√福袋。
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■ショートシナリオ
担当:DOLLer
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:4
参加人数:9人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月07日〜12月12日
リプレイ公開日:2006年12月18日
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●オープニング
「ヴァレリー、お仕事入ったよ」
シフールのプリエが声をかけてみると、ヴァレリーは少し驚いたようなはにかんだ様子で、彼女の方に顔を向けた。
顔だけ。どちらかというと実直な彼女は顔だけそちらを向けてということはないはずなのだが。
「あ、申し訳ない。今回は少し‥‥用事があって」
目線がかなり泳いでいる。
絶対何かある。
「隠し事? 私に?」
プリエは、すぅっと目を細めながら、腰に差しているスクロールホルダーから巻物を一本を取り出すと、ヴァレリーは大きく慌てた。それはもう普段絶対に見せないような慌てぶりである。
それでも身体をこっちに向けないどころか、身動きをしようという素振りをみせないところに、プリエは容赦なくスクロールを広げた。幾本ものスクロールを所持し、使いこなす『スクロールマスター』に対する挑戦だと受け取ったのだろうか。
広げたスクロールには常人ではとうてい解読できぬ言語がびっしりと刻まれ、中央には幾何学模様で作られた印がついている。魔術の結晶体であることを臭わせる。
「ち、ちょっと待て!」
と、叫んだヴァレリーは手を出して、ストップを持ちかける。その手を動かした隙間から、プリエは毛玉を見つけて、詠唱で脅すのを止めた。
「ペット? また増えたの」
「ああ、ケルビムという」
プリエが『スクロールマスター』と呼ぶなら、ヴァレリーは『ペットマスター』だ。彼女の家は、いつでもペットで埋まっているし、冒険に理由の半分も飯代と、ペットを進化させるアイテムの探索になっている。他の仲間に比べるとすこぶる貧乏なのもその所為である。確かに色んなペットがいるのは心強いが、毎日、もの凄い量のご飯を巨大な鍋でごりごりかき混ぜている作っている彼女を見ていると、大変そうね、だけではすまない感想をもってしまう。ブラッシングするのも軽く数時間を使っているが、こちらは本人の顔がたるんでいるので、感想対象外。
そして、今日また増えたらしい。子犬のケルビム。
ケルビムは黒毛。ヴアレリーの膝から顔だけをだして、ぼんやり外を眺めている。可愛いのになんかセンチメンタルな雰囲気が漂わせている。
「なんか、出稼ぎにきた子が、仕事がきつくてつい外を眺めて、故郷を思い描いているような感じね」
「その表現、あたり」
ぼそりと感想を述べたプリエにヴァレリーが真顔で、そんなことを言う。
「福袋で出てきたんじゃないの」
「親や故郷を覚えていたんだろう。犬は三日飼えば、その飼い主のことを一生忘れないんだ」
『出稼ぎにきた子が、仕事がきつくてつい外を眺めて、故郷を思い描いているような感じ』から、『身売りされた子が、幸せだった昔を思い出しているような感じ』にイメージ変更。
福袋を買う身としてはなんともまぁ、切ない気分になる話である。
そこまで考えて、プリエはふと気がついた。
「‥‥ヴァレリー。用事っていうのは、この子の故郷探し?」
「うん」
ちょっとは間をおけば、義理と人情に挟まれていることくらい、考慮するのに、ヴァレリーは即答である。もう僅か何秒の間もない。が、プリエの纏っている空気が寒々しくなってきたので、ヴァレリーは慌てて言葉をつけたした。
「だって可哀相じゃないか」
「言うに事欠いて、それだけ? 福袋がどうやって作られているのか、解明するチャンスとか言いなさい」
「じゃ、福袋のナゾを解き明かすチャンスだぞ」
ヴァレリー。とても実直。
