多分スーパーな兄弟
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:刃葉破
対応レベル:1〜5lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:6人
サポート参加人数:2人
冒険期間:08月12日〜08月17日
リプレイ公開日:2006年08月13日
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●オープニング
夜のキャメロットに2人の男‥‥。
1人は馬に乗り、1人は歩いていた。
普通ならそれはどうでもいい事だろう。
しかし‥‥彼らは普通ではなかった。
「くはぁ。やっぱキノコはスクリーマーに限る!」
馬に乗った男はスクリーマー‥‥キノコ型のモンスターを左手に持ち、それに噛り付くように食べていた。
スクリーマー自体は生で食べても問題無いのだが、味付けをまったくしない辺り中々豪気だ。
そんな彼は右手に巨大なハンマーを持っていた。
つまり両手は塞がっていて手綱を持っていないのだが、馬をちゃんと乗りこなしてるあたり、強い絆で結ばれているのだろう。
彼は身長はそんなに高くないが、とても筋肉質な体をしていて、いかにもファイターといった感じである。
「兄さんばっかりずるいや‥‥。スクリーマーもだし、ウィッキーも兄さんばっかり乗ってるし‥‥」
と、もう1人の男。彼の言葉によると馬の名前はウィッキーというらしい。
彼はとても身長が高く、筋肉も結構ついているのだが、何故かひょろひょろとした印象を拭えない。
「何を言う! これは兄特権というやつだ! 大体、お前は後ろからファイヤーボム撃つだけなんだから馬に乗らんでもいいだろうが」
馬に乗った男‥‥つまり兄の方が言う。歩いてる男‥‥弟の方はウィザードらしい。
「適材適所‥‥言う事は分かるけども。じゃあスクリーマーぐらいくれても」
「ならば自分で採ってこい!!」
ガツンッと馬の上から弟をハンマーで軽く殴る兄。弟はそれを受けて涙目になりながら溜め息を吐く。
兄弟の様子を見て、軽く笑ったような表情をした馬のウィッキー。
馬といってもただの馬ではなく戦闘馬。舌を出した時に普通の馬よりかなり長い気がするが、きっと気のせいだろう。
そんな彼らが道を歩いていると、1人の男が目に入る。
別に泥棒だとかそんなのではなくただの一般市民だ。この兄弟に会ったので不幸度としてはかなり高いものだろうが。
「あ、兄さん!」
「分かってる。行くぞ!」
その男に向かって走り出す2人。1人は馬に乗ってだが。
「ん‥‥? なんだ―――ってうわぁぁぁぁ!!?」
どう見ても怪しい兄弟を見て、逃げ出そうと走る男。
だが、さすがに馬の速度から逃げられるわけが無く、簡単に追いつかれる。
ドガァン!!
兄の方がハンマーを男の目の前の地面に叩きつける。それを見て、男は腰が抜けて地面に座り込む。
そこにやっと弟の方が追いついた。
「貴様‥‥敵だな!」
「逃げ出すとは敵だな!」
「いや、あんたらみたいな怪しいの見たら逃げ出すのが普通―――うわぁぁぁ!?」
兄弟は男を羽交い絞めにすると服をぽんぽーんと脱がしていく。
「やっぱり敵だ!」
「あぁ、僕らの宿敵の亀だ‥‥!」
兄弟は男の一点を凝視すると目に敵意の炎を宿らせる。
「この亀は‥‥俺のキノコで退治するしかないな」
「さすが兄さん!」
「うわぁぁぁぁん!! お母ちゃぁぁぁぁん!!!!」
兄の方が怪しい手つきで男ににじり寄ると、夜のキャメロットに叫び声がこだました。
「と、いうわけで最近キャメロットに出没している変態兄弟を退治してください」
「何がどういうわけなんですか!?」
そんなギルドの依頼人と受付係の会話。
「変態兄弟の兄の名前はマイロ、赤い服が特徴的です。弟はルギイ、こちらは緑の服が特徴的ですな」
「勝手に話を進めないでくださいよ!?」
そんなこんなで、ギルドにスーパーに変態な兄弟を退治する依頼が持ち込まれたのであった。
●リプレイ本文
● Here we go!!
