変態黙示録メイディア

■ショートシナリオ


担当:はんた。

対応レベル:8〜14lv

難易度:難しい

成功報酬:4 G 98 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月19日〜08月24日

リプレイ公開日:2007年09月03日

●オープニング

 ギルド内は、今まさに衝撃の渦中であった。
 とあるモンスターが街中に現れて、人を襲撃したというのが話の種。モンスターが暴れちゃっているんで、ちょっくら退治してくださいー‥‥こんな話ならよくある話なのだが、今回のは少しだけ、事情が違う。
「服だけを溶かす‥‥スライムだって!?」
 そう、服だけを溶かすスライム。
 もう一度言おう。

 服 だ け を

 溶かすスライムだ、今回現れたモンスターは。
「素晴らしい‥‥」
「まるで我々の理想を、形にしたかのようだ‥‥!」
 服だけを溶かすスライム‥‥ギルドにはびこる野郎共は、口々にこのメシアの到来を祝福した。
 だが、ここで入ってきた最新情報が、さらに事態を混沌へと引きずり込む事となる。
「‥‥どうやら、このスライムは、ペットとして使役されているらしいぞ!」
 事件の主犯はこのスライムではなく、それを使う者という事なのだ。このスライムは使われている存在‥‥それはつまりどういう事かと言うと、以下のような結論に至るのである。
「つまりスライム自体に罪は無いということか。罰すべきは、その使い手だな」
「そうだな、使い手は最低の野郎だな」
「これは‥‥飼い主を退治し、悪くないスライムは保護する必要があるな!!」
「そうだな! 何はともあれ、まずはスライムを捕まえないとな!」
 力・富・名声‥‥人は、自分に無くて他人に有るモノを嫉み、欲する悲しい生き物なのだ。
 そして、とある貴族の馬車が襲われた事を折に、ついに依頼としてギルドに張り出される事となった。
「被害にあった貴族は‥‥アバラーブ家‥‥どこかで聞いたことがあるような‥‥」
「何もデータ無いんですか!?」
「たしか当家の御息女と言えば、まだ幼い双子だったような‥‥」」
「依頼を受ける前に関係情報の整理は必須! 襲われた時の状況を‥‥詳しく!」
 にじり寄る野郎達を前に、ギルド受け付けの女性は怪しく微笑した。妖しく、じゃなくて怪しく‥‥この段階で、男達は気づくべきだったのだ。
「どんな風に襲われたのか‥‥ですか? だったら、襲われてどうなったかも、話しておきましょうか?」
「私は、一向に構わんッッ!」
「むしろ、聞くまで家に帰らん!」
(「かかったな、アホが!」)
 そうして、真実は語られた。
「実は襲われたのは、馬をひいていた御者さんなんです☆」
「嘘だッッ!!」
 いくら認めなくないと言えども、真実はいつも一つ。
 それから、受付の女性は事細かに話した。御者さんの服が如何にして、変態だけが使えるテクニックで溶かしつくされたか‥‥を話した。
 ざわ‥‥
「ひどい‥‥ひどすぎるっ‥‥! こんな話あるかっ‥‥! 」
 ざわ‥‥
「やっとの思いで‥‥普通のモンスター退治依頼の発表を聞いたのに‥‥戦闘依頼に辿り着いたのに‥‥」
 ざわ‥‥
「変態っ‥‥! あの変態達がもぎ取ってしまった‥‥! せっかく手にした男の未来‥‥希望‥‥人生をっ‥‥‥‥!」
 中には、泣き崩れる冒険者さえいた。
 係員の女性は、どんな詐欺師にも負けない陰湿な笑顔を携えて、男達を慰める。
「どうなさいました‥‥? 冒険者様‥‥。さあさあお気を確かに‥‥! がっかりするには及ばない‥‥! 残り依頼枠はまだ6名分もある‥‥! まだまだ‥‥依頼参加の可能性は残されている‥‥! どうぞ‥‥存分に夢を追い続けてください‥‥! 私は‥‥その姿を心から‥‥応援するものです‥‥!」

