悪魔と結託した領主

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:11〜lv

難易度:やや易

成功報酬:5 G 92 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:05月06日〜05月14日

リプレイ公開日:2007年05月14日

●オープニング

「そんなに気を使うな。楽にしてくれ」
 ブランシュ騎士団黒分隊長ラルフ・ヴェルナーは護衛の部下二人に声をかける。
 自らの馬でラルフは領地に戻っていた。パリから北西にあるルーアンを中心にしたヴェルナー領である。
 パリでの黒分隊指揮はエフォール黒分隊副長に任せてあった。
 城に入ったラルフは休憩する部屋にヴェルナー領諜報部署の者を呼んだ。
「最近のブロリア領の様子はどうなのだ?」
 ラルフが訊いたブロリア領とはヴェルナー領の北に位置する小さな別領地である。
 男性領主名はエリファス・ブロリア。
 エリファス領主の評判は領地の民にとてもよい。領民の事を考えた施策をし、慕われていた。だが、ラルフには思う所があった。
「エリファス領主はまだ尻尾を出さぬか‥‥」
 ラルフは進展のない報告を受けると腕を組む。ブランシュ騎士団では、確固たる証拠がないものの、エリファス領主がデビルを支援しているとの情報が前々からあった。
「ごくろうだった。下がってよいぞ」
 諜報部署の者は部屋を出てゆく。
「きっかけとなる情報でいい。なんとかならないだろうか‥‥。お前達はどう思う?」
 ラルフは護衛の部下二人に話しかけた。レウリー隊員が一歩前に出る。
「はっ。やはり潜入捜査が一番ではないかと」
「その通りだが、すでに諜報部署の者も行っている。それでも情報を得られないのだ」
「先程の報告を聞きました所、確かにエリファスの城に諜報部署の息がかかった者は潜り込んでいるようですが、重要な立場ではないようです。ここは多少強引な手を使うべきかと」
「その方法とは?」
「囮と潜入の二段構えです」
 レウリー隊員は説明を続けた。黒分隊の何名かを特使として派遣して、注意を引く囮にする。それとは別に潜入する者達を用意する作戦だ。
「‥‥わかった。レウリー隊員、作戦を任せる。好きなようにやってみろ。エリファス領主はもちろんだが、側近であるアロイスにも注意した方がいい」
「はっ!」
 レウリー隊員は先にパリへと戻る。そして自分を含める三名の特使を準備した。
 何日かしてレウリー隊員は冒険者ギルドを訪れた。
 潜入する者達を冒険者から募集する為である。黒分隊にも潜入の能力に長けた者もいるのだが、面の割れている可能性があった。それに多岐に渡る能力は冒険者達の方が上だ。どうしても黒分隊は直接の戦闘に特化した者が多い。
「素性を隠して領地に潜入してもいいし、例えば大道芸人に化けてもいい。方法は冒険者に任せる。あと、やはり荒事になる覚悟はしておいて欲しい」
 レウリー隊員は依頼を終えると、さらなる用意に奔走するのであった。

●今回の参加者

 ea2350 シクル・ザーン(23歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 ea3047 フランシア・ド・フルール(33歳・♀・ビショップ・人間・ノルマン王国)
 eb0206 ラーバルト・バトルハンマー(21歳・♂・ファイター・ドワーフ・ノルマン王国)
 eb0828 ディグニス・ヘリオドール(36歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 eb2235 小 丹(40歳・♂・ファイター・パラ・華仙教大国)
 eb3781 アレックス・ミンツ(46歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 eb5413 シャルウィード・ハミルトン(34歳・♀・ファイター・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb5818 乱 雪華(29歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)

●サポート参加者

中 丹(eb5231

●リプレイ本文

●目的の地
 川面の涼しい風が冒険者達の頬を撫でてゆく。
 帆が風を受けて帆船はセーヌ川を下る。一夜を跨ぎ、二日目の昼頃に一行はルーアンに到着した。
「それではまた帰りの船で会おう」
 レウリー隊員を含める黒分隊の特使三人と冒険者達は別れる。船の中で相談はすでに行われていた。レウリー隊員から冒険者達はヒーリングポーションを一本ずつ渡されている。その他にも必要な物があれば支払ってくれるそうだ。自費を出すつもりだった冒険者もいたが、ここは黒分隊に甘える事にした。
 手配に滞りはなく、冒険者達は御者付きの馬車で目的の地『エリファス領』の間近に到着する。御者は六日目の昼間頃からこの周辺で待機する事を告げて馬車は走り去って行く。
 冒険者達は何かあった時は夕刻から夜の浅い頃、城近くの一番大きな酒場に集まるのを決める。そして潜入は開始された。

