密会 〜トレランツ運送社〜
 |
■ショートシナリオ
担当:天田洋介
対応レベル:11〜lv
難易度:易しい
成功報酬:3 G 95 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:09月24日〜10月01日
リプレイ公開日:2007年10月01日
|
●オープニング
パリから北西、セーヌ川を下ってゆくと『ルーアン』がある。セーヌ川が繋ぐパリと港町ルアーブルの間に位置する大きな町だ。
セーヌ川を使っての輸送により、商業が発展し、同時に工業の発達も目覚ましい。
ルーアンに拠点を置く『トレランツ運送社』もそれらを担う中堅どころの海運会社である。新鮮な食料や加工品、貴重な品などを運ぶのが生業だ。
ノルマン王国の古き街ルーアンはヴェルナー領に属していた。
ルーアン内にラルフ・ヴェルナー領主の城があり、そこがヴェルナー領の中心である。
一両の馬車がヴェルナー城の正門から市街へと飛び出した。
馬車の持ち主はトレランツ運送社女社長カルメン。カルメン社長と一緒に馬車内にいたのは男性秘書ゲドゥルである。
馬車がトレランツ運送社に到着し、二人は社長室に入った。
「この後ろ盾は心強いね」
カルメン社長は普段つけない装飾品を外して、ゲドゥル秘書に話しかける。つい先程までラルフ・ヴェルナー領主と面会してきたばかりであった。
「盗賊や悪魔崇拝者に盗品の武器を流していたとして、ヴェルナー領内におけるグラシュー海運による物品流通の禁止。グラシュー海運に関連する流通業者の行動も禁止。ヴェルナー領内における女社長シャラーノの指名手配。ここまでをラルフ領主様に認めて頂いたのはとても重要です。ですが‥‥」
「ゲドゥル、わかっているさ。現在のグラシュー海運はセーヌの向こう側にあるフレデリック領にある。いくらヴェルナー領での行動を禁止した所で、即座に息の根を止められない。領地の境界となるセーヌ川は不可侵の場所だ。間近をグラシュー海運の船に航行された所で、ルーアンの船着き場に入港しない限り、手を出せない」
カルメン社長は勢いよく椅子に座る。
「肝心なのは包囲網を用意する事なのさ。洞窟の前でたき火をして熊を燻りだす。もしくは蜂蜜の入った壺でも洞窟の前に置いてやる。逃げ道を無くした上でね」
「熊がシャラーノですか。具体的な方法は考えられているのですか?」
ゲドゥル秘書が問うと、カルメン社長は指さす。ゲドゥル秘書を。
「ゲドゥル、お前に蜂蜜の入った壺になってもらう」
「わたしが蜂蜜の壺?」
カルメン社長の考えがゲドゥル秘書には理解出来なかった。
数日後、カルメン社長自らがパリの冒険者ギルドを訪れた。
「グラシュー海運の女社長シャラーノを捕まえたい。その為に冒険者を貸して欲しいのさ」
カルメン社長は、シャラーノの初恋の相手『メテオス』に秘書のゲドゥルがそっくりなのを利用する考えだ。
カルメン社長は手を尽くしてメテオスのしたためた手紙を手に入れていた。それを参考にしてどんな内容の偽手紙でも作れる職人を待機させている。
「シャラーノは疑い深いからねぇ。手紙と、メテオスにそっくりなゲドゥル秘書を使って、誘いだして欲しいのさ」
「具体的にはどこに誘いだすのでしょう?」
カルメン社長に受付の女性が疑問を投げかける。
「出来るなら、ヴェルナー領がもっともいい。捕まえるのもすごく楽だしね。しかし‥‥、そう簡単にはいかないだろうさ。フレデリック領さえ用心して出ないかも知れないからね。結果として捕まえて、ヴェルナー領内のトレランツ運送社まで連れ来てくれればOKだ。一時的に拘束していい約束を領主様としてあるからね」
