私を見つけてください

■ショートシナリオ


担当:天音

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月12日〜06月17日

リプレイ公開日:2007年06月18日

●オープニング

●わたし を みつけて ください
 あなたは美しい。
 その白くて長い指先でリュートを爪弾き、その鈴の音に似た声で語り、歌う。
 私はそんなあなたを、多くの人に紛れて密かに眺めているしか出来なくて‥‥
 話しかけることも、側に寄ることも出来なくて‥‥
 ただただ、毎日酒場に通い、あなたの姿を見ているだけしか出来なくて‥‥
 それでも沢山の人の中から私を見つけて欲しいと思うのは、いけないことでしょうか。
 ただの我侭でしょうか‥‥
 ひっそりと、私は思いの欠片を届けようと思いました。
 毎朝、あなたの家の窓辺に一輪の花を。
 雨の日も、晴れの日も。
 毎朝、あなたが目覚めて窓を開ける前に。
 ただ一輪の花に思いを託して――いつか私を見つけてください、と。

●一輪の
「あの‥‥受付はこちらでよろしかったでしょうか」
 その日冒険者ギルドに現れたのは、繊細でとても美しいエルフの女性。ゆったりした衣装を纏い、金色の長い髪にはいくつかの装飾品が。そして大切そうに抱えたリュート。どうやら吟遊詩人のようだと職員にも一目でわかった。
「何かお困りですか?」
 一瞬彼女に見惚れてしまった職員が正気を取り戻して尋ねると、彼女は控えめに頷いて訥々と事情を語り始めた。

「花が――届くのです」
 その女性ユリディスはそれまでメイディア内の酒場を点々と歌い歩いていたが、二週間前からとある酒場で歌い始めた。その頃から冒険者街にある彼女の自宅に花が届くようになったという。
「毎朝目覚めると、窓辺に一輪‥‥。この2週間、毎日欠かさず、です」
「それは少し‥‥気味が悪いですね」
 送り主の知れぬ贈り物。たとえほんの些細なものとはいえ、気味悪く思っても仕方がないだろう。するとその職員の言葉に彼女はかぶりを振った。
「気味が悪いというか‥‥気になるのです。何のために私に花を贈ってくるのか‥‥私に何か伝えたいのか」
 もし私の前に姿を表せない理由が何かあるのだとしたら、それも知りたい、と彼女は付け加えた。
「心当たりは?」
 職員の言葉にユリディスは一瞬考えるように口元に手を当てる。
「一度だけ‥‥雨音が酷くていつもより早く目が覚めてしまった日に、人影を見たことがあります」
「ほう?」
「窓を開けると既に花は有り‥‥窓の面した道に、ローブを着込んでフードをかぶった人物が‥‥丁度私の家には背を向けている状態でしたが」
 窓の開く音に驚いたのか、その人物は少し振り返ったのです、という彼女の言葉に職員は思わず身を乗り出した。
「顔は? 顔は見たんですか?」
「‥‥見た、といえば見たのでしょうけれど‥‥」
 ユリディスは職員の勢いに少し引きつつも、歯切れの悪い答え方しかしない。
「距離もありましたし、雨にけぶっていて‥‥しかも振り返り際にフードが取れかけて本当に一瞬だったのです。ですから、見間違いという可能性も‥‥」
「それでも何もないよりはましです。どんな人物でした?」
 羽ペンと羊皮紙を手に準備万端のギルド職員。美女の依頼には熱の入り方が三割り増しになる。
「‥‥男の人、に見えました。少年と青年の中間の様な‥‥。耳が‥‥人間よりは尖って見えた気がするのですが‥‥」
 でも本当に一瞬で距離もありましたし、雨も降っていて、私も寝起きでしたから――だからあまりあてにしないで下さい、とユリディスは恥ずかしそうに付け加えた。
「花が届くようになったのがその酒場にお世話になり始めたのと同時ですから‥‥2週間前からお世話になっている酒場でほぼ毎日見かける方の中にいらっしゃるかもしれない、と思ったのですが‥‥なかなか、聞くことは出来なくて‥‥」
 確かに「貴方が私に毎日花を届けてくれる人ですか」と直接尋ねるのもアレだろう。
「ふむふむ‥‥。ところで送り主が見つかったらユリディスさんはどうするのですか?」
「まずはお花のお礼を言います」
 職員の問いに彼女はやんわりと微笑んだ。
「そしてお話をしてみたいと思います‥‥あちらがそれを望んでくれるのならば」
 もし私が垣間見た方が贈り主であるのならば‥‥仲良くなれたら――と呟いた彼女の目はその人物はどのように映ったのだろうか。一瞬のの垣間見。毎日のように酒場で見かける人物の中にいるかもしれないとは思っていても確信がもてないということは、もしかしたら美化されているのかもしれない。記憶などそんなものだ。
 しかし彼女が花の贈り主に好意を抱いているのは間違いない。それがいわゆる『恋』とは別物だとしても。


