南方に行ってみませんか?
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■ショートシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:11〜lv
難易度:普通
成功報酬:8 G 32 C
参加人数:4人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月22日〜07月02日
リプレイ公開日:2009年06月30日
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●オープニング
会話をする2人分の声。
声の主は2人とも男のものだ。
「―――。頼みたい事があるのだが、よいか?」
「親父が俺に頼み事なんて珍しいな」
「父上と呼べ」
「へいへい、父上」
「‥‥南方の遺跡、そこでの調査をしてもらいたい」
「南方? そういやそこで何か騒動が起きてるってのは小耳に挟んだが‥‥」
「あぁ。何が起きているのか、誰が動いているのか、目的は何なのか、だ」
「なんでまた」
「私の推測が正しければ‥‥動く必要がある」
「じゃあ親父――父上が調査すればいいんじゃねぇの?」
「私は私でする事がある。それにお前の用事は済んだのだろう?」
「あー、まぁな。相手さんがごたごたしてて済まなさそうにしてたが‥‥タイミングが悪かったわ、これは仕方ない。機会があればまだ来てくれって言ってたし‥‥」
「ならば問題は無い。頼むぞ」
「問題ねぇのかなぁ‥‥。ま、それぐらいなら何とでもなるか」
南方の遺跡群に近い、とある村。
今、その地に住む者達の多くは脅えていた。
脅えの対象はフォモールと呼ばれる者達である。
浅黒い肌を持つフォモールは、広義の意味では人間ではあるが、狭義の意味では人間ではない。エルフやドワーフのようなフォモールという種族といえば分かりやすいだろう。
ここ最近になって、彼らが近隣の村を襲ったりしたのである。他にも聞いた限りではどこかの遺跡で暴れたとかなんとか。
山賊などのように食料や金目のものを目当てとしない襲撃。何らかの目的があるようだが、そんなもの村人達が知る由はない。
ただ彼らは脅えるしかないのだ。次にフォモールが牙を向けるのは自分達かもしれない‥‥と。
そんな村人の1人が、狩りの為に近くの森に入ったある日の事だ。
狩人は獲物を逃がさない為‥‥そして自分が獲物にならない為にも細心の注意を払って行動していた。
だから、だろうか。彼らに気づかれなかったのは。
「‥‥‥?」
森の中で、話し声が聞こえたのだ。
不審に思った狩人が、より慎重に声のした方向に近づくとそこに居たのは―――
(「フォモール!?」)
男もいる、女もいる、様々な年齢のものがいる。しかしそのどれもが共通して浅黒い肌に黒い髪を持っている。また腰には剣などの武器を帯びているのが見てとれた。
間違いない、フォモールだ。
彼らは地面に広げた何かを見ながら、何事か話し合っているようだ。
聞こえる声は苛立っているようで、怒っているようで、悲しんでいるようで。しかし、動揺している狩人には話している内容が右から左へと流れていた。
この時、狩人の心を占めていた感情は恐怖。
やつらが何を企んでいるかは知らないが、こんなところにフォモールがいるという事は‥‥村が襲われてもおかしくない、ということだ。
駄目だ、それは駄目だ。いけない。俺には最近産まれたばかりの娘がいるんだ。それを殺されてたまるか――――!
