収穫期前に冒険者にお仕事
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■ショートシナリオ
担当:天音
対応レベル:8〜14lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 15 C
参加人数:10人
サポート参加人数:2人
冒険期間:09月29日〜10月04日
リプレイ公開日:2007年10月04日
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●オープニング
茸を始め、プラム、葡萄、クランベリー、胡桃、へーゼルナッツ、etc...
そんな秋の味覚の採取を村の人々は毎年楽しみにしている。
これはこうして食べようか、それともああして食べようか‥‥考えるだけで涎が出るというものだ。
だが今年の秋はちょっと違う。
森にモンスターが棲み付いてしまったのだ。
はっきりと姿が確認されたのは30cm程の毒々しい極彩色の蛙で、液体を飛ばしてくる。恐らく毒を持つ液体だろう。一般人には脅威極まりない。
他に存在が確認されているのはトカゲとマムシ。こちらもやはり一般人にとって大変危険なのは違いない。
毒々しい蛙は森中央の湿地付近へ足を踏み入れると姿を現し、液体を飛ばしてくる。
マムシとトカゲは森南西部にある湖付近に姿を現す。
熟達した冒険者達にとって一体一体はたいしたことのない相手かもしれない。だが数が多ければ脅威にもなりえる。一般人にとっては尚更だ。
その身体に毒を持つ者も存在する故、しっかりとした準備も必要となるだろう。
たかが両生類や爬虫類に似たモンスターと侮らず、重々注意して挑まれたし。
◎森の簡易マップ
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┃▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲入口┃
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┃洞∴∴▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲∴▲▲▲▲▲▲∴▲┃
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┃A∴∴∴∴∴∴▲▲▲▲∴∴∴∴∴▲▲▲▲▲▲∴▲┃
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┃▲▲▲▲▲∴▲▲▲∴湿地∴▲▲▲▲▲▲∴▲▲∴▲┃
┃∴∴∴▲▲∴▲▲▲∴湿地∴∴∴∴∴∴∴∴▲▲∴▲┃
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┃∴∴∴▲▲∴▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲崖∴∴∴∴∴∴▲┃
┃∴∴∴▲▲∴∴∴∴∴∴∴∴∴▲▲崖∴∴∴∴∴∴▲┃
┃∴∴∴▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲∴▲▲崖崖崖崖崖崖崖崖┃
┃湖湖∴∴∴∴∴∴∴∴∴▲▲∴∴∴∴∴∴洞窟B∴∴┃
┃湖湖∴∴∴∴∴∴∴∴∴▲▲∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴┃
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▲・木々
∴・道
●リプレイ本文
●これからのために。
秋の森は1日1日とその様相を変えてゆく。葉は色を変え、実をつけ。
オルステッド・ブライオン(ea2449)は先行偵察に出た服部 肝臓の報告を踏まえ、皆に森歩きの基礎と遭遇予定のモンスターの情報を教える。