●容疑者!?リスト
※年齢、性別、印象などは全てユリディスから見たもので、事実とは異なる可能性が有ります。
?【名前】【推定年齢】【種族】【性別】
【印象】


?1【ミレイア】【10〜15歳】【人間】【女】
【酒場の看板娘。明るく、冒険譚などは仕事をそっちのけにして聞き入ってくれる】

?2【リューン】【15〜30歳】【パラ】【男】
【酒場で占いをしている占い師。ミレイアと仲が良い様子。あまり会話をしたことはない】

?3【金髪のエルフ】【17〜24歳】【エルフ】【女?】
【いつも離れた席に座っているエルフ。遠目からは女性に見える。ふと目をやるといつも反らされてしまう】

?4【白髪のエルフ】【10代前半】【エルフ】【男?】
【無邪気に、いつも近い席で演奏や語りを眺めてくれる子。演奏後に食卓を共にしたことも】

?5【黒髪の青年】【17〜24歳】【人間】【男】
【明るく豪快な男性。殆ど酒を飲んでいて、時折騒ぎ出してミレイアに注意されている。それで大人しくなるので元は人のいい性質なのだろう】

?6【妖艶な女性】【20代後半】【人間】【女】
【いつも言い寄ってくる男性にお酒を奢らせて、最終的には軽くあしらっている女性。演奏や語りには目を細めて聞き入ってくれる】

?7【茶髪のパラ】【15〜30歳】【パラ】【女?】
【曲を奏でるとそれに合わせてよく踊りを披露してくれる。中性的な顔立ち体つきをしているので、いまいち性別に自信がない】

●今回の参加者

 ea0266 リューグ・ランサー(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea0447 クウェル・グッドウェザー(30歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3972 ソフィア・ファーリーフ(24歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 eb2093 フォーレ・ネーヴ(25歳・♀・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 eb4189 ハルナック・キシュディア(23歳・♂・鎧騎士・エルフ・アトランティス)
 eb7898 ティス・カマーラ(38歳・♂・ウィザード・パラ・メイの国)
 eb8475 フィオレンティナ・ロンロン(29歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 ec2869 メリル・スカルラッティ(24歳・♀・ウィザード・パラ・メイの国)

●リプレイ本文

●一輪の花の人を探せ!
 情報が少なすぎる――だが冒険者達はその僅かな情報から自分達が出来る事を探し、目的の人物を特定しようとしていた。容疑者が出揃う酒場で客を装いつつ、それぞれ割り振った対象に聞き込みをする。場合によっては数日聞き込みを続ける。この際多少の出費は覚悟の上だ。
「毎日一輪のお花かあ‥‥えへへへ、何かいいなあ。好きな人とかカッコイイ人にしてもらったらご飯三杯はいけるね!」
 毎日一輪の花を、というロマンティックな演出にうっとりとするフィオレンティナ・ロンロン(eb8475)。
「花は黙して語らず、ただ在る、それだけで人の心をどれだけ潤わせる事でしょう。でもね、語らなくては伝えられない言葉があり、語られなければ受け取れない気持ちもあるはずです」
「顔を隠して花を届けるのは単なる恥ずかしがり屋だからなのか、それとも他に事情があるのか‥‥」
 ソフィア・ファーリーフ(ea3972)の言葉にクウェル・グッドウェザー(ea0447)は「事情があるとしたらどんな事情なのでしょうね」と首を傾げる。
「私がすっかり染まりきってしまった立身出世という欲ならば、理性によってある程度は抑えきれるでしょうが‥‥。特に愛情やそれに類する感情は、抑えようと思っても抑えきれるものではないのでしょうね」
 押さえ切れないからこそ、姿を見られたくないという想いと自分に気がついて欲しいという欲求の狭間に苦しむのかもしれない。ハルナック・キシュディア(eb4189)は一歩引いたような自分の思いを述べた。
「しかし困ったものだな‥‥花を一輪置いただけでは渡された方もわかわからんというものなのにな?」
「犯人は‥‥君だね。と行ければ楽なんだけど」
 容疑者に話を聞いてみて考えるしかないか、と呟くリューグ・ランサー(ea0266)をティス・カマーラ(eb7898)は地道に行こうか、と励ました。

