虹色の奉仕(こもり)

■ショートシナリオ


担当:DOLLer

対応レベル:1〜5lv

難易度:易しい

成功報酬:4

参加人数:4人

サポート参加人数:1人

冒険期間:10月30日〜11月04日

リプレイ公開日:2005年11月10日

●オープニング

「ふえええええええーーーーーーーーーーーんっ」
「んぎゃぁぁぁっ」
「あはははっ、わーーーーーーーーーいっ」
「そらっ、いくぞーーぉ。えいやぁっ」
「なんの、こっちこそ。でぇぇぇいや!!」

 ぱりーん。

 小気味のいい音を立てて、おおきな花瓶が崩れ落ちた。ボール代わりの鞠はなかなかの威力があったようである。
 子供たちはその音に一様に沈黙する。さすがに悪いことをしたかな? と面倒を見てくれている僧侶の様子をちらりと見た。
 僧侶から返事はない。彼は泡を吹いて倒れていたのであった。
「うわぁぁ、僧侶様、カニみたいになってるー」
「目が真っ白だよ。こわぁぁい」
「えーん、僧侶様―」
 こうして撃退された僧侶はすでに5人目であった。

「あのやんちゃ坊主たちの子守なんて、私、とてもできそうにありません!」
「私もですっ!」
 教会のシスター達は口をそろえてそう言った。
 子供たちが来たのは2週間前。老夫婦が一軒家で身寄りのない5人の子供たちを引き取って育てていたのだが、最近、調子を崩されたため、懇意にしている教会が、夫婦の体調が回復するまでお預かりするということになったのだが。
 のびのび、を基本養育指針としていたらしい夫婦の元で、子供たちはしっかりと願ったように成長し、今では並の精神力では誰も太刀打ちできないほど、みんなわんぱくになってしまった。
 司祭はシスターの必死の言葉に耳を傾けながら、考え込んだ。
「ふーむ、しかし夫婦の体調が回復されるまでまだ数日かかりそうですし」
「教会の護持が誰もできなくていいというなら、させていただきますが」
「数日も耐え切れません」
 そういうシスターたちの顔にも疲労の色が強かった。子供たちに与えられた部屋だけで被害が済むはずもなく、教会内外へと拡大する被害の防衛に彼女たちもすでにいっぱいいっぱいの様子だった。
「並の精神では、立ちゆきませんか‥‥仕方ありませんね。ユーリはいますか?」
「んがんぐっ!?」
 司祭の声に呼応するように一人のシスターが喉を詰まらせて、おかしな声を上げた。
「こんな時に何を食べているんですか‥‥」
「あ、子供さんたちにですね。お菓子をもらったんですよ。司祭様もおひとつどうですか?」
 ユーリは、てへへ、と笑うと包みいっぱいのお菓子を差し出した。
「ユーリ、それお供えのお下がりよ」
 先輩のシスターがこっそりと耳打ちをした。
 そう、子供たちにお菓子を上げて、おとなしくさせよう作戦は、回り回ってユーリの胃の中に収まって潰えた。
 それを見た司祭の心は決まった。
 並の精神じゃない、もとい適任者がここにいましたね。と。
「ユーリ、子供たちの面倒を見てあげてはもらえませんか?」
「はい、いいですよ」
 ユーリは意外にもあっけらかん、として答えた。
「子供は好きですし、私も孤児でしたから、やりがいを感じます。ええ、頑張って次代の教会を担う戦力として見事育てて見せますとも!」
 ユーリみたいなのがいっぱい育つのだろうか‥‥
 司祭は言いようのない不安と、恐ろしい想像をしてぞっとする思いをした。
「そ、それでは頼みましたよ」

「あの、司祭様。私、どうしても心配なのですが‥‥」
 シスターの一人が、申し訳なさそうな顔をして司祭の許にやって来た。
「あの、ユーリは悪い子じゃありません。明るい子ですし、何事にも熱心ですし、それは私たちもよく知っています。ですが‥‥」
「子供たちのわんぱくを押さえるどころか、一緒になって大暴れしそう、ということですね」
 司祭はシスターの目を見て、くすりと微笑んだ。さすがは長年、告解や人生相談を受けてきた人物だけあって、司祭の側に来たシスターの悩みは承知済みだったようだ。
「大丈夫、先ほどギルドにお願いをして参りましたよ。ユーリ一人では背負いきれるものでもないでしょう。子供にとってもユーリにとっても可哀想なことはさせるつもりはありませんから、ご安心なさい」
 司祭にとっては、シスター達も子供達も同じ、大切なセーラの子供。誰一人として困ったり、いがみあったり、悲しいことをさせたくはなかった。

