船上会談 〜トレランツ運送社〜

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:11〜lv

難易度:やや易

成功報酬:5 G 1 C

参加人数:6人

サポート参加人数:3人

冒険期間:10月11日〜10月17日

リプレイ公開日:2007年10月19日

●オープニング

 パリから北西、セーヌ川を下ってゆくと『ルーアン』がある。セーヌ川が繋ぐパリと港町ルアーブルの間に位置する大きな町だ。
 セーヌ川を使っての輸送により、商業が発展し、同時に工業の発達も目覚ましい。
 ルーアンに拠点を置く『トレランツ運送社』もそれらを担う中堅どころの海運会社である。新鮮な食料や加工品、貴重な品などを運ぶのが生業だ。

 ルーアンの東側、セーヌ川面する反対側にトレランツ運送社は倉庫を借りていた。
 敵対するグラシュー海運の女社長シャラーノを閉じこめる予定であったが、それは頓挫する。代わりにシャラーノに手を貸していたセイレーン姉妹の片割れを幽閉していた。
 現在、グラシュー海運とシャラーノはヴェルナー領内においてお尋ね者である。もっともセーヌ川の向こう側にあるフレデリック領にいてトレランツ運送社側は、手を出せない状態だ。
 捕らえたセイレーンの尋問は行われていたが、遅々として進まない。
 セイレーンが歌声に魅了の効果を乗せる事が出来るからだ。耳栓程度では塞げないのでテレパシーを使える者を雇い、離れた場所から通訳をしてもらう。この二度手間も尋問を遅らせる原因の一つである。
(「なぜ、シャラーノに加担するのです」)
 テレパシーを使える者が何度尋ねたか知れない質問を繰り返す。
(「人、そしてマーメイドは滅びるがいい。願いが適うなら、あのような者でも手を貸す。それだけだ」)
 セイレーンも同じような答えを繰り返した。
 質問内容を任されていたトレランツ運送社の男性秘書ゲドゥルは、女社長カルメンのいる本社へと戻った。
「拷問が無理なら、セイレーンの口を割らせる方法はないように思われます」
「それだけは出来ないねぇ。フランシスカと約束した事もあるが、これはあたしのポリシーさ。それだけは嫌なんだよ」
「わたしも拷問は反対です‥‥。ただこのままでは進展がないことも事実です」
「どうしたもんか‥‥」
 カルメン社長は椅子に座ったまま、瞼を閉じた。
「シャラーノはどう思っているかね? セイレーンの一人が捕まった事を」
「美形の用心棒が捕まった事は怒っているでしょうが、セイレーンについては‥‥よくわかりません」
「片割れのセイレーンは怒っているはずさ。セイレーンがシャラーノを責めているかも知れないね。どうだろう? こちらに有利な状況を利用してシャラーノに船上会談を持ちかけては?」
「セーヌ川での船上会談ですか。どなたがシャラーノと会談するのです?」
「あたしに決まっているだろ」
「ダメです! 社長は絶対に! 第一、策にはめられそうになったばかりで、シャラーノがのこのこやってくる訳がありません!」
 ゲドゥル秘書が珍しくすごい剣幕でカルメン社長に怒鳴った。
「わっ、わかったよ。じゃあ相手は変えてメテオスはどうだい? それならいいだろ。冒険者達に護衛を頼むのさ」
 カルメン社長とゲドゥル秘書は内容を煮詰めていった。
 翌日、ゲドゥル秘書はトレランツ運送社の帆船でパリに向かう。冒険者ギルドへの依頼と、メテオスとの面会の約束をとりつける為であった。

●今回の参加者

 ea1743 エル・サーディミスト(29歳・♀・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)
 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb4840 十野間 修(21歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb5347 黄桜 喜八(29歳・♂・忍者・河童・ジャパン)
 eb7983 エメラルド・シルフィユ(27歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 eb9459 コルリス・フェネストラ(30歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)

