お祭騒ぎだ! 大暴走♪

■ショートシナリオ


担当:えりあす

対応レベル:1〜3lv

難易度:易しい

成功報酬:5

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月03日〜08月10日

リプレイ公開日:2004年08月10日

●オープニング

『お祭の護衛募集中。条件アリ』

 このような依頼が張り出されたのは数日前。
 数多くの冒険者が係員に問い合わせをしたが、内容を聞いてほとんどの冒険者がキャンセルしたという。

 近隣の村で珍しい祭りが開催される。
 地方や小さい村でひっそりと行われている、イギリスでは一般的ではない祭りのようだ。
 今回の依頼はそのような村からであった。

 この村の祭りは若い男女が共に踊り、伴侶を探す意味も含まれている夏の祭らしい。
 しかし、去年の祭りでコボルトが乱入してきて怪我人が出た為、それ以来護衛が義務付けられた。
 依頼書が撤去される期日の直前。物好きな冒険者が揃い、依頼は実行されることになった。

「おう! 集まったか荒くれ共が!」
 依頼主の元を訪れた冒険者達。何か腹が立つが、依頼の内容を聞いてみる。
「わははは! オレの名はセリウス・テイトだ。村では傭兵隊長として名を馳せているんだぞ!」
 いや、アンタのことはどうでもいいんですが。依頼の事を喋ってください。
「よく聞いてくれた! てめぇらの仕事は祭の護衛だ!」
 知ってますよ。だから、怪しい条件とかそこの辺りを聞きたいの。
「まぁ、ゴブやコボなんか出てもたいした事はねぇからな」
 いや、一般人だと大変なことですが。
「で、問題はピーチフルだ!」
  な、何ですか! ピーチフルって!
「オレが仕事をしている間にぴちぴちいちゃつきやがって! 真の敵はピーチフルなんだよ!」
 どうやらピーチフルとはラブラブカップルのことらしい。
「ということで、ピーチフルを撲滅! 護衛はついでだ!」
 マテ。護衛がついでなのか!
「いい働きをしたヤツには最高1Gの報酬をくれてやる! まさか、この中にピーチフルがいるなんて事はないな?」
 どうやら、依頼の条件はさびすぃ人(チェリー含む)限定ということらしい。いい働きとは‥‥カップルの妨害ということか?
 訳の解らない依頼に頭を抑える冒険者達。でも、きっと希望の星は輝いているさ! ‥‥えーっと、どこかな?(視線をあっちに逸らしながら)

●今回の参加者

 ea0448 レイジュ・カザミ(29歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea0644 軒猿 みき(22歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea0717 オーガ・シン(60歳・♂・レンジャー・ドワーフ・ノルマン王国)
 ea0729 オルテンシア・ロペス(35歳・♀・ジプシー・人間・イスパニア王国)
 ea1355 シスカ・リチェル(21歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea3991 閃我 絶狼(33歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea5153 ネイラ・ドルゴース(34歳・♀・ファイター・ジャイアント・モンゴル王国)
 ea5278 セドリック・ナルセス(42歳・♂・ウィザード・パラ・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

