【消えた赤子】子育て奮闘記?
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■ショートシナリオ
担当:天音
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや易
成功報酬:4 G 98 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月17日〜08月22日
リプレイ公開日:2009年08月31日
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●オープニング
●イーリスの朝
一人暮らしには広すぎる家。
リンデン侯爵領主都アイリスに与えられた屋敷。侯爵家づきの騎士として夫と共に過した屋敷も、もうずっとイーリス一人で使用している。
翌日は久々の非番ということで夜遅くに帰宅したイーリスは、鎧を脱いでベッドに横になった。静けさが逆に耳に痛い。
(「‥‥この家に帰ってくると、一人が寂しく感じるな‥‥」)
そんなガラにもないことを思い浮かべたその後、彼女はすぐに眠りに落ちた。
翌朝。
玄関付近から聞こえる泣き声が、イーリスの意識をくすぐった。
(「‥‥ネコでも鳴いているのか?」)
確かミルクくらいあっただろう、そう思い寝起き姿のまま玄関の扉をあける。
そして。
「‥‥‥」
イーリスは硬直した。
足元では籠の中に座り込んだ黒髪の赤子が、指をくわえながら泣いていた。
●レシウスの朝
朝一番のゴーレムシップでナイアドからメイディアに到着したレシウスは、わき目も振らずに冒険者ギルドへ向かった。彼はナイアドに住むウェルコンス男爵の娘婿で、数ヶ月前に双子の子供を授かっていた。
「息子がいなくなった。捜索の手を借りたい」
「レシウスさん‥‥お子さんがお生まれになったのですね、おめでとうございます」
「双子の息子と娘がな。その息子がいなくなった」
聖夜祭以来の彼との出会いに悠長に挨拶を交わしている暇はなく、支倉純也は事態に眉を顰めた。
「数日前の昼下がり、乳母が庭で5ヶ月になる息子と娘を見ていたんだが‥‥ほんの少し娘のほうへと目が行っているうちに、息子が行方不明になった」
「街中は、勿論お探しになったのですよね?」
「ああ、勿論だ。更に誘拐の可能性も考えて、犯人からの要求が来るのをまった。だが何も連絡がない」
身代金目当てならその要求があるはずだ。だがそれがないからレシウスは助けを求めてきたわけで。
「すまないが、共に息子を探して欲しい」
息子の名前はディレード。5ヶ月の黒髪の男の子である。
●子守協力者募集
「イーリスさん‥‥どうしたんですか?」
丁度純也が席を外しているとき、ギルドに訪れたのはイーリスだった。だがいつもと違うのはその表情は困惑に覆われていて、その手に黒髪の赤子を抱いているところだ。
「すまぬ‥‥この赤子の親が見つかるまで、私と一緒に世話をしてくれる冒険者を募りたい」
一応侯爵に報告し、街中に迷子の知らせは出したらしいが、この赤子がイーリスになついてしまって他の乳母の手に移ろうとしなかったため、子供の親が見つかるまでイーリスの仕事は子守となったらしい。
「子供の世話などしたことがない‥‥頼れる親類もいない。さすがに夫の両親に頼るわけにもいかないしな。だから‥‥」
「解りました。募集をかけてみますけど‥‥結構似合うと思いますよ、お母さん姿」
笑いをかみ殺すギルド職員をキリっと睨んで、イーリスは宿屋へと戻った。
とりあえず冒険者が集まるまでメイディアの宿屋に滞在し、その後リンデンに戻るらしい。
わざわざリンデンに子供を置いていったということは、親はリンデンにいると考えるのが自然だからだ。
●リプレイ本文
●メイディアにて
メイディアのとある宿屋に赤子の泣き声が引き渡っていた。
美芳野ひなた(ea1856)と風烈(ea1587)は冒険者ギルドで聞いた、イーリスの泊まっているという宿屋を見上げていた。換気の為に開け放たれた窓からは、元気な赤子の泣き声が聞こえて来ていた。その合間に聞こえてくるのは、何処か困ったような女性の声。
「イーリスさん、お手伝いにきました〜。あら泣いちゃってますね。お腹がすいたのかな? おしめは変えましたか?」
「ああ‥‥ひなた殿。来てくれたのか。助かる。ミルクは飲ませたのだが、不満なのかまだお腹が減っているのかわからなくてな」
「確かお座りはできるんでしたよね。だったら離乳食も始まっている頃でしょうか。ちょっと厨房を借りて何か作ってきますね。泣きやんでくれたほうが、ひなたたちもお話しやすいですし」
