冒険者としての一歩 〜ちびブラ団〜

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 85 C

参加人数:6人

サポート参加人数:2人

冒険期間:04月12日〜04月18日

リプレイ公開日:2009年04月20日

●オープニング

 冒険者ギルドは今日も賑やかであった。
 困り事を抱えてやってくる依頼者。自分の能力を活かして解決できそうな依頼を探す冒険者。それらの人々の仲介をするギルド員。
 そんな中に四人の小さな姿があった。少し前までちびっ子ブランシュ騎士団と名乗っていた子供達である。
「どの依頼がいいかな?」
 慎重な面もちで少年アウストは掲示板を見上げる。
「初めての依頼だしな」
 少年ベリムートも緊張気味であった。
「モンスター倒すやつにしようぜ。俺達も倒せそうなのでさ」
「なに考えているのよ〜。もう〜、そっちはベテランの冒険者用の依頼書が貼られた掲示板よ」
 少女コリルに腕を握られた少年クヌットがアウストとベリムートの側へと連れ戻されていた。
「あ、これ‥‥」
 アウストが一枚の依頼書に注目して仲間三人に知らせる。
「この依頼人の名前、どっかで聞いたような‥‥そうだ。盗まれたフェアリーを買い取っていた貴族のお姉さんだ」
 ベリムートは思いだす。ソーシリィ・オンロとは闇商人からエレメンタラーフェアリーを買っていた人物だ。子供達四人が依頼を出して冒険者達に解決してもらった過去がある。
 あの時、フェアリーを盗んで売り飛ばしていた闇商人は官憲へと引き渡された。ソーシリィは捕まらなかったものの、買い取ったフェアリーを渋々解放している。
「そうだったよな。ん? なんかまたフェアリー絡みみたいだぞ。逃げたフェアリーを探して欲しいってさ」
 クヌットが首を傾げる。
「フェアリーはぜんぶ解放したはずよね‥‥。わからないように隠していたのかな?」
 コリルは腰のカバンの中に収まっている月のフェアリー・プラティナと目を合わす。
 話し合った子供達四人はソーシリィから直接聞いてみる事に決めた。屋敷を訪ねるとすんなりと通してくれる。
 ソーシリィによればフェアリーを解放した後、一体だけがしばらくして戻ってきてくれたのだという。つい先日までそのフェアリー、ピピナと仲良く暮らしていたらしい。
 ところが約一週間前、ソーシリィが郊外に出かけた時に事件は起こる。馬車の中でソーシリィが居眠りをした隙にフェアリー・ピピナが消えてしまったのだ。
「ピピナとは仲良くしてましたの。もしピピナがわたくしから離れたいのなら、悲しいですが受け入れますわ。でも、きっと、つい遊び心で馬車の外に出て迷子になってしまっただけだと思いますの」
 ソーシリィは一緒に探して欲しいと子供達四人に願う。
(「悲しいよね‥‥そういうのって」)
 コリルにもプラティナが迷子になって困った時があった。今度は自分が助ける番だと心に決める。
 屋敷を出た後、子供達四人は冒険者ギルドへと戻る。そしてソーシリィが出したフェアリー探しの依頼へと入るのであった。

●今回の参加者

 eb2949 アニエス・グラン・クリュ(20歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 eb5231 中 丹(30歳・♂・武道家・河童・華仙教大国)
 ec3546 ラルフェン・シュスト(36歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ec4004 ルネ・クライン(26歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ec4540 ニコラ・ル・ヴァン(32歳・♂・バード・人間・フランク王国)
 ec6164 文月 太一(24歳・♂・忍者・ジャイアント・ジャパン)

