真夏のカップルコンテスト☆

■イベントシナリオ


担当:綾海ルナ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:4

参加人数:28人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月23日〜07月23日

リプレイ公開日:2009年08月07日

●オープニング

 うだる様な暑さの中、目に鮮やかな原っぱに釘を打つ音が響く。
「そんなにのんびりペースですと間に合いませんわよー」
 馬車の中で侍女に扇で風を送ってもらいながら、呑気な声をあげるのはロイエル家婦人レミー。
 突拍子のない事を思いつき、人を巻き込む困った奥様だ。
「母上はもう屋敷にお帰り下さい。後は俺達で完成させますから」
「それはできませんわ。だって私は現場監督ですもの」
 汗だくになりながら木材で舞台らしきものを作っている息子フレッドの恨めしそうな視線を受け止め、レミーはにっこりと微笑む。
「フレッドさん、早く終わらせて帰りましょう‥‥うふふ‥‥あはは‥‥」
 隣で作業をしているふわふわ猫っ毛の少年エイリークの目は虚ろで、先程から釘の刺さっていない場所を叩き続けている。
 その様子に気づいたフレッドは側に置いてある水の入った桶を手にし、それをエイリークの頭上で傾けた。
 水飛沫の後、一瞬でふわふわの猫っ毛はぺっしゃんこになる。
「わぷっ! な、何をするんですかフレッドさんっ!?」
「気がついたか? それに気持ちいいだろう?」
「確かに涼しくなった気がしますけど、全身ずぶ濡れじゃないですか!」
「心配ない。夕方には乾く」
 フレッドはエイリークの抗議に微笑すると、桶の中に残った水を何の躊躇もなく頭から被った。
「‥‥生き返るな。さ、作業を再開するぞ」
「は、はぁ」
 気持ち良さそうに目を細めるフレッドに気のない返事をすると、エイリークは仕方なく釘とトンカチを手に取る。
(「フレッドさんっていい人なんだけど、本当にやる事成す事大雑把だよなぁ」)
 布で隠せるからいいものの‥‥と思いつつ、エイリークは舞台に視線を移す。
 フレッドが打った釘の後は明らかに曲がっていて、舞台に情けなさと哀愁をもたらしていた。
「あらあら。あれでは薄茶の仔猫さんと金色の大型わんこですわねぇ」
 レミーはくすくすと笑った後、手元の羊皮紙に視線を見つめる。
 びっしりと文字の書かれたそれは、レミーによるあるイベントの企画書だった。 
(「前回の男装女装お花見のテーマは『カオス』。そして今回は‥‥暑苦しいほどの『ラヴ』ですわっ!」)
 にんまりと微笑みながら、レミーはイベント当日の様子を想像し始める。
 夏らしく装飾された舞台から溢れるラブラブパワーの熱量は相当だろう。それを見ながら煽る良く冷えたエールは格別に違いない。
「題して『真夏のカップルコンテスト・イン・キャメロット(の原っぱ)』です! 素敵でしょう?」
「は、はい。さすがはレミー奥様です」
「自分のイベント企画能力が怖いですわ! おーっほっほっほ!」
 得意げに高笑いを浮かべるレミーに引き攣りながら、侍女はさり気なく企画書に視線を走らせる。
(「悪い人じゃないんだけど、人を巻き込むのは止めて欲しいわよねぇ。どれどれ、カップル枠、恋人未満枠、イロモノ枠‥‥イロモノ枠っ!?」)
 何故か1番強調されているその文字に、扇を仰ぐ侍女の手が思わず止まる。
「あら、どうしましたの?」
「お、奥様‥‥このイロモノ枠とは一体何でございますか?」
「これは相手が居ないシングルさんが一人身の切なさを思いっきり叫ぶ枠、またはネタとして男性同士が舞台上で愛情表現を行う枠ですわ」
 しれっと答えるレミーに、侍女は開いた口が塞がらない。
 暑さとは違う理由の汗が背中を滑り落ちた。
「今回はお手伝い無用で、参加者の皆様に楽しんで頂ければと思ってますの♪」
 嬉々としたレミーに眩暈を覚えながら、侍女はこんな企みの為に連日炎天下で酷使されているフレッドとエイリークを不憫に思うのだった。
 ワンシーズンに1回行われるレミー奥様の珍イベント。
 今回は夏の暑苦しさを倍増させるカップルコンテスト────需要があるかは激しく謎である。

