にゃんこ暴走中!?

■ショートシナリオ


担当:えりあす

対応レベル:4〜8lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 40 C

参加人数:10人

サポート参加人数:2人

冒険期間:05月03日〜05月08日

リプレイ公開日:2005年05月20日

●オープニング

 慌てて冒険者ギルドへ飛び込んできた青年は開口一番、こう言った。
「む、村が猫に襲われているんだ! 助けてくれ!」
 青年の言葉に係員、ギルドにいた冒険者達が疑問を浮かべたのは言うまでも無い。

「まぁ、落ち着いてください」
 余程急いで来たのか、青年は息を切らしていた。
 係員は水を差し出すと、青年は一気に飲み干し、事情を説明し始める。
「ね、猫が村で暴れているんだ!」
「猫の‥‥大量発生ですかね?」
「いや! 猫は1匹だ! でも‥‥」
 青年は口篭った。
 その顔は‥‥何か、怯えたような表情であった。
「猫の‥‥モンスターとかでしょうか?」
 沈黙を打ち破るかのように、係員が青年に尋ねる。
「モンスター‥‥だろう。あんなに大きな猫なんか見たことねぇ!」
 ‥‥大きな?
 係員は不思議に思った。
 猫のモンスターというのは報告例は少ないが、存在しない訳ではない。
 しかし、その殆どは普通の猫の大きさである。
「大きな猫とは‥‥どれくらいの大きさでしょうか?」
「とにかくデガイ! 3メートルはあるんじゃねぇか!」
「3メートル!?」
 係員は絶句した。
 そんなに巨大な猫が存在するなんて‥‥。
「あんなデカイ猫が村で暴れられたら、俺達ではどうしようも出来ない! 既に、大きなネズミを追い掛け回して家を1軒破壊している! 頼む! すぐにでもあの猫を村から追い出してくれ!」

●今回の参加者

 ea1249 ユリアル・カートライト(25歳・♂・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ea2843 ルフィスリーザ・カティア(20歳・♀・バード・エルフ・フランク王国)
 ea3075 クリムゾン・コスタクルス(27歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea3542 サリュ・エーシア(23歳・♀・クレリック・人間・神聖ローマ帝国)
 ea4756 朱 華玉(28歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea6284 カノン・レイウイング(33歳・♀・バード・人間・イギリス王国)
 ea6914 カノ・ジヨ(27歳・♀・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea7804 ヴァイン・ケイオード(34歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 eb0711 長寿院 文淳(32歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb0835 ロゼッタ・メイリー(23歳・♀・クレリック・人間・イギリス王国)

●サポート参加者

クラム・イルト(ea5147)/ ルイーゼ・ハイデヴァルト(ea7235

●リプレイ本文

●にゃんこ暴走中!?

「こんなにでかい猫がいるとはねぇ‥‥」
 村に到着した冒険者達が最初に目にしたのは、ジャイアントラットを追い回して、村中を暴れまわっている巨大な猫の姿であった。
 そんな光景を見てヴァイン・ケイオード(ea7804)は首を傾げる。
 ジャイアントラット退治の依頼は数あれど、ジャイアントキャットについての報告は殆ど無い。
「ジャイアントキャットなんて珍しいな。魚もでっけぇもん食うんだろうなぁ」
「そんな餌ばっかり食べているから、これだけ大きくなったのでしょうか」
 クリムゾン・コスタクルス(ea3075)とルフィスリーザ・カティア(ea2843)も、初めて目にするその大きな猫に興味を示す。
「本当に大きな猫さんですね〜♪ これは、いい歌の題材になりそうです」
「あのふわふわな毛並みを撫で撫でしてみたいわね」
 カノン・レイウイング(ea6284)とサリュ・エーシア(ea3542)も興味津々の眼差しで、走り回っている巨大猫を眺めていた。
「‥‥やっぱり愛せない。畜生がこちらのサイズを越えると」
 一方、朱華玉(ea4756)は冷めた表情で巨大猫を見ている。
「なるほど‥‥確かにこれは村にとって迷惑でしょうね。何とか、追い払えるようにがんばってみましょう」
 今一、状況が飲み込めていなかったユリアル・カートライト(ea1249)は、目の前の様子を見て納得した。
「‥‥猫には村からお引取り願いたいと思います‥‥その為にもまずは‥‥」
 長寿院文淳(eb0711)の視線の先には、巨大猫が追いかけているジャイアントラットがいた。
「ぇぇと‥‥猫さんの餌となるジャイアントラットが村からいなくなれば、目的を無くして村から出て行ってくれると思います〜」
 カノ・ジヨ(ea6914)が説明する。
 冒険者達は巨大猫が現れた原因が、村にいると思われるジャイアントラットではないかと考えていた。
 その為、冒険者達は巨大猫対策とジャイアントラット駆除の2班に分かれて行動することにした。
「それにしても、猫さんはフツウの大きさでも脅威なのに、これだけ大きかったら怖いですー」
 ジャイアントキャットをを見て震えるカノであった。
「危ないですから、村人には避難していただきましょう。これだけ大きければ、普通の人だとすぐに怪我してしまいます」
 作戦に合わせて、ロゼッタ・メイリー(eb0835)は村人達を安全な場所に避難させた。