●サポート参加者

ポーレット・モラン(ea9589)/ エレイン・アンフィニー(ec4252

●リプレイ本文

●集合
「よろしくお願いします〜〜」
 早朝の依頼人ソーシリィの屋敷前に四人の若い声が響き渡る。
 落ち着いた様子の少年ベリムート・シャイエ。
 元気一杯の少年クヌット・デュソー。
 大きな瞳の少女コリル・キュレーラ。
 姿勢正しい少年アウスト・ゲノック。
 子供達四人は初の冒険者としての活動に心弾ませていた。
 一緒に依頼を解決しに向かう六人の仲間もすでに集まる。文月太一(ec6164)を除けば他の五人は四人の子供達がよく知る者達ばかりだ。
「俺は忍者の文月太一。うんと、俺のことは文ちゃんって呼んでくれると嬉しい」
「文ちゃんだね。みんな気を引き締めてがんばります。馬車の御者はあたしたち四人に任せてください〜」
 文月太一が元気に腕を上下させながらコリルと握手をした。他の仲間達やソーシリィとも同様である。
「はい。こちらを」
「ありがとう助かるわ。わぁ、どれも瑞々しいわね」
 ルネ・クライン(ec4004)は見送りのエレインから大きな葉っぱや鮮やかな花束を受け取る。すぐには枯れないように水を張った桶に入れられていた。
 探すフェアリーのピピナはこういうもので遊ぶのが大好きなようなので、特別に用意してもらったのである。
「こんなものでよろしいかしら?」
「ええ、充分です。ペテロ、こっちにおいで」
 アニエス・グラン・クリュ(eb2949)はソーシリィからピピナ用の服などを受け取って愛犬のペテロに嗅がせておく。
 フェアリーに匂いがあるとは思えないが、ソーシリィがつけている香水の移り香から探れるかも知れないからだ。
「ちびブラ団のみんな、おひさしぶり! 冒険者になったんだってね。おめでとう!」
「ニコラさんありがと〜。あのね、冒険者になったから、ちびブラ団って名前はなるべく使わないように決めたんだ」
 ベリムートが代表してニコラ・ル・ヴァン(ec4540)に事情を説明する。冒険者になったからには、ごっこ遊びの延長はやめようと四人で話し合ったのだと。
「そうなのか。ちょっと残念だけど仕方ないな。それはそれとして、あとでとっておきの歌を聴かせてあげるよ」
「うぁ〜、楽しみだな♪」
 子供達四人は満面の笑みでニコラに頷くのであった。
「さあ、そろそろ行こうか。現地での捜索は俺と一緒だな」
「はい!」
 いつもは冷静沈着なアウストが興奮気味だとラルフェン・シュスト(ec3546)は感じ取る。かつては自分もこうであったのだろうと思いながら馬車へと乗り込んだ。
「初めての依頼やな、がんばりや」
「ありがと、中丹さん。俺、がんばるぜ」
 先に御者台へ座っていた中丹(eb5231)が隣のクヌットに声をかける。最初の御者役はクヌットのようだ。
 アニエスの勧めで身軽な格好に着替えてきたソーシリィが乗り込むと馬車は出発する。
 パリを囲む城塞門を抜けて街道を駆けた。道には人も歩いてるし、すれ違う馬車や荷馬車もある。
「どうしたの? 中丹さん」
「あ〜いや、たいしたことあらへん」
 両手を挙げて腰を伸ばした中丹に、御者を交代したばかりのコリルが首を傾げる。
(「ちょっとぐらいのミスはガマン、ガマンや。しかし思わず手を出したくなるもんやな‥‥」)
 大きな事故を起こさない限り、そして子供達から協力を求められない限り、手は貸さずに見守ろうと中丹は考えていた。
 昼過ぎには食事の時間となる。初日はルネが作ってきてくれたパンに具を挟んだお弁当をみんなで頂いた。費用はルネ持ちである。
「すごく美味しいぜ。特に中に入っているチーズが」
「ほんと? 嬉しいわ」
 口を大きく開けて食べるクヌットに様子にルネも嬉しくなる。
 午後も目的地への旅が続く。微妙に遅い進みであったが、許容の範囲で収まるだろう。
 やがて日が暮れようとした頃、道から外れて野営の準備が行われた。
「ぷはぁ〜‥‥、手伝わへんというのもつらいもんや〜」
 中丹は焚き火用の落ち枝を拾う時、誰にも聞こえないよう呟く。
(「どうかあの方が、あの方でい続けられますように‥‥」)
 アニエスは枝を拾い終わった後で安全を確かめて大地に跪く。そしある人を想いながら祈りを捧げるのであった。

