【Geis】父の行方

■ショートシナリオ


担当:刃葉破

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 97 C

参加人数:3人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月31日〜09月10日

リプレイ公開日:2009年09月09日

●オープニング

 周囲を草原に囲まれた一筋の街道。
 陽に照らされた中、そこを歩くは2人の男性。2人とも、逆光により顔を伺う事はできない。
「そんなこんなで」
 話し声が聞こえるが、先程から話しているのは常に1人の男性。もう1人は聞いている反応はあるようだが、言葉を返す事は無い。
「簡単に纏めちまうと、馬鹿が馬鹿やって悪い神を復活させようとしてる‥‥ってのが南方で起こってる事だな」
 男―――声だけで判断すると、以前冒険者達に依頼をしたケニーだろう。
 彼が語るは現在南方で起きている事だ。彼の言う通り、フォモールと呼ばれる種族が邪神を復活させようとしている。
 邪神の名は―――
「―――バロール」
 初めてもう1人の男が口を開く。その名は先程ケニーの話にも出てきた名前だ。
 その声音は、苦々しさと、怒りと、憎しみと、恐怖と――様々なものが混じりあったものであった。
「‥‥親父、知ってんのか?」
 ケニーに、親父と呼ばれた者は答えない。
 質問に答える代わりに、新たに質問を作るは親父の方で。
「『銀の腕』は復活しているのだな?」
「ん? あ、あぁ。冒険者の話を聞くと、そうらしいけど‥‥」
「そうか」
 それを聞き、親父はしばらく逡巡すると。
「私はこれから単独で動く。お前は仕事が終わったらすぐにでも国に帰れ」
「は?」
「私には動く理由がある。お前には無い。それだけだ」




「って、わけのわからん事を言われたのが結構前の事だ」
 場所を変わってキャメロットギルド。
 話をしているは、ケニー。以前ギルドに依頼を持ち込んだ時と同じくフード付きのマントで体を覆い、無地の仮面をつけた怪しい格好だ。
「何が何だが分からんが、有無を言わせずその場で分かれてな。その時はしばらく経てば合流できるだろう‥‥って思ってたんだが」
「未だにお父様に会えない‥‥と?」
 受付係の青年の言葉に、ケニーは頷きで返答をする。
「どうもあちらこちらやばそうな状況だし、さすがに親父放ってこの国離れるわけにもいかないしな。いい加減合流したい」
「つまりは人探し‥‥ということですね」
「そういうこと」
 どうやら話を聞いた感じだと、ケニーの父親は南方に向かったようである。
 というか、むしろそれしか情報が無い。
「‥‥この情報だけで見つけるにはさすがに厳しく思いますが」
「む‥‥じゃあ大奮発して親父の外見情報も提供しよう」
 いやそれ大前提の基本情報なんですが、との受付係のつっこみも虚しくケニーは父親の外見を伝えていく。
 髪色は金。さっぱりとした髪型。髭は生やしていないが、見た目的には40代ぐらいだろうか。
 背は高い方だがそんなにがっしりとした体型というわけでもない。
「こう、ありきたりの特徴ばっかりなんですけど‥‥もうちょっと分かりやすいものはないでしょうか?」
 例えば、その人らしい癖とか行動とか‥‥と受付係の青年が聞くと、ケニーは腕を組んで考え始める。
「時々光る?」
「は?」
「いや今の無しで。‥‥つってもなぁ」
 俺と一緒にいる時の親父ならよく知ってるが、そうじゃない親父はよく知らない。
 俺にはかなり厳しい人柄だったが、そも他人と全然触れ合わないような人だったし‥‥いや人って言っていいんだろうか。
 だから俺の知ってる親父を話してもあまり意味がないような―――
「ケニーさん?」
「ん、あぁ、すまん。とにかく、それ以上の特徴といえるものは無いんだわ」
「そうですか‥‥」
 聞いた特徴などを纏めていた受付係が、ふと何かに気づいたように顔を上げる。
「そういえば、お父様の名前を伺っていませんでしたが‥‥」
「あー‥‥。ナスって名乗ってた気がする」
 子が子なら、親も偽名かよ―――と受付係の青年はぐっと言葉を飲み込むのであった。



