涼しく過ごしましょ

■ショートシナリオ&プロモート


担当:刃葉破

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月15日〜07月20日

リプレイ公開日:2006年07月20日

●オープニング

 夏である。
 とはいっても、イギリスの夏はジャパンなどに比べたら涼しいものである。
 それでも他の季節よりは暑い事には変わりないから、根っからのイギリス人にとっては暑いのだろう。
「あー‥‥」
 そして根っからのイギリス人である、ギルドの受付係の青年はだれていた。
 あまり関係無いのだが、彼は暑さに弱く寒さにも弱い。
「どこか涼しいところにでも行きたいなぁ‥‥」
 と、十分涼しい地域に住んでるのに言う青年。
 そんな青年にとって羨ましい依頼がギルドに持ち込まれた。

 ある村のそばにある池。
 そこの水は綺麗であり、村人はそこの池を何かと活用していた。
 しかし、ある日村人が池に行くと見慣れないものがあった。
 ゲコゲコゲコゲコゲコ‥‥‥。
 蛙である。しかもただの蛙では無い、とてつもなく大きいのだ。
 大体、人間の大人ぐらいのサイズはあるだろう。それぐらい巨大な蛙だった。
「ひぃぃぃぃぃ!?」
 それを見た村人は慌てて村に戻ると、別の村人にもそれを伝えた。
 そして改めて、村の中では比較的屈強な男達が数人、池に行き様子を確認した。
 1‥‥2‥‥3‥‥‥‥6。
 そこにいた蛙は全部で6匹。
 一応、男達は蛙を追っ払おうとしてみたのだが失敗。
 水かきのついた手足や長い舌による攻撃などで倒されてしまったのだ。
 このままでは池が使えない、だが村人としてはそれは困る。
 ならば退治するには‥‥‥。

「成る程。つまり池に住み着いてしまった巨大な蛙を退治してほしい‥という事ですね」
「はい、その通りです」
 村の代表である依頼人の話を纏める受付係の青年。
「分かりました、受け付けますね」
 そして青年は手続きを済ませながら、呟いた。
「池か‥‥。涼しいんだろうなぁ‥‥。あぁ、そこでゆっくり休みたい‥‥」

●今回の参加者

 ea3780 極楽司 花朗(31歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea5832 南雲 要(31歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea8466 ウル・バーチェッタ(26歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 eb0815 イェール・キャスター(25歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)
 eb3412 ディアナ・シャンティーネ(29歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb5501 コウキ・グレイソン(27歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

●対決、巨大蛙!
 依頼を受けた一行は、目的地である池へと向かった。
 その池の周りは適度に開けており、また木もある程度生えていた。
 休息する場所としては中々適しているだろう。
 だが、それを許さないものが今その池にはあった。
「どんな理由で棲みついたかは分かりませんし、可哀想な気もしますが‥‥さすがにはた迷惑ですからね」
 速やかに退治してしまいましょうと言葉を続けるのはコウキ・グレイソン(eb5501)。
 彼は巨大な蛙‥‥ジャイアントトードを誘い出すための準備をしていた。
「ジャパンじゃ『陸に上がった河童』は地形適応不足で全力が出せない意味だけど、カエルも陸地に上げると弱くなりそうだね」
 と、南雲要(ea5832)が言った事が理由である。
 なのでコウキは村で手に入れた肉の塊をロープで結び、池のそばの木の枝にひっかけていた。
 それでジャイアントトード達を誘い込もうというのだ。
「村の人達の生活もかかっていますし、仕方ないですね‥‥。それが依頼ですし」
 大人しくしてくれれば‥‥と軽くため息をついたのはディアナ・シャンティーネ(eb3412)。
 ちなみにコウキが使ったロープは彼女が貸したものである。
「最近クソ暑いからな。涼みたいと思っていたところだ。化け蛙なんてさっさと倒しちまおうぜ」
 ウル・バーチェッタ(ea8466)はジャイアントトードを倒す事に関してはあっさりとしているようだ。
 彼らや、極楽司花朗(ea3780)、イェール・キャスター(eb0815)は近くの茂みに隠れてジャイアントトードを誘い出すのを待ち構えていた。
「お弁当も詰めてもらったし、準備は万端。さて、あとは‥‥っとピクニック気分じゃいけないわね」
 いけないいけない‥と気分を切り替えるイェール。
「ガマちゃんを水浴びさせるためにも、頑張らなきゃね!」
 と気合を入れるのは花朗である。
 そして肝心のジャイアントトードはというと‥‥‥。
 プラーンプラーンプラーン‥‥とゆれる肉の塊。
 ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ‥‥とそれを見るジャイアントトード。
 プラーンプラーン‥‥。
 ゲゴゲコゲコゲコ‥‥。
 プラーンプラ――――ぱくっ!
「食いついた!」
 ジャイアントトードが3匹ほど池から離れ、その肉を見つめ、最終的にその中の1匹が肉に舌を伸ばしたのだ。
 その様子を見たコウキがヘビーアックスを構えながら前に出る。
「さぁ、かかってきなさい!」
 言いながらヘビーアックスをジャイアントトード達に向け、挑発する。
 その様子から敵だと判断したジャイアントトードはコウキに向かって手足や舌を伸ばしての攻撃を3匹とも行う。
 しかしコウキは重装甲に加え、敵の攻撃が急所に当たらないように受け流すために、ダメージを少しも食らわない!
 そうしてコウキがジャイアントトードの攻撃を受け止めてる間に茂みに隠れていた者達は、ジャイアントトードが池に戻らないようにするために退路を防ぐ場所へと移動していた。
「行けっ! 一式・隼!!」
 要は肉作戦で誘き寄せる事ができなかった残りのジャイアントトードに向かって剣による真空刃――ソニックブームを飛ばす。
 ゲコゲコと喚き声。そして敵と認識した要に対して距離をつめる残りの3匹。
 上手く誘い込む為に、そこから逃げ出す要。それを追いかけるジャイアントトード。
 そうして全てのジャイアントトードが池から離れる事となった。
「さて‥‥と」
 イェールはジャイアントトードが池に逃げ込まないために、スクロールを広げストーンウォールを発動させ、石の壁を出現させる!
「よーし! いでよ、ガマちゃん!」
 また花朗も大ガマの術を発動させ、大ガマを作り出す。
 ジャイアントトードの2倍の大きさはある大ガマは、ジャイアントトードの後ろに回りこむように移動し、追い詰めるように動く。
 蛙同士の壮絶な殴り合いである。一撃の威力は大ガマの方が遥かに大きいのだが。
「俺の攻撃を受けろ、ぬめぬめども」
 自分にとってのベストポジションへと移動したウルは弓を構える。
 僅かな隙間を狙っての射撃を放とうとするが‥‥さすがに狙いが厳しすぎるため、通常の射撃による攻撃を。
 ザシュ!
 大ガマが殴ったジャイアントトードに狙いをつけての放ち、確実に相手の体力を奪っていく。
「よし‥‥そこです!」
 更にディアナが駆け寄り剣を振るい、ジャイアントトードが立つ事すらできないようにしていく。
「頃合ですね‥‥」
 コウキは防戦一方だったのを、守りを固めながらも攻撃に転ずる事にした。
 その一撃は強力で、ジャイアントトードの体力を一気に削っていた。
 ジャイアントトード達は相変わらずコウキの守りを突破する事ができないので、一方的であった。
「今だ! 吹き飛べ! 二式・屠龍!!」
 また、逃げていた要が反転し、一気に近寄り、剣を思いっきり振るう!
 その剣撃は広範囲へと広がる衝撃波となり、3匹固まっていたジャイアントトード達をまとめて吹き飛ばす。
 ディアナはある程度下がっていたため巻き込まれなかったが、花朗の作り出した大ガマもついでに巻き込まれてしまった。
「あー! ガマちゃんが!」
 花朗は吹き飛ばされた大ガマの事を気にしつつも、自分が倒すべきジャイアントトードを確実に後ろから忍者刀で攻撃していく。
 その攻撃により、今までの攻撃でダメージがたまっていたジャイアントトードは絶命していく。
「セーラ様の祝福を‥‥」
 後方にと下がったディアナはイェールに対してグッドラックで祝福を与える。
「ありがとうね。それじゃあ‥‥ウインドスラッシュ!」
 イェールの術による風の刃は、コウキと戦っていたジャイアントトードの1体を切り裂き、倒していく。
「後は押し切るだけだな」
 ウルの言葉通り、全員が一気に押し切るように攻めることでジャイアントトード達を殲滅することができた。
 これで、依頼された事に関しては完了である。

