ちびっ子ブランシュ騎士団と錬金術師

■ショートシナリオ


担当:天田洋介

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:4

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月06日〜06月11日

リプレイ公開日:2007年06月13日

●オープニング

「メルシア、こっちだぞ」
 藍分隊長オベルを名乗る少年クヌットをちび猫のメルシアが追いかける。ちびっ子ブランシュ騎士団の四人はちび猫と一緒に空き地で遊んでいた。
 図書館に出かけて勉強した帰りである。
「どうしたの? 黒分隊長?」
 橙分隊長イヴェットを名乗る少女コリルが、大きな石に座る黒分隊長ラルフを名乗る少年ベリムートに話しかけた。ベリムートは一人で考え込んでいた。
「いや、さっきの図書館で『ボリス・アングラード』について調べたんだ。誘拐事件で本物の黒隊長に会った時、思い出してさ。ほら、『オバケ屋敷』と『悪魔崇拝の館』の持ち主だよ」
 ベリムートとコリルが話しをしていると、他の仲間も集まってきた。
「錬金術師で木工がすごくてジャパンかぶれ、そしてデビルに手を貸していた『ボリス・アングラード』だね」
 灰分隊長フランを名乗る少年アウストが覚えていた事を呟く。
「パリ郊外にボリスが修復途中でやめちゃった石橋があるみたいなんだ。見に行かないか?」
「さんせ〜い!」
 ベリムートの言葉に三人の仲間は元気よく手を挙げた。

「ここなんだ‥‥?」
 ちびブラ団は壊れた石橋を河原から見上げる。
 両岸部分に跡があるだけで、橋としてはまったく機能していない。
「すごい昔っぽい橋だね」
 コリルがちび猫を抱えながらいろいろと見て回る。
「あれ?」
 石橋の柱の一部が崩れていた。コリルは覗いてみるが暗く、階段が螺旋状に地下へ続いているのだけがわかる。
「あ、メルシア、戻ってきて!」
 コリルの胸元をすり抜けてちび猫のメルシアが階段を降りていった。一人で降りようとしたコリルを仲間が止める。
「こりゃ参ったぞ」
「ごめんなさあい〜」
「いやメルシアが悪いんだ。気にしなくていいよ」
「でもこれからどうするか」
 四人はとりあえず、崩れて現れた入り口付近を調べる。悪魔崇拝の館で見かけた東洋の神獣の絵が描かれていた。
「ここは‥‥もしかするとボリスが隠れていた場所かも」
 ベリムートは図書館で調べた事を仲間に話す。ボリスはこの石橋の修復を途中で放棄して失踪していた。修復費の持ち逃げもしたので、かなり念入りに捜索されたのだが発見されずに今に至る。オバケ屋敷に関しては王宮に没収されたのだが、手をつけられずに放置されていたようだ。
「メルシア、戻ってこないな‥‥」
 ちびブラ団達はいろいろと考えて、冒険者ギルドの入り口近くにやってきた。
「どんな風にしたらいいか、相談くらいなら冒険者も教えてくれるさ」
「うん。きっと方法だけなら教えてくれるよ」
「そうだね。ぼくたちでメルシアを助けだそう。はやく助けてあげないと」
「やり方さえ教えてもらえば、なんとかなるさ。たいまつはうちにあるぞ」
 ちびブラ団達は親切そうな冒険者が現れるのを待っていた。

●今回の参加者

 ea6480 シルヴィア・ベルルスコーニ(19歳・♀・ジプシー・シフール・ビザンチン帝国)
 eb2949 アニエス・グラン・クリュ(20歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 eb3500 フィアレーヌ・クライアント(26歳・♀・神聖騎士・エルフ・ノルマン王国)
 eb5231 中 丹(30歳・♂・武道家・河童・華仙教大国)
 ec0039 コトネ・アークライト(14歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec1031 ヴィメリア・クールデン(31歳・♀・レンジャー・パラ・イスパニア王国)