●今回の参加者

 eb2261 チャー・ビラサイ(21歳・♀・レンジャー・ドワーフ・インドゥーラ国)
 eb3525 シルフィリア・ユピオーク(30歳・♀・レンジャー・人間・フランク王国)
 eb3600 明王院 月与(20歳・♀・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb3601 チサト・ミョウオウイン(21歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

十野間 空(eb2456

●リプレイ本文

●ふぁーすと・こんたくと
 子供達の部屋はだいたいチャー・ビラサイ(eb2261)の予想する通りだった。
「あらららら〜。予想はしていましたけど、すごいでいねぇ」
 壁は白いはずなのに、白い部分が存在しない。床は平面のはずなのに、ほとんど平らな部分が見あたらない。壁は子供達の独創性に満ち溢れた落書きで埋め尽くされていた。床に落ちているのはオモチャか、その破片。子供達に言わせてみれば宝物の数々なのだろうが。
 壮絶だ。
 そういう感想しか持てなかったりする。
 部屋の中には、男の子と女の子が二人ずつ、一人は赤ん坊を抱えて、こちらをじーっと見つめていた。瞬きもせず、余所を気にすることもなく、瞳の奥をのぞき込むように。
「あー、そんなに怖がらなくていいよ。別にとって食べようってわけじゃないからね」
 シルフィリア・ユピオーク(eb3525)は、そんな子供達の様子を見て、くすりと笑った。
 怯えたりしているわけじゃない。あの目は今ここにいるあたい達が、敵なのか、味方なのか、そういうことを判断するために見つめているのだ。シルフィリアにはそれがうすぼんやりと理解できた。だから、いつも通り、肩肘張らない笑顔を浮かべた。
 そして、一歩踏み出した瞬間。
「わるいごはいねがーーーーーっ!!?」
「きゃああぁぁ!?」
 オモチャの山の中が大きな音を立てて崩れたかと思うと、バケモノが姿を現した。つぎはぎだらけの布のバケモノだ。
 その唐突さに、傍にいた明王院 月与(eb3600)とチサト・ミョウオウイン(eb3601)が悲鳴を上げた。月与に至っては、戦士の経験から、即座に武器を構えようとする。
「わーい、ひっかかったー、ひっかかったー!」
 布おばけの向こうから、大はしゃぎする子供の声が、一行の耳元に届いた。一番年長の悪戯者と言われているサミュエルの声だ。一緒になって笑っているのはフューだろう。
「こら、悪戯は、相手が笑って許してくれるぐらいのユーモアのある範囲までにしなきゃね」
 まだケラケラと笑うサュエルに近づくと、シルフィリアはわしゃわしゃと髪を撫でた。
「おねーさんたち、誰?」
「あ、冒険者の方ですね。こんにちは。よろしくお願いします」
 自己紹介をする前に、布のおばけから、明るい声が上がった。なんとかして、布を取り外そうとしているが、複雑に絡み合ったそれは、取れにくくなっているらしく、布のおばけが苦悶しているようにしか見えなかった。
「大丈夫ですか?」
 見るに見かねたチャーが、手伝うことしばし、中からシスターのローブを纏った女性、ユーリが出てきた。悪戦苦闘したせいか、汗でびっしょり、髪の毛も肌にべっとりとくっついて暑そうだったが、本人は楽しそうに笑うばかり。
「シスター長様だと思って、驚かそうと思ったんですけれど。あはは、失敗失敗」
「失敗、失敗じゃないよー。もぅ。本当に驚いたんだから!」
 月与が、むぅ、と頬を膨らませながら、ユーリに抗議すると、ユーリは頭をかきかき、素直に頭を下げた。
「ごめんなさい〜。ほらほら、サム、グイン、ヒルダ。一緒にお姉さん達をびっくりさせたこと謝りましょう。フュー。クーちゃん連れておいで」
「ええー、驚かせたのは、ユーリぢゃん」
 サミュエルは口をとがらせるものの、腕白娘フューが横からつねってたしなめる。
「めっ! ごめんなしゃい!」
「いた、いたたたー! わ、わかったよぉ! ごめんなさーい」
 月与も怒らなくちゃ、と思っていたところ、フューが同じ行動に出たので、そんな行動を眺めながら、くすくすと笑ってしまった。
 悪い子達じゃないみたい。それに素直。
「チサトの子守をしていたことを思い出すわ」
「ええ!? 私ですか?」
 自分の小さい頃の話題に触れられて、チサトはちょっと恥ずかしさを覚えた。そんなに悪いことはした覚えはないけれど、みんなに小さい時のことを聞かれたらどうしよう、と思ってしまう。
「え、えと。あ、そうだ。ユーリお姉ちゃん、みんなで出来る‥‥御手伝いってありませんか?」
 とりあえず、話題を本筋に戻したチサトの言葉にユーリは、被っていた布を折りたたみつつ、。
「そうですね。では、この部屋のお片づけですね。こままじゃお昼寝できませんから」
「お昼寝ですか〜。確かにお昼寝は重要ですけれど‥‥」
 チャーは、笑顔を引きつらせながら、あらためて辺りを見回した。
 最初に言ったとおり、この部屋に平坦な部分は少ない。
 物で溢れているのだ。最もほとんどは石ころだったり、ぼろ布だったり、拾い集めてきたのだろうということはすぐ理解できたが。
「アララ‥‥遊んだあとはしっかり片付けなきゃいけませんよ〜!!」
「わかってないわねー。これは、い・ん・て・り・あ!! お部屋はごーじゃすでなくちゃならないのよ。ふふ、おしゃれでしょ」
 ヒルダはふふん、と鼻を鳴らしながら、部屋の様子を自慢した。彼女にしてみれば『インテリア』なのだ。
「お洒落が好きなのかい? そうだねぇ〜ゴージャスすぎて、何が何だか判らないね」
 シルフィリアは、ニコニコしながら、しゃがんで、ヒルダの視線に合わせた。他の子供に比べると取り分けて奇抜なファッションをしているものの、視線を合わせて見れば意外と可愛らしくお化粧している。おそらくシスターの誰かがしてあげたのだろうが。
「あたいに任せな。ヒルダのインテリアをお手伝いして上げるよ」
 決して『お片づけ』とは言わず、お手伝い、という形でシルフィリアは部屋の掃除を敢行することになった。
「それじゃみんな協力してやりましょう。みんなですればすぐですよ〜♪」
 チャーの言葉に、真っ先に立ち上がったのはユーリだった。
「よっし、チビレンジャー、指令だよ〜。お部屋、大改造計画だー!!」
『イィー!!』
 どんな教育したんだ、ユーリ。


