マリア 〜画家の卵モーリス〜
|
■ショートシナリオ
担当:天田洋介
対応レベル:フリーlv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 84 C
参加人数:6人
サポート参加人数:7人
冒険期間:08月05日〜08月13日
リプレイ公開日:2007年08月12日
|
●オープニング
森の一軒家、アトリエの主である宗教画家ブリウはいなかった。
留守を預かっているのは、画家見習いの青年モーリスだ。
部屋の床にはたくさんの木板が転がっている。すべて描かれていたのはマリアの絵である。ルーアンにあるカトナ教会に頼まれた宗教画を制作していた。
モーリスは、あるだけの木板に恋人のローズをモデルに下絵を描いた。気に入らないものは表面を削り、再利用する。
そんな事を繰り返し、ようやく納得のいく下絵が出来上がる。さらに時間が費やされて色が重ねられてゆく。
家の戸を閉め切り、昼間でも部屋をわざと暗くしてランタンや蝋燭の灯りだけで描いた。飾る教会での発色を考えてである。師匠のブリウに教わった方法だ。
「できた‥‥」
慈愛の微笑みを浮かべるマリアの絵が出来上がった。
カトナ教会の納期までには一週間ある。ルーアンまでは遠いが何とか間に合うはずだ。
天窓の隙間から太陽の光が部屋の片隅に差し込んでいる。昼間だと知ったモーリスは、久しぶりに外に出た。
草木の輝く緑がとても眩しく感じられた。
「そういえば、ローズが来るとかいってたような」
モーリスは数日前にローズと約束していた。ずっと部屋に籠もって描いていたので、何日過ぎたのか確かではなかったが、それでもローズが来ていておかしくないぐらいはわかった。
モーリスは突然、胸騒ぎに襲われる。この前ローズが来た時に、預言とかでパリがとても大変だといっていたからだ。
モーリスはいつもローズがやってくる森の道を歩いた。一時間程度で森の外に出る。とにかくいける所までとパリに向かって歩く。ローズが住んでいる村はパリ近郊にある。
森のアトリエからパリまでは馬車で一日かかる。歩いていくならばゆうに二日はかかるだろう。モーリスの足だとそれ以上かかるかも知れない。
一度アトリエに戻って用意してからローズの住む村に向かおうと考えるモーリスの耳に弱々しい馬の嘶きが届く。
周囲を探してみると、一頭の馬が倒れていた。酷い怪我をして手の施しようがないのだが、モーリスはたてがみの色と形に覚えがある。たまにローズが乗ってくる荷馬車の馬にそっくりだ。
「まさか!」
モーリスはさらに周囲を探した。そして壊れた荷馬車を見つける。ローズのものに違いない。
「ローズ!」
モーリスは長く伸びる雑草の中にローズを発見した。
「モーリス‥‥なの?」
ぐったりとしたローズをモーリスは抱きかかえる。酷く殴られた様子が窺える。手足の皮膚の一部も剥がれて痛々しい。
「ゴブリンが何匹か襲ってきて、それで‥‥。反乱軍なのか王宮の方々なのかわからなかったけど、騎士姿の人達が近くを通り過ぎて、それに驚いてゴブリンは逃げていったの。でも足が折れたみたいで、動けなくて‥‥」
「身体に障るから、もう話さなくていいよ」
モーリスは探してきた枝をローズの右足に添えて、破った上着で縛りつける。そして背負って森のアトリエを目指す。ひ弱な自分を呪いながら。
ようやくたどり着き、ローズをベットへ寝かせる。ローズは怪我の他に熱もあるようだ。
モーリスは途方に暮れた。
ローズを医者に診せなくてはならないが、移動手段のないモーリスに運ぶのは無理だ。
医者を連れて来るとしてもパリまで片道二日はかかる。パリで馬車が借りられたとしても最短で往復三日はかかる計算だ。その間、ローズを一人で放っておく訳にはいかない。