リアレス・アルシェル(eb9700)は万が一の為に役に立てば、と手作りの長手袋と脛当てを皆に配って回った。
試してみたいことのあるフィリッパ・オーギュスト(eb1004)は木と草と紐を編んで簡易な罠を制作していく。もしこれが効果があれば村の人たちに知識を授けようと思ったのだ。この程度の簡易なものならば自分達で制作も可能だろうし、毎回大枚はたいて冒険者を呼ばずに住むだろうという心遣いからでた考えだ。
フォーレ・ネーヴ(eb2093)は自らの知識を利用して空洞になっている壷などの内部に油を塗りたくり、敵がいそうな場所に埋めていく。一度落ちたら油で滑って昇ってこれない、というわけだ。
「さて、では互いに健闘を祈る」
シャルグ・ザーン(ea0827)の言葉に、一行は湿地班と湖班へと別れて目的地を目指した。
●湿地の敵――蛙
「わぁ、何かいい匂いがする」
敵を誘き寄せる餌として操 群雷(ea7553)が干し肉を炙った匂いにメリル・スカルラッティ(ec2869)が反応する。その肉を群雷がロープに結び付けている横でオルステッドが保存食をワインに浸して撒き餌を作成していた。
「こっちもいい匂いだ」
「‥‥メリルさんが誘き寄せられてどうする‥‥」
ふらふらと寄って来たメリルにオルステッドは苦笑を返す。
「足場はこの辺なら大丈夫そうだな」
シャルグは湿地に足をとられぬよう注意しながら足場を検分していた。
「誘き寄せ作戦、始めるアル」
湿地付近の陸地に保存食を撒き、群雷の作成したロープつきの餌を置く。そして一同は近くの茂みに身体を隠して待つことしばし。
‥‥。
‥‥‥。
‥‥‥‥。
「うわ、出てきた」
毒々しい極彩色の蛙、しかも30cmもの大きさのものがひぃふぅみぃ‥‥5匹。
その色に気おされている場合ではない。メリルは速攻ウィンドスラッシュの詠唱に入る。
「ポイゾン・トードアルね。ナルベク脚キズツケナイヨウに倒して頂戴アル」
蛇やトカゲ、蛙は自国では宮廷料理の食材だった、是非皆にも食してほしいと少し場違いなことを考えながら群雷はソニックブームを飛ばす。
「出てきたな‥‥」
毒液の飛距離を考え、オルステッドも少し離れた位置から縄ひょうを投げる。
「最近大物の相手が多いゆえ、少し勝手が違うかもしれぬな」
高速詠唱でオーラシールドを作り出したシャルグは蛙たちの中に突撃する。シールドソードを振り下ろしてスマッシュを絡め、弱っていた一体に止めを刺した。
「多少かわいそうな気もするけど、村人の安全の為に眠ってもらおう」
この前とは状況が違う、先手必勝! と詠唱を完成させたメリルは風の刃で蛙を切り付ける。ゲギョ、とわけのわからない声を上げた蛙にオルステッドの縄ひょうが突き刺さり、群雷のソニックブームが更に貫く。今一度オルステッドの縄ひょうに突き刺さった時、2匹目も動かなくなっていた。
蛙達も反撃を試みなかったわけではない。毒液をぴゅーぴゅーと飛ばしてくるが、大体が軽々と避けられてしまうのだ。距離を取られたまま攻撃を受け続ける蛙達。中には毒液の届く距離に、とぴょんと間合いを詰めてきた蛙がいた。丁度シャルグが前方で毒液を防ぎながら別の蛙を倒したころだ。
「不覚アルね」
避け切れなかった群雷が毒液を被ってしまったがすぐに解毒剤を口にする。その間にメリルのウィンドスラッシュが、オルステッドのダガーが蛙の腹を切り裂いていった。
「大丈夫か?」
前方でまだ一匹を相手にしているシャルグが声をかける。解毒剤を飲んだその様子をみて安堵し、彼はスマッシュで蛙を叩き斬る。
「出てきたので全部なら、あと少しだよ!」
メリルの声援に、それぞれ止めを、と武器を振るった。
●湖付近の敵――マムシとトカゲ
「とりあえずは下準備だ、始めようか」
罠の設置と草の刈り込み。陸奥 勇人(ea3329)の声に皆がてきぱきと動き始める。下準備中に草陰からひょいと敵が顔を出さないとも限らないから注意が必要だ。なるべく皆注意をしながら作業を進めるが――
「フィオレンティナさん、右の茂みから何かが近づいてきています!」
ブレスセンサーでの探知に当たっていた結城 梢(eb7900)が叫ぶ。
