【第三次カオス戦争】平原戦闘

■ショートシナリオ


担当:天音

対応レベル:8〜14lv

難易度:やや難

成功報酬:5 G 47 C

参加人数:10人

サポート参加人数:1人

冒険期間:11月21日〜11月27日

リプレイ公開日:2007年11月28日

●オープニング

 東方平原へ赴いた騎士団が敵兵団と会敵したという報告が届いた。
 現在その騎士団は多勢に無勢ではあるがなんとか生き残っているという。
 冒険者達には何とかその敵兵力を駆逐し、騎士団を救出してもらいたい。

 敵兵力はカオスニアンと恐獣の部隊であり、数としては100名ほど。冒険者達に相手をしてもらいたいのは恐獣を含む20ほどの主力部隊だ。
 戦闘の部隊は平原。味方部隊は破損しつつあるモルナコスをなんとか駆り、それ以外にも歩兵戦力を総動員でなんとか持ちこたえている。
 冒険者が相手取る主力部隊を撃破してしまえば、後は雑兵共だ、騎士団を救出する障害とはなりえないと思われる。
 逆を言えば冒険者が相手にする主力部隊の撃破に失敗すれば、騎士団を救うことが難しくなるということだ。心してかかって欲しい。

 この作戦に対して王宮は貸与ゴーレムを2パターン提示してきた。冒険者の取る作戦によって、どちらのパターンを使用するか決めて欲しいとのことだ。


<貸与戦力>
パターンA
・ゴーレム…オルトロス2騎
・フロートシップ…ゴンゴー級1隻

パターンB
・ゴーレム…モルナコス5騎
・フロートシップ…5型輸送艦1隻

<敵主戦力部隊の戦力予想>
・騎乗恐獣…10体前後
・大型恐獣…1体
・カオスニアン…10数人前後

●今回の参加者

 ea1587 風 烈(31歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea1702 ランディ・マクファーレン(28歳・♂・ナイト・人間・フランク王国)
 ea2564 イリア・アドミナル(21歳・♀・ゴーレムニスト・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea7641 レインフォルス・フォルナード(35歳・♂・ファイター・人間・エジプト)
 eb1004 フィリッパ・オーギュスト(35歳・♀・神聖騎士・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb4395 エルシード・カペアドール(34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4532 フラガ・ラック(38歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb8475 フィオレンティナ・ロンロン(29歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 eb8962 カロ・カイリ・コートン(34歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 ec1201 ベアトリーセ・メーベルト(28歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)

●サポート参加者

クウェル・グッドウェザー(ea0447

●リプレイ本文

●戦場へ
 さぁ、これで騎士団のやつらに止めを刺すぜ――!
 戦場は、まさに敵方からそんな声が聞こえてきそうな状況だった。
 敵主力部隊はどうやらこれから弱った騎士団に対して総攻撃をかけるようだ――ペガサスに騎乗して偵察に出ていたランディ・マクファーレン(ea1702)の言葉に、一行はフロートシップからモルナコスを下ろす作業を出来るだけ急いで態勢を整える。
 今回冒険者達はモルナコスを5騎使用する事を選んだ。3騎が大型恐獣を押さえ、残り2騎とゴーレム外の戦力で騎乗恐獣や敵兵を相手にする。ゴーレムの背後を取られないように陣形が組めそうだというのも5騎を選んだ理由の1つである。
「ちなみに大型恐獣はアロサウルスのようだった」
 ランディの報告に、モルナコスに乗り込んだ面々が了解、と返す。今回は作戦に参加する鎧騎士全てがモルナコスに乗り込むこととなった。
『正面からぶつかるガチンコバトル! ふっふっふ、燃えて来たぜよー』
 中でも大型恐獣を担当するカロ・カイリ・コートン(eb8962)は既に意気揚々、やる気満々だ。同じくやる気満々なのはフィオレンティナ・ロンロン(eb8475)。元気一杯だ。
『よーし、行っくぞー! このフィオレンティナが蹴散らかしてあげるからねっ!』
『さて、そうそう無様な戦いばかり、続ける訳にはいきません。気を引き締めていきましょう』
 一方、落ち着き払ってそう告げたのはフラガ・ラック(eb4532)。この三人が今回大型恐獣を担当する。
 モルナコス用ロングスピアを両手に持ってその使い心地を確かめように動かしているのはエルシード・カペアドール(eb4395)。近づかれる前に倒す、それを実行するためにリーチの長い武器を選んだ。一方、まるごともるなこすを着こんで操縦席に座ったベアトリーセ・メーベルト(ec1201)は、これで少しでもモルナコスの気持ちがわかるかもしれないなんて考えてみたりして。この二人が主に騎乗恐獣の対応に当たる。
「みなさん、用意はよろしいいでしょうか?」
 告げたフィリッパ・オーギュスト(eb1004)に、皆一様に頷く。これから敵が総攻撃をかけるのだとしたら、総攻撃が始まる前に――敵主力部隊と騎士団が交戦に入る前にこちらから攻撃を仕掛けたい。実際のんびりとしている時間はなかった。
 今回は戦場の側面から近づく形となる。戦場に近づくと、既にフレイムエリベイションを自身に付与して準備のを整えたイリア・アドミナル(ea2564)が声を上げた。
「永久の眠りを誘う、氷原の嵐よ吹き抜けよ、アイスブリザード」
 彼女の身体が青白い光に包まれる。そして戦場に猛吹雪が――超越レベルのアイスブリザードが吹き荒れる。

