幸せの青い鳥と記録係(あなた)。
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■ショートシナリオ
担当:DOLLer
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:4
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月01日〜08月06日
リプレイ公開日:2007年08月12日
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●オープニング
「記録係〜。旅の記録係さんはいませンカー」
街道の往来でそんなことを呼びかけている子供がいることに気がつき、あなたは足を止めた。
その子供も、あなたが自分の声に足を止めてくれたことに気がついたようで、あなたに近寄ってきた。子供の姿はどこか旅をしてきたような感じで、ぼさぼさとボロボロであった。だが、それがスラムの子供ではないことはその少年の純朴な瞳が総て物語っている。
「記録係さんですカ?」
その質問にはあえて答えず、とりあえず簡単に自己紹介して、子供が呼びかけていたその真意について問いただした。すると、その子も同様に自分の名前はエウレカだと名乗った上で、空を指さした。
「青い鳥がいたのでスヨ。お空を飛んでいたのデス」
青い鳥? あなたは見上げたが、青い鳥どころか、空を飛ぶ何者かの姿すら見えない。このきな臭い空気が漂う街には、鳥たちも危険を察知できるのか、ほとんど見かけることはなかった。
「青い鳥は幸せの象徴でスヨ。その姿を見た人はとっても幸せになれるっていいマス」
だけど、捕まえたら可哀想でしょう? だから、旅の記録係さんにお願いして、その青い鳥を目にしっかりと『とらえて』、みんなのイメージで本物以上にいきいきと輝く姿を作ってほしいというのだ。
「それなら、どれだけとらえても、青い鳥さんは困りませんし、たくさんに幸せをわけることができるのデス♪」
そこであなたは、記録係というのが冒険者ギルドの裏方にいる記録係とは似て非なるものをエウレカは望んでいることに気がついた。
あなたは少しばかり悪戯心を起こして、エウレカにほほえんだ。
実は記録係なんだよ。と。自分でよければ記録してきてあげよう。
「本当でス? わーイ。それじゃ是非お願いしまスヨ〜。お友達もきっと喜びマス。あなたもきっと幸せになれまスヨ」
エウレカは心底嬉しそうな顔をして、あなたにぎゅっと抱きついた。とても人なつっこい子供のようだ。
たくさんの人に幸せを‥‥というから、エウレカの天真爛漫さに惹かれた友達がたくさんいて、そのみんなを幸せにしてあげたいと願っているのだろう。
あなたはエウレカに約束すると、早速その幸せの青い鳥を探しはじめた。聞き込んでみると、実際に見たという人物はいなかったが、意外と噂は多数あり、パリの南東、セーヌ河を遡上した先にあるアルマン渓谷というところに住んでいるという情報をあなたは手に入れた。
アルマン渓谷はノルマンでは数少ない渓谷の一つで、人もほとんど立ち入らない崖ばかりの険しい場所だ。確かにそんなところなら青い鳥がいてもおかしくないかもしれない。
さあ、それではアルマン渓谷に向かおう。
今日の記録係はあなたである。
●リプレイ本文
●らてりかの詩
幸せの青い鳥‥‥素敵なのです
おとと、もう記録は始まっていますから、しっかり気持ちをこめて綴るですよ♪
ラテリカ(ラテリカ・ラートベル(ea1641))は早速、エウレカさんにお願いして、リシーブメモリーを使って見たです。エウレカさんは一生懸命一番良い場所思い出しますネ。と言ってうーんと唸っていましたですよ。
見えたのは。
神様の世界にあるよな真っ白な世界。それは目もくらむ夏の太陽さんの光でした。
悪いを焼き滅ぼしてしまう光に、目を閉じてしまいそでしたが、鋭い風とともに太陽さんを覆い隠す雄々しい翼が、まるでお空の絵に格子を貼り付けたみたいです。風切り羽がとても大きくて、護ってくれているのかな。
見上げていてはそれが安らかに眠る夜空の色みたいでしたけれど、羽の一枚が薄く光を通して、アジサイみたいな淡い青色で輝いていたですよ。羽の色全部あんな色をしていたらと思うと、きっとあの鳥さんは、水面に映る夏空の朝日色から生まれたじゃないでしょか。
そのお姿をお伝えしましたが、ウェルス・サルヴィウス(ea1787)さんは
「どんな鳥なんでしょう、透けた羽が青く映ったのなら、本当は違う色なのでしょうか」
と色々考えていらっしゃたです。全体のお姿が分からなかったのはラテリカも残念でしたけど、その分だけ探す楽しみがあるですよね。
アルマン渓谷は、すっごく厳しい岩場と崖でした。エーディット・ブラウン(eb1460)さんが動きやすい服装を選んでくれたですけど、それでもラテリカは汗びっしょり。足がふるふるしてきたです‥‥
