マジヤバイ、蟹ヤバイ
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:刃葉破
対応レベル:1〜5lv
難易度:やや難
成功報酬:1 G 35 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月21日〜08月26日
リプレイ公開日:2006年08月26日
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●オープニング
「ゲェーッ! 何だかとてつもなくでかい蟹がいる!」
どことなく説明的なセリフを言ったある男。
彼がいるのはイギリスのとある海岸の岩場。キャメロットからそんなに遠くはないだろう。
そして男が見かけた蟹は本当に大きかった。確かに大きかった。
大体2mはあるだろう。しかもそんなのが2匹もいるのだ。
やたらと硬そうな黒光りする殻、片方の鋏をかなりの大きさを誇る。
その蟹の周りには魚や小動物とかの死骸が散乱していた。恐らく蟹の餌なのだろう。
キュピーン‥‥と蟹の目が光ったような気がした。
「ん‥‥‥? って、うわぁぁぁぁ!?」
蟹は男に気づいたようで、横歩きながらかなりのスピードで男に近づいてきたのである。
シャキーンシャキーンと鋏を動かしながら、自分よりも大きい蟹が迫ってくるというまるで悪夢。
すかさず男は全速力で走り、何とか命からがらその場を逃げ出す事に成功したのであった。
「ヤバイ。蟹ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。蟹ヤバイ。まず大きい。もう大きいなんてもんじゃない。超大きい。大きいとかっても『大人の人間1人ぐらい?』とか、もう、そういうレベルじゃない。何しろジャイアントぐらいある。スゲェ!」
「あー、はいはい。落ち着いてくださいな」
そして場所はキャメロットのギルドへ移る。
受付係の青年と話をしているのは実際に蟹を見かけた男。
巨大な蟹がいるという話はすぐに近隣住民に伝わり、有志から集めた金を持ってギルドへ来たわけである。
目的は勿論現れた蟹の駆除。
蟹は中々凶暴なようで、人を見かけると鋏を振り回しながら追いかけてくるのだ。
海岸に居座られているので、日常生活に支障が出る人も出ているくらいだ。
そんな蟹の凄さをとにかく言葉で表現しようとする依頼人の男。もう興奮しすぎて何がなんだかよく分からないぐらいだ。
「あと超逃げ足速い。人から聞いた話だけど。下手にトドメさせないとすぐ岩場に逃げる。ヤバイ。トドメさせない。とにかくお前ら蟹のヤバさをもっと知るべきだと思います」
「えーと、逃げられてまた出没されても困るのでしっかりトドメをさすように‥‥と」
受付係は大事だと思われる情報を抜き出して、依頼の注意事項のところにしっかりと書くのであった。溜め息をつきながら。
●リプレイ本文
●蟹を探して
「ヤバイ。蟹ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。蟹ヤバイ――――」
依頼人が引っ切り無しに連呼していた言葉だった。
そしてビッグクラブの退治に挑む冒険者達は、その言葉の意味を身をもって知る事となる。
「ちょ! マジ!? ヤバつよ? 何処に?! マジギレ!!? って感じぃ? みたいな!」
「そう、マジヤバイ、蟹ヤバイ。だからヤバイ、ヤバイのをヤバイ」
傍から聞いたら何を話してるのかさっぱりな会話をしているのは、依頼人とシフ・グルヴェイグ(ea8549)。
彼女が依頼人から聞きだしている内容はビッグクラブについての情報。
ビッグクラブが逃げる時に、どういうところに逃げるか、巣穴らしき場所などの情報である。
「マジ!? 海にも!? マジヤバ!」
「そうヤバい。蟹だからやっぱ海にも逃げる。超早い、ヤバイ。蟹のヤバさをもっと知るべき」
そうしてビッグクラブのヤバさもとい情報は冒険者達に渡ったのだ。あの会話で。
ちなみに、シフがスクロール作成を試みようとしたが、作成には相当の時間を要するので、さすがにできなかった。
「へっぷし! 蟹か、手ごわそうじゃのう‥‥‥」
と言ったのはオルロック・サンズヒート(eb2020)。とぼけた顔だったのが、くしゃみをすると顔が引き締まった。
冒険者達はビッグクラブが現れるという海岸の岩場まで来たのだった。
「次の相手は巨大蟹ですか。脚が速いのでしたらスピード勝負になりそうですね」
まだ見ぬ相手への闘志を燃やす乱雪華(eb5818)。
彼女は武道家の特徴を活かした手数で押し切るつもりのようだ。
「今度はビッククラブですか。海もなかなか自然に富んでいるようですね」
メグレズ・ファウンテン(eb5451)は言いながら周りを見渡す。
広く青い海が見え、世の中には色んなものがあると教えてくれそうだった。
「ともかく、捜すとするかのう」
オルロックはインフラビジョンを唱える。それにより彼の視覚は通常のものではなく、温度の高低を知る事ができるようになる。
その視覚でビッグクラブを遠くから捜そうというのだ。
しかし‥‥‥。
「‥‥分からんのう」
今回は相手が悪かった。
獣のように自ら熱を放ってる動物ならともかく、今回の蟹のような生き物の体温は周りの気温によって変化するのである。
もちろん、筋肉が動く時に発熱はするが微量なもので、非常に気づきにくくなっていた。
だが。
「‥‥それにしても大きな蟹ですね。多分、見たことがありません」
そう呟いたのはクラウディア・ウォルムニウス(eb4921)。
何だかんだでビッグクラブの巨体は目立ち、すぐに2体とも見つかった。
だが、それと同時に相手もこちらに気づき近づいてきたのだ!