●今回の参加者

 ea2019 山野 田吾作(31歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea3585 ソウガ・ザナックス(30歳・♂・レンジャー・ジャイアント・インドゥーラ国)
 eb0746 アルフォンス・ニカイドウ(29歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb8489 エリス・リデル(28歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 eb9949 導 蛍石(29歳・♂・陰陽師・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec3080 レムリナ・レン(26歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)

●リプレイ本文

「ただいまー」
 情報収集に行っていたレムリナ・レン(ec3080)とエリス・リデル(eb8489)が、他の仲間が待つ冒険者ギルド帰ってきた。
「ご苦労なのである。して彼奴(きゃつ)らの情報は、如何に」
 アルフォンス・ニカイドウ(eb0746)は、問う。
「いやぁ、屋敷には色々な剣が飾られていたんだよ」
「なるほど。して敵情は‥‥」
「でも、出てきたメイドさんがかわいい人でー」
「左様であるか、うむ。して敵情は」
「それでねそれでね、応対に出てきた執事さんが‥‥」
 レムリナの両肩を掴み、アルフォンスは愚直なほど真っ直ぐな視線で彼女の瞳を見る。
「レムリナ殿‥‥戦わなきゃ、現実と! である。辛いとは思うが、頼む」
「‥‥ボクにあんな事‥‥言えないよ!」
「そこをなんとか! 後生の願いである!」
「駄目、言えない!」
 自身の赤髪の如く紅潮させていくレムリナ。この風景も何だかアレな風景だ‥‥導蛍石(eb9949)がそこはかとなくそんな事を思っていた。
「ええ、■の●が▲▲される様子なんて、口に出すにも憚れる‥‥と言うものです」
 喋ったのはエリス。口に出しているではないか‥‥ソウガ・ ザナックス(ea3585)は思ったものの、敵の情報は知りえておくべき。そう考えて、そのまま聞く事にした。
「●●●にそのまま■■れたなんて、とても公言出来ませんね」
   ざわ
「しかもスライムを■■■■■代わりに使うなんて、まさに悪魔の所業です」
        ざわ
 どうしてだろうか、インクが滲んで折角の情報が書き残せない。
「やめて〜っ!」
「ギブアーップ!」
「リデルさん‥‥」
「リデル先生っ‥‥!」
「ククク‥‥ずれた命乞いです」
 巨大財閥の大幹部にも匹敵する凄味で話し続けるエリス。勝ったらいいな‥‥じゃない‥‥! 勝たなきゃダメなんだ、この依頼は!
 貞操は命より重い。


