色々まる見え! 変態特捜部

■ショートシナリオ


担当:はんた。

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 98 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:03月05日〜03月10日

リプレイ公開日:2007年03月14日

●オープニング

 このスケッチをよーく見てほしい。
 お気づきだろうか?
 そう、裏路地に潜伏した変態が隠れているのである。
 そこで今夜は知られざる能力を持った変態たちの世界へ、皆さんを招待しよう。


●Get lost, freak!!/どっか行けよ、変態!!
 その日、鎧騎士の男性、テクレー・ルオーシェは依頼を終え自分の家に帰る途中であった。
『あの日は、外に洗濯物を干しているのに小雨がぱらついてきて‥‥それで、急いでいたんです』
 急ぎ足で我が家に向かうテクレー。そんな彼の目線に、薄暗い脇道が映る。
 昼間なら何を思う事無く使っている通路だが、陽精霊のはたらきも弱っている時間帯ともなると‥‥なんとも不気味だ。
(「‥‥何も、あるはずが無いよな」)
 テクレーは、最近この辺りで強盗が出たという話も聞かないので、安心していた。そう、確かに『強盗』の話は、最近挙がっていなかった。
 彼が通路に入り、ほぼ暗闇に包まれた‥‥次の瞬間!
「アッー!!」
 裏路地に突如現れる強盗‥‥いや、強盗? 卑猥な言葉を発しながら、上半身裸体でハァハァ言いながら向かってくる強盗など、世界のどこにいるだろうか?
『あれには、本当に驚きました。まさか、あんな姿で襲い掛かってくるなんて‥‥』
「俺に充電しろ! 俺に充電しろ!」
 奇声を発する男。それにしてもこの変態、ノリノリである。
『あの時は洗濯物の事なんかより、まず衛兵かギルドに通報する事が先決だと思いました。とにかく、大声で助けを呼んで‥‥逃げたんです』
 近くで市街警備に当たっていた衛兵が、これを聞きつけてやってくれた。
『あのとき衛兵達が駆けつけて来てくれなかったらと思うと‥‥ゾっとします。本当に、救助に来てくれた人達には‥‥感謝しています』
 後日、この変態はあえなく御用と‥‥

 な ら な か っ た !



●冒険者ギルド
「今週の、ザ・ワーストはコレっ!」
 そう言って、ギルド係員の女性は依頼書を出す。それにしてもこの小娘、ノリノリである。
「最近、夜道に変態が出ています。しかも徒党を組んでいる様子で、犯人は数人いるようです。現在の所、全ての件は未遂に終わっていますが‥‥このままだといずれ、貞操を奪われる男性が出てくるかもしれません。早く倒してください、とにかく倒してください」
 被害者は20代〜の男性が多いが‥‥なかには10代前半の――所謂少年といわれるお年頃――の被害も届いている。ナンテコッタイ。
 被害の届けを総括すると、比較的細身が好まれる傾向にあるとの事。生贄‥‥じゃなかった、囮役には、この辺を考慮して依頼参加者の中からチョイスすべきであろう。
「因みに、シルエットしか見えなかったそうですが‥‥被害者の多くは犯人を筋骨隆々とした者達との事です。もしかしたら下手な格闘士(グラップラー)よりも強敵かもしれません。‥‥覚悟してくださいね」
 
「尚、今回は『まだ未成年の子供を護り立派な大人に育てる団‥‥略してMMR団』の団長を名乗る、貴族のスプリングデイズ家当主から、全面的な支援を得ています。食費、矢などの消耗品、その他手に入る範囲での物的な援助はもとより、事後のイロイロな面倒事も、なんとかしてくれるそうです。曰く、『ケツ持ちは任せろ!』って事です」
 なんと言う変体依頼。内容を聞いただけで、家に帰りたくなってしまった。この依頼は、間違いなく集まらない。

●今回の参加者

 ea0439 アリオス・エルスリード(35歳・♂・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 ea2019 山野 田吾作(31歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea7174 フィアッセ・クリステラ(32歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 eb4107 ディーナローゼ・メーベルナッハ(30歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 eb4482 音無 響(27歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb8475 フィオレンティナ・ロンロン(29歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 eb8489 エリス・リデル(28歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 eb9949 導 蛍石(29歳・♂・陰陽師・ハーフエルフ・華仙教大国)