「珍しい祭の警護だと聞いたから、条件をろくすっぽ聞かずに受けたのはまずかったな‥‥」
 お祭りの準備が進む中、木箱の中で呟いているのがセドリック・ナルセス(ea5278)。皆には内緒にしているが、実は既婚者だったりする。
「はぁ‥‥。奥さん元気かな」
 溜息をつきながら故郷にいる奥さんに思いを馳せるセドリック。
「世の中皆ピーチフォ〜、レイジュ・カザミはシングルアローン〜♪ だけど寂しくないの、なぜなら葉っぱがあるから〜、僕の葉っぱは友達&恋人♪」
 さびすぃ気持ちを歌で紛らわせながらお祭り会場に向かうのはレイジュ・カザミ(ea0448)。そんなレイジュをセリウスが呼び止める。
「おい! お前、もしかしたら噂の‥‥」
「そうさ。僕は葉っぱを伝承する為に来たのさ♪」
 そう、彼こそキャメロットの怪異“葉っぱ男”。風の噂ではキャメロットの「あっち」の業界では有名らしい。
「ねぇ! 撲滅倶楽部会長のセリウスさん。シスカ、占いでピーチフル騙すから手伝ってよ。恋する乙女は占いに敏感なのよ♪」
 占い道具を手に、無邪気な笑顔で声をかけてきたのはシスカ・リチェル(ea1355)。
「それなら、まかせとけ! いっぱい呼んで来るからしっかり別れさせろよ!」
「ついでに、セリウスさんも占ってあげるね♪ うーんと、『人生最大のラヴチャンス接近』だって☆ 心を改めればの話だけどね」
「え!」
 セリウスは意外な結果にちょっと驚いたようだ。その時、首筋に冷たい感触が走るのを感じる。
「ほう‥‥。依頼主がそんなことでよいのかな‥‥」
 セリウスの首にショートソードを突きつけたのは閃我絶狼(ea3991)。絶狼は記憶喪失らしく、彼女どころか自分の君主さえも覚えていないという。
「何言ってんだ! たかが占いじゃないか! それより敵を倒しにいくぞ!」
「全員注目ゥ! 今回の真の敵はにっくきハートフルだ! やつらはあたし達が戦場で戦っている時、二人で何とかクンなんていいながらラブラブしているんだぞ! なんとかクンだぞ! 皆そんな経験があるか!」
 セリウスを差し置いて、激しい演説を始めたのはネイラ・ドルゴース(ea5153)。ネイラ姉さん、過去に何があったのですか?
 それぞれの思惑を胸に秘め、順調に(?)お祭りの準備が進む中、村の外で黙々と準備をしている人影があった。
「ほっほっほ。モンスターがやってくるかもしれんからのぅ」
 見晴らしのいい空き地や星空を見上げるのに良さそうな草原の周りに鳴子を設置し、周りに堆肥を撒いているのはオーガ・シン(ea0717)。さすが表向きは好々爺と言われるオーガ爺さん。しっかり準備しています。隣では一緒に軒猿みき(ea0644)も一緒に準備を手伝っている。
「嬢ちゃんも冒険者じゃの。共に頑張ろうぞ? そうじゃ、乾燥果物は要るかの?」
 準備が終わった2人は切り株に腰掛けて休憩。
「さて、まだやることがあるのでお祭りの会場にいってきます」
 みきはそう言って立ち上がると、賑やかなお祭り会場へと消えていく。
「おい! サボってないで働けよ!」
 丁度その時、セリウスが文句を言っているのは木の上に仕掛けられたみきの衣服であった。