「服だけを溶かすスライムと申したか‥‥! 今は男のみを狙うというが‥‥ぬふっ」
 暗闇の道に、ぼたぼたと真紅が垂れる。
「どうした、田吾作」
「いや、熱さと煩悩で鼻から流血が‥‥」
 蛍石は山野田吾作(ea2019)にリカバーを唱える。男だけしか狙わないスライムではあるが、『IF』を考えるのは健全な男子として当然の思考である。既に田吾作の血圧は最初からクライマックス。
「だがしかし、それを使う奴らが変態というこの現状‥‥。男の夢など所詮幻想に過ぎぬという事か‥‥おのれ、変態どもめ‥‥許せん!」
 いつもなら、ソウガはそんな事言わない。だが男の夢を打ち砕かれたのなら話は別。いつも口数の少ない彼がそう話すのも頷ける。
「拙者はともかく田吾作殿を始め変態退治のエキスパート揃いゆえ、安心して前衛を任せられるというもの」
 性的な意味で変態との対峙は初めてのアルフォンスだが、胸中に恐れは無い。
「それには俺も含まれているのだろうか‥‥」
「無論、その手のプロと心得ている」
 何故なら、力強い仲間がいるから。蛍石はそう聞いてがっくり項垂れるが、彼の様な経験者が仲間にいると、それだけで安心感が違うというもの。
「だが、逆にここまであからさまに動くと警戒されてしまうのではないだろうか」
 平常、隠密での行動力を求められるケースが多いレンジャーという職業柄、こうも堂々と行動する事に違和感さえ覚えるソウガ。
 経験者、山野田吾作は語る。
「心配無用でござる。こうしていれば、変態共はホイホイついてくるでござる」
 それもそれで嫌だ。
 ソウガはそんな事を考え――ていたが、視界の端に捕らえた異形に本能的な危機感を覚え片足で石畳を弾く。ソウガは巨躯に不釣合いな程軽やかに跳躍し、来襲者を避ける。
「あれを避けるとは。全く、困ったものです」
 蛍石が声の元に目を向ければ、そこにはローブに身を包む男、数人。
 しかし、ここに来てベテランの蛍石は動じない、安心さえしていた。何故なら、今回の変態は服を着ている。つまり、事に及んだとしても変態達はまず脱衣というワンアクションを要求されるのだ。その間隙を突けば――
 その時、風が、吹いた。
「う、うわぁ‥‥そんな馬鹿な‥‥そんな馬鹿なァ!」
「どうしたのだ、蛍石殿。KOOLになるのである!」
 狂化寸前の蛍石を鎮めようとするアルフォンスだが、彼自身もはじめてのへんたいさん相手に、なかなかCOOLになれないでいた。
 蛍石は、搾り出すようにして言葉を紡ぐ。
「こいつら‥‥履いていない‥‥履いていないんだよ!」
 先程の風で、蛍石は見てしまったのだ。彼らの内に秘める、阿修羅の剣を。黒衣の下は、臨戦態勢を整えていたのだ!
「お前襲うけど、いい? 答えは聞いていないけど」
 言いたい事だけ言うと変態は冒険者達へ手を差し向ける。すると、それに連動してスライム達が一斉に飛び跳ねてきた。
「何だか、相手が本気を出してきたみたいだよエリスちゃん!」
「ええ、どうやらその様で」
 女性は変態の呪文や能力の対象にならない。
 ここはお約束の女性専用安全スペース。ここからだと、戦場を見る事は出来ないが声は聞こえる。
「囲まれちゃったら、きっと危ないよ‥‥」
「ええ、そうでしょう」
 エリスは一向に動く気配をみせない。
「まだ後詰が隠れている可能性もありますからね。ここで迂闊に動いては、相手の思う壺です」
 こうなったら、自分一人でも! レムリナは意を決し、戦場へ踏み入った。
(「一気に切り込んで、変態達を退治する! 手遅れになる前に!」)
 レムリナがはじめに見た戦況、それは‥‥雄々しきキャスト・オフ! 田吾作が上半身半裸になっていた。
「幾らでも溶かすがいい、不埒者どもめ! そもこの様な華美な礼装など、武士には無用」
「いいのかい、ホイホイ脱いじまって」
 スライム使いは挑発的に言ってくるが、明鏡止水の田吾作は動揺しない。
「笑止! 我らいくさ人が戦場にて最後に身にまとうは純白の褌一丁にござる! しかもこの褌には拙者が毎晩祈りを込めているお守りを縫い込んである! すなわち、力は百層倍!」
「さすが田吾作殿! これならオーラエリベイションを付与した甲斐もあったというものである!」
 田吾作の叫びに共鳴するかのように、アルフォンス。それにしてもこのテンション、オーラエリベイションって凄い魔法だ。
「拙者、厚着の策を講じて時間を稼ごうとしたが田吾作殿の覚悟に感服いたした! スライムを避けられないとしても‥‥前へ‥‥! 誠の武士道ここに見たり! お供致す!」
 レムリナ、武器を納める。
「見せモノではない!貴様らなんぞに触れさせるか!」
 レムリナ、振り返る。
「じ、自由を! さもなくば死を! ギャァァァ!」
 レムリナ、脱兎の如く。
「あ。おかえりさない、レムリナさん」
 ここは再び、安全スペース。
「やややっぱり、敵の新手を警戒して、暫くここで様子を見ていた方がいいよね。うん、絶対そうだ! じっと待っていようね!」
「じっと‥‥そう、ギリギリ手遅れになるまで男達の戦いを見守る‥‥それしか私達には出来ない‥‥」
「うん、そう。絶対そうだよ!」
 手遅れになっては、それはもうギリギリではないのでは‥‥しかし、レムリナが冷静さを失ったせいで、もはやツッコミ役が消失してしまった。これは危険な状況である。
「男達の戦いに、女は手出しできないのです」
 エリスの頬が涙に濡れる頃、男達はスライムに濡れていた。
 今回の冒険者達は、所謂『覚悟している人』であった。誰しも普通に『まずはスライムを倒す』と言う選択肢をとっていない。無茶しやがって‥‥。
 だが、それがいい。
「もう少しだ、もう少しで間合いに‥‥!」
 呻きの中にも希望を込めて、蛍石が言葉を搾り出す。男性人の服は所々に溶けた跡を残すものの、まだ大事な所は守りきっている。急所を避けつつ、このスライム網を突破すれば後は諸悪の根源を叩くのみ。
「ここまで来たら、後は連携の一斉突破が有効ではないだろうか」
 ソウガは呟く様に言うと、言葉を続けた。
「ま。一斉に息を合わせられたら‥‥の話だが――」
「合図は‥‥」
 アルフォンスが、聞き返した。
「――ン?」
「合図は如何様にするのであるか?」
「確かに、このままでの消耗戦になるとこちらに分が無い。その選択、戦況に適したものだと思うぞ」
「今こそ奮い立つ時にござる」
 仲間達を見て、ソウガの唇の端が吊り上がった。それは、微笑だったのかもしれない。
「3・2・1・GO! で駆け出す‥‥いいな」
 ソウガに皆が頷くと、スライムから急所を守りながら男達は息を合わせた。
「3‥‥」
「2‥」
「ぃ――な、ソウガ殿!」
 ソウガは、先駆した。彼は知っている。想い人を持つ男の、貞操の重さを知っている。
「自分の分まで幸せになれよ、田吾作」
「待つのだ、待つのだソウガ殿ーーー!」
「さて、貴様ら‥‥簡単に自分の背後を取れると思うなぁー!!」
 らしからぬ、ソウガの咆哮。彼の中で、何かが‥‥弾けた。
 驚異的な運動神経で、迫り来るスライムと言うスライムを避けてソウガは突き進む。また一体、また一体。スライム達の体当たりが空を切る。
 最後の一体を避けると、彼は両の手に握る刃を振りかざした。
「当たれぇーー!!」
 やった、勝った、仕留めた!
 ‥‥そう思った、瞬間であった。
「まっがーれっ」
 スライムが、変態に呼応するかの様に攻撃の軌道を変え‥‥ソウガは、背面をつかれてしまった。
 つまり、最終防衛ラインを突破されてしまったのだ。
 粘度が、彼を酷く緩慢にさせた‥‥。
「ぐわぁっ‥‥く、くるな、くるなぁ! ‥‥うひゃはぅわあああぁ!」
 その叫びに、いてもたってもいられなくなったレムリナが再登場。
「やめて! ソウガ君のアーマーポイントはもうゼロだよ!」
「HA☆GA☆SE☆(剥がせ!)」
 嗚呼、男達が群がってゆく‥‥。