●サポート参加者

ウェイル・アクウェイン(eb9401

●リプレイ本文

●変態の驚くべき生態
「雄の変態はこのようにユニークな求愛を行うのである」
「いや、そのノリはもういいでござるテクレー殿」
「あ、すいません。何だか妙にノリ気になってしまいまして」
 色々情報を教えてくれる親切な人、テクレー・ルオーシェは、尋ねてきた山野田吾作(ea2019)に、今回の依頼について自分が知っている情報を教えていた。
「やはり薄暮の頃から、裏路地にて変態共は跋扈し始める様でござるな」
「スケッチがあるのですが、そちらはもう見ました?」
 そう言って差し出された一枚のスケッチが出されると、導蛍石(eb9949)は不快の感情で顔を歪めた。
「うん。何かおぞましいものを見た気がするが、やっぱり気のせいだ。だって記憶に残ってないもん。まったくないもん」
 紳士の国ネギリスに在中の経験がある彼だ。その手の輩については博識なのだろうが、それをひけらかさないのは彼の謙虚な人格ゆえであろう。現実を直視したくない‥‥なーんて事は無いはずだ。


●しかし驚くのはまだ早い
「だが、メイには更なる変態がいた!」
「なんだって、それが本当の事だとすると、大変な事ですよスプリングデイズさん」
 依頼主にあたるクーラ・スプリングデイズに、そう言って驚愕する音無響(eb4482)。前述のテクレーに同じく、何故か妙なノリである。
「この事件を皮切りに、メイに蠢く変態達との果て無き死闘が幕を開けるでしょう‥‥団長、命令を」
「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)、見敵必殺よ」
 エリス・リデル(eb8489)に対してクーラは躊躇い無くそう告げる。スプリングデイズ家執事の青年は「殺っちゃいけないだろ」とは一応言ってみたがスルーされる。
「観察対象として申し分なき変態であるな! むしろ、ヤっちゃうつもりである」
「ちょ、おま‥‥」
 面(おもて)には幼ささえ残しているディーナローゼ・メーベルナッハ(eb4107)21歳。面は少女、頭脳はヲトナ! 何をヤるつもりだ‥‥そう執事の青年は思ったものの、具体的には聞かない。聞くべきではないと思った。

 その男、右に「照陽」左に「影陰」。どちらも、小太刀だ。
 アリオス・エルスリード(ea0439)と言えば、数々の敵を弓矢で射止めてきたレンジャーであり、正確無比な射撃の腕を知る冒険者も少なくない。以前同じ依頼に参加して、それを目の当たりにしたフィオレンティナ・ロンロン(eb8475)もその一人。
「あれ? アリオスは弓矢の扱いが得意なヒト‥‥じゃなかったっけ?」
 そう後ろから声をかける。
「その通り、俺は弓兵‥‥アーチャーだ。むしろアーチャーだからこそ、この装備だ。だから何の問題もないだろう」
「アリオスの腕なら、弓を使えばスバっと簡単に退治出来る気が‥‥」
「それは言わないお約束だ。重要なのはノリだ‥‥わかるな?」
「‥‥? ‥‥!!」
 敢えて多くは口にせず、アリオスは背中で語る。そんな彼から、フィオレンティナは一つの結論を導き出した。
(「そうか! アリオスは自分を鍛える為に、あえて今回は得意の弓じゃなくて、剣の腕を磨こうとしているんだ! さっすが救世主たる天界人の騎士! メイを護る鎧騎士のワタシも、頑張らなくちゃ!」)
 と、決意するフィオレンティナ。こんな純情なコを、件の連中と遭遇されるなんて、ホント心許ない。
「久しぶりの依頼参加がこんな依頼なんてね。どこに行っても変態はいるんだね。ま‥‥ちゃんとお仕置きはしないとね?」
 アトランティスに来る前、ネギリスで広く冒険をしていたフィアッセ・クリステラ(ea7174)も、変態について知っている人間の一人である。
「頼む。私の貞操と精神が無事なうちに助けに来てくれ」
「‥‥フフ」
「‥‥!? た、頼む!」
 懇願する蛍石に、ただ無邪気な微笑を返すのみのフィアッセ。どうやらこの手の依頼の大まかな流れを既に心得ている様子。流石、ベテランだ。素晴らしい。
「とにかくm田吾作さんが情報の大体を既に集めてくれました。あとは戦地に赴くのみです。もし噂の変態が出てきたら、携帯の着信音大音量でならしますから、この音を頼りに駆け付けてきてください」
 響の携帯電話から、無機質な電子音が鳴り響いている。