 フランシア・ド・フルール(ea3047)は巡礼を装い、一人で領内に通じる門に向かう。
 時間をずらしてアレックス・ミンツ(eb3781)も門に向かった。旅の鍛冶屋としてである。
 乱雪華(eb5818)は用意した薬草を背負い、薬草師として門を潜る。
 門を普通に潜って領内に入った者達は監視の目が付くのを覚悟していた。
 ラーバルト・バトルハンマー(eb0206)は他人の馬車の裏側に貼りついて潜入する。
 ディグニス・ヘリオドール(eb0828)は暗くなってから空を飛べるベゾムに跨り、石壁を乗り越えた。
 シクル・ザーン(ea2350)は真夜中にミミクリーを使い、巨大な梟に化けて領内に進入した。
 小丹(eb2235)は真夜中に軽業で石壁をよじ登り、手薄な場所から領内に降りる。
 シャルウィード・ハミルトン(eb5413)は三日目から四日目にかけて領の外から調べ、それから潜入するつもりでいた。

●大梟のシクル
「さて今日こそが本番です」
 シクルは五日目の夜、ミミクリーで大梟に化ける。必要な物を持ち、夜空舞う。上空から眺めるエリファスの城は堅牢な要塞であった。山師のフリをして過ごした間ではこれといった情報は得られていない。
 見張りの衛兵がいない塔に降りて人の姿に戻った。その場所を基点にしてミミクリーをかけ直し、シクルは大梟になって空から城を探る。さすがに目立つ場所は領主の姿は見かけられない。わかったのは衛兵が出入り口となる門へと極端に集中している事だ。
 そしてもう一つおかしい部分がある。絶対に入れない巨大な区画があるようなのだ。
 目視でわかる範囲で出入り口は見あたらない。手を尽くしてみたが、中に入るのは無理であった。
 夜が明け、シクルは衛兵の格好に着替える。昨日、酒場で酔っぱらっていた衛兵から買ったものだ。
 シクルは覚悟を決めて衛兵の姿のまま城内を探ったが、やはり出入り口は見つからなかった。途中、区画の存在を潜入していた小丹に伝える。
 夕方頃、警鐘が鳴り響き、門の近くにいた衛兵が外に飛びだしていった。シクルは迷ったが、衛兵達に紛れて城外へ出るのだった。

●巡礼のフランシア
「この地はよい所でしょう」
 司祭がフランシアにやさしく声をかけた。
 ノルマン故に白教義の教会である。黒の教義を知るフランシアは、その点に触れずに巡礼で宿を求めた。司祭もわかっているようで何も訊かずに場所を提供したのだ。
 フランシアが教会内でエリファス卿の話題を持ちだすと、とてもいい領主だと答えが返る。どの領民に訊いても同じであった。だからといって洗脳されている様子もない。
 城に赴き、祝福を理由に面会を求めたが門前払いを受ける。それはある意味で真っ当であるが、また疑いの目を向ける理由ともなる。
 数日の間の会話と信者とのやり取りを元に、フランシアは司祭の神への信仰心を信じる。そして懺悔の部屋で質問をした。領主エリファス卿と側近アロイス卿がデビルと関与していないか、ずばりの質問である。
 司祭は二人の秘密については何も知らないと答えた。ただ、半年前のある夜、妙なものを見たという。大量の黒い翼が城に向かって飛んでいったそうだ。
「蝙蝠だと思い込むようにしてきましたが、あれはデビルではと‥‥」
 司祭の答えには迷いがあった。
 六日目の夕方、領の外に出ようと歩いていたフランシアは門の近くで騒がしい状況に出くわした。

●戦う鍛冶屋ラーバルト
 夕方になると農地を回り、領地の様子を窺う。夜には酒場を訪れて、情報の交換をする。そして、屋根が壊れ、うちすてられた小屋の中に張ったテントの中で寝るのがラーバルトの行動であった。
 領地内は農業が発展した地らしく、のどかな風景が広がっていた。『とてもデビルと繋がりがあるとは思えない』とラーバルトは生え揃わない髭を触りながら呟いた。。
「そうなのか。ありがとうな」
 ラーバルトは農民の一人から、城に納める野菜が増えたのを教えてもらう。代金はもらえるし、何も問題はないといっていたが、五倍になるのはただごとではない。豪華なパーティが開かれる様子もないようだ。肉などもたくさん納品されているらしい。
 六日目の夕方、ラーバルトは門の近くで仲間が戦っているのを見かけた。取りだしたハンマーを強く握りしめ、ラーバルトは大声をあげて参戦するのだった。