●今回の参加者

マナウス・ドラッケン(ea0021)/ 大宗院 透(ea0050)/ リーディア・カンツォーネ(ea1225)/ シェアト・レフロージュ(ea3869)/ 尾花 満(ea5322)/ アルテス・リアレイ(ea5898)/ エリー・エル(ea5970)/ サクラ・キドウ(ea6159)/ フレイア・ヴォルフ(ea6557)/ 大宗院 亞莉子(ea8484)/ ラファエル・クアルト(ea8898)/ リリー・ストーム(ea9927)/ レオ・アイベンシュッツ(eb1775)/ 紅谷 浅葱(eb3878)/ ラルフィリア・ラドリィ(eb5357)/ リディエール・アンティロープ(eb5977)/ レイア・アローネ(eb8106)/ レア・クラウス(eb8226)/ セイル・ファースト(eb8642)/ ヒルケイプ・リーツ(ec1007)/ カメリア・リード(ec2307)/ ラルフェン・シュスト(ec3546)/ マール・コンバラリア(ec4461)/ リュシエンナ・シュスト(ec5115)/ エルシー・ケイ(ec5174)/ ジルベール・ダリエ(ec5609)/ ラヴィサフィア・フォルミナム(ec5629)/ ニノン・サジュマン(ec5845

