血管が浮く。
 というか、るみるみ人気過ぎてここだけで描写と報告が終わっちゃいそうなのは、画面の前の皆と報告官との秘密だっ。

「テメーら、気合入れろ!声を出せ!足りない分は勇気で補えェ!!」
 そんな神輿の隣を過ぎ去り、伊佐美 希明(ga0214)が飛ばす激情の大号令。
 喝が入って気合いも滾る。祭りのテンションも相まって、担ぎ手は目の前の進路一直線に集中して走っていた。
 桜坂 華途(ib5202)が出鼻で前に出て、桜満開花吹雪を後続に連発しするつもりが、先に紙吹雪と共に巻き上げられたのを尻目にしながら、
 大勢の神輿が突撃していった。


 レースも中盤に差し掛かると、
「こ、こんな格好好きでしてるんじゃないんだから!
 期待のマスコット、げふん。失礼。マウル・ロベル(gz0244)が担ぎあげられた神輿が戦闘集団の一部にいた。  随伴するように、キャスター・プロイセン(gz0204)が、神輿へ
『巨乳女神・萌えマウル神輿』と筆文字で書き記して、神輿の表面に飾っている。掛け声さっきから必死に『萌え!』にしようと叫んでいる。
 熱心な信者達こそそれに乗るが、当の担ぎあげられた本人は真っ赤な顔でヨコシマな視線を送っていた担ぎ手を殴打したりしている。

 そんな神輿の下で、先ほどからやたらと転んで後方の神輿の脚を止めたり、隣の神輿に間違え(ちゃっ)た進路を教えたりしている御崎 緋音(ga8646)
「ドジっ娘じゃないもん!」
 と慌ててフォローすると、懸命な様子につい顔を緩めて許してしまう。
 だが、彼女には天使の様な悪魔の笑顔が搭載されている事を、被害者の男性諸君らは、今や知る由もなかった。

「この順路の矢印を逆に……わわっちょっと待ってください、……やなかんじ……」
 そしてここに、巻き込まれて項垂れる檄征 令琳(ia0043)。自身の神輿のぱわふりゃーに引っ張られてしまった。


 後方では、鯨井昼寝(ga0488)が何やら報告官らしき人物を担いで「うひょーい!」と暴走しまくっている。
 彼女の後日談曰く、『御神輿レース』を『御神楽レース』と勘違いし、たようだ。
 違う。それは違うぞ鯨井昼寝。いや、確かに当報告官も見間違えたが、地球が丸い事に比べれば大したことではない。


「よっしゃあ!景気付けに担ごうぜ!他チームも一緒にどうだい?」
 中盤に差し掛かっても勢いと気合を崩さず、気さくに楽しんでいるのは 桂木穣治(gb5595)
 正装として褌、ハッピ、ねじり鉢巻をデフォルトで装備。勢いよく盛り上がるようにチーム問わず煽ってみれば、
 隣のハルワタート・マルファス(ea7489)もにやりと笑って『セイヤッ!』と高らかに声を合わせる。
 エチゴヤ印の半被に鉢巻ききりりと締めて、締めてる褌はヤギ模様、今回の祭りは祭りは神輿だけでなく、
 担ぎ手の服装もなかなかの見ものだ。

 Letia Bar(ga6313)も、非常に眼福。サラシに黒腹掛、黒股引、捩り鉢巻で神輿の上に仁王立ちする。
「皆、私の前に平伏しなっ!」
「はいっ、一生平伏します!」
「俺が譲るんだ!」
「いや、私の道をお通り下さい!」
「いえ是非俺の前を!
「どうぞどうぞ」
 逆に道を譲りまくりで進路が塞がれてしまうのは如何なるものか。


