盗まれた手紙を取り戻せ
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:葵桜
対応レベル:1〜3lv
難易度:やや易
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月03日〜12月11日
リプレイ公開日:2004年12月13日
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●オープニング
「どうしてもお願いいたしたい事があります‥‥」
冒険者ギルドにやって来た青年は改まった様子で耳を傾ける冒険者達に真剣な表情を見せて話し始めた。
青年の周りにいる冒険者達も青年の余りにも深刻なオーラに飲み込まれて、息を呑む。
「実は手紙を出しに向かっていた途中で突然、盗賊に襲われて妹に宛てた大切な手紙を盗まれてしまったんです」
手紙だけならば、また書けば良いのだが手紙には小さな青い石が添えていた。
盗まれるまで知らなかった事なのだが、青年が湖でたまたま見つけた天然石はたとえほんの小さな粒でも希少価値の高い珍しい石の可能性がある。
石が盗まれた事に腹が立つのではなく、石が盗賊達に売り捌かれてしまう事が青年は許せないのだと語る。
「取り戻してくだされば、宝石代の一部を差し上げます」
成功の際の報酬額は1人1Gほど支払う予定だと言う。手元に残った残りの宝石代は村の困っている者達や村の活性化に繋がればいいと思い、寄付金にしたいと考えているそうだ。
「もちろん手紙も取り戻してくださると助かります‥。思いを込めて書いた手紙を届けられないのは寂しいですから‥‥」
いくら書き直しが出来るといっても、手紙が盗賊の手によって破られたりするとやはり腹が立ってしまう部分もある。
盗賊達に襲われた場所は森の近くであったので、恐らく森周辺を縄張りにしているのではないかと推測される。
被害は青年だけではなく、村の者達も度々金品や貴重品を盗賊に奪われている。
「これ以上、被害を出すわけにはいきません。どうか、悪党どもの退治も依頼したい‥」
もしかすると盗まれた金品や貴重品を盗賊が幾つか所有している可能性もあると思われる。
青年だけではなく村全体としてのお願いもある為、ささやかなお礼ではあるが食事と寝所を用意していると青年は付け足した。
●リプレイ本文
●罠に嵌ろう!
囮隊視点。
「盗まれた事に腹を立てるのではなくて売り捌かれる事が心配‥‥、か。良い青年だね、僕好みだ」
「お手紙が盗賊達に破かれていなければ良いのですが‥‥」
青年の優しい思いに共感したカイン・アッシュ(ea7630)は快く青年の依頼を承諾して、冒険者だと盗賊に覚られないように村人から洋服を借りて変装している。
手紙の話を聞き、ミィナ・コヅツミ(ea9128)は依頼主の手紙の事を気にする。
カイン、ミィナ、イドラ・エス・ツェペリ(ea8807)の3人は森沿いの道を盗賊達の姿を警戒しながら囮役として先行する。
(「これは、もしかし‥‥」)
気をつけていなければ見落としてしまいそうな位置にロープ系の罠が張られている。
一瞬躊躇したが、カインはわざと盗賊が張ったと思われる罠に覚悟を決めて足を踏み入れる。
「きゃっ‥‥」
覚悟していたとはいえ、ミィナはロープに足を引っ掛けて頭上に網が振ってくるというトラップに驚いて思わず声をあげてしまった。
「「罠に掛かったな! おぃ!其処の者達、荷物と金品を差し出せ! そうすれば逃してやろう」」
腰に手を当てて仁王立ちする4人の盗賊が姿を現し、金品の要求を迫ってきた。
「ん? お前‥‥人間じゃないな?」
マントのフードを被っているハーフエルフのイドラと目が合った盗賊の一人が疑いの目でジロジロとイドラを見下ろす。
「ち‥違います! 私は人間です!!」
