究極武神戦伝説
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■ショートシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:11〜lv
難易度:普通
成功報酬:5 G 55 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月22日〜04月27日
リプレイ公開日:2008年04月30日
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●オープニング
今! 正に! 壮大な戦いの幕が! 開くッッ!!!
――――気がする。
時は神聖歴1003年。別に世紀末でも何でもないが、それなりに戦いが巻き起こるこの世界。
1人の男が‥‥とある戦いに終止符を打とうとしていた。
「食らえぇぇぇ! 我がオーラの剣! インフィニティブレェェェド!!」
「そんな、そんな馬鹿なぁぁぁ!!!!」
男の名はアルス! 彼の振るう闘気によって形成された光輝く剣が、彼の宿敵ハミティを切り裂く!!
嗚呼、静寂なる時の中で一陣の風が吹いた後‥‥立っていたのは、目に涙を浮かべていたアルスだけであった。
「ちくしょう、ハミティ‥‥! 何故お前はそんな道を進んでしまったんだ‥‥!」
アルスの脳裏に浮かぶは、ハミティと共に過ごした幼き頃の思い出。
あの頃は、アルスも、ハミティも―――戦いなどというものとは無縁であった。
この手を血に染めるようになってしまったのはいつの事だったか‥‥。
だが! 戦いの運命とは無情なもので、アルスを感傷に浸らせる事すら許さないのであった!
「あーはっはっは!!」
「何だ!?」
高笑いと同時に現れるは3人の人影!!
「所詮、そやつは我らの中で最も格下! 我こそは知のミハエル!」
名乗るは、ロングの金髪を手でたなびかせる、やや貧相な体つきだが知性を感じさせる男!
「俺様は力のゴールンだ!」
名乗るは、逆立てた赤い髪を持つ、見るからにパワーファイターの体型の男!
「私は美のプリミティですわ〜」
名乗るは、青い髪を結った、華美な衣装を身に纏う女性!
「我がオーラの弾丸! ジャスティスシュゥゥゥト!!!」
「ぎゃあああああああああ!!!!!?」
―――激戦の末、辛くもアルスは3人の敵を撃破した!!
「はぁ‥‥はぁ‥‥。これで残るは、奴らのボス、アルマーダだけだ‥‥!」
「ふぁふぁふぁ! よくぞ、ここまで来たな! アルスよ!!」
ちょうどタイミングよく、幾多の戦いで傷ついたアルスの目の前にアルマーダが現れる!!
「アルマーダ! 妹を‥‥セスティリアを返せぇぇぇ!!!」
「‥‥え、何の事だ?」
「いや、ノリで言っただけだ!」
「ならばアルス! あの時の恨みここで晴らす!!」
「あの時って何だよ」
「いや、こっちもついノリで」
「ふっ‥‥語る事はもう無い、か」
「あぁ、後はこの剣で全てを語ろうぞ‥‥!」
激突する両雄!!
「こいつで最後だ! チョウテンカイザァァァァァァン!!!!」
ズバァァァァァン!!!
「フ―――強くなったな、弟よ‥‥」
「な!? に、にいさぁぁぁぁぁん!!!!」
戦いは終わった! こうして、組織グレートリアンはアルスの手で滅びたのだ!
だが、戦いはまだ続く!!
「ははは、中々やるようだな、アルス!!」
「なっ、貴様は!?」
満身創痍の体を引きずりながら歩くアルスの前に立ちふさがるのは幾多もの人影!
夕日による逆光のせいで、その人相もまったくもって分からない!
「グレートリアンなぞ、所詮は我らの下部組織に過ぎん! そう、我々アルティメイターのな!!」
「なん‥‥だと‥‥!?」
「ふはははは! 貴様はこの場では殺さん! 我々の暴虐の限りをその目でしかと見るがいい!!」
人影をその身を翻すと、颯爽と立ち去っていく!!
「ま、待て!! ―――ぐっ!? あの時の傷が‥‥俺はもう戦えないのか‥‥!?」
アルスという戦士がいなくなり、このまま人々はアルティメイターの暴力に屈するだけの日々なのか!?
