ドラ息子英雄伝説 〜【G3】防衛!〜
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■ショートシナリオ
担当:えりあす
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 91 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月29日〜10月08日
リプレイ公開日:2004年10月05日
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●オープニング
「何! 契約した農家の生姜がゴブリンに荒らされているだと!」
ある貴族の屋敷。
使者の報告を受けた貴族は苛立っていた。
9月は生姜がもっとも美味しい時期とされている。
折角、この時期を楽しみにしていたのに、収穫された大事な生姜をゴブリンが盗んでいるというのだ。
「お父さん! では、僕がゴブリンを退治して生姜を守ります!」
このゴブリン退治に名乗りを上げたのは、この貴族のドラ息子。
だが、この息子さん。プレートアーマーにマントを羽織り、プレートヘルム、ミドルシールドとガチガチの重装備である。家宝の大事な武具というのは良くわかるが、そんな重装備でまともに行動することができるのであろうか?
「おぉ! お前がゴブリンを退治してくれるのか! さすがは我が後継ぎじゃ!」
貴族の親父はそんな息子を抱きしめ、傍目にはあまり美しくない親子愛を演じている。
「じゃが、お主の身に危険があっては大変じゃ。冒険者を雇って一緒にゴブリンを退治するのがよかろう!」
こうして、冒険者ギルドに依頼が張り出されることになった。
*
『収穫された生姜をゴブリンから守ってほしい!』
今回の依頼は、農家が収穫した生姜をゴブリンから守ることである。
収穫された生姜は、ある貴族の元へと運ばれる予定になっている。
それまで、生姜をゴブリンに盗まれないようにしてほしい。
農家の畑がある村まで歩いて1に‥‥いや、2日必要となる。
予定では1週間後に生姜が運送されることになっているので、村で5日間生姜を守り通してもらうことになる。
なお、今回その貴族の息子が依頼に加わる。
万が一にも、息子に被害が出るような事のないように留意されたし。
●リプレイ本文
「良質の生姜は料理に欠かせぬ調味料。それを奪う不貞の輩は拙者が成敗してくれる!」
料理をこよなく愛する酒場店員の浪人、尾花満(ea5322)が吼える。
生姜(ジンジャー)は料理やエール、また薬として健胃などに使用される。その大事な生姜がゴブリンの口に入るなど、料理人として許すことはできない。
「生姜は余り好きでは有りませんが、守りましょう」
伊達和正(ea2388)はあまり生姜が好きではないようだが、やはりジャパンでも馴染みの深い食材。防衛の為に気合を入れた。
「『生姜』ってジンジャーの事よね? パンに入れたら美味しいのよ!」
イギリス語もジャパン語も話せるチョコ・フォンス(ea5866)が生姜をイギリス語に通訳する。
「ジンジャーって‥‥野菜ですよね‥‥? 齧ったら‥‥美味しい‥‥ですかね?」
「そのままで食べる事は少ないが、ジャパンでは料理の薬味に使ったりする事が多いな」
野菜好きのマイ・レティシアス(ea0328)が生姜について尋ねた。その問いに調理知識の豊かなな満が答える。
「それにしても、あのご子息が心配ですね。心意気だけはご立派と思いますが」
「そうですわね。お守りも大変そうです」
「生姜の防衛とゴブリンの迎撃だけなら楽なのだが」
エレーナ・コーネフ(ea4847)とタチアナ・ユーギン(ea6030)はドラ息子の暴走を気にしていた。ゴブリンだけなら何でもない依頼ではあるが、辻篆(ea6829)もドラ息子という厄介な支援者を気にする。
「そういえば、そのドラ息子は‥‥あ!」
話で盛り上がっている一行であるが、市川綾奈(ea0680)が後方を振り向くとドラ息子の姿は無かった。
重量超過状態のドラ息子の移動は冒険者の半分。
誰もその事を気にしていなかった為、ドラ息子を置いてきぼりにしてきたのだ。冒険者は慌てて彼を迎えに行ったそうである。
*
ドラ息子に移動を合わせたおかげで、普通なら村まで1日で到着できる距離を2日掛けて移動する事になった。
「あ〜、落ち着くわぁ。空気も良いしぃ〜」
チョコにとっては見慣れた風景。そして、ちょっとばかり懐かしい気分。
「少々、痛んでいるな。修繕しなければ」