●リプレイ本文

●通じ合い溢れ出すラヴ&ハッピーオーラ♪
 噂を聞きつけた近隣住人達も集まり、開始前から会場は活気に溢れていた。
「本日は私主催のイベントにお越し下さり、ありがとうございますわ!」
 夏らしい原色の花々で彩られた舞台の上に、派手な衣装を纏ったレミーが満面の笑顔で姿を現した。
「まずはカップル部門からですわっ♪」
 歓声の中、1組目のカップルが舞台袖から姿を現す。
「大宗院透(ea0050)と申します。訳あって女装してますが男です」
「透の妻の大宗院亞莉子(ea8484)でぇーす☆ 絶対、優勝するってカンジィ」
 亞莉子は目をハートマークにし愛しの旦那様に抱きつこうとするが、ひらりとかわされてしまう。
「私達はぁ、今年8年目の夫婦でぇ、依頼とかもよく一緒にやっているしぃ、私生活、仕事共にいつも一緒でラブラブってカンジィ」
「夫婦に必要なのは、愛ではありません‥‥。ましや金や地位でもありません‥‥。必要なのは信頼関係です‥‥」
 熱烈アタックを続ける亞莉子をかわしながら、透は真面目な口調で語り始める。
「愛は憎悪から不信を生む可能性が高く、長続きしません。ですが私は亞莉子をとても信頼しています」
 亞莉子とは形式上の夫婦であり、透は男女の愛情を抱いていない。だが彼女に寄せる信頼は本物だ。
「愛され過ぎてるって怖いかもぉ♪」
「‥‥私の話を聞いてましたか?」
「もちろん! 透は私の事を超愛してるって♪」
 『信頼』と言う言葉にのみ反応した亞莉子は、信頼=愛であると勘違いしている様だ。
「夫婦に必要なのは『忍耐』。それを見事に体現したご夫婦でしたわね。さあ、次は年の差カップルさんですわよ」
 上機嫌の亞莉子に引っ張られる様にして舞台を後にする透に、レミーは同情するのだった。
「ラヴィサフィア・フォルミナム(ec5629)ですわ」
「ジルベール・ダリエ(ec5609)や。カップルと言えば二人羽織。二人羽織といえば愛の共同作業ってわけで、二人羽織やるでー♪」
「では参りますわ。んしょ‥‥」
 重箱に詰めたお手製お菓子を箸で摘むラヴィの手元は、早くもぷるぷるしている。
「あーん‥‥ふがっ!?」
 そしてお約束とばかりにお菓子は口ではなく鼻へ。
「ゴメンなさいませ! 今度こそ‥‥」
「惜しいなぁ。そこは口やなくほっぺや」
「むぅ。難しいのですわ‥‥」
 ほっぺに焼き菓子のジャムが付いても、ジルは笑顔を絶やさない。
「ここでしょうか? えいっ!」
「あたっ! ラヴィ、そこは目ぇや」
 可愛らしい掛け声と共に愛のお菓子アタックを目に受けても、
「ドジやなぁ。そこが可愛いんやけど♪」
 と惚気続ける愛の狩人ジルである。
「ごめんなさい。ラヴィ、上手に出来なくって‥‥」
 結局お菓子を食べさせられなかったラヴィは、ジルの背中越しにしょんぼりとした声で呟いた。
「ラヴィの菓子は目で食おうが鼻で食おうが世界一美味いで」
「ジルベールさま‥‥」
 優しい言葉に感激したラヴィがそっとジルの背中に頬を寄せた瞬間、男の狼心に火が点いた!
「見えんし、ええよな?」
 絶妙なテクを駆使し(細かい事は気にしてはいけない)二人羽織りをした状態でラヴィにキスをしようとするジル。
 その時、観客席から円状の何かが舞台へ一直線に飛んで行き‥‥ジルの後頭部を直撃した!
「ぐえっ!」
「ジルベールさまっ!?」
「ふ、この外道めが」
 にやりと笑うニノン・サジュマン(ec5845)が投げたのは武器にもなる直径30cmの巨大クッキーだ。一部欠けているのは、彼女が齧ったからである。
「彼にとってお菓子は甘いお仕置きでしたわね。さあ、次はご夫婦さんの登場ですわ」
 フレッドが気絶したジルを回収した後に現れた2人は、緊張しているのか動きが固い。
「尾花満(ea5322)と申す」
「フ、フレイア・ヴォルフ(ea6557)だ」
 料理人の満はつい先程まで振舞われる料理に関心を持ち、嬉々とした表情でレシピを纏めていたのだが‥‥。
「コンテストと言われてもなぁ‥‥今更取り立ててどうすると言うようなものでもないし‥‥」
「勢い来たは良いモノの‥‥どーしよう」
人前でいちゃつく事の苦手なフレイアは、ふと美味しそうなワインに目を留める。
「えぇいぃっ! ままよっっ!」
「‥‥遅かったか」
 お酒の力を借り様とがぶ飲みをする妻の姿に、満は深い溜息をつく。フレイアはとってもお酒に弱いのだ。
「満ぅ、いつも美味い料理をありがとな。あたしは満の料理を皆に食べて欲しいんだ。だから美味しいモノいーっぱい食べて、レシピ増やしてくれよ?」
「ほら、言わぬ事ではない。だが‥‥」
 ふらふらと覚束ない足取りのフレイアの肩を抱き寄せ、満は優しい笑顔で愛しい妻を見つめる。
「拙者の料理も、フレイアの狩ってくる獲物あってだ。いつも感謝して居るぞ」
「本当か? 嬉しいな‥‥」
 フレイアは満の逞しい胸元に顔を寄せると、甘い声で胸の中にある想いを告げる。
「あたしにとって満は、大切で背中を預けれる人だ。料理出来るし炊事洗濯も‥‥ホントいい男だろう♪」
 幸せそうな問いかけに、観客の女性達はうっとりとした顔で頷いている。
「こら、そうくっつくと動きが‥‥仕方ないな」