頼むというイーリスの言葉を受け、ひなたは階下へと降りていく。泣き喚いている赤子を困ったようにぎこちない手つきであやしているイーリスを見て何となく笑みを浮かべながら、烈はベッドサイドに近づいた。
「烈殿も、私を笑うか?」
その笑みを別の意味に解釈したのか、イーリスが拗ねたような顔をして傍に立つ烈を見上げる。ギルド職員にからかわれたのが相当恥ずかしかったのか。
「そういう意味で笑ったわけではないな」
彼女の見せた表情に内心少し驚きつつも、ゆっくりとベッドサイド――彼女の隣に腰をかけて。この拗ねた表情は、少し貴重かもしれないと思った。
「困ってはいるみたいだが、まんざらではなさそうだなと思っただけだ」
「そう見える‥‥か?」
彼女が未亡人になった経緯を知っている烈は慎重に言葉を選び、そして頷いてみせる。もし彼女の旦那が生きていたら、今頃彼女は本当に母親になっていたかもしれないのだ。
「だが‥‥赤子の世話は大変だ。数日付き合っただけの私でさえそう思うのだから、日々子供と向き合っている母親は素晴らしいと思う」
「そうだな。母親は偉大だと思う」
ふと視線を移した烈は泣いている赤子と目が合って。赤子の泣き声が一瞬止まり。そしてその手が彼に伸びる。いや、彼の髪に。
「こら、どうしたんだ? 髪? 引っ張るのは駄目だぞ」
腕の中で身体を動かす赤子を押さえようとしながら、イーリス。赤子は烈の黒い髪が気になって仕方がないようで、泣きやんだもののしきりにそちらへと手を伸ばす。
「あーあー」
「髪? 色が同じだからか? あまり引っ張らないで欲しいが」
「そちらに行きたいのか?」
赤子を介して無意識のうちに烈とイーリスの距離が縮まる。本人達も気づかずに接近したその時――
「はい、出来ましたよー。お豆を鳥の出汁で潰してペーストにしてきました♪」
部屋の入り口で、木製の器と小さなスプーンを持ったひなたが、小さく首を傾げた。
「あら、ひなたお邪魔しちゃいました〜?」
「お邪魔って‥‥な、なんのことだっ」
その言葉に慌てたのはイーリス。ふ、と自分と烈の距離に気がついて視線をそらす。
「まるでパパとママみたいでしたから〜」
「いや、そ、それは烈殿に失礼だろう‥‥!」
なぜか顔を赤くして、イーリスは烈を見て。烈は「失礼?」と呟いて笑った。
●メイディア〜ナイアドにて
「ダンスでは世話にもなったこともあったし、行方知れずになった息子さんを見つけ出してあげないとな」
「協力、感謝する。息子が突然消えてしまうなんて思ってもいなかったことだ。今はまだ娘が手元にいるからセルシアも取り乱さずに済んでいるが‥‥早くこの手に取り戻したい」
ゴーレムシップの中、布津香哉(eb8378)の言葉に近くに座ったレシウスは深く頭を下げて。ここ数日眠っていないのだろう、疲れたような表情をしていた。
「脅迫などがなく、誘拐ではない可能性もありそうですが‥‥。他に考えられるとしたら、神隠し、妖精の悪戯とかですかね?」
ルイス・マリスカル(ea3063)は山海経や奇異事物集成をめくり、人が原因ではないという事態も頭に入れようとしている。
「さて、どうやって連れ出した人物を探し出すかだ。誘拐の可能性が薄いなら、子ができないもしくはほしいといった人が連れ出した可能性のほうが高そうだな。どう思う?」
「その可能性は捨てられないが‥‥何故うちから、といった疑問が残る」
「こういう事件に遭遇すると、皆そういうと思うけど」
顎に手を当てて考えるようにしたレシウスの言葉に、香哉は首を傾げて。すると横に居たルイスがレシウスの言葉を補足するべく口を開いた。
「レシウスさんが婿に入られた家は男爵家で、貴族ですからね。まず疑われるのは金品目当ての誘拐でしょう。逆に、それ以外の理由でわざわざ貴族の子供を狙う必要がないのです。普通の子供に比べて、貴族の子供の方が攫うのも大変でしょう。リスクが高すぎるのです」
「ああ、なるほど」
ルイスの説明で納得した香哉が、ふと黙り込んだ。そして、顔を上げる。
「あまり考えたくはないんだけど、金品目当てじゃなかったら怨恨の線はないのか?」
その言葉に今度はルイスとレシウスが顔を見合わせて。
あるといえば、あるのだ。以前レシウスが冒険者達の力を借りて悪事を暴いた貴族が居た。だが彼は――冒険者達の手によって処分されたはずだった。再び姿を現す事はないはずだ。
「一番の懸念は‥‥すでに亡き者だ。他に、強い怨みを買った覚えはないな‥‥」
「彼の縁者も、クリュエールの所業には困っていたようですしね。それに今更復讐もないでしょう」