●それでは実際に、ヤってみましょ〜!
 囮役の心境など歯牙にもかけず、世界は辺りに黒色を広げていった。雰囲気作りはバッチリだ。あとは変態がくるだけでOK。カマン。
「変態でも馬鹿ではないはず。この人数相手にそう易々と姿を晒す愚は犯さぬであろう。囮役の方々、辛抱はそれまでにござる」
 田吾作の呟きは、予想と言うより願望に近い。ちなみに、田吾作が囮として機能する可能性も重々あるが、言及しない方がいいか。
「だが断る」
 道の角からいきなり姿を現す数人は、誰だろう? 何だろう? 何者だろう? 警邏中の衛兵さんかな?

 ――否。全裸のそれらは、 変 態 に 決 ま っ て い る !

「ああ。囮になるのはいいが――別に、アレ等を倒してしまっても構わんのだろう?」
 アリオスのその言葉に、誰も異議は唱えない。
 じりじりと近寄ってくるシルエット‥‥それが露になっていた今ここで、この報告書や関連書類に訂正が必要になった。
 彼らは全裸ではない。ちゃんと急所を隠していた。
 装備:胸当て
 確かに心臓は急所。つまり此れ『全裸』ではない。『ほぼ、全裸』である。あ、殆ど同じ事ですね、サーセン。
「うわぁあああああ!」
 響が何だか凄い勢いでポケット内の携帯電話を探る。自分が若干取り乱す事は予想していたが、実ブツを目の前にした時『若干』ではすまなかった。
(「普通こう言う敵は話の展開上、もっと勿体ぶって出てくるものだろ!? 正面きって出て来ないものだろ、常識的に考えて。空気読め!」)
 胸中怨嗟でいっぱいの蛍石。一歩一歩迫る変態。関われば多分、もれなく色々なモノを失う事になる。逃亡? 闘争? どうするの蛍石? どーするの!?
「これあげるから許してください」
 急に敬語になって、持参した日本酒を変態に渡す蛍石。何と言う賄賂‥‥その発想は無かった。
 変態の一人は、酒壷を予想外にも易々と受け取る。両手に持ち、それが承諾のサインだと思った‥‥次の瞬間!
 バキン!
「あまり私を怒らせない方が良い。この私が●●●より酒を選ぶと思ったか?」
 なんと酒壷を素手で割って怒りをあらわにしているではないか。因みにこの報告書、何故か所々でインクがぼやけて文字が読めなくなっている事をお詫びしておこう。
「ま、待て! 依頼書に書いてあった『充電しろ』とは一体どう言う意味でござるかッ!」
 田吾作の叫びは、質問と言うより時間稼ぎに近い。
「深い意味は無い」
 あ、言い切った。
「むしろ充電‥‥さ れ ろ」
「うわぁぁぁあああああ!!」
 携帯電話を鳴らしながら、ボタンを連打する響。どこかの名人の如きボタン連打で一気に音量MAXだ。
「聞こえた、助けにいこう!」
「興味深い観察対象、これ以上見ているだけでは勿体無いのだ! フィオレンティナ、我が輩も行くのである!」
 ある者は義憤に燃え、またある者は邪な探究心を抑えきれずに駆け出していった。
「フィアッセさん、私達は戦力の温存と言う戦術的見地からもまだここで様子を見るべきかと」
「そうだね、人のネタが終わってからでも遅くは無いからね」
「ええ、ギリギリ・アウトのシーンまで粘りましょう」
 そう言って、明らかに囮役の貞操を生贄に捧げる魂胆丸見えのフィアッセとエリスが戦況を改めて見る。
 まず見えたのが、響と戦っている変態。どうやら、響の悲鳴を聞いた変態は、それを男声と判断した様子。
「ちっ、近寄るな、今は太陽出てないから充電なんて出来ないよ!」
 響はこんらんしている。響はなかまをよんだ。
 フィオレンレィナがあらわれた。
「そこまでだ! 御縄を頂戴し‥‥うお、マル見えっ!」
 しかしフィオレンティナはまごまごしている。