「大丈夫かい?」
シルフィリア・ユピオーク(eb3525)さんが、ラテリカの手を何度も引っ張ってくれました。足が痛くなってきたときには、
「みんなー、悪いけれどちょっと休憩しないかい」
と声までかけてくださったですよ。うう、本当に申し訳ないです。あ、でも休憩ばかりじゃないのですよ。渓谷だけあって風がすごい複雑でしたけど、ラテリカは風の流れを読んで、危なげなく登るとができました。
鳥さん達にテレパシーでお尋ねもしてみたです。
「ちいちい、王様。
ちいちい向こう。
ちいちい、気まぐれ。お気をつけ」
青い鳥って王様なのです? エーディットさんが鳥の世界にもめくるめく‥‥とかおっしゃてました。
●ミカエル・テルセーロ(ea1674)の調査記録
予言によってピリピリしている中で、こんな依頼があるとは思いもよりませんでした。むしろ、こんな時だから、でしょうか。
「幸せを見つけることのできる目があることはとても素晴らしいことです」
ウェルスさんの言葉には賛成ですね。ここにいるメンバーも同じだと私は思います。同じ気持ちで集まったのですからね。
さて、私はエーディットさんと共に図書館で事前に青い鳥のことを確認した上で私たちはエウレカさんに出会って話を聞きました。青い体色の鳥はいくつかいますし、変種なども含めると幅は広いのです。
「青い鳥の大きさはどれくらいでしたか〜?」
そう尋ねるエーディットさん。
「このくらいデス」
両手を広げるエウレカさん。
‥‥感覚的には大きいのかなと思うのですが、僕には具体的な大きさが分かりません。しかし、エーディットさんは僕より共感能力が高いようで、それだけで納得されてしまいました。
「私が調べたモノの中にはありませんでした〜。きっと新種発見ですね。『シアワセエウレカドリ』とかどうでしょう〜?」
にこにことそう言って、水分補給のための飲み物をオーダーしはじめました。
渓谷は歩くよりも船を漕いだ方が速いということで、船で向かいました。のどかな流れのセーヌ河を遡上するこの時は、良く晴れていて、風も気持ちよかったです。エーディットさんが旅の衣装として選んでくれた鍔広帽が強い陽射しを避けてくれて嬉しいです。しかし、大きすぎる気も‥‥。
「ミステリアス感があっていいですよ〜♪」
楽しそうな笑顔が無意味に恐怖を煽られるのですが。
さて、渓谷の一端で船を止めて、私たちは青い鳥探しを始めました。
私は背が高いわけではないので、皆さんが普通に登る岩も少し苦労することがあります。体力的にもきつい思いをすることがあったのですが、そんな時、決まってシルフィリアさんがロープを差し出してくれました。その顔はとてもいきいきとしています。
「ほら、あそこに鳥がいるよ。向こうの木にも‥‥」
私は鳥の餌を取りだして、シルフィリアさんの言っていた方に撒いてみました。すると、鳥たちが‥‥やって来ません。
「あはは、人間を警戒しているみたいだねぇ。こんな人里離れているから、親しみがないのかもね」
シルフィリアさんはそう言ってからからっと笑っていました。なるほどそうかもしれません。諦めて再び登攀しようとしたところ、ウェルスさんが同じく鳥に餌をあげたいとおっしゃったので、やってみることにしました。
‥‥少ないながらも鳥がやってきます。
その鳥たちに、ラテリカさんがテレパシーを使って会話をしていました。もっと上、頂上付近にいるそうです。
●クリス・ラインハルト(ea2004)の冒険叙事。
「あ、あの、無理しないでくださいね?」
シャンゼリゼでコックさんをされているミーネさんが数々のお弁当を手にしながら、ボクたちを見て心配そうに話しかけてきました。
「大丈夫ですよ。冒険者はこのくらいの試練をいくつも乗り越えているのです。崖を乗り越えるのは‥‥同じくらいの危険なことはたくさんやっていますから」
崖っぷちに立たされているような依頼はたくさんありましたけれどね☆
ミーネさんは納得できたようなできていないような顔でしたが、「お弁当の一つはエウレカくんのお土産」と聞いた瞬間にちょっとホッとしたのをボクの目は見逃さなかったですよ。
それにしてもお弁当はすっごく豪華です! 賄い料理だと言っていましたが、シャンゼリゼの人はこんなに豪華なのを賄いで食べているのでしょうか。今度裏口から出入りしたくなりそうです。
さて、冒険はシルフィリアさんが先頭に立って進むことになりました。シルフィリアさんはレンジャーですからね。野山での行動にも詳しいでしょうし、的確な指示は欠かせませんっ。
さすが! と思ったのは、最初の移動手段でした。最初は川沿いに歩いて行く予定をしていましたが、
「船で渓谷に入った方が、全体を見渡せるし、体力も温存できて効果的だよ」
なるほど。確かにもっともです。でも船なら、ミーネさんに頼んで空のワイン樽に詰め込んでもらってもいいような気がしますよ。アンリさんはそういうのが得意ですし‥‥あ痛っ!