●せかんど・いんぱくと
「お掃除の間、あたいがクロンちゃんの世話をするね」
 お片づけの準備が着々と進む中、月与がクロンのお世話を名乗り出た。
「クロン、わんわん泣くけど、だいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。かあさま達が御仕事に行ってる間は、あたいが兄弟の面倒見てるんだもん」
 クロンを抱えているフューが心配そうな顔で月与を見上げるが、赤ん坊をあやした経験があるのだ。
「ん。じゃ、はい」
 自信の笑みを浮かべて、了承を得ると、月与はクロンを抱きかかえた。
「クロンちゃん、よろしくね」
「ふ、ふぇ」
「んー??」
 その瞬間、フューが脱兎の如く逃げ出した。よく動き回っているのだろう。本当に兎のように跳ねるように軽やかだ。
「あー、フュー。どこかに行かないで、一緒にお片づけしたり‥‥」

「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」

 月与だけでなく、その場にいた冒険者もその泣き声に耳を塞がざるを得なかった。あまりの声の大きさに、窓板が軽く揺れている。
 破壊音波の持ち主、と言われていたが、比喩でも比況でも何でもなく、事実だったのだ。
 あまりの強烈な泣き声のために、月与はすっかり硬直してしまっている。
「す、すごい泣き声だね‥‥」
 滅多に出合うことのない轟音にシルフィリアも耳を押さえて素直な感想を吐露するものの、誰も耳にも届かない。クロンの泣き声の方が遙かに大きいからだ。
「ど、ど、どうしたのー!? ごめん、ごめん。びっくりさせたね」
 我に返った月与は慌てて、クロンをあやしにかかるが、一度火がついたクロンはなかなか泣きやむ様子がない。月与はとりあえず、みんなに迷惑をかけてはいけないと、思い切って外にかけだしていった。

