【死のつかい】 冒険者・石工を守れ
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■ショートシナリオ担当：天田洋介 対応レベル：1〜5ｌｖ 難易度：やや難 成功報酬：2 G 3 C 参加人数：6人 サポート参加人数：-人 冒険期間：12月05日〜12月10日 リプレイ公開日：2006年12月14日 |
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●オープニング
王宮ですらようやく手に入れた神学者ノストラダムスの預言を記した写本。パリの街にその内容が広がった速度には、どう考えても何者かの作為が働いている。更にパリから見たセーヌ川下流域でのアルマン坑道崩壊とそれによって起こった鉄砲水。すでに多数の住民が土砂混じりの水に呑まれたと報告があるが、同時に腐乱死体のズゥンビの目撃情報も寄せられた。
他に、上流域でも堤防が決壊して、村に被害が出たと報告も上がっていた。
これがまたパリの街にも広まっていて、逃げ出す者も出始めている。
折悪しく天候はここ数日雨続き、次はパリの街が水底に沈むのだとまことしやかに囁かれれば、逃げたくなるのも当然だろう。
そうしてコンコルド城の御前会議では、現実に可能性の高いパリ水没の危機を逃れるために、上流域の堤防を人為的に切ることで、増水した水を近くの湿地帯に流す計画が国王の裁可を受けた。これとて失敗すれば近くの村々が沈むことになり、その万が一の被害を避けるために必要な行動は多岐に渡る。
近隣住民を避難させ、堤防を切り、水がどう流れたかの確認をしつつ、緊急時には臨機応変に最善の策を取る。言えばたやすいが、それが一人で出来る者は神ならぬ身には存在しない。必要な人材を集めているが、実際に堤防を切るにはその設計などに詳しい者が必要だ。けれども職人達は事の大きさに怖気づき、大半が現地へ向かうことを忌避しているという。
また現地に向かって住民を避難させる人手も十分とは言えず‥‥
「この際パリが空になっても構わない。月道管理塔からはどれほど出せる」
「そのような仰せであれば、動ける者は全て。ですが」
「その隙にパリに何事かあるかもしれないというのだろう。ブランシュ騎士団が数名おれば、私の周りは十分だ」
修行中のブランシュ騎士団員や、近隣の領主の手勢も可能な限り呼び寄せた。騎士団員はともかく、領主の中には自領が手薄になるのを心中嫌がる者がいるかもしれないが、あいにくと細かい動向は追いきれない。
そうして集めた人員の幾らかは、すでに被害が出た地域に向かい、残りはこれから事が起きる地域に出向く。国王ウィリアム三世が『近衛も出ろ』と言ったからには、まさに総動員だ。
「足りない分は、仕方ない、冒険者ギルドに」
ウィリアム三世が言葉を切り、椅子の背もたれに体重を預けたところで、白いマントに正装の騎士団長ヨシュアス・レインが声を上げた。
「伝令！」
矢継ぎ早に指示を与えられた複数の伝令の一人が、事あるを察していた冒険者ギルドの幹部達が集まる部屋に現れたのは、それから僅かの時間の後だった。
轟々と雨音が鳴り響く。野外にあるパリのあらゆるモノに雨粒が叩きつける。
最初、人々はたいした事とは思わずに日々の生活を送るが、徐々に不安にかられてゆく。脳裏に最悪を思い浮かべても、すぐに消し去って考えないように努めた。
災難だとはっきりわかるのは、大抵取り返しのつかないことが起きてからである。
セーヌ川が氾濫し、パリ近郊の村が大きな被害を被った。その厄災を当てたと皆が噂する者がいる。
ノストラダムスと名乗る人物だ。四行詩といわれる預言にはパリを襲う凶事が示されているという。
