【初夏の園遊会】妹達の園遊会
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■ショートシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:5
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:07月06日〜07月09日
リプレイ公開日:2009年07月14日
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●オープニング
先日の北海でのリヴァイアサンとの戦い。
これにより、リヴァイアサンは討伐され、イギリスを襲う脅威の1つが取り除かれた。
これを受けて、イギリス王妃‥‥グィネヴィアから一つの提案がなされる。
「園遊会‥‥ですか?」
「はい、リヴァイアサンとの戦いに参加した者への慰労の意味も込めて、とのことです」
尤も、その戦いに参加してない者でも参加できますけどね、とつけくわえて言うは一人の女性。
2人の女性が、とある一室で間に机とお茶を置いて、向かい合って座っていた。
赤い髪を束ねるようにした、真面目という言葉がよく似合う彼女の名はアン・ペンドラゴン。アーサー王の妹であり、王室付近衛騎士でもある。
「私は近衛騎士という立場もありますので、警備がメインになると思いますが‥‥。あなたはどうするのですか、エクター」
アンと話をしていたのまた1人の女性。
金の髪を束ねるようにした、これまた真面目という言葉がよく似合いそうな彼女の名はエクター・ド・マリス。彼女は彼女でラーンス・ロットの妹であり、王宮騎士である。
本名はコレットというのだが、様々な事情からエクターと名乗っており、彼女がコレットと呼ばれるのは専ら休日ぐらいだ。
アンとエクターは、歳も同じ、偉大に兄を持つという境遇、その上どこか似ている性格‥‥という点もあり、親しい関係にあった。
尤も、それも彼女の本名がコレットというのが知られてからなのだが、その辺は割愛しておこう。
「私‥‥ですか」
む、とエクターは悩んだ素振りを見せる。
先のリヴァイアサンとの戦い、冒険者達と協力はしなかったが、彼女もまた戦いには参加していた。目立った戦果を上げたわけでもないのだが。
だからだろう。自分がそれに参加していいものか‥‥と悩むのは。
「先ほども言った通り、これはどちらかというと交流の面が強いものですから、そこまで気にしなくても」
「そう‥‥ですかね?」
「私も、暇を見つけて話をさせてもらいましょう」
こうして、王宮騎士エクター・ド・マリス。そして王室付近近衛騎士アン・ペンドラゴンの2人が園遊会へと参加する手筈となった。
アンと話をした、その日の夜。
エクターは1人、星が輝く空を見上げていた。
彼女が園遊会への参加を渋っていたのは、戦果を上げられなかった‥‥それだけではない。
「兄様‥‥」
兄――ラーンス・ロット。
最近囁かれる噂に、ラーンスがキャメロット近郊にて姿を現したというものがある。
何故姿を現したのか‥‥いや、それどころか噂の真偽すら分からない。
だが、それでも彼女の心を揺さぶるには十分すぎる事であった。
エクターにとって、ラーンスは敬愛する兄であり、彼女が騎士を目指す理由の一つでもある。
だが、今のラーンスにつきまとうはどこか不穏な噂。
「私は―――」
何ができるのだろうか。何をするべきなのだろうか。
エクターと話をした、その日の夜。
アンは1人、離宮周辺の見取り図を見下ろしていた。
彼女にとって、今回の園遊会は重大なものである。王妃が主催であり、王も顔を出す園遊会。これを無事何事もなく終わらせる事が彼女の使命であるからだ。