そんな彼女を愛おしそうな目でみて、プリエは言葉を紡いだ
「それもそうね。個人的には興味あるの。だけど、仕事をもってきたくれたガナッシュと依頼主さんの気持ちを反古にするわけにはいかない」
プリエは約束にはかなりうるさい。騎士のように高尚な誇りとか忠誠とかはまったくないが、約束だけは絶対に守ろうとする。
そんな彼女の言葉にヴァレリーは、まったく今までのやりとりに動じていないケルビムを抱き上げて言った。
「そうだな。帰ってから探すことにしよう」
「何言っているの。福袋は期間限定品。エチゴヤは実は闇の一大ジンケートだとか、店長は実はデビルではないかとかいう噂があるの。噂の大預言のノルマンが滅亡するのも、エチゴヤの密かな乗っ取り計画だと漏らす者がいるくらいなのに、時間をおいて尻尾をつかめるとでも!」
いけしゃあしゃあと本当か嘘かわからないことを言うプリエに、ヴァレリーはびっくりする。
「さらに、今までエチゴヤの秘密を触れた者達は、行方不明になっているらしいわ。そんな巨大な闇に近づのは私たちでは無理」
「た、確かにできない。そうすると‥‥」
「同じ冒険者有志に依頼するのよ。エチゴヤと福袋のナゾに迫る危険という冒険をする者を!」
その言葉にヴァレリーは思わず拍手する。
冒険者が冒険者に依頼するケースはきわめて希ではあるが、彼女達はすでにその経験があるので、臆することはない。というか、受注者が依頼者に回るのもそれなりの楽しさがあるようだ。彼女達を見る限りは。
「わかった。ケルビム。お前の故郷を必ず見つけてやるからな」
きゅーん。と小さい声でなくケルビムを抱き締め、ヴァレリーは言った。
後日。諸処の事情により冒険者ギルドを介さない形で『依頼』は冒険者に発布された。
ちなみにそこには、エチゴヤの秘密を探れ、とあったが、ケルビムのことに関しては、ついで、扱いで書かれていた。
ヴァレリーはそのことをまだ知らない。
●リプレイ本文
「昔から興味があった」
「そういえば私も、以前から謎に思っていました」
カイザード・フォーリア(ea3693)の言葉に、同意するのはアディアール・アド(ea8737)。
「エチゴヤの謎‥‥確かにあの大量の武具の供給先には前々から大変興味がありました」
とはこれ、武器屋のアクテ・シュラウヴェル(ea4137)。
「やっぱり皆不思議に思うのですね‥‥福袋‥‥」
アルフレッド・アーツ(ea2100)の言葉に、一同は再び頷いた。
どっからあの武器やら卵やら、怪獣(ひどい)の子供やらがわんさと出てくるのだから、不思議で仕方がない。あの売っているエチゴヤの親父からしてアヤシイのだから。
「あの外見はきっと『まるごとオヤジさん』で、中身の人はいつも違う思うです‥‥!」
ほら、ラテリカ・ラートベル(ea1641)も握り拳を作ってそう言っているではないか。
「とにかく、これを機にエチゴヤの謎を、福袋の謎を解き明かそう!」
「おーっ」
謎が謎を呼ぶエチゴヤ。
そのシステムは彼らの手で解明できるのであろうか。
●ケルビムの故郷
「うわぁ〜〜〜、可愛いなぁ〜〜〜」
明王院月与(eb3600)はキラキラした瞳でケルビムを見つめながら、抱き上げた。犬の毛はごわごわとした感触があったが、そこは何と言ってもまだ子犬。全体的にはころころだし、ふにゃーんとしている。本人(犬?)は戸惑い気味に硬直しているけれど。
「ああっ、ラテリカにも抱かせて欲しいですっ」
腕を一杯伸ばしてケルビムをさわりたがっているのはラテリカ。そんな彼女に月与はケルビムを優しくて渡すと、月与はこれから冒険に出ようとしているプリエとヴァレリーに向き直った。
「プリエさん、体は大丈夫なの?」
「まぁ、良くはないけれど。大したこともない」
「魔法の使用者によって威力は全然変わるからな。まあなんにしろ気をつけるにこしたことはない。ケルビムの故郷は俺たちが見つける」
リュリス・アルフェイン(ea5640)の言葉に安心したのか、プリエとヴァレリーは一同に「よろしく」と挨拶をして冒険へと旅立っていった。ヴァレリーは少し名残惜しそうにケルビムを何度も見ていたが。