 そんなフレンドリーさをあざ笑うかのように、他集団ではカオスなサバイバルレースが繰り広げられている。
 オルカ・スパイホップ(gc1882)が某シェアトばりの蹴りを、らっせらー!とどさまぎで繰り出せば、
 米本 剛(gb0843)は小細工なしに自身のでかさと力押しで受け止め、弾き飛び出してゆく。
「祭りは荒々しく、そして力強く行かせて頂きます!」
 そしてそんなフルチャージを、ロックフェラー・シュターゼン(ea3120)が目隠しして逃走。多くの神輿が巻き込まれて障害物となった。

「男共には負けないぞ__それにしても煩い‥暑苦しい‥鬱陶しいっ! お前達、もっと気品を持って走れないのか!!」
 ファリルローゼ(ib0401)がひょいひょいと、まみれ蠢く男どもを飛び越えて神輿を先導する。

 そしてひとつ突出したかと思えば、いきなり神輿の上に立つのはヴァン・ホーテン(ia9999)
「全ての世界に!轟け!ミーの熱き魂! これで味方が一歩リードデス♪_って、皆サンも耳塞いデルー!?」
 突如始まるリサイタル。周りの耳に届くのは、ココアのように甘い囁きではなく、
 カカオ丸齧りの如く苦々しい顔になる騒音。
 中盤のプロトン(集団)のカオスっぷりに、多くの神輿が巻き込まれた。
 後片付けが怖いが、そんなの気にせず楽しむのが祭りだ。


 ラストスパートを迎えると、コース最後の一直線は、疲れ知らずの気迫で満ち溢れていた。
 月森・ミューカ(ga4776)が元気にゴールでチアガール衣装に身を纏い応援している。
「って今、もっとスタイルの良い奴じゃないと‥とか言った奴誰だー!」
 ごめんなさい。

 そんなミューカと色々と裏腹なフィオ・フィリアネス(ga0124)が、戦闘集団の一部に差し掛かる。
「女の子でも神輿の華になれるんだよ☆」
 戦闘神輿を担ぎ、未だ残り少ないとはいえないライバル神輿の激突時は必殺技、<人間緩衝(完勝)材>を用いて、
 外縁部の人の衝撃を受け止めていく。

「わっしょいってのはな……我ら一緒、って意味なんだ」
 黒川丈一朗(ga0776)が、最後まで堅実に。年長者らしくまとめ役として行動し、脇棒から目を配っていた。
「焦る事は無い、だが皆して一丸となれば目の前の勝利はかならz「あたしの前を走るんじゃぬぇぇぇぇぇぇっ!」
 額に汗を浮かべながら、懇々と味方に説いていた大人な丈一郎の神輿を、弾きだすように爆走する朱麓(ia8390)の神輿。
 御江戸下町堀切菖蒲、喧嘩仕込みの祭り魂も、淡く散りゆくのだった。

 エドガー・リュー(ib4558)は、開始と同時にただひたすら、力の限り、ゴールへ向けて突撃していた。
 ここまでスタミナを切らさずに、妨害も無視、応援は力に変えて突き進む。
 脇目も振らず、力の限り、気力の限りの突撃してきたのは、やる気と気合の鑑だろう。

 そんな熱気の裏に流れる涼やかな風邪の様に御凪 祥(ia5285)の神輿が進む。
 序盤を抑えたのは正解だ。カオスに沈んだ前方の集団を乗り越え、さり気ない妨害も加えつつ、静かに確実にゴールを捉える。

 ケイシス・パール(1217)の神輿をその後を追いかけるように、
「こういうのは細けぇ事は考えずに勢いでやるもんだよな! 手は離さねぇようにだけ注意して、猛進するぜっ」
 滾る血に正直に、わき目も振らずがーっと突進してゆく。

 並んだのは、明王院 浄炎(ib0347)の神輿だ。
 体躯で見栄えさせるように、花棒(先頭)のに立つ彼女の神輿は実に迫力が際立って見える。
「神輿は神を祀り運ぶ輿、担ぎ切らぬなど不敬は出来ぬのでな」
 中盤で多々なる不敬が御座いましたが、ご配慮痛み居る次第で御座います。