そう、不安要素は一つでも残してはいけない。園遊会の参加者が危険に身を晒される事はあってはいけないのだ。
「警備は‥‥やはりこの点を重視すべきか。参加者の武器の持ち込み検査は‥‥いやしかしこれは失礼に‥‥」
見取り図と睨めっこしながら、思考を巡らせるのも致し方なし。
そんな彼女にとって、一番の頭痛の種。それは―――
「‥‥ラーンス卿」
噂である。あくまでも噂なのだが、彼の騎士がキャメロット近郊に姿を現したという。
アンにとって敬愛するグィネヴィアを守る為にも‥‥一番の不安要素である。
「私は―――」
何をするべきなのだろうか。何ができるのだろうか。
●リプレイ本文
●噂
イギリスは王妃主催で行われる園遊会。
だからこそ、不安要素はできるだけ取り除きたい‥‥そう思い行動する冒険者がいてもおかしくはない。
リ・ル(ea3888)はまさにその通りであった。
「噂に踊らされるのは悪魔の掌でダンスするようなもんだが、気になることを放っておいては宴を心から楽しめん」
噂はあくまでも噂だ。
だが放っておくわけにはいかないと、リルは1人の王宮騎士‥‥エクターの先輩である騎士と共に、噂の森へと向かった。
道中、青年の目撃者がいるかどうかなどの聞き込みをしながら、だ。
結果として得た情報は、ラーンスと同じような背格好の人物がその森に現れたということぐらいであった。
こうして2人が会場に向かい到着した時には、既に園遊会は始まっていたのであった――。
●園遊会
参加した冒険者達はいつもの冒険者らしい格好をしている者もいれば、礼服やドレスを身に包んでる者もいた。
「で、マリちゃんはどこかなーっと」
用意された料理などに手を出しつつ周囲を観察するは閃我絶狼(ea3991)。彼が言うマリちゃん‥‥つまりエクターは今の所姿を見かけていない。
このような場で彼女がどんな格好をするかは、ある意味冒険者達にとって良い宴の肴なのだろう。
「ふふ‥‥コレットちゃんがどんな格好してるか楽しみだわ」
「勿論、こっちでも用意したものもあるし‥‥ふふ」
「‥‥おい? お前ら何をするつもりだ?」
女3人が集まれば何とやら。未だ姿を見せぬエクター‥‥コレットはどこだと自慢の鷹目を走らせるはフィオナ・ファルケナーゲ(eb5522)。
見つけ次第弄る気満々の彼女に同調するかのように何かを隠し持っているはレア・クラウス(eb8226)だ。
突っ込み役であるレイア・アローネ(eb8106)が2人を抑えられるかというと‥‥まぁ、うん。
「‥‥おや? あれは」
園遊会に参加していた騎士達に、折角だからということで挨拶回りをしていたヒースクリフ・ムーア(ea0286)が会場の端にいる1人の女性に目を留める。
金の髪に青の瞳を持ち、白いドレスを身に包んだ彼女は‥‥コレットだ。
何故そんなところにいるかだが、簡単に言ってしまえば恥ずかしいという気持ちがあるのだろう。
とはいえこのまま埋もれさせてしまうのも惜しい、ということでヒースクリフは彼女へと声をかける。
「やぁ、久しぶりかな。うん、普段の鎧姿も凛々しくて良いものだが、こう言うドレス姿もやはり素晴らしいね」
「あ‥‥。お久しぶりで―――素晴らしい!? いえ、そんな私は‥‥」
「そうかい? これが舞踏会だったなら迷わず一曲、ダンスの誘いをしている所だよ」
と、彼は近くにいた、曲を奏でていた音楽家へと視線を送る。
「あ‥‥」
「では、一曲よろしいですか?」
差し出されたその手を、コレットはおずおずと手に取るのであった。
「うぅ‥‥緊張というかよく分からないもので、どうにかなってしまいそうです‥‥」
一曲踊り終えた彼女を、勿論冒険者達が見過ごすわけもなくあっという間に囲まれ、そのまま端から連れ出される事になる。
「それでは気を落ち着かせる為に、どうぞ」
「あ、ありがとうございま―――って何やってるんですか」
