焼け跡からの始まり 〜デュカス〜

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:1 G 1 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月14日〜05月22日

リプレイ公開日:2007年05月18日

●オープニング

 パリから遠く離れた青空の下、小さな麦畑で男達が昼食を食べていた。
 岩に座り、パンをかじる。
 かつて冒険者をしていたもう青年といってよいデュカス。
 デュカスを支えていた青年ワンバ。
 気性は荒いが、心根は優しい青年ガルイ。
 デュカスの弟である少年フェルナールである。
「やっぱり、この程度の水流じゃ、もうすぐ足りなくなるな」
 デュカスが呟くと、三人も畑の横にある灌漑の用水路を眺めた。男達は一度盗賊に火を放たれて焼けてしまった村を復興しようとしていた。
 用水路は元々あったものだが、長く放っておかれた際に途中が崩れ、水量が極端に少なくなっている。今はなんとかなるが夏になれば途中で枯れてしまうはずだ。
「かといって、我々は手一杯でさあ。やることは山ほど残ってますで」
 ワンバがパンを水で胃に押し込んでから、デュカスに答える。
「そうだな。もし用水路に手をつけたら、家を建て直す暇なんてねぇな」
 ガルイは復興の状況に進展がない為、旅には出ずにデュカス達を手伝っていた。
「でも、せっかくの麦とかが枯れてしまいます。ねえ? 兄さん」
 フェルナールが乾いた畑の土を一つまみして眺めた。
「姉さんは今パリに?」
「ああ、用事を頼んだの‥で‥‥。そうか! 頼んでみるか」
 フェルナールに答えたデュカスは立ち上がる。
「パリの冒険者ギルドですかい?」
「うん。こんな時こそ、冒険者に頼ってみようかと思う。こればかりは後回しに出来ないし」
 ワンバにデュカスは鎌を渡す。
「馬の世話はちゃんとしてあるぞ。馬車使って行ってきな!」
 ガルイが座ったまま、デュカスの背中を叩いた。

「まだそんなに経っていないはずなのに‥‥」
 デュカスはパリの景色に懐かしさを感じていた。何気ない物に目を留めながら、冒険者ギルドに辿り着く。
「灌漑の用水路を直したくて、手が借りたいのです」
 デュカスはカウンターの椅子に座って依頼を始める。小川からの用水路の何カ所かが崩れたり、土砂が溜まったりしていた。それを直して水の通りをよくしてもらいたいとの依頼である。
「え?」
 デュカスは背中を誰かに叩かれて振り向いた。
「用水路か。土木に通じた奴が一人いたら頼もしくないか?」
 男が一人、デュカスの後ろに立っていた。
「懐かしくなって立ち寄ってみれば、俺の為にあるような依頼にはちあうとはな。ちょうど時間がある。石工を一人、連れていかないか?」
「それは助かります! えっと‥‥」
「あ、自己紹介がまだだったな。シルヴァというんだ」
「ぼくはデュカスといいます」
 シルヴァとデュカスは握手する。石工のシルヴァも依頼に入ってくれるそうだ。
「人手はあればあるほど助かります。頼みます」
 デュカスは依頼を出し終える。出発までの間、パリで必要な物を買いそろえるつもりのデュカスであった。