 それが開始の合図となった。


●五騎の壁
「な‥‥んだ、あれは‥‥」
 イリアのアイスブリザードでダメージを負った敵が辛うじて意識を保ちながら見たものは、横一列に並んで前進して来る5騎のモルナコス。思わぬ第三勢力の登場、突然の猛吹雪の衝撃から態勢を立て直しきれぬ敵部隊に冒険者達は迫る。
 どすっ、どすっ‥‥そう足並み揃えて近づくモルナコスの防壁に敵は何とか応戦の指示を出すが、最初に受けたアイスブリザードのダメージが大きく、まともに動ける者が少ないのも事実。そしてこのモルナコス達を倒さねば当初の目的の騎士団を壊滅させられない事を敵も理解した。自然、攻撃目標は冒険者達に移る。
「絶対の自信を持って勝負に出ていた所を横合いから第三勢力に殴りつけられたわけですから、この隙を利用しない手はありません。騎士団の皆さん、聞こえますか? この隙に壊れたモルナコスと共にフロートシップへ撤退してください」
 冒険者のモルナコスの背後を守るようにしてホーリーフィールドを展開しながらフィリッパが叫ぶ。
「‥‥多勢に追い詰められた騎士団と、それを少数で助けに行く冒険者。さて、不運なのは果たしてどちらやら」
 ボソリと愛馬の上で呟いたランディはオーラシールドとオーラパワーを事前に付与して交戦準備を整えていた。そしてフィオレンティナの搭乗しているモルナコスに張り付くようにして、彼女の機体に迫る騎乗恐獣に止めを刺していく。初手で大分弱らされていた騎乗恐獣は動きも鈍く、またそれを駆るカオスニアンの動きにもキレがなかった。ランディは天馬を駆り、更にもう1体に刀を食い込ませる。
『ランディ、大丈夫!?』
「大丈夫だ、ティナは前の敵を見ていろ。背中は守る」
 心配そうなフィオレンティナの言葉に心配は無用だと告げ、ランディは次の標的目指して手綱をさばく。

「俺の相手をしてもらおうか、それとも御前達は剣も持たぬ者を恐れる臆病者か?」
 風烈(ea1587)は三体の騎乗恐獣を相手取っていた。元々回避に自信のある彼だ、初手で大ダメージを受けて弱っている敵の攻撃など素早く見切り、かわす。そして逃げられると厄介な騎乗恐獣の脚を狙い、数回爪で切り裂く。足を切り裂かれて苦悶の叫びを上げる騎乗恐獣の牙をも易々と避け、烈は次の相手の足を封じるために素早く拳を繰り出す。
「挑発にはあまり乗らないことだ、我が拳は剣に勝る」