給仕の者が差し出すジュースを受け取ったコレットが、礼と共に給仕に振り向くとそこにいたのは見知った冒険者であるマナウス・ドラッケン(ea0021)だ。
「華やかな場だったら、やっぱり主役は女性陣だからな。俺はそれを盛りたてる方に回るってことだ」
「えぇー。主役は女性云々ではなく冒険者の方々だと思うのですが‥‥」
納得できないように言うコレットの両肩に後ろからぽんと手が置かれる。それはレイアとレアのものだ。
2人の視線はこう語っていた―――そういう男だから諦めろ、と。
はぁ、と諦めたように溜め息をするコレットに声をかけるは絶狼だ。
「やあ‥‥今日はエクター卿? それともコレットで良いのかな?」
「あ、絶狼さん。一応騎士としての場ですがこのような格好ですし、どちらでも‥‥でしょうか」
「じゃあ私はコレットちゃんって呼ぶわね」
言いながら、コレットの傍まで飛ぶはフィオナ。彼女は今のコレットの格好を上から下まで見ると。
「やっぱり女の子は鎧よりドレスの方が似合うわね。どんな男を引っ掛けるつもり?」
「んなっ!? そんな事しませんよ!!」
「あら、そうかしら? 今までも結構誘惑してると思ってたけど」
フィオナの視線の先はレアが持つ1枚の絵だ。
そこに描かれていたのは、以前コレットが気の迷いでかなり露出の多い服を着てしまった時の様子であり。
普段のコレットからはとても想像できない様な――妄想ならできそうだが――艶姿。
「団員さんにいくら位なら売れるかしら?」
「――きっと、そのお金は治療費にあてる事になると思いますよ?」
絵の流出阻止の為なら剣を振るう事も厭わないそうです。誰かこの暴走娘止めろ。
「ともかく、服は持ち歩いているから、着たくなったら言ってくださいね」
「ありえませんから!」
そんなこんなで騒いでいると、1人の少女がコレットの前までやってきた。
胸元とスカート裾を羽毛で飾ったドレスを着る彼女の名はフォーレ・ネーヴ(eb2093)。彼女もまた冒険者だ。
フォーレはスカートの両端を軽く摘んで、少し広げると同時にお辞儀。
「お招き、ありがとーだよ♪」
と、見てるこっちも気分が明るくなるような朗らかな笑顔と一緒に挨拶。
「いえ、こちらこそ今まで冒険者の皆さんには色々と助けていただきましたから」
「えへへ」
まるで小動物を彷彿とさせる彼女。そこまで幼いというわけでもないのだが。
「あ、お願いがあるんだけど‥‥離宮の中、探検してもいい?」
小動物のような彼女らしいお願い。だが、コレットもすぐに首を縦に振るわけにはいかない。
「警備上の問題もありますからね‥‥」
どう答えようか悩んでいた彼女の後ろから、1人の女性が声をかける。
「兵が1人つくことになりますが。それで良いのならば許可しますよ」
「あ、アン王女‥‥!」
振り向けば、そこに居たのはアン・ペンドラゴン。警備の休憩時間だから顔を出したというところか。
彼女は自分の部下である兵を1人呼ぶと、フォーレにつくように指示をする。
「ありがとうございます! それじゃいってくるね〜」
離宮に向かって走り始めるフォーレ。兵が振り回されるのが容易に想像できた。
さて、こうしてアンもこの場に揃ったわけだが、まず彼女に話しかけるは先ほど到着したばかりのリルだ。
「ここに来る前に、噂の場所とやらを散策してきたんですが‥‥」
「‥‥結果はどうだったんですか?」
「確実にこれ、といえるものは‥‥」
安堵と不安が入り混じった複雑な表情をするアン。
リルも何にしろ気になるのだろう。園遊会に参加している人々の顔ぶれを自分の頭に入れている。
と、ふと気になったのだろう。
「最近顔を見せない円卓の方々はどうしてるんで?」
「あー、冒険者に顔を見せない、ということでか」
リルの言葉を受けて、先輩騎士はアンに視線を向ける。