●弱い蟹はただの蟹、強い蟹はヤバイ蟹
ビッグクラブがこちらに迫ってきたのを見て、冒険者達はすぐに戦闘態勢に入った。
「確かぁ、情報によるとこっちだったっけぇ〜?」
シフはメグレズと共にビッグクラブの巣穴と思われる場所へと移動を開始する。
ごつごつとしていて走りにくい岩場の上を移動する事になるので、中々手間取っているようだった。
オルロックがバーニングソードを唱え、クラウディアと雪華の武器に炎の力を宿す。
その間に雪華はオーラを練り、自分の左腕にオーラシールドを作り上げる。
そしてクラウディアと雪華は走りにくいが、それでもビッグクラブの元へと走っていった。
「上手く誘導しなければ‥‥」
クラウディアは自分にとっては不慣れな武器であるフレイルを、ビッグクラブに向かって振り下ろす!
ヒュン!
だが、ビッグクラブはその巨体に似合わぬ素早い動きで横に動くとあっさりと避けてしまったのだ。
空を切り、地面に叩きつける事となるフレイル。
すぐさま返すようにフレイルをもう一度振るうが、やはり避けられる。
「な‥‥きゃっ!?」
そんなクラウディアの隙をつくように1mはあるだろう鋏を振り回すビッグクラブ。
最初の1撃は何とか回避する事に成功するが、続けての2撃目を回避する事ができずに体に思いっきり受けてしまう。
ガスッ!!
鈍い音。それと共にある程度後退を余儀なくされるクラウディア。
大きい鋏による攻撃はやはり重く強く。もう1度まともに食らえば骨が何本か折れるだろう。
そして、雪華も似たような状況であった。
「ふっ‥‥はっ!」
お互いの攻撃が届く近距離。雪華は相手を牽制するかのように軽く拳を振り、一気に至近距離まで近づく!
「はぁぁぁっ!」
そして放つは十二形意拳・酉の奥義、鳥爪撃。
目にも止まらぬ蹴りを放つその奥義は、生半可な相手には防御を許さず、高い威力を誇る!
だが。
ヒュッ‥‥!
その攻撃は防御はしにくい。だが回避する分には通常の攻撃より避けやすい攻撃なのである。
元より素早い動きで雪華の攻撃を避けていたビッグクラブにとって、避けるのは非常に容易であった。
「くっ!」
ビッグクラブの反撃。大きな鋏を思いっきり振り回すだけだが、強力な攻撃。
雪華は左手に作ったオーラシールドでその攻撃を受け流したのだ‥‥1撃目は。
2撃目はその勢いに押され、受け流せずにやはり思いっきり叩きつけられてしまう。
ミシミシと悲鳴を上げる雪華の体、クラウディアと同じく、もう一度まともに食らうわけにはいかないだろう。
「強い‥‥!」
それはクラウディアと雪華が同時に発した言葉。
目の前の敵が自分よりも明らかに格上であるが故の言葉である。
蟹は確かにマジでヤバイのだ。
「援護するぞ!」
2人の苦戦の様子を見たオルロックがすぐさまファイヤーボムを唱える。
たまたま2人がビッグクラブから吹き飛ばされ、またビッグクラブ達が近づいていた為に2匹とも巻き込むように術を放つ。
放たれた火の球は2匹がいる所に上手く着弾し、2匹のビッグクラブを炎で包む!
