初めての「殺人」は１２の時だった
言葉を習うよりトリガーの引き方を学び
九九を覚えるより総合格闘術を覚えた
戦争の歴史より戦争の戦い方を学び
愛する心より戦う意志を鍛え続けた
気付けば、金も地位も手に入れた
ゴミ捨ての掃き貯めみたいみたいな状況で、一端の将兵になった
失った物は数有る
時間、仲間、感情
擦り切った中で、オレは
彼女に出会った
日本から来た彼女は、オレに感情を、文化を、精神を、「人間」って事を教えてくれた

ああ、確かにあの時、オレは間違いなく「救われていた」のだ

ある日だった
撃退士到達ルートの構築、並び撃退士を援護しつつの悪魔の追撃任務

それが今回のオレの部隊の任務
追い詰められた悪魔の退路を塞ぎ、息の根を止める
それだけの任務
撃退士でない以上、細心の注意は払った

だが、予想以上の出来事
増えるディアボロ
増える対処
混乱とする戦場
そんな中で、オレは彼女を失った
いや、すべてを失った
仲間も、恋人も
全て――――
なのに、生きている
これは、オレに対する罪なのだろうか
天使の元締め、ならび悪魔を生み出す元であった神がいるとすれば
ならば・・・オレは、神を殺す
必ず、殺してみせる
そしてこれ以上、悲しみを作らない

それが、オレの彼女に対する、唯一の謝罪だ

・・・・・・・・彼女の遺言は恐らく果たせないからな