【祝宴】未来へと続く道
|
■イベントシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 13 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:01月20日〜01月20日
リプレイ公開日:2010年01月28日
|
●オープニング
●
騎士達の旅立ちを見送って間もなく。
「ぼんやりしている暇など、我々にはありませんよ。王が不在の今こそ我らの役割を果たす時です」
円卓の騎士ケイ・エクターソンは残った騎士達や使用人達に指示を与え始めた。
城下の見回り、王宮の警備、そして‥‥
「パーティの準備、でございますか?」
思わぬ仕事に驚きの眼差しを浮かべる騎士や使用人達に、
「当然でしょう」
そんな眼差しでケイはため息を吐き出した。
「先ほどの話を聞いていなかったのですか? 王はお戻りになられたら冒険者や騎士の労苦に報いる場を作られるとおっしゃられた。その準備を整えるのです」
「ですが‥‥」
部下の一人がある意味、勇気のある言葉を問いかける。
「まだ出陣されたばかりだというのに‥‥、よろしいのですか?」
ケイに反論すると言う偉業を成し遂げた騎士は、
「出陣された、それだけで十分です。あなたもこの城の騎士であるのならば、自分の頭で考えなさい」
当然のようにケイの言葉の剣に叩かれる。
「我らが王が出陣されて、目的を果たさず戻ることがあると思っているのですか? 王は必ず勝利される。我々は信じて、用意をして待っていれば良いのです」
解ったら早く仕事に戻りなさい、と騎士達に改めて指示を出して後、ケイもまた動き始める。
王の留守を守りながら祝宴の準備を整える。
やるべき事は山積み。
人手はいくらあっても足りないのだから。
忙しく歩くケイはその足を、ぴたり、ある場所で止めた。
覚えのある気配がした。感じるのは惑い、後悔、そして躊躇い‥‥。
「モル!」
「は、はい!!」
柱の影で様子を伺うように向こうを見ていたモードレッド・コーンウォールは条件反射で背筋を伸ばした。
身体の隅々まで染みこんでいる怖くも懐かしい声に‥‥、動いた身体に自分でも驚きながら。
「何をしているのです、あなたも早く手伝いなさい。今は猫の手も借りたいのです。ぼんやりとしている暇などありませんよ」
「は、はい! 先生」
「冒険者ギルドに遣いを、それから‥‥」
戦いに向かった者達とは違う、残された者の信じて待つ、という戦いが今、始まろうとしていた。
●
「おーい、親父ー」
「父上と呼べ」
へいへい、分かったよ‥‥と言いながら石造りの扉を開け、これまた石造りの部屋に入るはアルスターの英雄、ク・ホリン。
彼は未だにイギリス王国に滞在していた。
理由は2つ。
1つはアルスターとイギリスの親交の為の挨拶を済ませていない事。
もう1つは目の前にいる人物だ。
目の前の人物‥‥彼の父親、ケルトの太陽神ルーである。
彼が鎮座しているはイギリス南方のとある遺跡の石室だ。クロウ・クルワッハとの戦いの後、彼はしばらくここで休養していたのだ。
この地はルーが生まれた地である。体を休めるのにもやはり一番合う場所なのだろう。
だが、ルーの育った場所はアルスターであり、ク・ホリンと共に過ごした場所もアルスターである。
‥‥そんな彼がアルスターに帰るかどうかを明言していない為、ク・ホリンもどうしたものかと首を傾げているのだろう。
(「‥‥まぁ、親父としては特にあっちに親交があるってわけじゃないからなぁ」)
アルスター王国としても隠者であったルーが居なくなったところで大きな影響は無いのだろう。
だから別に一緒に帰ろうと言う必要もないのだが‥‥さて。
「で、用があるのではなかったのか?」
「お、そうだった」
ク・ホリンが懐から羊皮紙を取り出すと、それをルーへと手渡す。
手紙‥‥いや、招待状だ。
「ほう‥‥慰労会、か」
「そ。クロウ討伐に参加した者も、別に参加しなかった者も。とにかくイギリスの大きな災厄を乗り越えた仲間だって事で騒ごうぜって事らしいぜー」
「お前は‥‥聞くまでもないか」
ルーは息子が参加するかどうかを聞こうかと一瞬逡巡するが、目の前の息子の楽しそうにしている顔を見て聞く必要も無いと分かる。
あぁ、そういえばこいつは騒ぎ事と‥‥ついでにそれに集まりそうな美女が好きだったな、と。
「かかっ、どっちかというと美しい女性メインになるだろうがな」
ク・ホリンは、あと王が帰ってきたらその時こそ俺の本来の役目も果たしたいしな、と笑いながら続ける。
そのまま、視線はルーと交わるように。それは父はどうするか問うもので。