 満は苦笑すると、フレイアをひょいと抱き上げる。女性の憧れ『お姫様抱っこ』だ。
「愛してるよ〜、満ぅ」
 そのまま濃厚なキスをしようとするが、その直前でフレイアはかくりと首を揺らす。どうやら夢の国へと旅立った様だ。
「まったく、可愛いな‥‥拙者にとってもフレイアは最高の妻だ。これからも、よろしく頼むぞ」
 舞台から降りた後、満はフレイアに膝枕をし、その髪を優しく撫でるのだった。
「途中から完全に2人の世界でしたわね。ですがそれでこそラヴ夫婦ですわ! さあ、お次のお2人はどんなご夫婦になるのでしょうか?」
 何処か羨ましげなレミーの解説の後、手を繋いだ初々しいカップルが舞台上に現れた。 
「アルテス・リアレイ(ea5898)と申します」
「サクラ・キドウ(ea6159)です‥‥」
 仲良くお辞儀をした後、2人はジッと見つめ合う。
「どうしましょう‥‥何か二人で出来る事‥‥音楽に乗せて踊ったりとかでしょうか?」
「アルテスがそう言うなら。でも‥‥何か恥ずかしいですね」
 久々のデートとして精一杯遊ぶつもりだった2人だが、レミーの勧誘を断りきれずにエントリーしてしまったのが運のツキ。
 自分達の順番まではぴったりと寄り添って仲良く料理や食べ物を楽しんでいたのだが‥‥。
「恥ずかしいですけど、頑張りましょう。ね?」
「はい。わかりました‥‥」
 2人は微かに赤い頬で微笑み合うと、阿吽の呼吸で見事なダンスを披露し始める。
 サクラのエンジェルドレスの裾がふわりと舞う度、観客席から「ほぅ」と溜息が漏れた。
「アルテス‥‥素敵なエスコートをありがとうございます。それで、あの‥‥」
 踊った事でお酒が回ってしまったのか、サクラは潤んだ瞳でアルテスを見つめる。そこに籠められた『おねだり』を理解し、アルテスはくすっと微笑んだ。
「僕のキスをさしあげましょう。少し、恥ずかしいですが‥‥あなたが喜んでくれるのなら」
「アルテ‥‥んっ」
 舞台上で交わされる深く熱い口付けに誰もが目を奪われる。特にレミーの目は皿の様だ。
「うぅ、人前は恥ずかしかったです‥‥」
 唇が離れた後、真っ赤になりながらアルテスを引きずる様に舞台から退散したサクラは、涙目で俯いた。
「あんなに可愛い顔でおねだりしてたのに?」
「もうっ! 知りませんっ」
 年下の可愛い恋人が自分だけに見せる意地悪な笑顔に、サクラはぷいっとそっぽを向く。しかしその顔は幸せに蕩けていた。
「と、登場時の初々しさとのギャップが溜まりませんでしたわね。さて、次のご夫婦はどんなラヴシーンを披露なさるのでしょう?」
 興奮気味のレミーに戸惑いつつ姿を現したのは、どこか神秘的な雰囲気の夫婦だ。 
「ラファエル・クアルト(ea8898)よ」
「シェアト・レフロージュ(ea3869)と言います」
 胸元に飾った聖夜の雪にそっと触れた後、シェアトはとても嬉しそうな顔でラファエルを見つめた。
 微笑み合う2人の耳元で、お揃いの耳飾りがきらりと揺らめく。
「あの、ラフと一緒にお出かけ出来ただけで十分幸せなんですけれども‥‥折角舞台に上がらせて頂いたんですし、何か披露しないとですよね‥‥」
 観客達の顔を見渡したシェアトは、あわあわと慌ててしまっていた。
「歌う為に皆様の前に立つのとは違う緊張感です‥‥どうしましょう」
「シェアトってば、かーわいい‥‥」
 緊張と照れ臭さで混乱気味の妻に胸をきゅんとさせ、ラファエルは細い体をぎゅっと抱きしめた。
「ラ、ラル?」
「このままで聞いてね。今からシェアトの好きなとこ、上げてくから」
 サラサラとした髪を撫でながら、ラファエルは口を開く。
「月の精の様な儚くも柔らかいとこや、歌の子守唄の様な、暖かさが好きだよ。繊細で人の心に影響を受けて揺れやすいけど、触れる芯は強いよね」
 紡がれる言葉は詩そのもの。透明で透き通った愛の言葉だ。
「種族差については、一切、爪の先程の陰りもないよ。だって、私にとって一番がシェアトでその逆も一人しかいなかったんだもの。これ以上幸せって、ない」
「‥‥今度は私の番ね」
 シェアトははにかんだ笑顔で、ラファエルを見つめた。
「私のとってあなたは、世界でただ一人心から心を預けられる、甘えられる人。支えようって決めていた筈なのに、ここが一番安心できる、帰る場所だわ」
 そこまで言って恥ずかしくなってしまったのか、シェアトはラファエルの胸に顔を埋め、ぎゅっと抱きついた。
「‥‥はふ。らぶらぶです」
「ええ。十分過ぎる幸せの裾分けですね」
 頬を染めるリーディア・カンツォーネ(ea1225)の隣で、リディエール・アンティロープ(eb5977)は瞳を細めて友人夫婦を見つめた。
(「あの人は今、どうしてるでしょう。元気でしょうか? すごく‥‥逢いたいです」)
 花霞の香水瓶を弄りながら、リーディアは高貴な血を引く片想いの男性の顔を思い浮かべる。
 既に想いを告げたあの人の傍に、自分が送った聖なる守りがある事を願いながら。
(「リーディアさんは解り易い人ですね。私も‥‥」)
 儚く微笑みながら、リディは離れ離れの恋人を想う。
 異種族故に引き離されはしたが、心はいつも共にある────そう信じていた。