―――否! 断じて否なのである!
我々には心強い戦士がいる!
冒険者ギルドに集う、多くの勇者達が!!
そう、ここは正に冒険者ギルド! アルスは新たな勇者を求めて、ここにやってきたのだ!
「えー、ということで、アルスさん。あなたの依頼は‥‥アルティメイターという組織を潰してほしいと?」
「あぁ、そうだ! 俺はもう戦えない‥‥! だからこそ、代わりにやつらを倒す勇者が必要なのだ!!」
「‥‥戦えないって、安静にしてれば治る怪我でしょうに。え、えぇと‥‥アルティメイター‥‥でしたっけ。この組織、何をしてるんですか?」
「グレートリアンの上位組織‥‥という事は、やはりグレートリアンがやっていた事をそのままやるのだろうな‥‥。ということは、つまり、道行く旅人を襲い、力ずくで金品を奪うという正に悪逆非道の行いを‥‥!」
「つまりは、山賊集団の討伐という事ですね」
●リプレイ本文
●君は見たか!
燃え上がる炎のような夕陽が照らす街道で、熱き戦いが繰り広げられる!
世の中には大なり小なりの悪がある。
それは世界の摂理なのか、どうしようもない事なのか。
否! 決して諦めてはいけない!
何故ならば、悪を打ち砕く信念を持った者達がいるからだ!
人、それを――正義という!!
「駆けろ。一刻も早く悪の侵食を食い止めるんだ!」
戦士を率いて駆ける男の名はキット・ファゼータ(ea2307)!!
小さな体に大きな正義を秘めた彼は、ただひたすら前を見る!
「山賊なども出るとは聞くが、所詮烏合の衆。怖いことなど何もなかろう」
かんらかんらと笑いながら大声で周囲に聞こえるように言いながら走る男は尾花満(ea5322)!!
彼の料理人が捌くのは料理の材料だけではない、悪人もだ!
「アルティメイター‥‥やっと会える‥‥私から全てを奪った奴ら‥‥‥!!」
そはまるで鬼か悪魔か。美しい顔を怒りの形相に歪めた女の名はレイア・アローネ(eb8106)!!
悲壮な決意を秘めた左胸に手を伸ばす。
「‥‥うん。でも嫌いじゃないよ、こういうノリ」
にこやかに笑みを浮かべながら後ろを走るは空木怜(ec1783)!!
医者でもある彼は、討伐をした悪人を治療する準備もばっちりだ!
ひたすら駆ける彼らの前に! 夕陽を背に負った集団が目に入る!!
「来たか‥‥!」
●君は燃えているか!
夕陽を背に姿を見せるは1人の男! いや男だけではない。女もいる。青年もいる、老人もいる!
「我らに刃向かう愚かなものどもよ!!」
彼の集団の名はアルティメイター!! 悪逆非道の限りを尽くさん極悪組織!
それを見て、ニィッと不敵な笑みを浮かべ包丁のような短刀を構える満!
「熱き我が魂よ‥‥この包丁に宿れ!!」
それらの包丁に宿るは満の闘気! 熱く燃える魂の力は刃をより研ぎ澄まさせる!!
否応にもお互いの緊張感が高まる中、一歩前に出たのはレイアだ。
「この傷を覚えているか‥‥?」
言いながら、彼女は服をずらし左胸を軽く露出させる。そこに見えるは――刺し傷。
「オマエ達に家族を‥‥婚約者を‥‥全てを奪われた女が‥‥来たぞ、奪われたものを――取り返しに――!!」
そう、それが彼女の復讐! 怒りに満ちた表情の理由はこれだったのだ!
「何を言っている? 知らんなぁ?」
だが、敵のリーダーらしき男は小馬鹿にした様子で言う。
「ああ、覚えてはいないだろう。キサマらにとっては毎日食べるパンのようなものなのだからな」
「そういう事だな。今まで食べたパンの枚数を覚えてるやつなんて居ないからな」
怒りを受け流すような笑みを浮かべた男に、レイアの怒りはますます募る!