●サポート参加者

ルー・ノース(ea4086)/ ルーロ・ルロロ(ea7504)/ シルフィリア・ユピオーク(eb3525

●リプレイ本文

●ルーアン
「皆様、お待ちしておりました」
 二日目の昼、ルーアンの港に下り立った冒険者達を男性秘書ゲドゥルが出迎える。港からトレランツ運送社までの馬車が用意されており、全員が乗り込んだ。
「今回にかかる費用は全部当社が持ちます。その代わりといってはなんですが、どんな事態が起ころうともカルメン社長の安全確保だけはよろしくお願いします」
 車中でゲドゥル秘書は深々と冒険者達にお願いした。
 冒険者達が社長室に向かうと、女社長カルメンと青年アクセル、娘マーメイドのフランシスカの姿があった。
「知らない者もいるだろうから、ここ何回かの依頼で得られた情報をゲドゥルから説明させるよ」
「我が社トレランツ運送社とグラシュー海運のシャラーノとの間に起きている『対立』について説明させて頂きます」
 ゲドゥル秘書の経緯の説明は30分に及ぶ。
「ボクは貴政とセイレーンの警備に向かうね。よろしくね、相棒」
「相棒に、相応しいよーに頑張ろーと思います〜」
 エル・サーディミスト(ea1743)が井伊貴政(ea8384)の肩に背中から両手を乗せて微笑んだ。アクセルとフランシスカもセイレーンが閉じこめている倉庫に出向くという。
「それなら大丈夫ですね」
 十野間修(eb4840)はセイレーンがどこにいるのか気にしていたが、セーヌ川沿いではなく、ルーアンの東部だと聞いて安心する。説明が紛らわしかったとゲドゥル秘書は謝った。井伊も気にしていたが胸をなで下ろす。
「なんだ、フランシスカ、今回は陸の上できぐるみ無しか? オイラは用意してきたぞ。泳ぎが上手くなる優れモンだ」
 黄桜喜八(eb5347)がカエルの姿を模した衣装『すいすいけろりん』をフランシスカに見せる。
「こういうのあるんだ。知らなかったよ。アクセルは知ってた?」
「いや、初めてみたよ」
 フランシスカが目を丸くして黄桜の姿を眺める。
「イイだろ」
「うん。いいな〜」
 ニッと笑う黄桜にフランシスカは頷いた。
「手紙がパリから届いてたよ。受け取っておくれ」
 カルメン社長はテーブルに手紙を置いた。
「セイレーンから少しぐらいは話しを聞きたいのだが、その時間は残っていないようだな」
 エメラルド・シルフィユ(eb7983)は残念がった。会談は四日目の昼である。
 警備の精査や、使用する船の点検。会談場所に船を移動させたり、シャラーノの監視などを含めれば、もっと時間が欲しいくらいである。ルーアン内とはいえ、倉庫と往復する時間すらもったいなかった。
「私達は警備に力を入れましょう。外だけでなく会談相手が連れてくる護衛にも注意が必要ですね。相手が相手ですから」
 コルリス・フェネストラ(eb9459)が強い眼差しでエメラルドに声をかける。
「そうだな。時間がもったいない。手紙にはなんと書いてあるんだ?」
 エメラルドは手紙を受け取った仲間に訊ねた。
 十野間修はシルフィリアから、黄桜はルーロから受け取っていた。二人は手紙を読み終えると、順に仲間へ情報を提供する。
「フランシスカさんに訊きたい事が。この度のセイレーンが人間とマーメイドを憎しみ、恨む理由に心当たりはありませんか?」
「あ、ボクも訊きたいな」
「僕もです。どーなんでしょーか?」
 十野間修、エル、井伊の視線を浴びながらフランシスカは答えた。
 前にカルメン社長等には話したのだが、マーメイドとセイレーンは人間によく混同されてしまう。不老不死の迷信のせいでマーメイドと間違われて人間に殺されてしまったセイレーンもかなりいるはずだとフランシスカは答えた。
「わたしも兄さんもシャラーノとその父ブロズに殺されそうになったし‥‥。アクセルと冒険者達が助けてくれたので、今もこうやってみんなと話していられるけど、もしあの時、兄さんが殺されてしまっていたなら‥‥どうなっていたのか‥‥」
 フランシスカは近くにいたアクセルの腕をぎゅっと掴んだ。
 大まかな話し合いが終わり、セイレーンの警備をするエル、井伊、アクセル、フランシスカは移動を開始した。テレパシーを使える者は倉庫で待機しているそうだ。慎重に裏口から一人ずつ変装して本社を脱出する。そして離れた場所で待機する馬車に乗り込んだ。
 コルリス、エメラルド、黄桜、十野間修は、カルメン社長、ゲドゥル秘書と相談を煮詰めた。
 必要な船は何隻か。応援として欲しい船乗りの数。さらには手紙によってわかったメテオスとシャラーノへの対処方法。
 しなければならない準備は山積みであった。