 さぁいよいよゴールまで50mと言ったところか。
 サンダーソニア(ia8612)の神輿と、夜十字・信人(ga8235)の神輿が並んでデッドヒートを繰り広げている。  こういうのは派手にやるもんだよね、とサンダーソニアが体当たりをかませば、信人がガーディアンの意地で真っ向から受け止める。
「『力こそパワー』、名言だね」
「‥‥同感だ」
 無言、無表情でただ静かに進軍していた信人が初めて口を開き、鍔迫り合い並みの神輿の攻防が繰り広げられる。

 そんな彼らの横を、レティ・クリムゾン(ga8679)が涼しい顔で通り過ぎてゆく。
「勝ち負けは二の次。まずは楽しもう」
 と数分前に言っていたが、ちゃっかり漁夫の利を狙うのは、隙の無い知謀である。

 レティの追う先には、バーナード(ga5370)の神輿。
 ひたすら、がむしゃらに、スタートからゴールまでワッショイと声を上げていたため、
 既に声が掠れているが、その懸命さと熱さは、まさに祭りにふさわしい姿だろう。
 そんな彼の腕には、犬坂 刀牙(gc5243)が妨害目的で噛みついたようだが、
 気にも止められずラストスパートをかけているので、噛みついたまんまぷらんぷらんしていた。

 ゴールテープ手前、褌に法被姿で鼻棒を担ぐ、巳沢 涼(gc3648)。神輿は絶対離しはしなかった。
「筋肉最強ー!」
「こいつぁ筋肉革命だー!」
 実に元気な担ぎ手達、並ぶ隣の神輿に向けて、最後の必殺技を放った!
「あーっ?!」
 ‥‥相手の足元を指差し気を逸らすという、実に姑息な技だった。
 が、
「みんな頑張れ、この勇気の旗の元で!」
 神輿の上から聞こえた、天河 ふしぎ(ia1037)の一言。
 ゴールまで懸命に振り続けた応援旗、張り続けた声。もはや、小細工など通用しない団結力を見せていた彼らが、
 このレースのゴールテープを切ったのだった。

 かくして、白熱!御神輿レース!の勝敗は決した。
 だが、勝敗に変えられない、なりふり構わず馬鹿をした後の心地よい疲労は、
 得てして常に、頑張った者達が勝ち取った賞品なのだろう。

(執筆 : 墨上 古流人)


BANG!射的対決!

 模擬店の喧騒からやや離れたところに設けられた射的会場。
 ここにも一攫千金? もといレアアイテムを求めて大勢の学生が押し寄せていた。
「いいですかー。弾は1人5発、ただし一度でも外したらその場で失格でーす。ゲットした景品の点数でチームの勝敗が決まりますから、がんばってくださいねー」
 学園祭実行委員の説明も、皆聞いてるんだか、聞いていないんだか。 「射的ブースはなんとなーく、近未来系、和風幻想系、よろずにわかれてまーす。それぞれお手ごろな的からレアアイテムまでご用意してますので、覗いてみてくださいねー」
 何だそのコミックイベントのジャンル分け的なノリは。
 まぁそれはともかく。
 参加者は皆、受付でライフル模擬銃とメトロニウムの弾を受け取り、思い思いの獲物を求めて散っていったのであった‥‥。