ソウガ・ ザナックス(ea3585)――再起不能(リタイア)

 メンバー中一番、攻撃と回避のバランスが整っていたソウガの戦線離脱、中軸を失った男性勢はここに来て、連携の瓦解が起きてしまった。
 じりじりと変態に距離を詰められる蛍石。しかし、彼は二度も同じ過ちを繰り返すつもりはない。蛍石は一枚のコインを取り出すと天高く差し出し、念じた。
「出ろぉぉぉ! ウゥッドォ‥‥ゴーレェーーム!」
 その叫びからして、彼がいかに切迫した心理状態にあるか伺える。
 すると、どこからともなくウッドゴーレムの百武が出現。ジ・アース産の魔法擬似生命体である。
「さぁ、変態を攻――」
「皆さん、お待たせ致しました! 葱を片手に私・参上。とりあえず、グラビティーキャノン」
 ここに来て、エリスの登場だ。この際、何故手に緑と白の細長い野菜を持っているかについては言及しない。まぁとにかく、グラビティーキャノン。それを直撃し転倒したのは変態‥‥と蛍石だった。
 不慮の事故を負い、転がりながらの蛍石の脳裏によぎる、様々な感情。

 ‥‥セーラ神。
 俺ってもしかして、前世ではものすごい極悪人だったのか?
 俺の身に訪れる、ありとあらゆる理不尽は、前世の報いなのか?
 答えろ。
 答えてくれ。
 答えやがれ‥‥

