そこはかとなく謎の女性

■ショートシナリオ


担当:刃葉破

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月26日〜07月01日

リプレイ公開日:2008年07月05日

●オープニング

 それはある日のキャメロットギルド。
 ギルド内で話をしている2人の青年がいた。
 片方は何故かよく変態関連の依頼を受け付けてしまう受付係の青年、もう片方は彼の同僚だ。
 さて、彼らの話題のタネとは。

「しっかし、お前もよくよく変な依頼を受け付けるよなぁ」
「言うなよ、それを。‥‥あ、そうそう。そういえば変な依頼といえば、その依頼人の事だが」
「依頼人がどうかしたか?」
「お前、あの依頼人について何か知らないか?」
 あの依頼人‥‥というのはいつも変態関連の依頼を持ってくる女性の事である。金の髪を三つ編みにして束ね、青い瞳を持つ女性だ。服は白を基調としたもので、生地の素材やつくりを見ても決して安いものではない事が伺えた。
 いつも笑顔で妙な依頼を持ってくる、有体に言えば謎の多い依頼人だった。
「いや全然。よっぽどの事が無い限り依頼人の詳細なんて調べないからなぁ」
「だよなぁ。俺もどうしてあの人がいっつもあんな依頼持ち込んでくるのか気になるんだが‥‥」
 ちなみに、その女性が依頼人としてやってくるのは変態を退治する依頼の時だけである。別の依頼でやってきた事はない。
「‥‥その女性が何者か気になるだろう?」
「まぁ、少しは」
「俺もだ。で、だ。‥‥この前、ついに街中で彼女を見かけたんだよ」

 以下は受付係の青年の回想となる。

 あの依頼人の女性、街中をぶらぶら散歩してたんだよな。格好はいつも見た通りだったか。まぁー、多分確固たる目的は無かったように思える。あまりにも適当にあちこち歩いてたから。
 え? 何でそんな風に動いてた事を知ってるって?
 ‥‥いやまぁ、せっかくだから後をつけてみたんだよ。彼女が何者か分かるかなーって。
「お前、それただの変質者じゃ―――」
 う、うるさい!
 ともかく。俺はそうして後をつけてみたんだが、彼女が果物屋の親父に声をかけられたんだよ。
『コレットちゃん。今日は何か買っていくかい?』
『あ、おじさん。んー‥‥すみませんが、今日は特にいいですよー』
『むむ、そうかい。でもコレットちゃん、いつも何か買ってくれてるから今日はサービスだ』
『いいんですかー? ありがとうございます』
 と、この会話から察するに彼女はよくその果物屋で何かしら買ってるようだな。その日も何か貰ってたし。
 とりあえず、名前を知る事ができただけでも大きな一歩。『名前はコレット(Coret)』とメモをした。
「どうでもいいんだが、普通コレット(Collet)じゃないか?」
 な、なんだってー!?
 ‥‥‥い、いやまぁ、ともかく。話を続けよう。
 そんな感じでぶらぶら歩いてる時に結構色んな人に声をかけられてるようだったな。
 それとなくその内の一人に話を聞いてみたんだが、彼女、いつも月の決まった日にだけこうして街に出てくるそうだ。その日以外彼女がどこで何をしているかを知ってる人は誰もいないみたいだな。
 で、適当に歩いているからか、細い裏路地にまで入っちゃうんだよなぁ。本当、適当にも程があるよ。
 そしたらだ‥‥まぁ、運の悪い事に、所謂ごろつきという奴らが居まして。
 ごろつき数人がコレットさんを見ると、やっぱりというかなんというか囲みはじめて‥‥。
『おぉっと、嬢ちゃん。こんな所に何の用だい?』
『ま、そっちに用が無くても、こっちに用ができちゃったんだけどねぇ』
『いけないなぁ。こんな所に一人で入ってきちゃいけませんって教わらなかったかなぁ?』
 いやもうやばいと思ったね。何故かお約束のようにごろつき全員‥‥あ、5人居たんだけど、5人とも筋骨隆々で。
 そんなのが囲んでるわけだからコレットさんも相当なピンチで。
 だっていうのに彼女、全然物怖じしてないで。
『はぁ‥‥まだこんなのが街中にいるとは‥‥』
 とか言ってたし。
「そんな状況でお前は何を?」
 ‥‥物陰に隠れてた。
 いやいやいやいや、まぁ、あれよ? この状況はやばいと思ったわけで、すぐに俺は人を呼びに行ったわけですよ。
 場を離れて‥‥そんなに時間経ってなかったと思うんだけど。
 6人ぐらい連れて、再び裏路地に戻った俺が見たものは!
 ―――何故か倒れてる5人のごろつき。
 とりあえず起こして話を聞いてみると、コレットさんがその場に落ちている棒っきれで5人全員を倒したらしいけど‥‥。
 いやいやいや、ますます何者だよって感じで。
 ‥‥で、その日はもう彼女を見つける事はできなかった。