「ケルビムちゃん。どこから来たですか? ここに来て朝と夜はどのくらいやって来たです?」
抱えたままでテレパシーを使って話しかけるラテリカ。少し戸惑いを残しながらも、ケルビムはうるうるした黒い瞳を銀髪の少女に向けて話し始めた。
『森の中でし‥‥。お兄ちゃんとお姉ちゃんがいっぱいいて、おかあしゃまもいたでし。でも急に眠たくなって、気がついたらヴァレリーお姉しゃまがいたでし』
そんなケルビムの言葉を聞きながら、ラテリカはこそこそと月与にそんな情報を耳打ちした。一週間ほど前に気がついたという言葉も忘れずに
「えー、なにー、どしたの?」
「月与おねえたん、あたちもききたい〜」
わきゃわきゃと二人を取り囲むのは月与が呼びかけた子どもたちであった。名付けてチビチビ探偵団ご一行。
「うん、えとね。福袋っていうところからこの子出てきたんだって。不思議だよねぇぇ。ねえ親父さん、福袋にどうしてワンちゃんが入ってるの?」
普段とはうって変わった幼げな顔つきで、親父に尋ねる月与。デビルを追いかけていた時とはエライ違いようである。
「そりゃぁ企業秘密だ」
にっかりと笑う親父にすかさず、リュリスが割って入った。
「そりゃないだろう。世話にも関わるんだ。頼むぜ、下手して死なせちまったらこいつらうるせーんだよ。‥‥もしそうなったらおっさんも同罪だからな」
「愛があれば大丈夫っ。安心してくれ」
ほんとかよ。と言いたくなるリュリスであったが、親父のステキ営業スマイルはまったく陰りすらしない。さすが数多の冒険者を相手にしているだけはある。
しばし、視線を交錯させ、火花を飛ばしていたところ、不意に親父の方が動いた。視線を逸らした!
「しっかたねぇなぁ。それじゃ、裏手の方に回りな。福袋を中身を担当している兄弟に言ってみてくれよ」
「おやじさん以外にも、パリにご兄弟がいたですか!」
びっくりするラテリカであったが、これはまたとないチャンスである。みんなでワラワラと店の裏手に回ることになった。チビチビ探偵団もついていねので騒がしいことこの上えない。
ああ、その為だろうか。親父のにっかりスマイルがいつもと違う輝きをしていたことに誰も気づかなかった。
そして彼らは闇に消えていった。
●アイテム編
「それで、マシュウ氏はどのように?」
「エチゴヤに納品はしている。製作した物に余剰などというものは存在しない、ということです。エリス嬢はギルドつながりで出会うことはあるけれど、髪飾りを渡したことはない、と言っていた」
サラサ・フローライト(ea3026)は無愛想な口調で、淡々と確認報告をアクテにしていた。二人は武器防具などがどこで生産されているかの確認を行っていたのである。
確認を取ってみれば、フィリッパの推測の一つであった受注生産の余剰品という説はここで打ち砕かれたが、しかし、これは逆に新たな可能性を示していた。サラサの報告は続く。
「聖別されているアイテムもいくつかエチゴヤが取引しているのは確認できた。これといっておかしな感じではない」
先日、病によって息を引き取った人の冥福を祈っていたついで、とは彼女はあえて口にしない。
アクテが顎に手をやりながら、自らの考えを口にした。
「なるほど‥‥魔法の武器を作るにはブラン鉱石が必要になるはずです。ブレーメンシリーズを作成されているもののその数では恐らく、エチゴヤから人々の手に渡っている量とはきっとズレがある。そうでなければエチゴヤは潰れないのがおかしいですから」
アクテが顎に手をやりながら、思案してそう言った。
確かに、冒険者達の流通量をあの金額で出しているとすれば、大盤振る舞いもいいところである。
「ズレがあるというと‥‥」
「エチゴヤは工房を有しているのではないかということです」
アクテはきっぱりと言い放ったその言葉にサラサは目を大きく見開いて‥‥そのまま、首をかしげた
いや、理解できない話ではない。流通量があわないのであれば、どこかで作っているのは間違いないだろう。