パリ近郊の町を襲った被害は序章に過ぎないという噂もあった。セーヌ川にもうすぐ限界がおとずれて水が溢れだす。洪水に襲われるパリはもう終わりだと。
冒険者ギルドはいつも以上に混んでいた。
多くの冒険者達が国から依頼が出されているとの噂に集まってきたのである。
冒険者達はすでにいろいろな情報をやり取りしていた。だがこういう時に気をつけなくてはいけないのがデマである。間違った情報で動けば自分の身だけでなく、他の者達にも迷惑がかかる。
ギルドの中でも、セーヌが溢れそうだとの噂が止まらなかった。パリが沈めば冒険者にとっても破滅的な被害となる。話題になるのは当然だ。
冒険者ギルドには国から出された依頼がたくさん貼られていた。
依頼の一つにパリの上流へ歩いて半日の村で堤防を切る内容があった。破堤する前にわざと切る事で被害の出ない低地に水を逃がすのである。
その依頼に関連して、作業をする者達を守る依頼も貼られていた。
何者か、もくしは人外の何かがパリを守ろうとする者達を邪魔する可能性があるらしい。堤防を切る者達の作業を邪魔する敵がいるならそれを排除する。単純ではあるが失敗すれば、堤防を切る者達はいなくなり、なし崩し的にパリが沈むかも知れない。
すべての依頼がパリを守る為に必要不可欠な内容であった。
●今回の参加者
ea7557 ペトラ・ムーン（38歳・♀・ウィザード・パラ・ロシア王国）eb2355 マクダレン・アンヴァリッド（61歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国）
eb4840 十野間 修（21歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン）
eb9574 神坂 尚美（26歳・♀・忍者・人間・ジャパン）
eb9586 異腕坊 苦海（42歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国）
eb9596 ジョルジュ・ジョルジョーネ（42歳・♂・ナイト・ジャイアント・フランク王国）
●リプレイ本文
●始まり雨降りしきる中、ぬかるんだ道を資材が載った馬車が駆ける。冒険者ギルドが用意した御者と一緒に冒険者の一部が乗り込んでいた。
「久方ぶりに郷に出てみれば、ノストラ何とかの預言がどうのこうのと騒がしいねえ‥‥」
ペトラ・ムーン（ea7557）は、はためく馬車の幌を見上げながら呟いた。
「初めての依頼で緊張してしまってて。よろしくお願いします」
神坂尚美（eb9574）はその場いる者達にお辞儀をする。
「こん‥に、ち‥‥は」
異腕坊苦海（eb9586）は片言のゲルマン語で挨拶をする。
「わたしまだゲルマン語が話せないのです。神坂さんはジャパン語は達者ですよね？ すみませんが通訳してもらえますか？」
異腕坊は神坂にジャパン語でお願いする。微笑みながら神坂は快諾した。
「わたしも少々ならジャパン語わかるが、この地じゃゲルマン語が基本だしね。通訳は任せるよ」
片目を瞑り、口元を広げた指先で覆いながら話すペトラはとても色っぽかった。
馬で移動した冒険者達はすでに目的の村に到着していた。護るべき堤防切り組には先に挨拶を済ませる。
「戦乱からまだ半世紀も経っていないというのに‥‥この様な大事が何度も。しかし凄まじい勢いだね。君達、気をつけよう」
マクダレン・アンヴァリッド（eb2355）は濁流のセーヌ川を堤防の上から見下ろした。
「護衛が切る際に流された‥‥なんて事になったら、笑い話にもなりませんからね」
十野間修（eb4840）も深く吸い込まれそうな暴れるセーヌを眺める。