満は生姜の保管庫を点検していた。何度かのゴブリンの襲撃でガタつきがあるようだ。修繕を村人に依頼し、満はトラップの作成に取り掛かる。綾奈とチョコも手伝い、鳴子が完成した。
「よし! これを周囲に張り巡らせてと」
綾奈は出来上がった鳴子の設置に取り掛かった。
「それでは、見張りの順番を確認します」
タチアナが生姜保管庫防衛の為、メンバーを班分けを提案し、全員それに従う事になった。
編成は下記の通りである。
A班:満、チョコ
B班:和正、マイ
C班:篆、綾奈
ドラ息子の護衛:タチアナ、エレーナ
最初、A班とB班が2時間交代で保管庫と周辺の哨戒を行い、C班は休憩。
4回目の交代でA班はC班と入れ替わり休憩に入り、B班とC班が交代で見張り。
さらに、4回目の交代でB班とA班が入れ替わり、A班とC班が見張りをすることで24時間監視する事ができる。
なお、初日はC班の綾奈が徹夜で見回りと村人が終えなかった保管庫の修理なども行っている。
「静か‥‥ですね」
初日、4回目の交代。
マイが周囲を見回した。ゴブリンの現れる気配はない。鳴子の板も風に揺れ、小さい音を鳴らしているだけであった。結局、初日にゴブリンは姿を現さなかった。
そして、2日目。
夜が更けても、冒険者は眠らない。
村から借りたランタンと、保管庫の周りに火を焚いて照明とする。
「火が消えかかっているな」
外の見回りはC班の篆と綾奈。
篆が焚火に木をくべようとしたその時。
――カラン、カラン
鳴子が鳴った。
侵入者だ。
「き、来た! ゴブリンが来たよ!」
綾奈が叫ぶと、保管庫にいたB班の和正とマイが駆けつけた。
‥‥しかし。
「来ませんね‥‥」
ゴブリンはそのまま姿を消した。
その後に再びゴブリンは現れる気配は無く、3日目へと日付は変わる。
「ゴブリンの数はそんなに多くなかったようだな」
日が昇り、農夫達が働き出す頃。満は罠の周辺を調べていた。ゴブリンの足跡から昨日襲撃に来たゴブリンは少数だったと思われる。
ゴブリンも無脳では無い。この前まで無かったものが設置されていれば警戒する。恐らく、少数だった為に襲撃を断念したのであろう。
3日目、結局ゴブリンは姿を現さなかった。
4日目。
5日間というのは短いようで長く感じる。
「‥‥もう、ゴブリンは来ないですかね?」
「‥‥さぁ?」
B班の和正とマイが保存庫の近くで小休止していた。畑では最後の収穫が行われている。その為、仕事の邪魔にならないように保存庫が見える場所で座って休んでいた。
段々、口数も減ってくる。
長い沈黙の時間が続く。
その頃、ドラ息子はタチアナとエレーナの監視の下、一人黙々と剣術の鍛錬に励んでいた。だが、着込んでいる防具の重量のせいで、すぐに息を切らして地面に座り込む。
「やる気だけは十分なのですがね」
「ずっと休んでいただけたら楽なのですけども」
2人は呆れながらドラ息子を見守っていた。
「このまま、平和だったらいいのですが‥‥」
エレーナが呟いたその時。
「ゴブリンが来たー!」
農夫の叫び声が響く。そして、一斉に鳴子が侵入者を察知した。
「来たか!」
貯蔵庫周辺にいた6人の冒険者が一斉に臨戦態勢を整える。
ゴブリンの数は8匹。集団で貯蔵庫を襲撃しに来たのだ。
「ゴブリンめ! 僕が先祖代々祭りで使っている由緒正しき生姜を守り通してやるっ!」
「その勇気と使命感は大変ご立派と思いますが、この程度の敵でお手を汚す事はありませんわ。それに‥‥冒険者と言えど私も女の身。立派な騎士様が傍に居て頂けると安心します」
ドラ息子が動こうとした時、すかさずタチアナが抑えに掛かる。
「わたくしも怖いですわ‥‥騎士様が居られるだけで、どれほど心強いことでしょうか‥‥」
「出来れば‥‥守っていただけませんか‥‥怖くて前に出れなくて」
エレーナとマイも怖がる振りをしてドラ息子の気を引こうとする。3人の乙女に囲まれたドラ息子は、顔を赤らめて動きが止まった。
「生姜を守りたい、皆の魂の力を思い知れぇっ!」
和正がオーラパワーで愛用の日本刀にオーラを宿し、ゴブリンへと突き進んだ。
「大切な食材を荒らす不埒な輩め‥‥成敗してくれる!」
満も保存庫に近づくゴブリンをダガーで牽制しつつ、日本刀で切り掛かる。チョコもウインドスラッシュを放った。刀と真空の刃を受けて地面に倒れたゴブリンは、這いずって逃げようとする。
ゴブリン達も冒険者達に攻撃を仕掛けた。
満に4匹、和正に3匹のゴブリンが襲い掛かるが、2人とも素早く攻撃を捌く。
「だいじょーぶですか!」
「生姜は無事か!」
騒ぎを聞きつけ、休憩していた綾奈と篆が駆けつけた。
全員が揃い、生姜防衛の為に総力戦が始まる!
