岩の中で輝く翼

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 93 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月21日〜05月28日

リプレイ公開日:2007年05月28日

●オープニング

「どうかしたのかい?」
 御者が青年に声をかける。
 青年は腰を屈めて荷車を眺めていた。
 正確にいえば荷車ではなく車輪を眺めていたのだ。
 青年の名はニクラスといった。
「車輪というのはすごいな」
「荷車の、車輪かい?」
「そうだ。これを最初に考えた者はすごい。だってそうだろ。車輪で走る生き物なんていないんだから。つまり、何かをマネした訳でなく、人間が自ら考えついたってことだからね」
 ニクラスの話を聞きながら、御者はやれやれとした表情をした。ニクラスは村の変わり者として有名である。
「今日も乗ってくかい?」
「ああ、お願いするよ」
 ニクラスは牧草が載せられた荷車の後ろに乗せてもらう。いつも目的の近くを通るので乗せてもらうのだ。
 御者は手綱を使って荷車を牽く馬を走らせるのであった。

 断層が剥きだしになった崖下を十六歳の女性テアルが歩いていた。
「またここにいたのね」
 テアルがあきれながらニクラスに声をかける。ニクラスが断層に現れた化石発掘をしていた。仕事の休みの日には必ずといっていい程、ニクラスはこの場所に現れる。
「司祭様がいってたわ。これはノアの洪水で滅んでしまった生き物の成れの果てだと」
「そうとも考えられるね」
「せいぜい説法の時の教訓として使われるだけの代物でしょ。こんなもの取りだしてどうするのよ。あまり変な行動をしていると、悪魔崇拝者として領主様に目をつけられるわよ」
「そうだなあ。なんだかとっても面白いんだよ。そうだ。この間見つけたのはテアルも興味持つかも知れないな」
「ちっちょっと!」
 ニクラスはテアルの手を取って走った。少し進んだ所でニクラスが立ち止まり、テアルも足を止める。
「確かに変わっているわね‥‥」
 化石をバカにしていたテアルだが、輝きに目を奪われた。
「黄金の化石?」
 テアルの目の前にあったのは所々が金色に輝く全長三メートル程の化石であった。翼らしき形状があるところから、鳥のようであった。
「いや、鉱物に詳しい者に聞いたら黄鉄鉱らしい。だけど、どうしたら骨がこんな金属になるんだろうか」
 ニクラスが撫でるように黄鉄鉱の化石を触った。その様子を見たテアルは途端に機嫌が悪くなる。
「どうしたんだテアル? まっ待ってくれ!」
 ニクラスはテアルの後ろ姿を追いかけていった。

 それから二週間後、ニクラスは冒険者ギルドを訪れていた。
「化石の切り出しを手伝ってくる方を募集したいのです」
 ニクラスは椅子に座り、受付の女性に説明を始めた。
 黄鉄鉱の化石が村人に伝わり、領主にも話しが伝わったのだ。領主からの使者によれば、この化石を教会に飾りたいのだという。
「他の人に渡すのは残念ですけど、みんなの目に触れる場所に置くそうなので、了承しました。それと、認めてもらえるチャンスなんです。村の人達にも、テアルにも‥‥」
 ニクラスは膝の上にある手を強く握る。
「うまく化石の岩盤を切り抜いて、石版状の表面に化石が浮き上がっている状態にしたいんです。上手く化石が浮き上がるようにするには時間がかかるので、それはぼくがやります。手伝ってもらいたいのは、大まかに岩盤をくり抜く作業なんです」
 ニクラスは受付の女性に詳しく説明をするのだった。

