小さな勇者?
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:刃葉破
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:8人
サポート参加人数:3人
冒険期間:07月29日〜08月03日
リプレイ公開日:2006年08月06日
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●オープニング
「こりゃあ‥‥とんでもないもん見ちまったぞ!」
何かを見た少年。
「何だよ‥‥。何で信じてくれないんだよ。‥‥こうなったら、おいら一人で何とかしてやる!」
見た何かを母親に話したが、信じてもらえなかった少年。
「奴らは4匹か‥‥。武器も鎧も持ってるな‥‥」
自分の力で何とかしてやると思い、何度も調査する少年。
そして事件は起こった。
「こりゃあ‥‥‥酷いな」
「うぅ‥‥! どうしてこんな事に‥‥!」
ある村の広場で集まる村人達。
怒る者、悲しむ者‥‥反応は様々であったが、原因はただ一つ。森で発見された男だ。
男はその村の猟師で人当たりも良い好青年であった。
或る日、狩りの為に森に行き‥‥その翌日に死体となって発見されたのだ。
頭部を棒のようなもので思いっきり殴られた跡があり、それが致命傷になっていた。
「おいおい、一体何にやられたんだ?」
「あっ、そういえば!」
一人の女性が思い出したように声をあげる。
「3日ぐらい前だったかね。うちの息子が森の近くでバケモノを見たとか言ってね。与太話だと思って相手にしてなかったが‥‥」
「何でそれを早くに言わないんだ!!」
「うぅ、すまんねぇ。確か‥‥熊みたいで猪のような顔をしていただとか」
「何でそんなのが近くの森に‥‥いや、ともかくこのまま放っておけば‥‥」
「この村がそのバケモノに襲われちまう!」
一瞬の沈黙。そしてざわめき。
「ギルドに頼むしか‥‥無いか」
一人の男がそう言い、村の代表がギルドへとバケモノ退治を依頼する事になったのだ。
「成る程‥‥わかりました。特徴をまとめると‥‥バグベアですかね」
話を聞き、要点をまとめていくギルドの受付係の青年。
「後、そちらで何か分かった事はありますか?」
依頼を受け付けながら、この時点で依頼書に書ける事があれば‥‥と思い依頼人に聞く受付係。
「そうだな‥‥。そのバケモノを見たって子供からの情報なんだが」
現状、唯一の目撃情報である。例え子供の情報とはいえ重要だろう。
「とりあえずその子供が言うには4匹、らしい。後、武器は棒で、かなり汚れていたが鎧を装備しているらしい」
「‥‥? 何だか妙に詳しいですね」
「あぁ、いやな。その最初にバケモノ‥‥えーと、バグベアといったかな。それを見た子供が母親にバグベアの事を話しても信じてもらえなかったとかで。自分の力で何とかしてやるとでも思ったんだろうな。何度か森に入って調査してたらしい」
「それは‥‥何とも」
一歩間違えれば死んでいたであろう行為。それは勇気ではなく無謀であった。
「でな、バグベアの棲家とでもいうのかね。そういうのも突き止めたそうだが‥‥話そうとしない」
「何故ですか?」
「自分も連れてけ、だとさ。あの年頃の子供によくある英雄思考さ」
「それは‥‥困りましたね」
「だろ? 何を言っても、話そうとしない。普通、飯抜きとでも言われたら話すもんだがそれでも話そうとしない。困ったもんだよ」
はぁ、と溜め息をつく依頼人。とにかく色々と説得し、それでも無理だったのだろう。
「冒険者の方々には迷惑をかけるだろうが、ちょっと現実を見せてやってくれや」
そう言う依頼人。そして受付係は纏めた依頼の備考の欄にこう書くのであった。
『要護衛、小さなお供』
●リプレイ本文
●戦うということ
「おいらはティアールだ! よろしく頼むぜ!」
そう元気に挨拶する少年、ティアール。今回の敵、バグベアについて誰よりも知っている少年。
そして、戦いを知らぬ故に戦いたがる少年。
彼は今回依頼を受けた冒険者達の前で胸を張るように立ち、話していた。
「えぇ、よろしくね。私はビルジニー・ダルクよ」
「軍船乗りのイレクトラ・マグニフィセントだ、よろしくな」
挨拶を返すビルジニー・ダルク(ea2788)とイレクトラ・マグニフィセント(eb5549)。
余談だがビルジニーは保存食を持ってくるのを忘れており、旅商人から高値で保存食を買う羽目になっていた。
「私はシルヴィア・クロスロードです。よろしくお願いします。‥‥それにしても、怪我とかが無くて本当に良かったです」
1人でバグベアの調査を続けていたというティアールの無事を確認し、ほっと溜め息をつくシルヴィア・クロスロード(eb3671)。
「へへっ! そんなのおいらにかかれば簡単な事さ!」
「すごいのね。私、そんな勇敢な坊や大好きよ」
少し調子に乗った風のティアールを後ろからぎゅっと抱きしめて耳に息を吹きかけながら言うフィオナ・ファルケナーゲ(eb5522)。