受付の女性の女性は依頼内容を書き留めてゆく。
「‥‥シャラーノの周囲には用心棒もいるようだし、腕っぷしも必要だろう。だが、どう誘いだすかの作戦こそが今回の要さ。よろしく頼むね」
カルメン社長は依頼金を渡すとパリの街に消えていった。
●リプレイ本文
●メテオス邸
「あれがメテオス邸か」
エメラルド・シルフィユ(eb7983)は仲間とルーアンには出発せずにパリ近郊にいた。
大木に寄りかかってメテオス邸を眺める。とても堅牢そうな壁に囲まれ、小さな城のようだ。
エメラルドは最低限の荷物だけを残してある。愛馬や荷物の一部は今頃帆船の中だ。
エメラルドの視界を過ぎる影がある。空飛ぶ木臼に乗ったコルリス・フェネストラ(eb9459)がメテオス邸上空を飛んでいた。
エメラルドもコルリスは目的は同じだ。周囲を回り、メテオスの注意を引くつもりである。
初日は玄間も手伝ってくれるので三人で監視が出来る。シフール便などメテオス邸を訪れるすべてを邪魔するつもりであった。
●ルーアン
二日目の昼頃、二人を除く冒険者達は帆船でルーアンに入港した。
まずは細かい情報を得る為にトレランツ運送社に向かう。
「先に届いた手紙の内容を職人に仕上げさせておいたよ」
社長室でカルメン社長とゲドゥル秘書が冒険者達を迎える。
カルメン社長が十野間空(eb2456)に完成した手紙を渡した。パリ出発前にエメラルドが書いた内容を十野間空がシフール便で送っておいたのである。
手紙の内容は『トレランツ運送社の関係者に命を狙われ、やむなくパリを脱出した。直接フレデリック領に入るのは難しい。ルーアン近郊までは自力で向かうので、そこから安全なフレデリック領までの手引きをして欲しい。脱出の際に怪我をしてしまった。今は誰が味方か敵なのかわからない。シャラーノが迎えに来て欲しい』であった。
その他にも十野間空はメテオス邸に見張りを置く要請も添えていた。今は仲間が監視しているが、途中で交代してもらい、こちらに来てもらう為である。
「これが‥‥」
真似るために手に入れた本物のメテオスの手紙を十野間空は見せてもらった。仲間も回し読みをする。その内容はフレデリック領の貴族にメテオスが感謝するものだ。手紙からはメテオスの誠実さが窺える。
「私は兄の手紙に付け足させてもらった通り、シャラーノが気になります。フレデリック領内のグラシュー海運の周囲で聞き込みを行いたいと思います。メテオスが追われているのをシャラーノが感じるように‥‥」
十野間修(eb4840)はカルメン社長にセーヌ川を渡る為の用意を頼んだ。
「作戦の概略をもう一度おさらいしておきましょう」
井伊貴政(ea8384)はカルメン社長とゲドゥル秘書の為に説明する。
相談の際、様々な意見が出た。最終的に決まったのは、情報によりシャラーノを追いつめて、ルーアン近郊におびき寄せる作戦であった。
もし情報での追いつめ方が甘く、シャラーノがフレデリック領からすら出てこなければその時点でお終いである。
途中で切り替えるのはまず無理だ。時間的にもシャラーノが警戒を深める点からいっても不可能であろう。
「作戦成功の為にも、この辺りの地図をもらえるかな? それなりのものでいいんだけど」
エル・サーディミスト(ea1743)は側にいたゲドゥル秘書に話しかける。ふらふらと歩くゲドゥル秘書が地図を持ってきてエルに手渡す。偽メテオスになるのが嫌なようで顔色が悪かった。
「ありがとね〜。あ、これをお湯に浸してから飲むと元気でるよ」
エルは先程道ばたで拾った草をゲドゥル秘書に手渡す。いい加減なようだが効果は確かだ。