「今回の依頼でミーの実力を発揮いたしましょう。もちろんみなさんもです」
ジョルジュ・ジョルジョーネ（eb9596）は向かってくる馬車に気がつく。どうやら護衛組が全員集まったようだ。
護衛組は集まるとさっそく準備を開始した。空き家を利用した堤防切り組の本拠地からすぐ近くの家を護衛組の陣とする。同じ家屋にしないのは夜間にどうしても出入りが激しくなるので迷惑をかけない為だ。堤防切り組に余計な負担を背負わせないのが護衛組の仕事だと全員で決めたのだった。
同じ十野間の空から修は定期的にテレパシーで連絡をもらう手筈になっていた。堤防切り組が堤防の様子を見に行くと知り、マクダレン、修、ジョルジュの三人が遠巻きから護衛に出向いた。その他の者は陣周辺に細工をする。
ペトラの考えで鳴子を張り巡らせる事が決まった。資材の中から材料を持ってきて加工を始める。本拠地と陣を囲むように鳴子と繋がる糸が足元に張られてゆく。物資を積んだ馬車も範囲内に停められた。他に落とし穴もアイデアとして出たが取りやめとなる。土地に慣れない味方が落ちて怪我でもしたら大変だからだ。
堤防の様子を見に行った者達と一緒に、護衛組の三人も戻ってきた。
石工が陣を訪れ、雨に強い外套を置いていく。着ている服は濡れていて酷い有様であった。
食料は資材の中に少しあり、堤防切り組からお裾分けされたスープもある。保存食はそれほど必要しないで済みそうだ。
手が空いたマクダレンはペトラは共に資材を載せた馬車を確認し、梨のワイン煮を手みやげにして堤防切り組の本拠地を訪れた。甘い物は疲労回復に役立つ。明日からの激務にはぴったりのはずだ。それとなく堤防切り組と襲い来るかも知れない敵について話しをする。明日以降の作業予定も訊ねた。護るべき味方の行動を把握した方がいろいろとやりやすいからだ。
夜遅くまで堤防切り組の家からは作業の音が響いていた。手伝いたい気持ちはあったが、護衛組の仕事は安全の確保である。依頼を受けた時点で堤防切り組も護衛組もプロである。それぞれの仕事を完璧にこなすのが成功への条件だ。体を休ませるのも仕事であった。
夜の巡回は二人組を三班作り、三時間ごとで交代する取り決めだ。一番目はベトラとマクダレン、二番目は異腕坊と神坂、三番目は修とジョルジュと決まった。
雨は降り続けたものの、何事もなく朝を迎えるのだった。
●怪しき者達
実作業初日は順調に進んでいるようだった。今回の依頼に関わる全員が雨外套に身を包み、温めた石を布でくるんだモノを懐に忍ばせている。雨によって体温を奪われるのは避けなければならなかった。
作業現場周辺をマクダレン、修、ジョルジュが馬に乗って巡回する。ここがうまくいけば、家が密集している場所が安全になると聞いていた。修はみんなの許可を取った上で資材を運ぶ際の護衛を行う。無防備な状態を狙うのが敵の常だからだ。
一方のペトラ、神坂、異腕坊は作業現場での警戒を怠らなかった。順番を決め、一人ずつ休憩をとって余裕を持って注意を払う。
「敵は人か、デビルか、ズゥンビか。その他にも‥‥厄介な。それに‥‥」
ペトラはどんな敵が来るのか、ともう一つの心配をしていた。明日作業をするといわれた橋の上流にある個所が気になって仕方がない。すでに破堤の兆候が出ているが、今日の現場の方が急を要するので後回しにされていた。石工に訊いた所、明日一杯までは持つらしいのだが。
「神坂さん、異腕坊さん、お願いがあるのね」
ペトラは休憩から戻ると、現場警護をしている二人に近寄る。
「わたし気になるので、明日の作業個所を少し見てくるわ。巡回警護の人達には頼めないし。この場の動ける者の中で斥候役の適任だと思うのよ」
「わかりました。この場は任せて下さい」