(「‥‥あー、とりあえずキョウを助けなくちゃ!」)
 何とか我に返ったフィオレンティナは仲間を助ける為、とにかく一心不乱になって走り出し、勢いをそのまま肩に乗せ体当たり! それは、見事命中して変態を吹き飛ばす。
「‥‥! ああっゴメン!」
 見事、蛍石の元へ吹き飛ばす。というか、彼女の体当たりに筋肉質の変態を吹き飛ばす威力はない‥‥恐らく、自ら飛んで行った。
「少林寺流、蛇――何っ!?」
 既に一体と応戦中の彼の元に、爽やかな笑顔でもう一人、変態が‥‥。変態はそのまま彼に組み付いて、記録係には見えない所へて転がって行った。
「うぎゃああぁぁぁ! 何でそんなに嬉しそうなんだよ、お前らっ! ば、馬鹿ッ、こら! そんなふうに圧しかかられたら、痛っ! 痛痛痛痛っ!」
 申し訳ないが、ここからでは蛍石の姿が確認できない。ナニがどうなっているかは書けない。
「アリオス殿、こいつら攻撃を受けてむしろ喜んでいるきらいがあるでござる!」
「いいから殴れ。そのような泣き言、(多分相手は)聞く耳もたん」
 田吾作の言葉に、アリオスはついぞんざいに返してしまう。無理も無い。この現状げんなりしない方がおかしい。二人で斬って殴ってを繰り返して、ダメージがあるはずなのに、相手はいまだに元気いっぱいに迫ってくる。
「妄想を抱いて横死しろ!」
 先手必勝、ヤられる前に殺る。久々、面に必死さを滲み出してアリオスが変態達と奮戦を繰り返す。きっと、全ての男性を変態から救う為にこの場にいる全ての変態を滅ぼすつもりだ。
(「そうだ‥‥この積極性に憧憬を感じていたのであった。相手の変態達も道は間違えているが‥‥。その勇気が、半分も拙者にあれば!」)
 田吾作の懐のお守りが、強く握られる。そして、田吾作はまさに第一歩を踏み出したのだ。
 雄々しい叫びと共に渾身の一撃を放る、田吾作! そう、その勇気さえあれば、どんな敵だって、どうにか――
「その程度の攻撃、こそばゆいわ! 性的な意味で」
 どうにもなりませんでした。
 田吾作は死を覚悟した、性的な意味で。
「一撃食らっても微動だにしない、逞しい筋肉であるな‥‥。我輩に一つ測定させてくれぬであるか?」
 そんな時、変態の背後から聞こえたのは女性の声。変態が振り返るより早く、彼女はその腕(かいな)を対象の身体へと伸ばした。
「岩山の如く堅固、それでいて綿布の如くしなやか‥‥! 流石、現役の変態である」
「な‥‥ぐ、ぐわああああ! やめてくれ! 女の身体より、男性の体を触ら――」
「モルモットの懇願を聞き入れる研究者など、存在しないのである」
 己が胸を押し付けながら、男体をまさぐるディーナローゼ。変態は、嗜好が逆位置にある様で、本気で嫌がっている。無論、彼女はそれでも容赦しない。
「それに、俺には大好きな女性がいるんだ、お前達なんかに‥‥!」
 苦悶の表情を浮かべながらも放たれた響の攻撃は変態に届き、やっとそれを沈める事ができた。
「加勢に来たが、不要か。いやはや‥‥こんなところを野元に見られたらどうなるだろうな」
「アリオスさん!? 今のは、わ、忘れてください‥‥」
(「拙者にだって‥‥とは、口が裂けても言えないでござる」)
 ディーナのセクハラに加え、あとは囮となっていた戦士達がまぁ普通にがんばり、戦況は好転しつつあった。
 悲鳴が聞こえてきたのは、まさにその時!
「そ、それは痛いっ! 洒落にならん! 止め‥‥止めて‥‥うぎいぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
 まだ変態は2体いた。
 どさ‥‥。
 叫び終えた蛍石は、倒れた。