 回想終了。

「うん、お前の駄目さ加減がよく分かる話だった」
「何でだよ!? 彼女の謎が気になるだろ!?」
「それはそうだが‥‥」
「で、俺は思ったわけだ。これはもう冒険者達に任せて彼女の正体を暴いてもらおうってな!」
「ふーん」
 すると、かちゃかちゃと様々な書類を取り出す同僚。
「それで、依頼金はどれぐらい用意してるんだ?」
「やっぱり金取るのかよ!!」
 こうして、ギルドの受付係の青年が自腹を切って、ギルドに依頼を出す事になった。
 謎の女性について調べてほしい、と。

●今回の参加者

 ea2856 ジョーイ・ジョルディーノ(34歳・♂・レンジャー・人間・神聖ローマ帝国)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3075 クリムゾン・コスタクルス(27歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea4295 アラン・ハリファックス(40歳・♂・侍・人間・神聖ローマ帝国)
 ea7754 ミューツ・ヴィラテイラ(19歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 ec2813 サリ(28歳・♀・チュプオンカミクル・パラ・蝦夷)

●リプレイ本文

●情報収集
 キャメロット。イギリスでもっとも活気がある都市であり、冒険者達も多く集まる街。
 さて、謎の女性を調べる為に集まった冒険者達は一先ず分かれて行動していた。情報収集の為である。

 キャメロットの通りに展開されている商店の数々、それらに話を聞いているのは2人の女性。
 彼女達は謎の女性‥‥コレットと親しげに話をしていたという果物屋に声をかけていた。
「コレットさんに一目惚れした方がいて、名前は偶々耳にしてわかったらしいのですが、中々会えずに塞いでいるようなので‥‥」
「だから、どこに行けば会いやすいのか、とか知ってたら教えてほしいんだが」
 サリ(ec2813)とクリムゾン・コスタクルス(ea3075)だ。ある意味対比が取れているペアだ。何が、とは言わない。
「ほう‥‥コレットちゃんにか。他の男の為にってのが癪だが、レディーの頼みなら断れないな」
 そう言いながら、さりげなく自分の店の商品を勧めてくる店主。というか買わなきゃ教えないといった雰囲気だ。この親父、やり手である。
 なんだかんだで結局いくらか買う羽目になってしまったが、ある程度の情報を聞く事はできた。
 コレットが出没した時のルートなどは不確定だが、一応よく寄る場所などがあるようなので、そこを中心に行けば会いやすいだろう。
「しかし‥‥この調子で聞き込み続けようと思ったら」
「えぇ、荷物が大変な事になりそうですね‥‥」
 近くの商店の主達が先程までのやり取りを見ていたようで、目を光らせていた。