(「今は離れ離れでも‥‥いつか必ず迎えに行きます」)
 そっと祈る様に目を閉じ、リディは熱い想いと誓いを胸に抱くのだった。
「お幸せそうでいいですわねぇ」
 レミーの言葉にラファエルは綻んだ顔で頷く。
「世界一の幸せ者だと思ってます! 以上!」
「で、お子様は何人ほどお作りになられますの?」
 感激のあまり妻をお姫様抱っこしたラファエルは、遠慮のない質問にぴしりと固まる。
「あの、ラフ‥‥私、来年か再来年には‥‥新しい家族が欲しいの」
「えっ!?」
 思いがけず積極的なシェアトの発言に、ラファエルの頬が朱に染まる。
「出来れば二人か三人。あなたは?」
「男女、一人ずつぐらい欲しいかな?」
 再び見つめ合った2人は、どちらともなく唇を重ねる。
「来年とは言わず、早速今夜から‥‥いえ、何でもありませんわ。次はカップルと言うよりは、新たな愛の形を体現している皆様の登場です」
 お節介姑と化してるレミーの横を通り過ぎるのは、1人の男と3人の女。しかし女達に愛憎の香りはなく、仲良さそうに手を繋いでいる。
「マナウス・ドラッケン(ea0021)だ。よろしく」
「レア・クラウス(eb8226)よ」
「レ、レイア・アローネ(eb8106)だ」
「僕はラルフィリア・ラドリィ(eb5357)‥‥」
 全くタイプの違う3人の美女(幼女含む)の愛を独占しているマナウスを、観客のシングル男性は敵対心を露な瞳で見つめていた。
「レア、ダンスのお相手を願えるかな?」
「ちゃんとエスコートしてね。お手並み拝見といきましょうか」
 膝を付き手の甲に口付けを落とすマナウスに、レアは妖艶に微笑む。
 しっかりとリードをしつつもレアに従う様なダンスは、優美なだけではなく所々で口付けを交すという情熱的な演出が含まれていた。観客女性達の目へ舞台上の2人に釘付けである。
(「様になっているな。やはりあの二人は絵になる‥‥私は壁の花として見てるとしよう‥‥」)
 レアとレイアは親友同士。
 マナウスをいじめる事でより絆を深めたりしているらしい。
(「んーなんかムカムカしてくるのは何故だろう? いかんぞレイア。友の恋愛を祝福せねば」)
 しかし複雑なのが乙女心。マナウスは罪な男である。
「お気に召して頂けましたか、レディ?」
「大事にしてくれてるのは伝わってくるから、及第点は超えてるかしら?」 
 踊り終えた2人は名残惜しそうに何度目かの口付けを交す。
(「ちゃんと私を見てくれてるなら、ね 」)
 心の中でそう呟いた後、レアはマナウスから体を離した。
「そのドレス、着てくれたんだな。良く似合ってる」
「い、いや、これが丁度いいと思ったから着てきたまで‥‥えっ?」
 必死で弁解するレイアの頭に、ラルがふわりとベールを被せた。
「よこうれんしゅー、だって」
「な、何のだ!?」
「結婚式に決まってるだろう? 他人事の様にしているが、そうは問屋が卸さないぜ」
 マナウスはベールアップの後、未だ状況が飲み込めていないレイアのおでこにキスを落とした。
「なっ!?」
「永遠の愛の誓いと口付けは本番までのお楽し‥‥」
「マナウス! どーして貴様はそう――!!」
「っと!」
 レイアは真っ赤な顔でどこかからか取り出した大剣を振り回し始めた。
「そんなに暴れたら折角のドレスが台無しよ」
「レア! お前はどうなんだ!? このちゃらんぽらんが――」
「好きよ。あなたもでしょ?」
「そ、そんな事はないっ!」
 レアが巧みにレイアの注意をマナウスから逸らしている間、舞台の真ん中では親子の様な温かい語らいが始まっていた。
「誰もが幸せを求めるけれど、それは特別な事やものじゃない。当たり前の日々だと俺は思う」
 妙齢の女性2人との愛を披露した後、家族愛を体現する男、マナウス。‥‥只者ではない。
「おとーさんのおひざのうえ、好き‥‥」
 にっこりと笑うラルの頭を、マナウスは父の様な優しさで撫でていた。
「なでてくれる手、だきしめてくれる腕、いっしょにお話しするの、ぜんぶ、好き‥‥」
「ああ。俺も同じだ」
「僕、幸せ‥‥おとーさんいて、レアさんいて、レイアさんいて、みんな、いて‥‥」
 たどたどしいながらも必死に自分の気持ちを伝えるラルは、会場にいる皆の顔を見渡した後、満面の笑みを見せた。
「一緒にいれる、とってもとっても幸せ‥‥みんな、だいすき‥‥なの」
「ラル、何て愛らしいんだ‥‥」
 あまりの可愛さに顔を緩ませているフレッドと目が合ったラルは、何かを思い出したかの様ににこっと微笑む。
「そいや、フレッドとしたの、ふぁーすときすだった‥‥」  
 無邪気な発言に会場が凍りつく。そして‥‥
「フレッド! あなたはこんな幼じょ‥‥ではなく、人のものに手を出すだなんて!」
「ち、違います! あれは事故の様なもので‥‥」
「ほう? ではキスはしたんだな?」
 恐ろしい声に振り返ってみれば、そこには静かな怒りを讃えたマナウスの姿が‥‥。
「愛には様々な形があると教えられた気がしますわねぇ」
「待て、話を聞いてくれ!」
「娘を汚した奴の言う事など聞かんっ!」
「おとーさんとフレッド、なかよし♪」
 ‥‥こうしてカップル部門は終了した。
 フレッドがどうなったかは、想像にお任せしよう。
 