「君達を守る為にも、やっぱり僕は戦わなくちゃいけないんだ!」
女性陣に止められていたドラ息子だが、やはりゴブリンに突撃するようだ。
「仕方がありません」
エレーナは高速詠唱でアグラベイションを唱えた。
「うぉ! 体が!」
元々動きの遅かったドラ息子はこの魔法で完全に動けなくなってしまった。これで、暴走することはできないだろう。
「買わないのに商品に手を付けちゃいけません!」
綾奈が六尺棒を振り回し、ゴブリンを牽制。篆はダブルアタックでシュライク&スマッシュを叩き込む。その素早く的確な攻撃は多大なダメージをゴブリンに与え、士気を削ぐには十分な一撃であった。
「生姜に魂を奪われたお前達が悪いんだぁっ!」
和正は這いずるゴブリンの頭を踏み付けて跳躍し、後ろにいたゴブリンの頭目掛けて刀を振り下ろす。しかし、力任せの渾身の一撃は的を捉えるのが難しかった。振り下ろされた刀は地面へと突き刺さる。
「とりあえず援護だけでも致しますね‥‥ゴブリンさん、可哀想ですけれど‥‥」
マイはアイスチャクラでゴブリンを攻撃。チョコはライトニングサンダーボルトで支援する。
士の刀に屈し、ウィザードの魔法に叩きのめされたゴブリンは散り散りに逃走していった。
ここまでやれば、もうゴブリンはやってこないであろう。
冒険者達は見事に生姜を守りきったのだ!
「ほらっ、特別報酬として!」
「これはエンフィルド家と契約している生姜ですので、お譲りすることはできません」
綾奈は生姜を少し貰えないか交渉していたが、ダメだったようである。
*
生姜の防衛に成功した冒険者達は、その生姜をドラ息子の屋敷へと無事運ぶことができた。
「若様がお帰りになられましたぞ!」
ドラ息子と冒険者達は盛大に出迎えられた。
早速、運んできた生姜を下ろして屋敷の衛兵へ渡す。隣では他の冒険者も荷の受け渡しをしている。
「よろしければ、是非パーティーへ御越しいただけませんか?」
「え! 本当! 嬉しい☆」
冒険者を労う為、屋敷ではパーティーが準備されていた。綾奈はパーティーの誘いに大喜び。他の冒険者も勿論参加に異議は無い。
『かんぱーい!』
用意されたジンジャー・エールで乾杯。ガチョウのローストと生姜入りのパンも運ばれてきた。
パーティーには他に15人の冒険者も招かれている。
「生姜を立派に守り抜いたわ。あんたの息子は英雄よ」
チョコは両親にドラ息子の活躍を報告した。その報告に父は感動し、相変わらず美しくない親子愛を披露する。
「ごきげんよう。では、私が一曲演奏させていただきます」
タチアナが竪琴を取り出すと、美しいメロディーを奏で始める。
その演奏に耳を傾ける者、歌う者、踊る者。
こうして、楽しい時間が過ぎていく。
冒険者達は次の冒険へ向けて英気を養い、キャメロットへと戻るのであった。