●リプレイ本文

●壊れた石橋
「隊長さん達こんにちはだよ。こんな所でどうしたの?」
「あっ、コトネちゃんだ」
 コトネ・アークライト(ec0039)がギルド前を通りがかると、ちびブラ団の子供達が冒険者達と立ち話をしていた。
「あのね――」
 橙分隊長イヴェットことコリルによれば、壊れた石橋の螺旋階段でちび猫メルシアが行方不明になったという。
「それは大変だね。早くメルシアちゃんを探しに行かなきゃ」
 人見知りをするコトネだが、ちびブラ団とはすでに友達だ。
 コトネでちびブラ団の相談相手は六人となる。一行はパリ郊外の壊れた石橋へ向かった。

「ここなんだ」
 黒分隊長ラルフこと少年ベリムートが指さしたのが目的の壊れた石橋だ。確かに柱が壊れて中が覗ける。地下に向かって螺旋階段が隠されていた。
『よく怪しい場所を見つけるね、キミ達は』
 ヴィメリア・クールデン(ec1031)が苦笑しながらサラサラっと羊皮紙に書く。羊皮紙を見せながら藍分隊長オベルこと少年クヌットの頭を撫でた。
 中丹(eb5231)は灰分隊長フランこと少年アウストの視線に気がついた。ギルド前で挨拶した時は反応がなかったので肩すかしを食らったが、興味はあるようだ。
「ほ〜ら、お兄ちゃん河童やで〜‥‥化け物やないで! マーメイドはんの遠い親戚みたいなものや。マーメイドはん見たことあるやろか?」
「噂には聞いてたけど、河童さんって初めて見たよ。マーメイド? ごめん。わかんないや」
 中丹とアウストは話しを続ける。
「お兄ちゃん、マーメイドはんに泳ぎで勝った事あるんやで」
「そんなに泳ぐのうまいの?」
「お兄ちゃんは華国って国から泳いできたんやで」
 中丹は胸を張ってクチバシをキラ〜ンと光らせた。それから華国の場所を訊ねられるが、螺旋階段を覗くフリをして笑いながらごまかす。
「ここに繋ぐといいよ」
「ありがとう」
 ベリムートがフィアレーヌ・クライアント(eb3500)に杭の刺さる場所を教えた。フィアレーヌが微笑むとベリムートは照れくさそうだ。愛馬のオーレリアンと驢馬のダミアンを繋げておく。
 他にもコトネの愛犬ココアやヴィメリアの愛犬シーグ、中丹の愛馬うま丹もお留守番だ。
「誰か来たら教えて頂戴ね」
 コトネは愛犬ココアの頭を撫でる。壊れた石橋は放置されているようだが万が一がある。
「これは深そうね」
 シフールのシルヴィア・ベルルスコーニ(ea6480)は飛びながら螺旋階段を覗き込んだ。とにかく入ってみようと冒険者の一人がランタンに火を点す。
「メルシア〜」
 螺旋階段を降りながらアニエス・グラン・クリュ(eb2949)はちび猫を呼んだ。手元で冬に愛用したふさふさ襟飾りを揺らす。ベリムートが持ち歩く牛乳も少しだけ染み込ませてあった。バレたら母親に怒られるので内緒である。
「暗いですから、迷子にならないよう気をつけて下さいね」
 フィアレーヌは安全を考え、子供達を連れていきたくはなかったが、ちび猫を心配する様子にほだされてしまった。
 アニエスによれば石橋の様式に比べて螺旋階段の作りは新しいようだ。ボリスは修復と称してこの地下施設を作った疑いが濃い。
 ロープを使ってちびブラ団と冒険者達は身体を結んでいた。安全が確認できるまではこうするつもりである。
 螺旋階段途中の外側の壁には、いくつもの頑丈そうな鉄枠扉があった。扉の向こう側にちび猫が入るとは考えにくいので、まずは最下層まで降りる事にする。
「なんか恐そうなところやな〜。うさ丹、危ないんやったら、さっさと逃げてええで」
 中丹の胸にはウサギのうさ丹が抱かれていた。危険には敏感なので逃げたなら注意が必要だ。
 中丹の腰にはダモクレスの剣が装備されていたが、これは危険察知の為である。いざとなった時は拳で勝負するのが中丹であった。
「えと、小さい呼吸の反応があるから、多分あっちだと思うんだよ」
 コトネはブレスセンサーを使うと足下を見つめる。いくつかの呼吸を探知したが、ちび猫らしき呼吸は真下である。あとはどうやらネズミのようだ。
 慎重に降り始めて十分が経ち、最下層に着く。なんてことはない、ただの殺風景な石造りの部屋が広がっていた。使いかけの資材が打ち捨てられている。
 猫の鳴き声が聞こえた。
 気がつくとアニエスの後ろで、ふさふさ襟飾りに向かってちび猫メルシアは跳びはねていた。
「よかったあー」
 コリルがちび猫メルシアを抱き上げる。まずは目的を達したので全員で螺旋階段を登り、地上へと脱出した。
 あらめて冒険者達とちびブラ団は話し合う。鉄枠の扉がとても怪しく、このまま放置するのも気が引ける。第一、この石橋の修復に関わったボリス・アングラードは悪魔崇拝者なのは間違いない。
 明日から調査する事が決まった。
「ありがとう」
 コリルにお礼をいわれてフィアレーヌは微笑む。疲れ気味のコリルを愛馬に乗せてあげた。
「隊長さん達、また明日なんだよ」
 コトネはフィアレーヌに家へと送られるちびブラ団に手を振った。
 中丹は入り口近くにあった東洋の神獣の絵を眺める。どうやら昔から伝わる四方の方角を守護する空想上の生き物のようだ。
 アニエスの提案で冒険者達は川岸に落ちている流木を集める。そして適当に組み合わせて螺旋階段が見えないように蓋をした。調査が終わるまでは秘密にしておいた方が何かと都合がよいからだ。
 冒険者達は入り口付近で野営の準備を始めた。交代で食事にいって再集結する。
「お家に帰ると、お父さんとお母さんがいるっていいな」
 コトネはたき火にあたりながら、愛犬ココアをギュッと抱きしめるのだった。

