飛んでいった手紙
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:刃葉破
対応レベル:1〜5lv
難易度:やや難
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月17日〜09月22日
リプレイ公開日:2006年09月19日
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●オープニング
「おばあちゃんからのお手紙まだかなー」
「きっともうすぐ来るわよ。さ、今日は寝なさい」
今日も今日とていいお天気。風がちょっと強いけれども。
そんな中、1人のシフールが空を行く。
「ふんふふ〜ん。今日のお仕事はーこれを届けてお〜わり〜」
そのシフールは手紙を届ける仕事‥‥いわゆる飛脚をしているシフール。
もうすぐで今日の仕事が終わるからか、浮かれたような調子で羽を羽ばたかせていた。
くるりくるりとスカートを舞わせながら空中を1回転。
だが、その浮ついた気分がこれから起きる事件の原因となってしまう。
ビュゥゥゥゥゥゥ!!!
「うわ、きゃっ!?」
一際強く吹いた風。不安定な体勢で風の煽りを思いっきり受け、体勢を崩してしまうシフール。
そして勢いで手紙を入れた鞄が開いてしまい‥‥。
「あっあっあっ〜〜〜!!」
中に入っていた手紙が風に乗って飛ばされてしまったのだ。
「うぅ、失敗失敗」
手紙が飛ばされていった方向へ向かって飛び始めるシフール。
飛ばされた位置は大体見当がついているので、落ちたと思われる場所に向かったのだ。
「確かこの辺に落ちたと思うんだけど‥‥」
林の中を降りていくシフール。
このシフール、目には自信がある方で林の中に落ちた手紙を見つけるのはそう難しい事とは思っていなかった。
そしてその自信通り手紙は見つかる。
「あ、あったあった‥‥‥って、えぇ!?」
そう、確かに手紙は見つかったのだ。‥‥見つかりはしたのだが。
のっしのっしと林を歩いているオーガが居た。槍を持ち、鎧をつけてるところから分類するならオーガ戦士といったところだろう。
問題の手紙は‥‥そのオーガ戦士の鎧に挟まっていたのだ。
何という偶然。手紙は鎧の背中の部分に挟まっており、オーガ戦士自体は気づいていない様子だ。
しかし‥‥もしその手紙を取ろうとしたら‥‥間違いなく気づかれてしまうだろう。
オーガ戦士はのっしのっしと歩いていくと、すぐ近くの岩山にある洞窟へと入っていった。どうやらそこが棲家のようである。
「どどどどどどどうしよう! あれじゃ回収できないよう! う、うぅーん‥‥」
うんうんと手を組んで唸るシフール。
「あの手紙を無かったものとする‥‥? ‥‥いや、そんな事はシフール飛脚の名にかけて出来ない!」
そうしてそのシフールが飛んでいった先は、キャメロットギルド。
●リプレイ本文
●無理はしないでじっくりと
「飛ばされた手紙がよりにもよってオーガ戦士の鎧に挟まるとはな。よほど運が悪かったんだろう。その飛脚シフールは」
今回の依頼の内容である手紙の回収。ウル・バーチェッタ(ea8466)はそんな事態に陥ってしまったシフールの不運を嘆く。
ウルの言葉通りオーガ戦士の鎧に挟まってしまった手紙を回収する為に、依頼を受けた冒険者達は事件の起きた林までやってきたのだ。
その林は別に鬱蒼と茂ってるわけでもなく、程々に木が生え程々に光が差し込んでいる。地形もこれといって複雑なわけでもなくオーガ戦士が住んでおらず、近くにもし村があったら子どもが走り回って遊ぶような林であった。
「同じシフールとして、手紙の回収に全力を尽くしたいと思う」
メアリー・ペドリング(eb3630)の気合も十分、きりっと真剣な顔になる。
さて、手紙を回収するにはまずくだんのオーガ戦士を見つける必要があるのだが‥‥。
「えっと、それらしき生き物の呼吸をあの洞窟に感じるです」
ペットの猫のキャルロットに跨った状態でブレスセンサーによる呼吸確認を行ったシフールのクレセルム・マーヤ(eb6088)。
「成る程‥‥あそこがオーガ戦士の棲家でござるな」
「では、計画通りに動いていきましょう」
龍堂浩三(eb6335)がそれを確認すると、グラン・ルフェ(eb6596)が作戦開始の声を上げたのだった。
「下準備としてまずはトラップの設置だ」
今回のオーガ戦士のように比較的単純かつ敵が少ない場合、トラップは比較的効果的だ。
なのでウルを主軸として罠を作っていく。
「この辺りがいいと思いますよ」
洞窟の場所や周りの地形を調査して、トラップを作るのに最適と思われる場所に目星をつけるグラン。
「了解したでござる」
そしてグランと共に目星をつけた場所に穴を掘っていく浩三。
そう、古典的ではあるが効果的なトラップ。落とし穴を作ろうというのだ。
2人が穴を掘っている間にとてもじゃないが手伝えないシフールのメアリーとクレセルムは、この後戦いの場となるであろう林の地形を把握する為に見回る。
また、ウルは把握した地形を元に考えて撤退する時の退路決めや、ロープを草に隠れるような低い場所にピンと張り、オーガ戦士の転倒を狙う罠を作っていく。
彼らは今回、オーガ戦士を倒すつもりは無い。手紙の回収のみを目的としているので、倒すようなトラップは不要なのだ。
「よし‥‥完成だ」
落とし穴の最後の仕掛けをウルが終えて、全ての罠の設置を終え、ウルは仲間達に罠のある場所や退路などを伝えておく。
これでオーガ戦士と立ち向かう為の準備は完了したのだ。
「では‥‥やるぞ」
各々が準備を終えて武器などを構えてそれぞれの配置についた。そしてメアリーが作戦のきっかけとなるクエイクを唱えたのだ。
●思いを届ける為に
「グウォォォォ!?」
メアリーの放ったクエイク。それにより洞窟内が揺れ、何事かと思ったオーガ戦士は洞窟の外へと駆ける。
そのオーガ戦士の鎧には今でもしっかりと手紙が挟まっており、とても自然には取れそうには無かった。
シュウン!