出来上がった絵をルーアンまで運ばなくてはならないモーリスであったが。
「絵の事は忘れよう‥‥。とにかくローズを助けるのを考えないと」
モーリスは小川から水を汲みながら呟く。アトリエに戻ると庭に一両の馬車が停まっていた。
●リプレイ本文
●不幸中の幸い
「み、みなさん!」
モーリスは馬車から下りてきた冒険者達に駆け寄った。
「モーリスお兄ちゃん、お久しぶりだね。ローズお姉ちゃんはもしかして来ているのかな? ‥‥どうかしたの?」
「その表情、どうかしたのだぁ?」
明王院月与(eb3600)と玄間北斗(eb2905)はモーリスの様子に首を傾げる。
「モーリスさん、ゆっくりと話すのです」
クリス・ラインハルト(ea2004)が慌てて何をいっているかわからないモーリスを落ち着かせた。
どうやらローズがゴブリンに襲われたらしい。冒険者達はブリウから預かった荷物を降ろすのも止めて、全員が森の一軒家へと入る。
「こらっ卵のモーリス! しっかりなさい!」
ポーレット・モラン(ea9589)は極度に気落ちしているモーリスの前で両手を腰に当てて立った。
「アンタの所為でもローズちゃんの所為でもないんだから‥」
ポーレットはモーリスの聞こえない程度の小声でぼそっと『少しは浮かれてた‥とは思うけどぉ〜』と呟いた。
ポーレットは荷物運びのついでに友人二人をモーリスの絵を一緒に観ようと誘ったのだが、それがとても幸運であった。二人は治療に役に立つ魔法を覚えていたのだ。
ローズがベットに寝かされていた。
「アタシちゃん達白の教徒が初期治療をやるわ〜。まずはセレストちゃんお願いねぇ」
ポーレットが頼むと、セレストはアスクレピオスの杖を手にして診断し、ピュアリファイで傷口をきれいに消毒をする。折れた足に添え木を当て直した。
「続いてはアタシちゃん〜」
ポーレットはリカバーを唱え、ローズを回復する。
「アメリアちゃんは傷をお願い〜」
アメリアがクローニングを唱えた。剥がれた皮膚はすぐに再生されないが、二日程安静にしていれば元通りになるはずである。
アメリアは庭に生えていた薬草を摘んで明王院に渡す。どう使えばいいかを教え、足りなくなった時を考えてポーレットに植物の絵を描いてもらう。
「絵に興味があって来訪したのだけど‥、また今度にさせて頂くわ」
セレストのベゾムにアメリアも跨り、暗くなりかかった空へと飛んだ。二人は強くベゾムに掴まって全速力でパリに帰っていった。
「他の病気にもかかっているかも知れません。私はパリへお医者様を呼びに行きます」
朧虚焔(eb2927)はローズに高熱があるのを知って用意を始めた。まずは馬車の荷物の降ろしを手が空いた者全員で済ませる。
「御者と一緒に俺が馬車に乗ってパリに向かおう。ゴブリンが出たら大変だからな」
アレックス・ミンツ(eb3781)は韋駄天の草履でパリに先行して向かう朧を見送った。先に医者を探してくれるという。アレックスは馬車で事故を起こさないようゆっくりと向かう事にした。
「悪い予感がしていたのが当たってしまったのだぁ‥‥」
玄間は明王院と顔を合わせる。
「ブリウさんがボク達を派遣された事、何か天啓があったのかも知れませんです‥‥ブリウさんといえば絵ですけど、マリア様の絵はどうなったのですか?」
クリスはベットで休むローズに付き添うモーリスに話しかける。絵は出来上がったのだが、ローズがこんな状態では届けにはいけないとモーリスは呟いた。
「だめよ、モーリス。ブリウ師匠は‥信頼を教会から得ているからあなたに任せたけど、初めての‥依頼を受けたあなたは‥‥自分で絵を届けなければいけないわ」
「その通りだけど、今のローズを置いては行けない」