●ロボから美少女まで! 近未来ブース
 目玉は等身大マウルフィギュア、ミユ社長の抱き枕が、目玉商品として燦然と輝く。
 その下に控えるのは、下着まで精巧に作られたKV少女フィギュア、144箇所フル稼働のKVフィギュア。  さらには絶対にアイテム化はされないであろう各種NPCのフィギュアまでが、お手ごろ商品として混ざっている。
「くず鉄王のフィギュアだと‥‥!」
 比較的狙いやすい点をつけられたブレスト人形とくず鉄ロボに、鋼 蒼志(ga0165)、Lynx(gc5200)がそろって狙いをつけた。
「恨みで命中率アップだ! 我らが恨み、その身に受けろォー!」
「最早落とすよりも破壊だ! 受けろヘッドショット!!」
 周囲のギャラリーからの応援を受け、渾身の一弾を発射! 見事ゲット、もとい破壊。
「ねえねえお兄ちゃん、あのお人形ほしい」
 その横で星月 歩(gb9056)は同行している兄、麻宮 光(ga9696) に、NPC人形をおねだりしていた。赤いワンピースに妖精の羽根がついた女の子のフィギュアは、お手ごろな点数の割には可愛らしい。
「えっ‥‥俺にあれを撃てと言うのか‥‥」
「ほしいほしいほしいー!」
 かわいい妹を泣かす(泣き真似)光を、周囲の冷たい視線が苛む。
「くっ!」
 逡巡の末、発射。しかし弾は逸れた。歩に謝りつつ、ほっとした表情を浮かべていたりして。
よく見ると、「的」に思い入れを抱いている者は他にも大勢いた。
「マウたん! あたしには撃てないッッ!!」
等身大マウルの前で切なげに悲鳴をあげる鷹代 由稀(ga1601) も、その1人だ。もっとも彼女はちゃっかりと144箇所稼動KVに的を絞りなおし、いくつかを入手していた。
そんな中、勇姫 凛(ga5063) の狙うのは。
「凛の狙い目は、チェラルの写真ただひと‥‥って、別にそんなつもりじゃないんだからなっ! べっ、別に凛、チェラルのフィギュア取りに来たわけじゃ‥‥」
NPCフィギュアの中では大きな点数をつけられた、チェラルフィギュア。なんと寝顔の生写真付、マニア垂涎の逸品である。しかし物欲センサーは、オンイベでも働くのがお約束だ。
「くぅ‥‥バグアさん人形‥‥!」
グギギ。彼は彼で人気なので、かわいがってやってくれ。グギギ。
一方、アヤカ(ga4624)は的にこだわりなく、質より量大作戦。
「ロッタとか有名なキャラの人形を確実に落としていくニャ! 沢山落とすのニャ〜☆」
 知名度はありつつもブレイクには至らない人形を狙い打った。他には例えば、カッシングとかスチムソン博士とか、故・ピエトロさんとか。ある意味隙間産業の勝者である。
 隙間産業といえば、エナ・ルィプ(gb8318)の狙うものも妙だった。
「次はあのマッスル像を…!」
 がんばって狙う様は愛らしいが、ゲテモノ狙いなのだ。カプロイアの銅像肌色エディションを、何に使うというのか。
 おっと硬派に、フル稼働KVを狙うものもいた。リンクスを狙う張 天莉(gc3344) もその1人である。
「アレはまるごととらさん! くろとら☆すないぷで狙い撃ちますよ♪!」
おっとここでも物欲センサーが発動。獲れたのはリンクスのねん●●いどだ! それはそれでかわいい。
「ご照覧あれ、これが天上天下の曲芸撃ちだ」
 蒼河 拓人(gb2873)の派手なアクションに、観客がおお、とどよめいた。狙いはKV少女フィギュアだったりしたが、彼は邪な気持ちではなく、単に点数の高いものを狙ったのだ。そうなのだ。多分。
 ツァディ・クラモト(ga6649) はNPC美女の顔にターゲットを定めていた。有名どころを次々落とし、オリム人形を狙う。
 射! だが。
「オリム中将の顔は無傷…!?」
 中将の厚化粧は、メトロニウム弾さえもはじき返したのだ!!
「まずいな、巨乳フィギュアが狙われている。これ以上減る前に保護せねば」
 自らも巨乳のL45・ヴィネ(ga7285)が、焦りながらもリネーア人形に照準を絞る。
「巨乳は保護対象だ、そうだろう? 巨乳はステータスだ!」
「冗談じゃないわ! こちらフィアナ!目標を狙い撃つ!」  ひんぬ‥‥もとい、つつましやかなバストに秘めたるは熱い闘志。フィアナ・アナスタシア(ga0047) がヴィネの的に向けてショットを放った!
 これはまさに、巨乳と微乳の代理戦争! 結果は−−。
「はい、ふたりともバグアさん人形ねー」
グギギ。引き分けだ。


