おねがい☆冒険者! -形見を取り返して!-
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■ショートシナリオ
担当:えりあす
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月02日〜12月07日
リプレイ公開日:2004年12月08日
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●オープニング
「うわ〜ん! おかあさんの形見のネックレスがごぶりんに取られちゃったよぉ!」
お昼頃の冒険者ギルドでの出来事です。
いきなり、ちいさな男の子が泣きながらギルドに入ってきました。「ごぶりんがぁっ!」と叫びながらギルド中を走り回ると、急に床に座り込んで「おかあさんの形見がぁっ!」と泣きじゃくっています。
「どうしたの? おねえさんが聞いてあげるから泣かないで」
突然の出来事でギルドが騒がしくなっていますが、受付のおねえさんが男の子を優しく宥めすかしています。そこへ、男の子の保護者と思われるおねえさんが声を掛けてきました。
「すみません、お騒がせいたしまして。実は、村がゴブリンに襲われまして‥‥」
「そうなのですが。じゃあ、この子のネックレスもそのゴブリンが盗んでいったのですか?」
「はい、そうです」
先日、この村にゴブリンがやってきました。少年は逃げるときにネックレスを落としてしまい、それをゴブリンに取られたのだそうです。
「ゴブリンはどれくらい数がいましたか?」
「結構、数はいました‥‥正確な数はわかりませんが‥‥」
「では、冒険者に頼みましょう。彼らならすぐに倒してくれると思います」
受付のおねえさんはグッと拳を握り締め、力強く言いました。でも‥‥
「実は‥‥あまりお金がないんです」
「‥‥失礼な事お聞きしますが、いくら位なら大丈夫ですか?」
受付のおねえさんが尋ねると、保護者のおねえさんはお財布からお金を取り出しました。
「これが精一杯なんです‥‥これでゴブリンを退治していただけるのでしょうか‥‥もしかすると、村のほうから報酬が出るかもしれませんけど‥‥わたしからはこれだけしか出す事ができないのです‥‥」
「う〜ん。まぁ、なんとかしてみましょう」
どうやら冒険者の報酬として出せるのは1人あたり25Cほどになりそうです。
「ちなみに、食事とかはそちらでご負担できますか?」
「はい、それくらいならできるかと思います」
ゴブリンに襲われた村は片道2日ほど掛かるそうです。ゴブリン退治に1日と考えると、合計で5日ほど。その間のごはん代も報酬と考えると1日5Cで25C。合計50C分と考えることができます。依頼としては最低限の報酬は確保できそうです。
「本当にすみません。この子、幼い頃に両親と死別して、ネックレスだけが形見なんです。それすらもゴブリンに奪われてしまってはこの子が不憫で‥‥」
「そうですね‥‥うっ」
不覚にも受付のおねえさんはホロリとしてしまいました。
「それと‥‥村は大丈夫なんでしょうか?」
「はい。幾分かの食料は盗られてしまいましたが、怪我人も無くて無事です」
「それはよかったです。でも、早くゴブリンを倒してくれる冒険者が集まるといいのですが‥‥」
受付のおねえさんは村が無事と聞いてホッと胸を撫で下ろしました。でも、ちょっとお安めな報酬の依頼なので、冒険者のみんなが手伝ってくれるか少し心配です。
おねがい☆冒険者! ゴブリンを倒して、男の子の大事な形見のネックレスを取り返してっ!
●リプレイ本文
●助けて! 冒険者!