 依頼の申請を終え、ギルドを出ようとしたケニーは周囲の慌しさに気が付く。
 それも仕方の無いことだろう。
(「‥‥こんな事になっちまってたらなぁ」)
 今、イギリスで何が起きているか当然知らないケニーではない。
 傷つく者がいれば、力を持つ者として助けてやりたいという気持ちも無くはない。
 しかし―――彼は決してこの事件に関わってはいけない。その事を、彼は知っている。
「ま‥‥人が集まらなかったら、その時はその時か」
 それでも彼もまた、国を守りたいという気持ちはよく分かるから―――。

●今回の参加者

 ea0021 マナウス・ドラッケン(25歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea5892 エルドリエル・エヴァンス(22歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 ec4179 ルースアン・テイルストン(25歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●仮面の男
 イギリスはキャメロットのギルド前。
 冒険者達が事前に伝えられていた時間にそこへ向かうと、そこには周囲の注目を集める人物が立っていた。
 しかしそんな周囲の視線もどこ吹く風の仮面を被った男‥‥依頼人のケニーだ。
「よ。また会ったな」
「あぁ、久しぶりだな」
 そんなケニーにまず片手を上げて声をかけるは、先日も彼の依頼を受けたマナウス・ドラッケン(ea0021)だ。
 ケニーはマナウスの姿を認めた後、彼の後ろにいる2人の女性に視線を移す。
「そこの美女お二人さんは初めてだな」
「あら、嬉しいわね。初めまして。捜索の手伝いにきたエルドリエルよ。宜しくね」
 言葉を受けて、笑顔で挨拶するエルドリエル・エヴァンス(ea5892)。ケニーのお世辞抜きにしても、確かに美女に入る部類だ。
 そしてもう1人の美女であるルースアン・テイルストン(ec4179)もにこりと笑顔で受け止めると、丁寧に挨拶する。
「初めまして。ルースアン・テイルストンです。よろしくお願いしますね」
「うむ、美人さんになら喜んでよろしくされるぜ」
「‥‥いやま、確かにその言葉には同意はできるが」
 ケニーとマナウス、根に似たところがあるのかもしれない。とはいえ、男性なら大抵似たような反応をする気もするが。
 ルースアンはそんなケニーとマナウスのやり取りを見て、仮面の下の素顔には何があるのか‥‥と思考を巡らせる。
(「気さくないい人のように見えますが‥‥。悪人ではないとしたら、何故隠すのでしょうか‥‥?」)

 そしてそろそろ出発しようかという時、そういえば、とエルドリエルが口を開く。
「最近まで、ちょぉ〜っとばかり世間から離れていたから事情が分らないのよ。もし気に障る事があったら御免なさいね」
「ん? まぁ気にするな。俺もあんまり事情知らんしな。そこら辺の情報の刷り合わせは道中にでもやりゃいいだろ」
 ケニーがそう返すのも、彼もまた南方にて何が起こってるかを先の依頼の時まで知らなかったからだろう。
 何はともあれ、彼らは南方に向けて出発する。
 混迷としたものが渦巻く、その地へ―――。