狩人が物音を立てずにその場を立ち去る事ができたの、ある意味奇跡ともいえた。
後日、キャメロットのギルド。
その日、扉を開けて入ってきた者は‥‥珍妙な格好をしていた。
フード付きのマントで体を覆い、その上顔には無地の仮面がつけていた。背格好から恐らくは背が高めの男性かと推測できた。
昨今の情勢が情勢だ。正体不明の男が入ってきたのだから、その時ギルドにいた者達に緊張が走るのも無理は無い。
視線を受け止め――冒険者によっては、いつでも武器を抜けるように身構えている――周囲を一瞥した様子の仮面の男はただ一言。
「へぇ、面白ぇな」
と呟いた。
仮面の男は周囲の観察もそこそこに、受付まで一直線に歩みを進める。
「依頼があるんだが、いいか?」
対応した受付係の青年は、仮面の男を上から下までさっと見る。
長年この仕事を務めた彼が見る限り、男には敵意も殺意もそれに類するものは無いように見えた。
「男に見られる趣味はねぇんだがな」
「これは失礼しました。‥‥話を伺いましょう」
なるべく気づかれないように観察していたつもりだったが、男にはバレていたようだ。
平静を装いつつ、受付係は仮面の男から話を聞く。
「なんか今南の方でごたごた騒ぎが起きてるっていうだろ? だからそれを調べ―――ん?」
仮面の男が依頼が貼り付けられているボードを見て、何かに気づく。
「お、これいいかも」
男が見た依頼書は村の近くの森に集まっているフォモールを退治してほしいというもの。
「遺跡の方はあんま近づくなって言われてるしな‥‥。このフォモールっつうの? 退治ついでに色々情報集めたいんだが」
「はい?」
「まぁ、追加依頼ってやつだ。誰が、何の目的で、何をしようとしているのか‥‥これが知りたいんでな、俺は。だったら当事者っぽいフォモールに接触できた方がいい」
「調査依頼‥‥ということですか?」
「そういうこった。俺は南で何が起きてるかをまったく知らんからな」
つまり仮面の男の話を要約するとこうだ。
男は南方遺跡群で何が起こっているかを知りたい。どうやら男には今までどんな事件が起きたかの基礎知識すら無いらしい。
それを知る為に、このフォモール退治の依頼に便乗しようということだろう。
「依頼を受理するのは構いませんが‥‥フォモール退治に参加する皆さんが、そちらの追加依頼も受けるとは限りませんよ?」
「そうなったらそうなったで適当に動くわ」
「適当にって‥‥。大体、戦闘になるとして、貴方は大丈夫なのですか?」
受付係の青年の言葉を聞いて、仮面の男はニヤリと笑ったような気がした。
「俺より強いやつと戦えるんだったらおもしれぇんだがな」
こうして仮面の男による南方の調査依頼が出される。
「あ、ところで名前を伺いたいのですが‥‥」
「名前? あー‥‥ケニーでいいや」
明らかに偽名の匂いがプンプンしていた。
●リプレイ本文
●仮面の男
キャメロットの郊外。事前に指定された待ち合わせ場所に向かうは依頼を受けた冒険者達。
彼らがそこに行くと、壁にもたれるようにして立っている一人の男が目に入った。
フードを被り、そこから覗く顔には仮面がつけられており素顔は見えない。事前に聞いた話が間違ってなければ依頼人であるケニーだろう。
どうやらケニーもこちらに気づいたようで、壁から離れるようにしながらこちらを振り向く。
「お、あんた達が依頼を受けた冒険者ってやつかい? 俺がケニーだ。よろしくな」
傍目には何を考えているか分からないケニーだが、あくまで気さくに話しかけてくる。
それを受けて返すはゼルス・ウィンディ(ea1661)だ。
「よろしくお願いします、ケニーさん。あ、私ですか? え〜と、見ての通りのカエルくんですよ♪」
「へぇ、名は体を表すってやつかい? ま、よろしく頼むぜ」
頭に被っている蛙の形を模した兜を指差しながら、カエルくんと名乗るゼルス。
それを特に気にしないでいるケニー、恐らくは冗談だと理解した上でだろう。
「いや、それにしても俺の依頼を受けてくれて助かったぜ」
「俺も色々調べてみたいと思っていたからな? 渡りに船だ、手伝うさ」
と言うはマナウス・ドラッケン(ea0021)だ。確かに一連の事件については冒険者にとっても気になる事が多い。だからだろう。
「とりあえず、私達が知っている事は道中にでも話しましょう」
「お、そうしてくれると助かる」