魔法による重力波――グラビティーキャノンが洞窟の外に出たオーガ戦士を襲う!
それに巻き込まれ、転倒してしまうオーガ戦士。
オーガ戦士がその重力波がどこから飛んできたのか見てみると、視線の先にいたのはメアリー。
「さて、追いかけて来い」
「グァァァァ!!!」
仕掛けておいたトラップに誘う為に飛んでいくメアリー。それをオーガ戦士言われるまでもないとでも言いたげな咆哮を上げながら追いかける。
「こっちです、こっちですよ」
グランも矢を放ち、オーガ戦士がより罠に引っかかるように誘導していく。
「えーい、です!」
クレセルムは猫のキャルロットに跨った状態でウインドスラッシュをオーガ戦士の足元に向かって撃ち込んでいく。
シュン! シュン!
風の刃がオーガ戦士の足に当たる‥‥がそれはカスリ傷を負わせる程度で大したダメージにはとてもならない。
だが、それがオーガ戦士には少々気になったのか、結果的に猫の目線という低い場所からの攻撃は、オーガ戦士の歩みを少々とはいえ鈍らせる事ができた。
単純な思考を持つオーガ戦士は攻撃された怒りそのままに冒険者達を追いかけていき‥‥そして、ある地面に足を置いたその時!
ドササッ!
「グォッ!?」
見事にオーガ戦士は落とし穴に引っかかり落ちたのだ。1mより少し深いぐらいの落とし穴で、それによりオーガ戦士は腰まで埋まってしまう。
「グアアァァ!!」
急いで穴を抜け出そうと手を地面に置くオーガ戦士! そんなオーガ戦士に1本の矢が飛ぶ!
ヒュッ‥‥!
矢はちょうどオーガ戦士の鎧の前面部分の隙間を縫うように飛び、ちょうど生身の部分に刺さる。
放ったのはウル。少しでも落とし穴に嵌った状態にさせる為。そして‥‥。
ヒュッ‥‥!
別方向からもまた矢が飛ぶ。放ったのはグラン。今度はオーガ戦士にダメージを負わせる事は無かったがそれでもオーガ戦士の気は十分飛んでくる矢に向かれた。
‥‥背後から忍び寄る者に気付かずに。
「今でござる!」
忍びの者‥‥忍者に相応しき動きで、浩三はオーガ戦士の背後に回ると鎧に挟まっている手紙に手を伸ばし‥‥見事掴み取ったのだ!
「グォ!?」
勿論、オーガ戦士には何をされたのかは分からずじまい。そんなオーガ戦士が振り向いた時には浩三はバックステップでその場を離れていた。
「皆さん、手紙は無事に回収したでござる! 撤退するでござるよ!」
「はいです!」
浩三が手紙を回収した事を皆に伝えると、冒険者達は事前に決めた退路を走って撤退していく。
「まともにやりあうのはゴメンだからな」
ウルの呟きを掻き消すかのように響く咆哮。
「グォァァァァッ―――!?」
冒険者達が撤退し始めて少し遅れてから落とし穴から脱出したオーガ戦士。
冒険者達を追いかけていくが‥‥ズササッという派手な音。そして戸惑ったように途切れる咆哮。
ウルが仕掛けておいたロープの罠に引っかかって転倒したのだろう。
「よーし、待っててくださいね手紙の受取人さん! 手紙は無事届けてもらいますから!」
オーガ戦士が転倒したのを軽く振り返って確認したグランは、すぐに前を向き、全員がいる事を確かめて走り出したのだった。
●届く思い
「あ、確かにこの手紙! ありがとー!!」
無事に林を抜け出した冒険者達はその足で依頼人の下に向かい、手紙を渡した。
オーガ戦士が転倒した時にでもついたのか、軽い汚れがあったが破れてもいないし許容範囲だろう。
「まったく、今後はあまり浮かれないように。思いをしっかりと届けてほしい」
「あぅ‥‥申し訳ないです」
メアリーの注意でしゅんとなる依頼人のシフール。きっと彼女は今後同じような失敗は犯さないだろう。
「こんな街の近くにまでオーガ戦士がでるとは…何かの前触れでなければよいのでござるが‥‥」
ギルドに結局オーガ戦士は倒さずに依頼を遂行したので、まだオーガ戦士はあの林に居る事を浩三は伝えると、今回のオーガ戦士が何かの前触れでないかと軽く思案する。
―――が、考えた所で詮無し。今後もイギリスでは何か事件が起きるだろうし、それが今回の事を繋がっているという確証はどこにも無いのだ。
とにかく今回の依頼は無事に解決し、飛脚のシフールは思いを届ける為に空を飛んでいった。
「お母さん! おばあちゃんが遊びにおいでだって!」
「あらあら。それじゃあお返事書かなきゃね」