「工房か。なるほどブレーメンシリーズを作れるのはマシュウ氏ほどの実力がなければ無理だろう。エチゴヤにマシュウ氏がいるのだろうか」
「ええ、話の辻褄が合うような話は他に見つかりません」
うずうずとした心を抑えながらそう言っているのを、サラサはするどく見抜いた。アクテの生業も武器屋。それも自前で精錬し、鍛え上げることができる鍛冶士に近い立場の武器屋である。
「工房がある、そして魔法の武器を作ることができるとするならば、そこにはブラン鉱を所有しているということに他なりません。私も魔法の武器を作ってみたい!」
あ、本音が出た。
でも武器屋であるなら当然の願望かも知れない。
「ということは、ひねって考えるとエチゴヤグッズもそうした技師達が作ったものなのか」
魔法の武器をも作る一流所の鍛冶屋がフンドーシだのまるごと○○だのをデザインしていると考えると‥‥大変不憫な気がした。
それより聖別したアイテムももしかして作られているのだろうか。謎は深まるばかりだ。
「それなら、もう後は直接聞き込みをするしかないな。」
「そうですね。私も武器屋の端くれとして、武器製作の協力を願い出ようと思います」
目的がずれているようなそうでないような。
彼女たちはエチゴヤへと足を進めた。
●ルート編
「普通に考えると、これで儲けを出すのは難しいですね」
フィリッパ・オーギュスト(eb1004)は福袋が出自の、所有するアイテムを眺めて呟いた。
「そうですよね。世界中のどこに都市にも同じ名前のお店があり、価格は共通。買い取り価格も固定。果たして商売は成り立つのでしょうか?」
アディアールはエチゴヤの親父の顔を思い出して、背筋が寒くなった。彼が放浪した先の都市で見かけた数だけでも6人はいる。詳細は違えども顔の作りは皆同じ。ナンテオソロシイ。
「メディチ家やサカイでは、為替や代替商売を行っているようです。安い所で仕入れ、高いところで売るなどという商法を使えば‥‥」
「魔法の品が有り余るような場所ってあるんですかね。代替商法としても冒険者に格安で売る理由があまりない気がします。まあ薬草や毒草の類なら私はコンプリートを目指すべく占拠しにいきますけど」
怖い物知らずの植物大好きアディアールならやりかねない話である。いや、冒険者にこういう人物が多いから、ハズレ商品を使って利益を保っているのかもしれない。
「魔法の品については受注生産でできた余剰品という可能性があります」
「伝説の武器を受注生産している鍛冶屋は考えがたいですが‥‥。ソルフの実を栽培しているところがあるのなら、この寿命の続く限りお願いし続けて弟子入りをしたいところです」
そんなことをいいつつグリーンワードでソルフの樹に一生懸命話しかけるアディアール。既に目的がズレているような。
そんな様子を見て、フィリッパはふぅ、と溜息をつきながら立ち上がった。アディアールはソルフの樹が答えた『もっと愛を』という言葉に苦悩していた。
「やはり、エチゴヤに直接聞きに行くしかないようですね」
「確かに直接聞くしかありませんね。ソルフの樹にどうやって愛を注ぐかを聞かねばなりません」
完全に目的がズレてしまっているアディアールであった。
「こちらは全世界的に広がっていますが復興戦争でも物流でご活躍されたのですか?」
「どんな時でも、お客様一番! 昔よりも今の方がずっと活躍していると思うけどな。どうだい。福袋」
さりげなく、話題を福袋にすり替えられそうになったのでフィリッパはそれを丁重にお断りして、次の話題になんとか持ち込んだ。
「そういえば、護衛依頼を出される商人は居られますが、こちらからはあまり見受けられませんが?」
「必要そうに見えるか?」
むきっ!!?
ポージングをとるエチゴヤの親父。
ここまで来ると、フィリッパも絶句するしかない。そんなところで、アディアールが交代して話を始めた。この時点で既に目が金貨マーク、ではなくて植物マークになっている。
「それより、福袋に入っている植物の種や実、魔法の鉢植えは一体どこから入手しているんですか?!
どこかに契約農園でもあるのでしたら、そこに行きたいんですが!