「わぁー! 騎士様が村を助けに来てくれたよー!」
「かっこいいー!」
冒険者が村に到着すると、村人は熱烈に歓迎してくれました。
8人の冒険者のうち、神聖騎士が4人とナイトが2人です。村人には冒険者達がまるで円卓の騎士のように見えたのでしょう。その勇ましい姿に、村人は期待を膨らませます。
「お兄ちゃん、がんばってね」
「キミの大事なネックレスは俺達が取り戻す。必ず、な。男の子なんだから、辛い時こそ笑顔を忘れてはいけない。母親を安心させる為にもな」
鳴滝静慈(ea2998)さんが男の子の頭を撫でると、さっきまで泣き顔だった男の子の顔に笑みが浮かびました。
「心配するな。必ずゴブリンをやっつけてやるからな‥‥」
「うん! お姉ちゃんみたいな立派な騎士様なら、ぜったいにごぶりんをやってけてくれるよね!」
カオル・ヴァールハイト(ea3548)さんも男の子にゴブリンを倒す事を誓います。
「みなさん。何も出来ないのに、ご協力下さいまして本当にありがとうございます」
「報酬が値するのではなく、自らの信念と依頼の内容がそれに値すると感じたから受けたのです。気に病む必要など、どこにもないのですよ」
「大事なお母さんの形見だから、取り返してあげれるように頑張ります。村もゴブリンに食料を奪われて大変みたいですしね」
男の子の保護者であるおねえさんが頭を下げると、ライカ・アルトリア(ea6015)さんが信念に満ちた言葉を返します。リース・マナトゥース(ea1390)さんは困っている人を放っておけない性格で、男の子の為に、村の為に力となろうとこの依頼に参加しました。
「形見‥‥とっても大事なものなんだよね‥‥だから、絶対に取り戻してあげないと‥‥」
ぐっと拳を握り締め、ミリート・アーティア(ea6226)さんが呟きます。誰にでも大切なものというのはあります。それが奪われたときの悲しみは大きなもの。ミリートさんは男の子の悲しみを感じているのでしょうか。
シーヴァス・ラーン(ea0453)さんは村長の家を訪ねていました。
作戦の準備と必要な物の用意、村人を避難させる事。誰にも被害を出したくない、その思いで村長に協力をお願いしました。
もちろん、村長は協力してくれました。怪我をした人はいないものの、ゴブリンによる被害は村にとって大きなものです。何とか村を助けて欲しいと村長は願います。
「例え小さな微かな願いでも、俺はその精一杯のばした手を掴むぜ」
シーヴァスさんは強い決意を胸に、ゴブリン討伐へと出陣しました。
●戦う為に準備をしよう!
作戦を話し合った結果、冒険者達は村の周囲にバリケードを築くことにしました。
「そういった細かい作業は苦手でな‥‥ここは任せる。俺は俺の仕事をしてくるとしよう」
静慈さんはこういった作業をするのが苦手みたいなので、村を見回って情報収集をすることにしました。リースさんとカオルさんもゴブリンがやってくる方向や、誘き寄せるのに都合がいい地形を確認しています。ライカさんは村の穀物を保存している倉庫を調べ、ゴブリンが帰っていった方向を探しています。
冒険者が調べた結果、穀物倉庫の裏に通路があって、そこからゴブリンが入ってきているようです。近くには民家も無いので、この入り口でゴブリンを迎撃し、他の入り口は全部バリケードで封鎖することにしました。
「何時ゴブリンがやってくるかわからないからな。早く作業をしよう」
「そうだな‥‥急ごう」
得られた情報を元に、ハインリヒ・ザクセン(ea7422)さんが材料となる木材を村からもらってきてバリケードを築き、ヒューベリオン・グリルパルツァー(ea8902)さんも作業を急ぎます。
こうして、村の入り口は1つだけとなり、ゴブリンを迎え撃つ準備が整いました。
●ゴブリンだ! やっつけろ!
最後の仕上げとして、冒険者達は荷車に大事な食料を乗せて、それをエサにゴブリンを誘き寄せるように仕掛けました。
「数は不明か。一匹見たら三十居ると思え、と聞くが‥‥いや、これはコックローチのことだったか‥‥?」
ゴブリンを誘き寄せる為に、匂いを出そうと食料を火で炙っている静慈さんが小声で言いました。その言葉に含まれるモノに女性陣はちょっとビックリ。コックローチは寒いのが苦手なので、この時期はほとんどいないのですが。
「私たちは追い討ち班ですね。倉庫の影に隠れて、後方から攻撃します」
「ネックレスは傷つけたくないからな。持っているゴブリンを見つけたら報告を頼む」
ライカさんとハインリヒさんは、ゴブリンの退路を絶つ為に後方から攻撃する予定です。その為に、見つからないように倉庫の影に隠れる事にしました。
「俺が首飾りを持つゴブを探すぜ。どうせ俺は目立つし、一人と思い奴等も油断してくるだろう」
「あぁ、頼んだぞ。俺は村に入り込まないように注意する」
シーヴァスさんが食料を乗せた荷車の上に立って、ゴブリンを見つける役を買って出ます。ヒューベリオンさんも待ち受けの為に待機することにしました。