●失踪場所
「この少し先で目覚めて、ピピナがいないのに気づいたのですわ」
 二日目の昼過ぎ、依頼人ソーシリィが走る馬車内で眠ってしまったという周辺に辿り着いた。
 かねてからの作戦の通り、一行は組に分かれて捜索を始める。
 道の右側をA班とB班、左側をC班とD班が受け持つ。
 A班はソーシリィ、アニエス、コリル。
 B班は中丹、文月太一、クヌット。
 C班はルネ、ニコラ。
 D班はラルフェン、アウスト。
 ベリムートは馬車の見張りと馬の世話係だが、途中で他の子供達と交代する約束になっていた。
 ソーシリィが居眠りをしていたのは約二時間。馬車が走り抜けた距離は16キロ前後。その間の八割は森の中である。当然ピピナも移動しているはずなので、約20キロの道沿いが捜索範囲となった。

●A班
「ピピナ〜わたくしよ〜〜」
 森の中にソーシリィの声が響き渡る。
「この辺に小川などはないようですね」
 アニエスは地図で周囲の情報を確かめる。ちなみに地図の拡大版を中丹にも渡してあった。
「フェアリーの仲間がいたら教えてね」
 コリルのお願いにフェアリーのプラティナとニュクスが両手を振って答える。
 空にはアニエスがミストブレイド+2で作った霧の球が浮かんでいた。約一時間で切れるので時計代わりである。一時間が経過したら呼子笛を鳴らし、全部の班が馬車周辺に集まる約束だった。
「ここにはいませんか。引き続きお願いしますね」
 アニエスは枝に斬ったロープを結ぶと、臭いを探ってきた愛犬ペテロの頭を撫でてあげる。ロープは帰り道を示す目印であった。

●B班
「俺より若い、んだよね? すごいね、その年で外に出られて」
「文ちゃんは出られなかったのか?」
「遭難するから外出禁止って言われてたくらいだからね」
「うぁ〜、そうなんだ〜」
 文月太一とクヌットは木によじ登ってピピナがいるかどうかを確かめる。
 ソーシリィによればピピナは大きな葉に乗って遊ぶのが好きらしい。それらしき場所を見つけるとゆっくりと分け入って調べてゆく。
「ちょっとちょっと、どこ行こうとしとんのや」
「えっと、こっちじゃなかったっけ?」
 突然逆方向に歩きだす文月太一の袖を中丹が掴む。文月太一は筋金入りの迷子癖を持っていた。一人にしたら確実に迷子になっているだろう。
「そうだ。中丹さん、前に振り子を地図に垂らしてなかったっけ? あれってピピナのいるとこ、調べられない?」
「ダウジングペンデュラムなら持っとるで。魔法とちごうて占いの一種やから、当たらん時もあるけどな」
 クヌットに頼まれた中丹は地図に垂らしてみる。
「この辺の反応は薄い感じやな。ま、念の為に調べておいて損はないやろ」
 中丹にクヌットと文月太一が頷く。
 B班は引き続き周辺の調査を続行するのだった。