「―――知ってるか? 古来より、太陽を司る神はお祭り騒ぎが好きなものだ」
なんだかんだで似たもの親子のようであった。
●
「ということで、キャメロットに行くわ」
「オーケイ。まずは説明しろ」
といったやり取りをするは、キャメロットから南にある都市ブライトンの領主の館の執務室。
部屋の主は勿論ブライトン領主。備え付けられている机に向かって座っている女性‥‥ライカ・アムテリアがその人だ。
彼女の傍らに立つは護衛騎士クウェル・ナーリシェン。
先ほどの発言のうち、突拍子のないものがライカ。それを受けての発言がクウェルのものである。
「キャメロットで、クロウ討伐の慰労会をやるじゃない?」
「あぁ、やるな」
「そこで騒ぎたい」
「うん落ち着け」
えーなんでよー、と不満をまったく隠そうともしないライカの様子にクウェルは頭を抱えそうになりながら、しかし彼女の暴走を止められるのは自分だけだと言い聞かせ何とか説得を始める。
「今度行われる慰労会は、クロウ討伐の慰労会です。勿論、クロウ討伐決戦に参加してない人でも参加できますが、あくまでもクロウ討伐の慰労会です」
「それぐらい分かってるわよ。というか、その言い方がむかつくんだけど」
げしげしげし。
「いたたっ!? 何この暴力上司!? ともかく、長い戦いお疲れ様だったねーってそういう会だろ!? 積極的に戦ってない俺たちが騒ぐ場所か!?」
確かに現地に比較的近いから色々と援助はしたけどさ、と続けるはクウェル。
「馬鹿ねー。実に馬鹿だわ」
チッチッと指を振りながら、駄目な生徒に教えるように言うライカ。
実に腹の立つ物言いではあるのだが、クウェルとしては慣れっこなのであった。
(「‥‥そも、こういうのを俺にしか見せないんじゃ、俺が受け止めるしかねーだろ」)
と、そんな漢の心意気を知ってか知らずか、ライカの態度はクウェルが護衛になってから同じようなものだ。
それはともかく。
「いい、確かに今回の慰労会はクロウ討伐‥‥ううん、それだけじゃなく今までの全ての戦いに区切りをつけるものと言えるわ」
――今、繰り広げられている最終決戦も含めて。
「そう、今までの戦い‥‥過去に区切りを。でも、区切りをつけるって事は過去を見るだけじゃないわ」
ライカが目を閉じて、深く椅子に座る。
彼女はそうしてしばらく沈黙し――恐らくは、今まであった出来事を思い出しているのだろう――それから、目と口を開く。
「過去が積み上げられ、今がある。そして私たちは‥‥未来を見据えなければならない」
過去を切り捨てるわけではない。
だが、過去をずっと見るわけにはいかない。積み上げて、未来に繋げればならないのだ。
「イギリスのこれからの未来の為‥‥そう考えれば、私たちが参加する意義も十分あるんじゃない?」
にっこりと微笑む彼女の様子は、まるで全てを包むかのような母――領地を預かるそれに相応しいもので。
「でも結局騒ぎたいだけなんじゃねぇの?」
しかして、クウェルがそう言えば彼女は舌を出しておどけるのであった。
●リプレイ本文
●祝宴
「この場でまたこうして皆と集えた事を嬉しく思う」
凛と会場に響くはアーサーの声。
「邪竜との戦い、そしてグィネヴィアと鞘の奪還‥‥どれも諸君らの力があってこそだ。此度の宴はそれを労うものであり、また勝利の祝いの場でもある。戦果や身分は気にすることなく存分に楽しんでいってほしい」
●未来を護る騎士
1人の騎士がいた。
彼女の名はエクター・ド・マリス。
王宮騎士である彼女は、それらしく白いサーコートを身に纏い、髪も簡単に束ねる程度のものであった。
宴に出る女性としては地味ではあるが、しかし騎士としては立派な格好だ。
が―――
「やっぱりそんな格好してる‥‥。せっかくこういう場なんだからもっと綺麗にしなくちゃ!」
そんなエクターの格好が気に入らないのはマール・コンバラリア(ec4461)だ。
彼女はエクターとは正反対の華やかな格好をしていた。白いレースが刺繍された大きく広がるスカートに気品溢れる黒いドレス、光のように輝くショールを纏い、ムーンティアラと野ばらのコサージュで着飾っている。
「え、いや、でも‥‥」
「ほら、これとかどうかしら?」
言いながらマールが取り出したのはスカーレットドレス。深い赤色に染められた露出部分の多い女性用ドレスだ
「えぇー!? こんなの露出の多いの着れるわけないじゃないですか! それに、今日の私は女性ではなく騎士として参加していますし‥‥」
勿論エクターの答えはノー。しかし、状況は彼女に厳しい。
マールに味方する者が更に現れたからだ。いや、遠巻きで『くそっ、あの服着ないのかよ‥‥!?』『いや待て。彼女には清楚な服の方が似合う』などと言ってる男連中は除くとして。
