オーク輸送部隊襲撃♪

■ショートシナリオ


担当:えりあす

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 0 C

参加人数:9人

サポート参加人数:4人

冒険期間:10月14日〜10月19日

リプレイ公開日:2004年10月21日

●オープニング

『オーク退治志願者急募!』

 最近、オークの活動が活発になり、被害を受ける村や旅人が多くなってきた。
 その為、オーク退治をしてくれる冒険者を募っている。
 協力してくれる冒険者は、被害が多い地域にて哨戒し、できる限り多くのオークを退治してほしい。
 
 *

「あんた達が一緒にオーク退治に行く冒険者? よろしくね♪」
 オーク退治の依頼を受けた冒険者に、ブリジットと名乗る女冒険者が声をかけてきた。どうやら、この女冒険者もオーク退治の依頼に参加した冒険者のようだ。
「あんた達、運がいいよ♪ 今回、一緒に行くオーク退治なんだけど‥‥」
 ブリジットは周囲に聞こえないように小声で冒険者に話を続ける。
「一部のオークが、盗んだ荷物を巣まで運んでいるっていう情報をゲットしたの♪」
 ブリジットは嬉しそうに語った。「それがどうしたのか?」という冒険者の質問に、
「盗んだ荷物を巣に運ばれるとオークの戦力強化に繋がるわ。それは阻止しないといけないの! で、その荷物だけど‥‥。多分、どこから盗んだ物かわからないと思うの♪ だ・か・ら、それは奪回したあたし達の物って事で♪」
 と、ブリジットは言い切る。
 確かにどこから奪ってきたかわからない物だから、返しようがないのは事実であるが。
「それで。分け前は、あたしが半分、残りはあんた達でいいわね♪」
 ちょっと配分がおかしくないか? と、ある冒険者が不満を漏らすが「情報料じゃない? ネタを提供したあたしが多く貰うのは当然よ♪」と、ブリジットは当然のように言った。
「速攻で荷物を頂いて帰りたいんだけど、指定されたポイントはオークが沢山いるから注意しないといけないわ。まぁ、オークを倒すのも仕事なんだけどね。それと、オークの巣を探すなんてバカな事は考えないでね。戦士クラスの強敵がうじゃうじゃいるんだから、そんなことは自殺行為よ」
 ブリジットの忠告を聞き、冒険者達はオーク退治に出発するのであった。

●今回の参加者

 ea0904 御蔵 忠司(30歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea2504 サラ・ミスト(31歳・♀・鎧騎士・人間・イギリス王国)
 ea3075 クリムゾン・コスタクルス(27歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea4591 ミネア・ウェルロッド(21歳・♀・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea4847 エレーナ・コーネフ(28歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea5001 ルクス・シュラウヴェル(31歳・♀・神聖騎士・エルフ・ノルマン王国)
 ea5386 来生 十四郎(39歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea6769 叶 朔夜(28歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea7263 シェリル・シンクレア(21歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)

●サポート参加者

カイ・ミスト(ea1911)/ メイ・メイト(ea4207)/ ティスナ・レンド(ea6239)/ カノ・ジヨ(ea6914

●リプレイ本文

「話じゃ、この辺のはずなんだけどね」
 オーク討伐の依頼を受けた冒険者達は、ブリジットが入手した情報を元に輸送部隊襲撃の準備に取り掛かっていた。
「一体、どういうツテでその情報を得てきたのかは知らぬが、それが本当であれば中々腕が良いようだな」
 ノルマンから妹に会いに来たのに、何時の間にか依頼を受けていたというルクス・シュラウヴェル(ea5001)。
「まぁ、仲間は持つものね‥‥良い友も悪い友も♪」
「なるほど‥‥それで、オーク達の輸送部隊はどんなものなんだ?」
 来生十四郎(ea5386)は最後の言葉に引っかかりつつも、ブリジットに輸送部隊について尋ねる。
「さぁ‥‥情報では荷車で重要な物資を運んでいるらしいってことだけど‥‥一応、目撃はされてるみたいだから信憑性はあるわね」
 荷については、ブリジットもわからないようであったが、重要物資を荷車で運んでいるということであった。
「オークが運んでいる荷か‥‥持ち主も分からない様だし、有難く頂こう。先立つ物をこれからの為に貯めたい事も有るしな、うん」
「さあ〜、今回は頑張って盗みましょうか〜♪」
 叶朔夜(ea6769)とシェリル・シンクレア(ea7263)は荷物を頂戴できるということで、少々気合が入っていた。
「野放しにしておくと被害が出そうですし、戦力強化になることだけは避けたいですね」
 エレーナ・コーネフ(ea4847)もオーク退治に向けて精神を集中させた。
『じゃあ‥‥通訳のほう、頼んだぜ!』
『ええ、任せてね』
 クリムゾン・コスタクルス(ea3075)はイギリス語が話せない為、エレーナに通訳してもらうことにした。幸い、エレーナはゲルマン語をほぼ問題なく聞き取る事ができるのでパーティ内での会話に支障は無かった。
「今回もブリジットちゃんと一緒だね♪」
「キャ〜♪ ミネアちゃん、宜しくね〜v」
 ミネア・ウェルロッド(ea4591)に抱きつくブリジット。小さくて可愛いのが大好きなブリジットは、ミネアを気に入っているようだ。
「ねぇ、ブリジットちゃん? この辺りの事は詳しいんでしょ? 一緒に偵察に来て欲しいな♪」
「いいわよ♪」
「では、偵察に参ろうか」
 ミネアと朔夜、そしてブリジットは偵察に向かう事にした。周囲はオークが多数出没するポイントである。見つからないように慎重に輸送部隊が通ると思われるポイントで偵察を行った。