●看板娘
「あら? これ頼んでないわよ」
 メリル・スカルラッティ(ec2869)のテーブルに置かれた小皿料理。頼んだ覚えはないのにと彼女は運んできたミレイアを見る。
「ここんとこ毎日沢山頼んでくれるからサービスだよ♪」
 パチリとウィンクをするミレイア。どうやら少し奮発したのが良い方向に働いたらしい。彼女はメリルに良い印象をもってくれたようだ。丁度そのとき、ユリディスが演奏を始めようとしているのが見えた。
「あの人の歌、素敵ね。美人だし、お目当てに通ってくる人もいそうね。歌のお礼に何か花でも‥‥」
「あ、ユリディスさん? 綺麗で歌も話も上手くて羨ましいよね!」
 メリルのさり気ない言葉に反応を示すミレイア。どうやら憧れの対象であるのは間違いないらしい‥‥が
「お礼かぁ。考えても見なかったなぁ。そうだ! ここは私の笑顔をお礼に!」
 にこーと笑って見せるミレイア。花の贈り主である可能性は下がった気がする。

●占い師
「待ち人‥‥ですか」
 フォーレ・ネーヴ(eb2093)を前に座らせて水晶玉を覗き込んだリューンは、しばし集中してからゆっくりと瞳を開けた。
「『待てば甘露の日和あり』‥‥天界の言葉らしいですが、根気よく待てばそのうちよいことがあるとでました」
「そっか〜じゃあのんびり待ってみようかな」
「‥‥ええ、そうですね」
「あ、演奏が始まったね」
 フォーレが演奏を始めたユリディスを見る。つられるようにしてリューンもそちらへ目をやった。
「いつも素敵な演奏をしていますね‥‥あの方」
「あの吟遊詩人さん、どんな人なの?」
 聞いてもいないのに彼女の演奏を褒めたのを聞いて、フォーレは『当たり!?』と思ったが‥‥
「あ‥‥実は全然お話したことなくて。‥‥演奏中も占いをしている事が多いものですから‥‥しっかりと聞いたことも殆どないのです」
 単に感想を述べただけで、特に気があるわけではないらしい。

●パラの舞手
「あら、貴方もパラなの」
「うん。ティスって言うんだ。同じパラの人を見かけたから、ちょっと親近感が沸いちゃって」
 ユリディスの曲に合わせて踊りを披露した茶髪のパラが席に着いたところを見計らってティスが近寄る。そしてさり気なく観察。エルフのユリディスからでは区別がつかなかったかもしれないが、パラのティスにはわかる。この人は女性だ。
 合席いいかな、と尋ねると女性はどうぞ、と気軽に空いている椅子を示した。
「私はリシャ。酒場を点々として舞を披露しているの」
「あの吟遊詩人さんの演奏、気に入ったの?」
「うん、とっても好き」
 パラ同士ということも有り、リシャはすぐに警戒を解いてティスとの会話に花が咲く。
「ところであの詩人さん、気になっている人がいるんだってさ。花を毎日届けてくれる人がいて、とても喜んでいるみたいだよ」
 ずばりストレートに突っ込む。それがティスの取った聞き込み手段。
「へぇ、それは羨ましい。私にもそんな人がいるといいんだけど」
 特に目立った反応はない。巧妙に隠しているのでなければ、この人は違うだろう。

●白髪のエルフ
「現在私は冒険者ギルド経由の仕事で動いていのですが、最近変わった人物を見かけたり変わった噂をきいたりしませんでしたか」
 自然な様子で飲み物と料理の載った皿を手に近寄って来たエルフの青年に、白髪のエルフ少年は一瞬吃驚したような顔を見せた。
「申し訳ないが仕事の内容は詳しく言えません。しかし私の役目は基本的に『不審なことがなかった』ことを確認することです。お手数おかけしますがご協力願えませんか」
 笑顔を浮かべて敵意のないことを示そうとするハルナックに安心したのか元から警戒心を持たないタイプなのか、少年はにっこり笑って「ニュクス」と名乗った。
「僕は結構前からここにご飯を食べに通っているよ。日によって早く帰っちゃう事もあるから、あまりお兄さんの知りたいような情報は持っていないかもしれないけど」
 といって彼はちょっと考え込むような仕草を見せる。ハルナックは自分の持ってきた料理の小皿を彼の前に差し出し、言葉の続きを待った。
「んーとね、最近はあの吟遊詩人のお姉ちゃんが来るようになったくらいかなぁ。あ、でも同じ頃からあの、後ろの方の席にいるエルフの人を見かけるようになったよ」
 ニュクスが差し出された料理を頬張りながらもたらした情報。これは有力な手がかりとなるか?