「ごろつき5人を同時にか‥‥手練れだな。変態撲滅部隊の一員とかか?」
「凄いわよね。私なんか相手を誘惑して酒場に連れ込んでポイゾンで一服盛って、ボッコボコにする程度しかできないもの」
 そんな物騒な会話をしながら街道を歩くカップル―――いや、正しくはカップルに見せかけて歩いている男女。アラン・ハリファックス(ea4295)とミューツ・ヴィラテイラ(ea7754)だ。どう考えても突っ込みどころのあるミューツの言葉だが、アランは気にする事なくスルーしている。彼の紳士道か、それともただ単にそれ系の発言に慣れているだけか。
 彼らはカップルを装い、コレットが現れた行動経路で聞き込みなどの調査をする‥‥というのが調査方針である、が。
「依頼とはいえ、街中を異性と一緒に2人きりとは久しぶりだな‥‥宜しく頼むぜフロイライン」
「ふふ‥‥こちらこそよろしくね?」
 並んで歩く2人の間の距離は、近い。それどころかアランはミューツの腰に手を回したりと、ふりではなくまるで本物の恋人のようだ。
「この依頼に限ってだが俺たちはカップルだ‥‥怪しまれたら、キスでもしてみるか? お前みたいないい女となら何時でも歓迎だ」
 ニヤリと誘うような笑みを浮かべながら言うアラン。それにしてもこの男、ノリノリである。
「エルフで聖職者の私を誘うとは中々勇気があるわね。ふふ‥‥どうしようかしら? こんな人目の多いところじゃ恥ずかしいかしら?」
「オーケイ、人目の無い所ならいいんだな」
 アランだけでなくミューツもノリノリであった。ただ、2人ともやるべき事はちゃんとやっているので問題はない。
「あら、じゃあそこの物陰にでも入ってみる?」
 ‥‥‥問題ない筈だ。

 表だけではなく裏を調査する冒険者もいる。ジョーイ・ジョルディーノ(ea2856)だ。
 彼曰く、盗賊の自分には酒場や裏路地などのそっち方面が向いているそうだ。
 そんな彼が見つけたのは体のあちこちに包帯を巻いた男達。荒くれの者達が怪我をしているのはそう珍しい事では無いが、せっかくだからジョーイは聞き込みをしてみる。
 相手の男達もジョーイの事を知っていたのか――裏稼業としての名声か、冒険者としての名声かはともかく――逆らわない方が身のためだと分かっているようで、聞き込みには応じた。
「げ、あの女の事か‥‥」
「ん? あんた‥‥もしかして実際にコレットに倒されたってやつか?」
 まぁ‥‥と恥じるように顔を伏せる男。大の男が女性にあっさり倒されたのだから恥ずかしがるのも無理はないかもしれない。
「いやでもあの女、絶対ただもんじゃねぇって! ありゃ間違いなく剣をやってるやつの動きだ。しかも護身とかそういうレベルじゃねぇ」
「確かに、5人相手に勝つとなったら並みの技術じゃどうにもならないのは事実か」
 そのように聞き込みを続けていると、他にもコレットに倒されたらしいごろつきの話を聞く事ができた。しかも事前に話に聞いた5人だけではなく結構な数が彼女に倒されているようだ。女性に倒されたとあっては恥ずかしいらしいから、なるべく口外しないようにしていたらしい。
「奇妙な事といえば、彼女がごろつきと出会った場所での騎士の見回りが強化されてるらしいが‥‥さて、これは偶然かね」

 ジョーイ以上に裏の場所を調査する者もいた。
 森里霧子(ea2889)‥‥彼女が調査する場所、とは。
「ところでこの褌を嗅いでくれ。こいつをどう思う?」
 すごく‥‥怪しいです。
 彼女が手に持っている褌はギルドの依頼で退治された変態のつけていた褌だ。それをペットの犬に嗅がせて変態が出没するポイントを探し当てようという事なのだが‥‥犬が凄く可哀想になる。でも付き従う犬。健気だ。頑張れ、超頑張れ。
「変態依頼常連女性‥‥略して変態女性か。ああいう場所は、その筋の人を惹きつけるからね」
 その略し方はおかしい。そして興味シンシンの霧子もその筋の人という事でいいのだろうか。
「あ、私は対変態のため、罠技能を磨くため純粋に変態ホイホイに興味があるだけだ」
 誰への言い訳だろうか。それはそれとして。
「‥‥む、これは近々変態が出没する予兆なのだろうか」
 褌が、落ちていた。