●調査開始
「はい〜!」
 二日目、中丹は両手を広げてクチバシをキラ〜ンとさせる。龍飛翔が決まり、頑丈そうな扉が吹き飛んでいた。
「すご〜い〜!」
 コリルとクヌットは瞳を輝かせる。コトネが前に見せた姿といい、かっこいい決めポーズは子供達の心の琴線に触れるようだ。
 ベリムートとアウストの二人は入り口付近で留守番していた。シルヴィアが一緒になってちび猫を含む動物達と遊んでいるようだ。
 中丹が体力の続く限り、扉を吹き飛ばしてゆく。
「ここを描くの?」
 コリルの問いにヴィメリアが手を一回叩いた。一回が『はい』で、二回が『いいえ』と決めてあったのだ。
 ヴィメリアは描く前に眺める。どの部屋も埃だらけであったが、人の生活した跡が残っていた。開けられた一室には祭壇もある。小規模ながら悪魔崇拝の館にあったものとそっくりだ。
「この奥にも部屋がありそう‥‥」
 コトネはブレスセンサーでネズミの呼吸を探し、さらに設計の知識から隠し部屋らしき空洞に目星をつけた。
「ここはどうかな?」
 アニエスは壁や床、天井を叩いてみた。空洞があれば音も違う。天井が低い場所ばかりで、どうやらフライングブルームの出番はなさそうである。
「そういえばオバケ屋敷はいろいろ仕掛けがあったんだよな」
「だったね。ここにもあるのかな?」
 アニエスを真似てクヌットとコリルも様々な場所を叩いていた。
「隊長様方、もしかしたら落とし穴があるかもなので。床に埃が積もっていない所は要注意ですよっ?」
「飛行隊長、りょうかい〜」
 しばらくはクヌットとコリルはアニエスと一緒に行動する。
「ここにもつけましょう」
 フィアレーヌは全体の把握の為にたき火で出来た炭を使って印をつけてゆく。今は真下に降りる螺旋階段を中心にして扉を少し入った場所を調べているが、その範囲は広がると予想された。その時にあわてないようにする為だ。
 罠がある可能性もある。フィアレーヌは特に視力に自信があった。ランタンやたいまつで照らされた薄暗い状態でも、壁や床の様子がはっきりとわかる。少しでもおかしな場所があれば仲間に知らせるつもりだ。