フィーナ・ウィンスレット(ea5556)。純白のまるで天使の羽のようなひらひらとしたドレスを着て、更にムーンティアラとブリーシンガメンを着けた美女。
そう、いつもだと『黒い』だとか『キヨラカ』だとか妙なイメージが先行しがちだが、着飾った彼女の美しさは並の貴族を余裕で食うものだ。
それは彼女が過去にビューティー・オブ・ジアースのキャメロット代表に選ばれた事も証拠になるだろう。
「たまには騎士のエクターさんから、コレットさんになるべきです」
そう言う彼女が手に持つはユノードレス。色とりどりの布を優雅に広がる形でまとめた、丈の長いワンピースのドレスだ。先程のスカーレットドレスに比べたら露出は大分少ない。
それを見たマールは仕方なしといった感じで、スカーレットドレスを諦めてユノードレスを着せる方向に同調する。
「本当はあっちの方がいいけど‥‥うぅ、じゃあこっちで我慢するから」
うるうるうる。
上目遣いの泣き落とし。その目が語るは『一生懸命選んだのに‥‥駄目?』という懇願のもの。
視線が辛くなったエクターが困ったように顔を上げれば、そこにはフィーナな微笑みが。言葉では語らず、ただ笑顔で。
「‥‥分かった、分かりました。あっちを着るよりはマシですからね」
だからその視線とかをやめてください‥‥ため息をつきながらユノードレスを受け取るエクター。
彼女は気づかなかった。マールとフィーナが目を合わせてほくそ笑んだのを。
着替えは王宮内の一室を借りて。マロース・フィリオネル(ec3138)もエクターの化粧に手を貸す。
それからしばらくして――。
会場に再び姿を見せたエクター‥‥いや、コレット・ド・マリス。
服は先程のユノードレス。髪は半分おろして、頭には宝石のティアラを。
香水もふりまき、メイクは少し大人っぽく。唇に魅惑の紅でルージュを引いている。
「うぅ‥‥やっぱりこういう場でこの格好は、その、恥ずかしいです」
それはともかく、マールとしてはこのコレットに大満足のようで、笑顔満面。
「このドレス、結婚の女神の加護があるんですって。良い相手が見つかると良いわね」
「え、良い相手って‥‥そんなのまだ考えられませんよ」
「あら、でも油断してると婚期を逃しますよ?」
「婚期って、そういうフィーナさんは――――あ」
人は何故‥‥過ちを犯すのだろうか。
それは誰にも分からない。しかし、過ちを乗り越えて成長が出来るのが人であり――
「いや、そういうのはいいから」
ともかく、とマールはコレットの顔の前で仁王立ち。当のコレットは、フィーナに脇腹を探るようにつねられて悶えているのだが。
「高すぎる理想は早めに修正した方が良いわよ」
マールの視線は、会場にいる1人の黒騎士へと。そんな彼女の薬指は光を反射して輝く結婚指輪―――結婚の幸せを味わっている先輩からの忠告、だろうか。
さて、視線を受けた黒騎士‥‥ネームレスだ。
彼は宴だというのに、鎧兜は戦場にいるそれとほぼ変わらず、壁際に立ちまるで会場を警護する兵士かのようであった。
彼が兜越しに見るは、コレット‥‥そして王と王妃。彼が何を思ってこの会場にいるか、知る者はいない。
「よっす、ゴン」
「ん? あぁ‥‥閃我か」
そんな壁に徹していた彼に声をかけるは閃我絶狼(ea3991)。
「しっかし、こんな時にまでそんな格好とはなぁ‥‥」
じー、と絶狼はネームレスの頭から足の先までまじまじと見る。
「まるで昔のマリちゃんみたいだが‥‥やっぱり兄妹だな」
「なんのことだか」
ネームレスの正体に気づいてない者の方が少ないだろうこの現状。
しかし、それでもこの男はそれを突き通すのだろう‥‥今の会話でやれやれと絶狼は実感する。
「ま、マスクとかして良いから普通の服着なよ、そんでもってマリちゃんと踊ってあげると喜ぶんじゃない?」
「―――何故?」
「そんな気がするだけだけどね、うん」
というわけでこれを貸してあげようと絶狼からネームレスに手渡される仮面は獣神の仮面。
かなり遠慮したいデザインのキワモノマスクである。
「おい正気か?」
「正気だぜ。真面目かどうかは置いとくとしてな? マリちゃんの為だぜ?」
はー、と息を吐きながら天を仰ぐネームレス。きっと、今彼は自分の色々なものとコレットへの想いを天秤にかけているのだろう。
「‥‥あぁ。やればいいんだろ、やれば」
「いってらー」
半ばやけくそ気味に着替えに部屋に行くネームレスを、絶狼はニヤリと笑いながら見送る。
さて、再び場面はコレットへ。
今の彼女の周囲には、先輩騎士含めて何人かの冒険者が集まっていた。