●今回の参加者

 eb1875 エイジ・シドリ(28歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 eb3512 ケイン・コーシェス(37歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 eb4840 十野間 修(21歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb7706 リア・エンデ(23歳・♀・バード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●すれ違いの二人
 太陽は傾いていたが、まだ夕暮れには時間がある。
「ケイン・コーシェス、助かった」
「気にするな。作業時間を出来るだけ確保したほうがいいからな」
 エイジ・シドリ(eb1875)がケイン・コーシェス(eb3512)にセブンリーグブーツを借りる事で、全員が揃って初日のうちに村へ到着した。
「皆様、依頼者に会いに行くのです〜♪」
 リア・エンデ(eb7706)は日差し避けの帽子のつばをチョンと持ち上げて、元気に歩きだす。
「そうですね。少しでも急いだ方がよいと思います」
 十野間修(eb4840)は愛馬の疾風と木蓮を連れていた。他にケインの愛馬もいて計三頭の用意があった。
「ニクラスといいます。しばらくお世話になります」
 ニクラスが家に訪ねてきた冒険者達に挨拶をする。
「私の事はリアって呼んでくださいなのですよ〜♪」
 リアに続いて冒険者達がニクラスに挨拶を返した。今日の所は作業する時間は残っていないので、化石発掘の現場を確認する事となる。
 ケインがニクラスを愛馬に乗せて手綱を引っ張る。全員で発掘の現場へと向かった。

「あら? 今頃になって来たの?」
「テアルいたんだ。みなさん、幼馴染みのテアルです」
 発掘の現場にいた幼馴染みの女性テアルをニクラスが紹介する。冷たい言葉とは裏腹に、テアルはニクラスを見つけると急いで身なりを確認していた。
「しばらく仕事の休みもらったのに、怠けちゃダメじゃない。わたし、お昼頃からここにいたのよ」
「冒険者のみなさんが来るかも知れなかったので、村で待っていたんだよ。でもテアルとここで会う約束してたっけ?」
 ニクラスとテアルの言い合いは続く。
「‥そう言うことですか」
 十野間はテアルの様子を見て苦笑する。他の冒険者達も二人の関係に気がついた様子だ。
「はう〜」
 間を読んでリアがテアルの前で嘘泣きをする。
「どうかしたの?」
 テアルがニクラスとの話しを止めて、リアに声をかけた。
「しばらく、この現場には私一人なのです。女の子一人は心細いので来てくれると嬉しいのです〜」
 会話するリアとテアルにケインが近づく。
「俺からもお願いしたい。手がいくらあっても足りないくらいなんだ」
「そうね。いいわ。ニクラスとは別に、出来るだけ顔だすようにするわね」
 リアとケインは、テアルが発掘の現場に来る口実を作ってあげる。ニクラスのがんばる姿を見れば、テアルとの距離も縮まるかも知れないからだ。
 一行は問題の化石の奥へと向かった。
「すごいものもあるもんだな‥。こんなものを見つけ出すなんて、随分才能と運に恵まれているんじゃないか?」
 ケインは崖の岩場に埋まる化石を隅々まで眺めた。
「はう! 本当に岩に埋まった大きな鳥の骨が金色です〜♪」
 リアはおでこが岩にぶつかるくらいまで近づいてジーッと見つめた。
 依頼書には所々が金色に輝いているとあったが七割は黄鉄鉱だ。金色の鳥といって文句をいう者はいないだろう。
「ニクラス、切り出しの大きさを決めておいてくれ。そこから作業を考える」
 エイジが柔らかめの黒色石を拾うとニクラスに渡した。ニクラスは化石から離れた位置でしばらく考えた後で、化石を中心にして線を引いてゆく。
 縦1・5メートル、横4メートルの長方形が岩に書かれた。
「奥行きは50センチ掘って下さい。最終的には30センチ以下の厚さにしますが、余裕をみてそれぐらいに」
 ニクラスはさらに細かい指示を続けた。
 空に赤みが差して来た頃、テアルが現場から見える遠くの道に馬が牽く荷車を見つける。
 ニクラスとテアルは冒険者達に別れの挨拶をして村まで乗せてもらう為に現場を立ち去った。
「お二人の関係は一目瞭然なのです〜」
「まぁ、できれば、二クラスにいい格好をさせてやりたいよな」
「それとなく二人に手を貸してあげましょう」
 ケイン、リア、十野間が恋人になりきれていないニクラスとテアルの間を取り持ってやろうと相談する。
「‥‥勿体ない。が幸福になるのならいいか」
 仲間と離れた場所でエイジが一人呟いた。
 冒険者達はしばらく化石の前で相談する。
 日が落ちきる前に、十野間は二頭の馬を連れて村へと戻っていった。明日朝早くからニクラスと村で行動をして材料を手に入れる為だ。四人用のテントを女性のリア用に置いてゆく。十野間自身は二人用のテントを利用するつもりらしい。ケインが持ってきた四人用のテントにはエイジが世話になる。
 エイジ、リア、ケインの三人は断層の近くで野営をするのであった。

