【原点回帰】盗賊団をやっつけろ!
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■ショートシナリオ
担当:えりあす
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月28日〜09月02日
リプレイ公開日:2004年09月01日
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●オープニング
『盗賊退治志願者求む!』
「何某を退治してくれ!」という依頼はモンスターだけではない。
世の中には悪いヤツらも大勢いるわけで、そんな悪党を懲らしめる為に冒険者が担ぎ出されることもある。
だが、悪党と言えど、強さはピンからキリまで。退治に行って返り討ちにあったということも少なくないので、事前に情報を集めることはとても重要だ。
今回の依頼は、馬に乗って民家から盗んだ鍋を叩きながら暴走しているという盗賊団を退治していただく。
なぜ、鍋を叩きながらなのかは不明だが、かなりうるさくて迷惑な連中だ。
夜遅くに村に出没しては爆音を響かせ、広場に集まって集会をしたり、馬に乗って村中を走り回ったりと手が付けられない状態だという。
さらに村の若者の中には、こんな連中に憧れているのもいるらしく、族の仲間に入る若者も出てきている。
これ以上、放って置くと深刻な問題となるので、早急に盗賊団を退治して欲しい。
なお、この盗賊団は「稲妻族」と呼ばれ、中心メンバーは6人。リーダーは「ライトニング」と言われる武道家ということが確認されている。
「稲妻族」は10人以上いるが、中心メンバー以外は村の若者である。なるべく、手を出さないようにお願いしたい。中心メンバーの6人については生死不問である。
盗賊団が出没する村はキャメロットから片道2日かかる。直ちに村へと向かい、依頼を遂行されたし。
●リプレイ本文
出発前、キャメロットにて。
「もう! 何で自分のご飯も用意できないのですか!」
と、怒っているのはユージ・シギスマンド(ea0765)。普段はおだやかな性格だが、珍しくご機嫌斜めの様子だ。
「わりぃ‥‥。てっきり、ユージが用意してるのかと思ってさ‥‥」
怒られているのはユージの双子の弟で、シスコン気味のスタール・シギスマンド(ea0778)。
ユージが荷物のチェックをしていたところ、スタールが5日分の保存食を忘れていたことが判明した。姉に怒られたスタールは、猛ダッシュでエチゴヤに走っていったらしい。
*
「稲妻族」と呼ばれる盗賊団が暴れているという村に到着した冒険者一行。
「のどかだなぁ。でも、盗賊団が悪いことしてるんだよね。迷惑かけるのはダメだよね」
愛馬に跨ったキリク・アキリ(ea1519)が村を見渡した。ざっと見る限り、村は思ったほど荒れてはいない。男は畑を耕し、女は水汲みや洗濯をしており、村人は普段通りの生活をしている。
「村で暴れてはいけません! 人の迷惑にならない所でやらないと駄目なんですよ!」
微妙にズレたことを言っているのはユージ。確かに大平原のド真ん中でやっていれば迷惑ではないが、それに憧れて族に入る若者がいるというのも問題なのですが。
「鍋フェチな盗賊か。ふふ、家庭的だねぇ。まぁ、この間の取り残しみたいだから、きっちりカタを付けようじゃないか」
普段は傍観していることが多いアルヴィス・スヴィバル(ea2804)であるが、今日はヤル気十分といった感じだ。アルヴィスは以前にライトニングと戦ったことがあるが、その時は取り逃がしてしまった。今回はその『アフターケア』である。
「退治するだけではな‥‥ついでに更生させてみるか」
セシリア・カーライル(ea5648)は族に入った若者のことを考えていた。さすがセシリア先生、若者の将来のこともしっかりと考えています。