「ふはははははは! 大勝利の後は祝宴なのだ! しかも今回は色々と大規模ゆえ、ホール内複数エリアをはしごなのだ〜まず1件目」
ヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)もその1人だ。
「エクターどの、円卓入りおめでとうなのだ!」
「ありがとうございます。‥‥とはいっても、正式に決まったわけではありませんし」
先程冒険者達が集まった時の話題の種の一つが、それだ。
先輩騎士により告げられたコレット‥‥エクターの円卓入りの話である。先の戦いを含めて、今までの功績を鑑みてそういう話が上がっているのだという。
正式な任命などは宴が終わり、しばらくして落ち着いてからになるだろうという話だが、それでもめでたい話には変わりはない。
しかし立場が変わるとなると‥‥と考え込むのは、こちらに合流した絶狼だ。
「マリちゃんが円卓かあ、もう気軽にマリちゃんって呼んじゃ拙いかな?」
「いえ、初めからその呼び方を受け入れてたわけじゃありませんが‥‥」
「え、嘘」
「なんて白々しい!? ‥‥ともかく、接し方は変えなくて構いませんよ。そちらの方が気が楽ですし。あ、公務の一部や式典などではさすがに考えてもらった方がいいですが」
円卓の看板を背負う事は、国を背負う事と同じ‥‥だから、それを傷つけないようだったら、ということだろう。
「それにしてもマリちゃんと会うのは久しぶりですがぁ‥‥」
と、絶狼と同じくマリちゃんと彼女を呼ぶのはエリンティア・フューゲル(ea3868)だ。
「円卓に入れるようになるなんて‥‥随分と頑張りましたねぇ」
「‥‥あぅ」
頑張った事を褒めるように、彼女の頭を撫でるエリンティア。コレットは照れたように顔を赤くしている。とはいえ、褒められる事自体は嬉しいのだろう。顔は笑顔だ。
「やっぱりマリちゃんもドレスが似合いますねぇ、普段からこう言った服装でも良いかもしれないですねぇ」
ねぇ? とエリンティアが同意を求めるように振り向けばそこに立っていたのは1人の男性。
黒きサーコートを纏った騎士‥‥問題があるとしたら、奇妙としか言いようが無い仮面をつけている事。そう、ネームレスだ。
「む? あぁ、そうだな‥‥。よく似合っている」
「―――!?」
ただでさえ赤かったコレットの顔が、ネームレスの言葉を受けて更に赤くなる。湯気が出るんじゃないかという程だ。
冷静になってみれば、珍妙な仮面をつけている男からの一言だが、それでも嬉しい事は嬉しいのだろう。
「あらあら。じゃあ頑張ったということで頭を撫でて褒めてあげるのはどうかしら」
さっきエリンティアさんがやったようにね、とネームレスを煽るのはフィオナ・ファルケナーゲ(eb5522)だ。
「いや、しかし、一騎士の私が―――」
「お願いします!!」
だが、あくまでもネームレスは新人騎士なのだ。分を弁えてそれは断ろうとした声を遮るのはコレットのもの。
それは結構な大声で、その場にいた者たちの視線は一斉に彼女に集中し‥‥それで何を叫んだのか自覚したのか、彼女は小さくなる。
そんなコレットを見て、ネームレスは微笑ましく思ったのか、彼女の頭に手を載せ――
「これでいいか―――いいですか?」
「は、はぃ‥‥‥はぅぅぅ〜」
撫で撫で。
それに対するコレットの反応は、顔が蕩けるほどの幸せな笑顔で‥‥その、ちょっと不安になりそうなものであった。いやこの人ちゃんと真っ当な道に進むかどうか的な意味で。
うん、その、年上というか自分を引っ張ってくれたりする人や、実力がある人に認められる事に弱いとか、そういう事なんだろう、うん。
ともかく、そんな2人を見てフィオナは満足したようにうんうんと頷く。
「今のうちにそうやって堪能するといいわよ。これからは『ラーンスおにいちゃん、ハグハグしてぇ〜』とか言えないのよ?」
「ぶふーっ!? な、なんですかそれ!?」
うん、確かにフィオナの言う通りの事は言えない。ラーンスは死んだのだから。
だが、実際にコレットがそれを言ってたかどうかは別問題で、一気に正気に戻ったコレットが抗議の声を上げる。
「だって実際に言ってたんだもん。リシーブメモリーで知ったけど。一人寝のベッドで言ってた!」
「その発言はどうとでも捏造できますよね!?」
「‥‥さすがの私でもそれは‥‥」
「にいさ――レスさん、真に受けて引かないでください!?」
場は一気に笑いの渦に巻き込まれる。
さて、そうしてしばらくして笑いが収まったところで、声をかけるはレイア・アローネ(eb8106)だ。
「うむ、相変わらずのようだ。最後の方の戦いには参戦出来なかったが、皆無事で何よりだ」
