あなたのハートを(物理的に)狙い撃ち♪

■ショートシナリオ


担当:橋本昂平

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:5人

サポート参加人数:1人

冒険期間:02月01日〜02月06日

リプレイ公開日:2007年02月09日

●オープニング

 江戸の街は広く大きい。
 源徳公が治めるこの地には、ちょうどジャパンの中心辺りにあるせいか、各都市に向かうそれぞれの旅人達がそれぞれの理由で立ち寄り、それぞれの事情を持ってまた旅立ち、また、定住する。
 人の縁はどこで繋がるか判らない。ある時通りすがった誰かが、ある時いがみ合った者同士が手を取り合う事もまた縁。
 人の世と縁はまさしく青天の霹靂。全く何が起こるか判ったものではない。



――遠い異国の地で、レミングの群れの進路上に町や村があろうと、遠い異国の海でバイキング達が暴れていようと、広い目で見れば案外世の中平和なものである――





 寒風吹きすさぶ冬の朝。冬の妖精さん達が駆け回る街道には人まばら。誰だってこんなクソ寒い日に出歩きたくないわよね?
 でも私、加奈は歩いちゃう。だって愛しの先輩に逢えるんだから!
 今日は冬期休暇を終えた私塾の初の登塾日。いっぱいいっぱい勉強をして、いっぱいいっぱい先輩とお話しするもんね。この休塾中、アルバイトの日しか会えなかったから。
 さて、もうすく塾だ。準備は万端かな?
 私は近くの川を覗いてみる。
 肩まで伸びた黒髪と黒曜石のような黒眼。小柄でとても十四歳と思えない身体とまな板めいたMyボディはちょっとアレだけど、まだまだ発展途上だよ。後二、三年立てばあらゆる男が土下座してハァハァせんばかりのステキボディになるはず。そうに決まってるんだから!
 にっこり笑顔を作ってくるりとターン。水面に映る私の笑顔はヴィーナスフェイス。そばかすなんて見なかった事にする。
 頭には、先輩とのデートで買ってもらったかんざし。本当はアルバイトの帰りで寄った出店で、何となく見てたら欲しいのかな、って勘違いされて――というワケだけど、結果的には良かったね。先輩に初めて買ってもらったこのかんざし、デザインは微妙だけど、大事にしないとね☆
 戦闘準備はモチオッケー。システムオールグリーン。脳内麻薬でミソが溺れそうだよ。
 私は回れ右をする。するとなんと!
「せんぱぁ!?」
 思いっきり噛んだ。そして速攻マッハでものかげに隠れた。
 噛んだのもある。だけど、
「おのれあいつら! よくも私の先輩に!」
 忌々しいあばずれ共が先輩に群がってやがるよ!
「たっつおみく〜ん。放課後ひまぁ〜〜〜?」
「おいしいお団子のお店見つけたの。帰り寄っていかない?」
「それより演劇見に行こうよ。今流行りのやつなんだけど」
「う〜ん。誘ってくれるのは嬉しいんだけど、今日は用事あるんだ。ごめんね」
「ああん!辰臣くんのいじわる!」
 さすが先輩! ああいう見え見えの誘惑なんて効かないわ。あばずれ共め、それ見た事か!
 だけど、焦りもする。
 あのあば(以下略)は私と違ってナイスバディだ。同じ十四歳なのにあのぷるるんオパーイはなに? ウエストも引き締まってお尻もぷりぷり。あんな私塾に通うより遊女やってる方が似合うと思うんだけどな‥‥‥。
 そうなのだ。戦力の決定的差はこの女の魅力。名付けるなら『女力』かな。
 私にはそれが致命的に欠けている。
 さっきは当社費三倍増しで私の『女力』を図ってみたけど相当眼が曇りまくっているな。正直、女顔の男の子と間違われる事もあったし。さすがに今はそうはないけど、女としてやばくない?
 でも、先輩が言いっていうなら、私は構わないな。