●ある意味終わってない戦い
「さて、せっかくだから涼みましょうか」
 各々が倒したジャイアントトードの処理を済ませ、ディアナが傷を負った者の回復を済ませてから言った。
 彼女は予め用意していた手作りのお菓子を仲間に配った。
「あら、いいわねぇ」
 イェールは池のほとりで花柄の茣蓙を敷き、更に日除け傘を立てて、そこでのんびりする事とした。
「どうせだからディアナさんもどう?」
「あ、それでは失礼します」
 弁当を広げながら、ディアナに同席を勧めるイェール。それに応え、座るディアナ。
「それにしても、この池は避暑に良さそうな場所のようですね。今度はプライベートで訪れてみましょうか。できれば彼女を連れて、ペットも一緒に‥‥ですね」
 コウキはそんな女性2人のくつろいでる様子を見ながら呟く。
 そして黙々と先ほどの戦いで使った矢を回収しているウル。
 彼は汚れた矢を池で洗ったりしながら、ついでに足を池に入れて涼んでいた。
「ふぅ、気持ち良いな‥‥」
 そう、足を入れる程度なら問題は無いのである。足を入れる程度ならば。
「7月と言えばもう夏、夏で池と言えば、もう泳ぐしかないっ!!」
 と叫びながらいきなり脱ぎだし、ふんどし一丁になる要。
 脱いでる時点でジャパン人である彼にとっては結構寒い筈である。だが気にしない。そんな彼ももうすぐ22歳、いい大人である。
 そして池に飛び込む要。ざっぱーんと水しぶきが舞う。
 飛び込んではみたもののやっぱり寒く、やめようか‥‥と要が思い始めた頃。背後に視線を感じ、振り向くと‥‥。
「な、な、蛙!?」
 とはいってもジャイアントトードではない。花朗が大ガマの術で作り出した大ガマである。
「こんな冷たい池でも水練するなんてすごいね! ガマちゃんでお手伝いだ! あ、るるちゃんはダメだよ、溺れちゃうから」
 花朗が作り出したのはそういう理由である。子猫のるるを抱きかかえながら要と大ガマの様子を見る。
 ――――くぱぁ。
 大ガマが口を大きく開け、要を追いかけるように泳ぐ。
 新しく作り出された大ガマなので、要に吹き飛ばされた大ガマとは違う存在の筈なのだが、その瞳に妙な怒気があるような‥‥気がする。きっと気のせいだろう。
「うわぁぁぁ!?」
 必死で逃げる要だが、その寒さもあってあえなくダウン。足を攣り、沈んでいく‥‥が一応大ガマによって救助された。
 ちなみに花朗はディアナやイェールと一緒にお弁当を食べていた。
「‥‥大変そうですね」
 お弁当やお菓子を食べていたディアナは池に手を入れて水の冷たさを味わい、要の無謀っぷりを改めて知るのであった。