 暫くすると‥‥

 ──ブヒ〜♪ ブヒヒヒ〜ン♪

 オークの鼻歌が聞こえてきた。
 輸送部隊はいっぱい荷物を載せた荷車をエンヤコラと運んでいる。
 オークの数は6匹だ。

「あ、オークさんだ♪ 楽しそうだね♪」
「来たようだな。皆に報告しなくては」
 輸送部隊の確認を取った3人は、皆の待機するポイントに戻って襲撃の準備を整える。
「オークは荷車を引いているのですね。では、僕達が前に躍り出て注意を引き付けましょう」
 囮役は御蔵忠司(ea0904)と十四郎、そしてカノ・ジヨが救急箱役として後方で待機する。

 ──ブヒヒヒ〜♪

 待ち伏せポイントの茂みに身を隠し、輸送部隊が通過するのを待つ。
「来たようですね」
「来たか‥‥では、参る!」
 輸送部隊が近づいたのを見計らって、忠司と十四郎が飛び出した。
『ブヒ!』
 突然の襲撃にオークは動揺した。
 しかし、荷物を守ろうと手に槌を持ち、臨戦態勢に入る。
 そこへ‥‥
「今のうちに足止めをします‥‥──グラビティーキャノン!」
 エレーナが高速詠唱でグラビティーキャノンを2連続で放つ。
 重力波の直撃を受けた2匹は吹き飛ばされて転倒した。
「輸送部隊の動きが止まったようだ!」
 囮が輸送部隊を足止めしたのを確認すると、ルクスは上空襲撃部隊へと合図を送る。
「よし! 出るぞ!」
 合図を受けてフライングブルームに搭乗した襲撃部隊が動いた。
「「「我はAnareta、殺戮の星より生まれし死の獣、我等が牙で汝の罪を断罪せん!」」」
 名乗りを上げながら、カイ・ミストが操縦するフライングブルームに搭乗したサラ・ミスト(ea2504)と、メイ・メイトが操縦するフライングブルームに搭乗するクリムゾンがオーク輸送部隊の頭上に現れた。ティスナ・レンドも忠司に借りたフライングブルームに乗り、シェリルが同乗している。
『わわわ! 怖えぇ!!』
 クリムゾンはルクスから借りた網を投げつけて混乱させようと考えていたが、フライングブルームの操縦者のメイにしがみ付いているのがやっとであった。
 操縦者は魔力を消費する事でバランスを取り、快適に搭乗する事が出来る。しかし、2人乗りの場合は同乗者にその効果は無く、しがみ付いていなければ危険である。2人乗りは死の危険を伴うのだ‥‥もし、他の行動を取ろうものなら‥‥賢明な冒険者であればどうなるか理解できるであろう。
「仕方が無い。距離を詰めるぞ!」
 サラとカイはオークとの距離を詰め、戦闘態勢を取る。残念だが、空中からの強襲はうまくいかなかった。
「オークの動きを封じん‥‥──コアギュレイト!」
 ルクスはコアギュレイトでオークの動きを止めた。
「ごめんね♪ オークさん♪」
 ミネアは呪縛で動けないオークにダガーを投げつける。オークは避ける術も無く、ダガーはその肥満した醜い体に突き刺さった。そして、ミネアはシルバーダガーを取り出し、白兵戦へと身を投じる。
「なかなかうまくいかないものだな」
 朔夜も茂みから飛び出し、オークへと突き進む。上空の奇襲班の失敗を受けて、オークは荷物を守ろうと警戒を強めている。戦いは正面からぶつかることになった。
「ここは僕達にまかせてください! 早く荷車を!」
 忠司がオークに切り掛かり、注意を引く。
「どうした! 俺はここだぞ!」
 十四郎もオークの正面に回り込んだ。ディザームでオークの槌を叩き落し、挑発を繰り返す。
「では、頂いちゃいましょう♪」
 オークが囮部隊に気を取られている間に、シェリルとティスナは十四郎から借りた馬を引き連れて荷車の強奪に取り掛かっていた。騎乗することはできないので、荷車を馬に付けた後はルクスに手伝ってもらい、まんまと荷物の強奪に成功♪
『ブヒー!』
 オークも荷物が盗まれた事に気づき、慌てて追いかけようとするが‥‥
「ティスナさん、ストームお願いします♪」
 シェリルの指示でティスナがストームを発動。そこへ、シェリルが砂袋を投げつけた。砂は竜巻によって撒き散らされ、辺り一面砂煙に覆われる。
『ブヒヒーッ!』
 砂塵がオークの目を襲い、視界を遮る。混乱するオーク達を尻目に、3人は馬を走らせ荷物を運び出すのであった。
『後は殲滅だけだぜ! 逃がさねぇよ!』
 クリムゾンはレイピアでオークを突き刺す。反撃も軽快なサイドステップで捌き、オークを翻弄する。
「追い掛けさせる訳にはいきません」
 忠司も鮮やかな刀技でオークに隙を与えない。
「我Anaretaの加護受けし、闇をを愛でる【黒獅子】なり!」
 サラも地上に降り、傷ついたオークを狙って攻撃を仕掛けた。
「獅子に噛み付くなら、もう少し気合を入れるんだね!!」
 ダガーで傷ついた体にロングソードの一撃が加わるが、それでもなおオークは立ち上がる。そして、サラに槌を振り下ろすが、カイが其れを捌き、攻撃によって出来た隙を狙ってメイがブラックホーリーを放つ。これが止めとなり、オークは絶命した。
「あ、危ない!」
 白兵戦を仕掛けるミネアに、後方からオークが忍び寄り槌を振り下ろそうとしていた。そこへ、エレーナのアグラベイションが発動。
「エレーナ姉ちゃん、ありがとうv」
 オークの行動が鈍くなり、その隙にミネアは間合いを取りシルバーダガーによる連撃を放つ。さらに、朔夜の峰打ちによるスタンアタックで動けなくなったところへ、十四郎が刀を振り下ろし、オークの息の根を止めた。
『ブヒヒ〜ン(泣)』
 生き残ったオークは荷物を諦めて逃走を開始。
「これ以上、深追いはしなくてもいいでしょう」
 忠司は深追いは無用と判断し、刀を収めた。大きな怪我は無かったが、カノが念の為にリカバーで皆を手当てしていく。
 襲撃は成功し、荷物の奪回に成功したのだ。