「あとね‥‥。うまくいったらこれからよろしくね♪ 珍しいものとか扱ってそうだから」
エルはゲドゥル秘書に耳打ちして仲間の元に戻ってゆく。
もらった草を見つめるゲドゥル秘書の背中を誰かが軽く叩いた。アウル・ファングオル(ea4465)であった。
「これもお仕事です。エルさんのお薬を飲めば気も少しは安らぐはずです。実行の日まではゆっくりとなされたらどうですか?」
「そうですね‥‥。失敗したらそれこそ、いろんな意味で大変ですし‥‥」
アウルは護衛時の意志疎通も兼ねて、しばらくゲドゥル秘書を元気づけることにした。
「なんにせよ、メテオスとのやり取りを遮断できれば捕縛出来ると思う。私は戦闘になったら治療重視の行動をします」
エルリック・キスリング(ea2037)は壁に背中を預けて仲間の様子を眺める。
冒険者達はトレランツ運送社が用意した宿に案内される。そして行動を開始した。
●準備
二日目の午後から三日目の終わりまで、すべてがおびき寄せる為の用意に費やされた。
パリ近郊の仲間が戻るまでの時間。
実際におびき寄せる場所の精査。
噂が広がるまでの余裕。
手紙を送り届けるタイミング。
衣装などの小道具の準備。
どれも欠かす事の出来ない用意であった。
エルは逃走経路の選択の為に愛馬ヴィヴァーチェとセブンリーグブーツを駆使して、ルーアン周辺を探る。
地図を手にして、いろいろな条件を探った。魔法発動による発光が目立たない隠れ場所や、滅多に人が踏み入れない場所に足跡を残さないようになど、様々な事に気をつかう。
アウルはゲドゥル秘書に心構えや作戦をよく言い聞かせる。手紙も大事だがメテオスに化けるゲドゥル秘書の演技も大切だ。この両輪がうまく動いて初めてシャラーノを騙す事が出来る。
十野間空はゲドゥル秘書に理美容用品一式を貸す。少しでもメテオスに似るようにする為だ。
どのような衣装がいいか、トレランツ運送社の者に注文も行った。
ゲドゥル秘書の扮装については社長室にあった似顔絵を参考にする。
ゲドゥル秘書の護衛をする者はそれらしく、特に十野間空自身は術者であるのを悟られないように侍の格好をする。
追っ手に扮する者については、なるべく船乗り風のものを用意した。トレランツ運送社の者のように。
十野間修はグラシュー海運の周囲で噂話を流すことに注力した。聞き込みをする事で自然と噂は流れる。トレランツ運送社だけでなく、ブランシュ騎士団黒分隊も動き出したと思ってくれればシャラーノに与えるプレッシャーはかなりのものだ。
コルリスは空飛ぶ木臼で三日目の夕方にルーアンへ到着する。エメラルドも木臼に掴まり、一緒にやって来るがとても疲れた様子だ。
二人で木臼に乗り、速度を出すのはかなり不安定である。愛馬では時間がかかるので採った苦肉の策である。
おかげで早く着いたが、エメラルドは懲りていた。何度、木の幹に衝突しそうになったか数え切れない。
メテオス邸での作戦はうまくいく。十野間修のいう通り、メテオス側に監視している事をコルリスとエメラルドで印象づけられたはずだ。
井伊は総指揮の為、仲間との連絡を密にして実際の行動を細かくつめてゆく。
すべて筋書き通りにいけばいいのだが、それはシャラーノの気分次第である。
考える限りを想定し、なるべく作戦全体に余裕を持たせる。連絡のしやすさや、戦闘力の配分などだ。
最後は仲間の臨機応変に負う所が大である。
エルリックは馬の世話を行った。戦いになった時の機動力は馬が何かと扱いやすい。最後の切り札になる事も考えられる。
手紙でシャラーノをおびき寄せる時間は、四日目の夕方から夜にかけて。人目を忍ぶ時間としては真夜中が良さそうだが、冒険者達の不利にも繋がる。