「レイアさん‥‥。そちらこそ、お元気そうで何よりです」
「エクターも、先輩も‥‥色々と世話になったな」
そして、レイアは先程までの渦中の一人‥‥ネームレスへと視線を移す。
「兄上の方も息災か?」
「兄? なんのことでしょうか」
しかして、ネームレスから返ってくる答えはレイアの言葉を前提から否定するもので。
「ん、んむ?」
「察せー。そして適当に変えて言えー」
ネームレスの答えに戸惑うレイアに、助け舟を出すは先輩騎士。それを受けて、彼女はあぁと納得する。
「なんというか‥‥まっすぐな方だな。これからは兄妹――じゃないな、先輩後輩仲良くな?」
「‥‥分かった」
「はい!」
「おうよ、たっぷり弄ってやるぜ!」
「あなたには言ってない!? いや確かに範囲に入るっちゃ入るけど!!」
●未来を作る領主
さて、こちらはブライカと愉快な仲間たちが集まるテーブル。
そこに一番に声をかけるはマロースだ。
「クウェルさん、ライカ様。お久しぶりです。お元気そうでなによりです」
「あら、マロースさん。久しぶりじゃない。そっちも元気そうでよかったわ」
「俺としては、俺の事をちゃんと覚えてくれてるってのが嬉しいぜ」
と、自虐ネタを言ってからわざわざへこむクウェルに追い討ちをかけるマロース。
「大丈夫ですよ、クウェルさんの事はご自身のお名前やなぜ騎士の道を選んだのか、とかライカ様のこととか綺麗さっぱり忘れてた頃から依頼で同行していましたので知ってますから」
「――――」
これでマロースに悪意が一切無いのだからある意味性質が悪い。
ライカが『あぁ、そんなこともあったわねぇ』と言いながら、地味にクウェルの足を踏んでたり。
「ところで、ブライトンの方はどうです?」
と、クウェルへのいびりが目に入らないのか、それとも見てて気にする事でもないのかマロースは平然と話を続ける。
ライカはそれを受けて、指を顎に当てて少し考え込んだかと思うと、ぽつぽつと現状を彼女に話していく。
―――しかし、そこは若い女性の身で領主をやっているライカ。自然と愚痴の比率が大きくなっていく。
だがマロースは嫌な顔をしたりしない。こうして話の聞き手になるのも彼女のしたかったうちの1つだ。
「あー、やっぱり若い女が領主やってるってだけでナメられるのが一番腹立つわねぇ」
「良い縁談とかは‥‥無いのですか?」
独り身の女性ではなく、せめて結婚していれば周囲の目も変わるのでは‥‥と聞いてみたマロースだったが、ライカの顔は更に渋いものとなり。
「無い無い無い無い。もうね、こう、甘い雰囲気をふりまいてるカップルがいたら、こう、叫びたくなるぐらいには無いわよ?」
重症だ。
そんな愚痴を、こちらに合流したばかりのエリンティアも大体把握したのだろう。名案だとばかりに1つの提案をする。
「いっそのこと身近な相手で我慢してみたらどうですかぁ、ライカ様のサポートが出来て憂さ晴らしも出来ますしねぇ」
身近な相手。
そう言われてライカが見るは勿論クウェル。クウェルも自分の事だと思ったのか、ライカの方を振り向けば、自然と目が合った。
「‥‥‥〜〜〜〜!!」
「いたっ!? ちょっ、何故無言で殴る!?」
さて、そんな話を聞きつけてやってきたのはヤングヴラドと、フィオナだ。
「ライカどのお久しぶりであるな〜相変わらずお美しいのだ。しかし、それでも良い縁談が無いであるか」
「クーちゃん、久しぶり♪ 彼女とは最近どう?」
ライカの前で大仰に礼をするヤングヴラド。クウェルの顔を認めると同時に彼に抱きつくフィオナ。
「無いのよねぇ、困った事に」
「ちょっ、今なんで俺蹴られてる!? あとフィオナ何故抱きつく!?」
それに対する反応はそれぞれこうだ。ちなみに蹴ってるのは勿論ライカ。
「え〜、だってクーちゃん毎晩ライカちゃんとあんな事やこんな事しちゃってるんでしょう? だったらこれぐらい慣れっこじゃない?」
「してねぇよ!? なんでそうなるよ!?」
「へー‥‥そういうの慣れっこなんだ‥‥」
「何でそんな冷ややかな視線を送るんですかライカさん!?」
ふーん、とライカとクウェルのやり取りを見て、ある事を思いついたのかフィオナはクウェルへと抱きつきをより強くする。
「ねぇ、ライカちゃん。フリーならクーちゃんもらっていい?」
「な!?」
「え、いや、俺さすがにシフールはちょっと‥‥」
その反応は正直どうかと思うぞ。
ともあれ、それならばとヤングヴラドもフィオナの案に便乗する。
「ならライカ殿の相手には余が立候補しちゃうのだ〜こう見えても年上OKなのだ!」
「な!?」
「え、いや、私さすがにテンプルナイトはちょっと‥‥領主的に」
ライカの反応は正直理不尽なものを感じるぞ!
