【凄腕の剣士】闇が潜む森
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■ショートシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:3〜7lv
難易度:やや難
成功報酬:2 G 4 C
参加人数:6人
サポート参加人数:6人
冒険期間:11月11日〜11月16日
リプレイ公開日:2006年11月17日
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●オープニング
●噂の剣士
――颯爽と森に現れては優麗な剣捌きで人々の窮地を救い、名も告げずに森へ消える凄腕の剣士。
その噂はキャメロットまで広がり囁かれるようになっていた。
どうやらキャメロットから2日程度の広大な森に凄腕の剣士は現れるらしい。
しかし、光輝の噂に彩られる剣士には不穏な噂も流れるものである。
――その人物とは何者だろう?
凄腕剣士の正体を突き止めるべく、数名の騎士が王宮から派遣され、ギルドに姿を見せる事となる――――。
―――噂曰く、剣士が現れた場所にグールが現れたらしい。
グールといえばズゥンビに似ているが、強さは別物であるアンデッド。
普通の森ではそう自然発生するようなモンスターではないだろう。
だが、そんなグールが現れたのだ‥‥凄腕の剣士が現れた直後に。
その森に入った狩人達も既に何人かグールに襲われており、命を落としている。
噂の剣士が現れた直後に出てきたので、何か関係があるのでは‥‥もしや剣士がそのグールを出現させたのか。
そうならば、剣士は悪魔か何かと通じてるのでは‥‥そんな噂も極局地的にではあるが、発生しつつある。
そして、真実を突き止める為に一人の騎士がその地域の調査の担当になった。
「凄腕の剣士が悪事を働いているらしい。かの噂にあがる剣士と同一人物か悪く見せようと企てた何者かの仕業か‥‥。いずれにしても突き止めなければならないだろう」
様々な噂から、森には多くのモンスターが生息しているらしい。そこで冒険者の協力を必要とした訳だ。
「私が任されたのは北側の中心に近いところだ。そこでは何故かグールの目撃情報がある。できればこいつらも退治したいところだが」
こうして、ギルドの掲示板に新たな依頼が貼り出された――――。
メェー。
森の中でヤギの鳴き声が聞こえた気がした。
●リプレイ本文
●鬱蒼と茂った森の中で
「暗いな‥‥。こんな森の中で人探しか。骨が折れそうだ」
呟いたのは1人の騎士。呟き通り、森の中は光があまり入らないせいで暗く、何かを探すには苦労する状況であった。
それに大元の目的である噂の剣士以外にもこの地域にはグールが出没するという話もあるのだ。
騎士は周りに気をつけながら、依頼を受けた6人の冒険者達と共に森の中を進んでいく。
「被害が出ている以上、件の剣士との関わりの有無に関わらずグールは退治すべきです」
騎士に説得するように言うメグレズ・ファウンテン(eb5451)。
「それもそうだな。現状、噂の剣士の手がかりとなりそうなものも無いのだし」
あっさりと納得する騎士。
「んー。グールと例の剣士は無関係なんじゃねぇかと思うんだがなぁ。剣士騒ぎに便乗した奴の仕業なんじゃねえか?」
いかにもやりそうなのは悪魔連中か――と言葉を続ける日高瑞雲(eb5295)。
出発前に知り合いに情報を集めるように頼んだが、大した情報は集まっていない。せいぜい噂の剣士はかの人物の線が濃いぐらいだ。
「そうだな。グールなんてもん作れるのはデビルぐらいなわけだ。それもよわっちい下級デビルじゃなくて、少なくともそれなりに強いやつら」
セティア・ルナリード(eb7226)も同じような考えを持っているようだ。そんなのが絡むかもしれないなんて思ったより危険な依頼かもしれない‥‥という考えは伏せておいて。
「‥‥ま、実際会ってみりゃ解るか。物騒なもんはぶった斬るに限るからな」
「‥‥ま、たぶん大丈夫だよな、たぶん」
と瑞雲もセティアもとりあえず妙な考えは頭の端に置いておく事にしたようだ。