●一人身だって泣かないもん! だったら男同士でどうだ! 
 シングル部門が始まる少し前、リュシエンナ・シュスト(ec5115)は明るい笑顔で、ぱたぱたとロイエル兄妹に駆け寄った。
 お互いの近況を報告し合った後、リュシエンナは遅れてやって来た長身美女の腕に抱きつく。
「兄様と一緒に遊びに来ちゃいました☆」
「噂の兄上とか。どちらにいらっしゃるんだ?」
「‥‥ラルフェン・シュスト(ec3546)だ。妹が世話になった」
「まあ、お綺麗な御姉様ですわね」
「ううん、兄様です。私の我侭のせいでいつもと違うけど」
 てへっと舌を出すリュシエンナの言葉に、ロイエル兄妹はまじまじとラルフェンを見つめた。
「酒席でゲームをして、負けた結果がこの有様だ。言っておくが俺に女装の趣味はないぞ」
 禁断の指輪で女性に変身させられ、妹サービスデー実行中のラルフェンは、こほんと咳払いをする。
「それにしても立派ですわ。羨ましい‥‥」
「でしょ? 母様似なのは嬉しいけど、この豊満さはズルいですよね!」
 乙女2人の会話にフレッドは真っ赤な顔で目を逸らす。
 次に会う時はいつもの姿で、と約束をした後、ロイエル兄妹はレミーの補佐をする為に舞台へと姿を消した。
「兄様、ゴメンね?」
 黙々と料理‥‥と言うよりは甘味を楽しむ兄を扇で扇ぎながら、リュシエンナは可愛らしく謝罪の言葉を口にする。
「もう慣れた。それに、イギリスの甘味を味わう機会など滅多にないからな」
「じゃあ、楽しい?」
「ああ。お前と一緒だからな」
「ラブラブな皆さんを見て、会いたくなったりして」
 すばりと心を言い当てられた瞬間、ラルフェンの脳裏に浮かんだのは想い人の笑顔。
 参加者の熱々っぷりに当てられ、まず思い出したのは亡くした妻との思い出だった。
 しかし寂寞の想いに締め付けられる胸をより強く揺さぶるのは、愛しい女性に会いたいと言う願いだった。
(「誰かの幸せを心から喜べるなら。その人はもっと幸せになれると思う」)
 自分では気づいていないであろう兄の穏やかな笑顔を見つめながら、リュシエンナは優しく微笑んだ。
「お待たせ致しました! 次はシングル部門ですわ。熱い想いを叫べば、舞台から降りた後に素敵な出会いが訪れるかもしれませんわよ♪」
「切にそれを願いますっ!」
 そう叫びながら舞台に現れた美女に、観客のシングル男性達が押し寄せる。しかし! 
「紅谷浅葱(eb3878)です。僕は、僕は男ですっ!」
『ええぇぇぇぇっ!!??』
 男達の悲痛な叫び声が、
『きゃああぁぁぁぁっ!!』
 女性達の嬉しい悲鳴が真夏の夜空を揺らす
「キャメロットには友人に会いに来ました。でもその途中で男性にナンパされ、それを見ていた友人には変わらないと追い討ちをかけられ、落ち込んでいる時に募集の張り紙を見てを見て衝動的に参加しました」
 浅葱は拳を握り締め、切々と女顔男子の苦悩を語り始める。
「しょっちゅう男性に声をかけられたり、初対面で男性だと思われる事の方が少なかったりしますが! それでも‥‥普通に女性が好きな男なんです!!」
 女性と間違えられるのは顔だけのせいでは無く、願掛け中で伸ばしている長い髪とか、自分で育てた花を贈ったりする素直で優しい性格も原因なのだが、当の本人はまるで気づいていない。
「舞台を降りれば選り取り緑ですわよ! さあ、レッツエンジョイ・サマーラヴ!」
「う、うわあぁっ!」
『トウゥゥ・ミイィィィ!!』
 群がる女性達の中に突き落とされた浅葱が素敵な夏恋に出会えたか、それはまた別のお話。