そして炎が消え、ビッグクラブの様子が分かる‥‥が。
「な‥‥!?」
その炎は軽く殻を焦がした程度で、まともなダメージとなっていない事は一目瞭然であった。
「皆さん、準備ができました!」
その時、オルロック達の後方から上がる声。それはメグレズのもの。
「バッチリ、OKって感じぃ〜みたいな〜」
続くシフ。彼女はビッグクラブの巣穴の入り口にライトニングトラップを仕掛けたのだ。
「とりあえず、一旦あちらの方へ!」
このままでは自分達が押して巣穴へ誘導する‥‥といった事ができない為、ビッグクラブに背を向けて走るクラウディア達。
クラウディアと雪華は走りながら懐から傷を癒すためのリカバーポーションを取り出し、一気に飲み干す。
そんな彼女達を逃がさないように追いかける2匹のビッグクラブ。当初の予定とは違ったが、誘導する事には成功した。
「これからは総力戦で当たれば!」
剣を構えるメグレズ。またシフも新たに術の詠唱を始める。
「牙刀、剽狼!」
ビッグクラブまで走り、武器や鎧、岩などの破壊を目的とした太刀筋の剣を振るうメグレズ。
クラウディア達に気を取られていたビッグクラブは回避できずに食らってしまう!
「破壊できない‥‥!?」
その攻撃で殻を粉砕するつもりだったのだが、普通に剣を振るったのと同程度の傷しかつかない殻。
そもそも破壊する目標の種類が違うのだ。仮にビッグクラブが岩で出来ていたら破壊できたかもしれないが。
ブォン!
攻撃を受けたビッグクラブが怒ったように鋏を振り回し、メグレズはそれを受ける事も避ける事もできずにやはり食らってしまう。
重装甲で固めたメグレズだが、その攻撃のダメージはクラウディアや雪華と同じく、相当なダメージになってしまう。
吹き飛ばされ、たたらを踏むメグレズ。
「とりあえず、1匹に攻撃を集中しましょう!」
このままじゃ埒があかないと判断した雪華はメグレズの攻撃を受けたビッグクラブに拳を振るう。
大きな一撃は当たらないので細かく攻撃していく雪華。
それに合わせる様にクラウディアも集中攻撃をしかけていく。
さすがにその状況では回避する事もかなわないのか、どんどんダメージが蓄積されていくビッグクラブ。
もちろん反撃もあり、簡単に回避できずにこちらもダメージを食らうが、怯まずに攻撃を続けていく。
「おっと、お前さんの相手はわしじゃ」
オルロックは素早くファイヤーバードを唱え、もう1匹のビッグクラブの気を引くように攻撃を仕掛けていく。
勿論当たりはしないが気を引くには十分であった。
「マジビリビリーって感じぃ〜!」
そして出来た隙にシフが唱えたライトニングサンダーボルトの雷がビッグクラブを襲う!
高威力のその攻撃はビッグクラブにもある程度通用したのか、軽く動きを止めるビッグクラブ。
この間にメグレズも懐からリカバーポーションを取り出し、服用して体力を回復させる。
ついに集中攻撃を受けていたビッグクラブがその場から逃げ出すように動く!
クラウディアと雪華もそれなりにダメージを受けていた為に、無理には追わず、巣穴へと行くビッグクラブ。
バチバチィン!
「よっし、いい感じ〜」
シフの仕掛けたライトニングトラップが発動し、地面から発生する雷がビッグクラブを襲う!
「呪縛を!」
メグレズが唱えていたコアギュレイトが発動。そのビッグクラブは動けなくなってしまう。
もう1匹のビッグクラブも逃げ出したのだが、さすがにそっちを追う余裕は冒険者達には無かった。
「せめて、この1匹だけでも‥‥!」
コアギュレイトの呪縛により動けないビッグクラブに対して、冒険者達はありったけの力を振り絞り攻撃し、何とか退治する事ができたのだった。
後日談だが。
冒険者達が討伐をしてからしばらくは逃げ出したビッグクラブも姿を見せなかったらしいが、数日後に再び現れたらしい。
結局、再度ギルドに依頼が持ち込まれ、別の冒険者達が改めて退治をしたそうだ。