宿奈芳純(eb5475)が一先ずは現地に向かう事を促すと、ケニーはそれに頷き、近くの壁に立てかけてあった袋に包まれた棒のようなものを手にとる。
(「ケニー‥‥怪しい男と聞いたが‥‥。あれが武器だとすると棒か‥‥少し長いか、では槍か?」)
そんなケニーの一挙一動を注意深く観察するはレイア・アローネ(eb8106)。
目的がわからない以上注意が必要だと判断してのことだ。こうして会話の様子を見る限りでは思ったよりは危険な感じはそれ程しないが‥‥。
(「南方遺跡で名を上げたいだけの冒険者かもしれないが‥‥仮面をつけているのはあまりに怪しい」)
するとレイアの視線の気づいたのか、当のケニーが彼女の方へと振り向き。
「なんだ、さっきからじーっと見ちゃって。もしかして俺に惚れたか? いい女は大歓迎だぜ?」
「んなわけあるか!!」
ペースを乱されないように気をつけようと誓うレイアであった。
「噂にゃ聞いてた南方遺跡、と。神が出るか竜が出るか‥‥どっちにしても碌なものじゃないわな?」
「神ってそんな悪いもんなのかねぇ‥‥」
「ん?」
「いや何でも」
出発しようとした時、南方に向かって何が出るかと呟くマナウスに、応えるわけでもなくただ呟くケニー‥‥。
その真意は未だ誰も知らず。
●フォモールの乱
さて、南方の目的の村に向かう道中。
冒険者達は自分の持つ情報をケニーに話しながら、歩を進めていた。
彼らの説明のうち一番分かりやすいものはゼルスのものだろう。
「そうですね。簡単に纏めるなら‥‥古代の神々の争いが現代に蘇ろうとしている、と言えるでしょうか」
「古代の神々? それがどう関係あるってんだ?」
「私は【銀の腕】と呼ばれる神に会い、話を聞きました。その時に聞いた【邪眼】‥‥バロールの存在。そのバロールによって創り出されたフォモール達が悪魔に唆され、虐げられてきたことへの復讐を兼ね、人々の血の穢れによってその封印を解こうとしているのです」
それを聞いて、ケニーは腕組みをして考えるような素振りを見せ、しばらくうーんと唸ったかと思うと。
「つまり、フォモールって連中は悪い神さんを復活させようと色々悪さしてる‥‥ってことでいいのか?」
概ね間違ってない、多分。
「‥‥まあ、この騒動を利用して利益を得ようとしている人間がいるかは、私にもまだ分かりません」
「人間‥‥か」
「ん?」
ゼルスの言葉を聞いたレイアの顔に影が落ちるのは‥‥彼女が人間に虐げられたフォモールの姿を見てしまったからだろう。
だがそれを知らないケニーは、彼女のそれに疑問を覚える。
「いや何。私が体験したフォモールとの抗争の事なのだがな‥‥」
彼女が語るは王宮騎士モードレッド・コーンウォールと共に、フォモールと戦った事。
曰く、彼らは彼らの神の復活の為ならば命が惜しくない事を。彼らの血による穢れが神の復活に繋がる事を。その裏には今まで虐げられてきた過去があることを。
「彼らとて懸命に生きているだけ‥‥。そう考えると、な。‥‥だが、それでも私達は人間だ。人間の味方をやめる事など出来ない‥‥。くだらない悩みと笑わば笑え」
「別にいいんじゃねぇの?」
自らを嘲るように、己の悩みを吐露したレイアに対するケニーの返答は、至極あっさりしたもので。
「人間を守るって一本筋はあるんだろ。それがあるなら戦場でもぶれはせんさ。なら好きなだけ悩んじまえ。悩むのは若者の特権だって言うしな。俺も大して歳変わんねぇが」
それを聞いたレイアはどう思ったのか。だが‥‥なんとなく、なんとなくではあるが、このケニーという男の人柄が分かったような‥‥そんな気がした。
そしてこんな男なら直接的に聞いた方が早いと思い、疑問をぶつける。
「‥‥よし、ぶっちゃけ聞こう。お前の目的は何だ? 何故南方の事を知りたがる」
「分からん」
ケニーのシンプルな回答によって、時間が一瞬止まった気がした。
「いやいや、自分で依頼しておいて分からんとはどういう事だ」
今まで聞き手にまわっていたマナウスが思わずつっこみを入れるのも仕方なし。
「いやそれがなー。俺も『南方の情報集めといてー』って頼まれただけだからさ」
「ふむ‥‥。頼んだ人物は動けないのか‥‥? 誰に頼まれたんだ?」
「あー、親父‥‥だけど」
どうも歯切れが悪い。
それを見てケニーから少し離れたところに居たゼルスは芳純に意見を求める。
「どう思います?」
「嘘は‥‥ついていないように思えますが」