神坂が返事をする。異腕坊は大きく頷いた。
「ありがとう。何かあったら戦わずに知らせるからね」
「はい！」
ペトラは上流方向に消えてゆく。一時間後に息を切らしながらペトラは戻った。
「この周辺には誰もいないはずなのに、二人組が堤防に細工をしようと――」
二人に伝えるやいなや、ペトラは合図のオカリナを吹いた。護衛組の全員が集まり、話し合いが行われる。陽動の可能性は低いと考えが一致し、事態を堤防切り組に伝えると護衛組全員で急行した。
「何をしているのですか？」
神坂は目印の杭が打たれた場所で作業をしていた見知らぬ二人の男に声をかけた。
「いや、道に迷ってしまって。どうすればパリに向かうことが‥‥」
二人の男が神坂に近づいてくる。
「死ね！」
二人の男は隠していたナイフを取りだして神坂を襲う。瞬時に後ろへと下がった神坂の両脇には仲間の冒険者が武器をそれぞれ構えていた。
「謀ったな。わが悪しき主の命によりお前等を消しさらん！」
男二人は怯まずにナイフを振り回す。
一人はマクダレンがレイピアと盾を持って対峙する。もう一人は修が小太刀と盾で立ち向かう。異腕坊とジョルジュが武器を構えて逃げ道を塞ぐと、すでに勝負は決まったようなものだった。
やけになった敵は隙が多かった。二人の男達はそれぞれの対峙者の手によって倒された。
「ミーが考える所、さっきの言葉‥‥まず間違いなくこの者達は悪魔崇拝者でしょう」
堤防を更に弱めようと削られた穴を見ながらジョルジュは言葉にした。
念のためにジョルジュと異腕坊を残して、他の護衛組は作業現場へと戻る。何事も起きず、戻った護衛組は安堵するが、その日の夜は大変であった。堤防切り組の本拠地と、昼間狙われた個所の両方を見張る必要があったからだ。ローテーションを組み直して対応するが、どうしても睡眠時間が少なくなる。しかし護衛組全員は愚痴もいわずに淡々と仕事をこなしたのだった。
●破堤
三日目、堤防切りの作業は手こずっているようだが、護衛はすべてが順調だった。
昨日の悪魔崇拝者の成敗から夜間の監視が嘘のようである。昨日より長めに休憩時間をとって足りない睡眠時間を補うことにした。陣からは離れているので、マクダレンの持つテントを高台に張って簡易の休憩所とする。
全員の頭の中には一つの課題があった。明日の作業についてである。ある理由から二個所同時に堤防を切る必要があるらしい。それぞれの現場は直線にして約百メートル程だが、地形からいって移動がきつい。全員で当たれば造作もない敵だとしても、片方に集中されればどうなるかわからない。それは避けたいが、かといって今さら人数を増やせる訳でもなかった。
「あっ！」
堤防切り組の誰かが声をあげると間もなく堤防が決壊した。逃げ遅れた一人が濁流にのまれてゆく。
その場の誰もが命綱に飛びついた。引き上げられた石工は大した怪我もなく、みんなはホッと胸を撫で下ろす。あらかじめ昨日の一件は堤防切り組には伝えてあったが、やはり影響があったのだろう。今まで以上に気持ちを引き締めて事に当たらなくてはならないと、護衛組の誰もが心に誓った。
想定外の出来事はあったにせよ、水は湿地帯へと流れてゆく。何軒かの家を飲み込みながら、新たな水の流れは遠くまで続いていた。
●作戦
四日目は実作業の最後となる予定であった。
昨晩、護衛組のみんなで知恵を絞って作戦を立てる。朝早くに準備を整え、万が一に備え済みだ。
上流の個所近くには修、下流の個所近くにはマクダレンが囮として待機する。二人は槌を持ってそれらしき作業を本物の堤防切り組から少し離れた位置で行っていた。襲ってくる敵からすれば区別はつかないはずである。