●仮面の下に
 南方に向かう道中でのキャンプ。
 夜空の下、冒険者達は焚き火を囲みながら話をしていた。
「さて、色々と聞きたいんだけどいいかしら?」
 と先陣を切るは、エルドリエル。この中で自分が一番得ている情報がないという自覚から、その穴を埋めようということだろう。
 まず一つ、と人差し指を立てながら彼女は言葉を紡ぐ。
「『銀の腕』って何? 詳しい所を教えて欲しいわ」
「そう言われてもだな。俺もあんまり知らないんだよな、人伝に聞いたくらいで。最近復活した古の神らしい‥‥という事ぐらいしか知らんが」
 と返ってきた答えは芳しいものではなく。それに助け舟を出すは実際に『銀の腕』に会ったルースアンだ。
「間違ってはいませんね。‥‥南方の地に眠る神々の王、それが銀の腕ヌアザ王です」
「へぇ、結構な存在なのね。それじゃ二つ目。その『銀の腕』を求める理由は?」
 神々の王となれば相当な力を持つ存在に違いない。何故それを求めるのかと問うエルドリエル。
 対して答えるケニーは。
「や、俺自体は求めてないからどうも言えんなぁ。親父が何をしたいのかも話してくれなかったし」
 やはり満足なものではない。それを受けてエルドリエルの視線はルースアンへと移る。
「そうですね‥‥。ヌアザ王はバロールとそれに与すフォモールを大層憎んでおりましたから。もしかするとその辺が関わってるのかもしれません」
「むぅ‥‥。じゃ3つ目。バロールという存在の情報が欲しいわ」
 ルースアンの説明にも出てきたバロールという存在。
 しかしケニーはやはり首を振って、古の悪神という事しか知らないと告げる。
 代わりに答えるはやはりルースアンだ。
「死と破壊を司る神々の王。遥か古のヌアザ王率いる神々との戦いの結果、南方の地に封印されているそうです」
「そんなのを何処で復活させようと‥‥って分かれば苦労しないわね。それじゃ次。―――あなたの父親はバロールと、どう関係あるのかしら?」
 恐らくは、核心。
 ケニーの父親‥‥ナスがバロールとどういう関係なのか。つまり、ナスは一体何者なのか。
 彼の今までの行動を聞く限り、ただの好奇心などで行動しているような人物ではない事は分かる。
 しかし、行動目的が分からない。それはナスが何者なのか‥‥という基本情報が無いからだ
「‥‥‥」
 対するケニーは、沈黙。
 答える事のできない理由があるのか。その理由すら明かす事ができないのか‥‥。
 沈黙を破ったのはマナウスだ。
「ま、なんだ。そこを話せないとしてもだ。せっかくだから色々聞かせてくれよ」
「色々?」
「与太話でもいいから特徴を知りたいし、何となく‥‥気になるんだよな。ざわつくと言うか‥‥まぁ、良く分からない感覚だ」
「何となく、か」
「父親というものについて、俺が良く分かって居ないのも在るがね」
 父親が分からない。その事を語るマナウスだがその表情は決して重いわけでも、軽いわけでもなく。
「何せ俺は、殆ど父親に会った事がないもので。ま、才能のない息子だったからしょうがないがね」
 才能が無ければ親に認められないものなのだろうか。あくまでも笑顔で語るが、それは諦観か。それとも皮肉か。
 それに、とケニーを顔をしっかりと見据えた上で話すはルースアン。
「別れた時の服装や持ち物‥‥顔の特徴なども些細ですが手掛かりになるやもしれません」
 羊皮紙とペンを取り出す彼女は、ナスの特徴を話すよう促す。情報を元に似顔絵を描こうといったところだろうか。
「そうだ、な―――」