モーリスはローズの毛布をかけ直してあげる。
「ローズさんがアトリエ通いするきっかけ、ボクが提案したですから、凄く申し訳ない気がします‥」
半泣きのクリスの言葉にローズが首を横に振った。
クリスと玄間はモーリスを別の部屋へと連れてゆく。
「絵はボクと玄間さんがルーアンに届けに行きます。モーリスさん。貴方はこの場でローズさんの明日を守ってあげて欲しいです」
「絵はおいら達に任せるのだ。絵の取扱いも、御届け先もこの間行ったばかりだから大丈夫なのだ」
二人の申し出にモーリスは感謝するが、とまどいもしていた。
「絵とクリスさん位ならおいらでも守れるのだ」
玄間が力強く自分の胸を叩く。
「‥‥頼みます。よろしくお願いします」
モーリスはアトリエ部屋から絵を持ってきて玄間に渡した。モーリスはクリスにすすめられてカトナ教会司教宛ての手紙を書く。
クリスはモーリスのサインが書かれてあるのを確かめてから封を閉じた。続いて介護に使って欲しいとアスクレピオスの杖を明王院に貸す。クリスは旅立ち前に夜十字に『らしくやれ』といわれたのを思いだして気を引き締める。
「これで急な雨にも耐えられるのだ」
玄間は絵を毛布で包み、さらにテントの麻布で包むと、明王院から借りた馬の金剛にしっかりと固定する。そして手綱を持って誘導しながらクリスと夜の森へと飛びだした。
セブンリーグブーツを履いた二人は、枝葉の隙間から差し込む月明かりを道標にしながらパリに向かった。
●パリ
深夜に朧はパリに到着した。
夜間の野外移動はとても危険である。朧も何度か転倒し、とても憔悴していたが、休んでいる暇はない。
「少しでも早く」
朧は医者探しに静まった市街を奔走する。ジーザス教白教会と関係の深い医者をセレストから教えてもらっていた。推薦状を手にして医者の家を訪ねまわる。
パリで患者を抱えていたりして、なかなか見つからなかったが、ようやく一人の医者が承諾してくれる。老翁の医者であった。
予備のセブンリーグブーツで医者に同行してもらうのも考えたが、年齢から考えても無理はさせられないと朧は判断する。
明日の朝方に呼びに来ると医者と約束してこの場は立ち去った。アレックスが乗った馬車は明日の朝には到着するはずだ。ポーレットと明王院の看護を信じ、明日に備えてパリでの寝床で睡眠をとる朧であった。
クリスと玄間も朧から遅れてパリに到着する。
船着き場にいってみるが誰もいない。船へとかけられる渡り板も外されていて、出来る事は何もなかった。
たった一人、道に寝転がる酔っぱらいを見つけて訊いてみると、日が昇ると同時に出航する船がたくさんあるという。
クリスと玄間は船着き場のすぐ近くでテントを張り、朝になるのを待つことにした。
●モーリス
二日目、昨晩から交代でローズの看病は行われていた。
何かと必要になる水は小川から明王院とモーリスが運んだ。
一軒家の上空では明王院の鷹の玄牙、地上では玄間が置いていった忍犬の五行が見張っていた。実際の危険より、ローズに安心を与える意味が大きい。
明王院は消化の良いシチューを用意してローズに食べさせる。ブリウの荷物の一部にはモーリスを食生活を心配してか、食材が含まれていた。
「少し我慢して下さいね」
明王院は汗をかいたローズの身体を拭いてあげる。頭を冷やす濡らした布はモーリスも交換してくれた。
モーリスの持っている服の中から使えそうなものを選び、ローズの寝間着とする。
「モーリスちゃん、アンタも来るのっ。少し新鮮な風に当たって頭冷やしなさい〜」
ポーレットはモーリスを森に連れだして、薬草探しを手伝わせた。
「ふ〜‥‥‥‥」
モーリスのあまりのため息の多さにポーレットは少々苛ついた。だからといって今、頭ごなしにいってもさらに落ち込むだけだろう。