●もふらかわいいよもふらブース
 さてこちらは、和風な景品が並ぶブースである。目玉は直径2メートルはあろうかという特大もふら様。そして細部まで精巧に作られた人妖フィギュア、144箇所稼動竜フィギュア。
 その下に控えるのは、抱き枕サイズのもふら様、ジルベリア渡来の品々のレプリカ。
 そしてこちらも、絶対にアイテム化はされないであろう各種NPCのフィギュアまでが、お手ごろ商品として混ざっている。

 皆が品定めをしているなか、燦然と銃を構えたのは蘭 聖夜(ib4030)。
「ふっ、シノビの僕に射撃をやらせるとはチャレンジャーっすね。腕前にうっとりして惚れちゃイケナイっすよ?」
 言うだけのことはあり、抱き枕もふら様をゲット。いい夢見てくださいね。
「もふら! もふら!!」
 スティルス=マグヌス(ib2186)の狙いは、もふらぬいぐるみの全種類制覇だ。残念賞の手乗りサイズから目玉の直径2メートルまで、その種類は10種をくだらない。
「よし! クッションサイズゲット‥‥」
「めぇ…もふら、さまぁ…(めそ)」 めぇっ♪かわいー…のっ♪…もふら、さま…っ!」
と、弾を撃ちつくし、しょんぼりしている小野 灯(ia5284)の視線に気づく。
「ほら」
「え、でも」
「クラスも同じだ、くれてやる。も、もともと大して興味はなかったんだ!」
 そして取ったばかりのそれを強引に押し付けた。何気にいいやつである。
 それにしてももふら人気は、とどまるところを知らない。 「もふらのぬいぐるみ…!これはゲットしなくてはな」
 何が 飛翔(ia7513) を駆り立てるのか。開拓者は真剣なまなざしで、銃の照準を特大もふらに合わせる。
 しかし物欲センサーはここでも働くわけで。
「はーい、ジルベリア武器引換券でーす」
「えええええ! 羨ましい!」
 先刻からジルベリアモノを狙い続けていた浅井 灰音(ia7439) の前で、券を受け取るのだった。ちなみに灰音の戦利品は、もふらもふらもふr(ry。
「どうでしょう、点数はそのままで賞品だけ交換ってのは」
「悪くないな」
 ピピー。だめもふー。
 とはいえ皆が皆、もふらに心を奪われているわけでは、もちろんなかった。
「わ、甘味がある♪ 甘いものいっただきい!」
お手ごろ賞品にラインナップされた、各種甘味に目を輝かせるのは天宮 蓮華(ia0992)。食べられる本物の他、武器や装備につけられるミニチュアも、もちろん射程距離だ。
「甘味狙い撃ち!」
「なにこれ楽しそう! 大きいのは難しいから、ちっちゃいのを確実に狙っていくよ。狙いをつけて‥‥」
堅実に狙う俳沢折々(ia0401)以外、目だったライバルが少なかったせいで大漁。2人ともホクホクである。
 そしてそして、隣の近未来ブースほどではなかったが、こちらにも人間フィギュアを狙う開拓者はいた。
「興志王フィギア…?恨みはらさでおくべきか!爆発しろ、主砲発射!」
 いつぞやの戦いの苦い想いを、メトロニウムの弾に込める新咲 香澄(ia6036) 。
「あらあら、面白いものがありますね〜。ゼロさんのフィギュア‥‥えいっ」
 居並ぶ男性フィギュアの、何故か急所ばかりを狙い撃ちする猫宮 京香(ib0927) 。的の真ん中あたりなのでなかなか倒れないが、それはそれで構わないようだ。
 開拓者なら誰でも抱く黒い情念を、的にぶつける鹿角 結(ib3119)。
「見つけた‥‥。鍛冶屋と万商店の暁さんの人形‥‥ふふ、くず鉄と外れ籤の恨みという訳では‥‥百発百中、狙います!」
 思いは人それぞれ、好みも人それぞれ。
「や〜ん、超可愛いし、いただき!!」
 アーニャ・ベルマン(ia5465)が、誰も狙わない激グロアヤカシフィギュアをゲットしてご満悦だったとしても、本人が幸せならそれでよいのだ。多分。