 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇうぁぁぇ‥‥。

 少しずつ静寂が取り戻される。扉の向こうでは近くを歩いていたらしいシスターのうめき声が少し漏れてきてもいるが。
「お姉ちゃん大丈夫かな」
 チサトは半ば呆然とした様子で、扉を眺めるのであった。
「それじゃ今の間に、お片づけしちゃいましょう。私は床のものを整理しますので、お掃除をお願いして良いですか?」
 チャーの合図に合わせて、みんながそれぞれの場所で動き始めた。
 そんな中、床のガラクタをかき集めてつつ、チャーはユーリにこっそりと尋ねた。
「え〜っと、ですね。ご家庭の事情を少しおたずねしたいのですけど、よろしいですか?」
「私ですか。家庭と言われましても修道院で小さい時から生活してましたから‥‥」
「いや、ユーリさんじゃなくて、子供達の方」
 すぱっとツッコミを入れるチャーに、それ以上ボケることができずに、えへへ、と笑うユーリ。
「あの子達も孤児ですよ。司祭様から依頼でありました通り、普段は老夫婦がお世話しています。子供ができなかったらしくて、それで孤児を引き取っては育てていたんですよ。とてもお優しい方で、子供達みんな、夫婦のことは慕っていますよ。でも‥‥」
 ユーリが少し口ごもる様子をチャーは見逃さなかった。
「でも?」
「クロンちゃんの泣き声はちょっと大変だったみたいですね。ご飯の時に泣いちゃって、驚いたおじいさんがパンを喉に詰まらせちゃったんです」
「うわぁ。なんとなく分かる気がします〜」
 確かに、あの大声量だとびっくりして喉を詰まらせるかも。チャーはユーリの話を聞きつつ、うんうんと頷くのであった。そしてそれと同時に、チャーの中では、とあるアイデアが浮かぶ。
「そっかー、そうですか〜」
 曖昧な相槌をつきつつ、チャーは辺りに転がっている丸石などを熱心に拾い集め始めたのであった。
「??」
「ねえ、ユーリお姉ちゃん。グインくんのことなんですけど。いつも外見てるの?」
 チャーの何か思いついた様子を不思議そうに眺めるユーリに、チサトがこっそりと声をかけた。
 確かにグインは誰にも邪魔にならない窓際で、外をぼーっと眺めている。物憂げな表情は、年頃になればさぞ街の娘達の心を惹きつけることだろう。まだ子供のグインの横顔にはそんな有望性が見え隠れする。
「うん、大体いつもね。別に人嫌いじゃないんですよ」
 体で経験を身につけるよりも、内省して経験を身につける子かな。ユーリはチサトにそんなことを付け加えて言った。
 その意味までは教えてくれなかったけど。
 チサトは、ユーリの言葉を頭の片隅に置きつつ、グインの傍に立った。同じくらいの年齢だろうか。
「‥‥どうかしたんですか」
 話しかける言葉がうまく見つからずに、そっと声をかけるチサト。
「別に」
「別にって、でも、ずっと外を見てるし」
 グインはそれ以上何も答えず、チサトの方を見つめた。少し陰鬱な顔。不機嫌な瞳。
「ね、みんなと一緒にお片づけしようよ」
「あぁ。するよ‥‥」
 グインは少し面倒くさそうな仕草で窓際から離れると、掃除用の雑巾に手をかけた。
 孤児だって言うし、辛い過去があるのかな‥‥?
 不安な気持ちに包まれつつ、様子の変わらない彼に対して、チサトは柔らかい笑顔を浮かべて微笑みかけた。
「小さな幸せを1つ1つ見つけていくと、きっと幸せになりますよ」
 少し驚いたような顔でチサトの顔を見つめたグインだったが、それも少しのこと。先ほどと変わらない様子で黙々と掃除をするのであった。
 変わったことと言えば。その後の会話に少し色がついたことぐらいだろうか。

●さーど・あたっく
「ふぅ、やっと掃除が終わったね。みんなお疲れ様」
 シルフィリアは一人一人の頭を撫でて、子供達の苦労をねぎらっていた。この頃になると、クロンも月与に慣れたのか、すやすやと寝息を立てているので、月与とチサトに撫で撫でする。そしてチャーにも‥‥あれ。
「あ、ごめん。危うくチャーさんにも撫で撫でしそうになったよ」
「あはは。身長、ほとんど一緒ですからねぇ」
 そんな微笑ましい(?)エピソードが綴られたのは、もう夕刻近くだった。

「今お昼寝しちゃうと、中途半端になっちゃうね。ユーリ、どうする?」
「うーん。それじゃご飯までちょっと遊びましょうか」
 ユーリが首をひねりながら呟くと、チサトが小さく手を挙げて提案した。
「あ、それじゃ私、ジャパンの遊び教えますね」
「でも、男の子もいるし。また美化計画立てないといけなくなっちゃうよ?」
「私、思うんですけど〜。この子達にとってこの部屋では活動意欲を満たせていないんじゃないでしょうか。ここは思い切って遠足なんていかがでしょう」
「遠足? でも、今からだと帰ってこれなくなるかも」
「実はですね。老夫婦のお見舞いに行けないかな、と思っていたんです。外に出るならついでに家まで行ってみるのはどうでしょうか〜」
「いいね、それ。あたいは賛成だよ」
「なるほど。それでチャーさん、掃除の時に質問していたんですね」
「うん、それにほら。クロンちゃんの泣き声がすごいっていうから、プレゼントも考えたんですよ」
「わぁ。それ、お人形? あ、ここにあった物で作ったの?」
「そうですよぉ。これで少しは泣くのが収まればいいですねぇ」

 老夫婦が涙をこぼして子供達を向かい入れたのは、もう星が見え隠れする頃だった。
 子供達は幸せな夢を。老夫婦達は喜びを、シスター達には安寧を。
 今宵は幸せに満ち足りた夜となりそうだった。