 そう。先輩が、小さい女の子しか愛せなかったり同性愛者だったりショタでも構わないわ! 人としてどうかと思うけど、好きな人の気を引くのはいち恋(ラブ)リストとして当然よ! いっそ獣の如くカマーン!
 さっそくブッ込み特攻して先輩とラブラブトークかましますか! 私の脳内では先輩は私にめろめろよーん!
 きっかけは何にしようかな。
 西洋の恋愛物の書物ではパンを加えて走って角でぶつかる、とあるけど、ここは偉大なる神皇様のお国。ジャパン。ならばジャパンの流儀に従うのが自明の理よね。
 ジャパンの流儀となると‥‥‥やはり夜這い!? 夜這いはジャパンの文化と言うけどさすがに度胸がいる。いくらなんでも自分の身体を大事にしたい。
 契りを結ぶのは結婚してからに決まってるじゃない。
 さて、どうしたものか‥‥‥
「そこに俺達は現れたのさッ!」
「きゃぁ!」
 何か柔らかいものをブチ抜いた。
「ぎゃあぁぁぁぁ! 眼が、眼がぁぁぁぁ!」
「兄者気をしっかりもて! 傷は浅いぞ!」
「す、すみません! 突然出てきたからつい!」
「つい、ってお前。突然出て来られたら目潰しするんか!?」
「普通驚くじゃないですか!」
 そりゃそうだ。ポージング決めて突然現れた盛り上がる筋肉がステキなビルダー二人。汗に光るマッスルボディと白褌が眩しいわ
「で、貴方達はどこの誰です?」
 少し乱れた衣類を整えて私は尋ねた。
「うぬぬぬ。何か納得いかぬが、まあいい」
 一本毛のマッスルは言いました。
「聞いて驚け見て笑えい! 儂等は双子の旅商人」
 マッスルは跳躍。太陽を背にポージングを決めました。
「濃野灸比津奴!」
「濃野焔磁衛瑠!」
 輝く閃光猛るオーラ。放たれる『男力』。
「「二人合わせて炎の旅商人!」」
 問答無用でかっこいい。一瞬トリコになりそうになった。
 私は唾を飲み込んだ。
「そ、その炎の旅商人が私に何か御用で?」
「御用も御用。儂等はキサマが放つ妄想力に惹かれたのだ!」
「失礼な。変な言い方しないで下さい」
 まるでこいつらと同類みたいな言い方だ。
「何を言う。儂等は先月まで隣国にいたのだが、大気を漂う桃色妄想力を辿りこの地までやってきた」
「そして、その発信源はキサマだ。言わば求められたから来たのだぞ?」
「ふざけないで下さい」
 こんな馬鹿を求めいたなんてノーセンキュー。私が欲しいのは先輩よ!
「ならば証拠として妄想の内容を言ってもいいのだが」
「そんな世迷言を」
「雪の降る夜。郊外の館に男と二人、火鉢で十分に温まらない身体の暖を取る為、互いに着物を脱ぎ抱き合ってそして‥‥‥」
「シャラップ! 判りましたから!」
 サ○ラレか。どうしてそんなに事細かく。
「で、結局は何用なんですか?」
 ものっそ脱線したけど、とりあえず用件を聞くか。そしてとっととおさらばしよう。
 二本毛のマッスルは包みを取り出した。弓と矢?
「取り出したるはこの弓と矢。鉄の厚重ねの一品だ」
「矢も鏃から全て鉄一本で作られ射れば一射一殺間違いなし」
「まあそうですね」
 見るからに戦場でしか役に立ちそうにない代物だ。
「だがしかし! 霊験あらたな羅武羅武大明神のご加護により、これで左胸を射られた者は射た者を愛すると言う!」
「んな馬鹿な」
「疑うのも当然だ。だが、過去これで結ばれたカップルも多い。体験談は『彼女が白衣の天使様』とか」
「それって普通に看病してもらったから、と思いますけど」
「弓と矢三十本セットでたったこれだけ。今ならサービスで五本付いてくる!」
「聞きなさいよ」
「矢の五十本セット、百本セットもあるぜ! 一日団子一本分の利子で半年払い。クーリングオフも可。なんなら別の女に売りに行くもよし!」
「それはちょっと‥‥‥」
 さすがに迷う。
「どうする! この機を逃したら気になるあの男をゲット出来ないかもだ!」
「う‥‥‥」
 憧れの先輩。大好きな先輩。
「さあ!」
「さあ!」
 そして‥‥‥