「でも、理由はなんであれ、連れ出すってことは赤ちゃんを連れている人が目撃されている可能性も高いし。ナイアドについたらその辺もう一度当たってみるよ」
すでにレシウス達が散々手を尽くしたであろうが、念のためという奴だ。ルイスも現場の確認と乳母への聞き込みを行うことにしていた。
●リンデンにて
「一人住まいなもので、あまり掃除が行き届いていなくてすまないな」
リンデンのイーリスの家に案内されたひなたと烈は、明らかに一人住まいにしては大きな家にゆっくりと足を踏み入れる。
「これは、散らかっているというよりむしろ」
ひなたがぐるり、室内を見渡して呟いた。家の中は綺麗に整頓されていて、散らかっているというよりはむしろ整頓したまま長く手をつけられていないように見える。
「イーリスさんあまりお家に帰っていないんじゃないですか? 駄目ですよ、ゆっくりお家で休まないと体力回復しませんから」
「いや、まあ‥‥な」
困ったようにうめきながら、赤子を抱いたイーリスは居間のソファへと腰をかけた。ひなたがその隣に座る。烈はゆっくり室内を歩いて、ちらっとその目の端に映った光景を不思議な気持ちで見ていた。
亡夫の気配がまったくない、のだ。
食器などの生活用品は勿論、思い出となるようなものは一切置かれていない。結婚生活が短かったのだから仕方がないのかもしれないが、それにしてもそれらしいものは一つもなかった。
「うーん、イタズラ? にしてもタチが悪いですね。もしかしたら、カオスさんの残党のしわざでしょうか?? それとも‥‥捨て子、でしょうか?」
ソファではひなたがすでに考察を始めている。烈もゆっくり向かいのソファに腰をかけて。
「でも誰のしわざにしろ、赤ちゃんが急に現れたのなら、急に消えたという事ですよね? 身元の分からない捨て子の可能性もありますが、もしも別の場所からさらって来たのなら‥‥。きっと親御さんも困ってるはずです」
「侯爵に知らせてあるという事は、アイリス付近にはこの赤子の事は知れ渡っているという事かな?」
「ああ。身元不明の赤子を預かっているので、心当たりのある者は領主館へ来るように、と」
問いに答えが返ってきて、烈はじっとイーリスの腕の中の赤子を見た。
「この赤ん坊の衣服に使われているものは、かなり上等な物だよな? とすれば生活に苦しくなって捨てたという可能性は低いように思える」
「貴族さんとかお金持ちの商人さんとかだったら、乳母さんを雇えるくらいですしねー。ふふ、可愛いです」
イーリスの胸に顔をうずめるようにして眠っている赤子の髪を、ひなたが優しく撫でた。
「赤ちゃんがいなくなったら地元のお役人さんに届けたり、冒険者ギルドに捜索願いの依頼を出すはずですよね」
「実際、冒険者ギルドにそういった内容の依頼はあった」
「えっ」
リンデンへ向かう前にギルドで依頼を確かめてきた烈は、ナイアドで黒髪の赤ん坊が行方不明になっているという事件を話した。だが距離的に遠すぎる。ナイアドで攫った赤子をわざわざリンデンに捨てる理由もわからない。
「一応今後関係しそうな依頼が出たら連絡してくれるように、支倉さんに頼んでおいた」
「じゃあ、そちらは連絡待ちですね。後はイーリスさん、私達がいない間に捜索願いが領主館に届いていないか確かめてきてもらいますか?」
「わかった。この子を預けてもいいか?」
「はい。折角眠っていますしね。でも、イーリスさん。聞き込みが終わったら、すぐ戻ってきてくださいね。騎士さんは最初に決めた事は投げ出さないものですよ! 家事も子育ても戦いなんです!!」
「う‥‥わ、わかった」
ひなたの気迫に押されるようにして頷いたイーリス。彼女を見て笑みを浮かべながら、烈も立ち上がった。
「俺は市中を回ってみる。後は近所で目撃情報探しだ」
「はい、頑張ってくださいね!」
烈とイーリスはひなたに見送られ、家を出た。
●再びメイディアにて
誘拐ならメイディアで売ろうとしている可能性もあり、各地の変事の情報の集まる冒険者ギルドで再度確認するのがいいだろう――そういう事になり、ルイスと香哉とレシウスは再びメイディアに戻ってきていた。めぼしい情報がなかったともいうが――いや、一つだけあったか。
赤紫色の鱗に身を包んだ、6枚の羽根を持つ巨大な大蛇が空を飛んでいるのを見かけた。
そんな証言があったのだが、にわかには信じがたい。
「精霊の類なのかな?」
「本に記されている情報によれば、合致する精霊がいるんですが‥‥その精霊が徘徊するのは夜間なんです。だから確実とはいえませんが」