 導蛍石(eb9949)――再起不能(リタイア)

「そこまでです。MMR団員として、こんな事、もう許してなんかおけません」
 しっかり手遅れになってから、エリス・リデル参上!
 チャイナドレスに蝶のマスカレード、足にはパンプス。そして手には乗馬用鞭と‥‥緑色の細長い根菜を手にしているではないか。
 変態の2人は、異形の闖入者に目を取られていた。
 まさか、それが命取りになるとは。
 長弓を弾く、音。
 狙い定めたフィアッセの弓矢が、飛んでいた。凡そ『変態の急所』と考えられる部位へ、飛んでいた。
「狙いは完璧だよ。あ、でも安心して、みね撃ちだからね」
 悶える変態に、言い放つフィアッセ。射撃に峰打ちもへったくれも無いのだが。
「二度とショタっ子やロリっ子を襲わないと、この場で誓いなさい。あなたが誓うまで、殴るのをやめません」
「ここで俺の■■■が潰れても、夢が潰えることは無い。俺にだって、守りたい世界があるんだ!」
 パンプスの踵を相手にめり込ませながら鞭を振るうエリスと、何か呻きながら抵抗する変態。
「まだショタっ子を襲いたいのですか、あなた達は! あなたって人はーー!」
「アッー!」
 エリスが両手持ちにした緑色の細長い根菜が、男に深々と刺さ‥‥いやむしろ挿――
「は、早く捕まえて衛兵に突き出そうっ!」
 フィオレンティナはソレを見なかったフリをして、倒れている変態を順番に縛り上げ捕まえていった。


 変態の一通り拘束が済んで、夜の通りは普段の静けさを取り戻‥‥していなかった。
「それに襲うならもっと立派な物持ってからにしなさいっ」
 浴びせられるフィアッセの言葉によって、変態達のプライドは粉々に砕かれていた。まぁ再犯防止にはいいだろう。多分。
 拘束後も尚、ディーナローゼの身体測定は続いていた。エリスは助手となり、事細かにそれを記録に残す。
「変態は、キャメロットだけに存在するわけではなかったか‥‥あぁ、嗚呼‥‥人生オワッタ」
 体中を埋め尽くさんばかりのキスマークを拭っている蛍石が、ポツポツと言葉を漏らしていた。
「あまりのショックによって、自我崩壊寸前であるな。よし、ここは我が輩がヒト肌脱ごうではないか」
「わー! ディーナ! 何しているの!」
 そう言うと文字通り脱ぎ始めたディーナローゼ。黒の下着と肢体を躊躇いも無くさらけ出す彼女を、フィオレンティナは慌てて制止。
 凄い勢いで顔を90°回転させる田吾作。
「田吾作さん? どうしたんですか!?」
「先程の戦いにおいて、掠り傷を負った。が‥‥心配は無用でござる」
 田吾作の顔のどこかから出血がある模様。心配になって響は声かけるが、彼がそっぽ向いている為どこからの出血かは確認できない。
「早く、衛兵を呼んで来るんだ」
「う、うん!」
 アリオスに半ば急かさせる様にして、フィオレンティナは近場の詰め所へ走った。
「しょうがない。それでは、この変態達で我慢するである。正しき手練があってこそ真の力は生まれるのである。我輩が実践指南してやるのである!」
 これから変態らは衛兵が駆けつける前に、天界の名医によって療治を受ける事になるだろう。勿論、性的な意味で。

 報告を受けたクーラは、功績を称えエリスにMMR団副団長(現在団員3名)に任命。
 蛍石には、功績と慰めと嫌味の意味を込めて、献身の指輪が渡されたとか。