「ふぅ、やはり武器は刀に限るな。パリで買っておいてよかった」
カオルさんはパリで買ってきた長巻を構え、準備万全です。
「もし、怪我をされたらすぐに治しますから」
リースさんは魔法でみんなを支援する事にしました。今回、冒険者達は戦闘が得意な人が多く、怪我を治してくれる人がいたら助かります。
「絶対に‥‥取り返してみせるんだから‥‥」
ミリートさんはショートボウを強く握り締めると、みんなと同じく見つからないように倉庫に隠れてゴブリンを迎え撃つ為に待機しました。
数時間後、食料の匂いを嗅ぎつけたのか、ゴブリンの集団が村に現れました。
「来たな‥‥」
シーヴァスさんは一目でネックレスを付けたゴブリンを見つけました。
そのゴブリンは、他のゴブリンよりも一回り体格が大きく、首にネックレスを付けています。おそらく、このゴブリンがリーダーなのでしょう。リーダー格のゴブリンは手下のゴブリンを15匹連れており、食料と獲物を見つけると、勢い良く入り口から雪崩れ込んできます。
しかし、一度に入ってくると、数の多いゴブリン達は密集して行動が取りにくくなります。冒険者達はそれを狙っていました。
「ふむ、あれか‥‥我が刀の錆にしてくれる‥‥」
カオルさんは固まっているゴブリンへ長巻で切り払います。
「参るぞ! テヤアァー!!」
カオルさんの攻撃は痛烈で、薙ぎ倒されたゴブリンは1撃で重傷を受けるほどでした。
「あのデカイやつが首飾りを持っているぞ!」
「よし。俺は他のゴブリンを相手するから頼んだぞ」
シーヴァスさんはヒューベリオンさんにオーラパワーを付与してもらうと、勢い良くリーダー格のゴブリンに突撃しました! でも、リーダーを守ろうと手下のゴブリンが立ち塞がります。
「邪魔だ! どけ!」
チャージングでゴブリンを跳ね飛ばしたシーヴァスさん。
「悪いけど、手加減しないんだから‥‥ッ!」
ミリートさんが狙いを定め、矢を放ちます。矢はミリートさんが狙った通り、ゴブリンの足に命中。痛がるゴブリンに、続けてヒューベリオンさんがロングソードを横薙に叩き付けました。
「‥‥ぐっ‥‥消えうせろ‥‥!!」
この時、ヒューベリオンさんに変化が現れました。
――戦いによる感情の高ぶり。
――飛び散る鮮血。
――ゴブリンに対する怒り。
これらが引き金となって、訪れる激憤。
ハーフエルフに見られる特徴。いわゆる「狂化」なのです。
「邪悪な者は、この世界に不必要!! 其れゆえに私が神の名の下に鉄槌を下す!!」
ハインリヒさんは後方からゴブリンに襲い掛かります。
「邪悪な者は、神に感謝し天に召されよ!!」
切り崩したゴブリンへ、とどめとばかりにクルスソードを突き刺しました。
「今の俺の気は荒んでいる。貴様等への怒りでな‥‥」
静慈さんも憤然としてゴブリンに殴りかかります。ナックルがゴブリンの顔に命中すると、顎が砕ける鈍い音がしました。ライカさんは傷ついたゴブリンを集中的に狙い、確実に倒していきます。
ゴブリンは数が多いけれど、冒険者達にかすり傷しか与えることが出来ませんでした。冒険者達は次々にゴブリンを倒し、数を減らしていきます。
「貴様には理解できまい。そのネックレスに詰まった思いを。思いを守る為、ネックレスは返して貰うぞ!!」
ハインリヒさんはペンダントを傷つけない為に、リーダーのゴブリンへ剣を捨ててなんと素手で攻撃を試みました! ディザームで斧を打ち落とし、おもいっきり顔を殴りつけます。そこへ、天罰とばかりにリースさんとライカさんのホーリーが決まり、ゴブリンは朽ち果てました。
●最高の報酬
見事、ゴブリンを退治して冒険者達は大事なネックレスを取り返すことができました。
「もう落したりするなよ? “母さん”をしっかり守ってやれ」
シーヴァスさんが男の子の頭をポンと叩いて励まします。
「少年よ、いつまでも泣いてばかりでは駄目だぞ‥‥強く生きるのだぞ」
「お母さんの為にも、強くなってください」
カオルさんとライカさんも男の子に微笑みました。
「肉親の大事な形見ですからね‥‥大事にしてくださいね」
男の子の首で輝くネックレスを見つめると、少し感情のこもった声で言うリースさん。
「うん! みんな、ありがとう!」
少年の喜びの笑顔。
冒険者達は、お金には変える事のできないすばらしい報酬を受け取ることができました。
そして、ゴブリンを全滅させた事で脅威も無くなり、村長からお礼として追加の報酬も貰う事ができました。
その中で、ミリートさんは報酬はいらないと申し出ました。
しかし、それではということで、使った矢を補充してくれることになりました。
「私はお金なんかのために冒険者なんてやってないからね♪ そんなことより、楽しく歌でも唄ってたいや♪」
ミリートさんの優しく、暖かい歌が村に流れます。
ゴブリンに襲われた村の傷を癒すかのように‥‥。