●画家ディグニス
「ここで何か風景画に適した場所はありませんかねぇ?」
 ディグニスは道端の農民に声をかける。画家として振る舞いながら、最近見かけない人物がいないかを訊ねた。画材などはパリで買い求めて持ってきた物である。
「逆だねえ。知らぬ顔が増えた感じがするねえ」
 年老いた農民が答える。ディグニスはお礼をいうと再び領主の城を目指した。見はらしのいい場所を見つけ、ディグニスは腰を据える。
 六日目になり、城の絵は完成した。構造が分かりやすいように気をつけて描かれていた。描きながら様子も観察していたが、城に出入りする人々が多く感じられる。
 時間をみて領地の境となる石壁の上も観察してみたが、衛兵の動きはかなり訓練されていた。外からの進入を特に気にしているようだ。
 六日目の夕方、ディグニスは町中をぶらついていた。帰りもベゾムを使えば、すぐに脱出出来るからだ。
 門を通り過ぎようとした時、喧噪を耳にしたディグニスは振り向いた。

●囮のアレックス
「これは簡単に塞がるな」
 道端に集めてきた薪を積み、火を焚く。アレックスは材料代程度で金属製品の修理を行っていた。
 穴が空いた鍋や、切れなくなった刃物など、様々なものを修理してゆく。本格的にこの地で鍛冶屋をやればかなり儲かりそうな調子だ。
 アレックスはわざと領地に入る門の所で挙動不審な態度をした。きっと監視の目がついている事だろう。監視をする者の数にも限界があるはずだ。こうすれば仲間の仕事が楽になるとアレックスは考えたのだ。
 直してゆくうちに、妙な剣を持ち込まれる。血に浸されて錆びたとしか思えない剣だ。持ってきた者に訊いてみると、剣が大量に捨てられている場所があり、そこで拾ったそうだ。近くの集落の者の間で話題になると、ある日全部なくなっていたらしい。
 六日目の夕方になり、そろそろ領地を出ようと門に向かう。
「あれは!」
 門の近くで仲間が衛兵と戦っているのを見かけるアレックスであった。

●薬草師の乱雪華
「身体の調子が悪い方をしりませんか?」
 乱は領内に入るなり、衛兵に訊ねた。驚きながらも衛兵は役所を教えてくれた。役所に出向いた乱は許可を取って無料で領民の治療にあたる事にした。
「最近原因のわからない病などが流行していたりしていませんか?」
 診療する病人に話しを訊くが、鉱毒の被害で病気にかかっている者はいないようだ。
 考えられる様々な事の探りを入れる乱であったが、エリファス領はとてもよい土地であった。盗賊やモンスターによる被害も少ないそうだ。
 薬草を集める乱はふと眺めた。風になびく草花の風景はデビルと無縁に感じる。しかし見方をかえればこのような状況は異常だ。
「襲う側の住まう土地なら、平和であっても不思議ではないのでは‥‥」
 乱は夜になると酒場に出向き、情報の交換をした。
 六日目の夕方、潜入を終えて門を出ようとする。騒がしさに後ろを振り向くと大立ち回りをしている仲間の姿があった。

●鷹の目とシャルウィード
「よしよし」
 スカーフで耳を隠したシャルウィードは肩に留まった鷹のハルを撫でる。空を飛ぶハルとオーラテレパスでやり取りをし、大体の地形はシャルウィードの頭の中に入った。
 四日目の真夜中に小丹が用意してくれたロープを登り、シャルウィードは石壁を乗り越えた。
 翌日からシャルウィードは傭兵が集まる場所に出向く。狭い領地である。傭兵が必要になるのは必然だからだ。
 穏やかな景色の広がるエリファス領であったが、傭兵はさすがにやんちゃな奴らが多かった。酒を奢りながら傭兵に訊いてみると、自分達以外にも傭兵を集めているように感じているそうだ。確固たる証拠はないとつけ加えていたが。
 夜になって酒場に出向き、特に小丹へ詳しく情報を流す。念のため、門から入った仲間には話しかけずに酒場を後にする。
 六日目の夕方、今頃は小丹の潜入し終わる頃と思いながら、門近くで待機した。
 すると目の前で小丹が衛兵と戦っている姿を見かける。仲間も何人か加わってゆく。小丹がこのような展開にするのは余程の事だろうと思いながら、シャルウィードは参戦した。