●今回の参加者

 eb8113 スズカ・アークライト(29歳・♀・志士・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb9782 レシーア・アルティアス(28歳・♀・ジプシー・エルフ・ノルマン王国)
 ec0037 柊 冬霞(32歳・♀・クレリック・人間・ジャパン)
 ec2418 アイシャ・オルテンシア(24歳・♀・志士・ハーフエルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●再会
「冬霞‥‥」
 デュカスが馬車の御者台から下りると真っ先に寄ってきたのは柊冬霞(ec0037)であった。
「旦那様に迎えに来て頂いて、少し得をした気分です」
 柊は微笑みを浮かべた。
「皆様、お集まり頂きましてありがとうございます」
 デュカスと柊はほとんど同じ挨拶をした。
「ナイトのアイシャ・オルテンシアです。皆さん、よろしくお願いしますね」
 アイシャ・オルテンシア(ec2418)はデュカスを見た途端に笑顔になって握手を求めた。
「意外と早い再会だったねぇ。ま、元気そ〜で何よりさ〜」
 レシーア・アルティアス(eb9782)もデュカスに近づいて握手をするが、それだけでは足りずに両手を広げて抱擁した。
「ちょっ、ちょっとレシーアさん!」
「あら? つれないわねぇ」
 デュカスは慌ててレシーアを引き離す。
「どうか致しましたか?」
 柊が振り向く。柊は今回手伝ってくれる石工のシルヴァと話していたようだ。
「残念」
 レシーアはちょっと意地悪そうに笑った。
「初めて会うねぇ。デュカスは大事な友人だから宜しくねぇ」
 レシーアもシルヴァに挨拶をする。
「デュカス! 久しぶりね、元気でやってる?」
 スズカ・アークライト(eb8113)が元気よく手を振った。
「しかし、相変わらずモテるわね〜」
 スズカはさっきまでの様子を見ていたようだ。腕を組んでにやりと笑う。
「お〜い!」
 遠くから声が聞こえて、デュカスは振り向いた。馬に跨り、近づいてきたのはカローである。かつてデュカス達と一緒の依頼で活躍した人物だ。
「依頼書を見かけてね。用があるので参加出来ないが、これを持っていってくれ」
 カローがデュカスに手渡した袋にはノルマンでは珍しい米が入っていた。
「こんな高価なものを?」
 デュカスはお礼をいい、柊が頭を下げる。
「これ以外にも村の皆様に美味しい物を、と思うのですが如何ですか?」
「‥えっと‥スコップに‥ランタン‥油‥っと‥」
 柊が食料の買い込みを、アイシャが自前の持ち物以外の足りなさそうな資材について、デュカスに相談した。
「少しだけ買い物をしていこうか」
 一行は馬車に乗り込み、そのまま市場へ出かけた。買い物を済ますと、そのまま村へと出発するのだった。

 道中はのどかな雰囲気に包まれていた。
 スズカは護衛も兼ねてセブンリーグブーツで馬車に併走する。
「馬も連れてきたから農作業なんかに役に立つでしょ」
 スズカは御者台に近づいてデュカスに話しかける。馬車には幼い馬や驢馬も載せていた。疲れすぎないように一匹ずつ順番に降ろして走らせたりしている。
 御者台のデュカスの隣りには柊が座っていた。スズカは気を利かして用が済んだ後は馬車から少し離れる。
「それにしても女の子ばかり集まっちゃいましたね」
 馬車の中でアイシャが幼い愛馬のアーシャを撫でながらみんなに話しかける。
「しぃ〜。今いいところなのよ」
 レシーアが御者台にいるデュカスと柊をこっそりと覗く。
「驢馬を手に入れたのです。何かと役に立つのではと思いまして‥名前をつけて下さいね」
「何となくだけど、ボネールなんてどうかな? それとさ‥‥資材を買ったり、いろいろとあって、新しい指輪、まだなんだ」
「復興の方が大事です。どうか無理をならさずに」
 後部の馬車内で耳を澄ますと二人の会話が聞こえてくる。
「もしかして‥デュカスさんと柊さんっていい仲なんですか?」
「いい仲ってもんじゃないわぁ。結婚しているし」
「えー〜!」
 アイシャが大声を出して御者台の二人が「どうかしたの?」と訊ねる。レシーアがすかさず誤魔化して何事もなく場は落ち着く。
 一晩の野宿を経て、二日目の夕方に一行は村に到着した。