●セイレーンの尋問
「せっかく用意してくれたものだしね。生きて帰ってきてって抱きつかれちゃったし」
 倉庫に着くと、エルはルーが用意してくれた大きな耳を覆う袋を被る。セイレーンの魅了は魔力が込められているので、少々の遮蔽では防げないがこれも心意気である。
 小窓から見える遠くのセイレーンに向けて、エルはサイレンスを使う。そして入室前にフェアリーのシアにスリープで眠らせてもらった。仲間と一緒に部屋へ入ると、セイレーンに猿ぐつわを噛ませた。
「ごめんね。歌われるのも噛まれるのも困るんだ‥‥。これ以上の手荒なことは、しないようにするから」
 目を覚ましたセイレーンにエルは声をかけた。
「いくつか訊きたい事がありますー。お願いできるでしょーか」
 井伊はテレパシーを使える者に返事の伝達を頼んだ。
 まずはフランシスカがいっていたセイレーンとマーメイドが間違われた事についてである。だが、セイレーンからの返事は何もなかった。
「僕は双方にとって良い方法があればと考えています。なんでもいいんです。気が向いたら、合図として目線を僕に送ってくださいねー。真剣に聞かせてもらいますからね」
 井伊が離れると、今度はエルの番である。
「名前は? あ、ボクはエル。こんなだけど薬師なんだよ」
 エルがにこやかに話しかけても、セイレーンは視線をそらす。
「どこか痛い所ある? 大丈夫?」
 エルは話しかけながらセイレーンの様子を確認する。どこも怪我はしていなかった。カルメン社長が口にした拷問はしないという約束は守られているようだ。
 監視は元々選抜された船乗り達が行っていたが、四人も参加する。組み合わせはその時の気分である。ただし、魔力を回復させる六時間の睡眠を考慮にいれた。
 エルは一時間に一回の間隔でバイブレーションセンサーを唱え、周囲の警戒を怠らない。
 敵として一番注意すべきは、もう一人のセイレーンである。
 エルも井伊も、アクセルもフランシスカも警戒を続けながら、セイレーンと会話が出来るように信頼関係を築く努力をする。しかし時間は速く過ぎ去っていった。

●準備
 三日目の朝方、トレランツ運送社に二人の男が侵入して暴れる事件があった。
 冒険者達の手を煩わせる事もなく、船乗り達に取り押さえられて大した被害もなく終わる。
 叫んでいた内容から推測するに、もう一人のセイレーンに魅了されたようだ。
 魅了させたセイレーンは現れずに事態は収束する。二人の男を暴れさせたのも本気で狙ったというより、嫌がらせの類だ。仲間の居場所がわからずに苛ついたのであろう。
 そんな事が起こりながらも、カルメン社長の護衛準備は着々と進んでいた。
 先に会談予定の水上へ冒険者達が向かう案も出されたが、カルメン社長の身辺警護を重視して却下される。
 四日目の太陽が昇る四時間程前、カルメン社長が帆船へ乗船する。同時に会談用帆船と、冒険者用の帆船、計三隻がルーアンを出航した。
 メテオス側の帆船は上流のパリ方面から出航しているはずである。パリとルーアンの間にあるセーヌ川水上で行われる会談は間近に迫っていた。