「現れてしまったのですね‥‥また変態さんが‥‥このイギリスに‥‥。この事態を放っておけば母なる母国イギリスは再び暗黒の闇に包まれる‥‥。変態さんを狩り、男の人の貞操を守るのがボクの仕事‥‥いや、使命なんです!」
夜のキャメロットで星を見ながら誓う少女はダイモン・ライビー(ea4676)。
彼女にとって、この度の変態出現の方は聞き逃せない事であった。
「最近の追い剥ぎは、本当に全部身ぐるみ剥いでいくのですか? ‥‥え? 今回の事件には続きが? ふむふむ‥‥え? ‥‥ぽっ」
ベルティアナ・シェフィールド(eb1878)は今回の事件の内容を詳しく知り、思わず頬を赤らめる。
「と、とにかく。これ以上悲惨な犠牲者を出す前に、一刻も早く駆除致しましょう」
と纏める彼女。そして冒険者達はよく出現すると言われる場所へと移動する。
「何故どうして囮役できる参加者が俺しか来なかったのでしょうか‥‥」
そう呟きながらとぼとぼと歩くのはコウキ・グレイソン(eb5501)。今回この依頼に参加した唯一の若い男である。
恐らく変態達の目的は男。それを見越して1人で街を歩いているわけだが、やはり気が重くなる。
「兄さん! いたよ、我らが宿敵を連れてそうな男!」
「うむ、なんとも立派そうだな!」
「だって、こんな変態の相手したくないですし!!」
歩いているコウキの前に突如現れた2人の男、マイロとルギイ。
情報通りの格好で、いかにも危ないオーラを出している。
そんな兄弟を見て、作戦と、そして本能の警鐘に従い走り出すコウキ。
「ははははは! このウィッキーから逃げれると思うな!」
戦闘馬に乗ったマイロはそのまま馬を駆り、コウキを追いかけていく!
馬がウィッキーと鳴いたような気がしたが絶対気のせいである。そう思おう。
「うわぁぁぁぁ!!!?」
やはりどんなに頑張っても逃げ切る事はできずに追いつかれ、マイロがハンマーを振るう。
コウキは何とか素手で受け流そうと頑張るが、さすがに凌ぎきれず勢いのまま尻餅をついてしまう。
「とーぅ!!」
コウキが倒れたのを見たマイロはすかさず馬から飛び降り、倒れているコウキの上に跨る。
「くそっ!? 逃げられない!?」
「この状態で俺から逃げれると思うな! 何せ俺は故郷では赤きストームと呼ばれた投げ技の達人だからな!」
「兄さん、それは何か違うよ!」
ともかくそんな2人にルギイも追いつき、ぽんぽーんとコウキの服を脱がしていく。
脱がすのに時間がかかるように服の紐をきつく縛るなどしたようだったが、まるで無意味だった。
「ちょっと!? 援護はまだですかー!?」
そんなコウキの叫び。そして援護をすべき仲間達はというと。
「すぐに飛び出したら気付かれて魔法でカウンターを入れられるかもしれませんね?」
そんな理由で、隠れながら見の体勢のベルティアナ。
(「わくわく‥‥どきどき‥‥」)
と何故か心を躍らせながら、ミミクリーで木に化けて様子を伺ってるライビー。
男の貞操を守るのが使命のライビーよ、わくわくしてていいのかというツッコミは恐らく無粋だ。
また襲われてるコウキを中心に面白そうに見ているフィオナ・ファルケナーゲ(eb5522)。
「そういえば亀は珍味っていうけど、口にしたことってある?」
「し、知りませんよ! そんなの!」
そんな言葉をベルティアナに振ってみたり。
「メ、メシィはぁ、まだかいのぉ‥‥」
プルプルと震えながら言うオルロック・サンズヒート(eb2020)。
そんなオルロックおじいちゃんは何故か全裸だった。手に持っている服で大事なところが何とか隠れている。
「おじいちゃん、さっき食べただろ‥‥って何故裸!?」
それにツッコミを入れるのはイレクトラ・マグニフィセント(eb5549)。
彼女は今回参加した冒険者達の中で、数少ないツッコミ系であった。
そんな彼女はベルティアナが飛び出す事を攻撃の起点にしようと考えているので、ベルティアナが飛び出ない限り、彼女も見るだけであった。
「わ、わしの亀さん、昔は、立派だったんじゃがの」
「知らないし、どうでもいいよ!」
オルロックおじいちゃんとイレクトラの様子はまるで漫才だった。
助けてくれる仲間達が、様子を見るだけなのでどんどん脱がされていくコウキ。
「むぅ、これは‥‥!」
そしてある程度脱がしたコウキを見て唸るマイロとルギイ。
「あなた方の貧相なキノコごときで、俺のラージシェルドラゴンを退治できますか!」
もはや開き直って言うコウキ。彼は亀ではなく、そう‥‥。
「すごく‥‥ラージシェルドラゴンです‥‥」
思わず頬をぽっと赤らめるルギイ。
「ふぅーん‥‥成る程‥‥」
何だかんだで遠くからしっかりと見ているフィオナ。
「くっ‥‥こいつは‥‥ボスって事か! いいだろう、相手になってやる!」
指をわきわきと動かすマイロがコウキに迫る!
なんだか色んな意味でピンチだが!
ドゲシッ!!
「ぷろぁっ!?」
ベルティアナが戦闘馬のゼフォンに乗って、マイロに突っ込んだ為に何とか危機を免れる!
「それにしても‥‥こんな変態相手に、戦乙女が加護してくれるのか不安ですが‥‥戦乙女の名にかけて、いざ参りますわ!」
それと同じタイミングで、イレクトラがルギイの方に素早く矢を撃つ!