 数日後、ギルドに辰臣氏からの護衛の依頼が持ち込まれた。

●今回の参加者

 ea0061 チップ・エイオータ(31歳・♂・レンジャー・パラ・イギリス王国)
 ea4927 リフィーティア・レリス(29歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 ea9922 桜 あんこ(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb3690 室川 雅水(40歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb8219 瀞 蓮(38歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)

●サポート参加者

一式 猛(eb3463

●リプレイ本文

 恋は戦い。
 つまり、只今江戸の一角になっている訳で、
「うおおおおおお!!!!」
 無我夢中で全力疾走。刹那の瞬きで目に映る角を曲がり、衝撃波が駆け抜けた後の塀に叩きつけられる。数瞬遅れ、鉄の矢が木の板を穿つ。
 例えるならば、江戸を駆ける銀の疾風。
 彼女(彼)の名はリフィーティア・レリス(ea4927)。遥かエジプトの地からジャパンに訪れたジプシーだ。
 長い銀髪に宝石のような青い瞳。そして処女雪のような白い肌に細い線の肢体で凹凸のない体系。だがそれがいい。
 悪い冗談みたいだが、リフィーティアは実は男だったりする。
「何故だ‥‥‥。目標は依頼人なんだろ? だというのにどうして俺を狙ってくるッ!」
 瞬間、頬を掠める一条の鉄閃。
 打ってくる度に狙いが正確になってきている気がする。
 今のに至るまでには少々事情がある‥‥‥





