名もなき棺の開放 〜サッカノの手稿〜

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:7 G 32 C

参加人数:10人

サポート参加人数:2人

冒険期間:08月11日〜08月17日

リプレイ公開日:2007年08月19日

●オープニング

 闇の中、蜜蝋燭の炎が揺れる。
 静かなる森の奥にある蔦に覆われる石造りの古き建物の中には、悪魔の騎士アビゴールと悪魔崇拝ラヴェリテ教団の若き指導者エドガ・アーレンスの姿があった。
 悪魔崇拝ラヴェリテ教団は先のパリ侵攻で撃退され、同時に壊滅した。かつて復活を遂げた経緯のあるラヴェリテ教団であったが、再々度繰り返したとして、そこに意味はない。
 抱いた野心を成就させる為には新たなる力を得る事が必要だとエドガは考えた。その答えが目の前にある。
「資格ある者、エドガ・アーレンスよ。何故にデビノマニを望む」
 アビゴールが長槍を跪くエドガに向けて問う。
「人は愚かなり。神の導きなど、試すばかりのはかりごとに過ぎず、その場限りの糧を得ようとする浅ましき所業に似たり。その理から外れる事こそ、望み」
「神を、人を、憎むがゆえに我が完全なる眷属となると申すか。具体的な欲望とは何ぞ」
「ノルマンの大地を赤く染め上げる事こそ、わたしの欲望。それゆえの力の具現こそが『デビノマニ』。生き残る人もありましょう。それはすべてデスハートンの白き玉を得る為の家畜に過ぎませぬ」
 エドガにアビゴールが一歩一歩近づいてゆく。
 そして儀式は始まった。

 夜空の下、建物の外で少女コンスタンスは翼を持つ黒馬ヘルホースを撫でていた。
「エドガ様は、やっとデビノマニになられる決心をなさったよう。わたくしはなりませんけど。これからが面白くなることでしょう」
 少女コンスタンスはヘルホースに語るように独り言をいう。
 エドガと壊滅したラヴェリテ教団の教徒の一部は、途中までは魂を捧げ、デビノマニまでの段階を踏んでいた。しかし、その力を誇示するのはエドガにより止められていたのである。それは最終の『デビノマニ』で得られるものこそが真の力であり、過程の力は使うべきでないというエドガの美学からだ。
「事を成すにはお一人では何かと大変。エドガ様にはお祝いとして、家族を人質にとった騎士達を捨て駒として用意してあげましょう。本当に楽しみ‥‥」
 少女コンスタンスは瞳を見開いて、口の端を吊り上げた。

 何も知らない司祭ボルデと司祭ベルヌは、翌日の朝方に冒険者ギルドを訪れた。個室に通された二人は受付の女性に依頼を始める。
「ルーアンの近くに古き小さき教会があります。以前に冒険者の方々に力を貸して頂き、事なきを得ましたが、やっと教会上層部から棺を開く許可を頂きました。こちらの冒険者からのお力も借りたおかげです」
 司祭ボルデは司祭ベルヌと共に受付の女性に話す。
「パリと古き小さき教会を往復する際の護衛を冒険者にお願いしたく参りました」
「悪魔の騎士アビゴール、先頃のパリ近郊で起こった戦いでラヴェリテ教団は壊滅したといわれてますが、指導者であったエドガは生き残ったと聞いています。そしてコンスタンスも‥‥。どうかよろしくお願いします」
 司祭ボルデと司祭ベルヌは受付の女性に細かな内容を伝えるのであった。

●今回の参加者

 ea2037 エルリック・キスリング(29歳・♂・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ea2350 シクル・ザーン(23歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 ea3047 フランシア・ド・フルール(33歳・♀・ビショップ・人間・ノルマン王国)
 ea8988 テッド・クラウス(17歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb0828 ディグニス・ヘリオドール(36歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 eb2277 レイムス・ドレイク(30歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 eb3979 ナノック・リバーシブル(34歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb5413 シャルウィード・ハミルトン(34歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb8642 セイル・ファースト(29歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb9459 コルリス・フェネストラ(30歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)