「何はともあれ、いきなり決めてしまうのもアレゆえ、まずはダンスのお相手をさせてもらえるであろうか?」
「え、ちょ、待っ――」
「あらぁ、クーちゃん止めたいの? 何故かしら?」
ニヤニヤニヤニヤ。
見ればテーブルの周囲の人々の結構な数がニヤニヤしていた。
「まったく、何やってるんだか」
と、冷静にツッコミを入れながらそこにやってきたのはレイア。クウェルとしてはありがたい事この上ないだろう。
そんな彼女のお目当ての人物はジョージ・サカモト。ブライトンに仕える侍(という名のナイト)だ。
とはいえ、彼女の知るジョージはブライトンには仕えていなかったのが‥‥きっと色々あったのだろう。
レイアには気がかりが1つあった。それは、ジョージと行っていた遺跡探索だ。
数々の特殊なゴーレムが出てくるというピースヘイヴンにある遺跡‥‥。レイアはそれを冒険者達と一緒にジョージと一緒に攻略していたのだ。
「ジョージ、ゴーレム探索は続けるのか? いつでも呼んでくれ。力になろう。遺跡探索は腕が鳴るしな」
「あー‥‥」
だが、レイアの言葉を受けたジョージの返事は何故かはっきりとしないもので
「おい、どうした?」
それにレイアは気づいて声をかける。
と、それとはまた別にヤングヴラドが、こちらのテーブルに来た別の目的を思い出す。
「天使ワリアンどの! 壮健なようで何より」
ヤングヴラドに声をかけられたのは、とある事情からブライトンに滞在しているロー・エンジェル、ワリアンだ。
「えぇ、そちらもお元気そうで‥‥」
「わっはっはっは! 元気は取り得の1つであるからな。使命は順調であるか?」
「――――」
笑顔でヤングヴラドに答えるワリアンだったが、使命を聞かれるとその笑顔はたちまちに消える。
それと同時に、ワリアンの視線はジョージへと移り、ジョージの肩がぴくりと震える。
「‥‥ワリアンどの?」
「‥‥ジョージ?」
ワリアンのジョージに向けていた視線が地面へと移り、そしてこぼれるため息。
「いいでしょう‥‥黙っていても仕方がありませんし」
そしてワリアンは語り始める。何故あの地へとやってきたのか。
「あの地には過去にセブンフォースエレメンタラースタッフがあったと思われます。現在はどうなってるかは分かりませんが」
「ぶふっー!?」
ここで吹き出したのはセブンフォースエレメンタラースタッフが何か分かってるものだろう。それが何かというのはここで割愛しておく。
「過去にあの地‥‥正確にはピースヘイヴンですが、そこにドラゴンボーンゴーレムが眠っていたという資料があります。それが、根拠です」
ドラゴンボーンゴーレム。その名の通りドラゴンの骨で作られたゴーレムであり、動力源にセブンフォースエレメンタラースタッフが使われているという。
「ん? ゴーレム‥‥ってまさか!?」
ここまで来て、レイアはピースヘイヴンに眠っている『大いなる力』についての考えに至る。
「そう、あの遺跡攻略で得たメダルなどは、ドラゴンボーンゴーレム‥‥後世に人の手が入り、『ピースガーディアン』なるものへとなったそうですが。それに至る道だったのです」
だが。
「そのメダルは今手元にありません」
言われて、レイアはジョージを見る。遺跡攻略で得たメダルは彼が管理していた筈だからだ。
「―――新しくできた嫁に持ち逃げされました」
「おいいいい!!?」
さすがにこれはワリアンに冷たい目で責められても文句が言えないというものだ。
「ぐぅ、まさかセルに裏切られるとは―――」
「ちょっと待つである」
今、聞き捨てならない名前を聞いた気がした。
ヤングヴラドは、もう一度ジョージの嫁の名前を問いただす。
「え、いや、セルだけど。‥‥その、何度も聞かれるとへこむんだが」
セル。
その名はあるデビルが人間として活動していた時に名乗っていた名前―――これは偶然だろうか?
「あー、どうしたもんかなー‥‥なんとかしたいとは思ってるんだが」
テーブルに伏せて、頭を抱えるジョージ。
「なんとか、したいのですか?」
「当たり前だろ。こんな大事な事を中途半端で投げ出したくなんてなかったさ」
「どんな試練が待っていても?」
「あぁ、乗り越えてみせるさ。」
――――その言葉、忘れませんよ?