「それぞれに与えられた任務をこなしていたり、領地の管理をしたりしてますよ。何にしろ、不安要素が全て無くなったわけではありませんしね」
普段あまり話す機会がない人物ということでか、マナウスも折角ということで質問する。
「んー、近衛騎士とか円卓の騎士って今は募集していなかったりするんですかね」
「そうですね‥‥。希望する者が、それに見合った実力と名声、忠誠心を持つのならばなるのは決して不可能ではないでしょう。ただ、どちらにしろ常にイギリスにいる事になるので、世界を飛び回る冒険者を続ける限りは無理でしょうね。将来なる事を見据えた『見習い』なら‥‥あるいは」
今でもなれるかもしれませんね、と告げるアン。なんにしろ、まずは目指す志が必要‥‥という事かもしれない。
アンが質問攻めにあってる中、コレットは弄り攻めにあっていた。
そこに助け舟を出すように、絶狼が手をさし出す。
「それじゃ、一曲踊っていただけませんか?」
「‥‥はい!」
少なくとも、この場から逃れる事ができるのならば、とコレットはその手を勢いよく取る。
「相変わらず大人気だね〜‥‥‥浮かない顔だが何か心配事でも?」
「え?」
踊っていた時に、唐突に告げられる言葉。
その言葉に図星をつかれたのか、コレットは反応に困った様子で言葉を返せない。
「多分、皆気づいてると思うよ?」
絶狼に言われ、周囲の冒険者を見ると、こちらを気遣うような表情がどこか見てとれる。
落ち着いたところで、コレットは冒険者達に話し始める。
「兄様がキャメロットに現れたという噂を耳にしました。‥‥それが本当なら、私は何としても会いたいと思います。でも‥‥」
つい、と顔を下に向ける。
「今の兄様が何を考えているか、私には分かりません‥‥。何故戻ってこないのか、何故‥‥と」
「‥‥ふむ」
コレットの話を聞いて、一番に反応を返したのはレイアだ。彼女は、どう言えばいいか‥‥と言葉を探しながらコレットに言う
「私も悩むタイプだ。悩むなとは言えん。そういう時はとにかく動くといい」
「動く?」
「考えても仕方ない。卿に会って話を聞いてみればどうだ? それこそいざとなれば力づくでも――な。その覚悟はあるのだろう? 及ばずながら私も力になるさ」
「覚悟‥‥」
あるのだろうか。自分にそれが。
そんな思い悩む彼女の表情を変える為にも、フィオナが突拍子も無い事を言う。
「お兄ちゃん大好きっ子なのね。やっぱり『ラーンスお兄ちゃぁん‥‥‥』とか言って自分を慰めてるの?」
「―――はい?」
彼女がその言葉を理解するのにかかった時間は、言わずもがな。
「な、な、ななな何を言ってるんですか!?」
「だって、お兄ちゃんが大好きだからこそ、そうやって悩んでるんでしょ?」
「私がつっこみたいのはそっちじゃないです!!」
「つまりは、ラーンス卿を好きな事は否定しないわけだ」
横から口を挟むはマナウスだ。コレットは『好きな事は好きですが、何か大きな誤解をされているような‥‥』とぼやいてるが、とりあえず無視しよう。
「俺の場合。レアとレイアは俺の嫁、異論は認めな‥‥え? ナニ2人ともすっごい良い笑顔でこっち見てるけどちょ待―――」
この状況でお前は一体何を言ってるんだと言いたげな笑顔で、とりあえずマナウスに制裁を加える嫁宣言された2人。その宣言が嬉しいかどうかは、ここでは置いておこう。
制裁が終わり、周囲が取り残されたようになっている状況で、マナウスは気を取り直すために、咳払いひとつ。
「騒がしくも楽しく、明るく生きていけるのはこの2人のお陰だ。どんなに血と泥にまみれても、瘴気の中でも、心を照らしてくれるから俺はまだ人で居られる。その恩に報いるためにも、俺は彼女達と共に居る。共に居るに相応しい者であろうと前を向いて笑って生きていける。この命尽きるまでね」