怯むことなくイドラは人間だと言い張る。ここで自分の正体がばれて冒険者だと覚られるわけにはいかない。
ミィナは誘き出した盗賊以外で辺りに盗賊がいるかどうかを確かめる為にすぐには行動を起さずに、気を配りながら辺りをゆっくりと見渡した。
●計画実行
本隊視点。
「盗まれた手紙を盗賊さんから取り戻せ‥ですかぁ。大変だと思いますが頑張らないといけないですね!」
身を潜めるチハル・オーゾネ(ea9037)の頭の中には盗賊が何処に潜んでいるのか、出現率が多いのは何処なのかなど様々な事が頭の中を駆け巡っていた。
「皆さん、其処に罠があります。ロープに足を引っ掛けないように気をつけてください‥」
自分の持つ隠密行動万能の技能を生かして緋芽佐祐李(ea7197)は辺りに気を配りながら張り巡らされた罠を探し出す。
また、予め森によく出入りしている村人達に地形や、幾つか罠が張られている場所を教えてもらっていた。
盗賊にばれぬ様に隠れて先行している囮役の者達を隠れて追いかけるには森に入って少々危険な道を歩かなければならない。
「それにしてもこの辺は至る所に罠が張られていますね‥‥慎重に行動しましょう」
一二三四(ea8784)も佐祐李と共に隠密行動万能を駆使して皆に注意を促しながら足場が悪い草むらを掻き分けて進む。
当然、罠に嵌って盗賊にばれてしまっては計画が台無しである。
「村人から聞いた話だけど、この周辺は盗賊に襲われやすい場所らしいよ」
盗賊の行動パターンを知る為に予め調査していた内容を、一番後ろをのほほんと歩いているアレクサンドル・ロマノフ(ea8984)が伝える。
「待って‥。カインさん達に動きが‥‥」
クリスチーナ・スチール(ea7651)の合図で足を止めて囮役の3人の動きを窺っていると、3人は盗賊が張ったと思われる罠に計画通り嵌った。
少しして盗賊達が姿を現したが、すぐには行動を起さずにアレクサンドルは慎重に物音を立てぬように注意して出来る限り近づく。
本隊はタイミングを確りと見極めて、囮隊に気を取られている盗賊に攻撃を仕掛ける準備に入る。
●戦闘開始!
「貴方達の相手は私です!」
疾走の術で先手をきった佐祐李は、油断している盗賊に忍者刀で攻撃を仕掛けた。
「この野郎! ふざけやがって!!」
「貴方の相手はこっちよ」
佐祐李に仕返しをしようとした盗賊にクリスチーナはクルスソードを抜いて攻撃する。
「ここは相手のテリトリーですから足元には十分注意してください!」
足元にあるかもしれない罠を警戒して、攻撃で足元に十分注意出来ないもの達に一は注意を促す。
「罠か?!」
「絶望を抱き‥‥後悔と共に潰れな!」
佐祐李が張ったロープの罠に気がついて盗賊がロープを飛び越える隙を狙って、のほほんとしていたアレクサンドルは人が変わったように盗賊に向かって叫び、グラビティーキャノンを発する。
さすがに避けきれない盗賊はその場で転倒する。
「煩い! 黙って荷物を置いていけ!」
「大人しくするのは貴方達の方です。 ムーンアロー!!」
転倒したものの何とか立ち上がり、ふらつきながらも攻撃を仕掛けてきた盗賊にチハルは止めといわんばかりに矢を放つ。
「最低でも一人が話せる状態で捕獲出来ればいい。つまり、一人以外は死んでも問題は無い‥‥」
威圧感を与えながら言葉を発するアレクサンドルの姿に盗賊達は一歩引き下がる。
「な‥なら、人質がどうなってもいいのか?!」
「私達がどうしましたか?」
「人質にされて皆さんの迷惑になっては何にもなりませんからね‥‥」
すでにイドラが縄はダガーで切断して盗賊達の罠から抜け出していた。
何時までも人質になっている訳にはいかないとミィナは笑顔で言う。
「おっと‥‥これはスペードのエースだね。意味は『DEATH』だよ」