かたり。
テーブルに何かが置かれた気がして、ジョージは顔を上げる。そこにあったのは―――
「盗られたメダルと地図―――!?」
「なにー!?」
そう、何故か過去に奪われた筈のメダルと地図がそこにあったのだ。
「え、いや、ちょっと待て!? これ誰が置いたんだ!?」
そう問いかけるジョージ。しかし周囲の皆が見たのは、ただ1人のメイドがジョージのテーブルに近づいた事ぐらい。
お茶でも入れてるかと思い、気にしていなかったが‥‥確かに、その時ボソボソと話してるような声が聞こえた気もする。
「って!?」
メイドの姿は最早どこにも見えなかった。
さて、そんなこんなもあったりしたが。宴は進む。
ライカのところにこそこそと近づく女性が1人。チョコ・フォンス(ea5866)だ。
「ライカ様、お久しぶりです、っと、クウェルさんもお久しぶり」
「あらお久しぶりね」
宴の席だというのに、まるで密談をするようにひそひそと話を進める彼女。しかし、それも仕方ないだろう。
「連れて来てくれたのですね? 例の方々を‥‥」
「あー‥‥一応、ね。場所は―――」
ライカから場所を聞き出すと、会場から手当たり次第に食べ物を持っては移動するチョコ。
そんな彼女の背中を見て、ライカは思わず呟かざるを得ない。
「業の者ね‥‥」
会場から離れた、とある森の中にひっそりと隠れている集団がいた。
隠れているとはいっても、周囲には多くの騎士――全員女性だ――がおり、もし逃げ出そうとすれば即取り押さえられる状況だ。
その集団の正体は‥‥ブラッディペイン。ブライトンで過去に暴れた、カマール率いる変態集団だ。
彼らの姿を見て、チョコは嬉しそうに彼らの前まで走りよる。
「会いたかったわよ、カマール!」
「あ、あなたは―――誰だっけ?」
ずさー。
見事なスベりだったといえよう。
気を取り直してチョコは、カマールに思い出してもらえるようまるごとるどるふを着込む。
「あー! あなたはあの時の絵師ね! うっふっふ、聞いたわよ。あなたの描いた私達の絵が凄い脚光を浴びたってね」
「えぇ、友情の合作ってところね」
がしっと、友情の握手をかわす2人。
ちなみに脚光を浴びたのではなく、危険視されただけなのだが――細かい事はいいのかもしれない。
こうして、チョコとブラッディペインらの友の会が開かれる。
一体何の友だとか、そういうのは気にしちゃいけない! 気にしたら引き込まれるからだ!
「それにしても‥‥あなた達相変わらずみたいね」
「うふふ、おカマの魂百までよ。そう変わるものじゃないわ」
確かに性格はそう変わらないものだ。しかし、それで納得すると何かに負けたような気がするのは気のせいだろうか。
「あんた達も、早く、特別好きな人一人作りなさいね」
ところでチョコさん。特別好きな人の性別は聞いておくべきでしょうか?
●未来を拓く英雄
さて、こちらはク・ホリンとルーのテーブルだ。
ク・ホリンは先程から何度も女性に声をかけようとして、それをルーに潰されるというのを繰り返していた。
「親父!? なんで邪魔するんだよ!」
「お前は自分の立場というものを考えろ!」
「立場考えて恋愛ができるかよ!!」
と、こんな時にも仲がいいのかどうなのか分からないやり取りを繰り返す親子。さて、彼らに声をかけるはマロースだ。
「少しでもお役に立てたのなら幸いでした。本当にお力添えありがとうございました」
彼女が伝えるは素直な感謝の気持ち。
「いや、気にする事はない。我らもこの世界に住む者なのだから協力するのは当然の事だ」
「そうそう。どうしても感謝したいってのなら、俺と付き合うってのはどうよ?」
ルーがク・ホリンを殴った。割と本気で。
そんなやり取りを見て呆れているのはレイアだ。
「‥‥誰かに似ている‥‥まあ‥‥ほどほどにな」
「誰か、ほう誰かって誰だ?」
「誰って、その―――」
ク・ホリンに問われ、レイアの視線はマナウス・ドラッケン(ea0021)へと注がれる。その目を見て、ク・ホリンは何かに気づいたのだろうか。ニヤリと笑みを浮かべると。
「ははぁん、お前のいい男に似てるってわけか。どうだ、似てるなら俺とも付き合ってみるってのは?」
「おい、何人の女に手出してるんだ」
しかし、似たもの同士だからか、レイアへの毒牙を察して、即座にク・ホリンとの間に割って入るマナウス。
「かかっ、俺は人の女でも余裕で手を出すぜ? まぁ、女の同意の上だがな」
「え、いや、同意と言われても‥‥その、私は‥‥マナウスが‥‥ごにょごにょ」
「んん? 聞こえんなぁ」
「あー、聞こえなーい」
「って、マナウス。お前も一緒になって何をやってるか!?」
レイアが気づいた時には既にク・ホリンもマナウスも同じようにニヤニヤと笑みを浮かべていた。まるでこれを見るのが最初からの目的だと言わんばかりに。