シルフィリアさんは早速パリの南門のあたりで、交渉に入っていました。漁師さんが一撃で胸の威力にノックアウトされています。す、すごい‥‥。
思わず自分の胸を見つめてしまいたくなるので、とりあえず先に進むことにしましょう。漁師さん、完全にノックアウトされて、船賃タダどころか、船頭まで買って出てくれてます。
アルマン渓谷はノルマンの中にあって、ノルマンの中ではないようなところです。両脇に岩壁がそそり立っていて、気持ちのいい空は真上を向かないと見ることが出来ません。声も反響してすっごい不思議な空間でしたよ。そんなところに河の流れに逆らって登るのはとても新鮮な体験です。
「さあて、それじゃここからは隊列を組んでいくよ。登りやすい岩はあたいが探してあげるから」
シルフィリアさんがそう言って、軽やかに岩を登ってはロープを差し出してくれます。ボクも挑戦してみましたが‥‥難しい! 河が近いだけあって濡れている岩もあってすごく滑りやすくて、なんども転落しそうでした。って本当は転落したんですけどね。転落人生は歩みたくないモノです。
「大丈夫ですか?」
転んだボクには、ウェルスさんがそう語りかけてくれて、魔法までかけてくれました。感謝感謝。
崖の中腹で、ちょっと昼休みしていると、ウェルスさんが鳥に餌を上げていたので、思い切って小鳥さんにテレパシーを使ってみることにしました。青い鳥さんがどんな声をするのか、声真似で反応があったら見付けやすいじゃないですか。
「青い鳥さんはどんな声?」
「きゅおおーん、ってなくよ」
‥‥?!?
ずいぶん、良い鳴き声するんですね。試しに真似をしてみたら、
もっと高いよ。
もっともっと空気が揺れるよ。
きゅ、きぅぉぉ、お、ごほっ、ごほっ!
喉が壊れちゃいますよ!!!
完全に裏声で叫ぶくらいの高音域に達して、そのくらいでもまだ低いと言われちゃいました。これで空気をふるわせるくらいだとすると、もしかしてもの凄い鳥なんじゃないでしょうか。
●ブラン(ブラン・アルドリアミ(eb1729))の記録
幸せの象徴、青い鳥‥‥私たちにもみつかるでしょうか。
現在、アルマン渓谷を登っています。
勾配は厳しく岩一つ一つを登るのも力を使います。だけど仲間がいるから辛くても我慢ができます。一つの岩を登って、みんなが手を引き合って全員が登りきると、必ず笑顔がこぼれます。みんなでやり遂げられた気持ちが共有できるからでしょう。
しかし、太陽は私たちが登り切るまで待ってくれず、ついには崖の中腹で夜営をすることになりました。テントは用意していましたが、岩場なので、うまくつなぎ止められるかわかりません。ですので、できるだけ風の影響が少ないくぼみに、幕だけ張る、そんな形にすることにしました。
夜になっても仲間達は着せ替えなどでにぎわったり、この記録文をまとめる作業で大にぎわいをしています。
そんな中、夜空を眺める時間が出来ました。警戒の時間なのですが、ことにここでは、外を眺め、動物たちの鳴き声や、風の音、虫の音に耳を澄ます時間となりました。
「ブランさんはどう思われますか?」
そう尋ねたのはウェルスさん。今は青い鳥についての考察をまとめているところです。
クリスさんの鳥たちの鳴き声が普通の小鳥ではなかったこと。それからラテリカさんがリシーブメモリーでみた光景から、それは普通の鳥ではないのでは、という推論が主流になっていました。
「私たちの想像していたものとは違うようですが‥‥実際どんなものなのか、存在しているのか、きっとどちらでもよいことなのでしょうね。きっと存在している青い鳥、そしてそれを見ることのできる眼と心を澄まして探すことの方が重要なのでしょう」
幸せを感じ取れる力はとても大切なこと。あの不思議な少年が見たのもその力所以なのでしょうか。
ふと幸せについて考えてしまいます。