●太陽
 ケニーが語ったナスについて。
 ケニーが、ナスがどのような人物であるかというのは具体的には伏せられた上だが、それでも十分彼にとっての父親という存在がよく分かったものであった。
「尊敬‥‥していらっしゃるんでしょうね」
 話を聞いてから数日後。南方の地を踏み、話を元に作成した似顔絵を頼りに聞き込みをしていたルースアンは、ふとその時のケニーの様子を思い出す。
 やれ頑固だの、やれ厳しすぎるだの、やれ時代錯誤だの、色々と言ってはいたもののナスの事を語る時のケニーの様子は嬉しそうで‥‥誇らしげで。
 そんな彼から語られるナスも、息子を大事に想っていただろう事が伺えた。
 だからこそまた再会させてやりたい‥‥と思うが、事は簡単には進まない。
 とにかく情報が無い。当たってみた村々で見かけたという情報すら無い。
 手分けして捜索していた冒険者達は一先ず合流して成果を報告しあうが、全員同じようなものであった。
「この広い地でたった一人を探すってのがまず無理があるよなぁ‥‥どうすっかなぁ」
 がくりと肩を落として、草木が生い茂る地平の彼方に顔を向けるケニー。
 彼に残された選択肢はそう多くない。しかし、彼の様子を見る限りその選択肢のうちの1つである国に帰る‥‥というものを選ぶようには見えなかった。
 国に帰る‥‥ケニーの話によれば彼はイギリスの人間ではない。彼の情報への疎さを考えれば納得できることだろう。
「国に帰れと言われたそうですが‥‥お国ってどちらなのかしら?」
 ルースアンの問い、しばらくの沈黙。やはりケニーは答えないのか‥‥そう思った時、彼の手が仮面へと伸びていた。
「これ以上隠しても、事態は進展せんよな」
 仮面を外し、フードを脱ぐ事で現れた顔。
 鋭い眼に、大きめの口‥‥野性味を感じさせる顔つき。黒の瞳と黒き髪が精悍さをより際立たせる。
 父親のナスは金髪なのに―――と冒険者が疑問を得た直後、ケニーの口が開かれる。
「俺はアルスター王国の者だ。ク・ホリンと言えば知っているものもいるか?」
「なっ!?」
 アルスター王国とはイギリス王国の隣国であり、イギリスとも交友がある国だ。
 そしてケニーの口から語られた名―――ク・ホリン。それはアルスター王国親衛騎士団‥‥赤枝の騎士団の団長の名である。
 イギリスで例えるならば、円卓の騎士クラスの人物である。
「といっても今回の件に関しては国や騎士団は一切関わらせんがな」
 イギリス内部の問題にアルスターが絡めばどうなるか‥‥それを考えてのことだろう。
 だからこそ、赤枝の騎士団団長であるという事は伏せて行動していたのだろう。
「あなたがク・ホリンだとして‥‥何故イギリスに?」
 エルドリエルの尤もな質問。
「んー、友好の為に王に挨拶やらを済ませたら帰るつもりだったんだが‥‥親父がついてくるわ、何かごたごたが起きるわで微妙に帰りづらい状況になってな」
「お父上がついてきた‥‥? もしかして、人嫌いのヌアザ王とご友人とはあなた方も神‥‥?」
 ルースアンの推測。それはナスは神だというもの‥‥荒唐無稽なものではあるがそう簡単に否定できるものではない。
 どこかヌアザ、バロールを知っているかのようなナスの言動といい、行動といい‥‥そうならば納得できるところもあるのだ。
「生憎と俺はただの人間だ。それに親父がそのヌアザとかってのと友人かどうかは知らないしな」
「俺は、か」
「俺と親父は血が繋がってるわけでもないんでね」
 ま、そこら辺の事情は面倒だしとりあえずは省こうと、ク・ホリン。
「親父が人間じゃないのは確かだ。本人の弁を信じるなら、千年以上前から生きてる事になるからな」
 それではまるで―――
「神、か」
「陽魔法を使ったりするから、さしずめ太陽神ってところか? ルー――そしてこれが親父の本当の名だ」
 太陽神ルー―――初めて聞く名ではあるが、神という事実は変わらない。