●作業
 二日目のお昼過ぎ、十野間は荷車を愛馬二頭に牽かせて化石発掘の現場を訪れた。御者台の横にはニクラスとテアルも乗っていた。
 全員で必要な資材や道具を降ろし終わる。
「みんなで食べて。お弁当を用意したの」
 テアルが全員の分の弁当を用意してくれたのだ。
「はい、エイジさん。吊り上げる装置を作るって聞きました。がんばってね」
「ケインさんのは特に体力がつくようにたくさんのお弁当です。力仕事大変ですがよろしくね」
「リアさんの分はあちらに。わたしと一緒に食べましょう♪」
「ニクラスのはおまけで持ってきたわ」
 テアルはみんなに弁当を渡し、最後にそっけなくニクラスに渡すと女同士という事でリアの元に行ってしまった。
「ニクラス様、淋しそうにしてるですよ?」
「そんな事ないわ。いつも一人で楽しそうだし」
 リアにいわれても毒を吐くテアルだが、ちらちらとニクラスに視線をやっていた。
「午後からもがんばるですよ〜♪」
 リアは食事が終わり、作業の開始時にメロディーを唄ってみんなを勇気づけた。
 十野間は荷車に乗ってもう一度村に戻るそうだ。まだまだ運ばなくてはならない資材がある。
 今日は用事があるというので、テアルは十野間と一緒に村に戻る事になる。
「――だってね。知らない間にいなくなっているのよ。いつも――」
 荷車の御者台で揺られながら、十野間はテアルの愚痴を聞き続ける。そのほとんどはニクラスにまつわる話であった。
 一方、発掘現場では作業は順調に進められる。
 エイジは切りだす石版の周囲に木の柱を立てて上から吊り上げられる装置を作るつもりであった。まずは装置作りをケインとリアが手伝い始める。
(「いいですか〜? 合図したら引っ張るのですよ〜」)
 リアは木材を引っ張るケインの愛馬にテレパシーで指示を送る。リアはケインから愛馬についてよろしくと頼まれていた。
(「えっ? 重たくてしんどいんですか? はう〜、あとでブラシ掛けしてあげるので頑張って下さいなのです〜」)
 馬の愚痴に涙目になりながら、リアはなだめて働いてもらう。あとでちゃんと世話をして労ってあげようと考えているリアである。
 ケインとエイジは地面に縦穴を掘り、木柱を建てる。そして頑丈な木組みを作りあげてゆく。
 その間にニクラスはエイジが貸してくれた毛布を使って化石がが浮かんでいる表面の保護を行う。終わると装置作りを手伝った。
「お邪魔でなければ、今日からぼくも泊まり込みたいのですが‥‥」
 日が暮れ始めた頃、ニクラスは冒険者達に願った。幸いにテントには余裕がある。深夜の気温もそれ程寒くないのでなんとかなるだろう。
 夜空になってから十野間は発掘現場へと荷車に乗って戻ってきた。資材を降ろして今日の作業は終わる。
「ふ〜んふっふん♪ よくやってくれたのです♪ ご褒美に唄っちゃいますね♪」
 リアは真っ先に馬達の世話をしてあげる。明日からもがんばってもらわなければならない。拗ねられたら大変だ。
「これが大昔は空を飛んでいたのか‥‥」
 仲間が寝た深夜、ケインは鳥の化石の前で腕を組んで座る。毛布をまくり上げれば鳥の化石が月明かりに輝く姿を見る事が出来たのだ。もっとも明日以降はさらに藁や支え用の板をあてがうのでしばらくは拝められなくなる。
「どうしてこんなになったのか不思議だな」
 ケインはニクラスが化石に惹かれたのがわかったような気がした。