 *

「うふふ♪ お宝、お宝〜♪」
 嬉しそうに奪回した荷物を漁るブリジット。
「そういえばおまえ、皆が戦っている時どこにいたんだ?」
 冷静に突っ込む朔夜。確かに戦闘中にブリジットの姿は見えなかった。
「みんなが安全に戦えるように周囲を見張っていたのよ! 増援が来たら大変でしょ!」
 反論するブリジットだが、皆の視線は冷たかったらしい。
「オークがどんな物資を運んでいたのか気になるな。できたら、軽くて役立ちそうな物があったら嬉しいのだが」
 ルクスが荷物に被せてある布を取り払うと‥‥出てきたのは大量の保存食♪
「ち、ちょっと! 話が違う! お宝じゃないの〜!」
 大量の保存食を目の前に崩れるブリジット。
「食料補給はオークも死活問題でしょうしね」
 シェリルは荷物を予想していたようで、引きつった笑顔をしていた。
「食い意地が汚いからこんなにぶくぶく肥るのよ!!」
 キレたブリジットは転がっているオークの死体に八つ当たり。残念だが、彼女の情報には少し誤りがあったようである。だが、シェリルの言う通り、食料はオークにとっても冒険者にとっても必要不可欠なものである。重要な物に変わりはない。
「ブリジットちゃん、がっかりしないでね♪」
「あ〜ん、ミネアちゃん、ありがとうv」
 キレたブリジットをなだめるミネア。
 結局、ブリジットは荷物‥‥全部保存食であるが‥‥を全部冒険者達の分け前としたようである。強制的に。いや、受け取らなかったら後が怖いので‥‥シェリルはそれを知っている。
 キャメロット帰還後。輸送物資運搬を阻止した手柄を認められ、冒険者達は追加の報酬を受け取ることもできた。
 依頼は成功である。ご苦労であった!