―――ちなみに。
レイアの家族や婚約者などは別にアルティメイターに殺されていないし、そもそも婚約者なぞいない。
左胸の傷もメイクによって描かれたもので真っ赤な偽物だ。ぶっちゃけ先程までの話は全て捏造である。
それはともかく(嘘の)怒りに駆られたレイアが激情のまま敵に向かって走る!
レイアの突撃を皮切りとして、他の戦士達も走る!
戦いが――始まる!!
「うおぉぉ!!」
敵陣に深く斬り込む満! 有象無象の突っ込んでくる雑魚を片っ端から斬り倒していく!
「へっ、後ろががらあきだぜ兄ちゃん!」
だが敵陣故に、後ろを取られてしまう! 満の背後から一撃を加えようとする男!!
ヒュッ――
「な!?」
「見えぬと思ったか? 甘いな」
男の振るった棍棒の一撃を、たった一歩横にずれるだけで避けるとその動きの勢いのまま、背後の男の顎に向けて高い蹴りを放つ満!
対してこちらは、1人の屈強な男との激しい戦いを繰り広げるキット!
「ち、このガキが!」
自分の剣が何度も阻まれた事によって、悪態をつく男!
「ガキは邪魔だすっこんでろ、だと? 言ってくれるな」
「そこまで言ってねぇ!?」
「馬鹿にすんじゃねえ! こちとらテメエ等が悪の道に染まる前から正義の味方やってんだ!!」
気合一閃! 力の込められた剣を受けた敵の体勢が崩れる!
「よちよち歩きの悪なんかに俺が屈するとでも思ったのかああああ!!」
斬!!!
正義の刃が悪を貫く!!
正義の意思は決して折れはしない! 怜も同様だ!
彼が相手するのは重き鎧で身を包んだ男!
「ひょーひょっひょ! 生半可な攻撃でオイラの鎧を貫けると思うな〜!」
「何勘違いしてやがる? むしろその装備が命取りだぜ!」
「ひょ!?」
不敵な笑みを浮かべると同時、高速で魔法を発動させる怜!
「アルティメットグラビティー!!」
「こ、こいつは‥‥動けねぇ!!」
膝を地面につきまるで動けない男を見下ろしながら、怜は次なる魔法を発動させる!!
「超念動イズナ落としぃ!」
ヒュ―――!
「オイラが‥‥浮いて!? ―――げふぅ!」
男が宙高く浮き、そのまま地面に叩き落されたのだ!
「お前はアルティメットグラビティーの効果で動く事ができない。そう、この戦法は俺の魔力が続く限り、高速詠唱魔法で追加攻撃できる!」
「てめぇ、そこまで考えて!?」
「さぁ、いくぜ! 次なる魔法! ―――超念動ぅイズナ落としぃぃぃ!!」
「うぎゃー!!」
この場には、この攻撃を止める優しい女性はいない。
息も絶え絶えに怜を見上げる鎧の男!
「貴様‥‥何者だ!?」
「俺か? ‥‥ある時は医者、そしてある時は冒険者。戦う正義のクレリック、その名はドクターR!」
「ドクターRか‥‥。覚えて‥‥おくぜ」
顔を伏せる男。意識を失ったのであろう。
ちなみに。
アルティメットグラビティー=アグラベイション。
超念動イズナ落とし=ローリンググラビティーだ。
戦いは続く!
善戦を続けるキットだったが、幹部レベル3人に囲まれてしまう!
「くっ、こんな時やつなら‥‥いや考えるな!」
と、その時キットに迫る男の目の前の地面に、どこからか飛来した忍者刀が突き刺さる!
「な、なにあの刀は!?」
忍者刀が飛来した方向に目を向けると、そこにあったのは1本の木!
●援軍見参!
「私抜きで始める気か‥‥」
木の枝の上にて1人佇む女性は森里霧子(ea2889)!!
「むっ――!?」
唐突に現れた女性を目にし、手にしていた剣を彼女に向けようとするレイア! だが、その彼女の動きはキットによって止められる!