「うわぁぁぁ!?」
驚くティアール。別にフィオナが押し付けてくる豊満な胸に驚いたわけでもなく、単純にいきなりの背後からの声に驚いただけである。
「だから、そんなあなたが冒険して分かったことを、お・し・え・て」
そんなティアールの前に回りこみ、妖艶な笑みを浮かべながら話を聞こうとするフィオナ。
「あ、あぁ、うん。いいけど‥‥おいらも連れてってくれるんだよね?」
情報を教える条件。それはティアールもバグベア退治に連れていくこと。
「‥‥えぇ、良いわよ。でも、条件があるわ」
とOKを出すが更に条件を出すビルジニー。
その条件とは戦闘になったら少し離れた目立たない茂みに隠れていることである。
「モンスター退治とはとても危険な事です。下手したら命を落とす事も‥‥」
「確かに君の調査は素晴らしいものだろう。‥‥しかし、やはり暴走して命を落とすような事はしてほしくないな」
ビルジニーの言葉に続けて言うメアリー・ペドリング(eb3630)。
「中々見所はあるしな。だからこそ、無謀な事はやめてほしい」
自分の身を思ってくれる言葉、そして自分を評価してくれる言葉。
その言葉にティアールは嬉しくなる。
「うん、わかったよ。おいら、ちゃんと隠れて邪魔しない!」
そう誓うティアール。そして彼は自分の知っている情報を話し出した。
バグベアの棲家。その周りの地形。バグベアの装備や行動範囲などである。
ただ、さすがに言葉では伝えきれない事もあるから、地形などは現地で判断する事になるだろう。
「お前一人で調べたのか? なかなかやるな」
そう誉めるのはウル・バーチェッタ(ea8466)。
だが、彼の心中としてはやはり。
(「正義感に駆られた行動、それはいい。しかし実力が伴わなければ無謀なだけだ」)
と、今回のティアールの行動に批判的だった。
「んもう、そんな難しい顔してどうしちゃったの?」
「‥‥離れろ」
そんなウルに抱きつくようにするフィオナ。きっとウルは彼女の好みなのだろう。
「ほっほっほっ。まぁ、ともかくそろそろ出発するとしようかのう」
「そうですね。バグベア4体の退治、厳しいですが頑張ります」
小丹(eb2235)がドジョウ髭を撫でながら――もっとも付け髭だが――言い、メグレズ・ファウンテン(eb5451)が相槌をうつ。
「えーっと。それじゃあ行こうか!」
そして一行は森へと入っていった。
●わなわなパニック
「ここらへんが良さそうじゃのう」
「そのようだな。では仕掛けるとしよう」
森に入った一行はバグベアの棲家の近くまで来ると、ティアールから聞き出した情報を元に、罠の設置を始めた。
小は高いところのロープを張る罠などの罠を作ろうと考え、罠のある場所に白い布を巻いて味方の目印へとする。
ウルは低いところにロープを張り、それで転倒を狙う罠をかなりの量作っていた。
「もうちょっと左に寄った方がいいだろう」
「では、こんな感じでしょうか?」
メアリーとシルヴィアもロープを張る罠の手伝いをする。
「このまま順調に罠の設置が終わればいいのですが‥‥」
不意の襲撃に備え、周りを警戒するメグレズ。
「こちらファルケナーゲ。北西の方向にバグベアを発見。こっちに向かってきてるわ」
「なら、そろそろ切り上げさね」
空を飛び、優れた視力で周囲を警戒していたフィオナがバグベアを見つけるとテレパシーでその事を仲間達に伝える。
できれば奇襲するように攻撃したいので罠の設置をある程度で切り上げ、茂みに隠れる。
結局、設置できたのはロープを張る罠ぐらいであった。
「‥‥戦いというのはどういうものか、ちゃんとその目で見てね」
主戦場となるであろう場所から少し離れたところで一緒に隠れるビルジニーとティアール。
ティアールはその言葉にこくんと頷いて、戦場を真摯な瞳で見る。
「来ましたね」
「そうじゃの」
そしてメグレズと小はバグベア達の前に姿を表す。目的は罠までの誘導。
4匹のバグベア達は2人を確認すると、グヒィーと叫び声を上げながら走り出す。
小の方に2匹、メグレズの方に2匹であった。
2人はすぐさま逃げ出すが、足はバグベア達の方が速い。第一の罠に誘導する頃には追いつかれていた。
「グヒヒヒ!! フヒ!?」
小とメグレズはそれぞれバグベアが罠に引っかかるように移動し、その結果バグベア達は引っかかる。
勢いよく走っていたために、首や足にロープが引っかかると、そのままの勢いでこけてしまったのだ。
但し、それでこけたのは2匹のみ。残りの2匹は引っかかる事は引っかかったものの、こけるまでいかず耐えたのだ。
「‥‥そこだっ!」
こけなかったバグベアが居たものの、今が攻撃のチャンスには変わりなく、茂みから体を出して倒れてるバグベアの1体に矢を放つウル。
「グギャー!?」
その矢はバグベアのちょうど鎧が無い所に当たり、効果的なダメージを与える。
「今です!」
そのウルの攻撃を切欠とするように茂みからシルヴィアが飛び出し、また別の倒れてるバグベアまで走る。
そして武器の重さを生かした強力な一撃!