「只今戻りました、夕食はご馳走ですよ」
「みんな〜、元気してた?」
 冒険者達が家に入っても返事はない。奥の部屋で死んだように倒れてるワンバ、ガルイ、フェルナールの姿があった。汚れたままの服装からして、作業が終わった後で疲れて倒れ込んだらしい。
「はっ腹が‥‥減っ‥‥」
 ワンバが虫の息で呟く。柊は急いで食事の用意を始めた。
 その間にスズカは村の様子を見て回る。太陽が地平線に隠れようとしていた。
 赤く染まる灰と炭になった村。焼け残った石の壁なども真っ黒になっていた。
 デュカス達が生活をしているわずかな周辺のみが人の営みを感じされる。
「元廃村とは聞いていたけど、なかなか大変そうね」
 スズカは赤い景色に呟いた。
「うっまい!」
 柊が急いで作った食事を、ワンバ、ガルイ、フェルナールはがぶりついていた。復興の作業が忙しく、買い物にもいけず、デュカスがパリに行っていた間はずっと保存食で我慢していたらしい。
 腹が満たされてやっと腹ぺこだった三人は冒険者達とまともな会話をする。
「‥最近老けたんじゃない? 苦労してそ〜だしねぇ」
 レシーアはワンバの肩を叩いた。
「老けましたかい? 身体は鍛えられたんですがね。柊はデュカスのもんだし、女っ気ないと男はダメになるってやつですかね。まあ、早いとこ村に人増やさないといけませんなあ」
 腹一杯になったワンバは大分落ち着いていた。
「その通りだぞ。はえーとこ人増やさねえと、おちおち旅にも出られねえ」
 ガルイも会話に参加する。
「あら、具合はも〜だいじょ〜ぶなのかしら?」
 レシーアは笑いながら、前にガルイの怪我していた個所を指先で触った。
 再会の語らいは終わり、女性陣はもう一軒の家に移動した。ワンバとガルイがさりげなくついてこようとしたが、スズカにお尻を蹴られて追いだされる。
「こんな調子じゃ、男所帯に女一人でなにかと大変じゃない?」
 スズカは柊を心配するのだった。

●用水路
「まずは、ここの土砂を取り除こう」
 三日目、シルヴァが用水路に降り、スコップを溜まっている土砂に突き立てた。
 シルヴァ以外には、アイシャ、スズカ、デュカス、フェルナールが作業に携わる。スコップなどの道具が持っていない者に貸し出された。
「わたしは自前のスコップ持っています。でも、手伝いに来たものの恥ずかしながら土木にはあまり通じていないんです‥」
 アイシャはシルヴァに相談をする。
「こういう作業は体力も大事だが、くじけない心の方がより大事なんだ。期待しているよ」
「はい! しっかり働きますからご指導をおねがいしますね」
 アイシャは借りた服の袖をまくった。
 柊は家事一般を、レシーアは畑仕事を手伝う事にして別行動だ。ワンバ、ガルイは新たな家造りを行っていた。
 掘った土砂をカゴに入れ、馬や驢馬に運ばせて窪地に捨てる。その作業の繰り返しだ。
 汗をかき、スコップやつるはしを握る手が痛くなる。地味な作業はとても大変であった。土砂は捨てにいくが、用水路の壁面から崩れた石は別にして取っておく。
 それ程ではないはずの春の日差しが、とても暑く感じられた。
「皆様〜、食事を持ってきましたよ〜」
 正午の時間になり、廃材で作られた日よけの屋根の下で食事となる。柊が用意した塩おにぎりが振る舞われた。
「とても変わったお味!」
 初めて食べる者も多く、みんな和気藹々と塩おにぎりを頂いた。
「仕事をすると、お腹が空くのよね〜」
 スズカがおいしそうに塩おにぎりをかじる。
「最近はこちらの料理も作れる様になってきたのですよ。でも、せっかくお米を頂いたので、生まれの国のお食事と思いまして」
 柊は微笑んだ。
 用水路直しの者達は気合いを入れ直し、午後の作業をさらにがんばるのであった。