「自覚して欲しい事はいくつかあるけど、これだけはいっておくわ〜」
ポーレットにモーリスが振り向く。
「あんたはまだ半人前で〜、『今』があるのは誰によってあるか〜。『将来』を楽しみにしている人は誰なのか〜。理解して行動する必要アリって事よ〜?」
ポーレットの言葉にモーリスが黙っていた。
「んで、彼女が回復したら〜皆でこれからの事を話合えばいいわ〜」
ポーレットはモーリスの背中を励ます意味で軽く叩くのだった。
夕方、森の一軒家に馬車が戻る。アレックスと老翁の医者を乗せて。
アレックスは馬車から探したがゴブリンは見つけられなかった。しばらくは森の周囲を探すつもりのアレックスである。
朧は少し遅れて森の一軒家に到着する。途中で馬車を下りて、壊れたローズの荷馬車を調べたのだ。基礎部分は壊れていないので、一部の板を張り替えればまた使えるようになる。御者に協力してもらい、馬を借りて森の一軒家まで運ぼうと朧は考えていた。
「おう、なかなかよく看病してくれたようだの」
一軒家に入った医者はローズの手当の状態を観て感心する。
「これなら少し養生すれば、よくなるじゃろう。どのみち、わしは今夜ここに泊まる事になる。様子を観る事としよう」
医者は新たな薬をローズに与えた。熱も昨日より下がったのを知り、モーリスはほっと胸を撫で下ろす。
医者は残した患者もいるので、三日目の朝に馬車に乗ってパリへと戻ってゆく。アレックスも護衛としてつき合うのだった。
●カトナ教会
二日目の朝早く、ルーアン行きの貨物帆船を見つけたクリスと玄間は、船長に頼み込んで乗せてもらった。
夜の内に手紙を用意した玄間は船に乗り込む前にシフール便で送る。ローズの父親に心配しないように状況が認めてあった。
三日目の昼頃に貨物帆船はルーアンに入港する。クリスと玄間は寄り道せずにカトナ教会を訪れた。
『婚約者が負傷し、自らお届け出来ないのが残念です。彼女が快復次第必ず伺います』
司教がモーリスからの手紙を読んだ。
「そうですか。そのような事があったのですね。絵は確かに受け取りました。モーリス様には婚約者を大切にとお伝え下さい」
司教の側にいた助祭二人がモーリスの絵を既に用意された場所に飾る。クリスと玄間も暗がりで受け取ったので、はっきりと眺めるのはこれが初めてであった。
「これは‥‥」
司教は瞬きもせずに見つめ続ける。誰の目で観ても、ジーザスをこの世に産んだ優しさに満ちる聖母マリアであった。
「彼は大切な人を見放す事は出来なかったのだ。そんな彼だからこそ、この絵に‥慈悲と慈愛の魂を込める事が出来るのだと、おいらは思うのだ」
玄間の言葉に司教は頷く。
二人はすぐにでもパリに帰る為にルーアンの船着き場に戻ったが、今日出航するパリ行きは一隻もなかった。
クリスと玄間は歯がゆい思いをしながらも、明日の便を待つ事にした。
●モーリス
「モーリスお兄ちゃん!」
四日目の森の一軒家。明王院は食事を食べ残したモーリスを呼び止める。
「ちゃんと食べる! しっかりしなくてどうするの?」
「あっああ、そうだな。食べ物を粗末にしちゃいけないな」
モーリスはテーブルに戻って、残りを食べるが元気はなかった。その様子をみて明王院は心配する。
「きっとモーリスさんがローズお姉ちゃんを思って魂を込めたから、マリア様が命を救ってくれたんだと思うよ。じゃ無きゃ、そんなにタイミング良く騎士団が通りかかったりしないよ」
「心配してくれてありがとうね、わかってはいるんだ。みんなのおかげで何とか絵の注文を受けられたし、心配もしてくれる。同じようにローズもボクを応援してくれていて‥‥。そもそもローズと一緒になりたくて、宗教画家を目指したんだ。その前は売れない風景画を描いていた。生活費は別で働いて細々と。それに比べたら不満なんてあるはずもない」