「いや‥‥あいつは」
「ふ、久しいな‥‥キット」
「やはりお前か! 来てくれると信じていたぞおおおおお!!」
旧知との戦場での再会!
「あの冬の運命の日‥‥(中略)哀しみを背に私は旅に‥‥(中略)貴殿もあれから‥‥(中略)む! これは、なんという成長!」
唐突に語りかける霧子。敵は律儀にも聞き入っている。その隙にキットは包囲から抜け出し、回収した忍者刀を霧子に渡す!
「貴様等には見えぬのか、凄まじき波動が! 瞼を閉じよ、心の目で見ろ! 真眼!」
霧子は言うと同時、木の枝から飛び降りて単独で戦場を駆ける! ――否、もう一人の霧子と共に!
「な、なんだこいつは!?」
二人の霧子に翻弄される敵! そんな敵の背後に霧子は回りこむ!
「酢耽撃‥‥酸っぱい眠りに堕ちろ」
首元への一撃! それは屈強な男すら眠らせるに足る!
「えぇい、あれはただの分身の術にすぎねぇ! 怯むんじゃねぇ!!」
指示を出す男が剣を振るうが、残念それが当たるのは霧子の分身! 霧子はそれを見ると微塵隠れで木の枝まで移動する!
「残念、それは残像だ」
言いながら彼女は串から引き抜いてバラした桃の団子を一つずつ魔法陣のように周りに置いていく!
「桃花永眠魔陣! 桃の妖光と誘香‥‥堪えられるかな?」
術の発動と同時に、霧子の方から漂ってくる甘い香り! それを吸い込みし者達は次々に眠りの海に落ちていく!
春花の術である! 勿論桃団子を置く必要は無い! 後で本人がおいしく頂きました。
「くっ、強い‥‥!? もはや退くしかないのか!?」
アルティメイターのリーダー格が一人、足を一歩後ろに置いた時だ。
「ふっ、どこに逃げるっていうんだ?」
「何!?」
リーダー格の男の背後‥‥上空から聞こえる声に振り向けば――!
「ペガサス!?」
「何者だ!? 貴様! 敵か!? それとも――」
逆光によって姿はよく見えない。正体は誰かとレイアが問いかける!
「お前達が逃げる先であるアジトは‥‥既に俺が見つけた。そう、お前たちに逃げ場所なんてものはない!」
影で動いていたペガサスの騎士! マナウス・ドラッケン(ea0021)見参!!
「あ‥‥あのお方はまさか! マナウス殿!」
霧子の言葉に辺りがざわめく!
「伝説のモンスターをSATUGAIしたのも、あのお方らしいぞ!」
勿論真偽不明の言葉だ!
●集いし正義!
「アルスターの者にとって誓いとは覚悟にして力! 此処を超えるつもりなら俺の覚悟を超える気迫を見せてみろ!」
言葉と同時に身に纏うは闘気の力! 誓いは、気迫は、力となる!
「我は此処に四枝の浅瀬(アトゴウラ)を誓う!」
不退転の誓い! マナウスには退く事は許されない!
だがしかし!
心強い仲間がいる今、退く理由なぞあるだろうか!!
否! 断じて否である!
「ふ、此処は俺一人でも良いのだがな‥‥!」
熱き想いを胸に! マナウスの霊矛が!
「その身に受けろ! 必殺の、G・P・Aーーーー!!」
キットの繰り出す最終奥義が!
「我が攻撃を見切る事ができるかな?」
霧子の分身と共に繰り出す攻撃が!
「くらえ‥‥秘剣・陰陽十字!」
満が繰り出す、二本の剣から繰り出される技が!
「私は‥‥復讐の紅き薔薇‥‥。食らうがいい、斬命紅魔剣!!」
レイアの復讐(嘘)を終わらせる為の剣が!
「戦慄のファイナルブリットォ!」
怜の意識を刈り取る一撃が!
―――悪を打ち砕く!!
戦いは終わった!
しかし、悪は滅びたわけではない!
全ての悪を打ち倒すその日まで正義の戦士は戦い続けるのだ!
「俺達の戦いはこれからだ!!」