 *

 ユリアルとルフィスリーザはバレリアンを調達していた。
 バレリアンはイギリスでは一般的な植物で入手も困難ではない。
 このハーブは古くから睡眠薬等に使われているが、猫がこの匂いを嗅ぐと陶酔状態になるのだ。
 これで酔わせて、大人しくさせようという作戦である。
「猫さん、来てくれるでしょうか」
 ルフィスリーザが村の広場にバレリアンを仕掛けた。
「あ、猫がこっちに来ました。匂いに気づいたみたいですね」
 ユリアルとルフィスリーザは小屋に隠れ、その様子を伺った。
 どうやら、ジャイアントキャットがバレリアン独特の匂いに引き寄せられたようだ。

 ――にゃーん♪

「か、かわいいです♪」
 大きくなっても、猫は猫。
 ルフィスリーザはバレリアンの匂いを嗅ぐジャイアントキャットの仕草に見とれていた。
「大人しくなっている間にジャイアントラットを探し出しましょう」
「もう少し猫さんを見ていたかったです‥‥」
 ユリアルがジャイアントラットを探索しに行こうとすると、愛らしい姿のジャイアントキャットに夢中だったルフィスリーザは少し残念そうな顔をした。

 その頃、ヴァインは村人にジャイアントキャットについて聞き込みをしていた。
 しかし、どこからやって来たのか。
 あるいは、どうしてこのように大きくなったのかは誰もわからなかった。
「生態とか、実に興味があるのだが‥‥」
「何かの実験とかでこんなに大きくなったのかもね。でも、見る限りではただ大きくなっただけのにゃんこさんだから、わからないわ」
「まぁ、しっかし、ジャイアントラットが村に現れ始めてから、ジャイアントキャットも村にやって来たそうだ。あれだけ大きな体だから、それに見合う餌を求めて村に流れて来たと考えていいだろう。つまり、ジャイアントラットを駆除すりゃ、ジャイアントキャットのほうも勝手に出ていくだろうな」
「そうね。小さくする方法が無いみたいだから、餌となる鼠がいなくなれば出て行ってくれそうね」
 ヴァインとサリュは情報を元に、ジャイアントラットを駆除してジャイアントキャットを村から追い出す作戦が間違い無い事を確信する。
「どうやら、農作物とかがジャイアントラットに食い荒らされているみたいだぜ。この辺りに住み着いているんじゃないかな」
「餌になるものがあれば、その辺りに住み着く事が多いと思います〜。集団で人にも襲い掛かる事があるので、早く退治しなくてはです〜」
 クリムゾンとカノはジャイアントラットの被害が出ている場所を中心に調査していた。
 その結果、村の作物の貯蔵庫周辺にジャイアントラットの被害や目撃情報が多数あった。
「それでは、魔法で探索しましょう」
「頼んだぜ」
 ユリアルはクリムゾンが調査した場所でバイブレーションセンサーを試みた。
 振動を感知し‥‥1匹、2匹‥‥この周辺に6匹は存在している。
「ネズミさんの住んでいる場所もわかりましたし、早速誘き出すことにしましょう」
 カノンは竪琴を取り出すと歌に合わせてメロディーを唱える。