 夕方にはちびブラ団は帰り、夜になって冒険者達はたき火を囲んでいた。
「よくある空想上の生き物や。つまりこの場所を守りたい意味が込められておるんや」
 中丹とヴィメリアが東洋の神獣について相談する。話しをまとめると、迷信的な方法でボリスは自分の身を守ろうとしていた事になる。とても高名な錬金術師とは思えない行動であった。
『それだけせっぱ詰まった立場だったのかも知れないね』
 ヴィメリアは中丹に羊皮紙を差しだした。

●白骨
「あっダメや。うさ丹、大変やで」
「ごめんー」
 三日目、中丹はクヌットがウサギのうさ丹の耳を掴んで持ち上げたの見てあわてた。猟師がそういう持ち方をする事もあるが、それは乱暴な扱い方である。
「あんまり手荒にせんといてね。お兄ちゃん一生懸命育てたんやからね」
「うん。ごめん。うさ丹」
 一度は逃げたうさ丹が中丹の元へ戻ってくる。
「そういう抱き方がいいわ」
 シルヴィアが羽ばたきながら頷いた。今度はやさしく胸に抱くクヌットである。
 今日はベリムートとアウストが地下を調べる番であった。一つの扉の奥が長く続いていたのでそこを調べる事になる。
 中丹がベリムートが持ってきたたいまつを片手に先頭をきって意気揚々と進んでゆく。いろいろな技のことを訊かれ、中丹は上機嫌であった。
 行き着いた先は草むらで隠れた穴である。途中には仕掛けがあり、それを使わないと通れない仕組みであった。ベリムートとアウストが過去にオバケ屋敷で同じような仕掛けを見かけていたので簡単に通れたが、本来ならとても時間がかかったはずである。どうやらここから中へ出入りしていたようだ。
「これは!」
 アニエスとコトネはランタンで照らす部屋で凍り付いていた。少し遅れて入ってきたヴィメリアとフィアレーヌも驚いた表情になる。
 みんなの意見を集めて空洞を想像し、仕掛けを調べて開けた所、あったのは白骨化した遺体が机に伏せる部屋であった。
 完全に白骨化していて、かなり昔に死んだのが窺える。
 机には日記があった。
 その内容から想像すると、この白骨遺体はボリス・アングラードだ。
 デビルや悪魔崇拝の教団に尽くしてきたボリスであったが、役に立たなくなり、殺されたようだ。日記の最後の方は、忍び寄る追っ手への恐怖ばかりが書かれてあった。
 この部屋はちびブラ団には入らせないことが決められた。ヴィメリアがざっと部屋の様子を描くと、全員退室して隠し扉は閉じられるのであった。

 夜になり、アニエス、フィアレーヌ、ヴィメリアは持ちだした日記を一緒に細かく読んでいた。
「ただ隠れるだけなら、これほどの規模の地下を造らなくてもいいはずと考えていてけど‥‥こういうことなのですね」
 フィアレーヌは日記を読み終えて仲間に話しかけた。
『大規模な計画だったようだね』
 ヴィメリアがメモを見せる。
「パリを攻撃する為の地下施設の建設こそがボリス・アングラードの野望だったようです。当初は王宮に取り入って様々な建築に手を貸す。だけどジャパンのからくり屋敷を参考にして設計図にはない隠し通路、部屋を造っておく。決起の際には仲間の悪魔崇拝者を隠れさせて一気に王城を目指す‥‥」
 アニエスがボリスの考えを順序立てる。
「でもなぜこの計画は取りやめになったんだろう」
 アニエスに疑問が残る。するとヴィメリアが日記をめくっては指し、同じ名前がたくさん現れるのを知らせる。
 その名は『エドガ・アーレンス』という。
 悪魔崇拝の集団『ラヴェリテ教団』では内部抗争があったようだ。結果としてエドガが指導者の立場に就く。エドガと対立する派であったボリスは粛正されたのである。
 計画が頓挫したとはいえ重大事件だ。いまなお使われている建物にも名残が残っているかも知れなかった。