「その心は」
「嘘をつくつもりなら、『分からない』なんて曖昧な言葉よりも、それなりに筋の通ってる理由を説明するものかと思います」
「成る程」
とはいえ、ケニーの歯切れの悪さを説明できるものではない。
「まぁ、なんだ。親父が何考えてんのかは俺にも分からねぇし、あんま気にするなって事で」
結局この場は有耶無耶に終わってしまったのであった。
●目的
何はともあれ、フォモール退治の依頼を出した村まで到着した冒険者達は、狩人を中心として聞き込みをする事となった。
「小さな事件でも、彼らが動く何らかの理由がどこかにあるはずだ」
とはマナウスの言。だからこそ、フォモールが暴れるに足る事件が起きているかもしれない、と。
結果としては、事件と呼べる事件は起きていない‥‥と言える。
この村の住人は今まで特にフォモールと関わったことはないらしいからだ。
だが、強いて言うならば―――
「遺跡‥‥か?」
「と言える程のものではないらしいが」
レイアが聞いたというのは、村の近くに祭壇らしきものがあるという事。
所謂遺跡にしては随分と小さいものではあるが、それでも何らかの遺跡に関わりがあるかもしれない。
「今のところはそこに何かが現れた‥‥という話も聞きませんが」
そう言いながらもゼルスは視線を芳純へと向ける。
「承知しました」
彼が発動するは、インフラビジョン、テレスコープ、エックスレイビジョンの3つの魔法。これによりある程度の距離までどんな生き物がいるか分かるようになる。
芳純は伝えられた遺跡の場所へと焦点を合わせ、その周辺の様子を窺う。
「‥‥1、2‥‥3人、何者かがそこにいますね」
「3人? もう少しいると思ったが‥‥」
芳純の報告を聞き、マナウスは事前に狩人に聞いたフォモールの人数を思い出す。それと合わない、と。
それに答えるかのように言うはケニーだ。
「あれだ。遺跡に何か捧げるってんなら、この村を襲ってきてもおかしくないんじゃね?」
「村人を生贄にする‥‥ってわけか」
その言葉を聞いた冒険者達の視線は、ゼルスへと向けられる。
彼が事前に発動していた魔法はブレスセンサー。ある程度の距離までなら生物の呼吸を探知する事ができる魔法だ。
「村の近くでは‥‥村人の呼吸もあるので正直分かりかねますね」
「村の外から近づいてくる集団‥‥というのはあるか?」
「それは―――いえ、少し待ってください」
彼のブレスセンサーの範囲に‥‥集団が入る。
「あちらです!」
冒険者達は、示された場所に向かい走る。
果たして、茂みに隠れるようにして村に近づいてきたのは‥‥4人のフォモール。
彼らが持つは剣や斧‥‥武器である。どう見ても襲撃にきたと見るべきだろう。
フォモールが隠れている茂みに気づかれないように近づく、冒険者達。お互い視認はできていないが、冒険者達はブレスセンサーのお陰で一方的に場所を知る事ができている。
「ではまず私が‥‥」
芳純が発動するはテレパシー。必要な指定が『フォモール』だけでは本来話しかける事はできないのだが、芳純はエックスレイビジョンにより、フォモールの姿を見る事ができる。
それで順番に話しかけるというわけだ。
『我はあの遺跡に閉じ込められている。助けよ』
「な、何だ!?」
まずは1人目のフォモールにテレパシーで思念を飛ばす。うめき声のような声で‥‥と思ったが、テレパシーでは声色を変える事ができない。とはいえ、気を引くには十分だったようだ。
「今、声が――」
「あ、そんなもん聞こえ―――!?」
そして2人目のフォモールへと。明らかに混乱している様子が見て取れる。
「落ち着け! 4人同時ではなく1人ずつに聞こえる‥‥。恐らくは誰かの魔法だ! 敵がいるぞ!」
がさりと、茂みから飛び出してくる4人のフォモール。だが‥‥遅い。
冒険者達は既に迎撃の準備を整えていた。
芳純が高速で詠唱を完成させ発動するはスリープの魔法。4人のうち、2人が意識を失ったように倒れていく。
「なっ!?」
「‥‥無駄だとは思うが、投降してはどうだろうか?」
「こちらとしてもあまり血を流したくはないんでね」
突然の事に驚いたように足を止める残りの2人の前に立ちふさがるは、それぞれの武器を構えたレイアとマナウスだ。
フォモールにとって圧倒的不利なこの状況‥‥だが。
「神の為に死ねるなら本望!」
「殺したければ殺せぇ!!」
2人は投降という選択を選ばずに、剣を振るう!