♪大きなネズミさん
 小さなネズミさん
 とても美味しい食べ物がこの村の外にありますよ〜
 急いで行かないと他のお友達が全部食べちゃいますよ〜♪

 ルフィスリーザもカノンの歌詞に合わせて合唱した。

♪くいしんぼねずみさん どちらにいくの?
 おいしいごはんが たくさんあるよ
 かくれんぼねずみさん どちらにいるの?
 かくれてないで さあ、でておいで♪

 メロディーに誘き寄せられ、ジャイアントラットが姿を現した。
 数は6匹。
「‥‥ぞろぞろと出てきたねぇ」
 華玉はオーラエリベイションとオーラボディを使用し、呪歌を唱えるカノンとルフィスリーザを護衛している。
 そして、出てきたジャイアントラットへダーツを投げつけた。
 ダーツは命中し、それと同時にジャアントラットの集団は冒険者達へと突進してくる。
「‥‥来ましたね‥‥こちらも正面から挑んでいくだけです‥‥」
「無理はしないでください‥‥『グットラック』」
 ロゼッタの支援を受け、ロングロッドを手に突進してくるジャイアントラットに立ち向かう文淳。
 ヴァインはスリングで援護し、ユリアルはグラビティーキャノンで攻撃。
 カノとサリュもホーリーを放つ。
「大きくなっても、ただのネズミじゃん!」
 グラビティーキャノンで転倒したジャイアントラットを使い慣れたダガーで切り裂いていくクリムゾン。
 華玉はストライクでジャイアントラットを殴り倒し、文淳もロングロッドを叩きつける。

 経験を積んだ冒険者達にとって、ジャイアントラットは敵ではなかった。
 出現したジャイアントラットは全て駆除された。
「怪我をした人はいませんか〜」
「大きな怪我をされた方はいないようですね。よかったです」
 カノとロゼッタは怪我をした者をリカバーで癒す。
「さて、猫の方が心配ですね」
「にゃんこさん、大人しくしてくれているかしら」
 ユリアルとサリュはジャイアントキャットが気懸かりだった。
「‥‥鼠も退治した事ですし、猫の方の様子を見に行きましょう」
「そうね。でも、穏便に追い出せなかったら、戦いも已む無しね。気をつけて」
 文淳と華玉もすぐにジャイアントキャットがいる場所へ向かった。

 *

 ジャイアントキャットはまだ仕掛けられたバレリアンに夢中だった。
「それじゃあ、頼んだぞ」
 ヴァインが言うと、ルフィスリーザはジャイアントキャットにテレパシーで会話を試みる。
『猫さん、猫さん? お家が壊されて村の人達が困っています‥‥猫さんも寝床を荒らされるのは嫌でしょう?』
『嫌にゃ』
『それに、この村にはもう鼠さんはいません』
『美味しいご飯がいないのかにゃ!』
『近くに大きな鼠さんが沢山いる森があります。宜しければご案内しますよ』
『本当かにゃ!?』
 ルフィスリーザの説得にジャイアントキャットは動いた。
 村の近くの森を紹介すると、ジャイアントキャットはその大きな巨体を揺らしながらゆっくりと歩いて村を出ていった。
「何とかうまくいったようですね」
 ユリアルがホッと安堵の息を吐く。
「もう少し、あの巨大猫を調べたかったな‥‥」
 ヴァインはジャイアントキャットの後姿を眺めつつ、少し残念な表情をした。
「もう、村でジャイアントキャットが暴れることはないです〜」
 カノは最後にヴァインと共に、ジャイアントラットが沸かないように出来る限りの事を教えた。
 依頼の後、ジャイアントキャットが村に現れる事は無くなったようである。