●ザ・謎の女性
 そして3日目。情報に間違いが無ければコレットが街に現れる日である。
 冒険者達のこの日の目的はコレットと直接会い、話をすること。各々情報を基にコレットが現れそうな場所で待機する。
 ちなみに、ギルドで待機する事を選んだアランだが、彼はコレットと会う事ができなかったのをここに記しておく。
「‥‥まぁ、常にギルドに依頼を持ち込むとは限らんしな」

 街中を歩く白い服を纏った金髪の女性‥‥コレット。
 彼女はいつものように、無軌道に散歩しつつ、周りを色々物色するように見ている。
 そんな彼女に一番最初に声をかける人物。
「あの、ちょっといいかしら?」
「はい?」
「最近キャメロットに来たばかりでよく分からないんだけど‥‥此処の教会の礼拝はいつあるのかしら?」
 普通の聖職者を装って話しかけるはミューツ‥‥いや装ってない。彼女は元から聖職者だ。装ってるとしたら、最近キャメロットに来たばかりという点だろうか。
「えっとですねー‥‥」
 初対面でのいきなりの質問だが、コレットは嫌な顔一つせず質問に答える。
「あぁ、そうなのね。本当にありがとう。‥‥あなたはこの地域の住民なのかしら?」
「そうですねー。出身はまた別ですが、こっちに来てから相当経ちますしねー」
「へぇ‥‥そうなの」
 そんな当たり障りのない会話を続けながら、ミューツはコレットの身なりをさりげなく観察する。
 見る限り、衣服はやはり安いものではなかったし、立ち振る舞いもそれに相応しきものを感じさせる。
 つまりは、貴族のそれだ。
(「貴族なら、有料の依頼も出せるでしょうしね‥‥」)
「あ、と、もう行ってもよろしいでしょうかー?」
「えぇ、呼び止めてごめんなさい。そしてありがとうね」
「いえいえー」
 そしてコレットはミューツに別れを告げると、すたすたと人込みの中へと消えていった。

 街中を歩くコレットに話しかけるは1人の男性。
「こんにちは、お嬢さん」
 ジョーイだ。
「えっと‥‥何の御用でしょうか?」
「何、俺は冒険者のジョーイといってね。あなたが変な依頼をよく出すというから、興味を持って‥‥ね」
「私に、ですか?」
「俺も妙な連中には結構関わりがあってな」
「関わり‥‥ですかー」
 観察するようなコレットの視線がジョーイのある一点で止まる。それはジョーイの鞄から顔を覗かせる禁断のオカリナ‥‥同性への愛の歌を語る時に使うとよいとされるオカリナである。
「‥‥‥関わり、ですかー」
「え、いや、何か誤解してないか!? 俺はそっちの気は全く無いぞ!」
 コレットが生暖かい視線をジョーイに向けていると、そこにまた別の声が割って入る。