「大分散らかっていますわ」
 柊は午前の間に掃除を済ませ、先程は作った昼食を用水路直しの現場に運んだ。家に戻り、今度は掃除である。
 散らかった物を整理して、ゴミを掃きだす。そして雑巾で床などを拭いた。それが終わると夕食の用意を始める。
「倒れない程度にやんなよ」
「あまり無理をするとデュカスが心配しますよってに」
 ガルイとワンバは家に戻って遅い昼食をとりながら、柊に話しかけていた。
「確かにやる事が多くて大変ですが、一日一日が充実しております」
 吹きこぼれる音がして、慌てて炊事場へ小走りに消えてゆく柊であった。

「暑いわぁ」
 レシーアは用水路直しの現場に行って昼食を食べてから畑に戻る。午後の日差しはとても強かった。
 レシーアはいつ終わるとも知れない雑草取りを続ける。
「そうそう、曇らせちゃえばいいのよねぇ」
 レシーアは空に向かってウェザーコントロールを使い、晴れから曇りに変化させる。その後でウェザーフォーノリッヂで夕方以降の天気を調べた。
「夕方から本当に曇りって事は、雨に変えさせられるわねぇ」
 用水路は作業の為、今は流れを止められていた。そのせいで畑の植物は元気がない。そして、すべての畑に一人で水をまくのは不可能だ。
「夜にでも、また天気変えて雨でも降らせようか」
 レシーアは計画を練りながら雑草を取り、飽きてきたところであいている土地をクワで耕す。
「次に来る時はど〜なってるかねぇ」
 レシーアはスズカから譲ってもらった緑の豆を植えたのだった。

 四日目も三日目と同じ作業が繰り返された。
 今日中に土砂を取り除かないと明日からの用水路壁面直しに支障が出る。昨日にも増して冒険者達は作業に没頭した。
「フェルナール君もいい顔する様になったわね〜。お姉さんも嬉しいわ」
 お昼の休憩の時間にスズカがフェルナールに声をかける。
「なんていうか、感謝してます。あの時、ぼくを殺そうとすれば出来たのに」
 フェルナールは恥ずかしくなったようでスズカの元から離れた。
「フェルナール。どうかした?」
 今日もレシーアは食事の為に用水路直しの者達と合流していた。フェルナールは顔が真っ赤である。
「なんでもありません」
「ふ〜ん。それにしても兄と姉の見せ付けられて大変でしょ〜? スズカとかど〜よ?」
「よっ用があるので」
 フェルナールはより顔を真っ赤にして立ち去っていった。
 夕方になっても作業は終わらず、他の仕事をしていた者達も集まって土砂運びをする。
 ランタンの灯りもあったが、より明るさが欲しい場面ではレシーアが魔法の光球を作りだして照らした。
 柊は夜食を用意して現場に持ってくる。ワンバとガルイも土砂の入ったカゴを担いだ。幼い馬や驢馬も土砂を積まれて往復する。
「あとはわたしががんばるから休んでいてね」
 アイシャは愛馬アーシャに声をかけた。まだ幼い馬なのに一緒に頑張ってくれた。これ以上は無理をさせられない。
 アイシャはスコップを土砂へと深く突き立てた。
 日を跨ぐ前に作業は終了する。全員が水浴びをした後で家に戻り、倒れるように眠りにつくのだった。

●完成
 五日目になり、用水路の崩れた壁面に手をつけることになった。
 石は土砂の中に埋まっていたのを取っておいたが、とても足りない。石を積み上げる班と、石を運ぶ班に別れて作業は始まった。
「ちょっと待ってねぇ」
 小雨が降りだして、立ち寄ったレシーアが天気を曇りへと変える。今、雨が降ると大変であった。
 予報をしたところ、六時間後には曇りになるようなので、それまではレシーアの魔法で雨をくい止める事になる。
「凄いわね〜。流石に専門職だわ」
 見る見るうちに石と隙間を埋める粘土で壁面が造り上げられてゆく。シルヴァにスズカが感心した。
「おっと、次は何をすればいいのかしら?」
 見とれている暇はなかった。スズカはシルヴァに訊いて自分が出来る作業を行う。
「はい。はい。はい」
 アイシャはシルヴァに石を渡す役割をしていた。身体中が汗びっしょりになりながらも作業をやめはしなかった。
 あっという間に時は過ぎ去り、日は落ちる。
 昨日は無理をしたので、今日はここでお終いとなった。完成への目処がついたのだ。
 柊が用意した家に用意したお湯で身体を洗い、食事で腹を満たし、早い時間に全員が眠ったのであった。