●隠密の小丹
「これは、遠路御足路頂き――」
 領主エリファスが声をかける。黒分隊の特使三人は城に招き入れられていた。領主エリファスの横に側近アロイスの姿もある。
 潜入していた小丹は天井近くに並べられた彫刻の裏で、パラのマントに身を包んで姿を消していた。中でツンツンの髭を触りながら、社交辞令のやり取りを聞く。
 そして城の構造を確認してから外に出る。夕刻からの酒場での情報のやり取りをするが、今日の所は誰も決定的な情報を得られてなかった。
 翌日からは城の近辺を調べてゆく。夕刻からの酒場でシクルと会話する。潜入の最終日となる六日目にシクルも城に潜入するそうだ。お互いに別の角度から調べる事が決まった。
「不思議じゃ」
 たくさんの馬の蹄跡が残る場所がある。足跡が消える先は城の外壁となる石壁だ。門になっている訳ではない。小丹はかなりの時間を使って監視をしたが、石壁の周辺では何も起きなかった。
 潜入の最終日となる六日目、小丹は城内でシクルと会う。シクルから入れない巨大な区画の存在を聞かされ、小丹は蹄跡と繋げて考えた。急いで城外に出て蹄が消えた石壁を監視する。
 暮れなずむ頃、あきらめかけた時に馬に跨る男が侍従らしき男と石壁前に現れる。馬に跨っているのは側近アロイスであった。
 侍従が石壁に触りながらウォールホールを唱える。石壁に穴が空き、二人が石壁の向こう側に入っていった。すかさず小丹も忍び込んだ。
 いくつものかがり火が照らす巨大なホールがそこにあった。
 中に兵隊がいたものの、ばれずに済んだようだ。物影に隠れながら小丹は窺う。シャルウィードのいっていた別の傭兵かと思う小丹であったが、どうやら違うようである。
 その態度から統制された兵士の佇まいを漂わせていた。小丹は兵士達の隙をみて紋章旗を一枚、懐にいれる。
 これ以上奥に進むにはあまりにも兵隊の数が多かった。ざっと数えても三十人はいる。上官の指揮の元、訓練を行っていた。
 空気の取り入れのほんのわずかな穴があるだけで出入り口は見あたらない。
(「ばれずに出るのは無理じゃ」)
 小丹は覚悟を決めた。
 パラのマントに身体を潜めて、じっとしてチャンスを窺った。
 侍従が再びウォールホールを使う。側近アロイスが出ようとした時、軽く馬に傷をつけて小丹は外に飛びだした。
「賊が忍び込んだぞ!」
 小丹は発見されたが、馬が暴れて穴から兵隊が飛びだすのを防ぐ。その間にまっしぐらに門へと駆ける。セブンリーグブーツのおかげで徐々に速度が上がってゆく。足が止まる石壁を登るより、一気に門を潜り抜ける方を選択したのだ。
 警鐘が城から鳴り響く。すぐさま衛兵達が小丹を追いかけてきた。
「少し甘かったようじゃのお。ほっほっほっ」
 門に辿り着く手前で全方位を囲まれた。城の隠し区画で見た兵隊の姿はない。すべては表向きに活動する衛兵のみだ。
 小丹は剣を手にして構える。
「助太刀するぜ。空の果てまでぶっ飛んでけ!」
 ラーバルトがハンマーで衛兵一人をぶっ飛ばした。
「なっなにを!」
 衛兵の一人が衛兵に攻撃を仕掛け始める。
「手を貸します!」
 鉄マスクをとると、衛兵の正体がシクルとわかる。
「らしくないぞ」
 刀を手にシャルウィードも参戦する。
 突然衛兵が吹き飛ぶ。
「よくわからないが手を貸そう」
 アレックスがソニックブームを飛ばしたのだった。
「こんな事になっているなんて」
 乱は無防備な衛兵にスタンアタックを決めた。
 ディグニスは何事もないように門に近づく。そして門を閉じようとしていた衛兵のみぞうちに拳をねじ込んだ。
 乱戦の中、門が閉まる前に冒険者達は脱出する。一足早く馬車に辿り着いていたフランシアは迎えにいくよう御者に頼んだ。
 停まった馬車に門から出てきたばかりの冒険者達は乗り込む。すぐさま全力で馬を駆けさせ、一行はエリファス領からの脱出に成功するのであった。

●報告
 夜を跨ぎ、七日のお昼頃に馬車はルーアンに辿り着く。
 エリファス領から逃げてすぐにヴェルナー領の兵士とすれ違った。別領地内ではエリファス領の衛兵達も何も出来ない。そのおかげで野営も心配なく行えた。
 ルーアンからセーヌ川を上る帆船に乗り、パリへと向かう。
 船の中でレウリー隊員を含む黒分隊三人と再会した。
 冒険者達は様々な報告をする。細かく内容を隊員達は書き留めてゆく。
「これは、ティラン騎士団の紋章では」
 レウリー隊員が小丹から受け取った紋章旗を見て驚いた。
「ティラン騎士団は最近悪魔崇拝の教団と手を組んだのだ。悪魔の騎士アビゴールが指揮した事もある。デビルとの繋がりといっていい証拠だ。これでラルフ隊長に顔を合わせることが出来る」
 レウリー隊員は冒険者達一人ずつと握手をして感謝をした。
 一晩を船で過ごし、夜の帳が降りたばかりの頃、帆船はパリの船着き場に寄港する。
 冒険者達はギルドでも報告を行い、そしてやり遂げた満足げな顔で別れるのであった。