マナウスの心情の吐露。
「人を好きってのは、そういう事だろ? なら、進めばいいさ」
いきなりの宣言から始まった言葉は、何とも綺麗に纏まったのであった。
「よし、じゃあエクターをラーンス卿に会わせる為に作戦相談といくか」
「何言い出すんですか先輩!?」
やいのやいの、と相談は進んでいく。
「まったく、これから南方でも何か起こるかもしれないっていうのに‥‥」
こういうノリは大好物だがな、と相談を少し休憩して一息つくレイア。
「南方、ですか」
「アン王女。‥‥えぇ。その件で最近奇妙な男と会いましたし」
「奇妙な男?」
レイアは先日会ったケニーという男について話す。自分が抱いた印象や特徴を、だ。
それを聞いたアンは考え込むような素振りで。
「どうされました?」
「いえ、最近その方と非常に似通った男性と会った‥‥という話を聞いた気がしまして」
つい、とアンが視線を移した先にいるはアーサー王だ。
(「王と会うような人物? まさか、な」)
視線の先にいたアーサー、そしてグィネヴィア。2人に挨拶をするはヒースクリフだ。
「未だデビルの暗躍は続いているのでしょうが、今は王国の、世界の脅威が一つ取り除かれた事を祝いましょう」
「今日この時ぐらいは‥‥何の憂いもなく楽しみたいものだな」
●壊
園遊会も終わりに近づいた夜。
冒険者達は、離宮を抜け出して外にいた。
もしラーンスが侵入してくるのなら、正面よりこういった所から。また、周囲に人がいない方が話しやすいだろう‥‥という先輩騎士の提案のもとだ。
ちなみにフォーレは離宮の探検を終えて――何か問題となるようなものは見つからなかった――合流している。アンはさすがにここにはいない。
ラーンスの外からの侵入を、待っていたコレット達であったが‥‥騒ぎが起きたのは、中であった。
「なんだ‥‥?」
疑問に思っていた冒険者達の目の前に、1人の青年が姿を現す。それは―――
「ラーンス卿!?」
まさに待ち構えていた対象のラーンス・ロットが中から出てきたのだ。
しかも、明らかに尋常ではない様子で、だ。何故ならば
「兄‥‥様‥‥? 何を‥‥なさってるんですか‥‥?」
コレットは自分の目に映っているものが理解できない。
何故ならば、ラーンスの手に握られていた抜き身の剣は、圧倒的聖威を放つエクスカリバー。
その上、肩には1人誰かを抱えているようだ。顔を伏せているせいで、誰なのかは冒険者達には判断できなかったのだが。
「これは‥‥!?」
更に絶狼の指に填められていた石の中の蝶が、羽ばたき始める。近くにデビルがいるという証拠だ。
王が手放すわけがないエクスカリバー、抱えられた人物、そしてデビルの反応―――これが何を示すか、わからない冒険者達ではない。
しかし、相手はイギリス王国最強の騎士。手に持つはイギリス王国最強の剣。更に抱えている人物を人質に使われたら‥‥そう考えると冒険者達は動く事ができない。
ラーンスは、こちらを一瞥すると、すぐに背を向け、闇の中へと消えようとする。
「待てよ! あんたの今の行動は誰の幸せのためになるんだ!? 国や民を悪魔に捧げてでも自分を貫くか!?」
リルの叫びにも振り向く事なく―――
「あなたは、妹の気持ちも、踏みにじるの!?」
フィオナのテレパシーにも答えることなく―――
――闇に消えていった。
「なに、これ‥‥? 嘘、いや、違う‥‥こんなのありえない‥‥ありえない‥‥。兄様が、兄様がぁ‥‥? エクスカリバーを? デビルと‥‥? 嘘。嘘、嘘嘘嘘嘘――! なんで、何故分からない分からない違う違う違う――いやあああああぁぁぁぁぁ!!!!?」
コレットは、全てを拒否するかのように頭を抱えながら地に伏せ。
「ふざけんじゃねぇぞ!! ラーンス・ロットォォォォ!!!」
先輩の怒りの叫びは、月までも―――。