 三日目には石版を吊り上げる装置が出来上がり、鳥の化石も完全に保護された。
 これからは化石の切りだす周囲を削ってゆく作業である。まずは石版状に切りだす為に奥行きとなる部分の周囲の岩を削っていった。
「こういう種類の細かい作業は好きなんだ」
 ケインが力強く槌でノミを叩きながら呟く。一見大まかな作業にみえるが、実際はじつに細やかな作業である。同じ岩でも場所によって目の方向も変わるし、硬さも違う。ノミの種類も使い分けて削りすぎないように作業を進めてゆく。
 エイジが装置の上に乗って上部分、ケインが右側部分、資材運びが終わった十野間が左側部分、ニクラスは下側部分を削っていった。
 リアとテアルは砕けた岩をケインの馬につけた板の上に載せて遠くに運んで捨てる。
 十野間は裁きの十字架を金槌にしてトントンと削った。時々エイジの指示を仰いで慎重に進めた。
 四日目の夕方には岩に石板が浮かび上がるような感じ仕上がった。次は化石の裏側を剥がすという一番大変な作業である。
 残った時間で運びだし用のスロープ用板や、石版が剥がれた時に倒れて壊れないように装置に固定する作業を行った。
 化石部分の表面に保護用よりさらに厚い藁の束をあてて、その上を板で押さえる。奥行き部分は予定通り50センチの厚みがある。ロープでうまく側面を縛るようにして引っかかりを作り、そしてやぐら状の装置の上の部分に結んだ。
 ここで四日目の作業は終了となった。
「テアル」
 ニクラスが帰ろうとしたテアルを呼び止める。
「あの‥‥毎日お昼の食事、ありがとう。とっても助かっているよ」
 ニクラスはそれだけいってテアルの元から走り去っていった。