●C班
「きっとピピナは遊びに夢中になっていると思うの」
「ピピナの以前が野生だった可能性も捨てきれないな。前の飼い主を探そうとしているかも知れないし」
 ルネとニコラの推理を聞きながらベリムートは手にする大きな葉っぱを揺らせながら歩いた。先程まで馬車の見張り番をしていたのだが、コリルと交代したのである。
 ルネとニコラも花束を持って森の中を進む。
「ピピナ〜。とにかくもう一度ソーシリィさんに会って欲しいんだ〜〜」
 ベリムートは大きな声でピピナに呼びかけた。
(「ピピナの心情は果たして‥‥」)
 ニコラはピピナが嫌がったのなら無理に連れ戻さなくてもよいと考えていた。ピピナとソーシリィの双方が幸せになる未来、それは必ずしも一緒に暮らす事とは限らないからだ。
「ピピナ、まずはお話しましょう〜」
 ルネはピピナが迷子になっただけだと考えて茂みの中を懸命に探した。ソーシリィが嫌いなら最初の解放で戻ってくる事はなかっただろうと。
 集合の鳴子笛が聞こえると、C班は道の方角へ戻っていった。

●D班
「もしウィナなら森のどの辺りで生活をするだろうか?」
 捜索中、ラルフェンは連れてきたフェアリーのウィナフレッドに訊ねる。
 時は過ぎて四日目の午後。ピピナはまだ発見されていなかった。
 腕を組んで悩みだしたウィナフレッドだが、やがて考えるのを止めてラルフェンの頭の上に座る。どうやら考えつかなかったらしい。
「ピピナは風の精霊だから、やっぱり木の上とかの高い所かな?」
「なるほど。そうかも知れないな」
 アウストの考えをラルフェンは否定しない。そしてなるべく考える時間を与えるように心がけた。焦らせると、せっかくのアウストの知識と思考も空回りしてしまうかも知れないからだ。
「もしウィナフレッドがラルフェンの元を離れたいっていったら、そうしてあげるの?」
「‥‥そうだな。どのような理由でも別れは辛い。しかし笑顔で送ってやるつもりだ。感謝を伝え、幸福を信じて祈りたいものだな」
 ラルフェンはアウストに答えながら頭の上にいたウィナフレッドを掌に乗せ、微笑みかけるのであった。

●ピピナ
(「あ、あれ!」)
 ルネが心の中で呟いた時、茂みの中で一緒に身を潜めるC班のベリムートとニコラも気がつく。
 森の拓けた場所に小さな水辺に持ってきた葉や花を浮かべておいた所、一体のフェアリーが現れたのだ。服の特徴からしてピピナに間違いなかった。
 テレパシーでは到底届かない距離なので、ベリムートがアニエスから借りていたフライングブルームで仲間へ知らせに戻る。ニコラとルネはそのまま見張りを続けた。
 やがて馬車見張りのクヌットを除く全員が集まる。
「教えてもらったピピナの性格からすれば、いきなり姿を現すと何もなくても逃げてしまうかも知れない。ここはまずフェアリー達に任せては?」
 ヒソヒソ声での話し合いが行われ、ラルフェンの意見が採用される。
 ラルフェンのウィナフレッド、アニエスのニュクス、コリルのプラティナの三体が主人の言いつけ通りに水辺のピピナへと近づいてゆく。
 フェアリー達は浮かぶ葉っぱの上でやり取りをし始めた。しばらくしてプラティナが一行の元へ戻ってくる。
「ソーシリィお姉さんに会いたいっていってるみたいよ〜」
 コリルが単語や手振り身振りからプラティナの伝えたい内容を理解して周囲の者達に伝えた。
 我慢していたソーシリィは茂みから飛びだす。
「ピピナ! ごめんなさい。ひとりぼっちにしてしまって!!」
 ソーシリィが両手を伸ばして掌を広げた。空中を舞ったピピナがゆっくりと近づいて掌の上に乗る。
「わたくしが寝ているうちに、つい遊びたくなって馬車を抜けだしただけよね?」
 ソーシリィの問いにピピナは首を横に振る。
「それでは‥‥自分の意志で馬車を下りたの?」
 今度は首を縦に振ったピピナであった。
「そうなのね‥‥」
 ソーシリィは酷く項垂れてしまう。覚悟はしていたようだが、やはり現実になると心に突き刺さるものがあるようだ。
「あれはなんだろ?」
 ふと文月太一が振り向くと、仲間達のとは違うフェアリー一体が森の中を飛翔していた。
 キョロキョロと見回す仕草に、もしや自分と同じように迷子の癖を持つフェアリーではないかと文月太一は考える。ソーシリィとピピナが見えるように木の枝を退けてあげると、フェアリーは一直線に飛んでゆく。
「あなたは?」
 ソーシリィは顔をあげ、ピピナの横に現れた知らないフェアリーを見つめる。どうやら風フェアリーの女の子のようだ。
「もしかして――」
 ソーシリィはピピナと話し合う。そしてようやく判明した。
 ピピナはこの風フェアリーの女の子を追って馬車を抜けだしたようだ。決してソーシリィを嫌いになったのではなかった。パリのソーシリィの屋敷まで戻ろうとしていたようだが、離れた土地なので途方に暮れていたらしい。
「それではあなたもピピナと一緒にわたくしの屋敷に来てはどうかしら? 歓迎致しますわ」
 ソーシリィの勧めにピピナと風フェアリーの女の子が頷く。
 落ち込んでいた様子から一変して、ソーシリィは表情を明るくするのであった。