修は神坂、マクダレンは異腕坊が身を隠して監視していた。事が起きた時、仲間に知らせる役である。
刻々と時が進んでゆく。堤防切りが行われる時刻に近づいてた。
修は褐色の塊が木々の隙間で動くのに気がつく。
「かっ怪物だあー！」
修は持っていた槌を放り投げて身を軽くして駆けだした。修自身、大げさで演技ぽく感じたが、どうやら信じてくれたらしい。数匹のゴブリンが後ろから迫ってくる。
修は木の間を縫うように逃げる。二つの小川が一本に繋がる場所はもうすぐだ。修は木の根と地面の隙間に隠してあった愛刀を手に取ろうとするが、一匹のゴブリンは間近にいた。
修に木の棒を振り下ろそうとしたゴブリンの肩に矢が突き刺さる。マクダレンの放った矢であった。神坂が急いで冒険者仲間を呼んでくれたのだ。
「ミー達が来たから安心です！」
ジョルジュは修の前に立って盾となる。駆けつけた護衛組の冒険者達がゴブリン四匹に立ち向かう。
神坂は近寄る敵に向かって火炎を放った。雨で濡れていて燃やすまでには至らないが、一時的に呼吸が出来なくなり隙が生じる。続いて、修がシャドゥボムを発動させた。巻き込まれたゴブリンは大打撃を被る。そこを異腕坊にオーラパワーをかけてもらったジョルジュが剣を振るう。修も刀による攻撃に切り替えて攻め入った。
槍を振るう異腕坊は物影に忌まわしき姿を発見する。すぐ横でみんなの盾になる為に武器を切り替えようとしていたマクダレンに指差して知らせた。知識のない冒険者達はグレムリンを知らなかったが、それがデビルであろう事は察しがついた。
真っ先に異腕坊がグレムリンに槍を突き出す。一度は刃向かおうとするグレムリンだが、冒険者達の優勢にたじろいでいた。
遠くからオカリナの笛の音が届く。作業現場で控えていたペトラからの堤防が切られた合図であった。
間もなく不気味な低音が轟き、わずかだが地面が振動する。泥流が二方向から押し寄せようとしていた。マクダレンはグレムリンに放とうしていたシルバーアローを収める。
ゴブリン達との戦いも冒険者達の有利が動かないまでになっていた。
その場の冒険者達は仕掛けておいた縄を掴んだ。頭上の枝を支点にして縄には大きな岩が吊されている。木の幹に結ばれた部分の縄を武器で切った。冒険者達は落ちる岩とは反対に上昇する。
泥流が周囲を覆った。瀕死のゴブリン達は飲み込まれて息の根を止められる。グレムリンは空を飛んで敗走していった。
太い枝に立った冒険者達はセーヌ川の方角を振り向く。二個所が見事に切られた景色に感嘆の声をあげるのだった。
●最終日
昨晩の見張りも何事もなく終わった。堤防切り組が点検を行うのにつき合った後で、護衛組はパリへの帰路についた。
「わたしも最後、戦いたかったんだけどねぇ。オカリナの知らせも重要な役目だったし。よしとしますわ」
新たにパリからやってきた御者によって馬車は駆ける。ペトラは行きと同じ神坂と異腕坊と一緒に馬車へ乗っていた。異腕坊に合わせてジャパン語で話しをする。
「雨さえ降ってなければ火だるまにしてあげましたのに」
神坂は髪の毛を手櫛で整えながら残念そうに呟く。
「もう少し時間があればデビルを一突きに出来たでしょう」
異腕坊は話しながら槍で突く真似をする。
「それから神坂さん、通訳ありがとうございます。夜の巡回の時のジャパンの話。特にネバネバする食べ物の話、とても面白かったです」
馬車にいる三人は顔を見合わせると一緒に笑いだした。
すでに覗く窓からはっきりとパリが望めた。馬で戻った仲間はすでにパリに到着しているはずだ。ギルドに報告した後で家に戻ってゆっくり休んでいるに違いない。
そんなことが出来るのも変わらないパリがあればこそだ。依頼に望んだ冒険者達は成し遂げた充実感に浸るのだった。