●色々あるよ! なよろずブース

 さてこちらは、様々なアイテムをごっちゃに集めたブース。
「これ、要はショップや万商店の在庫処分…」
 何を仰いますか胡蝶(ia1199)さん。違いますよ! 選りすぐりの逸品だけを集めたプレミアムイベントですよ!
 おっといけない、ヘンな汗がでてしまいました。
 それはさておき。
 こちらも傭兵や開拓者問わず、大勢の参加者でにぎわっていた。 どちらかというと景品ゲットよりも、競技としての射撃に興味のあるものが集まっているようだ。スワンレイク(ia5416)ものひとりである。
「白鳥の一撃、魅せてあげますわ!」
 びしっと決まった体勢から、華麗なフォームで一撃。メトロニウムの弾が明後日の方向に飛んだとしても、彼女には些細なことなのだ。
「素敵なお嬢さんだ! この勝負、全力をださねばなるまい! 君のハートにバキュン! 君への贈り物をゲットするよ!」
 隣のレーンに立つ来栖 祐輝(ga8839)が、スワンのハート‥‥じゃなかった、目標物に狙いをつけた。しかし彼もノリを追求するタイプらしく、よりによって純金のカプロイア(ビキニ版)などを取ってしまったりした。スワンが辞去したのは言うまでもない。
 その横で
「お、あのスパスパ(煙管)欲しいな」
 みつき(gb7893) は手堅く、お手ごろ景品をゲット。何気にこのタイプが一番高得点をゲットしそうだ。
 そう、このブースは他のブースよりも、勝負にこだわる者が多かった。
 例えば天刃・零音・ルナフィール・AX(mr0902) は、複数の触手を駆使して、5挺のライフルで乱れ撃ちを試みるし、
「距離、湿度…条件は揃った、さぁ撃ち抜くのダー」
レベッカ・マーエン(gb4204) は科学的な分析を元に編み出した「奥義・跳弾ハエ叩き」を炸裂させる。
 弓亜 石榴(ga0468)に至っては
「やっぱ勝ち負けよりも面白くしないとね♪」
 勝ち負けより、とかいいつつ敵チームの女子に近寄り必殺技「瞬間強制脱衣」を繰り出す始末だ。いやアンタ射撃とそれ関係ないじゃん、とかアンタの趣味じゃんとか言ってはいけない。むしろよくやった。GJだ!
 そうこうしているうちに、ここもだんだんカオスになってきた。
「愛と正義と真実をその眼に焼き付けるがよいでおじゃる。詐欺マンファイアー!!」
 何故か後ろ向きに銃を構え、そして尻を出して噴出する火で的を狙う詐欺マン(ia6851) 。
 尻火攻撃を全身で受止める佐渡川ススム(fa3134) 。射的の的に紛れて盾になり、対戦相手の弾から景品を守るという作戦が、ある意味裏目に出た格好だ。男の尻を見ながら炎に焼かれる心中は、いかほどだっただろうか(ほろり)
「よくぞこの俺を倒した。だが、俺が死んでも第二、第三の‥‥」
 いや、多分誰も続かないと思う。
 ただ、良識派も幸い混ざっており。
「まったく‥‥逃がしませんよ? そこに土下座なさい」
エグム・マキナ(ia9693)が2人を説教。とりあえず風紀は守られたのだった。
(いや、佐渡川くんは被害者の気もするけどね!)



 そんなこんなで。
 チーム対抗などどこ吹く風、それぞれの願いと思いが炸裂した射撃大会はひとまず幕を引いた。
 各チームの得点や順位については、ここでは語らない。
 それよりももっと大事な何かを、参加者は掴んだはずだから‥‥!!

(執筆 : クダモノネコ)