私自身の存在が母や父を苦しめたと知り、この身を呪った時でさえ、やはり私は幸せでした。ドレスタットで出逢いや別れ、そして新しい生活の中で、出逢った人達を含め、たくさんの傷を負って、それでも懸命に生きる人々の心の安息を、神への感謝と共に祈りたいと思います。
小さな祈りが夜空を見ているとこぼれてしまいます。
それを星が聴いていたのか。
一瞬、空がかげりました。月影を隠すとなるとよほど大きな動物です。魔獣の類かもしれません。
繕いものをしていたエーディットさんは、急いで『ウォーターボム』の詠唱をはじめました。他の皆も同様に戦闘準備をと思い、月を見上げたその瞬間。
目の前に降ってくる一枚の大きな青い羽根。
あれが青い鳥だったのか。
もう足下もわからないほどに真っ暗な中でしたが、居ても立ってもいられず、岩を登りはじめました。
そこに幸せの青い鳥はいるのだから。
●ローガン・カーティス(eb3087)による記録
その青い鳥は逆風が吹こうとも、力強く羽ばたき続けていた。誰しもが美しい羽を有した手のひらに乗るような小鳥を想像しただろうが、そこにいるのは私がまたがったとしても全く動じることのないであろうほどの巨鳥であった。空を覆い隠すほどの翼はまるで剣のようで、その鋭い目は数々の苦難を乗り越えた私たちにも畏怖を抱かせるほどにまっすぐである。威厳と武勇の象徴。
これを鳥と呼ぶのは失礼なので、改めて呼び直させていただく。
大空の王者グリフォン。
確かに月明かりを受ける雄々しい翼は、その青白い光を受けて輝かしいほどの青い燐光を放っている。その背もくちばしも青く輝き、まるで絵画の中から蘇ったような、幻想的な風格を現していた。
私たちは岩場の影からその様子を見つめているが、グリフォンはすでにこちらに気付いているようで、やや警戒の色を示していた。ここは彼の巣なのだろうか。地面を見回してみるが、岩がごろごろとしている他、彼の羽が落ちているだけで寝床に使う藁などの植物もない。いや、グリフォンがそういう寝床を作るということを知っているわけではないが、何かしらそういうものはあってしかるべきだろう。つまり、たまたまここに休憩しに来ただけなのだろうか。そんな中ミカエルは一人、絵を描き始める。(私もこれを書きながらなので人のことはいえないが)
しばらくにらみ合いが続いたが、その終止符を打ったのは、まずクリスの鳴き真似であった。
きゅぅぉぉぉぉぉぉおーん
高い澄んだ声があたりに響く。さすがバードだ。
グリフォンはまるで時が止まったかのように威圧する動きを止め、突き刺すようなその鋭い目でこちらをじっと見つめた。警戒の色は完全に失ったわけではないが、先程よりも攻撃性を減じ、心を通じ合わせる存在に興味を抱いたようだ。
もう一度、クリスが鳴いた。
その瞬間、総てを吹き飛ばすような風が地を這って、私たちに襲いかかった。あまりの風に一瞬視界が奪われるが、耳からは羽ばたきの音が聞こえる。グリフォンが飛翔をはじめたのだ。次に視界が開けた時にはもうグリフォンの姿はなかった。遙かなる天空から一声だけ甲高い、そして胸の奥から震わせるような声を一声残すのみであった。
それに対してラテリカは『ありがとう』と言っていた。言葉が通じるのだろうか?
ウェルスが最後に落ちていた羽を拾い上げた。グリフォンの羽だろうか。
それは確かに艶やかに輝いており、ランプを照らすと、青と黒を基調に複雑な輝きを見せた。光を当てる角度によってそれは様々な表情を見せ、私たちを魅了した。
初列羽は羽根飾りとして、三列羽なら羽ペンにも利用できそうだ。あの少年は喜ぶだろうか。私たちはその羽を夢中になって拾った。
私たちを正気に返したのは朝日の光であった。
崖の上から眺める朝日は私たちを強く照らし、栄光を振りかけてくれるようであった。
●おまけ
きょーわたくさんのあおいとりおみました。
それをみつけるたびおしたはなしもきけました。
はねわかぜのかおりがします。みんながしあわせおはこんでくれました。
あおいとりさんもしあわせをはこんでもらえてしあわせなんじゃないかな?
えうれか。