「うわっとっと!?」
何とかその矢を避けると、ルギイはすぐに魔法の詠唱を始める。
「ファイアーボー‥‥じゃなかった! ファイヤーボム!」
その詠唱の様子を見たオルロックおじいちゃんは、目をキュピーンと光らせ素早く術を完成させる!
オルロックおじいちゃんが発したファイヤーボムとルギイのファイヤーボムがぶつかり合い、相殺する!
「ぶ、物騒なことは、しちゃいかんぞぃ」
何故かかっこよく見えるオルロックおじいちゃん。でも全裸。
その間にフィオナが素早くルギイのところまで飛んでいき、彼の説得を始める。
「あなたはあの男の弟などではないわ。あなたは由緒ある騎士。イギリスのために剣を取り、戦いなさい!」
『んなこたぁーない!!』と思わず、その場にいる者たちの多くが心の中でツッコミを入れる。
「ぼ、僕は‥‥僕は! 兄さんの役に立ちたいんだ!!」
だがそんな説得なぞまるで聞かないルギイ。その兄さんの役に立ちたいという思いは、まるで星のような願いであった。
「じゃあコンフュージョン」
説得が無理だと分かると、すぐさまルギイにコンフュージョンをかけるフィオナ。中々の鬼である。
「あはははー!?」
簡単にコンフュージョンにかかったルギイは周りにファイヤーボムを乱射する!
「フィールド出力最大!」
ライビーの張ったホーリーフィールドの中に避難する冒険者達。マイロとついでにほぼ裸の人が2人ほど巻き込まれていた。
「落ち着け弟よ! 落ち着かぬとお前はまたお留守番の刑に処すぞ!」
「も、もうお留守番は嫌だ!!」
マイロの一喝で正気を取り戻すルギイ。ルギイは中々不遇の日々を送っていたようだ。
だがその隙にオルロックおじいちゃんが何かを取り出す。
それは羊皮紙で作られた星! それは無敵になるための星! それはスーパーな星!
その星を掲げ、オルロックおじいちゃんが煌びやかな炎を纏う! でも全裸!
どこからか軽快な音楽も流れてきそうな雰囲気だ。
実際のところ、オルロックおじいちゃんがフレイムエリベイションを唱えたあと、更にファイヤーバードを唱えて炎に包まれただけなのだが。
「いくのじゃー!」
そのまま兄弟につっこんでいくオルロックおじいちゃん。
「ぎゃー!?」
マイロをお手玉するように突進するオルロックおじいちゃん。
まるでチャリンチャリンという効果音が出そうな見事な叩きっぷりであった。でも全裸。
「あわわわわ!!」
そんな兄の様子を見て、とにかく慌てているルギイ。
「まったく、汚らわしい‥‥」
イレクトラがそんなルギイに向かって矢を放つ。
矢は‥‥ちょうど、彼の尻に刺さった。
「はふぅ!?」
「ね、狙ってない! そんなとこ狙ってないぞ!?」
偶然の悲劇。喜劇かもしれない。
「くらえー! てんちゅー★」
そんなルギイに追い討ちをかけるかのようなライビーのディストロイ。
「あっ‥‥‥」
それはルギイの何かを‥‥砕いた。
マイロの方はやっとこさお手玉から解放されて地面に落ちる。
「くそっ! だが‥‥まだだ!」
起き上がろうとするマイロ。ベルティアナは戦闘馬のゼフォンに跨ったまま近づく。
「ゼフォン!」
彼女の命令により、足を振り上げたゼフォンは、勢いよくマイロのとある部分に足を振り下ろし‥‥。
「あっ‥‥‥」
それはマイロの何かを‥‥砕いた。
●GO TO NEXT WORLD!
まるで魂が抜かれたかのような表情をしている兄弟を縛り上げる冒険者達。彼らはテムズ川のほとりにいた。
ちなみに、戦闘馬のウィッキーはいつの間にか居なくなっていた。
「まったく‥‥」
服を着て落ち着けたコウキが兄弟の頭をガツンと殴る。
「スーパーっていうより、むしろマメよねぇ。そんなマメすらも潰されちゃったようだけど」
兄弟の一部分を見ながら言うフィオナ。兄弟の顔からさらに生気が抜けていったような気がする。
「‥‥こ、ここは、どこですかぃのぅ」
大立ち回りを演じたオルロックおじいちゃんは、もういつもの様子に戻っていた。やっぱり全裸。
「‥‥いい加減服を着たらどうだね」
はぁ、と溜め息をつくイレクトラ。そのままドゲシと兄弟を蹴り、テムズ川へと放り込む。
「いいんでしょうか、川を汚して」
ベルティアナは何か心配するベクトルが違うような気がしないでもない。
「世の中に変態さんが蔓延る限り‥‥ボクは戦い続けます!」
星空を見上げながら言うライビー。これ以上変態が出てきても嫌だが、きっと出てくるだろう。
光があるところに闇があるのだから‥‥。