「気まぐれな精霊なのかもしれないな」
ルイスは山海経のページを開いて香哉に見せた。そこに記されていたのは月精霊ララディ。物語を聞かせてくれる者を捜して、月夜を徘徊し、話を聞かせるとそのお礼に冒険に役立つ情報をくれるのだという。
「赤ちゃんを攫った理由はわからないけど」
覗きこんだ香哉が苦笑した時、ギルドからレシウスが飛び出してきた。そして。
「リンデン侯爵領のイーリスという騎士を知らないか?」
「リンデン?」
「知ってますが、何故また‥‥」
香哉とルイスは意外な人物の名前を聞いて、首を傾げる。どう考えても距離も離れているので関係があるとは思いがたい。
「支倉殿に話を聞いたら、俺が依頼を出した後にその騎士が赤子の世話を求める依頼を出したらしい。その赤子の特徴が、息子に似ている」
「イーリスさんが‥‥赤子を?」
「朝起きたら家の前に捨てられていたと」
「でもナイアドからは離れてますよね」
「もしかしたらリンデンですでに親が見つかっているかもしれませんが‥‥」
行ってみますか、ルイスの瞳にレシウスは頷いた。少しでも関わりのありそうな情報は調べておきたかった。
●リンデンにて
「六枚羽根の蛇、ですか?」
烈とイーリスと赤子を庭に出して家の中の掃除を始めたひなたの言葉に、烈は頷いてみせる。
「目撃者が酔っ払っていたらしく、あまり有益な証言とは思えなかったが‥‥空が白み始めた頃、飛んでいるのを見たらしい」
「精霊、と考えるのが普通だろうな」
イーリスがため息をつく。もし関係があるとすれば、一体何が目的なのか、皆目見当がつかない。
ちなみにリンデン領主館へはめぼしい情報は何も届いていなかったという。
「その外見の精霊だったら、ララディかなと思う」
烈が山海経のララディのページを開いて、そしてその特徴を説明した。
「イーリスさん、最近ララディとあった事とかないですか?」
埃をかぶっていた食器を一枚ずつ綺麗にしながら、ひなたが顔を出した。イーリスは記憶をまさぐるようにして。
「いや‥‥会った覚えはない、が。ただ‥‥」
「ただ?」
「不思議な声と会話をした記憶があることにはある。ただ酷く酔っていたので夢だと思っていたが‥‥」
「どんな内容ですか〜?」
「‥‥」
じっとイーリスの返答を待つひなたと烈。イーリスは気まずそうに視線をそらした。膝の上では木でできたグライダーの玩具で赤子が遊んでいる。
「同僚の出産祝いに仲間達と赴いたんだ。そこで再婚を勧められた。まあこれは良くあることなので慣れた。その帰りに仲間達と飲んで、一人でこの家に帰る時――不覚にも‥‥」
「不覚にも?」
烈がもう一つ、チャリオットの玩具を差し出して赤子に手渡しながら問う。
「‥‥寂しい、と思った。一人が辛い、一人の家に帰りたくないと思った。普段は考えないようにしているのだが、幸せそうな家庭を見た直後だったのもあってな‥‥つい」
「それは悪い事ではないと思います」
いつの間にか庭に出てきたひなたは、イーリスの隣に座った。
「頭の中に話しかけてくる声があったんだ。『どうして寂しいんだ』とその声は問う。私は自らの身の上話を聞かせた。夫の死を追っていたその時の話も。するとその声は『話の礼はいずれ』と言って聞こえなくなった。だから夢だと思ったんだ」
「‥‥礼?」
「もしかして」
烈とひなたの視線が赤子に集まる。
「イーリスさんが寂しくないように、この子が連れてこられた、とか?」
●腕の中にて
夜になってイーリス宅の扉を叩く音が聞こえた。烈が扉を開けるとそこに立っていたのはルイスに香哉にレシウス。いずれも顔見知りである。
「一体どうした‥‥と聞きたい所だけど、もしかしてララディと赤ん坊、かな?」
「そっちもララディの目撃証言が?」
表情を明るくした香哉を筆頭に、烈は三人を居間へと通した。そこには赤子を抱いてひなたに教えてもらいながら子守唄を歌うイーリスの姿があった。
「こんな時に不謹慎ですが、滅多に見られぬ光景ですな」
思わず、ルイスが呟いた。
「ディレード!」
赤子を目にしたレシウスは、急ぎソファに近寄って。事情を察したひなたはイーリスと視線を合わせ、そして頷いた。イーリスの手から、眠った赤子がレシウスの手に移る。
「無事だったのか‥‥」
ぎゅっと、子を抱きしめて安堵の息を吐く彼は、もはや立派な父親だった。
赤子は空を飛びたいと言った。女は寂しいと言った。だから両者の願いを叶えた。
その夜現れたララディはそう語り、悪意がない事を示した。
「精霊の加護が在りますように」
香哉の連れてきた精霊に触れられて、赤子は抱かれた腕の中で小さく身じろぎした。