「大人気ですわねぇ。次の方は‥‥ひっ!」
 ほくほく顔のレミーは次の参加者と目が合った瞬間、顔を引き攣らせた。
「レオ・アイベンシュッツ(eb1775)だ。本当はカップル部門で出場したかったんだが、どう言う訳かこちらに押しやられてしまってね」
 ふふふと不気味な笑いを浮かべるレオに、観客達は既視感を覚える。
 彼は心の中にいる妻‥‥つまりは脳内妄想をパートナーにしている変態さんだ!
「キミはいつも美しいな〜。キミの美しさと比べたら、全ての女性が霞んで見えるよ‥‥」
「あ、あの、レオさん?」
「ははは‥‥キミにそんな事言われると、照れるな〜」 
 果たしてレオは妄想の中でどんな会話を繰り広げているのだろうか? 彼の醸し出す幸福オーラに観客達はぐったりし始める。
 会場は数十分もの間、冷えたエールが吹雪の中の温かい飲み物に感じるほど、凍てついていたそうな。
「ひ、酷い目に遭いましたわ。気を取り直して次は可愛らしいお嬢さんの登場ですわ!」
「お嬢さん? うふふ、ありがとぉん♪」
『キターーーーーーーーッ!!』
 きゃぴきゃぴとした声と共に姿を現した女性に、凍り付いていた男性達は一気に解凍された!
「はぁい、23歳、独身のエリー・エル(ea5970)でぇす」
『うおおぉぉぉぉっ!!』
 可愛らしい服装で元気良く挨拶をするエリーに、男性達の滾った咆哮が轟く。
「うふふー、私はぁ、まだまだいけるもぉん♪」
 舞台上で上機嫌のエリーは、最前列で観戦している透にぱちっとウインクを飛ばす。
「透もお父さん欲しいでしょぉん?」
 ────え? 今、何て??
 拳を突き上げたままで固まる男性達に、透は淡々とした表情で真実を告げる。
「この人は僕の母です。未婚の一児の母でテンプルナイトと言う固い職業に就いてます。若く見えますが実年齢は38歳です」
「透ー! この親不孝ものぉん!!」
 黙っていたあらゆる事をバラされ、エリーはぷんぷんと怒りながら息子を追いかけ始める。
「あたし達は、友達義親子ってカンジィ☆」
 何故か追いかけっこの輪に加わる亞莉子。その他にも『それでもいいっ!』と叫びながら数人の男性がエリーを追いかけていたとかいないとか。
「女性にとって大事なのは見た目年齢ですわよね。さあ、シングル部門の最後を飾るのは、私が見つけた原石ですわ!」
「まあ、こんなに綺麗な服を着たのは初めてです‥‥」
 満を持して登場したのは、ぼろぼろの身形でペットの大鳥に引き摺られていたエルシー・ケイ(ec5174)だ。
 劇的なビフォアアフターにどよめきながら男性達は舞台に群がる。
 ‥‥が。
「この子は寡黙ですが。行き倒れてた時には食べ物を運んでくれて優しい所もありますの。何も言わずぐいぐい引っ張ってくれる力強さが魅力です」
 目を細めてディアトリマを撫でるエルシーは、どういう催しなのか激しく勘違いしていた。
 引っ張って行かれてるというより、寧ろ引き摺られてるのでは!? と言う声にならないツッコミが、あちこちで儚く消えた。 
「わたくしはこの子と長く連れ添いたいと思っております」
『くえくえー♪』
 ‥‥ダメだ。この2人(正しくは1人と一匹)の間に俺達の入り込む隙間はねぇぜ。
 エルシーに胸をときめかせた男達の夏は、上機嫌なディアトリマの前に一瞬で散ったのだった。
「本人達が幸せなら‥‥それでオッケーですわね。と言う訳でこれにてシングル部門は終了ですわ‥‥」
 原石が美しきイロモノだと知ったレミーは、がっくりと肩を落とすのだった。

