たとえ遠く離れても

■ショートシナリオ&プロモート


担当:天音

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 56 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:04月28日〜05月04日

リプレイ公開日:2007年05月01日

●オープニング

●彼の想い
「(‥‥俺は捨てられたというわけか‥‥)」
 男は咄嗟に逃げ込んだ森の中、一本の手近な木の根元に座り込んだ。押さえた腕からは血が流れ出ている。
 同じウェルコンス家に仕える兵士に襲われたこと、しかし明らかに殺害目的ではないその兵士達の行動から主人の意図を察することが出来ぬほど、男は愚昧ではなかった。
 主人が自分の何を恐れてこのような決断に至ったかもわかる。だからこそ、このままここで朽ちてしまおうかとも思うのだ。
 望んでも、決して結ばれぬ相手だとはとうの昔に解っていた。
 それでも彼女の側にいられることだけで、彼女を想っていられるだけで十分だった。
 彼女の、彼女の家の役に立つことが、彼の想いの形だった。
 だがそれさえも許されなくなってしまった。ならばいっそのこと――

 血の匂いを嗅ぎつけたのか、おあつらえむきに魔物の近寄ってくる気配がする。
 そのまま身を任せてしまえば楽になれるはずなのに、剣を握りなおして立ち上がってしまうのは、何故なのだろうか。

●彼女の願い
 ガタン、と音を立てて、その人物はテーブルに凭れ掛る様にして倒れた。
 櫛をさせばそのまま滑り落ちるような長い銀の髪が、宙に弧を描く。
「お嬢様!」
 壮年の執事が慌てて彼女に駆け寄り、その華奢な身体を支え起こした。
「‥‥お父様が‥‥レシウスを‥‥」
 幸い、彼女は意識を失ったわけではなかった。呆然とではあるが呟き、執事に支えられるようにしてベッドに腰を下ろす。
「そんなことまでしなくても‥‥私はちゃんと嫁ぐつもりなのに‥‥」
「お嬢様‥‥」
 彼女の瞳に涙が溜まるのを見て、執事は続ける言葉を失った。
「私が嫁がなければ、破談になり…まだ幼い妹達までもが何処かに嫁がされるのは目に見えているもの‥‥」

 港町ナイアドに館を構えるウェルコンス男爵家の長女セルシアは、母譲りの美貌を有している。それに加え自身の聡明さと優しさという内外伴う器量良しであり、彼女との縁談を望む声も少なくはなかった。しかし彼女は誰の元にも嫁がずにいた――彼女の母親が存命の間は。
 セルシアに想う相手がいることを彼女の母は気づいていた。それは身分を考えれば到底成就する想いではない。貴族の娘として生まれついた以上、は親の決めた相手に嫁がねばならない。それは彼女の母親が身をもって知るところだった。だからこそ、可愛い娘を少しでも長く彼の側に置いてやりたいと思ったのだ。
 幸い、男爵は妻を溺愛していた。妻の口添えで縁談を断ることを躊躇わなかった。無理にそこらの下級貴族に嫁がせずとも、セルシアならばもっと高位の貴族の相手に――という思惑もあったのかもしれない。

 しかし彼女の母親が亡くなった時、全てが変わってしまった。

 男爵は愛妻を失った悲しみを全てぶつけるかのように、それまで無縁であった経済関連の取引に手を出し始めたのだ。当然ながら、名はあるものの経済に明るくない男爵は財産を放出する一方‥‥気がつけば多額の借金まで背負うことになっていた。

「私の覚悟はとうに固まっているというのに‥‥どうして」

 以前からセルシア嬢の風聞に関心を寄せていた王都の貴族がウェルコンス家の財政事情を聞き、援助をする代わりに彼女との婚姻を望んできた。彼女が今までいくつも縁談を断ったと知っていたから、ある意味弱みに付け込む方法を取ったのだ。当の男爵にとってその話は渡りに船。援助を受けられればなんとか路頭に迷うことは避けられる。

「ご主人様は、お家存続の為に心を鬼に――」
「だからといって! お父様だってレシウスの才能には目をかけていたじゃない‥‥それを、掌を返すような‥‥」

 だが、男爵の心には凝ったような不安があった。娘は婚姻を了承したものの、彼女の心の中には長年別の男が住んでいる。
 その男、レシウスはセルシアの乳兄妹ではあるものの、今はウェルコンス家の私兵として働く平民。そう、身分が違う。それは解っているはずなのに、レシウスの聡明さを、利発さを、自分よりも娘に対する忠誠にも似た絶対的信頼を知っているからこそ心配なのだ。
 彼の才を見込み特に目を掛けて育ててきたが、今はその利発さが怖い。万が一セルシアを連れて駆け落ちしたとしても、彼には最低限身を立てるだけの才と学はある。それは皮肉にも男爵自身が与え、育てたものだ。
 心配の種は一つ残らず潰しておくに限る。