モーリスは食器を水の入った木桶に入れる。
「ここまでが出来すぎていて、それに相応しい自分になっていない事に気がついただけさ。少しすれば元に戻れると思うよ。ボクなんかよりローズを頼む。自分でいうのはとても変だけど、ローズの側にいてやるだけで精一杯なんだ」
モーリスがローズの休む部屋へと向かう。明王院のモーリスに対する心配はなくなりはしないが、今はそっとしておくことにした。
●快方
「ただいまです」
「ただいま戻りましたのだぁ〜」
五日目の夕方にはクリスと玄間は森の一軒家に戻ってくる。
無事にマリアの絵を届けた事をモーリスに報告すると、ローズの様子を見に行った。
ローズの剥けていた手足の皮膚もきれいに再生されていて、平熱に近い。後は養生だけで済みそうである。ずっと状況がわからなかったクリスと玄間はほっとした。
「ゴブリンはいませんでした」
「どうやらこの周辺に住み着いている訳ではなさそうだ」
朧とアレックスも周囲の巡回を終えて森の一軒家に戻ってくる。二人はゴブリンの存在を危惧していたが、どこにも見あたらない。どうやら、パリ侵攻に失敗して敗走するゴブリン共にローズが出くわしてしまったようだ。
「いくらいっても落ち込んでいるのよねぇ〜」
「モーリスお兄ちゃん、元気ないんだよ」
ポーレットと明王院が仲間にモーリスの状況を知らせた。
「そっとしておいたほうがいい時期なのだろう。ちゃんと一人で立ち直れるはずだ」
アレックスは放置しておくのが一番だといった。
「司祭様はとてもよいマリア様だといってましたです☆」
夜、ローズを除く全員が相談する為に大部屋に集まっていた。クリスはカトナ教会であった事をモーリスに話す。玄間はクリスの言葉に頷く。
「とにかく謝りにいかないといけませんね。あっ、ローズには心配させたくないので、今いったことは内緒で」
完全に元のモーリスに戻った訳ではないが、ローズが快方に向かっているのに合わせて元気を取り戻しているように冒険者達には思えた。
六日目、七日目と過ぎるとローズは元通りといっていいほど元気を取り戻した。モーリスにも笑顔が見られるようになる。
その間に朧が中心になってローズの荷馬車が修理された。鶏小屋を修理した時の木材が少し残っていたので、それを利用する。
馬は残念な事になったので、荷馬車は森の一軒家で預かる事になる。
八日目の朝、馬車に乗った冒険者達をモーリスが見送ろうとしていた。ローズも同乗して、一度村に帰る事にした。
「モーリスさんのすべき事は剣持って戦う事じゃないのだ。絵に魂を込めて人々の心に安らぎと希望を与える事だと、おいらは思うのだ」
「モーリスお兄ちゃんにしか出来ない事を考えてね」
「まだまだ精進しなさいねぇ〜」
「次の絵を楽しみにしているのです♪」
「もし、ゴブリンが現れるようなら、すぐに依頼を出した方がいいです」
「ローズの馬は残念だったな。だが一番大切なものは助けられたのだからよかったと考えるべきだ」
冒険者達がモーリスに言葉を投げかけてゆく。
「途方にくれたところに来てくれて、まさかと思いました。今までも冒険者には助けて頂きましたが、今回は特に‥‥。ローズの命を助けて頂いてありがとうございました」
モーリスは馬車が完全に見えなくなるまで見送った。
馬車は夕方前にローズの村に到着する。
「あたしの事で迷惑をかけてしまい、すみません。早くに二人でカトナ教会まで謝りに行くつもりです。ありがとうございました」
冒険者達はローズを家のすぐ前まで送る。そして日が暮れる前にパリへと到着するのだった。