●伝えたくて堪らない! 甘く切ないシークレットラヴ☆
 辺りはすっかり暗くなり、舞台はランタンの光に照らされていた。
「うふふ、ご馳走がたくさんですねぇ。アップルパイは食べましたか?」
 カメリア・リード(ec2307)は甘味に舌鼓を打っているモルに、嬉しそうな顔で問いかける。
「食ったぞ。前よりはマシになったな」
「その褒め言葉をフレッドさんにも伝えてあげて下さいね、だって2人はお友達ですもの♪」
「気が向いたらな」
 前よりマシになったは褒め言葉なのか激しく疑問だが、モルを姉の様な目で見つめるカメリアはとても幸せそうだ。
「その浴衣、とっても良くお似合いですよ」
 白地に紺色植物柄の涼しげな浴衣は、モルが着たかったデザイン。カメリアがレミーにお願いして用意してもらったのだ。
「当たり前だ。そう言うお前も悪くはないぞ」
 素直になれないだけで浴衣をかなり気に入っているモルは、意地悪な笑みでカメリアを見つめる。
「ありがとうございます。嬉しいです♪」
 髪を一つに纏め上げたカメリアが纏うのは、可憐な花模様の淡い桃色の浴衣だ。
「お互い幸せ一杯も、ドキドキなのも、ちょっぴりしょっぱいのも、苦いのも‥‥どれも、恋‥‥なのですよね」 
「どうした、急に?」
「恋ってやっぱりやっぱり、難しいのですよぅ。だから今日はお勉強に来たのです」
「ふん。精々励め。そんな事よりこの甘味を食ってみろ、美味いぞ」
 微かな優しさに顔を綻ばせながら、カメリアは心の中でそっと呟く。
(「王宮が大変な今だからこそ、幸せ一杯オーラを分けて貰いましょう。ね?」)
 口に出せばきっと臍を曲げてしまうだろうから。
「恋愛は片思い中が1番楽しいと言いますが、真実の愛に出会えればドキドキを持続する事は可能です! いらっしゃい、未来の恋人さん達よっ!」
 大袈裟な司会の後に舞台へと飛び出してきたのは、シフールの少年アゼルだ。
「‥‥嘘でしょ」
 マール・コンバラリア(ec4461)は出場すれば良かったと思っていた相手の姿を舞台上に見つけ目を見開くが‥‥。
「マール、好きだーっ!!」
「なっ!?」
『ひゅーっ!!』
 突然の告白に会場中から歓声やら口笛が上がる。
「マールさんのどこが好きですの?」
「全部! まずは‥‥」
 でれでれとしながらアゼルは次々とマールの好きな所を挙げていった。
「バ、バカっ! こんな大勢見てる所でなんて事言うの!」
 恥ずかしさが限界値を突破したマールは、ぷちパニックで舞台上へと飛んで行く。
「会う度に好きって言ってるのに、今更照れる事な‥‥」
「アゼルっ! 待てっ!」
「へっ?」
「それと返事はお預け! 帰るわよ!」
 マールが真っ赤な顔でご主人様ちっくに命令をすると、わんこ的性格のアゼルはしゅんとしながら「‥‥はい」と答えた。
 そのままマールはアゼルを引き摺って、舞台袖へと消えていく。
「怒ってる?」
「当たり前でしょ! すごく恥ずかしかったんだから!」
 赤い顔を隠すかの様にツンとそっぽを向くマールの視界に、しょんぼりとしたアゼルが映る。
「‥‥もう少しだけ、ね」
「えっ?」
「何でもない! さ、気を取り直してラヴ鑑賞に行くわよ」
 2人の恋の行方を心配していた観客達は、仲良くテーブルに着く2人を見てホッと胸を撫で下ろすのだった。
「恋は焦らず、ですわね。さて次のお2人はどんなスピードで愛を育んでるのでしょうか?」
 2番目に登場したのはミステリアスな雰囲気漂う美青年。その少し後を歩くのは小柄な可愛らしい女性だ。
「‥‥キルシェだ」
「ヒルケイプ・リーツ(ec1007)です。今日はお聞きしたい事があって彼をお誘いしました」
 微かに足を震わせながら、ヒルケはキルシェに向き直る。
「私の事をどう想ってるか、聞かせて頂けませんか?」
「まだ伝わってなかったのか?」
「きちんと口に出して欲しいと思うのは欲張りでしょうか?」
 言葉が欲しい────切ない想いを込め、ヒルケはジッと想い人を見つめた。
「でも、大勢の前で聞くだなんて意地悪ですよね。ゴメンなさ‥‥」
 謝ろうとしたヒルケの細い体は、キルシェに思い切り抱きしめられる。
「ヒルケにだけ聞こえる声じゃダメか?」
 小さく頭を振ると、耳元を安堵の息が掠めた。
「‥‥好きだ」
「私も、私も同じ気持ちです‥‥」
 短い言葉に籠められた想いを噛み締めながらそっと体を離したヒルケは、ハイヒールを履いた足で背伸びをしてキルシェの頬にちゅっと可愛らしいキスをした。
 唖然としていたキルシェの顔が、見る見る内に綻んでいく。
 それはヒルケが見た中で1番幸せそうで、1番優しい笑顔だった。
「お2人共、末永くお幸せにですわ〜♪」
 祝福の拍手に包まれ舞台から降りる2人を、ニノンは巨大クッキーをボリボリと齧りながら眺めていた。
「めでたいのぉ。めでたいんじゃが、何かが足りん」
 禁断の愛が書かれた書物の愛読者である彼女は、密かに男性同士の絡みを期待していた。
 例えネタであっても、脳内変換と言う荒業で耽美な物語に書き換える自信はあった。有り余る程。
「後でモル卿をけしかけてみるかの。お相手はあの銀髪のエルフウィザード殿がええのぅ」
 ニノンの策略が実行されたのかは、知る人ぞ知る。
「あのカップルは初々しくて、あなたと出会った頃を思い出しますわ」
「出たかったか?」
 セイル・ファースト(eb8642)がそう尋ねると、リリー・ストーム(ea9927)は満面の笑顔で夫に抱きついた。
「他人に評価して貰っても意味はありませんわ。ここの参加者の誰よりも、私があなたに向ける愛の方が大きいのは、あなたなら分かっている筈もの♪」
 指先で胸元を触る蠱惑的な妻は、結婚生活3年目を迎えても常にセイルの胸をざわつかせる。彼女を愛しく想う気持ちは色褪せるどころか、深まっていく一方だ。
「今まで色々あったし、これからも色々あるだろ‥‥ずっとよろしくな、リリー」
「永遠に?」
「ああ。永遠に‥‥」
 セイルはリリーの肩を抱き寄せると、自身の熱を移す様な少し荒々しくて深い口付けを落とす。
 リリーは夫の愛に軽い眩暈を覚えながら、そっと瞳を閉じた。

「カップル部門はラファエルさんとシェアトさんご夫婦。シングル部門はエリーさん。そして恋人未満部門はお2組共優勝ですわ〜♪」 
 夫であるエリックに体を預けながら、どこかうっとりとした口調で各部門の優勝者を発表するレミー。
 選ばれた者達にはレミー曰く『愛がもっと燃え上がる香りつきキャンドル』が贈られた。
「‥‥凄かったな」
「ああ。さすが大御所。アレ、人前でやっていいのかよ?」
 帰路に着きながら、ある男性2人は十数分前の光景を思い出す。
 参加者達からのコールを受けて披露したレミーとエリックのラヴシーンは、純情な者が卒倒する程の濃厚さだった。
 こうして真夏のカップルコンテストは幕を閉じ、野原では朝まで宴会が続いたそうな────。

●ピンナップ

カメリア・リード(ec2307


PC&NPCツインピンナップ
Illusted by サトかんみ