●帰り道
 一晩の野営を経て一行はパリへの帰路につく。
「そうか、二人になったのか〜」
 クヌットはコリルからピピナとソーシリィが再会した時の話を聞いた。
「あの時は嬉しかったですわ。ピピナにカードの文字を読んで聞かせてあげましたもの」
 アニエスは去年の聖夜祭の時、ソーシリィにもカードを贈っていた。どうやら喜んでもらえていたようである。
「みんなが幸せになれるのが一番よいのさ」
 ニコラは竪琴を取りだすと奏でながら歌い始める。

「♪僕らは風の冒険者
  例えば誰かの陽だまりに 突然吹き込む強い風
  草花を枯らす冷たい北風 蕾を咲かせるあったか春風
  どちらになるかは心次第
  僕らは風の冒険者♪」

 春のそよ風の中、馬車はパリへの道を辿り続けた。

●そして
 ソーシリィはせめてものお礼だと回復の薬と追加の報酬を冒険者達に贈った。
 その後冒険者達は徒歩でギルドに立ち寄る。
「何度かこの剣を見たことあると思うんやけど、おいらが皆の前で抜いたことはなかったと思う」
 報告を済ませた別れ際、中丹は子供達四人にダモクレスの剣を差しだす。
「確かに魔法剣や。でもこの剣は守るための剣なんや」
 コリルが代表して大事に剣を受け取った。
「騎士になるんやろ? せやったら、いつか使うときが来る。持っとき」
 中丹の言葉に子供達四人は強く頷いた。
「そういえば、みんなに預かり物があるんだよ。御館様の弟君から僧兵の人なんだけど」
 文月太一がペガサス・雪花の荷物から取りだしたのはライトスピアである。
「えっと、『冒険者になったお祝いです頑張って』っていってたよ」
 子供達は槍の練習が本格的に出来ると喜び、文月太一に礼をいった。
「お疲れ様、皆よく頑張ったわね。とっても素敵だったわよ♪」
 ルネは子供達一人一人を抱きしめて言葉をかける。そして弁当と一緒に作っておいた焼き菓子をプレゼントする。
「どうだった? 初めての依頼は」
 ルネはラルフェンを呼び寄せてから子供達に感想を訊ねた。
「やっぱり難しいよね。でも解決した時は嬉しいよね〜」
 コリルの言葉が今回の子供達四人のすべてを物語る。
「今の自分の手が届く範囲を、あの子達はこの冒険で把握出来たのだろうか?」
 ラルフェンは去りゆく子供達四人の影を目で追う。その答えが出るのにはもうしばらくの時間が必要だ。

 その日の深夜、吉多の仲介によってアニエス、中丹、ラルフェン、ルネには子供達四人の稼ぎからそれぞれに0・3Gが返済されるのであった。