●妖艶な女性
「誤解されぬように言っておくが、別に気があるわけではない」
 名乗り、少し話を聞きたいと申し出た上で、言い寄ってくる男と同一視されないようきっぱり予防線を張ったリューグ。そのストレートさに女性は「あんた面白いわねぇ」とからからと笑い、同席を許した。
「あたしはイーシャよ。仕事は、小さな店を持っているわ。年齢? 女性に聞く質問としては適当とはいいがたいわね」
 彼女はカップを揺らして中身をくゆらせ、リューグに流し目を送る。
「それはすまない。と‥‥演奏が始まったか。あの吟遊詩人も美しいが、同性から見るとどのように映るものだろうか」
 ユリディスの演奏が始まったのをいい事に、彼はさり気なく話題をユリディスのことへと移す。
「なぁに、あんたはああいうたおやかなのが好みなの? ああいう儚げなのも悪くはないと思うわよ。あたしはああいうタイプになるのは無理だけどね」
「いや、特別に好みというわけでは‥‥。そういえば彼女の家に毎日花を届けている人がいるとか‥‥」
 微妙にそれそうになった話題を戻す。そして彼女の様子を窺うが――
「ふぅん。そういうのにクラッと来る女は多いだろうけど、あたしの好みじゃないわね」

●剛毅な男
「良い飲みっぷりですね。1杯奢らせて下さい」
「おぉ? あんちゃんいいヤツだねぇ、隣に座んな」
「あはー、私もご一緒いいですかー? 楽しいお酒に楽しいお喋りは付き物ですもんねー」
 黒髪の青年にターゲットを絞ったクウェルとソフィアは、男が酒好きそうなのを利用して接触をはかった。元々酒好きのソフィアは男と接触する前に飲み始めていたようだが。
 ソフィアは事前にユリディスに贈られた花を調べてみたが、贈られる花に統一性は見られず、特に意味の見られるものもなかった。花売りの売っているようなものからその辺に自生しているようなものまで様々で、花自体よりも「贈る」という事に意味を込めているのかもしれない。
 物腰の柔らかいクウェルの世間話と酔ったソフィアが場を和ませるという相乗効果で、男と打ち解けていく2人。と、ユリディスの演奏が始まる。
「素敵な演奏ですね‥‥あの吟遊詩人さん、最近良くここにいらっしゃるのですか?」
「二週間くらい前だったかねぇ、ここで歌いだしたぜ。いい女の部類に入るかも知れねぇがなぁ、俺はあっちのねーちゃんの方が好みだなぁ」
 クウェルの問いにぽろりと洩らした男の視線の先には、容疑者(?)の一人である妖艶な女性が座っていた。

●金の髪の――
 フィオレンティナは金髪のエルフと少し離れた席に座り、その様子を観察していた。遠目では解りにくいかもしれないが、男性のように見える。確かに線は細い方だと思うけれども。
 と、ピクリとそのエルフが驚いたように反応を見せた。その視線の先には――演奏を始めたユリディス。彼女には髪に、今朝窓辺に贈られた花を飾ってもらっている。ユリディスは歌いつつ、酒場内の客を順に見ていく。その視線が男性に止まった時――酒場の隅の暗い席ではわかりにくいかもしれないが、男の顔が朱に染まった!
「(こ、これはもしかしてっ‥‥!)」
 フィオレンティナの胸に期待が高まる。
 翌日も同じ様に花を飾ってもらい、演奏中に男を見てもらった。男の表情は嬉しそうな恥ずかしそうな、そんな変化を見せている。
「もっと前の方で聴かないんですか?」
 声を掛けてきたフィオレンティナを恐る恐る見上げる男。
「前の方の席、沢山空いてますよ?」
「い‥‥いえ、私は、ここで見ているだけで十分‥‥です」
「昨日もここで彼女を見てましたよね。お花がよく似合っていて綺麗ですね、彼女」
 さり気なく花に触れてみる。男はまるで少女の様にはにかんでいた。

●私をみつけてください
「待って‥‥!」
 絶対ありえない。彼女はまだ眠っているはずなのだから。
「お願い、逃げないで下さい」
 本当は逃げたくなんてない、でも恥ずかしくて、恥ずかしくて。
「あなたが、私に花を贈ってくれていたのですね‥‥?」
 彼女が一歩一歩近づいてくるのを背中に感じる。
「ありがとうございます‥‥レネグさん」
 彼女の手により外されたフード。その中から零れ出た金色の髪に尖った耳。振り返った彼は初めて彼女の顔を間近で見て、思いを抑えきれなくなる。
「初めて貴女を別の酒場で見かけた時から‥‥私の心は貴女で一杯でした」
 彼――レネグは衝動的にユリディスを抱きしめる。彼女は驚いたように目を見開いたが、それに抗うことはしなかった。


 数日の調査と互いの情報交換をした上で一同が出した結論は「金髪のエルフ」。明らかに彼の反応だけ、まるで恋する乙女だ。
 そこで一同は2人の出会いをセッティングする事にする。場所はユリディスの家。彼が花を置きに来た時に、ユリディス自身に彼に声を掛けてもらう形だ。
 万が一彼が逃げ出した時を考えて追跡する準備もしておいたが、それは杞憂だったようで。

 抱きしめ合う2人を遠目から見て、一同の心は充足感に満たされる。
 一同の努力により、新しい恋人達が今生まれようとしていた。