「おっと‥‥藪をつついて何とやら、だね」
柄の長い武器で茂みを掻き分けていたフィオレンティナは素早く反応して距離を取る。
「リアレスさんの方へも近づいてきてますのでお気をつけて!」
少し離れた所で撒き餌の準備をしていたリアレス・アルシェル(eb9700)へも注意が飛ぶ。
「フォローしあって死角のないようにしないとね」
「ええ」
フィオレンティナの言葉にリアレスが頷く。自然左右から挟まれるような配置になったため、他で作業をしていたフォーレ、勇人、フィリッパ、梢も互いが互いの背中を守るように位置取る。
「そっちに行ったぞ、毒に気をつけろよ!」
勇人の言葉に先ほどフィオレンティナがつついていた茂み辺りを見やると、70cm程のマムシがひょろひょろと飛び出てきた。丸い斑点模様の浮かんだその体には、見るからに毒がありそうだ。
「えいっ!」
飛び掛られる前に、とフィオレンティナが武器の長さを生かして一撃を繰り出す。
「私はサポートするね!」
そこにフォーレの縄ひょうがマムシを一瞬土に縫い止めた。マムシは痛みの為か、一層激しく身体を震わせている。
「きゃぁ!」
シュルシュルと素早く動いた別のマムシが梢の足に牙を立てる。辛うじて唱えられた高速詠唱ライトニングサンダーボルトを喰らってマムシは噛み付くのをやめたが、梢は噛み付かれた所か熱を持っているのを感じていた。
「早く毒消しを飲んで!」
フォーレの言葉にはっと気がつく。事前に彼女から毒消しを渡されていたのだ。それを一気に飲み干す。
「た、助かりました‥‥」
だんだんと傷口から熱が引いていくのが解り、ほっと胸をなでおろす梢。だが戦いは終ったわけではない。
「二度はさせません」
魔法を受けて警戒を見せているマムシを、梢は睨みつけて再び詠唱に入った。
「素早いですね‥‥」
フィリッパがぽつりと呟く。一方、5体のトカゲを目にした側はその動きに少々どの個体から攻撃するかと考えさせられていた。頭に一本の角の生えたそのトカゲは50cm程で、時折後足で立ち上がって素早く走って来る。
「しかし、収穫期前にこの動き。連中も冬眠前の準備でもするのかね」
勇人は敵の素早い動きを避け、槍でのスマッシュの連続で1体1体確実に葬っていく。
「爬虫類だけどモンスターだし、どうなんだろうね」
リアレスはダガーofリターンでの投擲を繰り返し、確実にトカゲの体力を削っていく。
「少しの間ですが動きを止めますのでその間に他の固体をお願いします」
フィリッパは高速詠唱でコアギュレイトを発動させ、近くの1体の動きを止めた。
「よし、今のうちに」
相変わらずすばしっこいトカゲたちの攻撃を避けつつも、フィリッパのサポートを受けて勇人とリアレスは確実にトカゲの数を減らしいてった。
●秋の味覚…?
「これで一応片付いたか?」
「‥‥ああ」
「無事?」
「なんとか」
「あ、罠に掛かったマムシ2体発見〜」
「秋の味覚も発見〜♪」
湿地班、湖班が無事に合流した後、少しだけ秋の味覚を戴くことにした。もちろんこれから収穫に入る村人達の分は残しておくし、熟していないものは採らない。
プラム、胡桃、クランベリー、茸、葡萄、ヘーゼルナッツなどなど。村に退治終了の報告に行ったら美味しい調理法を教えてもらうのだ。そして皆でおなかを満たす、悪くは有るまい。
「お腹減ったアルか? ナラさっき解体シた蛙ガ‥‥」
「きゃーっ!?」
群雷が解体した蛙の死体を広げると、殆どの女性陣は驚いて悲鳴を上げた。
「食スとお肌ツルツルピカピカよ?」
その言葉にも‥‥さすがに手を出そうとする者は出てこない。群雷は寂しげに塩胡椒をまぶし、壷に入れて持ち帰る準備をし始めた。その後姿はとても哀愁誘うものだった。
「さて、これで村人達も安心して森に入れるようになったことだ。報告を急ごう」
シャルグの言葉に一同は頷く。
木の実や果物もいい具合に熟し始めていた。その様子も伝えてやれば、村人達は大いに喜ぶことだろう。
村へ行けば一足早い、秋の味覚(?)パーティのはじまりはじまり――?