●サポート参加者

鳴風 龍真(eb2374)/ 鳳 双樹(eb8121

●リプレイ本文

●古き小さき教会
 二日目の夕刻前に冒険者達は目的の地である古き小さき教会に到着した。
 御者を交代で務めたテッド・クラウス(ea8988)とコルリス・フェネストラ(eb9459)は仲間の勧めもあり、教会内の特に静かな部屋で睡眠をとる。
 古き小さき教会を任せられている年老いた司祭と司祭ボルデと司祭ベルヌは、話し合いを始めた。パリにある白教義の教会代表者がまとめた審議書を持って。
 頑な年老いた司祭といえども、この審議書があれば許可しない訳にはいかない。だが出来るなら納得してもらった上で開けたいと司祭ボルデと司祭ベルヌは考えていた。前にも一度話したのだが、より詳しく説明する。
「行きはなんにもなくて、いつもこうだといいんだが。さて、開けて何が出てくるか。厄介なもんでない事を期待するよ」
 シャルウィード・ハミルトン(eb5413)は教会内の大部屋に仲間と共にいた。
 セイル・ファースト(eb8642)とシクル・ザーン(ea2350)の二人は周囲の警戒をして今は大部屋にいない。
「サッカノ司祭の棺か‥‥。あのアビゴールが狙いそうな所だ。出来る限りの準備が必要だな」
 レイムス・ドレイク(eb2277)は腕を組んで座る。
「こちらの行動は相手側に筒抜けになっており、襲撃を受けるものであるということを念頭においた方がいいだろう」
 ディグニス・ヘリオドール(eb0828)は壁に寄りかかりながら窓の外を眺める。
「今の所、デビルの反応はない」
 ナノック・リバーシブル(eb3979)は白光の水晶球で直径100メートルのデビル索敵を行った。棺を開ける際に使用するつもりだが、それ以外でも使えば気休めにはなる。ナノック以外にもフランシア・ド・フルール(ea3047)も使えるので活用するつもりであった。
「どうした?」
 ナノックは考え込むフランシアに声をかける。
「先の戦いに何の意味があったのか‥‥予告の上でただ正面からの攻撃とは愚かすぎるのではないかと。いえ‥‥それより、エミリール殿について今は決めませんと」
 フランシアはエミリールに立ち会いの選択を与えた方がよいと考えていた。ここにいない者にもすでに意見は聞いてある。棺を開けた事後にルーアンのサン・アル修道院へ報告に寄る事が決まった。
 残念がるフランシアを見てエルリック・キスリング(ea2037)が声をかける。
「お気持ちはわかります。せめて私が手紙を届けましょう」
 エルリックは愛馬に乗ってフランシアの手紙をエミリールに届けるという。帰りの御者をするまでは時間があった。ルーアンまではすぐ近くなので、帰りは大して遅くならないはずだ。
 フランシアはすぐに手紙を書くとエルリックに託した。
 司祭ボルデと司祭ベルヌが冒険者達の部屋を訪れる。年老いた司祭は立ち会わない形での棺の開放が決まった。明日の昼頃に開けるという。
 アビゴールなら名もなき棺の存在を注視しているはずだと冒険者達の多くは考えていた。棺を開ける際の配置を再度確認する冒険者達であった。

●棺
 三日目の昼、古き小さき教会に隣接する霊廟に司祭ボルデと司祭ベルヌはいた。
 外で警戒するのはシクル、シャルウィード、コルリス、テッド。
 霊廟内には二人の司祭の他にフランシア、ナノック、レイムス、エルリック、セイル、ディグニス。
 白光の水晶球、ヘキサグラム・タリスマンや対策の魔法などをして敵の襲来に備える。その他にも水で濡らした木板を敵のアースダイブ対策として出来るだけ床に敷いていた。
「ぞっとしねえな‥」
 セイルが呟く。処理されているとはいえ、これから遺体を見なければならないからだ。
 二人の司祭が祈りを捧げた後で、埃を被っている棺に触れた。何かで蓋は接着されていたが、司祭ベルヌが力を入れると外れる。ゆっくりと蓋が開けられた。
「遺体は‥‥ありません」
 真っ先に棺の中を覗いた司祭ボルデが呟いた。司祭ベルヌや霊廟内にいる冒険者達も覗き込む。
 文字の書かれた羊皮紙が棺内に散らばっていた。司祭ボルデが探ると古い十字架のペンダントも見つかる。
「蓋の裏に何か刻まれてあります。サッカノ司教様の言葉のようです」
 司祭ベルヌが古い文体のラテン語をゲルマン語の現代語に訳して読む。
「わたしは最後の旅に出かける。神敵アビゴールを倒す事が出来たのなら、しばらくはこの地に平和が訪れるに違いない。しかし、わたしが知る限り、デビルとは再び現れる存在。いつの日かまた忌まわしき災いをもたらすかも知れず、ここにサッカノ一族の敵、いや人間の敵であるデビルとの戦いの記録を隠そう。願わくばこれから助けに向かう我が娘コンスタンスの子を救出する手稿も加え、後世に残す本として完成を試みたい。この主なき棺を作った事を笑い話に出来る日を望む」
 読み終わった時、司祭ベルヌは一粒の涙を零した。
 たくさんの羊皮紙は、どうやらサッカノの手稿に追加される予定であった最後の部分である。途中抜け落ちている部分や読めない部分があるものの、これで全文が揃った事になる。
 冒険者による厳重な警戒が続く中、デビルの来襲はなかった。何事もない事を不気味に感じる冒険者は多かった。
 外の警戒はシャルウィードとテッドに任せて、残る全員が教会内の大部屋に集まる。
「帰路が特に危ないという事でしょうか?」
 コルリスの意見に仲間は同意した。
 大部屋に年老いた司祭が現れた。司祭ボルデが棺の中に遺体がなかった事、代わりに入っていた物の説明をする。
「遺体はやはりなかったのですか‥‥。前に冒険者の方々が訪れた後、調べてみたのです。そしてこの本を教会内で発見しました。本来なら処分されるべき本のようです」
 年老いた司祭が紐で縛られた古びた薄い本を司祭ベルヌに渡す。
「この本はこちらに訪れたエミリールという女性が持つべきと思います。ルーアンに立ち寄ると聞きましたので、彼女に渡して下さりませんか。わたしが書いた羊皮紙も挟んであります」
 それだけをいって年老いた司祭は大部屋を立ち去った。