「救出が目的だ。功をあせらないで目的を忘れないようにしないとな」
 自らに言い聞かせるように呟いたレインフォルス・フォルナード(ea7641)はゴーレムの側面や背後に回ろうとする歩兵カオスニアンや、騎乗恐獣を倒されて徒歩に切り替えたカオスニアンの相手をしていた。だが敵は弱っているとはいえ焦ることなく確実に攻撃を避け、確実に当てて一体ずつ倒していく。ゴーレムが出来る事はゴーレムに、自分は自分にできる事をして騎士団救出に役立ちたい、そんな想いが彼の剣には乗せられている。

 乱戦になった今、イリアは攻撃方法をウォーターボムに切り替え、高速詠唱も利用してモルナコスの側面から背後に抜けようとする敵を狙っていた。彼女の手から発射される水の固まりは高速で敵に激突し、そしてダメージを与える。
 フィリッパは同じく高速詠唱でコアギュレイトやホーリーフィールドを使用し、味方が戦いやすくなるように支援をしていく。

 魔法支援や白兵戦力の支援を受けて、エルシードはロングスピアを振るう。近づかれる前に騎乗恐獣を刺し、歩兵カオスニアンに止めを刺す。そのリーチの長さは彼女に有利に働いていた。彼女はアイスブリザードでダメージを受けていた敵たちを次々と確実に屠っていった。
 ベアトリーセはエルシードと共にモルナコスの周辺にいる敵を倒しながら、大型恐獣アロサウルスを三方向から取り囲もうとしている三機をサポートしていく。そして出来る事ならアロサウルスの背後に回ろうと、じりじりと自己位置を修正していった。


●巨躯
『来たぜよ!』
 カロが叫ぶ。騎乗恐獣たちに遅れること少し、アロサウルスがドスドスとモルナコス目掛けて走って来た。
『メイの鎧騎士の底力、見せてやるぞー!』
 フィオレンティナがハルバードで駆け寄ってくるアロサウルスの胴に斬りかかる。胴に攻撃を受けたまま、アロサウルスはフラガの騎乗するモルナコスに向かい、大きく口を開いた。その鋭い牙がモルナコスの肩に食い込む。
『くっ‥‥!』
 フラガはその衝撃に耐え、武器を振るいアロサウルスの首筋を狙う。横目でカロとフィオレンティナの機体が敵の側面から背面へと向かうのを確認しながら。
 敵が一騎を集中攻撃してくるなら好都合だ。その隙に残りの二騎が背後へと周ることが出来る。1対1では危険な相手でも三騎で連携を取れば――フラガはアロサウルスの注意を自身に惹き付けるように動く。
『行くぜよ!』
 アロサウルスの注意がフラガの機体に行っている隙に、カロは背後寄りの側面から巨躯に斬りつける。彼女は、噛み付かれぬように気をつけながら確実に攻撃を当てていく。アロサウルスは苦悶の叫びを上げて暴れようとしたが、フィオレンティナも負けじとハルバードを振るう。自分の背後はきちんと守ってもらえている、だから忌憚なく武器を振るうことが出来た。
 アロサウルスの背後に回ったベアトリーセの援護も加わり、四騎のモルナコスが敵を取り囲む。他の仲間が騎乗恐獣や歩兵の相手をしてくれているからこそ、彼らはアロサウルスへと集中することができた。
 そして――どすん、と土煙を上げてアロサウルスの巨躯が倒れ伏す。その頃には歩兵戦力もあらかた片付いていた。
『まだ戦うつもりならワタシ達が相手になるよっ! 逃げるなら今の内だぞ!』
 フィオレンティナの声が戦場に響く。
 主力部隊は撃破した。主力以外の敵は散り散りに逃げる者だけでなく、諦めずに冒険者達に向かってくる者もいた。だが敵が主力部隊を失った以上、彼我の戦力差は明らかであり、騎士団達が戦場から撤退するのに障害となりえるほどではなかった。

 背後を振り返ると傷ついた騎士団のあらかたは後方に泊められていたフロートシップに乗り込んでいる所であり、そちらを追撃しようとしている敵は白兵戦力が追いかけ、しっかりと倒していった。

 かくして冒険者達の働きにより、窮地に陥っていた騎士団は無事に救出されたのである。