明日の夕方の為にすべてが動いていた。
●追う者 逃げる者
四日目、全員が配置についてシャラーノの登場を待ちわびる。
なだらかな丘があるものの、平地といっていい場所だ。南東に森があり、北北西にはルーアンが小さく見える。西に行けばセーヌ川があるが、ここからでは見えはしない。
護衛役の井伊、十野間空が目印となる巨石近くに立っていた。メテオスに化けているゲドゥル秘書はアウルと一緒に南東の森に隠れている。
西から三つの影が土埃と共に近づいてくる。馬に乗った見知らぬ三人だ。
「ジャパンの者達、言葉は分かるか? お前達がメテオス殿の者達か? メテオス殿はどこにいらっしゃる? 我らはシャラーノ殿からの使者だ」
整った顔立ちの男が馬から下りて話しかける。二人の男は馬に乗ったままだ。三人とも、どう見てもシャラーノではない。
「ちゃんとゲルマン語は話せます。我らの主人はシャラーノ様が来ると仰っていたのですが、どうなされたのでしょう?」
「それはこちらの言葉。メテオス様が居られたら、幼き頃頂いたこちらを見せろと言付かった。メテオス様ならこれで信じてくれるはずといっていたのだが。信じて頂けたなら、待機するシャラーノ様の所までご案内する用意がある」
男は井伊に指輪を見せた。十野間空がテレパシーを使い、井伊と話す。遠くから偽メテオスを見せる事はしようと判断する。
十野間空はさらにテレパシーを使い、コルリスに連絡した。近くにいるはずのシャラーノを上空から探すようにと。特にセーヌ川沿いが怪しいと付け加えて。
井伊が大きく手を挙げると、森の方角に人影を二つ現れた。偽メテオスと護衛のアウルである。
「何をするのです!」
下りていた男が突然剣を抜いて井伊に斬りかかる。咄嗟に受け止めた井伊を後目に、馬に飛び乗った男は仲間二人と共に森の方角へ遠ざかる。
十野間空はテレパシーでアウルに危険を知らせた。短い距離ではセブンリーグブーツは役に立たないからだ。
緊急の事態に、追っ手役のエメラルド、エルリックと何名かのトレランツ運送社の船乗りが森の奥から現れた。コルリスも追っ手役であったが、シャラーノの探索に動いたので姿はない。
「ええっ?」
偽メテオスのゲドゥル秘書は戸惑う。森からの追っ手は味方が扮したものだと知っているが、目前に迫る三騎は訳が分からない。
「こちらに!」
アウルが偽メテオスの手を引いて駆ける。しかし周囲を三騎に囲まれ、偽メテオスを奪われてしまった。
「待て!」
アウルを残して三騎がゲドゥル秘書を連れ去ってゆく。その時、主人の危機を悟ったのか愛馬が駆け寄ってきた。アウルは飛び乗って追走する。
井伊は愛馬毘沙門天に跨り、十野間空を後ろに乗せて駆ける。エルリックはトゥルー・グローリー号。エメラルドもまだ落ち着いている愛馬フォルティウスで追いかける。
十野間空は待ち伏せ役である弟の十野間修にテレパシーで連絡をとっていた。ゲドゥル秘書を奪ったシャラーノ側の者が西方に逃走。至急待ち伏せの仲間と一緒に向かうようにと。
使者ならゲドゥル秘書をメテオスと信じてもおかしくはなかった。
十野間空には危惧がある。前もってダウジングペンデュラムでセイレーンを調べたものの、はっきりと示しはしなかった。
「シャラーノを見つけました! セーヌのヴェルナー領側に小型の帆船で待機しています!」
空飛ぶ木臼で飛んできたコルリスが仲間に報告する。
「向こうに着いたら、敵の総数を調べるね」
愛馬ヴィヴァーチェで合流したエルが併走する仲間に話しかける。後ろには十野間修が乗っていた。
丘を越えるとセーヌ川の畔が望めるようになる。コルリスのいう通り、小型の帆船が横付けされていた。