「私は会った事はありませんので、凄腕の剣士が本物か偽者かの判断は出来ませんが、実際に対峙してみれば、少なくともその騎士が善人か悪人かの判断は出来ますわね。悪ならば、幾ら凄腕であろうとも、必ずや討ち果たすのみですわ‥‥戦乙女の名にかけて!」
「あの剣士だねー。よく歌の歌詞にも出るからあたしも知ってるよー。会ったことはないけどね、えへへ」
噂の剣士の善悪を確かめようと強く考えてるベルティアナ・シェフィールド(eb1878)。
そしてプリマ・プリム(eb7212)の考えてる噂の剣士の正体――。
―――ラーンス・ロット。
一行はこれから何が起こるのか‥‥より気を引き締める事にした。
「‥‥お腹、空いた」
保存食を忘れたシュネー・エーデルハイト(eb8175)に食料を分けつつ。
●闇の閲兵
「ではデティクトアンデッドを」
ある程度進む度にデティクトアンデッドを発動させるメグレズ。
「反応ありました。3体の人型のアンデッドを探知。‥‥近いです」
メグレズが結果を言うと同時に3体のグールが共に前方に姿を現した。
「来ましたか‥‥。私に勝利を」
ベルティアナが戦乙女の兜に触れて祈りを捧げ、すぐに陣形を組む。
前衛がベルティアナ、瑞雲、メグレズ、シュネー。中衛が騎士。後衛がプリマとセティアである。
「よっと‥‥」
ふわふわと宙に浮くセティア。リトルフライを発動し、それの効力による為だ。
「うぅーん、グールの影が無いよー」
シャドウバインディングでグールの足を止めようとしたプリマだが、森全体が薄暗い為、影といえるものが無いのだ。
「今の私の腕だとかなり荷が重い相手なのかもしれないけれど‥‥」
自分にできる精一杯をするだけだ‥‥とオーラによる士気向上を行うシュネー。
「来ました! 破刃、天昇!」
そうこうしてる間に近づいてきたグールに対してソードボンバーを放つメグレズ。
グール達を避けようともせずにその衝撃波をもろに食らう!
本来ならあまり大きいダメージにはならない攻撃だが、メグレズの振るう剣はアンデットスレイヤー。
亡霊を払うといわれているその力により、グールの体のつく傷は大きいものとなる。
「よし、大して避ける力は無いようだな。ならば――うぉぉぉぉ!!!」
瑞雲はグールに向かって走り出し、力の全てを武器に乗せた一撃を放つ!
その一撃は正に強力無比! 避けようとしないグールは肩から腹部にかけて大きく切り裂かれる事となる!
だがグールには痛みなぞ無いのだろう。攻撃を食らう前と変わらずの動きで瑞雲の懐に迫る。
「何―――ぐぅ!」
グールが近づいたのと同時に首筋に走る激痛。目の前には口を咀嚼するように動かすグール。
瑞雲は首に熱い痛みを感じるが目を向けない。どうせそこの肉がある程度噛み千切られた事は分かってるのだから。
「大丈夫か!? くっ!」
同行している騎士も別のグールに剣を向けているが、心配している余裕は無い。彼もまたどこかを噛み千切られたようだ。
攻撃を当てれても敵は止まらないし、回避は遅いグールもこと攻撃に関しては素早いのだ。
また別のグールが素早い動きでベルティアナに迫る!
「くっ、早い‥‥!」
サイドステップを踏んでからのカウンターで仕留めようとしたベルティアナだったが予想以上の素早さだったので避ける事に徹した。
無理にカウンターを入れようとしたら自分も牙の餌食になる事は想像に難くない。
だがしかし、無理に攻撃に転ずる必要も無い。相手は3体、こちらは7人。気を引いて避けるだけで十分なのである。
「こいつでも食らいな!」
宙に浮いているセティアがスクロールを広げ、ライトニングサンダーボルトを発動させる!
セティアの手から一直線に放たれる雷! それがグールに直撃するが。
「くそっ、まともなダメージになってないか!」
その通り、グールの体の表面は少し焼け焦げた程度。これが生きたモンスター相手ならもしかしたら動きが鈍るかもしれないが‥‥相手はアンデットである。意味は無いだろう。
それにあの程度の威力では何度攻撃しても同じ結果になるだろう。
「あ! 今なら‥‥!」
かすかに差し込んだ光、それによって騎士が相手をしているグールの足元に影が現れる。
その隙を逃さない為、プリマはシャドウバインディングの詠唱を始め―――。
発動。グールの足元から影が伸びるように出てきて、グールの足元を固定する!