●サン・アル修道院
 古き小さき教会からルーアンまで馬車で二時間程である。棺の中の物を手に入れた一行はすぐにルーアンにあるサン・アル修道院を訪れる。
 ただし男子禁制なので、エミリールとは修道院と親交のある教会で会う事になった。
 外と内の分かれ方は古き小さき教会の時と同じである。
 司祭ボルデが名もなき棺にサッカノ司教の遺体がなかった事と中に入っていた物について説明した。
「この十字架、サッカノ司教様が持っていらっしゃいました」
 棺に残っていた十字架のペンダントを見てエミリールは呟いた。
 司祭ベルヌはさっそく年老いた司祭から預かった本をエミリールに渡す。エミリールは紐をとって本に挟まれた羊皮紙を読み、それから本の一部に目を通す。
「棺に‥‥遺体がないのは、サッカノ司教様が‥‥」
 青ざめた顔のエミリールはうまく話せない。
「このルーアンで‥‥火刑に処された‥‥からだそうです‥‥。本にはその記録が‥‥」
 倒れかかるエミリールをフランシアが支えた。白と黒の教義が違うとはいえ、火刑はジーザス教にとって強い意味がある。司教にまでになった人物に対してこれ以上がない屈辱ともいえた。
「最後の旅で、何があったのでしょう‥‥」
 エミリールはそのまま気を失った。
 フランシアは今までの経緯を思いだす。手稿の存在を当時の大司教に知られた時にも、サッカノ司教は破門寸前にまで追いつめられている。デビルを追っていくうちに詳しくなりすぎ、そして孫となる存在がデビルの手に堕ちた。デビルと同一視され、誤解されたのかも知れない。
「これは!」
 ナノックが用意した白光の水晶球が白く点滅する。デビルが半径50メートル内にいる証拠だ。
「エミリールはこのまま中にいたほうがいい」
 セイルは緊急の事態に教会内で魔剣を抜いた。そして出入り口を固める。
「アースダイブ、クエイクを注意すべきだ」
 ディグニスと同じ考えの仲間はかなりいた。残念ながら霊廟で行った濡らした木板は用意していない。ディグニスとナノックはエミリールを教会内の丈夫そうな高い場所に移動させる。フランシアはホーリーフィールドを張った上でエミリールの看病につきそう。
 エルリックはすぐに外の仲間の元に走り、デビルの接近を伝えた。
「すごい速さで何か来るぞ!」
 シャルウィードが肩に乗った鷹のハルとオーラテレパスでやり取りした事を叫んだ。遠くから6騎の騎士が槍を手に教会へ突っ込んでくる。
「止まりなさい!」
 コルリスは矢を放って1騎を転倒させる。それから教会の入り口近くに立ち、鳴弦の弓をかき鳴らす。周囲に目を光らせて、動きが鈍くなった虫などが入れば仲間に知らせるつもりだ。
 シャルウィードは鞭をしならせて騎士に絡ませる。素早く動くカゲが騎馬の動きを翻弄してくれた。
「ティラン騎士団? いや何か違います」
 テッドは槍を盾受けする。ティラン騎士団の生き残りを想像したが、どうやらこのルーアンにいるヴェルナー領の騎士のようだ。
「デビルはどこに?」
 シクルは反応があったとされるデビルが見つからず、戸惑っていた。遠くの空にもグレムリンは見あたらない。石の中の蝶を持つシャルウィードが間近な反応はないと答える。
 教会内では敵の侵入があった。
 セイルはスマッシュをアースダイブで現れた地精霊使いに叩き込む。地精霊使いは石床に叩きつけられて大きく宙に弾けた。
 ナノックも石床から現れた地精霊使いをクエイクを使う暇を与えないよう、一気に叩きのめしてゆく。ちらちらと石の中の蝶を眺めるが、反応はない。白光の水晶球は点滅しているので、建物の外にはいるが教会内にはいないようだ。
「しばらくは動かないように」
 レイムスは司祭ボルデと司祭ベルヌをフランシアが作りだしたホーリーフィールド内に入れて、ぴったりと離れずに護衛する。もちろん気絶したエミリールも護っていた。仲間にもしもがあった時の最後の砦がレイムスであった。
 外でもまだ戦闘は続いていた。
 エルリックは外で仲間を補助する為に待機する。すぐ側ではコルリスが弓をかき鳴らしていた。
 シャルウィードが後方に下がったので、代わりにコルリスがかき鳴らすのを止めて矢で援護する。その間にエルリックがシャルウィードの肩に触れてリカバーを唱えた。すぐにシャルウィードは戦線に復帰して、エルリックとコルリスは元の行動に戻る。
 シクルはミミクリーで手を伸ばして騎士と戦っていた。テッドが複数の敵をひきつけてくれたので、その間にシクルが1騎ずつ片づけてゆく。
 シャルウィードはペット達と連携して、単独で1騎ずつ倒していった。
 人数で圧倒されていた状況も徐々に冒険者側に傾き、ある時点を境にして一気に敵を押さえ込んでいく。
 敵が最後の1騎になった時、シャルウィードが持つ石の中の蝶が素早く羽ばたき始める。
 シクルは新たな1騎がゆっくり近づいてくるのを見つけた。
「エドガ・アーレンス!」
 シクルが馬に跨る者の名を叫んだ。
 残った1騎がエドガの元に敗走してゆく。
「何をしている。敵を目の前にして逃げるなどと騎士とは名ばかりな奴だ」
「もういいだろ! いわれた通りにやった! 妻を息子を返してくれ!」
 エドガに敗走の騎士が詰め寄った。
「妻と息子とはこれか?」
 エドガは懐から何かを取りだした。白き玉が二つある。
「もしや‥‥」
 敗走の騎士は震える。エドガが自分の口元に近づけると、白き玉が形を変えてエドガの体内に吸い込まれてゆく。
 剣を振りかざした敗走の騎士の首を、即座に剣を抜いたエドガが斬り落とした。
「エドガがデビルのように‥‥」
 シクルの他、その場にいた全員がエドガの行為を目撃する。
「サッカノの棺を開けたようだな。何が出てきたのか興味があって来たのだが、やはり見せてはもらえぬか」
 騎乗したまま笑うエドガを、シクルとシャルウィード、テッドが武器を手に攻め入ろうとする。しかし目の前に現れた火球で行く手を遮られた。
「次は特大のファイヤーボムを使ってもよろしいかしら? この街中で。親愛なる冒険者の皆様方」
 近くの建物の屋上に少女コンスタンスの姿があった。周囲のルーアンの民を実質的に人質にとられた事になる。
「棺の中の物をせいぜい研究でもして、わたくし達に教えて下さいませ。エドガ様、お戯れはこれぐらいにして帰りましょう。このルーアンでも何名かスカウト出来ましたし。それでは」
 少女コンスタンスはフライングブルームに跨り、大空に飛んでゆく。エドガも立ち去っていた。