 幸いな事にその日は快晴だった。とはいっても辺りはそれなりに家々が軒並みを重ねてはいるものの警戒はしやすい。今回のような護衛の依頼には都合がいい。
 冒険者一行が辰臣の護衛を始め三日が過ぎた。その間に辰臣が射掛けられた事はない。もしや冒険者に恐れをなしたのか‥‥‥いっそこのまま何事もなければ、とそれぞれ思い始めていた。
「何もなければそれでよいのじゃが、若人の命を狙うとは不届きな輩がいたものよのう」
 私塾へ向かう傍ら瀞蓮(eb8219)は思い出したように呟いた。
「金持ちには敵が多いと聞きますけど、辰臣さんは何か心当たりはおありですか?」
「さあ‥‥‥。ウチはお客様第一の商売をしてますからこれといって何も」
 首をかしげる辰臣。本人はそうは言っているものの、人間生きていれば必ずどこかで敵を作るもの。その上商売やっていれば利益的な所で敵対したりするものだ。辰臣も本人が知らないだけかもしれない。
「そうですか。では手がかりでもと思ったのですが」
「ま、ともかく犯人を捜すことがまず第一だな。そうすりゃ狙撃されなくなるわけだし」
 違いない。桜あんこ(ea9922)は辺りを注意深く警戒するもリフィーティアは適当にのたまう。この余裕の差はいかにもレベル‥‥‥もとい修羅場の踏んだ数の差を物語っている。ちなみに『適当』は本来、最も適している、という意味だがそんな事はどうでもいい。
「うむ。娘の言う通りじゃ。護衛を頼んだということは少なくとも狙われているという事じゃ。それだけ分かっておれば、いざ捕縛なり説得なりすればよい話じゃし」
 蓮の言う通りだ。正論すぎて突っ込めないが、護衛なんてそんなものだ。
「第一このような仕事は男かわしら武の者の仕事じゃ。お主のような娘が出張る必要はない」
「ええ。その通りです」
 得心を得たように頷くあんこ。歳若いとはいえあんこも志士。神皇陛下に仕える者としての技を磨き学を身に付けているのだ。志士の端くれとしてリフィーティアのような可憐な少女(見た目が)を危機にさらす訳にはいかない。
「おい。いつ突っ込もうかと思ったけどな、俺は男。三日も一緒だったのに気付かなかったのか?」
「冗談を言うのう。それがエジプトの冗談か?」
「背伸びしたい年頃でしょうか。ほほ笑ましいです」
「可愛いよね、そういうのって」
「お、おまえら‥‥‥」
 笑い飛ばす面々。いっそサンレーザー打ち込みたい。
 そんな事を半ば本気で考えていると気持ち広い道へ抜けた。人通りも多い。さすがにこんな場所で狙う輩もいないと踏んだのか、チップ・エイオータ(ea0061)が姿を見せた。
「どうしたの? 顔色悪いけど」
「別に。何でもない」
「そう。でも、あんたみたいな可愛い女の子がそんな顔するなんて勿体無いよ」
「お前もか」
 速攻マッハで突っ込んだ。ついでに嘆いた。今更どうでもよくなったから調査結果を尋ねてみた。
「そうだね。猛くんから聞いてみたけど、どうも恋愛絡みのようだよ。おーい、辰臣さーん。もてそうだけど好きな人とかいるー?」
「別に好きな人とかは――」
 と辰臣は思いとどまって、
「気になる娘はいるかな」
「どんな娘なんですか?」
 あんこは嬉々として尋ねた。こういう話題は鉄火場で盛り上がれる。
「加奈ちゃん、って言うんだ。同じ私塾の後輩でなんだ。とっても小っちゃいけど頑張りやでね、妹がいるならこんな感じかなぁって‥‥‥」
 嬉しそうに語る辰臣。親しい友人、家族や恋人の事を語るような表情だ。
「少し前だけど、かんざし物欲しそうに見てたんだ。ここは男らしく懐の大きさを見せようと買ってあげてね。デザインは微妙だけど趣味は人それぞれだし」
 このまま延々と続きそうだ。あんこは絶妙なタイミングで割り込んだ。
「それなら占ってもらったらどうですか? 仲間の冒険者が占いをやっているとかやっていないとか」
 別行動を取っている室川雅水(eb3690)は何を思ったのか、占いで女の子に間でそれなりに評判になっていた。
「黒頭巾にマントなんて怪しい恰好しているからすぐ判りますよ」
「じゃー。さっさと行――」
 リフィーティアが半ばふて腐れながら言いかけて、強い風が吹いた。足がもつれて辰臣を押し倒すリフィーティア。
「す、すまん‥‥‥」
 退こうとする。だけど、客観的に見ればこの光景は――
「や――優しくして下さい!」
「ちょっと待て!」
 往来でゴーインな女の子なんですね♪ なリフィーティア。
 そこへ鬼のような殺気を孕んだ矢が飛んできて――