「馬鹿が―――!」
やはりこうなってしまった‥‥だが、なってしまったものは受け止めるしかない。前衛の2人が相対する。
しかし、実力の差は歴然。あっという間にフォモール達は追い詰められる。
「‥‥何故こうまでして神を復活させようとする!」
今はもう流れてしまった血。だが未来までも同じように流すわけにはいかない‥‥その為にもマナウスは、理由を問う。
「かっ、貴様は馬鹿か! それを問うというのは我らの生きる理由を否定するも同じだ!!」
「なっ――」
「我らの生きる理由が神の復活! 我らの根底! 我らは神を復活させる為に生を受け、子を為し、死んでいくのだ!」
語りながら2人のフォモールの剣は―――
「待て!!」
――――お互いの胸へと突き刺さる。
結局、4人のうち2人は死に、2人を捕縛する事ができた。
未だ眠っている2人に対して芳純はリシーブメモリーを発動させ、記憶を読む。
「‥‥彼らの狙いは、バロールの復活。未だバロールは目覚めず、それ故に目覚めさせる為に更に血を流そうというのが今回の企みのようです」
「バロールについては分かりませんか?」
「いえ‥‥。新たに情報になるような事は彼らも知らないようです」
今、捕らえているフォモールは眠っているが、起きても口を割るような事はしないだろう。
冒険者達にできることは、彼らを捕縛する事だけだ。
「んじゃ、次は遺跡とやらにいるフォモールを何とかしなきゃな」
ケニーの言葉に頷き、一先ず冒険者達はフォモールをその場に転がして遺跡へと向かう。
●一先ず
そして遺跡に向かった冒険者達がその場で見たものは‥‥いずれも喉を剣で切り、自決していたフォモールの姿であった。
恐らくは襲撃に成功した時点で何らかの合図をする予定だったのだろう。それが無かったので、失敗と推測して自決したのだ。
「‥‥ったく、何がしてぇんだこいつらは」
死体を見て、舌打ちをするケニー。彼らの死ぬ理由がケニーには納得できないのだろう。
尤も、この場にいるもので、納得できるものはいないだろうが。
こうして遺跡からまたフォモールを捕らえた場所に戻った冒険者達であったが‥‥そこにあったのは新たな死体。
どうやら冒険者が遺跡に向かっている間に目を覚まし、舌を噛み切るなりして自決したのだろう。
捕らえた後どうするか‥‥それを考えておけば、こうはならなかったかもしれないが‥‥今は考えても仕方ない。
こうして、一先ずはこの村でのフォモール騒ぎは終わりを迎える。
「まー‥‥あんまりすっきりとはしねぇが、大体は分かった。馬鹿が馬鹿やって悪い神を復活させようってのがな」
苛立ちを隠そうともせず、袋に入った棒状の何かで自分の肩をとんとんと叩くケニー。
それを見かねたマナウスが
「動き足りないなら、気分転換を兼ねて軽く手合わせするかい? ケニーさん?」
と提案したところ、ケニーは嬉しそうに――といっても顔は分からないので、あくまでも所作からの推測だが――振り向くが‥‥。
「あー、すまんが無しで。俺もやりてぇところなんだが、あんまり正体がバレるような事は慎むべきだからなぁ」
(「戦闘がケニーの正体に繋がる、のか? そういえばまともに戦っていなかったが」)
そうしてケニーは冒険者達に背を向けると。
「んじゃ、俺は帰って親父に色々と伝えておくわ。また会う事も多分無いだろうけど、元気でな」
夕陽を背負いながら、去っていた。
まるでその姿は太陽の加護を得ているようで―――。