「おっおわった‥‥」
 六日目の午後過ぎに最後の石が積まれる。
 用水路直しは終わり、作業していた者達はその場に倒れ込んだ。
 心地よい風で身体中の汗がひいてゆく。しばらく経つと、みんな上半身を起き上がらせる。
 一時間程かけて、片づけを終わらせると家へ戻った。夕方には全員が家へと戻る。ワンバとガルイによれば、あと数日で一軒完成するそうだ。
 パリまで馬車で二日間かかるので、今夜が冒険者達が留まる最後の日となる。身体を洗い、着替えてから、別れのパーティの準備が行われるのであった。
「本当に平気なんですか?」
「平気だってさぁ。ちょっとはマトモになったのよ〜?」
 デュカスに心配されながらレシーアは食材を切っていた。しかし本人は勉強したつもりでも、身についているとは限らない。
「この、てきと〜さが、うまさの秘訣だって悟ったのよねぇ」
 デュカスが離れた後で、ぼちゃぼちゃと適当に食材が鍋に放り込まれてゆく。何度か弾ける音がしたようだがレシーアは気のせいにする。レシーアの帰ってきて欲しくない『帰ってきたカオス鍋』はこうやって完成した。
「みなさん、ありがとう〜」
 デュカスのかけ声の元、乾杯が行われた。
 柊が作ったノルマンの料理がテーブルには並べられていた。隅っこにレシーアのカオス鍋もある。
「デュカスさん、冒険者の頃、どんな冒険をしたのですか?」
 アイシャが訊ねるとデュカスは話し始めた。
 最初はあてもなく依頼に参加していたが、次第に情報が集まった。いつの間にか仲間が増えた。そして情報も大切だが、もっと大切なのは仲間だと気がついたのだとデュカスは語る。結果、冒険者達の力を借りて、仇であったコズミを倒せたのだ。
「うおぉっ!」
 デュカスの話しをみんなが聞いていると、突然叫び声があがる。酒の入った勢いでカオス鍋を食べたガルイが白目を剥いていた。
 シルヴァが桶に水を汲んできて、ワンバにかける。
「なんか、白い翼を羽ばたかせる子供達を見たぞ」
 目を覚ましたガルイは呟いた。どうやら天上の世界に旅立つ寸前だったようである。より凶悪になっていたカオス鍋であった。

●パリ
 七日目の朝、冒険者達はデュカスが御者をする馬車でパリへと出発した。一晩を野宿で過ごし、夕方前には到着する。
「あの娘が元気そうで安心したわ。あなたのおかげね」
 みんなとは少し離れた場所でスズカがデュカスに話しかける。
「いえ、助かっているのはぼくの方です」
「冬霞に居場所を与えてくれて感謝してる」
 スズカはデュカスに微笑むのだった。
「お手伝い。お役に立てたでしょうか?」
 アイシャは最後にシルヴァに話しかけた。
「充分だ。真剣にやってくれるのが何よりなんだ。また何かであったらよろしく頼む」
 シルヴァとアイシャは強く握手をする。
「今後共、旦那様を宜しくお願い致しますね」
 柊は別れの際、デュカスの事をみんなに頼んだ。
「まったねぃ〜♪」
 レシーアは笑顔で手を振る。
 そしてみんなはそれぞれの戻る場所へと帰ってゆくのだった。