 *

 準備も終わり、お祭り開始。「待ってました!」と言わんばかりに若い男女が会場に雪崩れ込んでくる。
 軽い食事をしながら、歌い踊り、気の合う相手を探す。
 そんな中で、注目を浴びる一人の女性がいた。オルテンシア・ロペス(ea0729)である。
 独特な踊りを舞い、若い村男の目を釘付けにしている彼女は、差し出される手を振り払いながらカップルとなった若者へ近づいていく。
「あ〜ら、お久しぶりじゃない。最近来てくれないから淋しいわ。今度はもっとサービスするから、また店に来てね☆」
 そう色っぽく言うと、カップルの男に擦り寄って手を握る。
「キャー! アンタそんな如何わしい所に行ってるの!」
 ――バッシ〜ン☆
 男に女の平手打ちが炸裂☆ 見事、ピーチフル玉砕であった。
「飲み物でもいかがですか?」
 給仕の素振りをしながらカップルに近づくのはネイラ。
「この飲み物をお二人で回し飲みをすると、いっそう仲が良くなるそうですよ」
 まず、女に飲み物を勧めて半分ほど飲ませた後、男に渡す。
「では、ここらへんに口を付けて飲んでください」
 言われるまま飲み物に口を付けた男。その瞬間‥‥
 ――ブッ!
 何があったのか? 男は突然飲み物を噴出した。噴出した飲み物は女の顔に直撃! さらに、インビジブルで透明化したオルテンシアが男が持っている飲み物を掴み、女の顔目掛けてブチまける!
「いやぁ!」
 ――バッシ〜ン☆
 コンビネーションによる攻撃で見事にピーチフル玉砕♪
「くっくっく‥‥思い知るが良い、ピーチフルども!」
 一方、絶狼はこっそりカップルの男の背後に近づき、背中に紙を張っている。紙に書かれている内容は‥‥
『僕は●●●で▲▲▲な■■なんです! ◆◆◆してください!』
 と、記録係が隠すのに必死な内容。当然、それを見た彼女は大騒ぎになるわけで。さらに、釣竿を取り出して女のスカートめくりを開始。女は相方がめくったと勘違いし平手打ち。一見、ただの悪戯にも思えるが、効果はあったようだ。
「かわいい女の子を男に盗られるのは許せません!」
 村の少年に成りすまして行動しているみきは、プレゼントを蛙にすり替えたりと黙々と活動中。男装してるので「女の子に声をかけられたら」と甘い考えもあったが、年齢層が若干高めなので声をかけられることはなかったようだ。残念!
「二人の運勢は、超特大ウルトラアンラッキーデー。破局の予感。人込みに近付くとロクな事が起こりません。ですが、部屋で恋人と静かに過ごすと、より愛情を深め合えるスペシャルラヴチャンスデー。記念日の予感と出ています」
 会場の隅で占いをしているのはシスカ。宣伝の効果もあり、結構な数のカップルが訪れている。
「え〜、そうなんだ。じゃあ、帰ろうか?」
 占いの結果を聞いて、帰っていったカップルも多かったようだ。当然、会場にいればターゲットになるのは間違いない。そう、占いは完全に的中しているのだ。
「この葉っぱは幸せの葉。持っていれば永遠に幸せになれるお守りだよv」
 マントを羽織った怪しい商人風の格好でカップルに葉っぱを売りつけているのはレイジュ。
「キャメロットにある男がいました。その男は一枚の葉をお守りにし、一生幸せに暮らしました。その葉はその時の葉なのです。そう男は然るべき場所に葉っぱをつけていたのです」
 そう言うと、レイジュはマントを脱ぎ捨てる。
「本当に幸せになれるんだよv」
 マントを脱いだレイジュは、大事な場所を葉っぱで隠しただけという格好であった。
「いやぁー! 変態ー!」
 女は悲鳴をあげて失神。そこに騒ぎを聞きつけた警備員とセリウスがやって来た。レイジュはそそくさと逃げようとしたが、取り押さえられて連行されていった。一応、会場警備の仕事もしていたので釈放されたが、罰金を払う羽目になったそうだ。
「若いの。頑張るんじゃぞ?」
 出口付近でオーガがカップルの男に声をかけ、何やら紙を渡している。一部「おう! がんばるぜ!」と言って外に出て行った強者の向かった方向を覚え、後について行く。盛り上がろうとするカップルに近づき‥‥
「ゴブリン出るから危ないぞい」
 と、忠告。なんて親切なオーガ爺さん♪ 慌てて逃げ帰ろうとしたカップルは鳴子に引っかかり、堆肥を踏んだりしてもう大変。みきも大ガマを呼び出してカップルの顔をペロリと舐めさせたりしている。
「ゴブリンが来たぞー!」
 突然、ゴブリンが来襲! すぐに冒険者達が防衛に回った。
「これくらいしかできないですけど」
 セドリックはバーニングソードを絶狼にかける。
「おどりゃあ! てめえらが去年暴れたからこんなしょっぱい依頼受けることになったんだぞ!」
 ほとんど八つ当たりといった感じで突撃する絶狼は、勢いだけで次々とゴブリンをなぎ倒していく。シスカはファイヤーボムで周りのゴブリンを吹き飛ばし、オルテンシアは鞭を振るってしばき倒す。冒険者達の圧勝であった。
 ゴブリンの襲撃を退け、お祭りも終焉となった。

 *

 お祭りが終わり、任務も終了。村の酒場で簡単な打ち上げが行われることになった。
「じゃあ、お疲れ! 乾杯〜!」
 各々、今回の働きに応じて報酬が渡された。なお、捕まったレイジュの報酬は罰金の支払いに消えたという。
「あ〜、何かいい気分です〜♪」
 みきちゃん、お酒飲んじゃった? 未成年ですよ? さらに酔った勢いで浪花節を披露。ジャパン語で内容は不明だったが、絶狼によると姫を娶った英雄の昔話だったとか。
 飲めや歌えや大騒ぎとなっている中、シスカが満面の笑顔でセリウスに近づく。
「お疲れ様♪ 最初に話した占いのこと覚えてる? 実はシスカ、会長とピーチフルなの♪」
 何とセリウスとピーチフル宣言!
「「「なにぃ〜!!!」」」
 これには、一同騒然。最後の最後で裏切り発生! もちろん、これは撲滅倶楽部解散を狙うシスカの作戦である。
「貴様! 依頼主の分際でピーチフルとは言語道断! 成敗してくれる!」
 ブチ切れた絶狼がセリウスにブレイクアウト→バーストアタック+スマッシュを直撃させる! さらに、鮮やかな剣捌きで衣服を切り落とし、ロープで縛り付ける。そのまま外に連れ出して木に吊るし、ローリンググラビティーで逆重力の洗礼♪ 何度も上下に体を揺らされたセリウスはもう大変なことに(記録係の判断により省略)。翌日、発見された時は大事な所に葉っぱを付けられ、「僕は葉っぱ男に目覚めましたv」と書かれた紙が貼り付けられていたそうだ。
「来年はみんなでピーチフルしよう♪」
 推進倶楽部の刺客であるシスカは、そう言い残して村を後にした。