『簡単な使いだ。数日で戻る』

 最後に見た彼の顔がセルシアの脳裏に浮かんだ。
 いくら乳兄妹だから、絶大的な信頼関係にあるからとはいえその想いの成就が許されぬことだとは本人達が一番良くわかっている。
「想う事さえも許されないの?」
 貴族の娘としての役割は理解している。特に母没後の家の窮状を見ていれば、今回の結婚がどれだけ大事かもわかる。

 だから――想っているだけだった。

 何も求めない。彼が生きていさえすればそれでいいと思う事にしていた。
「‥‥ひとつだけ、朗報といえるかもしれない情報が有ります」
「!?」
 執事の言葉に、セルシアは涙で濡れた顔を上げた。
「彼を襲う任を負った者達もこの家の私兵です。彼は傷を負わされたものの殺されてはいません」
「それって‥‥」
「ご主人様もさすがに彼を殺してしまうのは躊躇われたのかと。彼がこの家に、お嬢様の前に戻らぬようにすれば十分と」
 聡い彼のことだ。自分の仕える家の私兵に襲われたとあれば、それだけで主人の意図を察するだろう。
「‥‥では、彼は生きているのですね?」
「その可能性はあります」
 希望を見出したセルシアは目を輝かせたが、何故か執事の反応は芳しくない。
「レシウスは傷を負わされたまま、森へ逃げ込んだそうです」
「森‥‥ってまさか」
「そうです。ゴブリンの姿を見かけたと噂のある、あの森です」
 再び、彼女の顔色が変わる。
「彼とてそれなりの修行を積んでおりますから、そう簡単には倒れはしないでしょう。ご主人様の私用で少し離れた町へとのことでしたから、食料もある程度は持っていっています。けれども、もうこの家へ戻ってこられないことは、彼も解ったはず」
 どこか大きな街へでも辿り着いて新たな生活を始められれば一番良いのだろう――が、どこも遠い。それ以前に彼が無事に森から出られるのかすら解らない。森から出られたとしても、補給の為に近くの村や町まで辿り着けるかも解らない。
「‥‥‥‥‥」
 セルシアは何かを決意したかのように立ち上がり、棚から布袋を取り出した。
「‥‥これで、足りますか? ‥‥メイディアの、冒険者ギルドで人を雇うのに」
「お嬢様!?」
 その袋の中身は彼女が個人的に貯蓄した金銭や、もしもの時には換金を考えていた装飾品類だ。
 彼女の言葉で意図を悟った執事はその袋を受け取り、頷く。
「レシウスの保護と、彼をここへ連れ戻すことを冒険者に依頼すればいいのですね?」
「いいえ、違います」
 執事の言葉に、セルシアは背筋を伸ばして凛と言い放った。
「レシウスを保護し、彼を王都へ送り届けること‥‥それが私の願いです」

 彼ならばきっと、その才能を生かして新しい生活を始めることが出来るでしょうから――。

●今回の参加者

 ea0356 レフェツィア・セヴェナ(22歳・♀・クレリック・エルフ・フランク王国)
 ea1911 カイ・ミスト(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb1633 フランカ・ライプニッツ(28歳・♀・ウィザード・シフール・ノルマン王国)
 eb4395 エルシード・カペアドール(34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4598 御多々良 岩鉄斎(63歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 eb7880 スレイン・イルーザ(44歳・♂・鎧騎士・人間・メイの国)
 eb8174 シルビア・オルテーンシア(23歳・♀・鎧騎士・エルフ・メイの国)
 eb9700 リアレス・アルシェル(23歳・♀・鎧騎士・エルフ・メイの国)