「うに‥‥絶対零度のオシオキで‥‥っは! 何でもない」
その隣では、ユキネ・アムスティル(ea0119)が何やらキケンなことを呟いていたりする。
一行は最初に稲妻族が集会を開いている場所を調査した。聞き込みによると、よく村の中央広場に集まるらしい。集まってくる時は鍋を叩きながら来るので「音がすればヤツらが来る」ということだ。
「ダリィ‥‥。馬鹿は放っておけばいいのによ‥‥」
「まぁ、若いモンの情熱というか‥‥そういうのもわからんでもないがな」
気だるそうに奇襲の準備をしているスタール。その横では同じく奇襲班の時雨桜華(ea2366)が愛馬「嗚呼無常」に騎乗して待機している。今回の作戦は、族の集会を奇襲して主要メンバーを誘き寄せるというもの。さすがに村の中で戦っては本末転倒、「族は倒しましたけど村はメチャクチャです」では済まされない。そこで、村から離れた場所に待ち伏せ班が待機し、奇襲班がそこまで誘導してくることになった。
「今度は逃がしはしない」
その頃、朴培音(ea5304)は一行から離れて単独行動をしていた。彼女の目的はただ一つ「ライトニングを討つこと」。
*
──ガンガンガン‥‥
鍋を叩く音が聞こえてきた。この音を聞いた村人達は慌てて家に戻り、扉を硬く閉ざした。
稲妻族が広場に集まってきたのである。
作戦決行の時。
しかし、ここでトラブルが発生した。
奇襲班は2人乗りで集会場に向かうはずであったが、馬が走ろうとしないのである。それぞれの組の2人の体重と装備品が馬の限界重量を超えていた。これでは族を誘き寄せるのは無理であろう。仕方なく、スタール、キリク、桜華の3人で向かうことになった。
「仕方が無いなぁ。天気がいいからお昼寝でもしようか‥‥『寝てんなよ、なんてね』」
アルヴィスが意味深なことを言っているが、これから戦いが始まるのに暢気に寝ている場合ではない。
「‥‥集まっているな」
村の中央広場に到着した3人。
そこには、稲妻族が集結していた。族は全員で13人いる。
桜華しか理解出来なかったが『稲妻族参上! 夜露死苦!』とジャパン語で書かれた旗を掲げ、全員用を足しているような格好でしゃがんでいる。3人が広場に入ってくると、目を細めて睨みつけてきた。
「なんじゃ、キサマら!?」
「オレ達のテリトリーに土足で入ってくるとはいい度胸だ!」
広場に足を踏み入れた瞬間、次々と3人に汚い言葉が飛んでくる。
「うわっ、ちょっと怖いかも」
稲妻族の気迫にキリクが少し驚いた。今までに感じたことの無い独特の空気がそこにある。
「フン‥‥雑魚どもが調子に乗りやがって‥‥」
一見クールな顔をしているが、実はブチ切れ状態のスタールがいきなり騎乗チャージを敢行。近くにいた族を吹き飛ばす。まともにチャージを食らった族は白目を向いて気絶した。
「あぁ!? 文句あるヤツはかかって来やがれ! 腕や脚の二本や三本切り落とされても文句はねぇんだなぁ!?」
桜華も日本刀を鞘から引き抜いて族を威嚇する。
「ひ、ひぇえ!」
さっきまで罵声を浴びせていたくせに、3人が強そうだと解ると半分の族が情けない声を上げて逃げ出した。
「な、何しやがるんだ、テメェ!」
冒険者の威嚇にも動じずに残った6人が近寄ってきた。この6人が族の中心メンバーである。
「キサマら、この村に雇われた冒険者だな? フン、ボコボコにしてやるぜ!」
その中でも一際体格が良く、筋肉質な男が指を鳴らしながら出てきた。雷神こと、ライトニングだ。
「こんな所で戦っても面白くなかろう? 決戦に相応しい場所を用意している! 着いて来い!」
「この野郎! 逃げる気か!」
桜華の誘導作戦にまんまと引っかかった主要メンバー6人が3人を追いかける。
そして、到着したのは決戦の舞台となる村の離れ。
「お久しぶりだね雷神くん。君の兄貴分の風神くん、彼を屠ったのは僕なんだよ。その後、首を落として賞金と引き換えさ」