「あーっと、ちょっといいかな?」
「今日はよく声をかけられますねー」
 コレットへの呼びかけ。彼女がそれに振り返ると、そこに立っていたのはクリムゾンとサリだ。
 2人が話しかけたことで、ジョーイは空気読んで場から離れる。‥‥誤解が解けたかどうかはともかくとして。
「ギルドに依頼をよく持ち込んでくるのはあんたかい?」
「えっと‥‥まぁ、持ち込むといえば持ち込みますね」
「あたい、キャメロットに移転してきたばっかりの冒険者なんだ。もしかしたらこれからも縁があるかもしれねぇな。よろしく」
 にっこりと笑みを浮かべて、手を差し出すクリムゾン。コレットも微笑で返すと、その手を取る。
「‥‥でも、私と縁ができるって事はそっち系の依頼を受けるって事ですけど大丈夫ですかー?」
「褌姿の男の人が出てくるんだって? そんくらいのこと。褌姿の男なら、ちょっと前までいたジャパンにいっぱいいるからな」
「ははー、間違ってはいませんけど。うーん‥‥実際に依頼を受ければ分かるでしょうかね」
 クリムゾンはキャメロットの怪異の恐ろしさを―――まだ知らない。
 彼女が真実を知る日が来るかどうかは‥‥また別のお話。
 そして、これまたクリムゾンと同じくフレンドリーにサリが話しかける。
「影ながら街を守るなんてすてきですね。拘りがあるのですか?」
 確かに間違っちゃいない。街を守っている事には。‥‥だが素敵だろうか?
「拘り‥‥といいますか。やはり街は平和な方がいいですから」
「騎士に任せるってのは?」
「‥‥それができたら一番いいんですけどね」
 ふぅ、と嘆息一つ。今までのコレットの会話の中で、一番彼女の感情が出ているような言葉であった。
 ちなみに、騎士が変態達に勝利したという報告は‥‥そう無い。
 2人に見られている事を思い出したのか、コレットは先程の一瞬の雰囲気をすぐに吹き飛ばし、明るい笑顔を2人に向ける。
「っと、すみません。変な所お見せして。あ、せっかくだし街を案内しましょうか? クリムゾンさんは久しぶりにこの街に来たそうですし」
「それはありがたいけど‥‥ん? なんであたいの名前‥‥」
「これでもギルドに依頼を出す身ですから、有名な冒険者の方は知ってますよー」
「そうなんですか‥‥。あ、私もご一緒してよろしいですか?」
「えぇ、勿論ですよー」
 こうして、コレットはクリムゾン、サリと共にキャメロットの街中を見てまわることになる。
 地味にジョーイもついていきながら。

 コレット達は街中を歩き、コレットが様々な場所を2人へと紹介していた。ジョーイはそれを少し離れた所から見守る、といったところか。
 と、その行く手に立ちはだかる1人の女性が居た。‥‥霧子である。
「ふ‥‥来たようね‥‥」
「あ、あなたは‥‥!」
 霧子とコレット。出会った瞬間に芽生える何か。周囲の人物置いてけぼりである。
「やっぱり‥‥その筋の人間のようね」
「いえ、そこは否定しておいた方が人として正しい気がしますので、否定しておきますねー」
「今更とぼけちゃって。‥‥私もね、対変態依頼を出したいンだ。どうやったらそんなに変態を見つける事ができるか教えてほしいものだね」
「また変わった人ですねー。変態なんて会わない方がいいに決まってるのに」
「あくまでもそういう態度を取るか‥‥」
 やれやれ、と芝居がかった様子で溜め息をつく霧子。そして、彼女は自分の懐に手を伸ばす。
「これを見ても、変わらずいられるかね?」
「そ、それは‥‥!?」
 霧子が懐から取り出したのは‥‥‥褌。そう、昨日拾ったものだ。
「裏路地で拾った。‥‥あんたならこの意味が分かるだろ?」
「くっ‥‥」
 周囲の人は置いてけぼりだが、2人の間では通じ合ってるらしい。
「なぁ、褌が落ちてたのがそんなに重要な事なのか? いや確かに褌なんてそう落ちちゃいないが」
「‥‥色々とあるんですよ」
 2人の様子を見ていたクリムゾンの疑問。何となく分からないでもないサリは、やはりキャメロット歴が長いからか。
「すみません、私の案内はここまでのようです。‥‥調べなくてはならない事ができました」
「え、あぁ、構わないが」
「それでは失礼します。‥‥キャメロットを守る為にも」
 コレットは走って、その場を去る。冒険者達を振りきって。
 その横顔は、先程までの緩んだものとは違い、凛々しく、街を守る‥‥という意思が込められていた。
「キャメロットを守る為‥‥まるで騎士のような方ですね」
 思わず、サリがそう呟いたのも分かる話だ。

 ただ、相手は変態なのが締まらない話だ。