ポケットから地面に落ちたトランプをカインが拾い上げると、そこには『死』を表す内容が暗示されていた。
「‥どうやら大人しくしないと君達が死ぬ‥‥と、シナリオにはそう描かれているようだね」
カインは盗賊を縛る為のロープを手にして、大人しく捕まるのか、戦闘して死ぬのかを選ばせる形をとった。
「それに、どんな傷を受けても必ず治すことができます。どんな攻撃をされてもあたし達には勝てませんよ!」
ミィナは使えない魔法をまるで使えるかのように自信ありげに嘘をつく。だが、相手に勝ち目がない事を思い知らせる事は出来たようだ。
当然、屁っ放り腰で何とか立っていられる状態の盗賊達の選ぶ選択肢は決まっていた。
「では、暴れないで大人しくしていて下さいね‥」
マイペースにチハルはロープで盗賊達を縛るのを手伝う。
●アジトに潜入
「アジトの場所はこの道であっているのね?」
盗賊から聞き出した道をクリスチーナは盗賊に確認しながら森の中を歩く。
カインは誘導尋問をしてでも聞きだそうと思ったが、あっさりと盗賊達は白状したので最悪の事態は間逃れることが出来た。
「これは‥人間の足跡だと思います。村人がこんなに険しい道を歩くとは思いませんし、恐らく盗賊達の足跡だと思います‥」
「所でアジトには他に仲間がいるんですか?」
足跡を発見したミィナは足跡がモンスターのものではなく、まだ真新しい人間の足跡だと自分の持つモンスター知識の技能を活かして慎重に確認してから告げる。
ロープで縛られて歩きにくそうに歩く盗賊は一の質問に軽く頭を横に振る。
どうやら、盗賊の人数は情報どおり、4人のようだ。
「あそこに小さな塒があります」
アジトらしき物を発見したチハルが指差した先には消されたばかりの焚き火から煙がかすかに立っている。
中に入ると沢山の盗んだ物と思われる高価な品々や金品が山済みになって置かれていた。
「それにしても人の物を‥それも大事な手紙やプレゼントを奪うなんて許せない‥‥」
心に秘めていた思いをアレクサンドルはつい言葉に出してしまった。
「あっ‥‥これは依頼主の手紙ではないでしょうか?」
山積みにされた物の中から一は運良く手紙を発見する。
「手紙ですか‥。私には送ってくれる者も送る相手もいないので、この手紙がどれ程の価値を持つのか計りかねます‥‥」
「人それぞれだとは思うけど、送り主や受け取った相手にしか手紙の価値は分からないと思うな‥」
手紙を見つけてポロリとこぼしたイドラの発言にアレクサンドルはおっとりとした雰囲気で答える。
「封が切られているみたいだけど‥‥重みを感じます」
「あら、宝石‥ではなくて石のようね。どうやらまだ、売り捌かれてはいなかったみたいね」
手にした封筒に重みを感じ、恐る恐るチハルが封筒の中身を確認すると中から青い石が出てきた。
依頼主から頼まれた石が無事でクリスチーナは既の所で食い止められた事を嬉しく思う。
「所で貴方達はこれだけの罠が作る技術が有るのだから、盗賊なんて辞めて猟師になるとか、村々に協力して獣撃退用の罠作りをするなどした方がいいですよ」
「そうですね‥確かにそれだけの罠を作る技術を持ち合わせているのに皆の役に立つ仕事をしないなんて勿体無いです‥‥」
塒から出てきたミィナは身動きが取れずに木の下に座り込む盗賊に優しくアドバイスを送る。
落ち着いた様子で冷静にミィナのアドバイスを聞いて納得した一も職を探すことに賛成する。
「随分と盗みを働いたようですね。村に馬を置いて来ていますから運びきれない分は二往復目で馬に乗せましょう‥」
「そうね。村の人達に報告も兼ねて早く盗品を届けて、喜ぶ顔がみたいわ」
手紙や宝石、そして数々の予想以上の盗品を目の前に、一回で運ぶのは無理だと判断した佐祐李は自分の馬を使うようにと進める。
数々の盗品を目の前にしてクリスチーナは嬉しく思うものの、膨大な数に苦笑しながら答えた。