誘き寄せられたライトニングに待ち伏せていたアルヴィスが挑発。実際、倒したのはアルヴィスではないのだが。
「キサマ‥‥どこかで見たことあると思ったら、あの時のか! キサマの魔法、少し痛かったぞ。今回は倍返しにしてやるから覚悟しろ!」
ライトニングもアルヴィスの事を覚えていたようだ。
その時、ライトニングの前に1人の武道家が立ちふさがる。
「キ、キサマは毒手の‥‥」
一瞬、その武道家の見たライトニングが戦慄いた。武道家の名は培音。この蛇毒手の使い手は、右手に巻かれた包帯を外しながらライトニングに近づく。
「ライトニング、お前の相手はこの私だ」
「フン、いいぜ。相手になってやらぁ!」
ライトニングと培音は完全決着を付ける為、直接対決となった。まず、イニシアティヴを取った培音が中段から上段へ連続突き、さらに回し蹴りを側頭部に叩き込む。なんとか上段回し蹴りを捌いたライトニングは、背刀打ちから裏拳、回し蹴りと体の回転を使った素早い攻撃を繰り出す。格闘攻撃の技術なら今では培音が上回っていた。しかし、受け・捌きと回避ではライトニングが一枚上手である。戦いは膠着状態となった。
「他の連中はまかせてください!」
培音とライトニングが戦っている間、他のメンバーと冒険者がぶつかっていた。
キリクが先制して族に切りかかる。なお、素手戦闘でない場合、ディザームは打撃武器でなければ効果が無いことに注意しよう。
「あんたらぁ嫌いじゃねぇけどな‥‥仕事だ、許せ」
桜華は日本刀とナイフの二刀流で華麗に族を切りつけていく。
「かったりぃなぁ‥‥」
スタールもダルそうな素振りを見せつつも、チャージングで族を薙ぎ倒していく。
「これが私からの愛の鞭だ」
セシリアは躊躇無くファイヤーボムを打ち込んでいく。爆風で3人の族が吹っ飛ばされる。
「僕は早口言葉が得意だからね」
アルヴィスは高速詠唱でウォーターボム2連発という離れ業をやってのける。2発同時に食らった族は一溜りも無く倒れた。セシリアとアルヴィスの魔法攻撃に恐怖を感じた族は逃亡を試みる。
「うに‥‥オ・シ・オ・キ」
ユキネは少し嬉しそうな表情でアイスブリザードを唱えた。背を向けた族に猛吹雪が襲い掛かる。
「観念してくださいね」
魔法で吹き飛ばされた族の首にクルスソードを突きつけるキリク。族は両手を挙げて降伏した。桜華も逃げようとした族を峰打ちで気絶させていく。残りはライトニングのみ。
「少し‥‥不利か」
ほぼ互角と思われた培音とライトニングの戦いだが、戦いが長引くにつれて回避が劣る培音が追い詰められていった。
「ヘヘヘ、これで最後だ!」
ライトニングがスープレックスを敢行する為、培音を掴んだ。
「くそっ! ここで負ける訳には!」
培音は必死に耐える。そして、ライトニングを振りほどき、右手刀をライトニングの胸に突き刺した。
「し、しまった!」
蛇毒手の毒がライトニングの体を麻痺させた。ガクッと両膝をついて倒れたところに、さらに踵落としを頭部に直撃させる。こうして、培音はライトニングを討ち取ったのだ。
これで、稲妻族と呼ばれる盗賊団は冒険者達の手によって倒されたのである。
*
「あんまり危ない事したら駄目ですよ? あと、迷惑かけた分はちゃんと村の為に働いてくださいね」
族に荷担していた村の若者はユージ先生の下、村の美化運動に参加させられていた。
「村の為に汗を掻くこと‥‥それが青春だから」
ユキネ先生もスタッフでビシビシ若者を叩きながら指導している。その隣では、
「そんなことで村の将来を背負えるのか!」
ファイヤーボムをぶっこみながら、熱血教師セシリア先生のスパルタ教育が行われていた。少々やりすぎのような気もしないではないが、ユージ先生との飴と鞭の教育でしっかり更生させたようだ。
村長は若者の更生もしてくれた冒険者達に感謝し、追加の報酬を手渡した。