●サポート参加者

斉 蓮牙(eb5673

●リプレイ本文

●意思
 問題の森はナイアドからの街道脇に存在した。
 メイディアからゴーレムシップで到着した八人はそれぞれ町で不足していた食料補充や情報収集を済ませた後、問題の森付近まで辿り着いていた。
「この辺りですね」
 エルシード・カペアドール(eb4395)は足を止め、地を指す。良く見るとそこには既に赤黒く変色しているものの、確かに血痕があった。点々と森へ向かって続いている。
「いつかは、別れなければならなかった。けれどもう少し‥‥ほんの少しだけでも、幸せな別れ方は、出来なかったのでしょうか‥‥」
 フランカ・ライプニッツ(eb1633)は森を見つめ、沈痛な面持ちで呟いた。
「クッキー、この匂いを覚えてくれるかな?」
 レフェツィア・セヴェナ(ea0356)は、事前に男爵家へ向かい執事と面会したメンバーが借りてきたレシウスの衣服をボーダーコリーの前に差し出す。
「ジーゲンもお願いします」
 フランカも自身のボーダーコリーにレシウスの衣服の匂いを嗅がせた。
「ふむ羨ましい生涯じゃのう。才を見込まれ恐れられるものの、止めは刺されぬ。主に思われている証拠じゃ」
 御多々良岩鉄斎(eb4598)が言ったその時、上空に影が生まれ、そしてその影は一行の近くに降り立った。
「森自体はそれほど大きくはありませんでした。残念ながら思っていたより木々が生い茂っていて、上空からの捜索は無理そうでしたが」
 グリフォンのレェオーネに乗り上空からの捜索を試みたシルビア・オルテーンシア(eb8174)だったがそれを断念し、グリフォンから降りる。だが森の全体像と町の方向は把握できた。町へ帰還する時に役立つだろう。
「私も一応騎士の家に生まれた者ですからね‥‥貴族の事情も彼女の立場もわかるのですが‥‥」
 カイ・ミスト(ea1911)は複雑な事情を理解した上で今回の依頼の完遂を約束した。セルシア嬢に直接の面会は叶わなかったが、執事を通してその意思は彼女に伝わっただろう。
「若い身で、それも有能な人間が朽ちるのを黙って見ているのもな‥‥」
 スレイン・イルーザ(eb7880)は森を見つめ、軽く溜息をついた。貴族の家の事情は色々複雑で大変だ‥‥そちらの解決は無理でも、レシウスが生きる道を見つける手伝いをしてやれればと思う。
「ともかく、『最悪』を避けるために頑張ろう!」
 リアレス・アルシェル(eb9700)はバックパックに触れた。その中には執事を通して預かったセルシア嬢の手紙が入っている。何としてでも彼女の言葉、レシウスに届けなくては。

●接触
 街道から森へ入ると程なく戦闘の痕跡を発見することが出来た。踏み荒らされた草とゴブリンの死体1体。どれほど前の事かはわからないがレシウスがここでゴブリンと交戦したのは間違いなさそうだ。
「こっちに移動したみたいだね」
 レフェツィアは目ざとく移動の痕跡を見つけてその方向を指す。フランカもそれに同意した。レシウスの匂いを嗅がせた二人の犬も、そちらへ行こうとしている。
「では、そちらへ参りましょう‥‥その前に」
 エルシードは手近にある木に浅く斬り付け、目印をつける
「あら、何か‥‥聞こえませんか?」
 聴覚の鋭いフランカが皆の動きを止めた。カイも耳を澄ましてみる。
「酷く草木の揺れる音が聞こえますね」
「もしかしたら、レシウスさんが戦っているのかもしれない!」
 リアレスは音がしたといわれる方向に目を凝らす。
「そうだとしたら、急がなくてはなりませんね」
 シルビアもその方角を見やり、頷く。
「この人数であれば、ゴブリン共も怯えて逃げ出す可能性もあるじゃろう」
 岩鉄斎が駆け出す。他の者もそれに続いて木々の間を駆けて行く。エルシードはその間も念のために一定間隔毎に印をつけていくことを忘れない。
 暫く走ると木々の間に人影が見え隠れしているのが誰の目にもわかるようになった。長い黒髪を靡かせながら、どうやらその人物はゴブリンと対峙している様だ。が、その動きにはキレがない。どうやら相当弱っているらしい。
「レシウスさん!」
 フランカが素早くレシウスの側へ飛んで行く。その身体が茶色の淡い光に包まれたかと思うと、彼に襲い掛かろうとしていたゴブリン2体が一瞬浮かび、そして地に叩きつけられた。シルビアはフランカの魔法の範囲外だったゴブリンに向けて矢を射り、援護へと回る。リアレスはもう1体のゴブリンへ向けてダガーofリターンを投げつけて敵の隙を作り出すことに成功した。
 敵の数は4体。カイ、スレイン、エルシードはレシウスを庇うように前へ出る。岩鉄斎は仲間が囲まれないように脇へ回り、備える。レフェツィアは味方に祝福を与え、援護することにした。彼女の身体が淡い白光に包まれる。
 フランカの魔法が再びゴブリンを地に叩き付け、シルビアがその1体に矢を射る。スレインが弱ったそのゴブリンに斬りかかると、そのゴブリンは倒れ伏して動かなくなった。
 仲間を倒された上突如現れた敵の人数に恐れをなしたのか、残りの3体は素早く森の奥へと逃走していく。
「追撃は、やめておきましょう。今回の任務はゴブリンの殲滅ではありませんからね」
 逃げ行く敵を見やり、カイが告げる。その言葉に頷いた後、自然皆の注目はレシウスに集まる。傷つき、かなり憔悴しているが整った顔立ちの青年だ。
「なぜ‥‥助けた‥‥?」
「死にたかったの? では何故貴方は剣を取って戦っていたのかしら?」
 疑問というよりも責める様なレシウスの呟きに、エルシードが逆に問いかける。
「‥‥俺、は」
 唇を噛み締めるようにした彼の身体が不意に傾ぐ。岩鉄斎が咄嗟にその身体を支えた。
「大丈夫だよ、怪我はたいしたことないみたい。もしかしたら少し熱が出でるかもしれないけど。今は気を失っているだけだね」
「とにかく空飛ぶ絨毯に乗せてこのまま町へ運ぼう。いつ意識が戻るか解らないし」
 レフェツィアの診断に安心し、リアレスは魔法の絨毯を取り出す。レシウスの救出が最優先事項である以上、彼を保護した今森から出ることに異存のある者はいない。
 カイは念のため殿を勤め、ゴブリンが再び襲い掛かってこないか注意しながら進む。エルシードのつけた目印を頼りにすれば迷わずに森から出られそうだし、シルビアは町の方向を把握しているのでスムーズに帰還できそうだった。