●会談
(「今のところ、怪しいことはねぇだ‥‥油断は禁物だけどよ」)
 黄桜は真上に碇泊している会談用帆船を水中から眺める。すでに目的の場所に到着し、メテオス側の帆船も近くに碇泊していた。
 今は会談用帆船をメテオス側の者が調べている途中である。何も仕掛けられていないのが確かめられた上で会談は始まる段取りになっていた。
 黄桜はペットのスモールシェルドラゴンの『オヤジ』と、ヒポカンプスの『エンゾウ』にも水中での監視を手伝わせていた。いくら幅広いセーヌ川といえども、これで水中の護衛は完璧である。いざとなれば大ガマの術によってガマの助も出現させられる。
 水中における索敵は黄桜に任せれば万全であった。

「ここから遠くまで見通せますし、ちょうどいいはずです」
 コルリスは弓を用意して会談用の帆船から離れた冒険者用の帆船で待機していた。備えとしてすでに小舟は浮かべてある。
 手紙による情報によれば、グラシュー海運は一隻の帆船をパリに碇泊させている。
 冒険者達は先手を打っていた。パリには手が届かないとしても、グラシュー海運が基点とする港付近には多数のトレランツの帆船を配置済みだ。容易には出航出来ないだろう。消去法からいって、絡んでくる可能性があるのはパリの一隻だけだ。
「射撃の得意なコルリスさんでしたら、的確な位置に投げ込めるはずです」
「これは、セイレーン対策ですね」
 十野間修はコルリスに近づいてラーンの投網を手渡す。セイレーンは片割れを捜しているようなので、こちらには来ないと思われるが念の為である。
 十野間修は出航前にカルメン社長へ伝えた事があった。襲撃を囮にしてメテオスが事を起こす可能性を。
「エメラルドさんがいれば平気だと思いますが」
 十野間修は遠くに並ぶ会談用帆船、メテオス側の帆船、カルメン社長が乗る帆船を眺めた。
 代表者の他に一人ずつ丸腰の護衛の者を会談用帆船に同席させるとつい先ほど決まった。急遽選抜されたエメラルドは、今頃カルメン社長と会談用の帆船に乗り込んだはずである。
 十野間修は空を見上げた。
 太陽の傾きからいって、ちょうど昼時。会談が始まる時間であった。