気を取り直して。
改めてク・ホリンとルーに挨拶するマナウス。
「我が真名はマティナ・ヴァディス・シャルト。母の名はメイヴ。父なるものの名は知らず、されどその意思を継ぐ一つの剣」
そう、正式に。
マナウスは自分の真名を明かし、大事な友人達と向かいあう。
「ふ‥‥しかし、あんた達親子を見て、色々と考えられたのはよかったよ」
「俺と親父を見て? 何かあったっけか?」
「‥‥自分で言うのもなんだが、神と一国の英雄を指して『何かあったか』はどうかと思うぞ」
「いや、そんなあんた達だから、分かったのかもしれないな」
マナウスの目が遠くを向く。最後に会ったのはいつだろうか、『親父』と――。
「俺はずっと親父の口癖だった「親殺しは幸いなり」って言葉が分からなかった。‥‥ああ、今はその答えが分かるよ」
マナウスは己の出した答えに自信を持ち、その答えを理解してるだろう親子に向け、言う。
「即ち『庇護下にあるものは、何時かその庇護者を乗り越えなければならない』という事。親を「庇護者」としてではなく「先人」として横に並べる友に、あるいはさらに上の存在になる事」
マナウスは自分の手のひらを見ると、強く握り締める。そして地面に立つ自分の足を強く感じ、思考を一瞬過去に飛ばす。
―――自分は今までどんな道を歩いてきただろう。親父と並べるような存在になっただろうか。
思考が、現在に戻る。
「親父が望んでいたのは、そう言う事だったんだ。親(過去)に縋るな、親(過去)に逃げるな。それすら踏み越え前に進み、更なる次代の礎となれと」
ふ、とルーがマナウスに笑いかける。
それは友人を見るような‥‥しかし、どこか子を見守るような笑いで。
「‥‥っと、まだ子供か、俺は?」
「あぁ、私から見ればな。―――私はイギリスの地に残る。お前が一人前になったと思ったら、私の元に来るといい。その時、我が剣アンサラーをお前に託そう」
「いつになることやら」
「さてな」
魔剣アンサラー。そして魔槍ブリューナク。それらが子の世代に渡るのはいつになることだろうか。
●未来へと続く道
これから。彼らはどのような道を進むのか。
円卓に入る事となったエクター。そして――
「円卓入りしても、これからも一緒に遊びましょうね。逃がしませんよ、ふふ」
彼女と変わらぬ友情を彼女なりに誓うフィーナ。きっと彼女達が望めば、その友情は永遠の筈だ。
「逃がさないというなら、私も逃がさないわよ?」
「はっ、この気配は!?」
と、コレットの様子がおかしい事に気づいたフィーナ。しかし、遅い。彼女はコレットに取り押さえられていた。
「誰ですかお酒を飲ませたのは‥‥!」
知らない人の為に説明すると、コレットは酒が入るとセクシーお姉さん系の性格に豹変するのだ!
「ふふ、私のお酒が飲めない‥‥とは言わせないわよ?」
フィーナを取り押さえたままのコレット。まずい。酒に弱いフィーナとしては飲まされる事での醜態は避けたい。
しかし、力では圧倒的にコレットの方が上。この場は仕方ない、魔法でなんとか―――
「――んむぐ!?」
しかし、フィーナの口が塞がれる。高速詠唱はあくまで詠唱しなければ発動しないのだ! 今更戦闘のおさらいだ!
じたばたじたばたともがいても、もはやフィーナに抵抗する術はない。
‥‥まぁ、長く付き合うつもりなら、攻守逆転の1つや2つあってもおかしくないだろう、うん。
さて、コレットにお酒を飲ませた張本人はフィオナだ。
「酒の一杯ぐらい付き合いなさいよ〜。他の騎士になめられるわよ?」
というよく分からない理論で無理やり飲ませたのだが概ね満足する結果が得られたといったところか。
宴もそろそろよいところで、あっちこっちで酒が入ったゆえの騒ぎを見る事ができる。
そう、彼女は見る。
そして、これからも見るのだろう。
(「私のこれからは――鷹目であり続けることよ。生も死も、戦争も平和も、この目に焼き付けるわ」)
それが、鷹目のフィオナの在り方。
レイアは、円卓候補となったマナウスを、そして円卓入りする事になったエクターを見て考える。
‥‥いや現状の後者はともかく。
「大したものだ。私は騎士には程遠い」
ぽつりと呟く彼女。さて、だからといって何もしないわけにはいかない。
「うん、剣を磨きながら己の在り方を見つめていこう」
―――そういう訳で私はまだまだこの地で冒険者を続けていく予定だ。これからも宜しく。
さぁ、あなたは?
「さて、そろそろ良い時間だろうか。楽しんでくれたようでこちらとしても嬉しい限りだ。‥‥宴は終わり、明日がくる。我々はこの明日を掴み取る為に戦った。だからこそ、明日が‥‥未来がより良いものとなるよう願い、奮起しよう!」