●パリへ
 四日目はエミリールを心配してルーアンに留まった一行であったが、五日目にはパリへの帰路についた。
「確かにサッカノ司教様が火刑にかけられたという話は三賢人の家系に伝わっていました。しかし、その他にも二つ程安らかにお亡くなりになられた話があり、しかも聖人と呼ばれた方々の言葉でしたので、そちらを信じてました‥‥。この様な形で真実がわかろうとは」
 司祭ボルデがうつむきながら帰りの馬車の中で話す。
 フランシアは後でエドガが白き玉を飲み込んだ事を聞いた。
「デビルと一緒‥‥。つまりエドガ・アーレンスはデビルと同じに」
 フランシアは考える。そして一つの仮定を思いつく。この前の戦いはエドガの試練としてアビゴールが行ったのではないかと。残るすべてのラヴェリテ教団教徒を生け贄としてアビゴールに捧げたに等しいのかも知れない。
 六日目の夕方に一行はパリにたどり着く。
 途中、一匹のグレムリンが飛来してきた以外に何事もなかった。
 冒険者の荷物には出発前に司祭二人から渡された聖なるパンがある。そして今、労いの追加金が渡された。
「手に入れたサッカノの手稿になるはずであった原稿はほとんど傷みがありません。これを調べれば、現れたといわれる天使様の事もわかるはずです」
「もしエドガがデビノマニになったとすれば、これから集める者達はそれに見合った能力を持つ者。以前のラヴェリテ教団のように一般の者ではなく、より強大な力を持った‥‥。気に病んでも仕方ありませんが」
 二人の司祭は最後に考えを伝えた後、冒険者達に感謝して立ち去った。