「飛んで!」
敵に追いついたアウルは乗せられている偽メテオスの腕を掴んだ。無理矢理引っ張ったせいで体勢を崩し、偽メテオスと共に落馬して草原を転がる。しかし落ちる直前に速度を緩められたので大事はない。
「取り返せ! お前達はシャラーノ殿に連絡を!」
敵二騎が反転し、一騎だけがそのまま帆船に向かってゆく。
「帆船にいる敵はシャラーノを含めて八人いるよ!」
馬から下りたエルが叫んだ。バイブレーションセンサーで探り、続いてプラントコントロールを用意する。
敵二騎を、井伊とエメラルドが迎え撃つ。剣に火花を散らせながら、偽メテオスには近寄らせない。
アウルはそのまま偽メテオスの護衛を行う。二度と奪われる訳にはいかなかった。
残る者達はシャラーノの捕縛の為に帆船へ向かう。
「やはり罠か。奴らを撃退するがいい!」
シャラーノの一声が誰の耳にも届く。
「逃がしませんよ」
コルリスはマスト上の監視台に木臼から飛び降りる。そしてオーラショットで下方を攻撃した。帆船が出航出来なければそれだけで時間が稼げるからだ。
帆船の周囲では入り乱れた戦いが始まる。
その時、どこからか歌声が流れてきた。
セーヌ川に小舟が浮かんでいた。その上には一人の女性の姿がある。
セイレーンだと気がついた十野間空はスクロールを広げ、イリュージョンを使う。
小舟は畔についたが、冒険者達が惑わされる事はない。代わりにシャラーノ側の者達が戦意を喪失し、その場に立ちすくんでいた。
「貴様ら!」
追いつめられたシャラーノがセーヌ川に飛び込む。エメラルドも飛び込み、水中でシャラーノを探した。
(「しまった!」)
水中のシャラーノに近づいて手を貸す者がいた。もう一人のセイレーンである。エメラルドは必死に泳ぐが追いつけず、シャラーノとセイレーンの姿は視界から消え去った。
●トレランツ運送社
五日目、トレランツ運送社社長室にはたくさんの姿があった。
「ごめんなさい。知っていれば、泳ぎでお手伝いしたんですけど‥‥」
トレランツ運送社に戻った冒険者達にマーメイドであるフランシスカが謝る。
「いや、どのみちフランシスカさんをシャラーノに近づける訳にはいきませんでした」
フランシスカをよく知る十野間修がやさしく声をかけた。
「確かにシャラーノは捕まえられなかった‥‥。だが、その他の者達。特にセイレーンをいっぴ‥‥いや、一人捕まえられたのは大きいね」
カルメン社長が言い直したのは、セイレーンと同一視されやすいマーメイドへの配慮だ。
「それにしてもゲドゥル。男をみせてもらいたかったんだがねぇ」
「‥‥返す言葉が見つかりません‥‥」
おでこが机につきそうな程、ゲドゥル秘書はカルメン社長の前でうなだれていた。
「セイレーンから得られる情報は大きいはずさ。まだ名前すら喋ってないようだが‥‥というか、工夫しないと魅了でやられてしまうねぇ。とにかく、他のもんは衛兵に突きだすとしても、セイレーンは領主様との約束の範疇外だからね」
カルメン社長は話しながら心配そうにするフランシスカに気がつく。
「拷問はしないから安心をし」
カルメン社長はフランシスカからいくつか昔話を聞いている。フランシスカの兄はシャラーノから拷問を受けた事があった。戦いの場ならともかく、一方的に攻める行為は感心しないとカルメン社長も考えていた。
「ご苦労だったね。今晩はゆっくりしてくれ。今回かかった費用は全部トレランツから出させてもらうよ」
カルメン社長はゲドゥル秘書に冒険者達を宿まで送らせた。
六日目の昼に冒険者達を乗せた帆船はルーアンを出航する。そして七日目の夕方にパリへ入港し、冒険者達を送り届けるのだった。