「あれなら‥‥! はぁぁ!」
貧弱な攻撃力のせいでまともにダメージを与える事のできないシュネーだったが、ならばと助走をつけてグールに向かって走る!
剣を突きたてた突撃の一撃! なんとかダメージは通った事には通ったもののやはり軽かった。
そして足元は固定されているがグールとの距離は0。グールはすかさずシュネーに向かい口を大きく開け‥‥腕の肉を噛み千切る!
「くぅっ‥‥!」
まともに攻撃は通らず、通ったと思えば軽く。シュネーにできる事は前衛から下がる事だけであった。
「撃刀、落岩!」
ベルティアナが気を引いてるグールに後ろからスマッシュを叩き込むメグレズ。
使っている剣が軽い為、通常攻撃と変わらないダメージだがアンデットスレイヤーという事もありどんどんダメージを蓄積させていく。
「おらぁぁ!!」
こちらは瑞雲の超強力な一撃。本来の生物なら瀕死状態で動けないだろう。だがそれでもグールは動き続ける。死んでいるが故に。
グールは固かった。
それから瑞雲は同じような攻撃を2回入れてやっと1体のグールを倒す。
またメグレズとベルティアナも連携を取って1体のグールを倒す。
そして残ったのは1体。足元が拘束されているが‥‥ついに魔法の効果が切れる。
「なんとか最後の1体か‥‥だが、きついな」
呟く騎士。彼も血まみれで立つのが精一杯といったところ。
攻撃の要となる瑞雲も似たような状況であった。
「ちっ、あたしは現状では役にたたないか」
並みの攻撃は通らないということで歯噛みするセティア。
「私が気を引き付けて‥‥」
「えぇ、私が攻撃をしかけましょう」
ということで、ベルティアナとメグレズが相手をするしか無い――そう思っていた時。
ヒュ―――ズサッ!
疾風、そして閃光。何事かと呆気に取られていると‥‥目の前のグールは倒れた。
そしてそこに立っていたのは。
「―――ラーンス・ロット」
呟いたのは誰だろうか。もしかしたら全員かもしれない。イギリス中で知らぬ者はほぼ居ない英雄。
ラーンス・ロット。彼がこの場に現れ、グールを切り伏せたのだ。
「‥‥大丈夫か?」
振り向くと同時に声をかけるラーンス。剣は既に鞘に収めている事から戦う意思は無いようだ。
「さすがに今の動きを見て‥‥疑うわけにはいかないな」
そう本人である事を確信する瑞雲。
「えぇ、確かに。‥‥しかし、今のグールとの関連性は?」
「それは気になります。貴方が現れた直後に発生したと聞きますが」
矢継ぎ早に言葉を飛ばすベルティアナとメグレズ。
「それは――」
答えようとしたラーンス、しかし急に言葉を止め顔を上げた。
●まだ見ぬ闇
メェー。
ヤギの鳴き声が聞こえた。
「ヤギ‥‥なのか?」
しかし鳴き声はそれだけ。ラーンスは抜きかけの剣をまた鞘に収める。
「こっちも特に反応は‥‥無いな」
デビルの探知が可能な石の中の蝶という指輪を見た瑞雲の言葉。その言葉によると近くにデビルなどはいない。
「とにかく‥‥私はグールなどとは無関係だ。何者かの策謀かもしれん」
「ラーンス卿! 私は貴方を信じます」
頭を垂れるように跪く騎士。
冒険者達も意思は同じく。先ほどの活躍をしたラーンスを疑うつもりはないようだった。
「今の自分は追われてる身、そこまで畏まらなくてもいい。‥‥ただ、私を信じてくれ」
そしてラーンスは森の中に消える。
冒険者達はラーンスの無事を祈るように彼の背中を見送ったという。
メェー。
ヤギの鳴き声が聞こえた気がした。その声は誰の耳にも届くことなく。
石の中の蝶がかすかに動いた気がした。その動きは誰の目にも触れず。