ソルフの鉢植えを発芽させるコツをぜひっ」
親父に返答すら許さない炎のマシンガントーク。
「契約農園〜? そんなものはねぇ。愛だ! 愛があればなんとかなるっ」
「愛とは具体的にどのような‥‥」
「それはこうだっ! お帰りなさいマセ、ご主人サマ♪ さぁ、リピートアフターミー!」
ありえない。
あのいかつい顔で愛らしいポーズをとられるとかなりの破壊力である。もはや精神汚染兵器。
「く、ぅ、月道を利用する許可を得ておられるのか、うか、がいた、かった」
間近でそのポーズを見せつけられたアディアールは即座に灰化。マッスルポーズでダメージを受けたばかりのフィリッパもメイドポーズの追撃を受けて、崩れ落ちた。
オヤジ、威力ありすぎ。
●卵・ペット編
「私は武器を発注しようと思うのだが、マシュウ殿には連絡が取れるかね」
今日の店番は何故かエチゴヤの親父。
いつもの営業スマイルで応対をしかけたところ、アルフレッドが飛び上がって、質問を重ねた。
「あの‥‥福袋のペットや卵って‥‥何処から来ているのかわかりますか?」
「店のことなら任せてくれっ。ちなみに卵とかは福袋を買ってのお楽しみだ。ネタは企業秘密。聞くのは野暮ってもんだぜ」
これだけ謎を囁かれながら、野暮も何もないと思うが。
威圧感のある親父のスマイルに戦慄しそうになったが、既に皆があれこれと親父にアタックしている間、カイザードもアルフレッドも準備は行っていたのだ。圧倒されてうやむやにされるほど甘くはない。
「港で聞いたら‥‥色んな貨物がエチゴヤに届いているということなのですが、ペットや卵に関しているような貨物は少ないように思えるのですが」
「それに、妖精の卵とかは気になるだろう。うん、昔はグリフォンも怪物扱いで、飼っても認知されないだろうとか言われて凹んだものだが、風フェアリーは可愛いしなー」
カイザード。君も本音が出てる。
「卵やペットは‥‥どこかに養育場があるんですか‥‥?」
「武具についても、どうもアヤシイところがありそうじゃないか」
そんな話を交互に受けて、親父は初めて笑顔を消して、真面目そうな顔になった。これだけでも珍しい気がするのはなぜだろう。
「ああ、もう仕方ねぇな。特別だぜ。こっちにきな」
おお、観念したか。
二人の顔が緊張と喜びに染まる。
そしてアイテムが並ぶ道を進み、奥へと続く扉を示された。
緊張の一瞬。
扉をきぃ、と開けると。
エチゴヤの親父と同じ顔した親父達が並んでいた。
そこから先は二人とも良く覚えていない。
なんだか星の海を泳いでいたような気がする。そしてエチゴヤの親父そっくりの人々が住まう国に辿り着いて‥‥
ああ、アイテムが飛び交っている。
みんな営業スマイルでこちらを見ていた。見渡す限り、親父とスマイル。360度視界がスマイルで埋もれていた。
食われそう。そう思った後は全く記憶がなかった。
●結局。
「あれ‥‥僕達、何をしていたんでしたっけ‥‥」
アルフレッドはふと目が覚めて辺りを見回した。冒険者ギルドの相談室だ。隣ではカイザードが突っ伏していた。
「カイザードさん‥‥起きてくださいって」
ゆさゆさと揺らしていると、サラサが本を持って入ってきた。
「ケルビムの犬種がわかったぞ。ブラッドハウンドといって猟犬の一種みたいだ」
「ケルビムがチーズに興味を示しました。チーズの特産地は世界的に普及していますが、サラサさんの知識と合わせると、ノルマン王国内の可能性が高いと思います」
フィリッパがその後に続いて入ってきた。その後にはケルビムを抱っこした月与と、そのケルビムに話しかけるラテリカの姿が。
ああ、そうだ。ケルビムの故郷を探しているんだった。
アルフレッドは古布に自らの知識で得た近郊の地形を描き、その上にダウジングペンデュラムを下ろした。
「あ‥‥ここ‥‥じゃないでしょうか‥‥。ノートルダムの森‥‥ここから近いみたい‥‥です」
ペンデュラムが指し示した場所からアルフレッドは答えを導き出したのであった。
後日。
冒険から戻ってきたヴァレリーと相談の上、やっぱり家族の方がいいよね。ということで、森を捜索。ケルビムの家族は見つかったのであった。
その際、プリエがところでエチゴヤは? と聞かれたところ皆頭痛がして唸ってしまったという。その理由は誰も知らない。