●再誕
「俺は‥‥?」
 レシウスが目覚めたのは、一行がメイディアへ帰還してからだった。疲労と傷からの発熱のせいでナイアドに着いても彼の意識は戻らず、八人は依頼の完遂を第一に考えて昏睡中の彼を王都へと運んだ。彼を運んだ家はシルビアが王都を出る時に友人の斉 蓮牙に手配を頼んでおいたものの一つだ。
「あ、目が覚めたんだね。ここは王都だよ」
「‥‥王都だと?」
 レシウスは緩慢な動作で起き上がり、部屋に集まる八人を見渡す。
「私達はセルシアさんからの依頼で貴方を王都へ連れてきたのよ。本当は、二人で密会させてあげたかったのだけど」
「‥‥彼女は既に覚悟を決めてます。下手に会わせるのは苦しませるだけですよ」
 エルシードの言葉に、共に執事との接触に赴いたカイがやんわりと告げる。
「セルシアが‥‥」
 レシウスはその名に反応を示した。苦しそうな、泣きそうな、なんとも表現し難い表情を浮かべる彼に、レフェツィアは何と言葉をかけていいのかわからなかった。
「お互いが覚悟を決めているなら、そのことについては何も言わない。これを読んでなお死にたいと思うなら私は止めないよ」
 リアレスは大切にしまっていた手紙をレシウスに差し出す。それはナイアドで執事を介して「何か一言でいいから」と頼み込んでセルシア嬢に書いてもらったものだ。レシウスは震える手でそれを受け取り、一瞬躊躇った後、開いた。読むのに時間は掛からない。そこに書かれていたのは一文だけ。

『たとえ遠く離れても、貴方が生きてさえいてくれれば私も生きていけます』

 レシウスの瞳が細められる。
「彼女は、貴方が生きることを望んでいます」
 彼のその様子を見て、シルビアは励ますように声をかけた。
「ナイアドへ向かう前に友人に貴方の今後に関する手配をお願いしました。ここに住むも王都を出るも貴方次第です」
「はっきりいって無責任なことはいえん。だが冒険者になるなり他の道もあるだろう」
 スレインの言葉を補足するように岩鉄斎が続ける。
「生きてさえいれば冒険者や開拓地の傭兵隊長・騎士いろいろ目指せるじゃろう。男爵も、もし窮地に陥ったら恥を忍んでおぬしに土下座してでも頼み込みに来るじゃろうしの」
「俺は‥‥」
 レシウスは知らずに零れ落ちた涙を隠すように腕で目を覆った。
「彼女は貴方に生きること‥‥生きていてほしいと望んでいます。理解しろとはいいません。ですが‥‥彼女の最後のわがまま、叶えてやってくれませんか?」
「‥‥俺は」
 カイの言葉でレシウスの脳裏にはそう願うセルシア嬢の姿が鮮明に浮かび上がったのだろう。まだ何か言いたげな仲間達をフランカが目で制して彼の言葉の続きを待つ。こういう事は自分で答えを出すしかない。だから聞き手に回った方が良いと彼女はずっと沈黙を守っていた。
「生きたかったんだ‥‥。死んで何もかも忘れてしまった方が楽だと思った‥‥はずなのに、生きて、彼女を思い続けたかった。だから、戦った‥‥」
 彼の中で今、揺らいでいた意思が固まった。『生きたい』と。
「だったら生きればいいよ。何かレシウスさんに出来ることを見つけて、それでセルシアさんを思い続ければいいと思うんだ」
「‥‥そう、だな」
「死だけが道ではないわ。貴方なら新しい道を見つけることが出来るでしょう」
 レフェツィアの励ましに、レシウスは弱々しいながらも笑みを浮かべ、エルシードの言葉に彼は頷いて見せた。
「そうだな。影ながら彼女の為に少しでも出来ることはないか、考えてみたいと思う」
 ありがとう、そう言ってレシウスは深く頭を下げた。