「初めまして」
「こちらこそ」
 カルメン社長に挨拶してきた相手は、ゲドゥル秘書にそっくりであった。
 敵の武器商人メテオスだと、カルメン社長は自分に言い聞かせた。
 互いに席に着き、たわいもない話題から会談は始まった。カルメン社長の隣りにはエメラルドが立っている。メテオスの横にも護衛の者が立つ。
 向かい合う間にあるテーブルには料理が並べられていた。
「カルメン社長はどのような趣旨でこのような場をお考えに?」
「グラシュー海運と我々の対立はご存じのはず。メテオス社長は今後のお立場をどのようにお考えか、お聞きしたく」
「すべては誤解‥‥、この一言につきます。どうでしょう? 次はシャラーノ社長も呼ばれては?」
「面白いことを仰いますこと」
 白々しい言葉が行き交う。その時、離れたセーヌ川上流でも緊張状態が始まっていた。
 冒険者側の帆船と、パリ方面から来たグラシュー海運の帆船が睨み合う。戦闘には突入していないが、グラシュー海運の帆船進路を冒険者側の帆船が塞いでいたからだ。
 グラシュー海運側の帆船から抗議の声が飛んでくるが、冒険者達は意に介しない。
 戦端を自ら開く事はしないが、この場を譲る訳にはいかなかった。少なくとも会談の終了予定時間までは。
 会談の帆船ではわずかに進展があった。過去にグラシュー海運が行った悪事についてが話し合われる。
「現在はトーマ・アロワイヨー領となっていますが、かつてエリファス・ブロリア領であった頃、グラシュー海運から闇ルートの武器が流れています。後にエリファスは反逆罪で刑に処されていますし、これはメテオス社長にとっても由々しき問題では?」
「現在、グラシュー海運及びそれに繋がる者はヴェルナー領では犯罪人。しかし、最初にいった通り、それは誤解でラルフ領主とも手紙で交渉中であります」
「誤解といわれますが、様々な証拠があります。先の預言の最後、多くの貴族達は反逆の狼煙をあげた‥‥。失礼ながらメテオス社長はどうなされていたのでしょう?」
「国王陛下に弓引くなどと、考えられぬ事。知らぬようですからお教えしましょう。復興戦争で戦功をあげましたが、領地の配分を賜らず、代わりに商人として身を立てる助力を願ったのです。そのわたくしが国王陛下に‥‥。カルメン社長は冗談がお上手のようだ」
 笑うメテオスをカルメン社長は冷ややかな瞳で見つめる。
 それからも会談は続くが進展はなかった。予定の時間を三十分程過ぎた所で会談は終了する。
 テーブルに出された料理は互いに一口も食べることなく、すべては終わった。
 長く睨み合いが続いていたが、冒険者側の帆船が動いて相手側の進路を開ける。あれだけ通過したがっていたグラシュー海運の帆船であったが、反転して引き返してゆく。
 トレランツ側の三隻はルーアンに向かう。入港したのは深夜遅くであった。

●成果
「名前はわかったよ。彼女の名前はエレンといって妹。姉はエレサというみたい。まだまだ怒っていたけど」
 五日目の朝、社長室に集まった仲間にエルは倉庫での事を話す。マーメイドと間違って人間が襲った事を謝るとそれだけは話してくれたのだ。
「そんなに悪いよーには見えなかったんだけど‥‥知らない間に俺って魅了されてたり?」
 井伊は見張りの時、涙を流したセイレーンを見てしまった。その事が心の奥底に引っかかっている。
「メテオスとの会談だが‥‥、あの男はシャラーノの父親であるブロズのように領地をもらえるぐらいの働きをしておきながら、わざわざ蹴って商人になったようだよ」
「なんでそんなもったいない事を」
 カルメン社長の言葉にゲドゥル秘書が首を傾げる。
「つまりだ。あたしはこう考えた。メテオスにとって復興戦争の報償は領地程度では不服だった。そんなちっぽけなものなら、もっと実質的な力を得られるもの、金をとったのさ。復興戦争が終わった時から国家転覆を企んでいるのかも知れないね‥‥。問題はメテオスとシャラーノとどちらが立場が上なのかだが‥‥、普通ならメテオスなんだがね」
 カルメン社長は考えを聞き終わった時には、出航の時間になっていた。
「エメラルドさん、突然の護衛すまなかった。ゲドゥルじゃ頼りなかったんでね。あの緊張の中をよくがんばってくれたよ」
「いや、立っていただけで何もしていない」
「そんな事はないさ。敵の護衛との見えない駆け引きがあったはず。おかげで会談中、心強かったよ」
 カルメン社長はエメラルドに感謝した。
 追加の謝礼金をもらって冒険者達は乗船し、パリへと出航した。六日目の夕方、冒険者達はパリの地を踏む。
 戦いはなかったものの、一触即発の時間は長く続いた。冒険者達はパリの寝床でゆっくりと休みたいと、依頼を終わらせる為にギルドへ急ぐのであった。