 愛しの先輩にまたどっかの売女どもがむらがって早三日。これは早急に先輩のハートを射抜かなければならない。
 私、加奈はこの間手に入れた弓と矢を握り締めながら改めてそう思った。
 最初は引けないと思ってたし、そして当たらないと思ってたけどそこは乙女ちっくパワー。その上羅武羅武大明神のご加護のおかげで今の私は超無敵。思いのままに引けるし私の愛情が詰まった矢は大大大好きな先輩めがけ風を切るわ。
 まだ命中に至ってないけど先輩のハートをゲットするのは時間の問題。射抜いた暁にはラブラブではにゃーんな毎日なんだもんね!
 だからあんたらみたいな女が先輩の周りをたかっても大丈夫。私が心が広いからそれくらいは許してあげる。
「そこのお嬢さん。今なら女の子にはタダで恋愛運を占うよ〜」
 何か間の抜けた声。黒頭巾にマントなんて統一性のない変人――占い師がいた。怪しいけど占い師なんてそんなものかそういえば最近私塾でよく聞いている。
 私は占ってもらった。聞くまでもないけどね。
「好きな相手がいるってんなら、まずは妄想は止めて現実を見るべし」
 先輩は私の事が大好きでラビューンだ。
「好きな相手ってのは本当に本当にあんたにとって必要な人か?」
 モチのロンです!
「乙女ちっくな妄想だけでは一人相撲みたいなもの。妙な商品でも買ってないかい?」
 そんな心配はノーセンキュー! このアイテムは先輩との愛を確かなものにする一品なのだから!
 ふっ。所詮占いは占いね。この私の決定された愛の運命を覆そうなんて百億万年早いわ。私はふんぞり返って先へ進む。
「せんぱぁ!?」
 先輩を呼ぼうとした。そしてまた噛んだ。だけど、問題はそこじゃない。
 一瞬吹いた強い風。先輩を押し倒した銀髪女。
 異国はいろいろと進んでいると言うけれど、ここはジャパン。天下の往来で私の先輩を寝取ろうとするなんて‥‥‥超! 即! 殺!
 私は弓を取り出し矢を番える。
 狙いを定め、
「逝きさらせぇぇぇ!!!」
 矢を放った。





 必殺の矢が空を切り裂く。殺気というか嫉妬というか、とにかく振り向いたら色々な意味で危険なモノに追われている感覚だ。
「――ひッ!」
 股の間に矢が刺さる。狙いが正確になりつつあるそれは危機以外の何ものでもない。
「チクショウ! どうして俺なんだ! この際依頼人はともかく、他の奴等を狙ってもいいだろうにッ!」
 壁を蹴って跳躍。壁に無数の矢襖が射掛けられた。
「それは――そんなものを二振りも持っておるからじゃろう?」
 ふいに聞こえた声。蓮だ。
「お、おまえ、何のんきに言ってやがる! 犯人を捕まえて来いよ!」
「あんこ殿が向かっておるよ。それより自分の身を案じたらどうじゃ?」
「知るかッ! そんな余裕ないし!」
 走る走る走る。とにかく走る。必殺の矢がこれでもかと射掛けられる。
「何というか‥‥‥お主が依頼人を押し倒したと誤解して、まずお主を始末しようと狙っておるようじゃのう」
「事故だッ! 運が悪いだけだッ!」
 所持者に不運をもたらすという鬼神ノ小柄を二振り。そのせいかもしれないが、通常の四倍で運気が低迷中だ。
「大丈夫。おいら、あんたを囮にして犯人の予測経路に目星がついたから」
「当て馬かよ!?」
「気にしない気にしない」
 鏃を外し、先端を布で包んだ矢をライトロングボウに番えるチップ。
「これで当てても安心だよ。後は射撃手を見つけ上手く狙うから。もう少し頑張ってね」
「ちょっと待て!」
「おいらをそんなに心配しなくてもいいよ。弓に自身はあるから」
 のんきにのたまうチップ。
「違う! 俺はどうなる! これ以上はさすがに持たないって!」
「俺に任せろ!」
 颯爽と現れ追走を始める雅水。黒頭巾とマントの怪しいナイスガイ。
「俺がムーンアローで打ち落とす! 大船にのったつもりでいろ!」
 呪文を唱える。
 飛来する鉄の矢雨。
「そんなものに当たったらさすがに洒落にならんさ! リフィーティアを狙う矢を射落とせ! ムーンアロー!」
 高らかに咆哮。月の力が疾走する。だが――


※ムーンアロー

〜〜装備している鎧以外の通常物質を全てすり抜けます。但し、その指定のものが無かったり、『複数』居る場合は、目標を失い自分に命中してしまいます


 つまり、
「し、しまったぁぁぁぁ!!!」
 ボロクズになりました。
「‥‥‥‥‥‥」
 蓮はリフィーティアににっこり微笑んで、
「おぬしは生き延びる事が出来るか?」
「やかましい!」
 どこかで聞いた台詞だ。