●神とは
 ク・ホリンから明かされた衝撃の事実。
 それを聞いた冒険者達は、しばらくの間言葉を発する事なくそれぞれの思考を整理していた。
 ‥‥最初に口を開くは、エルドリエル。
「これ以上自分だけで考えても駄目ね。聞きたい事があるんだけどいいかしら?」
「おう、なんだ」
「今のキャメロットに関わる事‥‥そしてあなたの身近にもあること―――あなたは神の存在は信じる?」
 それを聞いて、んー‥‥とどう答えたものかと首筋をかくク・ホリン。
「俺は神学者じゃないからどう答えたものか分からねぇが‥‥そりゃ、どっちの神だ?」
「そうね、どっちも」
 どっちの神‥‥つまり、ジーザス教でいうところの神と古の神々の事だ。
「とりあえず、所謂古の神ってやつの方だが‥‥これは実際に会ってる奴らもいるし」
 俺含めて、な‥‥と言葉を続ける。
「実際は超すげぇ力持った精霊とかそういうのに区分されるんだろうが‥‥古にはそういうのが神として崇められていたんだろうし。それと同存在であるなら間違いなく神だろうさ」
 ジーザス教は認めんだろうがね、と大仰に両手のひらを天に向けて肩を上げるク・ホリン。
「んで、ジーザス教の言う神だが‥‥。とりあえず天使は間違いなくいるんだし、その天使を統率してる一番偉いやつが神ってことでいいんじゃないのか?」
「‥‥乱暴な理論ね」
「それを神と言わないなら別にいいさ。ただ、とんでもない力を持った存在がいるのは事実だ。それを神と呼ぶかどうかは、崇める人次第‥‥じゃね?」
 つまりは、信ずれば神はいるし、信じないのならそれは神じゃない何か、なのだろう。
「それじゃ、次の質問。あなたは魔族の進軍を、どう捉える?」
「や、あいつらはもうそういう事をする種族だと思ってるからなぁ‥‥。力があるならそういう事をしてきてもおかしくないんじゃねぇの」
「ふむ。じゃあ、人間世界に関して『神』や『魔族』は関与すべきではないと思う?」
「この世界を人間だけの世界だと思うのなら別にいいんじゃね?」
 世界を人間だけのものだと思う。――それは精霊などの世界に住む存在を一切合切否定した考えだろう。
 彼としては、世界に関わる手段を持つ者が人間以外にいるのならば、それは人間世界とは言わない‥‥ということだろう。
「それじゃ、最後の質問。もし今の戦いが本来、神々の戦いであるなら人間達を巻き込むべきではないと思う?」
「んじゃ聞くが、この世界は神々だけの世界か?」
 その答えは先の答えから繋がるものである。
 この世界で起きている事は、この世界にある存在である以上、無視できるものではない―――と。
「んじゃ、散々質問漬けにされたし、こっちも聞いていいか?」
「あら、何かしら?」
 ク・ホリンは至極真面目な顔で―――。
「夜這いとかって受け付ける?」
「ふふっ、そういうのはもっと親しくなってからするべきだと思うわよ」
 ちぇー、と残念がるク・ホリン。雰囲気無視にも程があるだろう。

 神とは何か。
 それは、太陽神であるルーを追う以上、そしてこれから繰り広げられる戦いを考える以上、考えなければならない事かもしれない。
 そういえば前に会った時に神は悪いものかと聞かれたな‥‥とマナウスが口を開く。
「俺は、神は絶対善とは思ってない。かといって悪とも思ってるわけじゃない。ただ、干渉が過ぎる神は、住まう民の成長を妨げる。其れはあまり良いものじゃない、人は自分で悩み苦しむからこそ成長する」
 そういう意味であの時は言ってたのさ、との事。
「神様なんて、放任主義で人の中に溶け込んで一緒に居る方がいい存在さ? 主として導くのでもなく、庇護者として保護するのでもなく、友人として見守る程度でね。この国は古くから精霊と共に在った国だ、古き神様とだって一緒に在れるだろうよ。それを本人が望む限り」
 つまりマナウスとしては、人も神も同じような世界の住人の方がいいということだろう。
 先のク・ホリンの考えと非常に似通っているといっていい。
「‥‥俺はこの国をそうしたいと思っている。神だろうがなんだろうが、隣人として共に在れるような国にしたい。それが、俺が騎士を望んだ時の誓いだ。『天が落ちきたりて、我を押し潰さぬ限り』俺はそれを目指す」
「それがお前のゲッシュってか? カカッ、成る程‥‥中々の夢見がちじゃねぇか」
 ―――だが。
「俺は夢を貫き通そうとする馬鹿は嫌いじゃねぇ。夢しか見ない奴は嫌いだがな」
 マナウスを馬鹿にするように笑うク・ホリン。だがそれは決して陰湿なものではなく、『やれるならやってみろ』というどちらかというと背中を押すような笑いだ。
「ただそれなら親父と和解ぐらいしとけよ? もういないのなら自分で折り合いつけるしかねぇけど」

「何はともあれ‥‥私達はルー神についてもっとよく知る必要がありそうですね」
 と、ルースアンはまとめに入る。
「そしてルー神に辿りつく為にも、この国の神々の知識も深めては?」
「回りくどいなぁ、おい」
 しかし、それが必要な事だと‥‥彼女は考える。
「―――フォモールが苦しみを受けるに到った発端を知らない人が殆ど。昔は誰もが知っていたであろう事は失われ、愚かな行為のみが残った」



 知りたい―――という切なる願いと、誓い。