倒れてるバグベアは回避もままならず、相当なダメージを受ける。
「グギアア!!」
仲間達がやられてる様子を見て、激昂して棍棒を一番近くにいた小に向かって振り下ろすバグベア!
「おぉっと、甘いのじゃ!」
その攻撃を十手で何とか受け止めると、もう片方の手に握っている剣によるカウンターアタック!
また、それと同時にバグベアの顔面に矢が刺さる!
「よし、うまく当たったさね!」
それはイレクトラの放った矢。
そして別のバグベアは。
「撃刀、落岩!」
と、思いっきり剣を振り下ろすメグレズ。しかしその大振りはバグベアにあっさりかわされ、棍棒による反撃を食らってしまう。
「つっ!?」
だがここでバグベアに魔法による重力波が襲い掛かる!
「大丈夫ですか?」
メアリーの放ったグラビティーキャノンである。彼女は周りの様子をよく見た上で放ったのだ。
「えぇ、ありがとうございます! ‥‥撃刀、落岩!」
グラビティーキャノンにより転倒したバグベア。メグレズは今度こそ、と転倒したバグベアに思いっきり剣を振り下ろし、当てる。
「月影に狂え、月下に汝の醜態を晒せ」
また、フィオナのコンフュージョンの詠唱も終わり、発動。
傷ついたバグベアにはそれを抵抗する力も残っておらず、見事に術にかかる。
「ぐ、ごぁ!」
「ゲギャァ!?」
コンフュージョンの効果により味方を攻撃するバグベア。その隙を逃す事なく、イレクトラが矢を放つ。
そしてウルは隠れてるティアールのいる茂みに近づき、矢を構えながら言う。
「いいか。このように戦闘では一歩間違えば命を落とす事だってありうるんだ。安い正義感や思い付きでやるようなもんじゃない」
そう言ったウルの放った矢は、1体のバグベアの鎧を突き破って胸に刺さり、命を奪った。
「‥‥‥‥‥う、ん」
その光景を見ながら、ただ頷くしかないティアール。
「では、後は一気に畳み掛けるのじゃ!」
後は数で上回ってる冒険者達の連携攻撃により、バグベア達は倒されたのであった。
●勇者って?
全てのバグベアを退治し、小は罠の解除を、ビルジニーは適当な床に埋葬を行っていた。
その作業が終わると、ビルジニーはティアールに声をかける。
「偉かったわね、おかげでバグベアを簡単に倒すことが出来たわ。でも、出来るだけ危険だと分かっていることに近づいちゃダメよ」
「‥‥‥うん」
しおらしく答えるティアール。戦いを見て、危険な事がよく分かったのだろう。
「これが戦いというものだ。実際に見ていかが思う?」
「‥‥怖い、と思った。生死がかかってて‥‥上手くは言えないけど」
メアリーの疑問にぽつぽつと答えるティアール。
「もう大丈夫ですよ。よく頑張りましたね。‥‥まだ、勇者になりたいですか?」
そんなティアールに質問をなげかけるシルヴィア。
返事は中々返ってこず、ティアールは俯いたままだ。
「貴方の勇気は認めます。でも、貴方も一歩間違ってたら先に殺された人のようになってました。村を貴方の死で悲しませたいんですか? ‥‥村ではどうすることも出来ない危険な事をするために、冒険者ギルドがあるのですから」
静かに諭すように言うメグレズ。
「‥‥‥勇者には、なれなくてもいい」
ぽつりと口を開くティアール。
「でも! 今回のあなた達のように‥‥いざとなったら守りたいものを守れる冒険者になりたいと思った!」
ティアールは瞳を輝かせて言う。
「‥‥では冒険時の話でも聞かせてあげよう」
そんなティアールにメアリーを始めとして、一同は今までの冒険談を話すのであった。