 五日目は今までよりさらに慎重を期す作業となる。
「ここからが大変です」
 ニクラスは指示をテキパキと出した。
 化石の側面の左右から長い鉄の棒を打ち込んでゆく。
 奥行きは50センチあるが、表から40センチ程度の位置が狙われていた。後での作業用に少しだけ斜め下に向かって打ち込まれる。
 右側がニクラスと十野間。左側がエイジとケインである。
 ニクラスとエイジの二人が石目を確認しながら作業を続けた。
 半日がかりで鉄の棒での穴開けが終わった。作業していた者達は汗だくだくになって倒れ込んだ。しばしの休憩である。
 リアとテアルは、開いた穴にエイジが削ってくれた木の棒を水で濡らすと差し込んでいった。水によって木の棒が膨張して岩が割れるそうだ。二人の女性はあらかじめ用意しておいた水を時々穴の中に流し込んでゆく。
 二時間が経った頃、耳を澄ますと岩から音が聞こえてくる。厚みのある前後より、穴が隣り同士で空いている横方向に力がかかる計算であった。岩が変な方向に割れないよう、祈りながら全員がひたすらに待った。
 夕方頃、大きく石版が揺れて岩から剥がれた。
 石版はすぐに止まって、ニクラスが確認する。裏側にでこぼこは多かったが、一番薄い部分でも30センチの厚みは維持していた。元々それくらいまで薄くするつもりであったので、なんの支障もない。
 石版が動かないようにさら固定されると全員が喜びを露わにした。
 ニクラスとテアルが抱き合って喜び合う。ハッと気がついた二人は顔を赤くして互いに背中を向けた。
 テアルはとても残念な表情を見せながら村へと帰ってゆく。どことなくニクラスも淋しそうであった。
「とにかく化石を傷つけないようにしないとな」
 エイジが常に作業中に呟いてきた言葉を、ニクラスが再び耳にして気を引き締める。
 日は暮れるが、灯りを用意して作業は続けられた。槌とノミで裏側を叩いて整えてゆく。約30センチの厚みになったところで奥行き部分を木枠で囲い、装置の固定を外して高く吊り上げる。
 砂を敷いた荷車を装置の下まで動かして、ゆっくりと石版を降ろした。
 わずかに荷車が軋んだ音がするものの、強度は充分のようだ。運ぶのは明日になるので、荷車の下に丸太を差し込んで下支えさせる。一晩載せたままの荷車の負担を軽くする為だ。念の為、十野間が丸太をスクロールで石化させた。
 ここで五日目の作業は終わりとなった。
 その夜、眠れないニクラスはずっと荷車に載せられた石版を眺めていた。
「ニクラスさん」
 十野間がテントから出てニクラスに話しかける。
「当たり前過ぎる幸せに気付かないままでは、そのうち後悔しますよ」
 十野間はテアルの話題になった時、ニクラスに注意を促した。些細な事で、惹かれあっていた二人が離ればなれになる事もある。
「そうですね。ぼくもテアルも意地っ張りなところがあるので‥‥」
 ニクラスと十野間はしばらく石版を前にして話し込むのであった。

●輸送
 六日目の朝、三頭の馬を繋いだ荷車はゆっくりと動いた。
 リアのテレパシーで馬達の歩調は合わされる。
 エイジは後かたづけの為、発掘現場に残っていたが、その他の者はテアルも含めて一緒である。
 歩く程度の速さで荷車は進む。
 お昼過ぎに荷車は村内にあるニクラスの家に到着した。
 木板によってスロープが作られて、石版は藁と砂が敷かれた板の上に置かれた。その下には細い丸太が並べられて、板を押すと簡単に石版は動く。
 後方に残った細い丸太を石版の前に置き直して、無事ニクラスの家の納屋に運び込まれた。
「これからしばらくはここで、化石が上手く浮かび上がる作業が続きます」
 ニクラスは小さな槌と細い針のようなノミを冒険者達に見せた。
 エイジも駆けつけて、どのように浮かび上がらせてゆくのかの見学が始まった。
 気の遠くなるよう細かい作業である。
 勘を働かせて岩に眠っている部分を想像しながら、ゆっくりと余計な岩の部分を取り除いてゆく。ハケで払い、何度も繰り返す。一時間をかけて出来上がるのは1、2センチ四方程度である。
「何ヶ月もかかるだろうな」
 ケインは呟いた。
 この石版が出来上がれば、村の教会の壁に填め込むようになるそうだ。
「ニクラス、まだよくわからないけど化石に情熱があるのは理解できたわ‥‥しばらく手伝ってあげる」
 帰り際、テアルはニクラスにそう言い残して去っていった。

●パリ
 七日目の朝になり、冒険者達はニクラスとテアルに見送られてパリへと出発した。
 深く感謝されたニクラスがくれたのは商売で余ったリカバーポーションである。あと、ニクラスは小さな貝の化石を冒険者達に渡した。話しが広まると大変なので、ここだけの事にして欲しいと頼んで。エイジは古い物が好きな妹にあげるつもりらしい。
「ニクラス様とテアル様の間も近づいたようなのです♪」
 リアはいつも以上にご機嫌であった。
 参加の人数こそ少なかったものの、移動が早めにできたので、その分の時間を作業に割く事が出来た。
 いつの日か教会にあの輝く鳥の化石が飾られるのを想像しながら、冒険者達はセブンリーグブーツで大地を駆けるのであった。