 そして嗚呼‥‥なんと言う事だろう。なんと変態も彼と同じ方向に転がっている。ふしぎ!
 「し、少林寺流、蛇絡!」
 転倒しながらも蛍石は木剣による打撃を変態に繰り出す。そこは間違いなく、変態にとっての急所であろう‥‥そんな部分に。
 しかし、返ってきたのは硬い手応え。
 硬い‥‥。

‥‥そうか、セーラ神。
 やっぱり前世の罪だったか。
 ごめんなさい。
 本当にごめんなさい。
 すみませんでした。
 生まれてきて、本当にすみませんでした。
 願わくば、次に目覚めるときは来世でありますように‥‥

「最後の一枚になろうとも、その時まで‥‥!」
 田吾作も随分スライムの攻撃を浴びてきた。後もう一息で褌姿だが、上半身裸で日本刀持っている姿だけでも十分奇異だ。
 彼は、いよいよ踏み込む。
「死なば、諸と――」
「田吾作殿、至急応援必要とエリス殿から聞き及び助けに参っ――」
 そんな時、何故かその場に、とある彼の知り合いの女性が現れたのだった。
「な、何故睦殿が‥‥」
「答えは聞いていませんでしたが、田吾作さんのために『怪我をしたら彼女がお見舞いに(はぁと)』フラグの為に私が彼女呼んだのですが、ちょっとタイミング早かったみたいです」
 エリスが『テヘっ☆』と言った感じで己を小突く。そうか、それなら仕方無い。
「そ、そそそういえば今夜、雇い主の護衛の依頼がこれからあった。この辺で、し、失礼する」
 むつみ は、にげだした。
「むぅ、田吾作殿‥‥せめて拙者がこれを渡しておけば、不憫な思いをさせずにすんだのだが‥‥」
 アルフォンスがやぎの印籠を手に、悔しそうに呟いた。しかしそれで、どこを隠せというのだ。
 その頃、一人奮戦するレムリナ。多分彼女が、今回のメンバーの中で唯一普通に戦っている人間。
「‥‥許さない、ボク、とっても恥ずかしかったんだから!」
 義憤を瞳に宿らせ武器を振い、ばったばったとなぎ倒してゆく。何故か女性の攻撃に弱い変態達。
 はい、これにて変態退治がすみましたとさ、めでたしめでたし。
「何がめでたいっ‥‥!? どこが!?」
 と、報告書を纏めようとしたらアルフォンスからツッコミ。これは手厳しい。


「これで名実ともに自分もヨゴレか‥‥、おかしい、目から汗が止まらないな‥‥ハハハ」
 無事バッドエンディングを迎えたという事で反省会。彼は仲間の為の盾となり、実に依頼達成に貢献してくれた。性的な意味で。
 蛍石、田吾作は無言で立ち竦んでいた。多分、己を嗤う気力すら残っていない。
「こんなこともあろうかと、これを用意しておいたんだよ‥‥」
 レムリナが差し出したのは、緑のアレ。そう、アレ。
 どうみても葉っぱです。
「イギリスに在住していた身だから、これの重みが分かる。これは、最も気高き脱衣の戦士にのみ許される至高の装備。まだ俺では、荷が重過ぎる」
 蛍石は苦笑しながら言う。「そう‥‥」と、納得して、彼女は手を引く。
 その頃、アルフォンスは変態達に尋問を繰り返していた。
「さあ、そのスライムを何処で手に入れどう調教すればいいのか吐くのである! いや、決してやましい意味ではなく、類似事件が起きぬようにだな!」
「アルフォンスさん、恐らく彼らはそう簡単に口を割る事はないでしょう。ここは、私に任せてください」
 エリスはそう言って緑と手に緑と白の細長い野菜を相手に差し向けながら、問う。
「まずは、黒幕から話して貰いましょうか」
 とある変態は、ゆっくっりと口を開いた。
「‥‥黒幕か、それはだな――」
「なるほど答える気はない様ですね、それではグイっと1本いきましょうか」
「ちょ――」
 グイっ
「びやぁぁぁああうあぃぃぃ!」
 審問官ならぬ、尻問官エリスの尋問が続く中、田吾作は虚空を見ていた。
 大丈夫、まだ大丈夫だから。