●倉庫
 四日目は倉庫となっていた部屋を調べる事になった。
 ほとんどがガラクタである。放置されたこの場所の物なら持っていっても誰も文句はいわないだろう。
「やめておいたほうがいいです」
 フィアレーヌがハンマーを拾おうとするヴィメリアを止める。
 しかし、そのハンマーの柄の部分はどうみても怪しい。蛇とドクロが彫金され、不気味な気配が漂っていた。
 ヴィメリアの心の叫び。『ハンマー‥欲しい』と目の輝きが訴えていたが、仲間の説得にあきらめる。その代わりに発見したのは『パラのマント』である。
 シルヴィアは『水晶のダイス』を手に入れた。
 アニエスは『聖なる釘』をしまう。
 フィアレーヌは壁に掛かっていた『ふわふわ帽子』。
 中丹は何かに使えそうだと『まるごとこあくま』を入手。
 コトネは杖と合いそうな『魔法少女のローブ』をまとって満足そうであった。

「これは食べてはいけない草です」
 フィアレーヌが地下の岩の間に生える草の側でクヌットとコリルに教える。興味本位で食べたりしたら大変である。
「毒なのか」
 クヌットは屈んで草をよく眺めていた。どうやらクヌットは興味があるらしい。
 ヴィメリアは絵が描き終わるとクヌットとコリルを連れて地上に出た。そしてちびブラ団と一緒に動物達の絵を描く。笑い声が絶えない様子にコトネも駆けつけた。
 残る時間を楽しくお絵かきをするのだった。

●ギルド
 五日目に冒険者達はちびブラ団を連れてギルドを訪れた。
 調べた結果を提出する為である。
 今回は依頼ではないが、デビルに関する事柄は国の存亡に関わるので受け付けてくれた。
 内容が精査された上でだが、まず王宮に伝えられるであろう。前に王宮の門番へ直接届けた事があるちびブラ団だが、今回は取りやめた。
 先日、ラルフ黒分隊長に会った所、尋常でない忙しさだった。そうであったのに仲間を助けてくれたラルフ黒分隊長にとても感謝したちびブラ団である。
「今度、泳ぎ方教えてね」
 ちびブラ団は中丹にお願いした。中丹は胸を叩くがむせていた。
「送ってくれてありがとう。途中で話してくれた植物の話、おもしろかったよ」
 ちびブラ団はフィアレーヌにお礼をいう。
「地上での見張りの時、動物のこと教えてくれてありがとう。さすが動物博学顧問だ」
 ちびブラ団はみんなのペットについて教えてくれたシルヴィアにお礼をいう。
「一緒にいたときいってた『青く、力強い瞳をした騎士様』って誰? もしかしてぼくたちが尊敬する人と同じ人?」
 ちびブラ団の訊ねにアニエスはうまくごまかした。
「今度も描いてもらっちゃった。みんな前の絵も部屋に飾ってあるんだよ。これも飾るんだ。メルシアの絵もあるし」
 ちびブラ団はヴィメリアに描いてもらった絵を見せながらお礼をいう。
「また一緒に冒険しようね」
 コトネが子供達一人一人と握手をする。
「必ずコトネに負けないかっこいい決めポーズを考えるからな。中丹のもかっこよかったなあ」
「いいよねえ。でもコトネちゃんのはかっこいいというより、かわいいんじゃないのかな?」
「かっこいいのは難しいよな。う〜ん」
「こんなのはどうだろ。足をあげてさ――」
 ちびブラ団の子供達はお喋りしながら家への道を帰るのであった。